JP4417452B2 - 配列決定のための変更された熱安定性dnaポリメラーゼ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオシド三リン酸を組込むための増強された効率を有する熱安定性DNAポリメラーゼに関する。本発明は、そのような変更されたポリメラーゼを単離し、そして生成するための手段を提供する。本発明の酵素は、分子生物学における多くの用途のために有用であり、そして核酸配列決定のために特に好都合である。
【0002】
【従来の技術】
螢光色素によりラベルされたヌクレオチド三リン酸(dNTP)の組込みは、多くのインビトロDNA合成用途のために重要である。たとえば、色素−ターミネーターDNA配列決定反応は、終結及びラベリングのために螢光ジデオキシヌクレオチド類似体の組込みを必要とする。さらに、ラベルされた生成物のインビトロ合成は、螢光ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体の組込みを含むことができる。たとえば、螢光ラベルされたDNAは、固定されたプローブのマイクロアレイを用いてのハイブリダイゼーションアッセイに使用されて来た(Croninなど., 1996, Human Mutation :244 )。
【0003】
DNA複製の再生を確実にするためには、DNAポリメラーゼは、従来のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)として本明細書において言及されるそれらの通常の基質の組込みのために、及び螢光色素によりラベルされたdNTP及びdNTP類似体を包含する異例なdNTPの組込みに対して非常に強い偏向を有する。細胞においては、この性質が、成長するDNA鎖において異常な塩基、たとえばdUTPの組込みを弱める。インビトロでは、この特徴は、従来及び異例な螢光ラベルされたヌクレオチド三リン酸の両者が存在する場合、たとえば色素−ターミネーターを用いるジデオキシ鎖終結方法のバージョンを用いてのDNA配列決定反応において特に明白である(Leeなど., 1992, Acids. Res. 20 : 2471;引用により本明細書に組込まれる)。
【0004】
色素−ターミネーター方法のための市販されているDNAサイクル配列決定キットは、ローダミン類の螢光色素によりラベルされた鎖ターミネーターddNTPを使用する。しかしながら、ローダミン色素は電荷において両性であり、そしてそれらの色素によりラベルされたヌクレオシド三リン酸は検出のための配列決定生成物を分離するために使用される電気泳動ゲルにおいて異常に移動する。ローダミン類の色素のこの性質が、電気泳動の前、dITPの使用及び追加の処理段階を包含する、標準的配列決定プロトコールにおける変更の必要性を引き起こす。
【0005】
対照的に、負に荷電された螢光色素、たとえばフルオレセイン類の色素は、1)ラベルされたヌクレオシド三リン酸とラベルされたプライマー延長生成物との間の良好な分離、及び2)中性又は正に荷電された螢光色素よりも、ラベルされた配列決定生成物の良好な電気泳動移動を可能にする。従って、フルオレセイン類の色素の使用は、ローダミン類の色素の使用により必要とされる追加の処理段階のための必要性を回避する。しかしながら、フルオレセイン類の利用できる色素は、現在市販されているDNAサイクル配列決定形式への使用のためには理想的ではない。
【0006】
なぜならば、それらの色素によりラベルされたddNTPは、それらの形式を用いて、配列決定生成物中に効果的に組込まれないからである。従って、常用のヌクレオチド及びフルオレセイン−ラベルされたヌクレオチドの両者を効果的に組込むことができる、商業的に利用できる熱安定性DNAポリメラーゼについての必要性が存在する。本発明はその必要性を満たすように機能する。さらに、本発明の変異酵素の思いがけない性質は、その対応する野生型酵素に比較してプライマー延長の早められた速度である。もう1つの思いがけない性質は、自動化されたDNA配列分析における種々のターミネーターヌクレオチドの組込みの高められた均等性である。
【0007】
【発明の要約】
本発明は、これまでに特徴づけられた酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有する鋳型−依存性熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を提供する。それらの酵素は、ヌクレオチド、たとえばデオキシヌクレオチド(dNTP)、及び塩基類似体、たとえばジデオキシヌクレオチド(ddNTP)を組込み、それらは常用の熱安定性酵素よりもより効果的にフルオレセイン類の色素によりラベルされる。それらの酵素をコードする遺伝子はまた、多量の精製された酵素を供給するために組換え発現ベクターとして、本発明により供給される。
【0008】
本発明によれば、天然のヌクレオチドを正確に組込む能力を保持しながら、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを組込むポリメラーゼの能力に影響を及ぼす、熱安定性DNAポリメラーゼ内の必須領域が同定される。この必須領域、又は必須モチーフ(Critical motif)は、本発明の利点を供給するために組換えDNA法、たとえば部位特異的変異誘発により熱安定性DNAポリメラーゼのための遺伝子中に導入され得る。
従って、1つの観点においては、本発明は組換え熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を提供し、ここで前記酵素は、必須のモチーフを生成するよう変異誘発されており、そしてその対応する野生型酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対しての低められた識別性を有するように変異誘発されていることにより特徴づけられる。
【0009】
この観点において、本発明は組換え熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を供給し、ここで前記酵素は、a)その生来の形において、前記ポリメラーゼが次のアミノ酸配列(一文字コードで与えられる):LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;a)前記配列における位置4のXが前記生来の配列に比較して変異誘発されており、但し、XはEには変異誘発されておらず;そしてc)前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有する、ことにより特徴づけられる。3文字コードにおいては、前記アミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaXaaProXaaXaaGlu(配列番号1)(ここで、この配列中の位置3,4,6,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸残基であり、そしてこの配列中の位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。
【0010】
もう1つの態様においては、組換え熱安定性DNAポリメラーゼは、a)そのポリメラーゼの生来の形が次のアミノ酸配列:LS(Q/G)XL(S/A)IPYEE(配列番号2)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;b)前記配列における位置4のXが前記生来の配列に比較して変異されており、但しXはEへは変異誘発されておらず;そしてc)前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有することにより特徴づけられる。
【0011】
3文字コードにおいて、前記アミノ酸は、LeuSerXaaXaaLeuXaaIleProTyrGluGlu(配列番号2)(ここで、位置3の“Xaa”はGln又はGlyであり、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置6の“Xaa”はSer又はAlaである)として表わされる。好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSQXLAIPYEE(配列番号3)(ここでXは任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerGlnXaaLeuAlaIleProTyrGluGlu(配列番号3)(ここで、位置4での“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。より好ましい態様においては、位置4の“Xaa”はLysである。
【0012】
さらにもう1つの態様において、組換え安定性DNAポリメラーゼは、a)そのポリメラーゼの生来形が次のアミノ酸配列:LSVXLG(V/I)PVKE(配列番号4)を含んで成り;b)前記配列におけるXが前記生来の配列に比較して変異誘発されており、但しXはEに変異誘発されておらず;そしてc)前記熱安定性DNAポリメラーゼが前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有することにより特徴づけられる。
【0013】
3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyXaaProValLysGlu(配列番号4)(ここで、位置4での“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSVXLGVPVKE(配列番号5)(ここで、位置4のXは任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyValProValLysGlu(配列番号5)(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。
【0014】
より好ましい態様において、位置4の“Xaa”はArgである。もう1つの好ましい態様においては、アミノ酸配列は、LSVXLGIPVKE(配列番号6)(ここで、位置4のXは任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいて、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyIleProValLysGlu(配列番号6)(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。より好ましい態様において、位置4の“Xaa”は、Argである。
【0015】
本発明のもう1つの態様において、本発明の特定の必須領域は、異例なヌクレオチド、たとえばrNTP及びddNTPの組込みに対して低められた識別性を有する熱安定性DNAポリメラーゼを供給することが知られている、ポリメラーゼ遺伝子の他の領域におけるモチーフと組合され得る。本明細書において例示される場合、2種の変異を含む組換えサーマス・アクアチカス(Thermus aquaticus)(Taq)DNAポリメラーゼ酵素が構成された。第1の変異は、本発明の必須モチーフの位置4のX残基におけるEのKへの変異であった。第2の変異は、F667Y変異として知られているddNTPのより効果的な組込みを可能にする変異であった。
【0016】
この変異は、Taq DNAポリメラーゼの位置667でのフェニルアラニンのチロシンへの変異である(アメリカ特許第5,614,365号及びアメリカ出願番号第8/448,223号に記載され、そして引用により本明細書に組込まれる)。フルオレセイン類の色素によりラベルされたddNTPとの配列決定反応に使用される場合、E681K F667Y二重変異体酵素が、読取ることができる配列決定ラダーを生成することが見出された。従って、1つの態様において、ジデオキシヌクレオチドに対する低められた識別性を付与するモチーフが、本発明の決定的モチーフと組合され、ラベルされた及びラベルされていない両ddNTPの組込みの高められた効率を有する酵素が提供される。
【0017】
さらに、E681K F667Y変異体酵素は、F667Y変異のみを有する酵素に比較して、有意に早められた延長速度を示すことが思いがけなく見出された。従って、本発明のもう1つの態様においては、熱安定性DNAポリメラーゼ酵素中への必須のモチーフの、単独での又は他のモチーフと組合しての導入が、早められた延長速度を有する酵素を生成する。
【0018】
二重変異体酵素はまた、ローダミンによりラベルされたターミネーターを用いての色素−ターミネータージデオキシ配列決定においてより均等なピークの高さを生成することが思いがけなく見出された。従って、さらにもう1つの態様においては、熱安定性DNAポリメラーゼ酵素中への必須のモチーフの導入は、ローダミン類の色素によりラベルされたターミネーターを用いてのDNA配列決定方法においてより均等なピークの高さを示す酵素を生成する。
【0019】
もう1つの態様においては、rNTPの一層効果的な組込みを可能にする変異、例えばTaq DNAポリメラーゼの位置615のグルタミン酸からグリシンへの変異、又はE615G変異(引用により本明細書に組込まれるヨーロッパ特許出願公開番号EP−A−823479に記載される)が、本発明の必須のモチーフと組合され、フルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドの組込みの高められた効率を有する酵素が供給される。
【0020】
もう1つの観点においては、本発明のポリメラーゼをコードする遺伝子もまた提供される。特に、本発明の必須のモチーフを含んで成る組換え熱安定性ポリメラーゼをコードする遺伝子が供給される。本発明の必須のモチーフを生成する変異を包含する複数の変異の組合せをコードする遺伝子もまた、この観点に包含される。
【0021】
さらにもう1つの観点においては、本発明はまた、より低い濃度のフルオレセイン類の色素によりラベルされたddNTPの使用を可能にし、それにより、反応を実施する費用を減じる、DNA配列決定の改良された方法を提供する。本発明の改良された方法はまた、低い比のフルオレセイン類の色素によりラベルされたddNTP:dNTPの使用を可能にする。それらの方法の使用は、多くの利点、たとえばより効果的な重合、低濃度の必要とされる鋳型核酸、及び反応混合物へのインヒビターを導入する可能性の低下をもたらす。それらの利点はまた、長い鋳型の配列決定を促進する。本発明はまた、配列決定反応が、中間の精製を伴わないで、続く電気泳動のための配列決定ゲル上に直接的に負荷され得る、改良された配列決定方法を提供する。
【0022】
従って、本発明の1つの態様においては、本発明は、a)本発明の必須のモチーフを生成する位置4での変異を有し、そしてb)対応する野生型酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有する組換え酵素を用いての標的核酸の配列を決定するための改良された方法を提供する。
【0023】
本発明の必須のモチーフを生成する天然に存在する配列変動を含む、好熱種に由来する熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を用いての改良された配列決定方法はまた、本発明の範囲内である。それらの生来の酵素はまた、異例なヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性も提供することができる。この態様において、本発明は、a)位置4におけるアミノ酸がGluではない本発明の必須のモチーフを有し、そしてb)フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有する生来の熱安定性DNAポリメラーゼを用いての改良された配列決定方法を提供する。
【0024】
フルオレセイン類の色素によりラベルされたDNAを生成するための改良された方法もまた、本発明の範囲内である。本発明の酵素は、種々の部位でフルオレセイン類の色素によりラベルされる増幅された生成物を生成するポリメラーゼ連鎖反応方法にフルオレセイン−ラベルされたdNTPを効果的に組込む。従って、1つの態様においては、DNAをラベリングする改良された方法は、a)フルオレセイン類の色素によりラベルされたdNTP及び本発明の酵素を含んで成る反応混合物を提供し、そしてb)核酸増幅反応を実施することを含んで成る。
【0025】
本発明の方法、及びそれらの酵素をコードする遺伝子は、本発明の組換え酵素を含んで成り、そしてさらに、負に荷電された螢光ターミネーター化合物を含むDNA配列決定のためのキットである本発明のさらなる観点を供給する。DNA配列決定のための他のキットは、a)負に荷電された螢光ターミネーター化合物、及びb)本発明の生来の酵素を含んで成る。
本発明はまた、本発明の組換え酵素を含んで成る、ラベルされたDNAを生成するためのキットも提供する。ラベルされたDNAを生成するための他のキットは、a)負に荷電された螢光ヌクレオチド三リン酸化合物、及びb)本発明の生来の酵素を含んで成る。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の理解を促進するために、多くの用語が下記に定義される。
用語“遺伝子”とは、回収できる生物活性ポリペプチド又は前駆体の生成のために必要な制御及びコード配列を含んで成るDNA配列を意味する。前記ポリペプチドは、完全な長さの遺伝子配列により、又は酵素活性が保持される限り、コード配列のいづれかの部分によりコードされ得る。
【0027】
用語“生来の”とは、天然に存在する源から単離される遺伝子又は遺伝子生成物を意味する。この用語はまた、生来の形のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を有する、分子生物学的技法により生成された生来のタンパク質の組換え形も言及する。
用語“変異体”とは、その核酸配列が変更されている遺伝子、又はそのアミノ酸配列が変更されている遺伝子生成物を意味し、それにより、生来の又は野生型遺伝子又は遺伝子生成物に比較される場合、変更された機能的性質を有する遺伝子生成物をもたらす。そのような変更は、点変異、欠失及び挿入を包含する。
【0028】
用語“宿主細胞”とは、単細胞原核及び真核生物、たとえば細菌、酵母及び放線菌、及び細胞培養において増殖される場合、高等植物又は動物からの単一細胞を意味する。
用語“発現系”とは、作用可能に連結されたコード配列及び制御配列を含むDNA配列を意味し、その結果、それらの配列により形質転換された宿主細胞はコードされたタンパク質を生産することができる。形質転換をもたらすためには、その発現システムはベクター上に包含され得る、そしてその対応するDNAもまた、宿主染色体中に組込まれ得る。
【0029】
用語“オリゴヌクレオチド”は、本明細書において使用される場合、複数の、好ましくは3個よりも多くの、及び通常、10個よりも多くのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドから構成される分子として定義される。オリゴヌクレオチドの正確なサイズは、多くの要因、たとえばオリゴヌクレオチドの究極的な機能又は使用に依存するであろう。
【0030】
オリゴヌクレオチドは、たとえば適切な配列のクローニング及び制限酵素処理を包含するいづれか適切な方法により、及びたとえば次の方法による直接的な化学合成により調製され得る:Narangなど., 1979, Meth. Enzymol. 68:90-99 のホスホトリエステル法;Brown など., 1979, Meth. Enzymol. 68:109-151 のホスホジエステル法;Beaucageなど., 1981, Tetrahedron Lett. 22 :1859-1862 のジエチルホスホラミジット法;Matteucci など., 1981, J. Am. Chem. Soc. 103:3185-3191 のトリエステル法、又はアメリカ特許第4,458,066号の固体支持法(それらは引用により本明細書に組込まれる)。
【0031】
用語“プライマー”とは、本明細書において使用される場合、プライマー延長が開始される条件下で配置される場合、合成の開始の点として作用することができる、天然又は合成のいづれかのオリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは好ましくは、一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図された使用に依存するが、しかし典型的には15〜35個のヌクレオチドの範囲である。短いプライマー分子は一般的に、鋳型との十分に安定したハイブリッド複合体を形成するためには、より低い温度を必要とする。プライマーは鋳型の正確な配列を反映する必要はないが、しかし生じるプライマー延長のための鋳型とハイブリダイズするために十分に相補的であるべきである。
【0032】
プライマーは、所望により、分光学、光化学、生化学、免疫化学又は化学手段により検出できるラベルを組込むことによってラベルされ得る。たとえば、有用なラベルは、32P、螢光色素、電子濃試薬、酵素(通常、ELISAアッセイに使用されるような)、ビオチン、又は抗血清又はモノクローナル抗体が利用できるハプテン及びタンパク質を包含する。
【0033】
用語“熱安定性ポリメラーゼ”とは、熱に対して安定しており、耐熱性であり、そして二本鎖核酸の変性をもたらすのに必要な時間、高温にゆだねられる場合、不可逆的に変性(不活性化)されない酵素を意味する。核酸変性のために必要な加熱条件は、当業界においてよく知られており、そしてアメリカ特許第4,683,202号及び第4,683,195号(それらは引用により本明細書に組込まれる)に例示されている。本明細書において使用される場合、熱安定性ポリメラーゼは、温度サイクリング反応、たとえばポリメラーゼ連鎖反応(“PCR”)への使用のために適切である。本発明の目的のための不可逆的変性とは、酵素活性の永久的且つ完全な損失を意味する。熱安定性ポリメラーゼのためには、酵素活性とは、鋳型核酸鎖に対して相補的であるプライマー延長生成物を形成するために適切な態様でのヌクレオチドの結合の触媒作用を意味する。
【0034】
用語“常用の”又は“天然の”とは、核酸塩基、ヌクレオシド三リン酸、又はヌクレオチドに関する場合、記載されるポリヌクレオチドであって天然で存在するものを意味する(すなわち、DNAに関しては、それらはdATP,dGTP,dCTP及びdTTPである)。さらに、dITP及び7−デアザ−dGTPが時々、dGTPの代わりに使用され、そして7−デアザ−dATPがインビトロDNA合成反応、たとえば配列決定においてdATPの代わりに使用され得る。集合的には、それらはdNTPとして言及され得る。
【0035】
用語“異例な”又は“修飾された”とは、核酸塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドに関する場合、特定のポリヌクレオチドにおいて天然で存在する従来の塩基、ヌクレオシド又はヌクレオチドの修飾、誘導体化又は類似体を包含する。ウラシルのデオキシリボヌクレオチド形は、DNA(dUMP)において異例な又は修飾された塩基であり、そしてウラシルのリボヌクレオチド形はRNA(UMP)において従来の塩基である。本明細書で使用される場合、異例なヌクレオチドは、核酸配列決定のためのターミネーターとして使用される化合物類を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
【0036】
ターミネーター化合物は、2′,3′−ジデオキシ構造を有し、そしてジデオキシヌクレオシド三リン酸として言及されるそれらの化合物類を包含するが、但し、それらだけには限定されない。ジデオキシヌクレオシド三リン酸ddATP,ddTTP,ddCTP及びddGTPは、集合的にddNTPとして言及される。他の異例なヌクレオチドは、ホスホロチオエートdNTP(〔α−S〕dNTP)、5′−α−ボラノ−dNTP、α−メチル−リン酸dNTP、及びリボヌクレオシド三リン酸(rNTP)を包含する。異例な塩基は、放射性同位体、たとえば32P,33P又は35S;螢光ラベル;化学発光ラベル;生物発光ラベル;ハプテンラベル、たとえばビオチン;又は酵素ラベル、たとえばストレプタビジン又はアビジンによりラベルされ得る。
【0037】
螢光ラベルは、負に荷電された色素、たとえばフルオレセイン類の色素、又は中性電荷の色素、たとえばローダミン類の色素、又は正に荷電された色素、たとえばシアニン種類の色素を包含することができる。フルオレセイン類の色素は、たとえばFAM,HEX,TET,JOE,NAN及びZOEを包含する。ローダミン類の色素は、Texas Red,ROX,R110,R6G、及びTAMRAを包含する。FAM,HEX,TET,JOE,NAN,ZOE,ROX,R110,R6G及びTAMRAは、Perkin−Elmer(Foster City,CA)により市販されており、そしてTexas RedはMolecular Probesにより市販されている。シアニン種類の色素は、Cy2,Cy3,Cy5及びCy7を包含し、そしてAmersham(Amersham Place, Little Chalfont, Buckinghamshire, England )により市販されている。
【0038】
用語“DNA合成反応”とは、DNAのコピーを生成する方法、たとえばPCR、標準の置換増幅、転写介在の増幅、プライマー延長及び逆転写を言及するが、但しそれらだけには限定されない。
本発明の理解をさらに促進するためには、特定の熱安定性DNAポリメラーゼ酵素及び螢光色素が、本発明を例示するために明細書中に言及され、そしてそれらの言及は本発明を限定するものではない。
【0039】
本発明は、熱安定性DNAポリメラーゼである新規且つ改良された組成物を提供する。本発明の酵素は、その対応する野生型酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオシド三リン酸をより効果的に組込む組換えポリメラーゼを包含する。本発明の熱安定性DNAポリメラーゼは、従技術のポリメラーゼよりも、ラベルされた生成物のDNA配列決定及びインビトロ合成のような方法への使用のためにより適切であり且つより所望される。本発明の改良されたDNA配列決定法は、それらの組換えポリメラーゼの使用、及びこれまでに特徴づけられた酵素よりも、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオシド三リン酸をより効果的に組込む生来の酵素の使用を包含する。それらの酵素をコードするDNA配列、及びそのタンパク質を発現するためのベクターがまた供給される。
【0040】
本発明の熱安定性DNAポリメラーゼは、酵素のポリメラーゼ活性ドメインのアミノ酸配列内に必須の領域を有する。本発明により提供される熱安定性DNAポリメラーゼのアミノ酸配列内の必須の領域は、従来の一文字アミノ酸コードを用いて下記に示される(Lehninger, Biochemistry, New York, New York, Worth Publishers Inc., 1970, 967 :引用により本明細書に組込まれる):配列番号7:LSXXLX(V/I)PXXE(ここで、位置4の“X”はEを除くいづれかのアミノ酸を示す)。
【0041】
アミノ酸のための3文字コードにおいては、この配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaXaaProXaaXaaGlu(配列番号7)(ここで、位置3,6,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、この配列中の位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であるが、但し、グルタミン酸残基(Glu)ではなく、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。この必須の領域は、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを効果的に組込む能力により特徴づけられる熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を供給する。
【0042】
たとえば、位置46でのグリシンからアスパラギン酸への変異(G46D)及びF667Yをすでに含むサーマス・アクアチカス(Taq)DNAポリメラーゼ遺伝子の誘導体においては、完全な長さのTaq DNAポリメラーゼ配列の残基681配列(必須のモチーフの位置4に対応する)でのグルタミン酸のためのコドンの最初の位置におけるGからAへの変異が、必須のモチーフを有する酵素をもたらす。この酵素は、1)従来のヌクレオチドの存在下でPCRを介在する酵素の能力の低下を伴わないで、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みの効率の約2〜10倍の上昇;及び2)延長速度の2〜4.3倍の上昇を示す。
【0043】
Taq DNAポリメラーゼにおいては、この特別な変異は、E(グルタミン酸)からK(リシン)へのアミノ酸の変更をもたらす。
この特別なアミノ酸変更は必須のモチーフを生成し、そして異例なヌクレオチドを組込む酵素の能力を有意に変えるけれども、EからKへの特異的な変更は、決定的領域内の現在同定される位置ほどは、本発明に対しては決定的ではないことが予測される。
【0044】
従って、好ましい態様においては、本発明は、組換え熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を供給し、ここで前記酵素は、a)その生来の形において、前記酵素がアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;b)前記配列中の位置4のXが前記生来の配列に比較して変異誘発されているが、但し位置4のXはEへは変異誘発されておらず;そしてc)前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することにより特徴づけられる。より好ましい態様においては、位置4のXは、陽性電荷を有するアミノ酸、たとえばK,RもしくはHにより、又は極性アミノ酸、たとえばQもしくはNにより置換されている。最っとも好ましい態様においては、位置4のXは、Kにより置換される。
【0045】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、本発明の酵素は、a)フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められた識別性を有し、そしてアミノ酸配列:LS(Q/G)XL(S/A)IPYEE(配列番号2)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成ることによって特徴づけられる。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、次の通りに表わされる:LeuSerXaaXaaLeuXaaIleProTyrGluGlu(ここで、位置3の“Xaa”はGln又はGlyであり、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置6の“Xaa”はSer又はAlaである)。
【0046】
本発明のより好ましい態様においては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対する低められた識別性を有する酵素は、アミノ酸配列:LSQXLAIPYEE(配列番号3)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成る。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerGlnXaaLeuAlaIleProTyrGluGlu(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。本発明の最とも好ましい態様においては、XはK残基である。
【0047】
本発明のもう1つの好ましい態様においては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められた識別性を有する酵素は、アミノ酸配列:LSVXLG(V/I)PVKE(配列番号4)(ここでXは任意のアミノ酸である)を含んで成る。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyXaaProValLysGlu(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。
【0048】
本発明のより好ましい態様においては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められた識別性を有する酵素は、アミノ酸配列LSVXLGVPVKE(配列番号5)(ここでXは任意のアミノ酸である)を含んで成る。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyValProValLysGlu(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、XはR残基である。
【0049】
もう1つの好ましい態様においては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められた識別性を有する酵素は、アミノ酸配列:LSVXLGIPVKE(配列番号6)(ここでXは任意のアミノ酸である)を含んで成る。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyIleProValLysGlu(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、前記XはR残基である。
【0050】
本明細書に記載されるE681K変異の特徴化は、負に荷電された螢光ヌクレオチドと相互作用するポリメラーゼの能力に影響を及ぼす、DNAポリメラーゼ遺伝子における領域を同定した。ヘリックスOに対して遠位のこの部位は、ポリメラーゼのOa ヘリックスの末端部及びOb ヘリックスの開始部に存在する(Kim,など., 1995, Nature, 376:612 )。当業界において良く知られている分子モデリング原理に基づけば、位置681のEからK以外のOa −Ob ヘリックスの構造の変化はまた、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して識別するポリメラーゼの能力の変化をもたらすことが予測される。
【0051】
従って、位置4のX残基における変異以外の必須のモチーフにおける位置での変異もまた、本発明の範囲内である。この態様においては、本発明は、組換え熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を提供し、ここで前記酵素は、a)その生来の形において、前記ポリメラーゼはアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り、b)前記組換えポリメラーゼが前記アミノ酸配列内での少なくとも1つの変異を含んで成り、但し、位置4のXはEへは変異誘発されず、そしてc)前記酵素がその対応する生来の酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することにより特徴づけられる。
【0052】
同様に、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで位置4のXは任意のアミノ酸であるが、しかしEではない)である必須のモチーフに対して類似するが、しかし同一ではない必須のモチーフを含んで成る熱安定性DNAポリメラーゼは、本発明の範囲内である。特に1つの態様において、前記必須のモチーフは、アミノ酸配列:LXXXXXXXXXE(配列番号8)(ここで、位置4のXは、Eを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaGlu(配列番号8)(ここで、位置2,3,5,6,7,8,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。
【0053】
もう1つの態様において、前記必須のモチーフは、アミノ酸配列:L(S/A)XX(L/I)XXXXXE(配列番号9)(ここで、位置XのXはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaGlu(配列番号9)(ここで、位置3,6,7,8,9、及び10での“Xaa”は任意のアミノ酸であり、位置2の“Xaa”はSer又はAlaであり、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置5の“Xaa”はLeu又はIleである)として表わされる。
【0054】
さらにもう1つの態様においては、前記必須のモチーフは、アミノ酸配列:LSXXLXXXXXE(配列番号10)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaXaaXaaXaaXaaGlu(配列番号10)(ここで、位置3,6,7,8,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。
【0055】
フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを効果的に組込む本発明の酵素の能力は、ddNTP組込みアッセイにより測定される。1つのそのようなアッセイは、制限鋳型の条件下で行なわれるプライマー延長競争アッセイである。このアッセイにおいては、M13mp18鋳型(Innisなど., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:9436)に結合されるプライマーDG48(5′−GGGAAGGGCGATCGGTGCGGGCCTCTTCGC)(配列番号11)が、種々のレベルの螢光ラベルされたddNTP、Zowie−ddCTPと共に、〔α−33P〕dCTP及び過剰の酵素の存在下で延長される。
【0056】
ddCTP残基の組込みがその延長反応を終結するので、DNAポリメラーゼが延長されたプライマー中にddCTPをより容易に組込むほど;〔α−33P〕dCTPの組込みは低くなる。従って、螢光ラベルされたddCTP組込みの効率が低くなるにつれて、DNA合成の阻害の程度は高められる。その反応はまた、種々のレベルのラベルされていないddCTPによっても実施された。50%阻害率のために必要とされるddCTP及びZowie−ddCTPの濃度が計算され、そして比較され、螢光ラベルされたヌクレオチドを組込む酵素の能力を相対的測定結果が付与された。ddNTP組込みアッセイの詳細は、例2に供給される。
【0057】
従って、本発明の1つの態様においては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性の特徴が、例2に記載される螢光ddNTP組込みアッセイにより測定される。好ましい態様においては、DNA合成の50%阻害率のために必要とされるフルオレセイン色素、すなわちZowie−ddCTPによりラベルされたddNTPの濃度は、野生型酵素に比較し、本発明の変異体酵素に関して少なくとも3倍、低められる。より好ましい態様においては、前記濃度は、少なくとも10倍低められる。もう1つの態様においては、低められた識別性の特徴が螢光dNTP組込みを測定することによってアッセイされる。
【0058】
本発明のもう1つの観点においては、熱安定性DNAポリメラーゼ遺伝子配列及び酵素は、種々の好熱種に由来する。1つの観点においては、ポリメラーゼ遺伝子配列及び酵素はサーマス属の種からである。本発明の他の態様においては、遺伝子配列及び酵素は、サーマス以外の好熱種からである。多くの熱安定性DNAポリメラーゼのための完全な核酸及びアミノ酸配列は入手できる。Taq、サーマス・サーモフィラス(Tth)、サーマス・スペーシスZ05、サーマス・スペーシスsps17、サーモトガ・マリチマ(Tma)及びサーモシフォ・アフリカナス(Taf)ポリメラーゼの個々の配列は、1992年4月16日にPCT特許公開番号WO92/06200として公開されたPCT国際特許出願番号PCT/U.S.91/07035に公開されている。
【0059】
サーマス・フラバス(Thermas flavus)、バシラス・カルドテナクス(Bacillus Caldotenax)及びバシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)からのDNAポリメラーゼのための配列は、それそれ、Akhmetzjanov and Vakhitov, 1992, Nucleic Acids Research 20 (21):5839;Uemoriなど., 1993, J. Biochem. 113: 401-410;及びNG:New GenBankデータベースからの受託番号BSU23149ng(それぞれ引用により本明細書に組込まれる)に公開されている。
【0060】
サーマス・カルドフィラス(Thermas caldophilus)からの熱安定性DNAポリメラーゼの配列は、EMBL/Genbank受託番号U62584として見出される。サーマス・フィリホルミス(Thermus filiformis)からの熱安定性DNAポリメラーゼの配列は、アメリカ特許第4,889,818号に提供される方法及び表1に提供される配列情報を用いて、ATCC寄託番号第42380号から回収され得る。サーモトガ・ネアポリタナ(Thermotoga neapolitana)のDNAポリメラーゼの配列は、GeneSeq Patent Data Base Accession No. R98144(PCT W097/09451 にも開示される)からである。
【0061】
【表1】
Figure 0004417452
【0062】
1.受託番号D12982, Uemori T., Ishino Y., Fujita k., Kato L. “Cloning of the DNA polymerase gene of Bacillus caldotenax and characterization of the gene product" J. Biochem. 113 :401 (1993)からのタンパク質配列。その配列における必須の残基は725である。ほとんど同一のタンパク質配列が、受託番号R45155及びWPI93−408323/51において推定上の“バシラス・ステアロサーモフィラス”DNAポリメラーゼとして提供される。その配列における決定的な残基は724である。
【0063】
2.Gene Bank又はSwiss Prot/PIRデータベースにバシラス・ステアロサーモフィラスDNAポリメラーゼのためのいくつかの配列が提供されている。それらの配列はお互いひじょうに関連しているが、しかし、いく分異なっているけれども、個々の配列は同一のL(S/A)XX(L/I)XXXXXE(配列番号9)モチーフ(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)を含む。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaXaaGlu(配列番号9)(ここで、位置3,6,7,8,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、位置2の“Xaa”はSer又はAlaであり、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置5の“Xaa”はLeu又はIleである)として表わされる。
【0064】
上記表においては、位置724に必須のモチーフにおける必須の残基を含んで成るタンパク質配列は、日本特許公開J05304964A、ヨーロッパ特許第699,760号及び受託番号U33536により供給される。もう1つの非常に関連しているが、しかしいく分異なっているタンパク質配列は、Gene 163:65-68 (1995)に公開されており、位置727での必須のモチーフにおいて決定的残基を含む。Bst DNAポリメラーゼのためのもう1つの非常に関連するが、しかしいく分異なっている、受託番号U23149のタンパク質配列は、位置802にある必須のモチーフにおいて必須の残基を含む。
【0065】
個々の好熱種のDNAポリメラーゼはユニークであるので、決定的領域のアミノ酸位置は個々の酵素に関して異なる。アミノ酸及び核酸配列の配置プログラムは、容易に入手でき、そして本明細書において同定される特定の領域が与えられる場合、本発明の正確な配列領域の同定を助力する。そのような配列の配置プログラムは、Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, Wisconsinから入手できる。ここで同定される特定のモチーフが与えられる場合、“GAP”、“BESTFIT”及び“PILEUP”を包含するそれらのプログラムは、必須のモチーフの局在化を助ける。決定的領域の位置は、典型的な好熱種からの熱安定性DNAポリメラーゼについての表1に示されている。
【0066】
熱安定性DNAポリメラーゼのポリメラーゼドメイン内の必須のモチーフLSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸である)の正確な位置にもかかわらず、そのモチーフの存在は、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを効果的に組込む能力を有する熱安定性DNAポリメラーゼを供給するよう作用する。
【0067】
従って、必須のモチーフを生成するための、サーマス・フラバス(Glu679)、サーマス・サーモフィラス(GluU683)、サーマス・スペーシスZ05(Glu683)、サーマス・スペーシスsps17(Glu679)、サーマス・カルドフィラス(Glu683)、サーマス・フィリホルミス(Glu679)からの熱安定性DNAポリメラーゼの保存されたグルタミン酸の変異が、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを効果的に組込むポリメラーゼの能力に対する増強効果を提供するであろう。
【0068】
さらに、現在同定された必須のモチーフの高く保存された性質の観点から、新規熱安定性DNAポリメラーゼは、たとえばTaq DNAポリメラーゼ、又は表1における他のDNAポリメラーゼの配列に対するそれらの相同性に基づいて同定され得る(たとえば、引用により本明細書に組込まれるアメリカ特許第5,618,711号及び第5,624,833号を参照のこと)。本明細書に記載される方法により決定される場合、そのようなポリメラーゼは、それらのペプチド配列がTaqポリメラーゼアミノ酸配列に対して少なくとも45%及び最とも好ましくは80%以上相同である限り、本発明の範囲内である。
【0069】
従って、本発明はまた、熱安定性DNAポリメラーゼ、及び次の種からの対応する遺伝子及び発現ベクターを含む種々の酵素に関する:サーマス・オシマイ(Thermus oshimai)(Williams RA,など., 1996, Int. J. Syst. Bacteriol. 46 (2):403-498);サーマス・シルバヌス(Thermus silvanus)及びサーマス・クリアロフィラス(Thermus chliorophilus)(Tenreiro S, など., 1995, Int. J. Syst. Bacteriol 45 (4) :633-639);サーマス・スコトグクタス(Thermus scotoductus)(Tenreiro S, など., 1995, Res. Microbiol. 146 (4):315-324);サーマス・ルバー(Thermus ruber)ATCC35948(L. G. Loginova, 1984, Int. J. Syst. Bacteriol. 34 :498-499);及びサーマス・ブロキアヌス(Thermus brockianus)(Munster, M. J., 1986, J. Gen. Microbiol. 132:1677)(それらの出版物は、引用により本明細書にそれぞれ組込まれる)。
【0070】
当業者は、フルオレセイン−ラベルされたヌクレオチドを組込むための増強された効率を有する上記熱安定性DNAポリメラーゼが組換えDNA技法、たとえば特定部位の変異誘発により最とも容易に構成されることを認識するであろう。たとえば、Sambrookなど., Molecular Cloning A Laboratory Maual, Cold Spring Harbor, 1989、第2版、チャプター15.51,“Oligonucleotide-mediated mutagenesis”(引用により本明細書に組込まれる)を参照のこと。この技法は当業界において現在、標準であり、そして遺伝子におけるいづれかの決定された部位ですべての可能な種類の塩基対変更を創造するために使用され得る。
【0071】
その方法は、所望する変異を表わす、限定されたミスマッチを除く、変異誘発される一本鎖ファージ又はプラスミドDNAに対して相補的である合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて実施される。手短に言及すれば、合成オリゴヌクレオチドは、ファージ又はプラスミドに対して相補的な鎖の合成を指図するためのプライマーとして使用され、そして得られる二本鎖DNAを用いて、ファージ−又はプラスミド−維持の宿主細菌が形質転換される。その得られる細菌は、たとえば所望する変異誘発された遺伝子配列を担持するそれらのプラーク又はコロニーを同定するために、DNA配列分析又はプローブハイブリダイゼーションによりアッセイされ得る。
【0072】
PCRの発明に続いて、プライマー指令変異誘発(アメリカ特許第4,683,195号に記載される;引用により本明細書に組込まれる)、及び“オーバーラップPCR”(Higuchi, 1989, PCR Technology, ed. Erlich, Stockfon Press, New York, NY, pp 61-70 )が、遺伝子のいづれかの位置でいづれかの変異を導入する日常の手段になった。
【0073】
変異誘発されたDNAは、従来の手段によりプラスミド、ファスミド、ファージ又は増幅反応から回収され、そして得られる酵素の続く培養及び精製のために発現ベクター中に連結される。多くのクローニング及び発現ベクターは、たとえばSambrookなど.,1989前記に記載されるように、哺乳類及び細菌システムを包含する発明を実施するために適切である。便利さのために、本発明は、λ由来のPL プロモーター(Shimatake など., 1981, Nature 292 :128 )を用いて例示される。このプロモーターの使用は、引用により本明細書に組込まれるアメリカ特許第4,711,845号及び第5,079,352号に特に記載される。
【0074】
プラスミドpCS1は、1997年8月28日にATCCに寄託され、そして受託番号98521を付与された。このプラスミドは、グルタミン酸がその得られるポリペプチドにおいてリシンにより置換されるような位置681でのコドンで変異誘発された、熱安定性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子を含み、そしてフルオレセイン類の色素によりラベルされるヌクレオチドを組込むための増強された効率を有する熱安定性DNAポリメラーゼを提供するための手段を提供する。
【0075】
例1は、他の熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を創造するためにE681K変異をサブクローニングするのに適切なフランキング制限部位の使用を例示する。他方では、多くの熱安定性DNAポリメラーゼのための完全な遺伝子配列は知られているので、E681K変異を導入するための他の手段、たとえば制限消化及びフラグメント置換は、ATCC寄託物の利用性及び本明細書に供給される配列情報を有する当業者に容易に利用できる。
【0076】
本発明の変異体の又は生来の酵素の1つ又はそれらの酵素の誘導体又は相同体の生成を所望する場合、前記酵素の生成は、典型的には、発現ベクターによる宿主細胞の形質転換、及びその形質転換された宿主細胞の発現が生じるであろう条件下での培養を包含する。形質転換及び形質転換された宿主細胞の培養のための手段は、当業界において良く知られており、そしてたとえば、Sambrookなど.,1989、前記、に詳細に記載される。
【0077】
本発明の熱安定性DNAポリメラーゼは一般的に、野生型又は修飾された熱安定性DNAポリメラーゼをコードする遺伝子に操作可能的に連結される発現ベクターにより形質転換されたE.コリ株DG116(1987年4月7日、ATCC53606として寄託されている)から精製される。熱安定性DNAポリメラーゼを精製するための方法は、たとえば例1及びLawyerなど., 1993, PCR Methods and Applications :275-87(引用により本明細書に組込まれる)に記載される。
【0078】
本発明の熱安定性酵素は、そのような酵素活性が必要であり又は所望されるいづれかの目的のために使用され得る。使用の例は、DNA配列決定、DNAラベリング、及びプライマー延長生成物のラベリングを包含する。Sangerのジデオキシヌクレオチド方法(Sangerなど., 1977, Proc. Natl. Acad. Sci. 74:5463)によるDNA配列決定は、本発明により特に改良される。基本的なSangerなどの方法における進歩は、新規ベクター(Yanisch-Perronなど., 1985 Gene 33 :103-119 )、及び塩基類似体(Mills など., 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. 76:2232-2235 、及びBarrなど., 1986, Biotechniques :428-432 )を提供して来た。
【0079】
一般的に、DNA配列決定は、鎖−終結塩基類似体の存在下で鋳型−依存性プライマー延長を必要とし、結果的にサイズにより分離される部分的フラグメントの分布をもたらす。基本的ジデオキシ配列決定方法は、(i)鋳型に対して、任意にラベルされたオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングし;(ii)4種の別々の反応においてDNAポリメラーゼによりプライマーを延長し、ここで個々の反応はラベルされていないdNTPの混合物、及び限定量の一本鎖終結剤、たとえば任意にラベルされたddNTPを含み;そして(iii )高い分解能の変性ポリアクリルアミド/尿素ゲル上で4組の反応生成物を分解することを包含する。反応生成物は、使用されるラベルに依存して、オートラジオグラフィー又は螢光検出によりゲルにおいて検出され得、そして像は、ヌクレオチド配列を推定するために試験され得る。それらの方法は、DNAポリメラーゼ、たとえばE.コリPolIのクレノウフラグメント、又は変性されたT7 DNAポリメラーゼを使用する。
【0080】
耐熱性ポリメラーゼ、たとえばTaq DNAポリメラーゼの有用性は、熱安定性DNAポリメラーゼによる配列決定のための改良された方法(Innisなど.,1988、前記を参照のこと)及び“サイクル配列決定”と呼ばれるその変法(Murray, 1989, Nuc. Acids. Res. 17 :8889)をもたらした。基本的なジデオキシ配列決定の代用としてのサイクル配列決定は、鎖ターミネーターの存在下で鋳型配列に対して相補的な標的配列の線状非対称増幅である。単一のサイクルは、すべての可能な長さの種類の延長生成物を生成する。DNA鋳型からの延長反応生成物の変性に続いて、プライマーアニーリング及びプライマー延長の複数のサイクルが、ターミネーター、たとえばddNTPの存在下で生じる。
【0081】
サイクル配列決定は、従来の鎖−終結配列決定よりも少ない鋳型DNAを必要とする。熱安定性DNAポリメラーゼはサイクル配列決定においていくつかの利点を有し、すなわちそれらは核酸標的物へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションのために必要とされるきびしいアニーリング温度に対して耐性があり、そして個々のサイクルにおいて生じる高い温度変性、すなわち90〜95℃の複数のサイクルに対して耐性がある。この理由のために、Ampli Taq(登録商標)DNAポリメラーゼ、及びその誘導体及び由来物が、Perkin−Elmer,Norwalk,CTの会社により市販されているTaqサイクル配列決定キットに包含されて来た。
【0082】
鎖終結配列決定法の2つの変法、すなわち色素−プライマー配列決定法及び色素−ターミネーター配列決定法が存在する。色素−プライマー配列決定法においては、ddNTPターミネーターはラベルされず、そしてラベルされたプライマーが延長生成物を検出するために使用される(Smith など., 1986, Nature 32:674-679 )。色素−ターミネーターDNA配列決定法においては、DNAポリメラーゼが、DNAプライマーの末端上にdNTP及び螢光ラベルされたddNTPを組込むために使用される(Leeなど.,前記)。この方法は、色素ラベルされたプライマーを合成すべきでない利点を付与する。さらに、色素−ターミネーター反応は、すべての4種の反応が同じ管において実施され得ることにおいてより便利である。
【0083】
色素−プライマー及び色素−ターミネーターの両方法は、Applied Biosystems, Foster City, CA により製造される自動配列決定装置を用いて自動化され得る(アメリカ特許第5,171,534号;引用により本明細書に組込まれる)。前記装置を用いる場合、完結された配列決定反応混合物が、前記装置に固定される変性ポリアクリルアミドゲル上で分別される。装置の底でのレーザーが、螢光生成物がゲルを通して大きさに従って電気泳動される場合、その生成物を検出する。
【0084】
2種のタイプの螢光色素、すなわち負に荷電された及び両性の螢光色素が、色素−ターミネーター配列決定のために使用されるターミネーターをラベルするために通常使用される。負に荷電された螢光色素は、フルオレセイン及びBODIPY種類の色素を包含する。BODIPY色素(4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン)が、国際特許公開番号97/00967(引用により本明細書に組込まれる)に記載されている。両性螢光色素は、ローダミン類の色素を包含する。
【0085】
市販のサイクル配列決定キットは、ローダミン誘導体によりラベルされたターミネーターを使用する。しかしながら、ローダミン−ラベルされたターミネーターはかなり高価であり、そしてその生成物は、配列決定生成物と共に同時移動するので、ゲル上に負荷する前、組込まれていない色素−ddNTPから分離されるべきである。ローダミン類の色素は、生成物の異常な移動を引き起こす、GCに富んでいる領域におけるヘアピン構造体を安定化するように見える。これは、その二次構造体をゆるめるdITPの使用を必要とし、また、ターミネーターの組込みの効率にも影響を及ぼす。
【0086】
対照的に、フルオレセインによりラベルされたターミネーターは、それらが高い負の電荷を有し、そして配列決定生成物よりも早く移動するので、ゲル負荷の前の分離段階を排除する。さらに、フルオレセインによりラベルされた配列決定生成物は、ローダミンによりラベルされた配列決定生成物よりも良好な電気泳動移動性を有する。野生型Taq DNAポリメラーゼはフルオレセイン類の色素によりラベルされたターミネーターを効果的に組込まないけれども、それは本明細書に供給される修飾された酵素の使用により現在、効果的に達成され得る。
従って、本発明の範囲は、必須のモチーフを有する酵素を用いてのジデオキシ配列決定のための新規方法、及び前記方法を実施するためのキットを包含する。
【0087】
1つの態様において、本発明の配列決定方法は、
a)組換え熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を用意し、ここで前記酵素は、
i)その生来の形において、前記ポリメラーゼは、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここでXは任意のアミノ酸である)を含んで成り、
ii)前記配列中の位置4のXが、前記生来の配列に比較して変異誘発されており、但しXはEに変異誘発されておらず;そして
iii )前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有することにより特徴づけられ;そして
b)色素−ターミネーター配列決定反応を実施することも含んで成る。
【0088】
上記方法の好ましい態様においては、前記生来の形の酵素は、アミノ酸配列:LS(Q/G)XL(S/A)IPYEE(配列番号2)(ここで、Xは任意のアミノ酸配列である)を有する。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaIleProTyrGluGlu(配列番号2)(ここで、位置3の“Xaa”はGln又はGlyであり、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置6の“Xaa”はSer又はAlaである)として表わされる。
【0089】
より好ましい態様においては、その生来形のアミノ酸配列は、LSQXLAIPYEE(配列番号3)(ここで、Xは任意のアミノ酸配列である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerGlnXaaLeuAlaIleProTyrGluGlu(配列番号3)(ここで、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、位置4の“Xaa”はLysである。
【0090】
上記のように、熱安定性DNAポリメラーゼによるDNA配列決定は、鎖−ターミネーターとして作用する異例な塩基類似体、及び従来のヌクレオチドを、数百の塩基の距離にわたってすべての可能なフラグメントの長さを表わす、延長生成物の集団が生成されることを保証する濃度の特定の割合で含む混合物を必要とする。配列決定のためにこれまで使用されて来たいくつかの熱安定性DNAポリメラーゼ、たとえば野生型Taqポリメラーゼは、それらが従来のヌクレオチド及び異例なヌクレオチドの混合物の存在下で従来のヌクレオチドを選択的に組込むことにより特徴づけられる。しかしながら、最近記載されるいくつかの熱安定性DNAポリメラーゼは、従来の塩基に対する異例な塩基類似体の割合を、百倍〜数百倍又は数千倍まで低めることを可能にする。
【0091】
1つのそのようなポリメラーゼは、Taq DNAポリメラーゼのF667Y変異体である。もう1つのそのような変異体は、F667Y変異、及び位置46においてグリシン残基をアスパラギン酸残基に変更する変異(G46D)を有するTaq DNAポリメラーゼである。Ampli Taq,FSとして知られているこの変異体ポリメラーゼは、Hoffman−La Rocheにより製造され、そしてPerkin−Elmerにより市販されている。F730Y Tma30 DNAポリメラーゼは、もう1つのそのようなポリメラーゼである。
【0092】
この変異体ポリメラーゼは、1)G46D変異をコードするよう修飾されたTaq DNAポリメラーゼのヌクレオチド1−570、及び2)位置323でアスパラギン酸からアラニンへの変異、位置325でグルタミン酸からアラニンへの変異、及び位置730でフェニルアラニンからチロシンへの変異をコードするよう修飾されたTma DNAポリメラーゼのヌクレオチド571−2679の組合せである(アメリカ特許出願番号60/052065及びヨーロッパ特許出願第98112327.6号;両者とも引用により本明細書に組込まれる)。
【0093】
異例な塩基類似体を組込むもう1つのポリメラーゼは、サーモトガ・ネアポリタナからのF730Y変異体DNAポリメラーゼである(国際特許出願番号WO96/10640,WO96/41014及びWO97/09451;それらは引用により本明細書に組込まれる)。一定のdNTP濃度に関して、それらの酵素を使用する場合、ローダミン−ddNTP濃度は、これまで利用できる熱安定性DNAポリメラーゼに比較して、約50倍〜数百倍、低められ得る。
【0094】
本発明のE681K変異が、例4に記載される配列決定反応に使用される二重変異体Taq DNAポリメラーゼ酵素を生成するために、F667Y変異と共に、組換えDNA方法を用いて組合された。その二重変異体は、フルオレセインによりラベルされた色素ターミネーターとの色素−ターミネーター配列決定反応に使用された。例4に記載される結果は、前記酵素が、配列決定反応においてフルオレセインによりラベルされた色素ターミネーターを組込むことができ、そして自動化された配列決定装置において正確に読取られ得る配列決定ラダーを生成することを示す。意外なことには、E681K及びF667Y変異の組合せはまた、例3に記載されるアッセイにより測定される場合、F667Y変異のみを有する酵素に比較して、3〜4倍早められた延長速度で熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を生成することが見出された。
【0095】
従って、本発明のもう1つの観点においては、本発明において同定される必須のモチーフは、ラベルされた及びラベルされていないddNTPの両者の組込みの高められた効率を有するポリメラーゼを生成するために、ddNTPに対する低められた識別性を付与するモチーフと組み合わされ得る。それらのポリメラーゼは、DNA配列決定法において有用である。本発明の1つの態様においては、本明細書において定義される必須のモチーフを有する熱安定性DNAポリメラーゼはまた、アメリカ出願番号08/448,223に記載される、F667Y変異を含む必須のモチーフを含んで成る。
【0096】
この態様においては、熱安定性DNAポリメラーゼは、
i)その生来の形において、前記ポリメラーゼは、第1のアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;
ii)前記第1のアミノ酸配列における位置4のXが前記生来の配列に比較して変異誘発されており、但し、XはEに変異誘発されておらず;
iii )前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有し;
iv)前記ポリメラーゼが第2のアミノ酸配列:MRRXXKXXNYXXXYG(配列番号12)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして
v)前記熱安定性DNAポリメラーゼがまた、前記酵素の生来の形に比較して、異例なヌクレオチドの組込みに対する低められた識別性を有することにより特徴づけられる。
【0097】
3文字コードにおいては、前記第2のアミノ酸配列は、MetArgArgXaaXaaLysXaaXaaAsnTyrXaaXaaXaaTyrGly(配列番号12)(ここで、位置4,5,7,8,11,12及び13の“Xaa”は任意のアミノ酸である)により表わされる。好ましい態様においては、前記第1のアミノ酸配列における位置4の“Xaa”は、Lysに変異誘発されている。より好ましい態様においては、前記酵素はTaq DNAポリメラーゼであり、そしてそれはE681K及びF667Y変異を含んで成る。上記ポリメラーゼを用いての配列決定の方法もまた、本発明の範囲内である。
【0098】
変異により誘導されないが、しかし天然の変異体として存在する必須のモチーフを有する熱安定性DNAポリメラーゼ酵素を用いて実施される本発明の改良された配列決定法もまた、本発明の範囲内である。この観点においては、好熱性細菌種のDNAポリメラーゼが、位置4での残基がGluではない必須のモチーフを有する。たとえば、サーモトガ・ネアポリタナからの熱安定性DNAポリメラーゼにおいては、前記モチーフLSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)における位置4のXは、アルギニン残基である。
【0099】
従って、本発明は、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成る生来の熱安定性DNAポリメラーゼを用いてのDNA配列決定の改良された方法を提供する。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaXaaProXaaXaaGlu(配列番号7)(ここで、位置3,6,9及び10の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。
【0100】
この態様においては、本発明の配列決定方法は、
a)熱安定性DNAポリメラーゼを用意し、ここで前記ポリメラーゼが、
i)前記ポリメラーゼは、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして
ii)前記熱安定性DNAポリメラーゼがフルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性をすることにより特徴づけられ;
b)フルオレセイン類の色素によりラベルされた色素−ターミネーターを用意し;そして
c)色素−ターミネーター配列決定反応を実施することを含んで成る。
【0101】
より好ましい態様においては、本発明の配列決定法は、
a)熱安定性DNAポリメラーゼを用意し、ここで前記ポリメラーゼは、
i)前記ポリメラーゼが、第1のアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;
ii)前記熱安定性DNAポリメラーゼがフルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有し;
iii )前記ポリメラーゼが第2のアミノ酸配列:MRRXXKXXNYXXXYG(配列番号12)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;
iv)前記熱安定性DNAポリメラーゼが異例なヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することにより特徴づけられ;
b)フルオレセイン類の色素によりラベルされた色素−ターミネーターを用意し;そして
c)色素−ターミネーター反応を実施することを含んで成る。
【0102】
もう1つの好ましい態様においては、前記酵素は、アミノ酸配列:LS(Q/G)XL(S/A)IPYEE(配列番号13)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸配列である)を含んで成る。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaIleProTyrGluGlu(配列番号13)(ここで、位置3の“Xaa”はGlu又はGlyであり、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置6の“Xaa”はSer又はAlaである)として表わされる。より好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSQXLAIPYEE(配列番号14)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerGlnXaaLeuAlaIleProTyrGluGlu(配列番号14)(ここで、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。
【0103】
さらにもう1つの好ましい態様においては、前記酵素は、アミノ酸配列:LSVXLG(V/I)PVKE(配列番号15)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)を有する。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyXaaProValLysGlu(配列番号15)(ここで、位置4の“Xaa”は、Gluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。より好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSVXLGVPVKE(配列番号16)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である。
【0104】
3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyValProValLysGlu(配列番号16)(ここで、位置4での“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、位置4の“Xaa”はArgである。もう1つのより好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSVXLGIPVKE(配列番号17)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyIleProValLysGlu(配列番号17)(ここで、位置4での“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、位置4の“Xaa”はArgである。
【0105】
本発明のもう1つの態様においては、配列決定方法は、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められたレベルの識別性を有する生来の酵素を用いて実施され、ここで前記レベルは、例2に記載されるようなddNTP組込みアッセイを用いて測定される。DNA合成の50%阻害のために必要とされるddCTPの濃度が、50%阻害のために必要とされるZowie−ddCTPの濃度と共に決定される。ddCTPのための濃度に対するZowie−ddCTPのための濃度の比が計算される。好ましい態様において、その比は10又はそれ以下である。より好ましい態様において、その比は4又はそれ以下である。最とも好ましい態様において、その比は1,2又はそれ以下である。
【0106】
本明細書に供給される例はフルオレセイン類の色素によりラベルされたジデオキシヌクレオチドを使用するけれども、他の異例なヌクレオチド及び螢光色素の使用もまた、本発明の範囲内である。他の異例なヌクレオチドは、DNA合成の生成物をラベルするために使用され得る螢光ラベルされたdNTP、及びプライマー延長生成物をラベルするために使用され得る螢光ラベルされたrNTPを包含する。他の色素は、他の負に荷電された螢光色素、たとえばフルオレセインに構造的及び化学的に類似するBODIPYを包含する。他の色素はまた、シアニン色素を包含する。
【0107】
シアニンによりラベルされたdNTPは、E681K変異(及びG46D変異)を有するTaq DNAポリメラーゼを包含する標準のPCR反応に添加された。そのシアニンによりラベルされたdNTPは、野生型酵素のためよりも高いレベルで増幅生成物中に組込まれることが思いがけなく見出された。従って、この観点においては、本発明のDNAラベリング方法は、本発明の生来の又は変異体のポリメラーゼ、及び負に荷電された螢光色素又はシアニン色素のいづれかによりラベルされたヌクレオチドを使用する。
【0108】
1つの態様においては、本発明のDNAラベリング方法は;
a)熱安定性DNAポリメラーゼを用意し、ここで前記ポリメラーゼは、
i)前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4でのXはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして
ii)前記ポリメラーゼが異例なヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することにより特徴づけられ;
b)負に荷電された螢光色素によりラベルされたヌクレオチドを用意し;そして
c)DNA合成反応を実施することを含んで成る。
【0109】
もう1つの態様においては、本発明のDNAラベリング方法は、
a)熱安定性DNAポリメラーゼを用意し、ここで前記ポリメラーゼは、
i)前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4でのXはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして
ii)前記ポリメラーゼが異例なヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することにより特徴づけられ;
b)シアニン色素によりラベルされたヌクレオチドを用意し;そして
c)DNA合成反応を実施することを含んで成る。
【0110】
本発明のもう1つの観点においては、rNTPのより効果的な組込みを可能にする変異、たとえばTaq DNAポリメラーゼの位置615でのグルタミン酸からグリシンへの変異、及び本発明の必須のモチーフを組合す熱安定性DNAポリメラーゼが供給される。その得られる酵素は、フルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドの組込みの高められた効率を有することが予測される。
【0111】
従って、1つの態様においては、本発明は、(1)その生来の形において、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(2)位置4のXが、その位置4のXがEに変異誘発されないように変異誘発されており;(3)また、アミノ酸配列:SQIXLR(V/I)(配列番号18)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である決定的領域を含んで成り;そして(4)フルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドを効果的に組込むことができる組換え熱安定性DNAポリメラーゼを提供する。3文字コードにおいては、後者の配列は、SerGlnIleXaaLeuArgXaa(ここで、位置4での“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。
【0112】
変異体ポリメラーゼドメイン、たとえばE615G及びE681K変異を含むTaqのためのドメインは、フルオレセイン類の色素によりラベルされたプライマー延長生成物を生成する改良された方法において有用である。たとえば、プライマー延長反応、たとえばPCRにおいては、フルオレセイン類の色素によりラベルされたrNTPが、4種の標準のdNTPの1つにより少なくとも部分的に置換され、そして二重変異体ポリメラーゼ、たとえばE681K E615G Taq DNAポリメラーゼが含まれる。
【0113】
その変異体ポリメラーゼは、それらの長さにそって種々の位置で、フルオレセインによりラベルされたリボヌクレオチド残基を有するプライマー延長生成物を合成する。熱又はアルカリ処理に基づいて、そのプライマー延長生成物は、個々のリボヌクレオチド残基でフラグメント化され、末端をラベルされたフラグメントの集団が生成される。均等にラベルされたフラグメントのこの集団は、プライマー延長生成物の長さを通して螢光ラベルの分布を表わす。それらの特徴を有するラベルされたフラグメントは、珪素チップ、たとえばCroninなど.,前記のチップに基づく核酸検出型において有用である。
【0114】
従って、1つの態様においては、本発明は、(1)熱安定性DNAポリメラーゼを供給し、ここで前記ポリメラーゼは、(a)その生来の形において、アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(b)前記位置4のXが、その位置4でのXがEに変異誘発されないように変異誘発されており;(c)また、アミノ酸配列:SQIXLR(V/I)(配列番号18)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である決定的領域を含んで成り;そして(d)フルオレセイン及び/又はシアニン種類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドを効果的に組込むことができることにより特徴づけられ;そして(2)プライマー延長反応を実施することを含んで成る、プライマー延長生成物をラベリングするための方法を提供する。
【0115】
さらにもう1つの観点においては、本発明の必須のモチーフを有する酵素は、E681K F667Y変異体について例4に示されるように野生型酵素に比較して早められた延長速度を示す。1つの態様においては、前記酵素は、(1)その生来の形において、それはアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(2)前記アミノ酸配列が、位置4のXがEに変異誘発されないように位置4で変異誘発されており;そして(3)それが、野生型酵素に比較して早められた延長速度を有することによって特徴づけられる。
【0116】
好ましい態様においては、前記酵素は、(1)その生来の形において、それはアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(2)前記アミノ酸配列が、位置4でのXがEに変異誘発されないように位置4で変異誘発されており;(3)それがまた、アミノ酸配列:MRRXXKXXNYXXXYG(配列番号12)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして(4)早められた延長速度を有することによって特徴づけられる。
【0117】
より好ましい態様において、前記酵素は、(1)その生来の形において、それがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含み;そして(2)前記アミノ酸配列が、位置4でのXがKに変異誘発されないように位置4で突然誘発されていることによって特徴づけられる。最とも好ましい態様においては、前記酵素は、Taq DNAポリメラーゼであり、そしてE681K変異及びF667Y変異を含む。また、早められた延長速度を有するポリメラーゼを用いてのDNAの配列決定及びラベリングの方法、及び前記方法を行なうためのキットは、本発明の範囲内である。
【0118】
本発明の好ましいDNA配列決定方法においては、熱安定性ピロホスファターゼが反応混合物に含まれる。ピロホスファターゼは、ヨーロッパ特許出願番号EP−A−763599及びアメリカ特許第5,665,551号に記載される中温性及び変異体の熱安定性DNAポリメラーゼを用いて、配列決定データを増強することが知られている。
【0119】
典型的な態様においては、本発明の熱安定性DNAポリメラーゼはまた、このヌクレアーゼ活性を非常に弱くするよう作用する、5′−ヌクレアーゼドメインにおける変異を含む。Taqポリメラーゼの修飾された形が、1992年4月16日に公開されたPCT特許公開番号WO92/06200、及びアメリカ特許第5,466,591号に記載されている。本発明の1つの態様においては、アミノ酸位置46でのグリシン残基のためのコドンが、アスパラギン酸のためのコドンにより置換された(G46D変異)。その得られる酵素は、低められた5′−ヌクレアーゼ活性のためにサイクル配列決定反応において高められた利用性を有する。ポリメラーゼドメインアミノ酸配列、及びポリメラーゼ活性は、野生型酵素に比較して、G46D変異体においては、両者とも変更されていない。
【0120】
本発明の商業的態様においては、本発明の使用により改良される方法を実施するためのキットが、本発明のさらなる観点であると思われる。DNA配列決定のための1つのそのようなキットは、
a)熱安定性DNAポリメラーゼ、ここで前記ポリメラーゼは、
i)前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4のXはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして
ii)前記ポリメラーゼがフルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することによって特徴づけられ;及び
b)負に荷電された螢光色素によりラベルされた色素−ターミネーターを含んで成り、そしてさらに、DNA配列決定のための他の試薬、たとえばdNTP、熱安定性ピロホスファターゼ及び適切な緩衝液を含むことができる。
【0121】
もう1つの態様においては、キットにおける酵素は、アミノ酸配列:LSVXLG(V/I)PVKE(配列番号15)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)を有する。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyXaaProValLysGlu(配列番号15)(ここで、位置4の“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸であり、そして位置7の“Xaa”はVal又はIleである)として表わされる。
【0122】
好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSVXLGVPVKE(配列番号16)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyValProValLysGlu(配列番号16)(ここで、位置4の“Xaa”はEを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。
【0123】
より好ましい態様においては、位置4の前記“Xaa”はArgである。もう1つの好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSVXLGIPVKE(配列番号17)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerValXaaLeuGlyIleProValLysGlu(配列番号17)(ここで、位置4での“Xaa”はGluを除く任意のアミノ酸である)として表わされる。より好ましい態様においては、位置4での前記“Xaa”はArgである。
【0124】
DNA配列決定のための他のキットは、変異体熱安定性DNAポリメラーゼを含んで成り、ここで前記ポリメラーゼは、
a)その生来の形において、前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;
b)前記アミノ酸が位置4で変異誘発されており、但し、位置4でのXがEに変異誘発されておらず;そして
c)前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記酵素の生来の形に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することによって特徴づけられ、そしてさらに、DNA配列決定のための試薬、たとえば鎖終結化合物、dNTP、熱安定性ピロホスファターゼ及び適切な緩衝液を含むことができる。
【0125】
ターミネーターがラベルされる場合、好ましいラベルは螢光色素であり、より好ましくは、ラベルは負に荷電された螢光色素又はシアニン色素であり、そして最とも好ましくは、ラベルはフルオレセイン類の色素である。好ましい態様において、前記キット中の酵素は、アミノ酸配列:LS(Q/G)XL(S/A)IPYEE(配列番号2)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を有する。
【0126】
3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerXaaXaaLeuXaaIleProTyrGluGlu(配列番号2)(ここで、位置3の“Xaa”はGln又はGlyであり、位置4の“Xaa”は任意のアミノ酸であり、そして位置6の“Xaa”はSer又はAlaである)として表わされる。より好ましい態様においては、前記アミノ酸配列は、LSQXLAIPYEE(配列番号3)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)である。3文字コードにおいては、このアミノ酸配列は、LeuSerGlnXaaLeuAlaIleProTyrGluGlu(配列番号3)(ここで、位置4での“Xaa”は任意のアミノ酸である)として表わされる。最とも好ましい態様においては、位置4での前記“Xaa”は、Lysである。
【0127】
DNAをラベリングするためのキットは、熱安定性DNAポリメラーゼを含んで成り、ここで前記ポリメラーゼは、(a)その生来の形において、前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(b)前記配列中の位置4のXが前記生来の形に比較して変異誘発されており、但し位置4でのXはEには変異誘発されておらず;そして(c)前記酵素が、その対応する野生型に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することによって特徴づけられ、そしてさらに、dNTP及び適切な緩衝液を含むことができる。
【0128】
好ましい態様においては、位置4のXはKに変異誘発されている。ラベルされたDNAを生成するための他のキットは、a)負に荷電された螢光化合物によりラベルされたヌクレオチド又はヌクレオチド類似体、及びb)次の必須のモチーフ:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4でのXは、Eを除く任意のアミノ酸である)を有する生来の熱安定性DNAポリメラーゼ(前記ポリメラーゼは、フルオレセインによりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有する)を含んで成り、そしてさらに、dNTP及び適切な緩衝液を含むことができる。好ましい態様においては、位置4でのXはKである。もう1つの好ましい態様においては、位置4でのXはRである。
【0129】
プライマー延長生成物をラベリングするためのキットは、熱安定性DNAポリメラーゼを含んで成り、ここで前記ポリメラーゼは、(a)その生来の形において、前記ポリメラーゼがアミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号1)(ここで、Xは任意のアミノ酸である)を含んで成り;(b)前記配列中の位置4でのXが前記生来の配列に比較して変異誘発されており、但し位置4でのXはEに変異誘発されておらず;(c)前記ポリメラーゼがまた、第2のアミノ酸配列:SQIXLR(V/I)(配列番号18)(ここで、XはEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして(d)前記酵素がその対応する野生型酵素に比較して、フルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することによって特徴づけられ、そしてさらに、負に荷電された螢光化合物又はシアニン化合物によりラベルされたリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド類似体、dNTP、及び適切な緩衝液を含むことができる。
【0130】
好ましい態様においては、ポリメラーゼはE681K及びE615G変異を含む。ラベルされたプライマー延長生成物を生成するための他のキットは、a)負に荷電された螢光化合物又はシアニン化合物によりラベルされたリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド類似体;及びb)生来の熱安定性DNAポリメラーゼを含んで成り、ここで前記ポリメラーゼは、それが(i)アミノ酸配列:LSXXLX(V/I)PXXE(配列番号7)(ここで、位置4でのXはEを除く任意のアミノ酸である)である必須のモチーフを含んで成り;(ii)第2アミノ酸配列:SQIXLR(V/I)(ここで、XがEを除く任意のアミノ酸である)を含んで成り;そして(iii )フルオレセインによりラベルされたリボヌクレオチドの組込みに対して低められた識別性を有することによって特徴づけられ、そしてさらに、dNTP及び適切な緩衝液を含むことができる。
【0131】
好ましい態様においては、第1のアミノ酸配列における位置4でのXはKであり、そして第2のアミノ酸配列において、XはGである。もう1つの好ましい態様においては、第1のアミノ酸配列における位置4でのXはRであり、そして第2のアミノ酸におけるXはGである。
【0132】
【実施例】
次の例は単に例示目的であって、本発明の範囲を限定するものではない。
例1フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドに対して低められた識別性を有する修飾されたTaqポリメラーゼ遺伝子の発現
Taq DNAポリメラーゼのC−末端アミノ酸部分は、ポリメラーゼ活性部位ドメインをコードする(Lawyerなど., 1993, PCR Methods and Applications :275-287 ;Freemontなど., 1986, Proteins. Stracturo. Function. and Genetics :66-73 ;それらは引用により本明細書に組込まれる)。
【0133】
この領域を含むDNAフラグメントを、完全な長さのTaq2遺伝子から単離し、そしてマンガンの存在下でPCR増幅により変異誘発した(Leung など., 1989, Technique (1):11-15 )。この例のために、すべての制限酵素は、New England Biolabs, Beverly, MAから入手された。変異誘発されたフラグメントをPstI及びBglIIにより消化し、そしてPstI及びBglIIによりすでに消化されているTaq発現プラスミドpLK102中にクローン化した。
【0134】
プラスミドpLK102は、900bpのPstI−BglIIフラグメントが短いPstI−BglIIリンカーにより置換されているpLK101の誘導体である。プラスミドpLK101は、ポリメラーゼコード領域の3′側に位置する小さなHincII/EcoRVフラグメントが欠失されている、pSYC1578(Lawyerなど.,1993、前記、及びアメリカ特許第5,079,352号)の修飾された形である。
【0135】
得られる発現プラスミドを用いて、E.コリ株N1624(E.コリ Genetic Stock Center at Yale University、株番号CGSC#5066から入手できる)を形質転換し、そして得られる形質転換体を、野生型酵素に比較して、〔α−32P〕Tet−dCTPをより効果的に組込む能力についてスクリーンした。この方法を用いて、〔α−32P〕Tet−dCTPをより効果的に組込む能力を有する変異体CS1を同定した。
【0136】
変異体CS1の変異誘発されたTaq発現プラスミドをHindIII /NheIにより消化し、そして得られる制限フラグメントを、pLK101の野生型遺伝子中にサブクローン化し、変異誘発されていないHindIII /NheIフラグメントを置換し、変異誘発されたTaqポリメラーゼ遺伝子の一部が変更された表現型を担当するかどうかについて決定した。HindIII /NheI制限フラグメントを含むサブクローンは、野生型酵素に対して変更された表現型を付与し、これは、変異がこのフラグメント内に存在することを示す。続くサブクローン分析は、前記変異が265bpのBamHI−NheIフラグメントに位置することを決定した。
【0137】
265bpのNheI−BamHIフラグメントのDNA配列分析を、Applied Biosystems, Foster City, CA からの Taq FS DyeDeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kit、及びApplied Biosystems Model Prism 377 DNA Sequencing Systemを用いて、pCS1に対して実施した。その配列分析は、グルタミン酸(E)残基のリシン(K)残基による置換を引き起こす、アミノ酸位置681でのTaqポリメラーゼ遺伝子におけるミスセンス変異を同定した。番号付けは、アメリカ特許第5,079,352号(引用により本明細書に組込まれる)におけるように、成熟タンパク質の最初のメチオニン残基をコードするコドンで開始される。この変異E681Kは特に、コドン配列におけるGAGからのAAGへの変更により引き起こされる。プラスミドpCS1は、1997年8月28日にATCCに寄託され、そして受託番号98521を得た。
【0138】
プラスミドpCS1は、Taqポリメラーゼのためのコード配列に追加の変異を含むことができ;しかしながら、さらなるサブクローニング実験により、E681K変異が、フルオレセイン色素によりラベルされたヌクレオシド三リン酸の組込みにおいて高められた効率を単独で担当することが決定された。この点変異は、図1に示される265塩基対のBamHI−NheI DNAフラグメントに位置する。前記265bpのDNAフラグメント内でのE681K変異は、野生型Taqポリメラーゼ遺伝子配列からの単なる変更である。
【0139】
ヌクレオチド類似体の組込みの効率のさらなる分析及び定量化のために、プラスミドpCS1の265bpのBamHI−NheIフラグメントを、ポリメラーゼドメイン内に野生型配列を含むTaq発現ベクター、pRDA3−2中にクローン化した。クローン3−2として言及されるプラスミドpRDA3−2は、PCT特許公開番号WO92/06200(引用により本明細書に組込まれる)に十分に記載されている。E681K及びF667Y変異の両者をコードする第2のクローンを、プライマー指図された変異誘発及びプラスミドpRDA3−2のBamHI−NheI部位中への両変異を含むPCR生成物の続くクローニングにより創造した。
【0140】
発現ベクターpRDA3−2は、ファージλPL プロモーターに操作可能的に連結される完全な長さのTaq DNAポリメラーゼ遺伝子を含む。ベクターpRDA3−2においては、Taq DNAポリメラーゼ遺伝子の5′−ヌクレアーゼドメインは、5′−ヌクレアーゼ活性を低める、位置46でグリシンをコードするコドンでの点変異(G46D変異)を含む。しかしながら、発現ベクターpRDA3−2のポリメラーゼドメイン内の遺伝子配列は、野生型Taq DNAポリメラーゼ遺伝子配列と同一である。
【0141】
プラスミドpRDA3−2,pCS1及びE681K F667Y PCR生成物をBamHI及びNheIにより消化し、そしてプラスミドpCS1からの265bpのDNAフラグメント又はPCR生成物を、従来の手段によりベクターpRDA3−2中に連結した。それぞれ、得られるプラスミドpLK112及びpLK113を用いて、E.コリ株DG116(ATCC番号53606)を形質転換した。それらのプラスミドは、それぞれ、G46D E681K Taq及びG46D E681K F667Y Taqとして本明細書において言及される熱安定性DNAポリメラーゼをコードする。その発現された熱安定性DNAポリメラーゼタンパク質G46D E681K F667Y Taqを、Lawyerなど.,1993、前記により記載される方法に従って精製した。
【0142】
G46D E681K Taq酵素を、次のようにして、類似するが、しかしより小さな規模の調製方法を用いて精製した:すべての段階は、特にことわらない限り4℃で行なわれた。475mlの培養物からの細胞を、30mlの緩衝液(50mMのトリス−HCl、pH7.5、10mMのEDTA、pH8.0、0.5mMのPefabloc SC、0.5μg/mlのロイペプチン、0.1mMのNα−p−トシル−L−リシンクロロメチルケトン、1mMのDTT)に再懸濁した。細胞を、1分間、5に設定した50%能力サイクルで音波処理し、そして氷上で1分間、冷却した。この段階をさらに2回くり返した。
【0143】
次に、4.0Mの硫酸アンモニウム1.5mlを添加し、そしてその混合物を75℃の水浴において15分間、加熱し、次に氷上で冷却した。ポリエチレンイミンを添加し、0.6%にし、そしてその混合物を氷上で10分間インキュベートした。その混合物を16,000×gで30分間、遠心分離した。上清液を、50mMのトリス−HCl、pH7.5、10mMのEDTA、pH8.0、1mMのDTT、0.2Mの(NH4 2 SO4 の溶液により平衡化された1.8ml体積のフェニル−セファロースカラム(Bio−rad Polyprepクロマトグラフィーカラム)上に負荷した。
【0144】
カラムを次の3種の溶液それぞれ6mlにより洗浄した:1)25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、0.2Mの(NH4 2 SO4 、2)25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、及び3)25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、26%のエチレングリコール。ポリメラーゼを、25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、20%のエチレングリコール、2.5Mの尿素の溶液6mlにより溶離した。
【0145】
ポリメラーゼ調製物を3MのKClにより100mMに調整した後、その混合物を、25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、100mMのKClの緩衝液により平衡化されたヘパリン−セファロースカラム(1.8mlの体積のBio−rad Poly−prepカラム)上に負荷した。同じ緩衝液により洗浄した後、サンプルを、25mMのトリス−HCl、pH7.5、1mMのEDTA、1mMのDTT、400mMのKClの緩衝液に溶出した。
【0146】
精製に続いて、修飾された酵素の活性を、Lawyerなど., 1989, J. Biol. Chem. 264 :6427-6437 (引用により本明細書に組込まれる)に記載される活性アッセイにより決定した。精製された酵素の活性を、次の通りにして計算した:1単位の酵素は、30分間合成された10nモルの生成物に対応する。DNAポリメラーゼ活性は、組込まれるdCMP 80〜100pモルまで酵素濃度に直線的に比例する(0.024〜0.03単位/μlでの希釈された酵素)。精製された酵素を、例2〜4に記載される組込み及び配列決定反応に使用した。
【0147】
例2ddNTPの組込みの効率を比較するためのアッセイ
フルオレセイン類の色素によりラベルされたddCTPを組込むG46D F667Y Taq,G46D F667Y E681K Taq及びF730YTma30 DNAポリメラーゼの相対的能力を、制限鋳型、プライマー延長競争アッセイの使用により比較した。F730Y Tma30 DNAポリメラーゼは、1997年7月9日に出願されたアメリカ出願番号60/052065の例I及びヨーロッパ特許出願番号98112327.6(両者は引用により本明細書に組込まれる)に記載される。
【0148】
この競争アッセイにおいては、ddCTPの組込みは延長反応を終結せしめるので、ポリメラーゼが延長されたプライマー中にddCTPをより容易に組込むほど、〔α−33P〕dCTPの組込みはより低くなる。従って、ddCTP組込みの効率が高まるにつれて、DNA合成の阻害の程度は高められる。次に、ddCTPの組込みの効率を、螢光ラベルされたddCTPの組込みの効率に比較し、一定の酵素について、螢光ラベルされたddNTPの組込みの効率の相対的測定を付与する。
【0149】
アッセイを、前に記載されるようにして行なった(Lawyerなど., 1989, J. Biol. Chem. 264 :6427)(但し、次の変法を包含する)。アッセイ混合物は、50mMのビシン、pH8.3、25℃、2.5mMのMgCl2 、1mMのβ−ヘルカプトエタノール、20μMの個々のdATP、dGTP及びdTTP(Perkin−Elmer)、20μMのdCTP(Perkin−Elmer)、及び〔α−33P〕dCTP(New England Nuclecu, Boston, MA )から構成された。M13mp18(Perkin−Elmer)をプライマーDG48(配列番号10)にアニーリングし、そして同等の0.085pモルのアニーリングされた鋳型を、個々の反応のためのアッセイ混合物に添加した。
【0150】
鋳型DNAを有するアッセイ混合物35μlを、38本の0.5mlのellendorf管の個々に添加した。25mMのCAPSO緩衝液(pH9.6)中、Zowie−ddCTPの希釈溶液を、それぞれ10μlが反応管に添加される場合、Zowie−ddCTPの最終濃度が3,1,0.5,0.25,0.125又は0.0625μMになるよう調製した。G46D F667Y Taq DNAポリメラーゼのためには、それぞれ3,1,0.5,0.25,0.125μMのZowie−ddCTPの2つの管を調製した。
【0151】
G46D F667Y E681K Taq及びF730Y Tma30 DNAポリメラーゼのためには、それぞれ1,0.5,0.25,0.125及び0.0625μMのZowie−ddCTPの2つの管を調製した。残る8本の反応管は、25mMのCAPS0緩衝液(pH9.6)10μlを受けた。従って、38本の管の個々は、反応混合物35μl、及び25mMのCAPSO緩衝液(pH9.6)10μlか又はZowie−ddCTP希釈溶液の1つ(10μl)のいづれかを含む。
【0152】
試験されるべき個々の酵素のために、重合を、個々のZowie−ddCTP希釈溶液の1本の管において、及びCAPSO緩衝液のみを含む2本の管において5μlの酵素を用いて開始した。酵素の次の濃度が使用された(個々はアッセイにおいて基質の量に対して酵素の過剰量であることが予備決定された):例1におけるようにして調製されたF667Y G46D Taq DNAポリメラーゼ2.5単位;例1におけるようにして調製されたG46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼ1.25単位;又はF730Y Tma30 DNAポリメラーゼ2単位。
【0153】
バックグラウンドのレベルのための対照として、残る負の対照を、ポリメラーゼよりもむしろ酵素希釈緩衝液により開始せしめた。すべの反応管はすぐに、短時間、かきまぜられ、そして75℃で10分間インキュベートされた。反応を、60mMのEDTA 10μlの添加により停止し、そして0℃で貯蔵した。
【0154】
類似する実験において、ddCTPを、個々の希釈溶液10μlが反応管に添加される場合、その最終濃度が0.5,0.25,0.125,0.0625又は0.0312Mになるように、25mMのCAPSO緩衝液(pH9.6)に希釈した。個々の希釈溶液10μlを、上記のようなアッセイ混合物35μlを含む0.5mlのEppendorf管の個々中にピペットで入れた。アッセイ混合物35μl及び25mMのCAPSO緩衝液(pH9.6)10μlを含む4本の管をまた調製した。従って、19本の管の個々は、アッセイ混合物35μl、及び25mMの個々のCAPSO(pH9.6)又はddCTP希釈溶液の1つ10μlを含んだ。
【0155】
重合を、個々のddCTP希釈溶液の1つの管において、及びCAPSO緩衝液の1つの管において、2.5単位のG46D F667Y Taq DNAポリメラーゼ、1.25単位のG46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼ又は2単位のF730Y Tma30 DNAポリメラーゼにより開始せしめた。CAPSOを含む残りの管を、負の対照として、ポリメラーゼ含有緩衝液よりもむしろ酵素希釈緩衝液により開始せしめた。すべての反応はすぐにかきまぜられ、そして75℃で10分間インキュベートされた。反応を60mMのEDTA 10μlの添加により停止し、そして0℃で貯蔵した。
【0156】
個々の反応に関して、60μlの反応物の50μlアリコートを、2mMのEDTA、50μg/mlの剪断されたサケ精子DNA(キャリヤーとしての)溶液により希釈した。DNAを標準の方法を用いて、TCAにより沈殿せしめ、そしてGF/Cフィルターディスク(Whatman)上に集めた。組込まれる〔α−33P〕dCMPの量を、個々のサンプルについて測定し、そしてddNTPを有さないCAPSOサンプル(0%阻害率)に対して標準化した。50%阻害率のために必要とされるddCTP又はZowie−ddCTPの濃度を、個々のサンプルについて計算し、そして表2に示す。
【0157】
特定の酵素についての合成を50%阻害するために必要とされるZowie−ddCTPの量と合成を50%阻害するために必要とされるddCTPの量との比較は、螢光ラベルされた類似体を組込む個々の酵素の相対的能力に影響を及ぼす。それらのデータは、G46D F667Y Taq DNAポリメラーゼが試験される3種の酵素のZowie−ddCTPを最少の効率で組込むことを示す(Zowie−ddCTP対ddCTPによる50%阻害率のための濃度の比=2.5)。
【0158】
F730Y Tma30 DNAポリメラーゼは、G46D F667Y Taq DNAポリメラーゼよりもより効果的にこのラベルされた類似体を組込み(Zowie−ddCTP対ddCTPによる50%阻害率のための濃度の比=4)、そしてG46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼは、ラベルされた及びラベルされていないddCTPをほぼ同等の効率で組込む(Zowie−ddCTP対ddCTPによる50%阻害率のための濃度の比=1.2)。
【0159】
【表2】
Figure 0004417452
【0160】
例3延長速度アッセイ
G46D F667Y Taq及びG46D F667Y E681K Taqの延長速度を、延長速度アッセイを用いて測定した。この実験においては、酵素は、〔α−33P〕dCTPの存在下でM13鋳型にアニーリングされるプライマーを延長するために使用された。延長反応物を変性し、そして生成物を変性アガロースゲル電気泳動により分析した。
【0161】
アッセイを、前に記載されるようにして行なった(Lowyerなど., 1989, J. Biol. Chem. 264 :6427)(但し、次の変法を包含する)。アッセイ混合物は、50mMのビシン、pH8.3、25℃、2.5mMのMgCl2 、1mMのβ−メルカプトエタノール、200μMの個々のdATP,dGTP及びdTTP(Perkin−Elmer)、100μMのdCTP(Perkin−Elmer)、及び〔α−33P〕dCTP(New England Nuclecu, Boston, MA )から構成された。M13mp18(Perkin−Elmer)をプライマーDG48(配列番号11)にアニーリングし、そして同等の0.085pモルのアニーリングされた鋳型を、個々の反応のためのアッセイ混合物に添加した。鋳型DNAを有するアッセイ混合物45μlを、14本の0.5mlのeffendorf管の個々に添加した。個々の管を、重合反応の開始の前、75℃で少なくとも30秒間プレインキュベートした。
【0162】
重合を、5μlのG46D F667Y Taq DNAポリメラーゼ(2.5単位)又はG46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼ(1.25単位)を含む14本のアッセイ管の6本において開始した。両酵素を例1におけるようにして調製し、そして使用される濃度は、アッセイにおいて基質の量に対して酵素の予定された過剰量を表わす。バックグラウンドのレベルのための対照として、残りの負の対照を、ポリメラーゼよりもむしろ酵素希釈緩衝液により開始した。
【0163】
すべての反応管は、すぐに短時間かきまぜられ、そして75℃でインキュベートされた。G46D F667Y Taq DNAポリメラーゼを含む6本の管のうち2本を、3分間、他の2本を6分間、そして残りの2本を10分間インキュベートした。同様に、G46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼにより開始された管のうち2本を30秒間、他の2本を1分間、そして残りの2本を2分間インキュベートした。対照の管は3分間インキュベートされた。反応を、60mMのEDTA 10μlの添加により停止し、そして0℃で貯蔵した。
【0164】
個々の反応のために、60μlの反応物の25μlアリコートを、2mMのEDTA、50μg/mlの剪断されたサケ精子DNA(キャリヤーとしての)の溶液1mlにより希釈した。DNAを標準の方法を用いて、TCAにより沈殿せしめ、そしてGF/Cフィルターディスク(Whatman)上に集めた。組込まれた〔α−33P〕dCMPの量を、個々のサンプルについて測定した。
【0165】
残る35μlの個々の反応物を組合し、そしてサンプル70μlをエタノール沈殿せしめ、乾燥せしめ、そして50mMのNaOH、1mMのEDTA溶液に再懸濁した。同数の〔α−33P〕の数が個々から取られるように、それらのサンプルからアリコートを除去した。それらのアリコートを、0.9%のアルカリアガロースゲル上に負荷し、電気泳動し、乾燥せしめ、そしてこれまで記載されているようにしてオートラジオグラフィー処理した(Maniatisなど., 1982, Molecular Cloning A Laboratory Mannual. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY )。制限酵素HindIII (BRL)により切断され、そして〔32P〕により5′末端をラベルされたバクテリオファージλDNAを、分子量標準として使用した。
【0166】
個々のサンプルにおける延長生成物の塩基対の長さを、個々のサンプルの移動距離とλDNAサイズ標準により移動される距離とを比較することにより決定した。個々の生成物における塩基対の数を、インキュベートされた個々の延長反応の秒数により割り算し、下記に示されるような延長速度を付与した。
【0167】
【表3】
Figure 0004417452
【0168】
それらの結果は、E681K変異の存在が、G46D F667Y酵素の延長速度を3〜4.3倍、早めたことを示唆する。
【0169】
例4G46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼ及びフルオレセイン−ラベルされたddNTPによるサイクル配列決定
この例は、1μM又はそれ以下のddNTP及び少なくとも1:100の比のddNTP:dNTPを用いての、フルオレセイン色素によりラベルされたターミネーターサイクル配列決定への本発明の修飾されたポリメラーゼの適用を示す。フルオレセイン色素によりラベルされたジデオキシターミネーターは、Applied Biosystems PRISM Sequenase(登録商標)Terminator Sequencing Kit (Perkin-Elmer, Norwalk, (T) からの試薬であり、そしてSequenase DNAポリメラーゼ及びα−チオdNTPと共に使用するために最適化された。
【0170】
サイクル配列決定反応を、次の成分を含む溶液20μlにおいて実施した:50mMのトリス−HCl(pH8.8)、2.0mMのMgCl2 、100μMの個々のdATP,dCTP及びdTTP(Perkin-Elmer, Norwalk, CT)、500μMのdITP(Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ )、0.2μgのM13mp18一本鎖DNA鋳型(Perkin−Elmer)、0.15μMのLacZForward Primer(Perkin−Elmer)、5単位のG46D F667Y E681K Taq DNAポリメラーゼ、20単位のrTth熱安定性ピロホスファターゼ(ヨーロッパ特許出願、公開番号EP−A−763599及びアメリカ特許第5,665,551号)、0.05μMのSequenase A色素ターミネーター、0.80μMのSequenase C色素ターミネーター、0.08μMのSequenase G色素ターミネーター、及び1.0μMのSequenase T色素ターミネーター。
【0171】
すべての4種のSequenase色素ターミネーターは、Perkin−Elmerから入手された。反応物を、予備加熱(75℃)されたPerkin−Elmer GeneAmp(登録商標)PCR System9600熱サイクラーに配置し、そして96℃で10分間、50℃で5秒間、及び60℃で4分間の25サイクルにゆだねた。色素によりラベルされたフラグメントを、製造業者の説明書に従って、Centri−SepTMカラム(Princeton Separation, Adelphia, NJ)により精製し、そして真空遠心分離機により乾燥せしめた。
【0172】
ペレットを、脱イオン化されたホルムアミド:50mg/mlのブルーデキストラン(25mMのEDTA(pH8.0)中)の5:1(v/v)溶液6μlに再懸濁し、そして予備電気泳動された4%ポリアクリルアミド/6M尿素ゲル上に直接的に負荷し、そして電気泳動せしめ、そして製造業者の説明書に従って、Perkin-Elmer AB1 PRISM 377 DNA Sequencer上で分析した。Perkin-Elmer AB2 PRISM 377 DNA Sequencer分析ソフトウェアによる自動化された塩基−コーリングは、450塩基について98.5%以上の精度をもたらした(プライマーからの塩基+10〜+460について6個の誤差)。
【0173】
【配列表】
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【0174】
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【0175】
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【0176】
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【0177】
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【0178】
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【0179】
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【0180】
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【0181】
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【0182】
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【0183】
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【0184】
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【0185】
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【0186】
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【0187】
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【0188】
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【0189】
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【0190】
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、Taq DNAポリメラーゼ遺伝子の図示である。例1、及び本明細書に提供されるさらなる変異体及び発現ベクターを調製するための方法の記載に関する制限部位が示される。

Claims (10)

  1. サーマス(Thermus)属に由来する組換え熱安定性DNAポリメラーゼであって、
    a)その生来の形において、前記ポリメラーゼが次のアミノ酸配列:Leu Ser Xaa Xaa Leu Xaa Xaa Pro Xaa Xaa Glu(配列番号1)を含んで成り、ここで、前記配列の位置3,9及び10での“Xaa”は任意のアミノ酸残基であり、そして前記配列の位置7の“Xaa”はVal又はIleであり;
    b)位置4での前記“Xaa”がLys又はArgに変異誘発されており;
    c)位置6での前記“Xaa”がGly, Ser又はAlaであり
    前記熱安定性DNAポリメラーゼが、G46D変異を有しており;そして
    )前記熱安定性DNAポリメラーゼが、前記ポリメラーゼの生来の形に比較して低められた、フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対する識別のレベルを有することを特徴とし、ここで前記ヌクレオチドがジデオキシヌクレオチドであり、そして前記識別のレベルが前記ポリメラーゼの生来形の識別のレベルよりも少なくとも3倍低く、ここで前記識別のレベルが、DNA合成の50%阻害のために必要とされるフルオレセイン色素によりラベルされるジデオキシヌクレオチドの濃度を決定することによって測定される、ことを特徴とする組換え熱安定性DNAポリメラーゼ。
  2. その生来の形において、前記ポリメラーゼが次のアミノ酸配列:Leu Ser Xaa Xaa Leu Xaa Ile Pro Tyr Glu Glu(配列番号2)を含んで成り、ここで位置3の前記“Xaa”がGln又はGlyであり、位置4の“Xaa”がLys又はArgに変異誘発されており、そして位置6の“Xaa”がSer又はAlaである、請求項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼ。
  3. a)その生来の形において、前記ポリメラーゼが次のアミノ酸配列:
    Leu Ser Val Xaa Leu Gly Xaa Pro Val Lys Glu(配列番号4)を含んで成り、ここで、位置4の“Xaa”がLys又はArgに変異誘発されており;そして
    b)位置7の前記“Xaa”がVal又はIleである、請求項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼをコードする核酸。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼを調製するための方法であって、
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼをコードする核酸を含んで成る宿主細胞を、前記組換え熱安定性DNAポリメラーゼの発現を促進する条件下で培養し;そして
    b)前記宿主細胞又は培地から前記組換え熱安定性DNAポリメラーゼを単離する;
    ことを含んで成る方法。
  6. DNA配列決定のための方法であって、
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼを用意し;
    b)負に荷電された螢光色素によりラベルされた色素−ターミネーターを用意し;そして
    c)色素−ターミネーター配列決定反応を行なう;
    ことを含んで成る方法。
  7. ラベルされたDNAを生成するための方法であって、
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼを用意し;
    b)フルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドを用意し;そして
    c)DNA合成反応を実施する;
    ことを含んで成る方法。
  8. ラベルされたプライマー延長生成物の生成方法であって、
    a)請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼを用意し、ここで
    i)前記ポリメラーゼは、次のアミノ酸配列:Leu Ser Val Xaa Leu Gly Xaa Pro Val Lys Glu(配列番号4)を含んで成り、ここで、位置4での“Xaa”はLys又はArgに変異誘発されており、そして前記配列の位置7の“Xaa”がVal又はIleであり、
    ii)前記ポリメラーゼがフルオレセイン類の色素によりラベルされたヌクレオチドの組込みに対して低められた識別レベルを有し
    b)フルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドを用意し;そして
    c)プライマー延長反応を実施する;
    ことを含んで成る方法。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼ、及び負に荷電された螢光色素によりラベルされたターミネーター、を含んで成るDNA配列決定のためのキット。
  10. 請求項1〜3のいずれか1項記載の組換え熱安定性DNAポリメラーゼ及び負に荷電された螢光色素によりラベルされたヌクレオチド、又はフルオレセイン類の色素によりラベルされたリボヌクレオチドを含んで成る、ラベルされたDNA又はプライマー延長生成物を生成するためのキット。
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