JP4418039B2 - 新規ジナフトフランキノン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、新規ジナフトフランキノン誘導体及びこれを有効成分として含有することを特徴とする抗かゆみ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、生活環境や生活習慣の変化に伴い、人間は様々な外的物質にさらされるようになった。例えば、工場の煙、自動車の排気ガス、ハウスダスト、家ダニ、各種食品添加物あるいは化学物質を含んだ洗剤などは、生活水準の向上と共に発生してきた現代社会の産物といえる。一方、これらの外的物質から体を守ろうとして、ヒトの生体内では抗原抗体反応が頻繁に起こるようになり、それが様々なアレルギー疾患を起こす大きな要因になっている。アレルギーは、ヒトが外的物質から生体を守ろうとする抗原抗体反応の中で、結果的に病的症状を伴うものであり、あまりにも増大した外的物質に対応しきれなくなったために引き起こされた現代病といえる。
【0003】
一方、アレルギー疾患の1つであるアトピー性皮膚炎は、発赤、湿疹から重篤なかゆみを伴う疾病であり、これらの症状は長年にわたる慢性的なもので、一度回復しても何らかの原因でまた再発を繰り返すという厄介な病気である。更に、アトピー性皮膚炎は近年増加傾向にあり、現在日本では成人の20人に1人、子供の5人に1人がアトピー患者といわれ、乳幼児から成人まで幅広く分布する現代病として大きな社会問題となっている。
【0004】
アトピー性皮膚炎によるかゆみは持続的で、人によっては全身に及び、睡眠等の日常生活をも妨げるほどその症状は重篤なものである。従って、かゆみに伴う掻行動(掻く、ひっかく)による症状の悪化を防ぐためにも、アトピー性皮膚炎患者にとっては、いち早いかゆみの軽減が必要となる。
【0005】
現在、抗かゆみ剤としては、アレルギー反応により生体内の肥満細胞から放出(脱顆粒)されるケミカルメディエーター(化学伝達物質)の1つで、かゆみの原因物質であるヒスタミンの拮抗薬、すなわち、抗ヒスタミン剤が一般的に使用されている。
【0006】
抗ヒスタミン剤としては、第1世代としてジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなどが、また、第2世代としてメキタジン、テルフェナジンなどが用いられる。また、ヒスタミンを含むケミカルメディエーターの遊離抑制剤であるフマル酸ケトチフェン、オキサトミド、クロモグリク酸ナトリウムなどが、抗アレルギー剤として使用される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記抗ヒスタミン剤は、その中枢鎮静作用による眠気、ふらつきや抗コリン作用による口渇、胃障害などの副作用が強く問題が多い。また、上記抗アレルギー剤にあっても、抗ヒスタミン剤同様、眠気、胃障害等の副作用に注意しなければならない。更に、これら抗ヒスタミン剤あるいは抗アレルギー剤においては、その抗かゆみ作用に限って見た場合、必ずしも満足できる効果とはいえないのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点に鑑み、本発明者らは、副作用の少ない天然素材を種々検索し、四国地方において古くからかゆみ止めの民間薬として使用されてきたホウセンカ(Impatiens Balsamina L.)に着目した。ホウセンカ抽出物及びその成分については、本発明者らの研究により種々の薬理効果が確認されている。すなわち、ホウセンカ白色花弁の抽出物及びその単離成分には、抗アナフィラキシー作用があることが(Phytotherapy Res., 11, 48-50(1997). 参照のこと)、また、全草の抽出物及びその単離成分には、テストステロン5α−リダクターゼ阻害作用があることが(特願平9−356766号)確認されている。
【0009】
更に、本発明者らは、ホウセンカ抽出物の抗アレルギー作用を指標として、その薬理効果につき様々な研究を進めた結果、ホウセンカのアルコール抽出物から新たに2種類の新規化合物を単離し、その抗かゆみ効果を確認して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、抗かゆみ効果を有する下記一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体を提供するものである。
【0011】
【化2】
【0012】
〔式中、Rは、水素原子又はβ−D−グルコシル基を表す。〕
また、本発明は、上記一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体を有効成分として含有することを特徴とする抗かゆみ剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の新規ジナフトフランキノン誘導体(以下「本発明物質」という)は、ホウセンカから抽出、単離することができる。ホウセンカの起源は、わが国を含むアジア各国に自生するツリフネソウ科の一年草で、インパティエンス バルサミナ(Impatiens Balsamina L.)の学名を持つ植物である。本発明物質は、該ホウセンカを溶剤により抽出した抽出物から、通常用いられる分離、精製手段によって単離することができる。
【0014】
ホウセンカ抽出物は、例えば、ホウセンカの全草、あるいは、葉、茎、果皮、花弁のうち何れか1ヶ所以上(以下、「原体」という)を乾燥又は乾燥せずに裁断した後、常温もしくは加温下で溶剤により抽出することにより得られる。
【0015】
ここで用いられる溶剤としては、水、有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられる。これらの有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール等の低級アルコール類、または、これら低級アルコール類と水の混合液(低級アルコール類濃度10〜90V/V %、好ましくは20〜70V/V %)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、または、これらケトン類と水との混合液(ケトン類濃度10〜90V/V %、好ましくは20〜70V/V %)、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、石油エーテル等の炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、及びこれらの混合物などが挙げられる。
【0016】
原体からの好ましい抽出方法の具体例としては、原体を裁断した後、適当な有機溶媒(好ましくは、低級アルコール類、含水低級アルコール類、ケトン類、含水ケトン類、炭化水素類、または、エステル類)で抽出し、溶媒を留去する方法、あるいは、原体を裁断した後、無水あるいは含水低級アルコール等の溶媒で抽出し、次いで抽出物を酢酸エチル、ブタノール等の水と混和しない溶媒と水を用いる液- 液抽出に付し、更に有機層または水層から溶媒を留去する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。尚、本発明物質の効率的抽出には、原体としてホウセンカの全草、好ましくは果皮を用い、原体と溶剤の抽出比率が1〜80W/V %、好ましくは10〜60W/V %であるのが好適である。
【0017】
次いで、本発明物質の単離方法の具体例としては、前記何れかの抽出方法、好ましくは含水低級アルコール(好ましくは含水メタノール、含水エタノール)、親水性有機溶剤(好ましくはメタノール、エタノール、アセトン)、疎水性有機溶剤(好ましくはブタノール、酢酸エチル、クロロホルム)の中から選ばれる1種以上により得られた当該抽出物から、更に適当な分離精製手段、好ましくは薄層クロマトグラフ法、カラムクロマトグラフ法、高速液体クロマトグラフ法または再結晶等を繰り返し行うことにより単離、精製され得る。
【0018】
本発明物質である前記一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体は、本発明者らによりバルサミノンA(式(I)中のRが水素原子のもの)(Balsaminone A,化学名:5-Hydroxy-6-methoxy-dinaphtho[1,2-b:2',3'-d]furan-7,12-dione) 及びバルサミノンB(式(I)中のRがβ−D−グルコシル基のもの)(Balsaminone B,化学名:5-β-D-Glucosyloxy-6-methoxy-dinaphtho[1,2-b:2',3'-d]furan-7,12-dione)と命名された。
【0019】
本発明物質の基本構造であるジナフトフランキノン骨格を有する化合物としては、天然物由来では、キリ(Paulownia tomentosa) の成分としてバルサミノンAの6位置換基がメトキシカルボニル基である物質が確認されているが(Arch. Pharm. Res.,15(1), 52-57(1992). 参照のこと)、本発明物質であるバルサミノンA及びBは、これまで全く報告されていない新規物質であり、その抗かゆみ効果は、本発明者らが初めて見出した有用な薬理作用である。
【0020】
かくして得られる本発明の一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体は、いずれも優れた抗かゆみ作用を有しており、その応用としては、アトピー性皮膚炎を始めとする各種アレルギー疾患により起こるかゆみ症状の軽減を目的とした内服剤あるいは外用剤の医薬品、医薬部外品、化粧品または健康食品として投与することにより、その予防または治療に用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。。
【0021】
また、本発明物質であるバルサミノンA及びBは、通常成人一人当たり1日の使用量として、外用剤の場合であれば0.1mg 〜500mg 、好ましくは1mg 〜50mg、内服剤の場合であれば0.01〜100mg 、好ましくは0.1mg 〜50mg配合することができる。但し、投与量は年令、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により変動するので、上記投与範囲より少ない量で十分の場合もあるし、また範囲を越えて投与する必要のある場合もある。
【0022】
本発明の一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体を有効成分として含有する抗かゆみ剤の剤形は、特に限定されるものではなく、例えば、外用剤であれば軟膏、ローション、クリーム、ジェル、乳液等の通常皮膚用として用いられるものが、また、内服剤であれば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤等の通常の経口剤あるいは注射剤とすることもできる。
【0023】
本発明の一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体を有効成分として含有する抗かゆみ剤には、上記必須成分である一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体の他に、必要に応じ、本発明の効果を損なわない範囲で、外用剤の場合であれば、通常適用される炭化水素類、ロウ類、油脂類、高級脂肪酸、低級あるいは高級アルコール、界面活性剤、香料、色素、防腐剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、また、経口用製剤であれば、適当な賦形剤、例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤等を添加することができる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例として本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0025】
抽出例
ホウセンカの未乾燥果皮(果皮中の種子は除く)(404g)をメタノール(4リットル)に漬け込み、3日間浸出した後果皮をろ別し、得られるメタノール抽出液を約2リットルまで減圧下濃縮した。次いで、析出した結晶物をろ取し、一方ろ液は減圧下溶媒留去した。
【0026】
実施例1(バルサミノンAの単離及び構造決定)
抽出例においてろ取した析出物(3.6g)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより3回分離精製(展開溶媒:(1回目)クロロホルム、(2回目、3回目)メタノール/クロロホルム=1/100 )した後、ピリジン/エタノール混液にて再結晶して、赤色針状晶の化合物(12mg)を得た。
得られた化合物の理化学的性質を以下に示す。
【0027】
mp>300 ℃(pyridine-EtOH)
EI-MS:m/z 344 [M]+
IR(KBr) :3450(br,OH), 1665, 1640, 1583 cm-1
UV(MeOH):205, 222, 267, 330(sh), 475 nm
1H-NMR(CDCl3) δ:4.09(3H, s), 6.33(1H, s), 7.67(2H, m), 7.80(2H, m), 8.30(2H, m), 8.34(1H, m), 8.48(1H, m).
13C-NMR(CDCl3)δ:63.4, 114.6, 118.9, 121.2, 123.1, 125.0, 125.6, 126.7,127.1, 127.4, 127.8, 132.3, 133.7, 133.8, 134.2, 134.7, 142.8, 148.8, 153.1, 174.6, 180.2.
以上の分析結果から、本実施例で単離された化合物は下記式 (Ia)で表されるジナフトフランキノン誘導体であると推定した。
【0028】
【化3】
【0029】
次に、本実施例で得られた化合物が上記式 (Ia)の構造であることを確認するため、2次元NMR/HMBC(1H-13C シフト相関) スペクトルを測定した結果、下記式(ア)に示す水素原子と炭素原子の間(矢印)に相関が観測された。
【0030】
【化4】
【0031】
更に、本化合物の一部をアセチル化して得られたアセトキシ体の2次元NMR/NOESY(1H NOE相関) スペクトルを測定した結果、下記式(イ)に示す水素原子間(両矢印)に相関が観測された。また、アセトキシ体の13C-NMR スペクトルを測定した結果、同じく下記式(イ)に示す炭素のシグナルに顕著なシフト(Δ+は低磁場シフト、Δ−は高磁場シフトを表し、単位はppm )が観測されたことから、本化合物のヒドロキシ基はジナフトフランキノン骨格の5位に、また、メトキシ基はジナフトフランキノン骨格の6位に置換されているものと決定した。
【0032】
【化5】
【0033】
以上の結果より、本実施例で得られた化合物は、上記式 (Ia)で表されるジナフトフランキノン誘導体(バルサミノンA)であると構造決定した。
【0034】
以下に、構造決定されたバルサミノンAの1H及び13C-NMR スペクトルの帰属を示す。
【0035】
【化6】
【0036】
1H-NMR(CDCl3) δ:4.09(3H, s, -OCH3), 6.33(1H, s, -OH), 7.67(2H, m, 2,3),7.80(2H, m, 9,10), 8.30(2H, m, 8,11), 8.34(1H, m, 4), 8.48(1H, m, 1).
13C-NMR(CDCl3)δ:63.4(-OCH3), 114.6(6a), 118.9(6b), 121.2(1), 123.1(4),125.0(13b), 125.6(4a), 126.7(11), 127.1(3), 127.4(8), 127.8(2), 132.3(11a), 133.7(7a), 133.8(10), 134.2(9), 134.7(6), 142.8(5), 148.8(13a), 153.1(12a), 174.6(7), 180.2(12).。
【0037】
実施例2(バルサミノンBの単離及び構造決定)
抽出例においてろ液を減圧下溶媒留去して得られた残渣(810mg)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2回分離精製(展開溶媒:(1回目)メタノール/クロロホルム=1/9、(2回目)メタノール/クロロホルム=1/7)した後、ピリジン/エタノール混液にて再結晶して、オレンジ色針状晶の化合物(4.5mg )を得た。
得られた化合物の理化学的性質を以下に示す。
【0038】
mp>300 ℃(pyridine-EtOH)
FAB-MS:m/z 507 [M+1]+ , EI-MS :m/z 344 [M-glc]+
IR(KBr) :3500-3000(br,OH), 1670, 1650, 1630 cm-1
UV(MeOH):205, 264, 325(sh), 427 nm
1H-NMR(d5-pyridine) δ:3.93(1H, m), 4.27,4.39(1H, m), 4.39(2H, m), 4.47(3H, s), 4.51(1H, m), 6.05(1H, d, J=7.7Hz), 7.58(2H, m), 7.72(2H, m), 8.30(1H, br d, J=8.1Hz), 8.34(2H, m), 9.00(1H, br d, J=8.1Hz).
13C-NMR(d5-pyridine)δ:62.6, 63.2, 71.8, 76.0, 78.6, 78.9, 106.0, 116.7, 119.0, 121.0, 125.1, 126.0, 126.5, 126.9, 127.5, 128.2, 131.3, 132.5, 133.9, 134.3, 134.4, 144.1, 150.9, 153.8, 174.8, 179.4.
また、得られた化合物の一部を酸により加水分解したところ、薄層クロマトグラフィーにおいてバルサミノンA及びD−グルコースの生成がそれぞれ確認されたことから、本化合物はバルサミノンAの5位酸素原子にD−グルコースが結合した構造であると決定した。更に、1H-NMRスペクトルにおける6.05ppm のダブレット(d) シグナルのカップリング定数から、D−グルコースの結合はβ結合であると決定した。
以上の結果より、本実施例で得られた化合物は、下記式 (Ib)で表されるジナフトフランキノン誘導体(バルサミノンB)であると構造決定した。
【0039】
【化7】
【0040】
以下に、構造決定されたバルサミノンBの1H及び13C-NMR スペクトルの帰属を示す。
【0041】
【化8】
【0042】
1H-NMR(d5-pyridine) δ:3.93(1H, m, glc-5), 4.27,4.39(1H, m, glc-6), 4.39(2H, m, glc-3,4), 4.47(3H, s, -OCH3), 4.51(1H, m, glc-2), 6.05(1H, d, J=7.7Hz,glc-1), 7.58(2H, m, 2,3), 7.72(2H, m, 9,10), 8.30(1H, br d, J=8.1Hz, 4),8.34(2H, m, 8,11), 9.00(1H, br d, J=8.1Hz, 1).
13C-NMR(d5-pyridine)δ:62.6(glc-6), 63.2(-OCH3), 71.8(glc-4), 76.0(glc-2), 78.6(glc-5), 78.9(glc-3), 106.0(glc-1), 116.7(6a), 119.0(6b), 121.0(1), 125.1(4), 126.0(13b), 126.5(4a,11), 126.9(3), 127.5(8), 128.2(2), 131.3(11a), 132.5(7a), 133.9(10), 134.3(6), 134.4(9), 144.1(5), 150.9(13a), 153.8(12a), 174.8(7), 179.4(12).。
【0043】
実験例1( 急性毒性試験)
1群5匹のICR マウス(雄性、5週齢、体重20〜25g )に、実施例1のバルサミノンAを300mg/kg経口投与した。投与後14日目に至っても、いずれのマウスも死亡例を認めず、LD50値は、300mg/kg以上であることがわかった。また、1群3匹のICR マウス( 雄性、5週齢、体重20〜25g)に、実施例2のバルサミノンBを300mg/kg経口投与した。投与後14日目に至っても、いずれのマウスも死亡例を認めず、LD50値は、300mg/kg以上であることがわかった。尚、各薬物は0.5 %カルボキシメチルセルロースナトリウムに懸濁して投与した。
【0044】
実験例2(抗かゆみ試験)
実験動物としてSPF(Specific pathogen free =特定病原菌不在)ddy系雄性マウス(7週齢)を用いて、下記の方法に従い実施例1のバルサミノンA及び実施例2のバルサミノンBの抗かゆみ試験を行った。
【0045】
5匹づつ2群のマウスに、水に懸濁させたバルサミノンA及びBをそれぞれ10mg/kg 経口投与し、投与後24時間後に脱顆粒惹起物質であるcompound 48/80をそれぞれ3mg/kg皮下注射した。同様に、バルサミノンAまたはBを投与しない1群5匹のマウスをコントロール群とし、compound 48/80投与後20分間のマウスの鼻への掻動作回数をそれぞれ測定した。また、ノーマル(正常)群として、バルサミノンAまたはB及びcompound 48/80のいずれも投与しない1群5匹のマウスの掻動作回数を同様に測定した。
【0046】
その結果を図1に示した。なお、図1中、各値は、各群5匹のマウスの平均値±標準誤差で表した。また、*印は、Student のt- 検定によるコントロール群に対する有意差を表す(*P<0.05, **P <0.01)。
【0047】
図1より、アレルギー反応に起因する脱顆粒によるマウスの掻動作回数の増加に対し、バルサミノンA及びBは抑制作用を示し、特に、バルサミノンBは、その掻動作を有意に抑制した。
【0048】
実験例3(脱顆粒惹起物質による血流低下抑制試験)
実験動物としてSPF(Specific pathogen free =特定病原菌不在) ddy系雄性マウス(5週齢)を用いて、下記の方法に従い実施例1のバルサミノンA及び実施例2のバルサミノンBの脱顆粒惹起物質による血流低下抑制試験を行った。
【0049】
7匹づつ2群のマウスに、水に懸濁させたバルサミノンA及びBをそれぞれ10mg/kg 経口投与し、投与後24時間後にcompound 48/80をそれぞれ1mg/kg 静脈内注射した。同様に、バルサミノンAまたはBを投与しない1群7匹のマウスをコントロール群とし、compound 48/80投与後40分間のマウス尾の微小血管の血流量を2分間隔でレーザー血流計(FLO-N1型、(株)ニューロサイエンス社製)を用いてそれぞれ測定した。その結果を図2及び3に示した。また、陽性対照として、市販の抗アレルギー剤であるDSCG(クロモグリク酸ナトリウム)を用いて同様に試験した。尚、DSCGは経口投与では吸収されないため、本試験では10mg/kg の用量で静脈内注射により投与し、投与後1時間後にcompound 48/80を静脈内注射して血流量を測定した。その結果を図4に示した。
【0050】
図2ないし4中、各値は、各群7匹のマウスの平均値±標準誤差で表した。また、*印は、Student のt- 検定によるコントロール群に対する有意差を表す(*P<0.05, **P<0.01, ***P <0.001 )。尚、バルサミノンA及びBの本試験におけるコントロール群のデータは同一のものである(図2及び3)。
【0051】
図2ないし4より、バルサミノンA及びBは、経口投与によりマウスのアレルギー反応に起因する脱顆粒による血流量の低下をいずれも有意に抑制し、その作用は静脈内投与によるDSCGと同等以上であった。従って、本発明物質であるバルサミノンA及びBは、いずれもアレルギーによる脱顆粒を強く抑制しているものと考えられ、かゆみの原因物質であるヒスタミン等のケミカルメディエーターの遊離を抑えることにより、抗かゆみ効果を示すことが示唆された。
【0052】
上記処方に従い、Aの成分を均一に溶解した後、Bの成分溶液に徐々に加え均一に混合溶解してスキンローションとした。
【0053】
上記処方に従い、Aの成分を均一に溶解した後、Bの成分溶液に徐々に加え均一に混合溶解してスキンローションとした。
【0054】
上記処方に従い、A、B各成分をそれぞれ約80℃に加温し、撹拌下BにAを徐々に加え均一に混合した後、冷却してスキンクリームとした。
【0055】
上記処方に従い、A、B各成分をそれぞれ約80℃に加温し、撹拌下BにAを徐々に加え均一に混合した後、冷却してスキンクリームとした。
【0056】
上記処方に従い、A成分をBに均一に分散させた後、Cを加え混合して軟膏とした。
【0057】
上記処方に従い、A成分をBに均一に分散させた後、Cを加え混合して軟膏とした。
【0058】
1錠が上記割合になるように各成分を均一に混合した後、打錠して錠剤とした。
【0059】
1錠が上記割合になるように各成分を均一に混合した後、打錠して錠剤とした。
【0060】
1カプセルが上記割合になるように各成分を均一に混合した後、カプセルに充填した。
【0061】
1カプセルが上記割合になるように各成分を均一に混合した後、カプセルに充填した。
【0062】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表される新規ジナフトフランキノン誘導体は、安全性が高く優れた抗かゆみ作用を有していることから、当該物質を有効成分として配合することにより、アトピー性皮膚炎を始めとするアレルギーに起因するかゆみの予防、治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】抗かゆみ試験の結果(掻動作回数)を示すグラフ
【図2】バルサミノンAの血流低下抑制効果を示すグラフ
【図3】バルサミノンBの血流低下抑制効果を示すグラフ
【図4】DSCG(比較品)の血流低下抑制効果を示すグラフ
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