JP4418497B2 - オーバーヘッド型車両用空調ユニット - Google Patents
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Description
図14及び図15は、セダン型乗用車に設置されたオーバーヘッド型車両用空調ユニット(以下、リヤ空調ユニットと呼ぶ)の例を示しており、図中の符号1がリヤ空調ユニットである。この場合、コンプレッサで圧縮された高温高圧の冷媒は、コンデンサによって冷却され、リヤ空調ユニット1及び図示省略のフロント空調ユニットに供給される。
また、このリヤ空調ユニット1は、図16及び図17に示すように、車室内への突出量を極力小さくするため、ルーフパネル4の車室側に設けられる車幅方向の補強部材5,5の間に納めるなどの工夫がなされている。これは、限られた条件の下で乗員の頭上空間をできるだけ広く確保して、快適な車室内空間を提供することを主な目的としたものである。
このリヤ空調ユニット1は、ケーシング6内に、冷房用の熱交換器であるエバポレータ7と、車室内の空気(内気)を吸引してエバポレータ7を通し、熱交換した空調空気を車室内へ吹き出す送風機8とを備えている。なお、図中の符号9は吸込口、10は吹出口である。
このような空調ユニット1においては、ケーシング6が上下(6a,6b)に2分割され、送風機8としては、図19に示すようにクロスフローファン8Aのユニット組み込んだものと、図20に示すようにシロッコファン8Bのユニットを組み込んだものとがある。
図21及び図22は従来のドレン水処理を説明するための図で、図21(a)は下部ケーシング6bの熱交換器設置面を示す平面図、図21(b)は下部ケーシング6bの正面図である。この場合、基本的にはドレン水を両サイドに設けた排水口11に導き、同排水口11に接続されるドレンホース(図示省略)を通して車外へと排水する。従って、下部ケーシング6bは、図21(b)に示すように、中央部が最も高くかつ両サイドが最も低くなるように凸状に湾曲した形状となっている。なお、下部ケーシング6bは、ドレンパンとして機能する車両前方側の熱交換器設置面と、車両後方側の送風機設置面とが一体の構成となっている。
なお、図中の符号22は、断熱及びエバポレータ7の保護を目的として、下部ケース6aとエバポレータ7との間に設置するインシュレーション部材である。
なおまた、最前端に位置するリブ12はケーシング6の前面の一部を構成し、同リブ12の上方には吸込口9が開口している。
しかしながら、従来のリヤ空調ユニット1では、ケーシング6内に組み込む送風機8自体が専用のケーシング8a(図18参照)を備えたものであるため、その分のスペースが必要となって小型化を阻む要因になっていた。
しかし、上述したように設置位置の問題からリヤ空調ユニット1の厚さが制限されるため、リブ12を高くするとその分吸込口9の開口面積が影響を受けて減少するので、通気抵抗が大きくなるという問題が生じてくる。このような通気抵抗の増大は、リヤ空調ユニット1の運転騒音を増加させ、さらに、送風機8の動力消費をも増すことになる。
請求項1に係るオーバーヘッド型車両用空調ユニットは、空調ケーシング内に冷房用の熱交換器と送風機とが組み込まれ、車室内の天井部に設置して使用するオーバーヘッド型車両用空調ユニットであって、前記空調ケーシングの熱交換器設置面に、前記空調ケーシングの前端壁により形成された第1のリブと、前記熱交換器の前後でそれぞれが車幅方向に延びる第2及び第3リブと、前記熱交換器設置面と後方の送風機設置面との間を仕切る第4のリブとを設けて、前記第1のリブと前記第2のリブとの間の第1の排水流路、前記第2のリブと前記熱交換器前面との間の第2の排水流路、前記熱交換器後面と前記第3のリブとの間の第3の排水流路、及び前記第3のリブと前記第4のリブとの間の第4の排水流路を形成して熱交換器ドレン水を両サイドの排水口に導くと共に、前記第2のリブは、両サイドで前記第1のリブに接近し中央部で離間するように湾曲して設けられ、前記空調ユニットの吸込口に近い前記第1の排水流路に流路巾を狭める車幅方向に直線状に仕切リブを設けたことを特徴とするものである。この場合、前記熱交換器がインシュレーション部材を介して前記空調ケーシングの熱交換器設置面上に設置され、前記インシュレーション部材端面と前記壁前記第2のリブ及び前記第3のリブとの間に隙間を設けて前記第2の排水流路及び前記第3の排水流路を形成するのが好ましく、好適には、前記第2のリブが、両サイドで前記第1のリブに接近し中央部で離間するよう湾曲して設けられ、前記仕切リブを前記第1流路の中央部に配設するとよい。
(1) 排水流路に仕切リブを設けて流路巾を狭めたので、慣性力により移動するドレン水が加速されてリブを飛び越すように流出するのを防止できる。これを吸込口に近い第1排水流路に適用すれば、下部ケーシングを薄くしてリヤ空調ユニットの小型化が可能となり、また、吸込口を大きくして運転騒音や消費動力を低減させることもできる。
(2) リヤ空調ユニットが薄くなって小型化されたので、車室内の高さを大きくとれないセダン型乗用車に設置しても良好な車室内空間を提供できる。
図1及び図2において、符号の7はエバポレータ(熱交換器)、8Aはクロスフローファン(送風機)、30はオーバーヘッド型空調ユニット(以下、リヤ空調ユニットと呼ぶ)、31は空調ケーシング、32は吸込口、33は吹出口、34は排水口、40は上下に2分割された空調ケーシング31の上部ケーシング、50は下部ケーシングである。
このリヤ空調ユニット30は、空調ケーシング31内にエバポレータ7及びクロスフローファン8Aが組み込まれており、クロスフローファン8Aの作動によって車両前方の吸込口32から内気を吸引し、エバポレータ7を通過して後述する冷媒系から供給される冷媒と熱交換した後、車両後方の吹出口33から空調空気を車室内に吹き出す冷房機能を有している。
ここで、車両前方とは車両前進方向における車体の前部のことをいい、車両後方とは車体の後部のことをいう。
図3の平面図において、下部ケーシング50は、車体前方側の熱交換器設置面51と、車体後方側の送風機設置面52とにより構成される。
一方の熱交換器設置面51は、インシュレーション部材64を介してエバポレータ7を設置する領域であり、エバポレータ7より排出されるドレン水の排水処理をするドレンパンとしての機能を有している。この場合においても、両サイドに設けられた排水口34から排水するため、図4に示す正面図(車両後方から見た図)のように、熱交換器設置面51は車幅方向における中央部が最も高くなるように凸状に湾曲している。
そして、図中の符号62,63は、熱交換器設置面51の両サイドに流れてきたドレン水を前後に配設された各排水口34へ導く車両前後方向の導水リブであり、ドレン水をスムーズに導くことができるようにしてある。なお、上述した第2リブ54及び第3リブ55の両端は、いずれも第1リブ53,第4リブ56及び導水リブ62,63との接続はなく、排水口34へ通じる流路となる開口部が形成されている。
この上部ケーシング40も、上述した下部ケーシング50と同様に、熱交換器設置領域41と、送風機設置領域42とにより構成される。一方の熱交換器設置領域41は、下部ケーシング50の熱交換器設置面51上に設置されたエバポレータ7を上から抑え込んで支持する機能を有している。また、送風機設置領域42には、下部ケーシング50の送風機設置面52に設けられたスタビライザ65と共に、クロスフローファン8Aのケーシングを形成するファンケーシング部43が一体に成形されている。
コンプレッサ81は、エバポレータ7で車室内の熱を奪って気化した低温低圧のガス冷媒を圧縮し、高温高圧のガス冷媒としてコンデンサ82へ送り出すものである。自動車用空気調和装置の場合、コンプレッサ81は、通常エンジンよりベルト及びクラッチを介して駆動力を受ける。
コンデンサ82は、通常エンジンルームの前部に配設され、コンプレッサ81から供給された高温高圧のガス冷媒を外気で冷却し、ガス状の冷媒を凝縮液化させるものである。リヤ空調ユニット30の場合、フロント空調ユニットとは別に専用のコンデンサを備えることもある。
こうして液化された冷媒は、図示省略のレシーバへ送られて気液の分離がなされた後、高温高圧の液冷媒として膨張弁83に送られる。この膨張弁83では、高温高圧の液冷媒を減圧及び膨張させることによって低温低圧の液(霧状)冷媒とし、エバポレータ7へ供給する。
なお、符号の84は空調装置における温度設定や送風量などの制御を行う制御部である。
上述したように、本発明では空調ケーシング31にクロスフローファン8Aのケーシングを一体成型してあるが、これによりクロスフローファン8Aのケーシングが不要となり、部品点数の低減及び型等の準備費低減によるコストの低減に加えて、ユニットの軽量化が可能となる。クロスフローファン8Aのケーシングが不要になると、リヤ空調ユニット30の厚みを5〜8mm程度薄くできる。また、本発明では送風機としてクロスフローファン8Aを採用しているが、このことはリヤ空調ユニット30を薄くして小型化するには有利である。なお、クロスフローファン8Aには、運転時の騒音が低いというメリットもある。
この結果、第1排水流路57は前流路57aと後流路57bとに分割され、前後方向のドレン水の移動は狭い巾の範囲で行われることになる。このため、ドレン水の移動が加速されるのを抑制でき、ドレン水が流出しにくくなるので、その前方に位置している第1リブ53の高さを低く設定することが可能となる。従って、第1リブ53を低くした分だけリヤ空調ユニット30を薄くして小型化することが可能になり、また、第1リブ53を低くした分だけ吸込口32を大きくすることにも利用できる。
なお、このような仕切リブ61は、他の排水流路にも応用可能であり、例えば第4排水流路が広くなる場合に適用して送風機領域52にドレン水が飛び越えて流入しないようにしたり、あるいは、前後方向だけでなく車幅方向のドレン水移動に対して適用してもよい。
なお、上述したドレン水排水流路の工夫により、リヤ空調ユニット30の厚さを概ね30mm程度低減できると見込まれる。
(1) 送風機としてクロスフローファンを採用し、クロスフローファンのケーシングを空調ケーシングと一体に成形する構成としたので、部品点数の低減、型などの準備費低減が可能となってコスト削減に効果を奏する。また、ケーシングの一体化は、リヤ空調ユニットの軽量化、組立の簡素化にも有効である。
(2) 上述したケーシングの一体化により、クロスフローファンのケーシングがなくなった分だけスペースの節約ができるので、リヤ空調ユニットを薄くして小型化することが可能になる。
(3) インシュレーション部材と前後のリブとで排水流路を形成することにより、インシュレーション部材の厚さ分だけ排水流路が深くなるので、リブの高さを低くすることができる。従って、リブが低くなる分だけリヤ空調ユニットを薄くして小型化することが可能になる。
31 空調ケーシング
32 吸込口
33 吹出口
34 排水口
40 上部ケーシング
41 熱交換器設置領域
42 送風機設置領域
43 ファンケーシング部
50 下部ケーシング
51 熱交換器設置面
52 送風機設置面
53 第1リブ
54 第2リブ
55 第3リブ
56 第4リブ
57 第1排水流路
57a 前流路
57b 後流路
58 第2排水流路
59 第3排水流路
60 第4排水流路
61 仕切リブ
62,63 導水リブ
Claims (3)
- 空調ケーシング内に冷房用の熱交換器と送風機とが組み込まれ、車室内の天井部に設置して使用するオーバーヘッド型車両用空調ユニットであって、
前記空調ケーシングの熱交換器設置面に、前記空調ケーシングの前端壁により形成された第1のリブと、前記熱交換器の前後でそれぞれが車幅方向に延びる第2及び第3リブと、前記熱交換器設置面と後方の送風機設置面との間を仕切る第4のリブとを設けて、前記第1のリブと前記第2のリブとの間の第1の排水流路、前記第2のリブと前記熱交換器前面との間の第2の排水流路、前記熱交換器後面と前記第3のリブとの間の第3の排水流路、及び前記第3のリブと前記第4のリブとの間の第4の排水流路を形成して熱交換器ドレン水を両サイドの排水口に導くと共に、
前記第2のリブは、両サイドで前記第1のリブに接近し中央部で離間するように湾曲して設けられ、
前記空調ユニットの吸込口に近い前記第1の排水流路に流路巾を狭める車幅方向に直線状に仕切リブを設けたことを特徴とするオーバーヘッド型車両用空調ユニット。 - 前記熱交換器がインシュレーション部材を介して前記空調ケーシングの熱交換器設置面上に設置され、前記インシュレーション部材端面と前記第2のリブ及び前記第3のリブとの間に隙間を設けて前記第2の排水流路及び前記第3の排水流路を形成したことを特徴とする請求項1に記載のオーバーヘッド型車両用空調ユニット。
- 前記第2のリブが、両サイドで前記第1のリブに接近し中央部で離間するよう湾曲して設けられ、前記仕切リブを前記第1の排水流路の中央部に配設したことを特徴とする請求項1または2に記載のオーバーヘッド型車両用空調ユニット。
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