JP6078241B2 - 抗アレルギー用医薬品、抗アレルギー用食品、又は抗アレルギー用化粧品 - Google Patents

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Description

本発明は、植物の抽出物から単離・精製される抗アレルギー作用成分を含有する、抗アレルギー性物質に関する。
近年、アレルギー疾患の患者数は増加の一途をたどっており、日本では約30%の人が何らかのアレルギー疾患に罹患している。その中でも特に、花粉症に代表されるI型アレルギーは、スギ花粉またはダニ等がアレルゲンとなり、くしゃみや鼻づまり等の症状で、日々の生活に支障をきたしている。このため、医療・健康問題として根本的な対応が要望されている。
アレルギー疾患発症に至る流れは、アレルゲンが侵入し、体内の抗原提示細胞(樹状細胞)によるアレルゲンの取り込みと抗原提示が起こることから始まる。提示された抗原により、タイプ2ヘルパーT細胞(Th2細胞)を誘導し、IL−4(インターロイキン4)の産生を増加させる。また、B細胞によるアレルゲン特異的IgE抗体の産生が起こり、マスト細胞や好塩基球のFcεRIにIgE抗体が結合し、感作される。ここにアレルゲンが再侵入すると、特異的IgE抗体によりアレルゲンが捕捉され、架橋結合することにより、肥満細胞や好塩基球の活性化が起こる。活性化された肥満細胞や好塩基球は、ヒスタミンやセロトニン等のケミカルメディエーターを含む顆粒を放出(脱顆粒)し、好酸球の遊走、血管拡張、または血管透過性の亢進等のエネルギー炎症を誘発する。この中でI型アレルギー反応は、アレルゲン特異的なIgE抗体により感作された肥満細胞または好塩基球において、IgE抗体が架橋され、脱顆粒とケミカルメディエーターが放出され、アレルギー反応が起こることによる。
I型アレルギーを予防する手段として、アレルゲンを体内に侵入させないマスクの着用、清掃、または薬剤によりダニの繁殖を抑制する方法が存在する。また、抗ヒスタミン剤等を用い、くしゃみまたは鼻水等のケミカルメディエーターによる反応を受容体レベルで阻害する方法もとられている。しかし、マスクにおいては発症の度に着用する必要があり、薬剤使用においては費用およびその副作用による問題も生じる。従って、これらの方法では煩わしさや、経済的負担等が問題となってしまう。
また、これらの対症療法とは反対に、根治療法も研究されている。例えば、感作アレルゲンに特異的で過剰な細胞情報伝達を、永続的に減弱または正常化させる免疫治療(減感作療法)がある。長時間かけ、天然のアレルゲンに対するIgG抗体産生を増加させることで、IgE抗体量を低下させ、症状を緩和している。しかし、根治治療が可能な減感作療法にも欠点があり、アレルゲンを含有する花粉やダニの粗抽出物を投与するため、アナフィラキシーショックを誘発するリスクが存在する。さらに、低濃度のアレルゲンから段階的に濃度を高め、最終的な投与量になるまでに3年以上かかる場合等の時間的負担が生じる。このような欠点を避けるため、治療ではなく予防または緩和といった観点から注目を集めている方法として、植物中の抗アレルギー作用成分を利用したアレルギー疾患症状の改善という方法がある。
例えば、特許文献1には、カワラケツメイ属の植物から抽出、分離および精製されたフラボノイド配糖体を主成分とする生体内抗アレルギー剤について記載されている。また、特許文献2には、ふともも科バンジロウ属植物シジュム(グアバ)の葉の乾燥粉末、またはその乾燥粉末から溶媒抽出されるエキスの中に含まれるアレルギー疾患治療効果を有する新規なベンゾフェノン系物質、セスキテルペン系物質またはフラボノイド系物質、およびそれらを有する抗アレルギー剤について記載されている。さらに、特許文献3には、キク科植物を原料として、溶媒による抽出、濃縮および精製等の分離を施すことによって得られる新規フラボノイド配糖体、および当該新規フラボノイド配糖体を有効成分とする抗アレルギー剤について記載されている。
一方、ホウレンソウ属の植物の含有成分については、生理活性として抗酸化作用を有すること、および抗腫瘍活性を有すること等については報告されているが、抗アレルギー作用、または脱顆粒抑制活性に関する報告はなされていない。
特開2002−154970号公報 特開2001−316398号公報 特開2001−233889号公報
このように、現在では植物中の抗アレルギー作用成分の利用が注目され、様々な植物、食資源である茶または野菜等からも、脱顆粒抑制活性を指標に抗アレルギー作用成分を有するものについてスクリーニングが行われている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、抗アレルギー作用成分を有する新たな植物をスクリーニングし、当該新規な抗アレルギー作用成分を有効成分とする抗アレルギー性物質を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、ホウレンソウの搾汁液は強い脱顆粒抑制活性を示すことが確認された。さらに、当該脱顆粒抑制活性を指標に、ホウレンソウ熱水抽出物から脱顆粒抑制活性物質の単離・精製を行った結果、当該活性物質のうち、特徴的なA環6、7位のメチレンジオキシ構造を有するフラボノイドグルクロン酸配糖体またはそのアグリコンに、特に強い抗アレルギー作用が確認された。
そこで、本発明の態様に係る抗アレルギー性物質は、下記化学式1(式中、RはCHまたは糖残基、RはHまたは単糖類もしくは二糖類の糖残基)で示される化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
好ましくは、前記化合物は、下記化学式2で示されることを特徴とする。
また、好ましくは、前記化合物は、下記化学式3で示されることを特徴とする。
さらに好ましくは、前記化合物は、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)の葉由来の化合物であることを特徴とする。
本発明によれば、新規な抗アレルギー作用成分を有効成分とする抗アレルギー性物質を提供することができる。
調製例に係るホウレンソウ(Spinacia oleracea)葉抽出物からの活性成分の分離を示す図である。 調製例に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性の比較を示す図である。 実施例1に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性を示す図である。 比較例に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性を示す図である。 実施例2に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離でのSO−1およびSO−1アグリコンの脱顆粒抑制活性を示す図である。 実施例3に係るRBL−2H3細胞におけるSO−1およびSO−1アグリコンの細胞障害性を示す図である。 実施例4に係るマウスPCA反応でのSO−1アグリコンの抗アレルギー活性(エバンスブルー量)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書において「有する」、「含む」または「含有する」といった表現は、「からなる」または「から構成される」という意も含むものとする。
本発明の実施の形態に係る抗アレルギー性物質は、前述した化学式1で示される化合物を有効成分として含有する。式中、RはCHまたは糖残基であり、RはHまたは単糖類もしくは二糖類の糖残基である。本発明において、「糖残基」とは、例えば、単糖類ではグルコース、マンノースまたはガラクトース等が挙げられ、二糖類ではマルトース、スクロースまたはラクトース等が挙げられる。好ましくは、当該化合物は、前述した化学式2(SO−1ともいう)または前述した化学式3(SO−1アグリコンともいう)で示される、フラボノイドグルクロン酸配糖体またはそのアグリコンである。
SO−1およびSO−1アグリコンは、例えば、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)(またはその他のホウレンソウ属の植物)の葉を原料として、溶媒による抽出、濃縮および精製等の、当該技術分野において一般的な化学分離精製手段(例えば、分画、カラムクロマトグラフィーまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の各種クロマトグラフィー)を施すことにより、容易に得ることができる。また、当該技術分野の者であれば、本発明における化学式を参照とし、市販のフラボノイド配糖体またはそのアグリコン等を用い、化学合成により当該化合物を作成することは可能であろう。
ホウレンソウ(Spinacia oleracea)の葉を原料とする場合、抽出方法としては、例えば、通常3〜100℃で水または有機溶媒により抽出する方法が挙げられる。抽出に用いられる有機溶媒は、例えば、石油エーテル、シクロヘキサン、トルエンもしくはベンゼン等の炭化水素類、四塩化炭素、ジクロロメタンもしくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素、エーテル類、酢酸エチル等のエステル類、アセトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールもしくはブチレングリコール等のアルコール類、または、ピリジン等を挙げることができる。抽出溶媒は単独で用いても、2種類以上を混合して用いても構わない。
好ましくは、含水エタノールまたは含水メタノール等の含水アルコールを用い、室温〜100℃で2〜24時間攪拌抽出する。さらに、得られたホウレンソウ(Spinacia oleracea)の葉の抽出物は、そのまま使用してもよいが、必要により濃縮、濾過、精製または凍結乾燥等の処理をしたものを使用しても構わない。
本実施の形態に係る抗アレルギー性物質は、前述したとおり、抗アレルギー作用効果を有する化学式1で示される化合物を有効成分として含有している。なお、本発明において「物質」とは、医薬品、食品(健康食品もしくは飲料等)または化粧品等のような、当該化学式1で示される化合物を、抗アレルギー作用の有効成分として含み得る任意のものを示す。本実施の形態に係る抗アレルギー性物質は、例えば、医薬品としては、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または花粉症等の治療の目的として利用することができる。例えば、食品としては、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎または花粉症等の症状の緩和や予防の目的として、食品としての機能を十分に生かすべく、特定保健用食品、栄養補助食品または健康食品等に、抗アレルギー作用効果を期待した食品添加物として配合することによって利用することができる。また、化粧品としては、アトピー性皮膚炎または接触性皮膚炎等の症状の緩和や予防の目的として、スキンケア製品、ファンデーションまたはメイクアップ製品等に利用することができる。
さらに詳細には、例えば、医薬品の場合、当該化学式1で示される化合物自体だけでなく1種以上の薬学的に許容し得る他の組成物、製型剤または担体等と組合せた形で用いて有効成分または抗アレルギー性物質としてもよい。物質の形状としては、医薬品の場合は疾病の種類や程度にもよるが、例えば、経口、非経口(局所外用)もしくは鼻内投与に適したもの、錠剤、糖衣錠、舌下錠、ゼラチンカプセル剤、トローチ剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、または、皮膚用ゲル剤等を挙げることができる。また、医薬品に含有される化合物の有効量は特に限定されず、患者の年齢および体重、疾病の種類および重篤度ならびに投与の経路により、適宜有効量を選択すればよい。食品または化粧品の場合でも同様である。
以下、調製例、実施例および比較例を用いて本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(調製例)
本調製例では、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)葉由来脱顆粒抑制物質の単離・精製に係る調製例について説明する。
最初に、生のホウレンソウ(Spinacia oleracea)葉をミキサーでペースト状にし、80℃に加熱した純水をホウレンソウペーストに対して2倍量加え、3時間攪拌後、ガーゼ濾過を行った。次に、当該ホウレンソウ抽出物に対し分画を行った。
図1は、調製例に係るホウレンソウ(Spinacia oleracea)葉抽出物からの活性成分の分離を示す図である。図1に示すチャートに従い、当該ホウレンソウ抽出物を、カラムクロマトグラフィー(Diaion HP20およびSephadex LH-20)ならびに薄層クロマトグラフィーによって分画した。最終的に、Fr.4(408mg)を得て、そこからさらに分画し、活性分画Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4を得た。
Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4の活性について確認するため、ラット好塩基球性白血病細胞株(RBL−2H3細胞)を用い、脱顆粒抑制活性の評価を行った。RBL−2H3細胞はヒューマンサイエンスセルバンク(JCRB)から購入して使用した。当該細胞での抗原抗体刺激によって細胞から遊離されるβ−ヘキソサミニダーゼ量を測定することで、脱顆粒抑制活性の評価を行った。
まず、RBL−2H3細胞を、96wellカルチャープレート(NUNC)に5×10cells/90μl/wellで播種した。次いで、抗DNP−IgE抗体溶液を10μl添加後、24時間37℃にて培養し、細胞を接着させた。上清の培地を吸引除去し、Tyrode-HEPES bufferでwellを2回洗浄した。その後、Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4のそれぞれの試料溶液(試料濃度1μg/mlおよび10μg/ml)を80μl添加し、37℃にて30分間インキュベートした。その後、DNP−HSAを20μl添加し、37℃にて1時間インキュベートし、最後に細胞上清20μlを96wellアッセイプレート(IWAKI)に回収した。ブランク(自然遊離)の細胞にはLysis bufferを100μl添加し、細胞の溶解を確認後、細胞溶液20μlを96wellアッセイプレートに回収した。細胞上清、細胞溶解液に基質溶液を50μl添加し、37℃にて90分間インキュベートした。Brote buffer(0.2M、pH9.8)を100μl添加し、混合後、マイクロプレートリーダーを用いて415nmにおける吸光度を測定した。
測定した吸光度から、脱顆粒抑制活性の評価である試料添加によるβ−ヘキソサミニダーゼ遊離に対する抑制率を、以下の式に基づき算出した。なお、SはDNA−HSA刺激時の試料溶液存在下での吸光度であり、Bはブランク(自然遊離)での吸光度であり、CはDNA−HSA刺激時での吸光度である。
抑制率(%)=[1−(S−B)/(C−B)]×100
図2は、調製例に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性の比較を示す図である。データとしては、1回の脱顆粒抑制活性の試験において、各試料溶液および試料濃度あたり3wellを使用し、その平均値を求める実験を3回行い、その平均±標準誤差(S.E.)を求めた。図2に示すように、試料溶液として使用された、Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4のうち、Fr.4−4に特に強い脱顆粒抑制活性が確認された。
次いで、さらに、Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4のそれぞれを、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用して精製した。精製した化合物を、それぞれSO−1(Fr.4−4)、SO−2(Fr.4−2)およびSO−3(Fr.4−1)とした。精製されたSO−1、SO−2およびSO−3に関して、MS、NMR(H−NMR(700MHz,CN)、13C−NMR(175MHz,CN))、HMBCおよびROESYによる構造解析を行った。
SO−1の構造解析は以下のとおりであった。
SO−2の構造解析は以下のとおりであった。
SO−3の構造解析は以下のとおりであった。
さらに、精製したSO−1に、カタツムリ由来のβ−グルクロニダーゼによる加水分解を行い、SO−1アグリコンを精製した(下記化学式7参照)。なお、SO−1アグリコンの精製の確認は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でのリテンションタイムから予想し、分解前のSO−1とUVスペクトルを比較することによって行った。
(実施例1)
本実施例1では、SO−1、SO−2およびSO−3についての抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制効果に係る実施例について説明する。
前述の方法で調製したSO−1、SO−2およびSO−3について、DNA−HSA刺激を利用したRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性を評価した。評価方法(吸光度測定および算出手順)については、Fr.4−2、Fr.4−3およびFr.4−4のそれぞれに対し行った前述の評価方法と同様である。
図3は、実施例1に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性を示す図である。図3に示すように、SO−1は濃度依存的な強い脱顆粒抑制活性を示しており、IC50=1.76μMであった。SO−2およびSO−3に関しては、SO−1には劣る弱い脱顆粒抑制活性を示していた。
(比較例)
本比較例では、市販されている抗アレルギー薬であるケトチフェンフマレートについて、同様の評価方法で、抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性について評価した。
図4は、比較例に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性を示す図である。図3と図4とを比較すると、SO−1の脱顆粒抑制活性の方が、ケトチフェンフマレートの脱顆粒抑制活性よりも著しく強い(低濃度でも抑制率が高い)ことが確認された。
(実施例2)
本実施例2では、調製したSO−1アグリコンについての抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離での脱顆粒抑制活性に係る実施例について説明する。脱顆粒抑制効果の評価方法については、SO−1、SO−2およびSO−3のそれぞれに対し行った前述の方法と同様である。
図5は、実施例2に係る抗原刺激によるRBL−2H3細胞からのβ−ヘキソサミニダーゼ遊離でのSO−1およびSO−1アグリコンの脱顆粒抑制活性を示す図である。図5に示すように、SO−1アグリコンについても強い脱顆粒抑制活性を示し、前述したとおりSO−1はIC50=1.76μMであり、SO−1アグリコンはIC50=1.47μMであった。
前述の実施例1、および本実施例2の結果に示されるように、SO−1およびSO−1アグリコンが特に強い脱顆粒抑制活性を示すことから、これらに共通する特徴的なA環6、7位のメチレンジオキシ構造が当該活性に強く関連していると考えられる。そのため、SO−1およびSO−1アグリコンそのものの構造の化合物だけでなく、例えば、前述した化学式1のように、C環のCHが糖残基である場合、B環のHまたはグルクロン酸が他の単糖類もしくは二糖類の糖残基である場合でも強い抑制活性を示すことが示唆される。
(実施例3)
本実施例3では、SO−1およびSO−1アグリコンについての細胞障害性の確認に係る実施例について説明する。
具体的には、SO−1およびSO−1アグリコンについて、脱顆粒抑制活性を示す濃度範囲でのRBL−2H3細胞における細胞障害性(コントロールと比較した細胞生存率)を、WST−1法によって確認した。図6は、実施例3に係るRBL−2H3細胞におけるSO−1およびSO−1アグリコンの細胞障害性を示す図である。図6に示すように、SO−1およびSO−1アグリコンは、脱顆粒抑制活性を示す濃度範囲において、ほとんど細胞障害性は見られなかった。すなわち、SO−1およびSO−1アグリコンを抗アレルギー性物質の有効成分として使用した場合、他の細胞等に副作用を与える可能性は少ないことが示唆される。
(実施例4)
本実施例4では、マウスの受身皮膚アナフィラキシー反応(PCA反応)におけるSO−1アグリコンの抗アレルギー活性の測定に係る実施例について説明する。
抗アレルギー活性の測定に用いる試料は、調製したSO−1アグリコン、および、市販の既知である抗アレルギー薬オキサトミド(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)を使用した。オキサトミドは経口投与量が100μmol/kgとなるよう5%アラビアガムに懸濁し、均一になるようミキサーを用いてホモジナイズしたものを使用した。SO−1アグリコンについては、オキサトミドと同様に100μmol/kgになるよう5%アラビアガムに懸濁し均一にしたものを、さらに5%アラビアガムで25μmol/kgになるよう希釈したものを使用した。
作用評価用のマウスには、11週齢のJcl:ICR雄性マウス(CLEA Japan)を各群(コントロール群、SO−1アグリコン群およびオキサトミド群)に用いた。恒温、恒湿の一定環境の飼育室で、固形飼料(CE−2、CLEA Japan)を5g/mouse/day与え、水道水は自由摂取させ飼育した。約1週間の予備飼育を行った後、実験に供した。なお、実験動物の取り扱いは、県立広島大学人間及び動物を対象とする研究に関する倫理規程(平成17年7月8日施行)に従った。
各群のマウスの耳介に、麻酔下で、0.86%NaCl溶液(左耳)または抗DNP−IgE抗体(右耳)を20μl皮下投与した。24時間後、無麻酔下で、コントロール群には0.86%NaClを0.1ml/10g、SO−1アグリコン群およびオキサトミド群はそれぞれ25μmol/kgおよび100μmol/kgとなるよう、経口投与を行った。この2時間後に、DNP−HSA溶液を250μl尾静脈投与した。30分後、頸椎脱臼により屠殺した。
次に、屠殺後の耳介を切断し、それぞれ1N KOH水溶液500μlを用い、一晩かけて溶解させた。その後、アセトン−0.6N HPO混合液を3.25ml加え、攪拌後、遠心し(700×g、20min)、上清の620nmにおける吸光度を測定した。
なお、測定された吸光度からエバンスブルー量(脱顆粒抑制活性に関連)を求めるため、予め検量線を作成しておいた。検量線用のマウスとしては、12週齢の4匹のJcl:ICR雄性マウス(CLEA Japan)を用いた。検量線は、当該4匹のICR雄性マウスの耳介にそれぞれ10、20、40または60μg/siteとなるよう皮下投与し、直ちに頸椎脱臼により屠殺し、前述の作用評価用のマウス群(試料投与マウス群)と同様の手順にて、それぞれの620nmにおける吸光度を測定し、検量線を作成した。
このように作成された検量線をもとに、測定された吸光度から、各作用評価用のマウス群におけるエバンスブルー量を求めた。図7は、実施例4に係るマウスPCA反応でのSO−1アグリコンの抗アレルギー活性(エバンスブルー量)を示す図である。図7に示すように、マウスPCA反応の結果、SO−1アグリコン群のエバンスブルー量はブランク値となっており、強い抑制作用が確認された。さらに、オキサトミド群と比較すると、オキサトミド群の投与量は100μmol/kgであるが、SO−1アグリコン群の投与量は25μmol/kgであり、4倍量異なるため、SO−1アグリコンは市販の抗アレルギー剤であるオキサトミドよりも遙かに強い作用を示すことが確認された。
また、当該求めたエバンスブルー量より、各作用評価用のマウス群のPCA反応抑制率を以下の式を用いて算出すると、SO−1アグリコンは100%であり、オキサトミドは64.3%であった。
抑制率(%)=(刺激(試料なし)による色素遊離量−刺激(試料あり)による色素遊離量)/刺激(試料なし)による色素遊離量×100
なお、本実施例4における統計処理での結果は、平均値±標準偏差(SD)で示した。有意差検定にはStudent t-testを用いた。P値が0.05%未満で有意差ありと判定した。
本発明は、上記発明の実施の形態、調製例、比較例および実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した公開特許公報等の内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
本発明者らが鋭意研究を行った結果、ホウレンソウの搾汁液は強い脱顆粒抑制活性を示すことが確認された。さらに、当該脱顆粒抑制活性を指標に、ホウレンソウ熱水抽出物から脱顆粒抑制活性物質の単離・精製を行った結果、当該活性物質のうち、特徴的なA環6、7位のメチレンジオキシ構造を有するフラボノイドグルクロン酸配糖体またはそのアグリコンに、特に強い抗アレルギー作用が確認された。そこで、本発明によれば、新規な抗アレルギー作用成分である、特徴的なA環6、7位のメチレンジオキシ構造を有するフラボノイド系化合物を有効成分として含有する抗アレルギー性物質を提供することができる。

Claims (3)

  1. 下記化学式(式中、RはCHまたは糖残基、RはHまたは単糖類もしくは二糖類の糖残基)で示される化合物を有効成分として含有し、

    前記化合物は、下記化学式(SO−1)で示されることを特徴とする、抗アレルギー用医薬品、抗アレルギー用食品、又は抗アレルギー用化粧品
  2. 下記化学式(式中、RはCHまたは糖残基、RはHまたは単糖類もしくは二糖類の糖残基)で示される化合物を有効成分として含有し、

    前記化合物は、下記化学式(SO−1アグリコン)で示されることを特徴とする、抗アレルギー用医薬品、抗アレルギー用食品、又は抗アレルギー用化粧品
  3. 前記化合物は、ホウレンソウ(Spinacia oleracea)の葉由来の化合物であることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗アレルギー用医薬品、抗アレルギー用食品、又は抗アレルギー用化粧品
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