JPH1112270A - 抗酸化作用を有する新規化合物 - Google Patents

抗酸化作用を有する新規化合物

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JPH1112270A
JPH1112270A JP9184577A JP18457797A JPH1112270A JP H1112270 A JPH1112270 A JP H1112270A JP 9184577 A JP9184577 A JP 9184577A JP 18457797 A JP18457797 A JP 18457797A JP H1112270 A JPH1112270 A JP H1112270A
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Motoyuki Tagashira
素行 田頭
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Asahi Breweries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗酸化作用を有する新規化合物を提供する。 【解決手段】 次式で表される化合物。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、抗酸化活性を有
し、成人病、悪性関節リウマチなど、健康維持上障害と
なる諸疾患、火傷などの外傷、ニキビ、シミなどの美容
上の障害の予防、治療に効果を有する医薬品、化粧品と
なり、また飲食品の劣化防止剤ともなる新規化合物に関
する。
【0002】
【従来の技術】活性酸素や不飽和脂質から生成する過酸
化脂質が、老化や成人病の発症といった生体への悪影響
を及ぼすことが近年明らかとなってきており、活性酸素
消去作用や過酸化脂質の生成抑制作用を有する、いわゆ
る抗酸化物質の探索や、動脈硬化症、高脂血症、それら
より発症する脳梗塞、心疾患、およびそれらの後遺症や
ストレス性潰瘍などの虚血障害、癌、糖尿病などの成人
病、悪性リウマチ、ベーチェット病、クーロン病、潰瘍
性大腸炎、肝炎、腎炎、パーキンソン病などの難病、農
薬などの化学物質により惹起される疾患、光線過敏症、
放射線障害などに対する治療薬としてのそれらの応用が
一部で試みられている。また、活性酸素や過酸化脂質は
シミ、ソバカス、ニキビ、皮膚潰瘍などの成因にもなる
他、食品を劣化させ嗜好的品質や栄養の低下をひきおこ
すことも知られてきているが、未だにこれらの問題を十
分に解決しうる物質が見いだされていないのが現状であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】現在の処、代表的な抗
酸化剤として天然物であるα−トコフェロール(ビタミ
ンE)やアスコルビン酸(ビタミンC)、合成化合物で
あるBHT(3,5-tertーブチルー4ーヒドロキシトルエ
ン)、生体酵素であるSOD(スーパーオキサイドディ
スミュターゼ)などが挙げられるが、それらの適用範囲
は十分に広いとはいえず、より抗酸化能の強い、有用な
抗酸化剤が発明された場合、医薬品、化粧品、健康食
品、食品添加物などとして利用価値のあるものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、園芸用、調
理用に用いられるシソ科植物であるレモンバーム(Melis
sa officinailis)より新規な化合物である2-(3,4-ジヒ
ドロキシフェニル)-1,3-ベンゾジオキサール-5-アルデ
ヒドを単離し、同物質が強力な抗酸化活性を有すること
を見いだし、本発明を完成した。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、次式で示される化合物
に関するものである。
【0006】
【化2】
【0007】レモンバームの持つ抗酸化作用について
は、すでにラメゾンらにより報告されている。(Ref: J.
L. Lameison, et al., Ann. Pharmaceutiques francai
ses 48(2) 103-108 (1990) および J. L. Lameison, et
al., Pharm. Acta. Helv., 66, (7) 185-188 (199
1))。しかし具体的にどの化合物が抗酸化作用を発現し
ているかについての知見はなく、唯一ロズマリン酸との
相関が示されているにすぎない。また、本発明の化合物
は全くの新規化合物であり、天然物から得られたという
報告はない。
【0008】本発明の化合物は、レモンバームを適当な
溶媒で抽出し、その抽出物より精製して得ることができ
る。抽出溶媒としては水または水と混和する有機溶媒の
混合液、メタノール、エタノール、アセトン、アセトニ
トリル、n−ブタノール、酢酸エチル、クロロホルムな
どを用いることができる。好適な例としては、20〜8
0%(v/v)の含水メタノールが挙げられる。原料と
抽出溶媒の割合は、1:0.5〜1:10(重量比)が
望ましく、また抽出は4〜80℃、攪拌下、1〜10時
間程度行われることが望ましい。濾過により抽出液を得
るが、その際必要があればパーライトなどの濾過助材を
用いることもできる。
【0009】こうして得られた抽出液は、減圧濃縮、凍
結乾燥など通常の方法により濃縮する。本発明の化合物
は水溶性であるが酢酸エチルに抽出される性質を有す
る。その性質を利用して、次のような精製を行うことが
できる。抽出溶媒が水などの場合、濃縮する前にエーテ
ル、石油エーテル、ヘキサン、クロロホルムなどの酢酸
エチルより脂溶性の高い溶媒で洗浄し、余剰物を除くこ
ともできる。抽出溶媒に有機溶媒が含まれる場合は、濃
縮後、残査を水に転溶し、エーテル、石油エーテル、ヘ
キサン、クロロホルムなどの酢酸エチルより脂溶性の高
い溶媒で洗浄し、余剰物を除くことが望ましい。
【0010】洗浄後の水溶液は減圧濃縮、凍結乾燥など
通常の方法により濃縮し、そのまま分画精製に供する
か、水溶液を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル画分を濃
縮後、分画精製することにより、本発明の化合物を得る
こともできる。分画精製の方法としては、順相クロマト
グラフィー、逆相クロマトグラフィーなど通常の方法を
用いることができるが、HPLC(高速液体クロマトグ
ラフィー装置)を用いた逆相クロマトグラフィーで分画
精製することが望ましい。その際には、精製した画分の
抗酸化活性(DPPHラジカル消去活性など)を指標と
して精製を進めることもできる。精製した画分は減圧濃
縮、凍結乾燥など通常の方法により濃縮し、本発明の化
合物を得ることができる。
【0011】かくして得られた本発明の化合物は白色ま
たは淡紫色を呈し、かすかに特徴的な甘い芳香を持つ粉
末である。本発明者はこの化合物が2-(3,4-ジヒドロキ
シフェニル)-1,3-ベンゾジオキサール-5-アルデヒドな
る新規化合物であり、強力な抗酸化作用を有することを
見出した。本発明の2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3
-ベンゾジオキサール-5-アルデヒドは、一般に使用され
る担体、助剤、添加剤等とともに製剤化することがで
き、常法に従って経口、非経口の製品として、医薬品、
医薬部外品、化粧品等の分野で利用することができる。
また食品素材と混合して飲食品とすることができる。
【0012】医薬品は経口剤として錠剤、カプセル剤、
顆粒剤、シロップ剤等が、非経口剤として軟膏剤、クリ
ーム、水剤等の外用剤、無菌溶液剤や懸濁剤等の注射剤
等がある。これらの製品を医薬として疾患に投与すると
きは、2mg〜500mgを1日に1ないしは数回、すなわち2m
g〜1,000mg の全日量で投与し、十分にその効果を奏し
得るものである。
【0013】本発明の2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-
1,3-ベンゾジオキサール-5-アルデヒドまたはその塩を
有する医薬品は、生理的に認められるベヒクル、担体、
賦形剤、結合剤、安定剤、香味剤等とともに要求される
単位用量形態をとりうる。錠剤、カプセル剤に混和され
る佐薬は次のようなものである。トラガント、アラビア
ゴム、コーンスターチ、ゼラチンのような結合剤、微晶
性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、前ゼラ
チン化澱粉、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸
マグネシウムのような滑沢剤、ショ糖、乳糖、サッカリ
ンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油、チェリ
ーのような香味剤など。また、カプセル剤の場合は上記
の材料に更に油脂のような液体担体を含有することがで
き、また、他の材料は被覆剤として、又は製剤の物理的
形態を別な方法で変化させるために存在させることがで
きる。例えば、錠剤はシェラック、砂糖で被覆すること
ができる。シロップ又はエリキシルは活性化合物、甘味
剤としてショ糖、防腐剤としてメチル又はプロピルパラ
ベン、色素およびチェリーまたはオレンジ香味のような
香味剤を含有することができる。
【0014】注射剤のための無菌組成物は、注射用水の
ようなベヒクル中の活性物質、ゴマ油、ヤシ油、落花生
油、綿実油のような天然産出植物油、またはエチルオレ
ートのような合成脂肪ベヒクルを溶解または懸濁させる
通常の方法によって処方することができる。また、緩衝
剤、防腐剤、酸化防止剤等を必要に応じて配合すること
ができる。
【0015】外用剤としては基剤としてワセリン、パラ
フィン、油脂類、ラノリン、マクロゴール等を用い、通
常の方法によって軟膏剤、クリーム剤等とする。本発明
の2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ベンゾジオキサ
ール-5-アルデヒドまたはその塩を添加した飲食品は、
上記製剤の形態でもよいが、あめ、せんべい、クッキ
ー、飲料などの形態でそれぞれの食品原料に所用量を加
えて、一般の製造法により加工製造する。健康食品、機
能性食品としての摂取は、病気予防、健康維持に用いら
れるので、経口摂取として1日数回に分けて、全日量と
して5mg〜500mgを含む加工品として摂取される。またビ
タミンC、ビタミンE、補酵素Qnなど一部抗酸化活性
を有する化合物と併用することができる。またこれらの
物質は、本飲食品の安定化剤としての作用も有し、併用
することが有用である。これらの抗酸化物質は常用量以
下で添加される。
【0016】
【発明の効果】本発明の2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)
-1,3-ベンゾジオキサール-5-アルデヒドまたはその薬学
的に許容される塩を含有する医薬品、飲食品、および化
粧品は、抗酸化作用を有するので、生体内に生成した活
性酸素や過酸化脂質によって引き起こされる障害を抑制
する効果を有する。従って健康上の障害、美容上の障害
の予防、治療に有効であり、また飲食品の安定化、保存
性の向上に有用である。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。これらの実施例は本発明を詳細に説明する目的で特
に好ましい様態を示したもので、本発明はこれらに制限
されるものではない。 実施例1 2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ベンゾ
ジオキサール-5-アルデヒドのレモンバームからの精製 レモンバームの乾燥葉100gを1Lの50%(v/v)メ
タノール水溶液で攪拌しながら1昼夜抽出した。抽出液
を濾過後、濾液を300mLまで減圧濃縮し、メタノー
ルを除いた後、クロロホルム300mLで2回、次いで
酢酸エチル300mLで2回溶媒抽出した。クロロホル
ム層、酢酸エチル層、水層をそれぞれ減圧濃縮乾固し
た。乾固した残査はそれぞれ0.45g、0.81g、
14.6g得られた。
【0018】酢酸エチル層残査600mgを下記の条件
で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に供し、図
1のHPLCクロマトグラムに示す矢印のピークを分取
精製した。 HPLC条件 装置:島津LC−84システム(島津製作所) カラム:Shim-pack PREP-ODS(H)KIT 20mmφ×25cm(島津製作所) 流速 :10ml/min 移動相:A液 10%アセトニトリル水溶液(0.1%塩酸含有) B液 60%アセトニトリル水溶液(0.1%塩酸含有) A液:B液=100:0〜0:100、50分間の直線グラディエント 検出:UV220nm サンプル量:試料10mg/mlメタノール溶液を1ml注入 同画分を凍結乾燥して2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-
1,3-ベンゾジオキサール-5-アルデヒド15mgを淡紫
色の粉末として得た。
【0019】同化合物の機器分析データを以下に示す。 MS(C14H10O5): 実測値258.0498、理論値258.05271 H-NMR(CD3OD)δ(ppm): 5.21(1H, s, CH), 6.73(1H, d
d, J=1.5, 7.0Hz, Phe), 6.75(1H, d, J=7.0Hz, Phe),
6.86(1H, d, J=1.5Hz, Phe), 6.91(1H, d, J=6.5Hz, Ph
e), 7.31a(1H, dd, J=6.5, 2.0Hz, Phe), 7.31b(1H, d,
J=2.0Hz, Phe),9.68(1H, s, CHO)13 C-NMR(CD3OD)δ(ppm): 105.3(CH), 115.3, 115.9, 1
16.3, 116.7, 119.9,126.9(6×CH of Phe), 131.3, 14
6.5, 147.1, 147.6, 154.1(6×C of Phe), 193.6(CHO) UV(ε,H2O): 204(2712), 230(2030), 280(1628), 310(1
340) IR(KBr,cm-1): 3329, 3233, 1655, 1647, 1443, 1296,
1167, 878, 754.
【0020】実施例2 錠剤、カプセル剤 実施例1で得られた化合物 10 乳糖 75 ステアリン酸マグネシウム 15 上記の各重量部を均一に混合し、錠剤、およびカプセル
剤とした。 実施例3 散剤、顆粒剤 実施例1で得られた化合物 20 澱粉 30 乳糖 50 上記の各重量部を均一に混合し、散剤、および顆粒剤と
した。 実施例4 注射剤 実施例1で得られた化合物 1 界面活性剤 9 生理食塩水 90 上記の各重量部を加熱混合、滅菌して注射剤とした。
【0021】実施例5 クッキー 実施例1で得られた化合物を2重量%を含む小麦粉に、
食塩、ショ糖、バターなどで味付けしたものを適量の水
でよく攪拌し190〜200℃で30分間焼き上げてクッキーと
した。 実施例6 ゼリー 寒天13gを水1リットルに加熱溶解し、さらにショ糖500
g、水飴150gおよび塩少々を加え、攪拌しながら加熱溶
解させた後、2重量%の実施例1で得られた化合物、果
汁、着色料、香料などを加えて冷却し、ゼリーにした。 実施例7 あめ ショ糖20重量部、水飴(75%固形分)10重量部に水10重
量部を加え混合し、150℃に加熱攪拌後、2重量%の実施
例1で得られた化合物および着色料、香料などを加え、
冷却してあめとした。
【0022】実施例8 ハンドローション剤 カーボワックス1500を15重量部、アルコール8重量部お
よびプロピレングリコール90重量部をよく混合溶解し、
水52.5重量部、実施例1で得られた化合物の2重量部お
よび香料、防腐剤の適量を加え、ハンドローション剤と
した。 実施例9 外用剤 パラオキシ安息香酸エチル 0.1 パラオキシ安息香酸ブチル 0.1 ラウロマクロゴール 0.5 セタノール 18 白色ワセリン 40 水 37.3 実施例1得られた化合物 4 上記の各重量部の各成分を用い、常法に従って軟膏とし
た。
【0023】実施例10 DPPHラジカル消去活性 α-トコフェロール、アスコルビン酸および実施例で得
た2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ベンゾジオキサ
ール-5-アルデヒドについて、DPPH(1,1-ジフェニ
ル-2-ピクリルヒドラジル)ラジカル消去活性を測定し
た。方法は、ブロイスの方法(N. S. Blois, Nature, 18
1, 1199 (1958))を参考とした。すなわち、DPPHの1
00μMエタノール溶液4mlに供試物質の各種濃度エタノー
ル溶液0.2mlを加え、室温で10分間放置した後に517nmで
の吸光度を測定した。吸光度を半減させる供試物質の最
終濃度(IC50:M)を求め、これを抗酸化活性の指標とし
た。
【0024】その結果を表1に示す。測定は各供試物質
についてデュプリケートで2回以上行い、その平均値を
表中に示した。2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1,3-ベ
ンゾジオキサール-5-アルデヒドは、α-トコフェロール
およびアスコルビン酸の10倍程度強い活性を示した。
またロズマリン酸に比べてもやや強い活性を示した。 表1 サンプル DPPHラジカル消去活性(IC50:M) αートコフェロール 2.8×10-5 アスコルビン酸 3.3×10-5 ロズマリン酸 3.1×10-6 実施例1で得られた化合物 2.7×10-6
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1における酢酸エチル層残査のHPL
Cによるクロマトグラムを示す図。矢印のピークが本発
明の化合物のピークである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式 【化1】 で表される化合物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物を含有する医薬
    品。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の化合物を含有する飲食
    品。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の化合物を含有する化粧
    品。
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