JP5927744B2 - Ag合金導電膜及び膜形成用スパッタリングターゲット - Google Patents

Ag合金導電膜及び膜形成用スパッタリングターゲット Download PDF

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Description

本発明は、銀(Ag)合金導電膜及び膜形成用スパッタリングターゲットに関するものであり、特に、配線、電極等に用いて好適な、耐塩化性、耐熱性などの耐性に優れ、かつ、抵抗率が低いAg合金導電膜及び膜形成用スパッタリングターゲットに関する。
近年のスマートフォン、タブレットPCの隆盛により、その入力装置となるタッチパネルの市場が急成長を見せている。そのタッチパネルにおけるセンサー部分は、透明導電膜(ITOなど)をパターニングした回路から形成されるが、その回路からの信号を取り出すための配線がセンサー部分の外周に形成される。従来では、Agペーストの印刷などにより、この配線が形成されていたが、マルチタッチ技術の採用による配線数の増加や、タッチパネル外周部の幅を狭くすること(狭額縁化)への要請から、配線幅の狭小化が必要となってきている。配線幅の縮小に伴い、配線の抵抗値が増加する問題が生じている。そこで、この問題の解決策として、スパッタリング法による低抵抗のAgやCuなどの金属配線を適用する動きが出てきている(例えば、特許文献1を参照)。ここでも、Agは、全金属中で最も比抵抗が低い上に、酸化されにくく、安定な物質であることから、その適用が期待されている。
一方、Agは、光記録媒体、ディスプレイ等で使用される反射膜としても好適な材料である。それは、Agが、反射率が高い上に、高反射率を有する金(Au)よりも安価であるからである。光記録媒体の重要性に伴い、高反射率を有し、かつ、コストの比較的低いAgは、反射膜用の材料としても重要となっている。
ところで、純Agは、耐食性に乏しいため、腐食により黒色に変色して反射率が低下するという問題がある。そこで、この問題を解決するために、様々な元素を、Agに添加して、Ag合金とすることが行われている(例えば、特許文献2乃至5を参照)。
特開2009−31705号公報 国際公開WO2005/056849 特開2005−100604号公報 特開2006−54032号公報 特開2006−202487号公報
しかしながら、純Agを、例えば、配線に適用した場合、タッチパネルの製造工程の途中において加熱されることがあるので、その加熱により、激しい粒成長及び凝集が生じてしまい、配線に、突起やボイドが形成されることになる。結果として、配線の断線などの問題が生じる。さらに、純Agは、室温であっても、放置されている間に粒成長が生じ、抵抗値などが変化することから、配線としての安定性に問題が生じている。
また、タッチパネルの使用環境によっては、人体や環境からの塩分の影響を受ける可能性があり、Agは、塩分を含む環境においては腐食され易いため、配線の信頼性においても問題を生じていた。ここで、上述したように、Agに種々の元素を添加して、Ag合金として、耐食性を向上することも考えられるが、これでは、反射率の低下を防止し得ても、種々の元素の添加により、膜の抵抗率が上昇するという問題が生じ、このAg合金は、配線、電極等の導電膜を形成するのに適さないものとなる。
さらに、タッチパネルの使用環境中には、硫黄分が含まれる場合もあるほか、配線形成の工程中には、フォトリソグラフィおよびエッチングの工程が入るが、ここで使用するレジスト剥離液などに硫黄成分が含まれることがある。これらの硫黄成分により、配線部が硫化して腐食する可能性があることから、Ag配線の耐硫化性も高めることが好ましい。
そこで、本発明では、膜の抵抗率の上昇を抑制しつつ、耐熱性、耐塩化性、耐硫化性の耐性を改善したAg合金導電膜及び膜形成用スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
本発明者らは、種々の研究により、Agに、Sbと、Al及びMnのいずれか1種又は2種を含有させ、あるいは、さらに、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pdから選ばれる1種又はそれ以上を選択的に添加して、Ag−Sb−Al合金、Ag−Sb−Mn合金、Ag−Sb−Al−(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金、Ag−Sb−Mn―(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金からなる膜の表面に、Sbによる酸化膜が形成されることにより、耐熱性、耐塩水性の向上に大きく寄与し、そして、Al、Mnが、耐塩化性に寄与し、さらには、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pdが、耐硫化性に寄与しているという知見が得られた。
したがって、本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明のAg合金導電膜は、Sb:0.1〜3.5at%と、Al:0.03〜1.0at%又はAl及びMnの2種:0.03〜1.0at%とを含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成成分を有するAg合金膜であって、前記Ag合金膜の表面に、Sb酸化物が形成されていることを特徴とする
(2)前記(1)のAg合金膜は、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上を、合計で、0.1〜1.5at%含有することを特徴とする。
(3)本発明のAg合金膜形成用スパッタリングターゲットは、Sb:0.1〜3.5at%と、Al:0.03〜1.0at%又はAl及びMnの2種:0.03〜1.0at%とを含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成成分を有することを特徴とする。
(4)前記(3)のAg合金膜形成用スパッタリングターゲットは、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上が、合計で、0.1〜1.5at%含有していることを特徴とする。
ここで、本発明のAg合金導電膜において、Ag合金にSbを添加することにより、膜表面の粗さを低減(表面粗さ増加抑制)することができ、耐熱性の向上に寄与する。このSbの添加量が、0.1at%未満であると、耐熱性の向上の効果が無く、また、3.5at%を超えると、膜の導電性が低下する。Sbの添加量の範囲は、好ましくは、0.1〜3.5at%である。さらに、添加されたSbは膜の表面に偏析し、酸化されて、酸化膜を形成する。この酸化膜が表面粗さの増加を抑制し、耐熱性を向上するとともに、耐塩化性の向上に寄与している。
また、本発明のAg合金導電膜においては、Al又はMnが添加されることにより、膜の耐塩化性を向上しており、Al又はMnの添加量が、0.03at%未満であると、その耐塩化性向上の効果が得られず、一方、1.0at%を超えると、膜の導電性を低下させてしまう。Al又はMnの添加範囲は、0.03〜1.0at%であり、より好ましくは、0.05〜0.7at%である。
また、本発明のAg合金導電膜においては、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上が添加されることにより、膜の耐硫化性を向上している。In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上の添加量の合計が、0.1at%未満であると、耐硫化性向上の効果が得られず、一方、1.5at%を超えると、膜の導電性を低下させてしまう。In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上の添加範囲は、0.1〜1.5at%であり、より好ましくは、0.2〜1.0at%である。
以上のように、本発明によれば、Ag合金として、Agに、Sbと、Al及びMnのいずれか1種又は2種とを含有させることにより、より一層表面粗さの増加を抑制し、耐熱性を向上するとともに、耐塩化性の向上にも寄与するので、耐熱性、耐塩化性などに優れた耐性を持つAg合金導電膜が得られ、さらに、Al、Mn、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pdから選ばれる1種又はそれ以上を選択的に添加した場合には、耐熱性、耐塩化性に加えて、耐硫化性にも優れた耐性を持つAg合金導電膜が得られる。そのため、電子機器、例えば、スマートフォン、タブレットなどの入力装置となるタッチパネルに用いられる配線、電極等として利用可能となる。
次に、本発明のAg合金導電膜について、以下に、第1の実施形態〔Ag−Sb−Al合金の場合〕、第2の実施形態〔Ag−Sb−Mn合金の場合〕、第3の実施形態〔Ag−Sb−Al−(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合〕、第4の実施形態〔Ag−Sb−Mn―(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合〕に分けて、実施例及び比較例を示して具体的に説明する。
〔第1の実施形態〕
第1の実施形態のAg合金導電膜は、AgにSbとAlとを添加したAg−Sb−Al合金の場合である。以下に、第1の実施形態のAg合金導電膜について説明する。
先ず、原料として、純度:99.99原子%以上のAg塊と、純度:99.9原子%以上のSb塊と、純度:99.99原子%以上のAl塊とを用意した。前記Ag塊を高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、次いで、このAg溶湯に、以下の表1に示されるように秤量されたSb塊及びAl塊を添加して溶解し、鋳造することによりインゴットを作製した。得られたインゴットを冷間圧延したのち、大気中で600℃、2時間保持の熱処理を施し、次いで、機械加工することにより、直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有する実施例1乃至10のスパッタリングターゲット及び比較例1乃至4のスパッタリングターゲットを作製した。さらに、前記Ag溶湯を鋳造することによりインゴットを作製して、機械加工することにより、前記寸法を有する従来例のスパッタリングターゲットを作製した。
実施例1乃至10、比較例1乃至4及び従来例のスパッタリングターゲットを、それぞれ無酸素銅製のバッキングプレートにはんだ付けし、これらを直流マグネトロンスパッタ装置に装着した。
次に、真空排気装置にて、直流マグネトロンスパッタ装置内を5×10−5Pa以下まで排気した後、Arガスを導入して0.5Paのスパッタガス圧とし、続いて直流電源にてスパッタリングターゲットに250Wの直流電力を印加した。
さらに、スパッタリングターゲットに対向し、かつ、70mmの間隔を設けて、該ターゲットと平行に配置した縦:30mm、横:30mmの四角形状のガラス基板(コーニング社製イーグルXG)上に、表1に示される成分組成を有する実施例1乃至10及び比較例1乃至4のAg合金導電膜、さらには、純Agによる従来例のAg導電膜を形成した。なお、これらの導電体膜の厚さは、100nmである。
これら形成された各導電膜の成分組成は、表1に示される。なお、膜の組成は、別途1μmの厚さで成膜した膜を用いて、電子線マイクロプローブアナライザ(EPMA)により分析し、その定量分析値により決定した。
なお、定量分析値を確認したが、ターゲット組成から大きなずれは見られなかった。
以上の様にして形成した導電膜のそれぞれについて、表面Sb酸化物の確認、比抵抗測定、耐熱性評価、耐塩化性及び耐硫化性評価を行った。以下に、これらについて説明する。
<膜の比抵抗測定>
表1に示される成分組成を有する各導電膜について、それらのシート抵抗を四探針法により測定し、膜厚を乗じて比抵抗値を求めた。その結果が表1に示される。
<表面Sb酸化膜の確認>
XPS(分光法)の深さ方向分析にて、酸素及びSbの深さ方向分布を調べ、膜表面でのSb酸化物の形成の有無を確認した。
<膜の耐熱性評価>
実施例1乃至10、比較例1乃至4、および従来例の各導電膜の試料を作製した直後、即ち、成膜直後のアズデポ状態(as depo.状態)の膜表面について、原子間力顕微鏡(AFM)のDFMモード、1μm角の視野にて、表面の凹凸像を測定し、膜表面の表面粗さ(Ra)を求めた。その結果が表1に示されている。
次に、この試料について、窒素雰囲気中、250℃、1時間の熱処理を行った後、再びAFMにより、同様にRaを測定した。その結果が表1に示されている。
なお、表1に示された熱処理前後における表面粗さ変化率(%)については、
[{(熱処理後のRa)−(熱処理前のRa)}/(熱処理前のRa)]×100
の式により求めた。この変化率の値が、耐熱性の指標となり、この値が小さい程、耐熱性が高いことを表している。
<膜の耐塩化性評価>
実施例1乃至10、比較例1乃至4及び従来例の各導電膜の試料を作製した直後、即ち、成膜直後のアズデポ状態(as depo.状態)の膜表面について、分光光度計にて、波長550nmの可視光を用いて、反射率を測定した。その結果が表1に示されている。
次に、これらの導電膜の試料を、室温で、5%NaCl水溶液中に12時間浸漬し、水溶液から取り出して純水で十分に洗浄した後、乾燥空気を噴射して水分を取り除いた。これらの試料について、波長550nmの可視光を用いて、再度、分光光度計により反射率を測定した。その結果が表1に示されている。
なお、これらの測定結果に基づいて、表1に示されたNaCl水溶液の浸漬後における反射率の低下率については、
[{(NaCl水溶液浸漬後の反射率)−(NaCl水溶液浸漬前の反射率)}/(NaCl水溶液浸漬前の反射率)]×100
の式により求めた。この低下率の値が、耐塩化性の指標となり、この値が小さい程、耐塩化性が高いことを表している。
<膜の耐硫化性評価>
前記耐塩化性評価の場合と同様にして、各導電体膜のアズデポ状態(as depo.状態)の膜表面について、分光光度計にて、可視光(波長550nm)の反射率を測定した後、この導電体膜試料を、室温で、0.01%NaSの水溶液中に1時間浸漬し、水溶液から取り出して純水で十分に洗浄した後、乾燥空気を噴射して水分を取り除いた。これらの試料について、可視光(波長550nm)により、再度、分光光度計により反射率を測定した。その結果が表1に示されている。
なお、これらの測定結果に基づいて、表1に示されたNaS水溶液の浸漬後における反射率の低下率については、
[{(NaS水溶液浸漬後の反射率)−(NaS水溶液浸漬前の反射率)}/(NaS水溶液浸漬前の反射率)]×100
の式により求めた。この低下率の値が、耐硫化性の指標となり、この値が小さい程、耐硫化性が高いことを表している。

上記の表1に示されるように、実施例1乃至10の導電膜は、比抵抗に関しては、純Agによる従来例の導電膜には及ばないものの、導電膜としての実用には充分であり、遜色ない結果が得られている。一方、熱処理後における表面粗さ変化率では、実施例1乃至10の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、格段に低下しており、耐熱性が向上したことを示している。また、塩水浸漬後及びNaS水溶液浸漬後における反射率低下率をみると、実施例1乃至10の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、それぞれの低下率の値が低下しており、耐塩化性及び耐硫化性がともに向上したことを示している。
なお、表1における比較例1乃至4の導電膜は、本発明のAg−Sb−Al合金導電膜におけるSb又はAlの添加範囲外の添加量を含むものであって、比較例1の導電膜では、Sbの添加量が、0.05at%と少ないため、表面粗さ変化率において改善が見られず、耐熱性が向上しなかったことを示している。また、比較例2、4の導電膜では、添加量が、多いため、比抵抗が高くなることを示しており、比較例3の導電膜では、塩水浸漬後の反射率の低下率の値が大きくなり、耐塩化性において、改善が見られず、耐塩化性が向上しなかった。
〔第2の実施形態〕
第2の実施形態のAg合金導電膜は、AgにSbとMnとを添加したAg−Sb−Mn合金の場合である。以下に、第2の実施形態のAg合金導電膜について説明する。なお、第2の実施形態には、AgにSbとMn及びAlとを添加したAg−Sb−Mn−Al合金の場合も含まれる。
先ず、原料として、純度:99.99原子%以上のAg塊と、純度:99.9原子%以上のSb塊と、純度:99.99原子%以上のMn塊及びAl塊とを用意した。前記Ag塊を高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、次いで、このAg溶湯に、以下の表2に示されるように秤量されたSb塊及びMn塊及びAl塊を添加して溶解し、鋳造することによりインゴットを作製した。第1の実施形態と同様にして、得られたインゴットから、直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有する参考例11乃至20と実施例21、22のスパッタリングターゲットを作製した。
次に、参考例11乃至20と実施例21、22及び比較例5乃至8のスパッタリングターゲットを用いて、ガラス基板上にスパッタリングすることで、参考例11乃至20と実施例21、22及び比較例5乃至8のAg合金導電膜を形成した。また、比較のため、第1の実施形態の場合と同様に、従来例のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることで、純Agによる従来例の導電膜も形成した。
以上の様にして形成した導電膜のそれぞれについて、第1の実施形態で述べた比抵抗測定、耐熱性評価、耐塩化性評価及び耐硫化性評価の手法を用いて、測定評価を行った。その結果については、以下の表2に示されている。

上記の表2に示されるように、実施例21、22の導電膜は、比抵抗に関しては、純Agによる従来例の導電膜には及ばないものの、導電膜としての実用には充分であり、遜色ない結果が得られている。一方、熱処理後における表面粗さ変化率では、実施例21、22の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、格段に低下しており、耐熱性が向上したことを示している。また、塩水浸漬後及びNaS水溶液浸漬後における反射率低下率をみると、実施例21、22の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、それぞれの低下率の値が低下しており、耐塩化性及び耐硫化性がともに向上したことを示している。
〔第3の実施形態〕
第3の実施形態のAg合金導電膜は、AgにSbとAlと(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)のいずれか1種以上とを添加したAg−Sb−Al−(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合である。以下に、第3の実施形態のAg合金導電膜について説明する。
先ず、原料として、純度:99.99原子%以上のAg塊と、純度:99.9原子%以上のSb塊と、純度:99.99原子%以上のAl塊と,純度:99.99原子%以上のIn、Sn、Mg、Cu、Zn及びGeのうち1種又は2種以上の塊とを用意した。前記Ag塊を高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、このAg溶湯に、表3に示されるように秤量されたSb塊と、Al塊と、さらに、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうち1種又は2種以上の塊を添加して溶解し鋳造することによりインゴットを作製した。第1の実施形態の場合と同様に、得られたインゴットから、直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有する実施例23乃至36のスパッタリングターゲット及び比較例9及び10のスパッタリングターゲットを作製した。
次に、実施例23乃至36のスパッタリングターゲットを用いて、ガラス基板上にスパッタリングすることで、実施例23至36のAg合金導電膜を形成した。また、同様に、比較例9及び10のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることで、比較例9及び10のAg合金導電膜を形成した。さらに、従来例のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることで、純Agによる従来例の導電膜も形成した。

以上の様にして形成した導電膜のそれぞれについて、第1の実施形態で述べた比抵抗測定、耐熱性評価、耐塩化性評価及び耐硫化性評価の手法を用いて、測定評価を行った。その結果については、以下の表4に示されている。

上記の表4に示されるように、実施例23乃至36の導電膜は、比抵抗に関しては、純Agによる従来例の導電膜には及ばないものの、導電膜としての実用には充分であり、遜色ない結果が得られている。一方、熱処理後における表面粗さ変化率では、実施例23乃至36の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、格段に低下しており、耐熱性が向上したことを示している。また、塩水浸漬後及びNaS水溶液浸漬後における反射率低下率をみると、実施例23乃至36の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、それぞれの低下率の値が低下しており、耐塩化性及び耐硫化性がともに向上したことを示している。
なお、表4における比較例9の導電膜では、Ag合金に、Inが1.7at%含有し、同じく比較例10の導電膜では、Ag合金に、SnとCuの合計で1.7at%含有しており、比較例9及び10の導電膜は、本発明のAg合金導電膜における添加範囲外の添加量を含むものであって、比較例9及び10の導電膜では、添加量が多いために、比抵抗が高くなってしまう。
〔第4の実施形態〕
第4の実施形態のAg合金導電膜は、AgにSbとMnと(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)のいずれか1種以上とを添加したAg−Sb−Mn−(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合である。以下に、第4の実施形態のAg合金導電膜について説明する。
先ず、原料として、純度:99.99原子%以上のAg塊と、純度:99.9原子%以上のSb塊と、純度:99.99原子%以上のMn塊と,純度:99.99原子%以上のIn、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうち1種又は2種以上の塊とを用意した。前記Ag塊を高周波真空溶解炉で溶解してAg溶湯を作製し、このAg溶湯に、表5に示されるように秤量されたSb塊と、Mn塊と、さらに、In、Sn、Mg、Cu、Zn及び、Ge及びPdのうち1種又は2種以上の塊を添加して溶解し鋳造することによりインゴットを作製した。第1の実施形態の場合と同様にして、得られたインゴットから、直径:152.4mm、厚さ:6mmの寸法を有する実施例37、39乃至50、参考例38及び比較例11、12のスパッタリングターゲットを作製した。
次に、実施例37、39乃至50、参考例38及び比較例11、12のスパッタリングターゲットを用いて、ガラス基板上にスパッタリングすることで、実施例37、39乃至50、参考例38及び比較例11、12のAg合金導電膜を形成した。比較のため、従来例のスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングすることで、純Agによる従来例の導電膜も形成した。

以上の様にして形成した導電膜のそれぞれについて、第1の実施形態で述べた比抵抗測定、耐熱性評価、耐塩化性評価及び耐硫化性評価の手法を用いて、測定評価を行った。その結果については、以下の表6に示されている。

上記の表6に示されるように、実施例37、39乃至50の導電膜は、比抵抗に関しては、純Agによる従来例の導電膜には及ばないものの、導電膜としての実用には充分であり、遜色ない結果が得られている。一方、熱処理後における表面粗さ変化率では、実施例37、39乃至50の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、格段に低下しており、耐熱性が向上したことを示している。また、塩水浸漬後及びNaS水溶液浸漬後における反射率低下率をみると、実施例37、39乃至50の導電膜は、従来例の導電膜に比較して、それぞれの低下率の値が低下しており、耐塩化性及び耐硫化性がともに向上したことを示している。

以上の様に、本発明のAg合金導電膜について、第1の実施形態〔Ag−Sb−Al合金の場合〕、第2の実施形態〔Ag−Sb−Mn合金の場合〕、第3の実施形態〔Ag−Sb−Al−(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合〕、第4の実施形態〔Ag−Sb−Mn―(In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge、Pd)合金の場合〕に分けて具体的に説明したが、いずれの実施形態による本発明のAg合金導電膜について、耐熱性、耐塩水性、耐硫化性に優れた耐性を有することが確認できた。

Claims (4)

  1. Sb:0.1〜3.5at%と、Al:0.03〜1.0at%又はAl及びMnの2種:0.03〜1.0at%とを含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成成分を有するAg合金膜であって、
    前記Ag合金膜の表面に、Sb酸化物が形成されていることを特徴とするAg合金導電膜。
  2. 前記Ag合金膜は、In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上を、合計で、0.1〜1.5at%含有することを特徴とする請求項1に記載のAg合金導電膜。
  3. Sb:0.1〜3.5at%と、Al:0.03〜1.0at%又はAl及びMnの2種:0.03〜1.0at%とを含有し、残部がAg及び不可避不純物からなる組成成分を有するAg合金膜形成用スパッタリングターゲット。
  4. In、Sn、Mg、Cu、Zn、Ge及びPdのうちから選択された1種以上が、合計で、0.1〜1.5at%含有していることを特徴とする請求項3に記載のAg合金膜形成用スパッタリングターゲット。
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