JP2005512560A - Dnaポリメラーゼを利用する組成物及び方法 - Google Patents

Dnaポリメラーゼを利用する組成物及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、新奇な単離されたファミリーBのDNAポリメラーゼ、ThermococcusポリメラーゼJDF−3、及びその変異体組換え型を特徴とする。本発明の変異体ポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失し、及び/または該ポリメラーゼの野生型と比較して、非従来型ヌクレオチドに対する識別の減少を示す。

Description

発明の開示
本発明は、新規の単離されたファミリーBのDNAポリメラーゼ、ThermococcusポリメラーゼJDF−3、及びその変異組み換え型を特徴とする。本発明の変異ポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠失しているか、及び/または、ポリメラーゼの野生型に比べて非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少している。
技術分野
本発明は、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼ酵素を利用する組成物及び方法に関する。本発明の酵素は、検出可能な核酸の標識が求められる多くの用途において有用であり、DNAシーケンシング用途において特に有用である。
発明の背景
核酸の検出可能な標識は、研究ならびに臨床診断技術用途を含め、分子生物学における多くの用途に対して必要とされている。一般的に用いられている核酸の標識方法では、1つ以上の非従来型ヌクレオチドと、新しく合成される相補鎖への非従来型ヌクレオチドの鋳型依存性取り込みを触媒するポリメラーゼ酵素とを使用する。
DNAポリメラーゼによる正確なデオキシヌクレオチドの取り込み能力が、インビボにおける高フィデリティDNA複製のための基礎となっている。ポリメラーゼの活性部位内のアミノ酸は、鋳型ヌクレオチドの対面に正確な相補的ヌクレオチドを配置することを助ける特異的結合ポケットを形成する。もし誤ったヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはヌクレオチドアナログがその位置を満たしてしまうと、入ってくるヌクレオチドに接触するアミノ酸の正確な位置合わせが、DNA重合に好ましくない位置に歪曲する可能性がある。そのため、DNAの標識に用いられていた非従来型なヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログは、標準のデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP:いわゆる「標準的な」dNTPには、デオキシアデノシン三リン酸(dATP)、デオキシシトシン三リン酸(dCTP)、デオキシグアノシン三リン酸(dGTP)及びチミジン三リン酸(TTP))が含まれる)よりも延長した鎖へ低効率でしか取り込まれない傾向にある。
ポリメラーゼによる非従来型ヌクレオチドの取り込みの効率が低下すると、DNA標識のためにより多くの非従来型ヌクレオチドが必要となる。特定のヌクレオチドの取り込み効率の減少は、均一のシグナル強度のために非従来型ヌクレオチドの公平な取り込みに依存しているDNAシーケンシングなどの技術またはアッセイの実施に悪影響を及ぼすこともある。
入ってくるヌクレオチド三リン酸と接触するDNAポリメラーゼの正体と正確なアミノ酸配列により、当該ポリメラーゼ酵素によって取り込み可能なヌクレオチドの性質が従来型及び非従来型いずれについても決まる。入ってくるヌクレオチド三リン酸と接触するアミノ酸の正確な位置が変化すると、それが結合または鎖長延長のいずれの段階であっても、ポリメラーゼのもつ、異常なもしくは非従来型ヌクレオチドの利用能力に劇的な変化が起こりうる。ときには遠く離れたアミノ酸の変化が非直接的な空間または構造的影響によってヌクレオチドアナログの取り込みに影響を与えることもある。高いヌクレオチドアナログ取り込み能力を有したポリメラーゼは、DNAまたはRNA鎖を、染料、反応性基、または不安定同位体などのシグナル分子で修飾されたヌクレオチドで標識するのに有用である。
標識されたヌクレオチドに加えて、修飾されたヌクレオチドの極めて重要な仲間として、ジデオキシヌクレオチドがある。いわゆる「サンガー」または「ジデオキシ」DNAシーケンシング法(Sangerら、1977,Proc.Natl,Acad.Sci.USA74:5463、引用により本願に組み込む)は、デオキシヌクレオチド及びジデオキシヌクレオチドを含有する混合物から、DNAポリメラーゼによって、アニールされたプライマー上へヌクレオチドが鋳型に向けて取り込まれることによるものである。ジデオキシヌクレオチドの取り込みによって連鎖が終結し、酵素はその鎖のそれ以上の延長を触媒できなくなる。反応産物を電気泳動で分離すると、延長産物の「ラダー」が見られ、各延長産物は、鋳型中の対面するヌクレオチドに相補的な特定のジデオキシヌクレオチドにおいて終結している。プライマーからのジデオキシヌクレオチドアナログの距離が、延長産物の長さによって示される。それぞれ4つのジデオキシヌクレオチドアナログddA、ddC、ddG、またはddT(ddNTP)のうちの1つを含む4つの反応を同一のゲル上で分離すると、ラダーパターンから鋳型の配列を直接読みとることができる。延長産物は、例えば、反応中に同位体標識または蛍光標識したプライマー、デオキシヌクレオチド三リン酸またはジデオキシヌクレオチド三リン酸を含めるなどの方法を含むいくつかの方法によって検出することができる。
ゲル泳動中に検出を行えることから蛍光標識はより迅速にデータを収集でき、1つの反応及びゲルからより長い配列を読みとることができるという利点がある。さらに、蛍光配列検出により、4つの異なる標識化蛍光ダイターミネータを含有する1つの反応チューブ(いわゆるダイターミネータ法、Leeら、1992,Nucleic Acids Res.20:2471,引用により本願に組み込む)内でのシーケンシングを行えるようになった。
DNAシーケンシングに有用なポリメラーゼの品質としては、ジデオキシヌクレオチドの取り込みが向上していることが望まれる。ジデオキシヌクレオチドの取り込みの向上により、高額な放射性同位体または蛍光染料で標識したジデオキシヌクレオチドに対する要件を低減することにより、DNAシーケンシングなどのプロセスのコスト効率を高めることができる。さらに、公平なジデオキシヌクレオチド取り込みにより、シグナルの均一性が高まり、塩基決定の精度が上がる。均等なシグナル出力により、さらに対立遺伝子変化などの要因によって引き起こされる微妙な配列の違いを検出できるようになる。関連地点において2つの異なる半分の強度のシグナルを生み出す対立遺伝子変化は、不均一にddNTPを利用するポリメラーゼに起因する多様なシグナル長によって容易に隠されてしまう。
天然型のDNAポリメラーゼによるリボヌクレオチドの取り込みは希にしか起こらない。リボヌクレオチドを高いレベルで取り込む変異体を、部分リボ置換によりシーケンシングなどの用途のために用いることができる。この系において、リボヌクレオチドと同一の塩基に対応するデオキシヌクレオチドとの混合物が変異ポリメラーゼによって取り込まれる(Bames,1978J.Mol.Biol.119:83-99)。リボシーケンシング反応系をアルカリ条件及び熱に暴露すると、延長された鎖の断片化が起こる。全4つの塩基に対する反応系を変性アクリルアミドゲル上で分離すると、シーケンシングラダーが生じる。当該技術分野においては、この代替のシーケンシング方法に対してリボヌクレオチドを高度に利用したポリメラーゼ変異体が求められている。
あるいは、DNAシャフリングなどのDNA分子のランダムな切断を必要とする系においては、リボヌクレオチド取り込みに続くアルカリ加水分解を利用することができた((Stemmer,1994,Nature,370:389-391)これは分子育種、セクシャルPCR及び定向進化法とも呼ばれる)。
DNA標識酵素における他の望ましい品質は、熱安定性である。熱安定性を示すDNAポリメラーゼは、DNA鋳型を増幅するために熱変性、プライマーアニーリング、及び酵素的プライマー延長のサイクルを利用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の開発によって、分子生物学及び臨床診断の多くの局面で変革されてきた。プロトタイプ熱安定性DNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼであり、この酵素は元々好熱性真性細菌Thermus aquaticusから単離されたものである。熱安定性DNAポリメラーゼを用いたいわゆる「サイクルシーケンシング」反応は、従来の(すなわち非サイクル)シーケンシング反応に比べて出発鋳型を少量しか必要としないという利点を有する。
DNAポリメラーゼには、ファミリーA,B及びCと呼ばれる3つの大きなファミリーがある。ポリメラーゼをこれらの3つのファミリーのうちのどれに分類するかは、大腸菌(E.coli)ポリメラーゼI(ファミリーA)、II(ファミリーB)、III(ファミリーC)との当該ポリメラーゼの構造上の類似性に基づいている。例として、ファミリーAのDNAポリメラーゼとしては、限定はされないがKlenowDNAポリメラーゼ、Thermus aquaticusDNAポリメラーゼI(Taqポリメラーゼ)及びバクテリオファージT7DNAポリメラーゼが挙げられ、以前はα−ファミリーポリメラーゼとして知られていた(Braithwaite and Ito,1991,Nuc.Acids Res.19:4045)ファミリーBのDNAポリメラーゼとしては、限定されないがα、δ及びεDNAポリメラーゼ、T4、RB69及びψ29バクテリオファージDNAポリメラーゼ、及びPyrococcus furiosusDNAポリメラーゼ(Pfuポリメラーゼ)が挙げられ、ファミリーCのDNAポリメラーゼとしては、限定されないがBacillus subtilisDNAポリメラーゼIII、及び大腸菌DNAポリメラーゼIIIα及びεサブユニット(Brathwaite and Ito,1993,Nucleic Acids Res.21:787)によって、それぞれdnaE及びdnaQ遺伝子の産物として挙げられている)が挙げられる。古細菌、細菌、ウィルス及び真核生物の広範なスペクトルにわたる各ファミリーのDNAポリメラーゼタンパク質配列のアライメントは、引用により本願に組み込むBraithwaite and Ito(前掲、1993年)の中に示されている。
DNAポリメラーゼが、初期のDNA重合体中へ非天然のヌクレオチドを取り込みを行えない程度を表す用語が「識別」である。ファミリーAのDNAポリメラーゼにおいて、ジデオキシヌクレオチドアナログの取り込みに対する効果的な識別は、単一のアミノ酸残基に大いに関連している。ファミリーAのDNAポリメラーゼのうちの大多数の酵素は、フェニルアラニン(pheまたはF)残基を、大腸菌DNAポリメラーゼのKlenow断片におけるF762と同等の位置に有し、ジデオキシヌクレオチドに対する強い識別を示す。いくつかのポリメラーゼ(例えばT7DNAポリメラーゼ)は、対応する位置にチロシン(tyrまたはY)残基を有し、ジデオキシヌクレオチドに対して比較的弱い識別を示す。この位置にチロシンを有するファミリーAのポリメラーゼは、該ポリメラーゼがデオキシヌクレオチドを取り込むレベルと同等かわずかに異なるレベルで、ジデオキシヌクレオチドを容易に取り込む。この部位において識別に関与するチロシンまたはフェニルアラニンを逆転すると、ファミリーA酵素のジデオキシヌクレオチド識別プロファイルが反転する(Tabor and Richardson,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.USA92:6449)。
熱安定性DNAポリメラーゼの中でも、AmpliTaq FS(登録商標)(Perkin Elmer)として知られるThermus aquaticus由来のファミリーAのDNAポリメラーゼの変異型は、KlenowDNAポリメラーゼのF762に相当する位置にF667Y変異を含み、野生型酵素に比べて高いジデオキシヌクレオチド取り込みを示す(ddNTPに対する識別が低下)。ジデオキシヌクレオチド取り込みの識別が低下することにより、野生型酵素よりも、蛍光及び標識ジデオキシヌクレオチドシーケンシングに対してより有用なものとなる。
しかしながら、TaqDNAポリメラーゼのF667Y変異体は、ローダミンダイターミネータの使用を必要とするフルオレセインで標識されたジデオキシヌクレオチドと共に用いるのには適していない。現在Taqシーケンシング反応とともに用いられているローダミンダイターミネータは、DNA二次構造を安定化して、シグナルの圧縮をもたらす。圧縮の問題を解消するための研究から、大量のヌクレオチドアナログデオキシイノシン三リン酸(dITP)をデオキシグアノシン三リン酸の代わりに用いる系が得られた。(dITP)の取り込みがシグナルの圧縮を減少させる一方で、反応系におけるdITPの存在が、反応温度の低下及び反応時間の増大を含むさらなる複雑な事態を生み出している。さらに、シーケンシングにおいてローダミン染料を用いると、望ましくない反応後精製を行う必要がでてくる(Brandis,1999Nuc.Acid Res.27:1912)。
ファミリーBのDNAポリメラーゼは、いわゆるパームドメインにおいて触媒に関与する酸性残基の位置を除いては、ファミリーAのDNAポリメラーゼと実質的に異なる構造を示す(Wangら、1997,Cell89:1087;Hopfinerら、1999,Proc.Natl.Acad.Sci.USA96:3600)。ファミリーBのDNAポリメラーゼのユニークな構造により、ヌクレオチドアナログとの完全に異なるスペクトルの相互作用が可能になり、おそらくは、構造的束縛によりファミリーAのDNAポリメラーゼとともに使用するには不適切なアナログの利用が可能となっている。熱安定性ファミリーBのDNAポリメラーゼは、超好熱性古細菌において同定されている。これらの生物は90℃を超える温度において成育し、それらの酵素は好熱性真正細菌のファミリーADNAポリメラーゼよりも大きい熱安定性を有する(Mathurら、1992,Stratagies5:11)。超好熱性古細菌に由来するファミリーBポリメラーゼは、非従来型ヌクレオチドに対する識別を低下させるための修飾によく適した出発基質であるかもしれない。
3つのファミリーBのDNAポリメラーゼの結晶構造が解析されているが(前掲Wangら、1997;Hopfiner,K.-P.ら、1999,Proc.Natl.Acad.Sci.96:3600;Zhao,1999,Structure Fold Des.,7:1189)、DNAポリメラーゼまたはdDNTPポリメラーゼ共複合体の構造は報告されていない。現時点において、ヌクレオチドアナログ識別に寄与しているアミノ酸残基の同定は、ファミリA−dNTP構造物の外挿または関連するファミリーBのDNAポリメラーゼを用いた変異実験からのみ推測することができる(例えば、ヒトpolα、ファージT4、ファージψ29、T.litoralisDNAポリメラーゼ)。
ファミリーBのDNAポリメラーゼの配列比較によって、I〜VIまでの6つの保存領域が示されている(前掲Brainthwaite and Ito,1993)。Wangら(前掲Wangら、1997)によって提案されたバクテリオファージRB69DNAポリメラーゼ(ファミリーB)の結晶構造は、領域II中のY416(ThermococcusJDF−3種のファミリーBのDNAポリメラーゼにおけるY409に相当)が、HIV逆転写酵素(RT)中のY115、及びKlenow断片(ファミリーAポリメラーゼ)中のE710と同じ位置を有することを示している。逆転写酵素−DNA共結晶の分子座標を用いてRB69におけるdNTP及びプライマー鋳型複合体のモデリングを行った。このモデルから、dNTPのデオキシリボース部分の下でRB69のY416がパックすることが予測される。この位置のチロシンはリボース選択性に関与し、哺乳動物の逆転写酵素(Y115)において(Gaoら、1997,Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:407;Joyce,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA94:1619)、及び対応する不変のグルタミン酸残基(E710)がリボヌクレオチドに対する識別を減少させているファミリーAのDNAポリメラーゼにおいて(Gelfandら、1998,Pat.No.EPO823479;Astatkeら、1998,Proc.Natl.Acd.Sci.USA96:3402)、ポリメラーゼによるリボヌクレオチドとデオキシリボヌクレオチドとの間の識別に貢献していると見なされてきた。
ファミリーBのDNAポリメラーゼにおいて行われた変異実験からも、dNTP取り込み及びリボース選択性において領域II中の類似Yを含む領域が関与していると見なされた。ヒトDNAポリメラーゼα中の対応するY865における変異が、dNTPヌクレオチド阻害剤に対するポリメラーゼのフィデリティ及び選択性に影響を与える。そのような阻害剤としては、例えば3’−OH基の代わりに嵩高い3’−アジド基を有したAZT−TPなどのdNTP、dGTPのグアニン塩基中のC−2位置のアミノ基に結合したブチルフェニル基を含むBuPdGTP(嵩高く、疎水性の高いプリン塩基ヌクレオチドになる)など、及びピリミジンデオキシヌクレオチド三リン酸の競争阻害剤であるアフィジコリンが挙げられる。興味深いことに、変異体はddCTPの取り込みには全く違いを見せなかった(Dongら、1993,J.Biol.Chem.268:26143)。さらに、アナロガスY(Y411)の1つ前のアミノ酸であるL412がメチオニン(M)またはイソロイシン(I)に変換されたバクテリオファージT4DNAポリメラーゼの変異体は、無機ピロリン酸アナログホスホノ酢酸(PAA)に対して、それぞれ非常に高い感受性及び中程度の感受性を示す。PAA感受性の変化から、ヌクレオチドアナログとポリメラーゼとの相互作用が予想できることがわかっている。T4DNAポリメラーゼにおけるL412は、ThermococcusJDF−3種のDNAポリメラーゼにおけるL410に相当する。T4DNAポリメラーゼL412M変異体は、野生型ポリメラーゼの50分の1の量のddGTPで阻害されたが、dGTPに対するKmsは類似していた。筆者が述べているように、この研究において、「L412MDNAポリメラーゼのddGTPに対する感受性に拘わらす、野生型とL412MDNAポリメラーゼによって取り込まれるddNTPに何ら違いは見られなかった」(Reha-Krantzら、1993,J.Virol.67:60)。バクテリオファージψ29において、領域IIにおける変異(LYP、YはThermococcusJDF3種のDNAポリメラーゼと類似しているY409)は、PAAで試した場合に入り組んだ結果を与える。すなわち、P255SはPAAに対して非常に高感受性を有し、L253Vは野生型酵素よりも低い感受性しか示さなかった(Blascoら、1993,J.Biol.Chem.268:24106)。これらのデータは、ポリメラーゼ−核酸相互作用におけるLYP領域(領域II)の役割を裏付けるものであるが、ddNTPの取り込みの向上についてはこれらの引例においては達成されていない。
他の研究において、Thermococcus LitoralisDNAポリメラーゼ(VENT(商標)ポリメラーゼ、New England Biolabs)に由来する古細菌のファミリーBのDNAポリメラーゼにおける領域IIの広範な変異が行われている。この研究において、ヌクレオチドアナログ識別を調べるという目的のためだけに、26の異なる部位特異的変異体が作成された(Gardner and Jack,1999,Nucleic Acids Res.27:2545)。VENT(商標)DNAポリメラーゼの部位特異的変異から、Y412(JDF−3DNAポリメラーゼのY409に相当)における3つの変異体が、核酸の結合を変えることができることが分かった(前掲Gardner and Jack,1999)。Y412Vは、ジデオキシヌクレオチド取り込みが2倍増加し、リボヌクレオチドATPの取り込みが200倍増加し、最も顕著であった。Y412F変異体はアナログ取り込みに関して全く変化を示さなかった。
ファミリーBポリメラーゼの領域III(モチーフBとも呼ばれる)も、ヌクレオチド認識において役割を果たすことが証明されている。JDF−3ファミリーBのDNAポリメラーゼのアミノ酸487〜495に対応するこの領域は、コンセンサス配列KXNSXYG(前掲Jungら、1990;上記Blascoら、1992;Dongら、1993,J.Biol.Chem.268:21163;Zhuら、1994,Biochem.Biophys.Acta1219:260;Dong and Wang,1995,J.Biol.Chem.270:21563)を有し、ファミリーAのDNAポリメラーゼのヘリックスO中のKX(F/X)GXYGと、構造的にではなく機能的に(前掲Wangら、1997)類似している。Klenow断片やTaqDNAポリメラーゼなどのファミリーAのDNAポリメラーゼにおいて、OヘリックスはdNTP結合において重要な役割を果たすアミノ酸を含んでいる(Astakteら、1998,J.Mol.Biol.278:147;Astatkeら、1995,J.Biol.Chem.270:1945;Poleskyら、1992,J.Biol.Chem.267:8417;Poleskyら、1990,J.boil.Chem.265:14579;Pandeyら、1994,J.Biol.Chem.269:13259;Kaushikら、1996,Biochem.35:7256)。具体的には、ヘリックスOは、ファミリーAのDNAポリメラーゼにおいてddNTP識別に関与しているとみなされるF(Klenow断片におけるF763、TaqにおけるF667)を含んでいる(KX(F/X)GXYG)(前掲Tabor and Richardson,1995)。
VENT(商標)DNAポリメラーゼの領域IIIの部位特異的実験では、ThermococcusJDF−3種のDNAポリメラーゼのA485と類似するアラニンもターゲットにしている(前掲Jungら、1990)。これらの変異体(A→C、A→S、A→L、A→I、A→F及びA→V)は、元の酵素のポリメラーゼ活性の0.12〜1.2倍の範囲の特異的な活性を示した(Gardner and Jack,1999,Nucl.Acids Res.27:2545)。ジデオキシヌクレオチド取り込みは、未変異酵素の4〜15倍の範囲であった。興味深いことに、最も高いジデオキシヌクレオチド取り込み(15倍)を示した変異体は、元の酵素の0.12倍の特異的活性しか有しなかった。
Thermococcus barossiiに由来するファミリーBのDNAポリメラーゼに関する部位特異的突然変異誘発の研究では、JDF−3のDNAポリメラーゼのアミノ酸残基488〜493に相当する配列ILANSFにおいて各残基が別個にチロシンに改変された(Reidlら、米国特許第5,882,904号)。この研究から、L489Y変異体が、この部位に野生型のロイシン残基を有する酵素と比較して、約3倍も大きなジデオキシヌクレオチドの取り込みを示すことが判明した。
活発な研究領域の1つとして、核酸またはDNA「チップ」と呼ばれる核酸アレイを、複数の異なる核酸配列を同時に分析するために用いることがある。米国特許第5,882,904号(Reidlら1999年3月16日発行)に記載されているような、これらの用途の多くは非従来型ヌクレオチド、特に蛍光的に標識された非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少しているDNAポリメラーゼから利益を得ている。チップ形式において取り組まれる用途としては、とりわけDNAシーケンシング及び変異の検出が挙げられる。例えば、「ミニシーケンシング」法(例えば、Pestinenら、1997,Genome Res.7:606;Syvanen,1999,Human Mutation13:1-10)及びアレイドプライマー延長(APEX)変異検出法(Shumakerら、1996,Hum.Mutat.7:346)のような方法は、蛍光標識されたヌクレオチドまたは他の非従来型ヌクレオチドに対する識別が低下したDNAポリメラーゼから利益を得ている。チップまたはゲルに基づくミニシーケンシング系において用いるための非識別性のDNAポリメラーゼが当該技術分野では求められている。そのような系は、多重化した一塩基変異多形(SNPs)の検出を有益に可能にするとともに、定量的遺伝子型決定も可能にする。配列の違いを同定することにより、遺伝性疾患、多因子性疾病の素因、及び新しいまたは既存の薬剤製品に対する感受性の診断と治療を行えるようになる。
ヒトゲノム計画の完了とともに、個人間での遺伝的相違、具体的には1000塩基対ごとに1回発生すると推定されている(Halushkaら、1999)一塩基変異多形(SNP)を分析することに現在大きな注目が集められている。SNPの重要性は、これらが疾病に関連する座の同地を可能にする遺伝的マーカーとして働くことにある(Laiら,1998)。SNPは、遺伝的疾病の根底にある原因を調べるためにも用いることができ、最終的に個人向け薬品への道を開くことを助けると考えられる。
SNP検出に用いられる現行のアッセイは、対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチド(ASO)プローブ(Saikiら、1989)、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)(Landegrenら、1988)、制限酵素断片長多型(RFLP)(Shiら、2001)、TaqManアッセイ(Livakら1995)、分子ビーコンアッセイ(Tyagiら、1998)、及びプレイマー延長アッセイ(Tyagiら、1998;Gillesら、1999;Fuら、1998)などが挙げられ、これらはゲル電気泳動(Chenら、1997)、MALDI−TOF質量分析(Fuら、1998)、固相ミニシーケンシング(Syvanenら、1990)、半導体マイクロチップ(Gillesら、1999)、及びフローサイトメトリー分析(Taylorら、2001)などを含む様々なプラットフォーム上で行われる。
ミニシーケンシングの原理は、分析しようとするSNP位置に隣接してプライマーをアニールさせて、ddNTPを容易に取り込むDNAポリメラーゼを用いて、これらのプライマーをSNPに相補的なddNTPで延長するというものである(Syvanenら、1990,引用により本願に組み込む)。ミニシーケンシングは、他のSNP検出方法の大半に影響を及ぼすマッチ種及びミスマッチ種の熱安定性ではなく、ポリメラーゼによって媒介されるヌクレオチド取り込み反応の高い精度(高い特異性)に基づいているところに独自性がある。したがって、ハイブリダイゼーションに基づく方法に比べて、ミニシーケンシングは反応条件、温度の小さな変化に対して、また傍らにあるDNA配列に対して鈍感である。さらに、ミニシーケンシングは、ホモ接合遺伝子型とヘテロ接合遺伝子型との間の識別を可能にする(Chenら、1997)。これらの特徴は、多重及び/または高処理能のSNP検出においては重要である。ゲノム計画の完了と、高処理能のSNP検出に対する高い関心にともない、ddNTP及びダイ標識したddNTPを単一の塩基延長アッセイ(ミニシーケンシング)において効率的に取り込む酵素の需要は相当なものである。
DNAポリメラーゼは、ミニシーケンシングプロトコールの中心成分を構成する。効率的なddNTP及びdye−ddNTP取り込み及び高いフィデリティは、ミニシーケンシング酵素にとって必須の特徴である。シーケンシング及びミニシーケンシングに適した市販のDNAポリメラーゼは、Taq(TaqF667Y変異体、例えばThermoSequenaseやAmpliTaqFS)またはバクテリオファージT7DNAポリメラーゼ(Sequenase)から得られたものであって、これらはいずれもファミリーAのDNAポリメラーゼである。T7(天然)またはTaq(遺伝子操作によるF667Y変異体)DNAポリメラーゼのヌクレオチド結合ポケットチロシン(Y)残基は、効率的なddNTP取り込みに関与していると考えれている(Taborら、1995)。古細菌(ファミリーB)DNAポリメラーゼを用いた最近の2つの変異研究において、変異によってddNTP識別が減少することが確認されたが、古細菌のDNAポリメラーゼ変異体は、TaqF667Y変異体よりもddNTP取り込み効率が低かった(Gardnerら、1999;Evansら、2000)。
非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼが当該技術分野において求められている。当該技術分野においては、ジデオキシヌクレオチドに対する識別が減少した熱安定性DNAポリメラーゼ、さらには、蛍光的に標識されたジデオキシヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼが特に求められている。
発明の概要
本発明は、非従来型なヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼ酵素を用いる組成物よび方法に関する。この特質をもつ酵素は、核酸の検出可能な標識を必要とする多くの用途において有用であり、DNAシーケンシング用途において特に有用である。
本発明は、さらに、配列番号:2のL408、P410、S345、及び/またはA485に対応する位置に1つ以上の変異を有するファミリーBのDNAポリメラーゼ、または核酸の鋳型依存性重合を指示する能力を有したその断片に関する。本発明は、配列番号:2のL408、P410、S345、及び/またはA485に対応する位置において変異されたファミリーBポリメラーゼの変異体及び変形物(例えば、化学修飾または抗体複合化によって調製された可逆的に不活性化されたバージョンのファミリーBポリメラーゼ)も包含する。
1つの実施形態において、DNAポリメラーゼは、配列番号:2のS345に対応する位置においてセリンからプロリンへの変異と、配列番号:2のP410に対応する位置においてプロリンからロイシンへの変異とからなる二重変異を有する。
本発明は、配列番号:2において1〜776の残基で表されるアミノ酸配列を有する精製された熱安定性DNAポリメラーゼを包含する。
1つの実施形態において、熱安定性DNAポリメラーゼは、ThermococcusJDF−3種から単離される。
他の実施形態において、熱安定性ポリメラーゼは、Thermococcus JDF−3種DNAポリメラーゼの発現をコードするベクターによって形質転換された組み換え生物から単離される。
本発明は、配列番号:1中に示されるヌクレオチド配列を含む組み換えベクターも包含する。
本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列またはその機能的断片を含む単離された組換え型ポリペプチドも包含する。
本発明は、3’→5’エキソヌクレアーゼを欠失したThermococcusJDF−3種由来の単離された組み換えDNAポリメラーゼをさらに包含する。
1つの実施形態において、単離された組み換えDNAポリメラーゼは、配列番号:2のD141に対応するアミノ酸においてアスパラギン酸からスレオニンまたはアラニンへの変異、または配列番号:2のE143に対応するアミノ酸においてグルタミン酸からアラニンへの変異を有している。
他の実施形態において、単離された組み換えDNAポリメラーゼは、配列番号:2のD141に対応するアミノ酸においてアスパラギン酸からスレオニンまたはアラニンへの変異、または配列番号:2のE143に対応するアミノ酸においてグルタミン酸からアラニンへの変異を有している。
本発明は、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した単離された組み換えDNAポリメラーゼも包含する。
1つの実施形態において、DNAポリメラーゼはファミリーBのDNAポリメラーゼである。
他の実施形態において、DNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置におけるロイシンからヒスチジンへの変異;配列番号:2のL408に対応する位置におけるロイシンからフェニルアラニンへの変異;配列番号:2のP410に対応する位置におけるプロリンからロイシンへの変異;配列番号:2のA485に対応する位置におけるアラニンからスレオニンへの変異からなる群より選択される変異をさらに含んでいる。
本発明はさらに、配列番号:2のA485に対応する位置にアラニンからスレオニンへの変異を有し、配列番号:2のL408に対応する位置におけるロイシンからヒスチジンへの変異;配列番号:2のL408に対応する位置におけるロイシンからフェニルアラニンへの変異;配列番号:2のP410に対応する位置におけるプロリンからロイシンへの変異からなる群より選択される変異をさらに含んだ単離された組み換えDNAポリメラーゼも包含する。
本発明は、配列番号:2のP410に対応する位置にプロリンからロイシンへの変異を有し、さらに配列番号:2のS345に対応する位置におけるセリンからプロリンへの変異を含む単離された組み換えDNAポリメラーゼも包含する。
他の実施形態において、DNAポリメラーゼは、ジデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド及びヌクレオチド複合体からなる群より選択される非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少している。
他の実施形態において、ヌクレオチド複合体は、同位体標識されたヌクレオチド、蛍光標識されたヌクレオチド、ビオチン標識されたヌクレオチド、化学発光的に標識されたヌクレオチド及び量子ドット標識されたヌクレオチドからなる群より選ばれる。
本発明は、配列番号:2のA485に対応する位置におけるアラニンからスレオニンへの変異、または配列番号:2のL408またはP410に対応する位置における変異を含む単離された組み換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼを包含し、DNAポリメラーゼは、該ポリメラーゼの野生型に比べて非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少していることを特徴とする。
1つの実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼを欠失している。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のD141またはE143に対応するアミノ酸において変異を有している。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のD141に対応する位置においてアスパラギン酸からスレオニンまたはアラニンへの変異を有している。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のE143に対応する位置においてグルタミン酸からアラニンへの変異を有している。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のE143に対応する位置においてグルタミン酸からアラニンへの変異と、配列番号:2のD141に対応する位置においてアスパラギン酸からスレオニンまたはアラニンへの変異を有している。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは熱安定性である。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは古細菌に由来する。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置においてロイシンからヒスチジンへの変異を有する。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置においてロイシンからフェニルアラニンへの変異を有する。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のP410に対応する位置においてプロリンからロイシンへの変異を有する。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のA485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を有する。
他の実施形態において、配列番号:2のA485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置にロイシンからヒスチジンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のA485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置にロイシンからフェニルアラニンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のA485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のP410に対応する位置にプロリンからロイシンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のP410に対応する位置においてプロリンからロイシンへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のS345に対応する位置にセリンからプロリンへの変異をさらに有する。
他の実施形態において、配列番号:2のS345に対応する位置においてセリンからプロリンへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のT604に対応する位置にさらなる変異を含んでいてもよい。
他の実施形態において、配列番号:2のY497に対応する位置においてチロシンからシステインへの変異を含むファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のI630に対応する位置にイソロイシンからバリンへの変異をさらに含んでいてもよい。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のE645に対応する位置にグルタミン酸からリジンへの変異を含む。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のE578に対応する位置にグルタミン酸からリジンへの変異を含み、配列番号:2のR465に対応する位置にアルギニンからメチオニンへの変異をさらに含んでいてもよい。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL396に対応する位置においてロイシンからグルタミンへの変異を含み、配列番号:2のV401,N424,P569,E617またはV640に対応する位置にさらに変異を含んでいてもよい。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のS651に対応する位置においてセリンからアスパラギンへの変異を含む。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL396に対応する位置においてロイシンからプロリンへの変異を含み、配列番号:2のE459に対応する位置にさらに変異を含んでいてもよい。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL456に対応する位置においてロイシンからプロリンへの変異を含み、配列番号:2のE658に対応する位置にさらに変異を含んでいてもよい。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置においてロイシンからヒスチジンへの変異を含み、配列番号:2のV437またはL478に対応する位置にさらに変異を含んでいてもよい。L408H変異は、本明細書に記載するジデオキシヌクレオチド及びダイジデオキシヌクレオチドスクリーニングにおいて単離された。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、配列番号:2のY496に対応する位置においてチロシンからアスパラギンへの変異を含む。
他の実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、ジデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、及びヌクレオチド複合体からなる群より選択される非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少している。
他の実施形態において、ヌクレオチド複合体は、同位体標識されたヌクレオチド、蛍光標識されたヌクレオチド、ビオチン標識されたヌクレオチド、化学発光的に標識されたヌクレオチド及び量子ドット標識されたヌクレオチドからなる群より選ばれる。
他の実施形態において、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した単離された組み換えDNAポリメラーゼ、または配列番号:2のA485に対応する位置にアラニンからスレオニンへの変異、または配列番号:2のL408またはL410に対応する位置に変異を含む単離された組み換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼであって、該DNAポリメラーゼはポリメラーゼの野生型に比べて非従来型なヌクレオチドに対する識別が減少しており、該DNAポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸409におけるYからTへの変異;配列番号:2のアミノ酸485におけるAからC,S,L,I,FまたはVへの変異;配列番号:2のアミノ酸494におけるYからSへの変異;配列番号:2のアミノ酸496におけるYからLへの変異;及び配列番号:2のアミノ酸490におけるAからYへの変異からなる群より選択される変異に対応するポリメラーゼ中のアミノ酸残基における変異をさらに含む。
他の実施形態において、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した単離された組換え型DNAポリメラーゼ、または配列番号:2のA485に対応する位置にアラニンからスレオニンへの変異、または配列番号:2のL408またはP410に対応する位置に変異を含む単離された組み換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼであって、該DNAポリメラーゼはポリメラーゼの野生型に比べて非従来型なヌクレオチドに対する識別が減少しており、該DNAポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸483〜496(483と496含む)の1つに対応するポリメラーゼのアミノ酸における変異をさらに含む。
1つの実施形態において、変異は、配列番号:2のアミノ酸485、490、494,または496のうちの1つに対応するポリメラーゼのアミノ酸におけるものである。
本発明は、配列番号:2のA485に対応するアミノ酸におけるアラニンからスレオニンへの変異と、少なくとも、配列番号:2のそれぞれL408、Y409またはP410に対応するアミノ酸のポリメラーゼにおける置換とを含む、単離された組換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼを包含する。
本発明は、配列番号:2のA485に対応するポリメラーゼのアミノ酸においてA以外のアミノ酸と、少なくとも、配列番号:2のそれぞれL408、Y409またはP410に対応するアミノ酸のポリメラーゼにおける置換とを含む、単離された組換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼを包含する。
本発明は、ファミリーBのDNAポリメラーゼをコードする核酸配列を含む組み換えベクターをさらに包含する。
本発明は、DNAの相補鎖を標識する方法をさらに包含し、該方法は、鋳型DNA分子と、ThermococcusJDF−3種に由来する組換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼとを、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼと、非従来型ヌクレオチドとに、DNAポリメラーゼが相補DNA鎖を合成するのに十分な時間及び条件下で接触させて、相補的DNA鎖を合成し、非従来型ヌクレオチドを合成された相補的DNA鎖に取り込む工程を含む。
本発明は、DNAの相補鎖を標識する方法をさらに包含し、該方法は、鋳型DNA分子を、配列番号:2のA485に対応する位置におけるアラニンからスレオニンへの変異、または配列番号:2のそれぞれL408またはP410に対応する部位における変異を含み、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した組み換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼと、非従来型ヌクレオチドとに、DNAポリメラーゼが相補DNA鎖を合成するのに十分な時間及び条件下で接触させて、相補的DNA鎖を合成し、非従来型ヌクレオチドを合成された相補的DNA鎖に取り込む工程を含む。
1つの実施形態において、組換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼを欠失している。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸L408に対応する位置においてロイシンからヒスチジンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸L408に対応する位置においてロイシンからフェニルアラニンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸P410に対応する位置においてプロリンからロイシンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を有する。
他の実施形態において、配列番号:2のA485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸L408に対応する位置にロイシンからヒスチジンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応するアミノ酸においてロイシンからフェニルアラニンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のP410に対応するアミノ酸においてプロリンからロイシンへの変異を含む。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、ジデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、及びヌクレオチド複合体からなる群より選択される非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少している。
他の実施形態において、ヌクレオチド複合体は、同位体標識されたヌクレオチド、蛍光標識されたヌクレオチド、ビオチン標識されたヌクレオチド、化学発光的に標識されたヌクレオチド及び量子ドット標識されたヌクレオチドからなる群より選ばれる。
本発明はさらに、DNAのシーケンシング方法も包含し、該方法は、シーケンシングすべきDNA鎖を、シーケンシングプライマーと、ThermococcusJDF−3種に由来する組換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼであって、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したDNAポリメラーゼと、連鎖終結用ヌクレオチドアナログとに、DNAポリメラーゼが相補DNA鎖を合成する条件下で接触させて、相補的DNA鎖を合成し、ヌクレオチドを合成された相補的DNA鎖に取り込む工程を含み、連鎖終結用ヌクレオチドアナログの取り込みにより、鋳型DNA鎖の核酸配列が決定できるように鎖長延長が終結する。
本発明はさらに、DNAのシーケンシング方法も包含し、該方法は、シーケンシングすべきDNA鎖を、シーケンシングプライマーと、配列番号:2のA485に対応する位置におけるアラニンからスレオニンへの変異、または配列番号:2のL408またはP410、S345又はP410に対応する部位における変異を含み、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した組み換え型ファミリーBのDNAポリメラーゼと、連鎖終結用ヌクレオチドアナログとに、DNAポリメラーゼが相補DNA鎖を合成する条件下で接触させて、相補的DNA鎖を合成し、ヌクレオチドを合成された相補的DNA鎖に取り込む工程を含み、連鎖終結用ヌクレオチドアナログの取り込みにより、鋳型DNA鎖の核酸配列が決定できるように鎖長延長が終結する。
1つの実施形態において、組換え型DNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼを欠失している。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸L408に対応する位置においてロイシンからヒスチジンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸L408に対応する位置においてロイシンからフェニルアラニンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸P410に対応する位置においてプロリンからロイシンへの変異を有する。
他の実施形態において、配列番号:2のP410に対応する位置にプロリンからロイシンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、さらに配列番号:2のS345に対応する位置におけるセリンからプロリンへの変異を有する。
他の実施形態において、組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を有する。
他の実施形態において、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置にロイシンからヒスチジンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のL408に対応する位置にロイシンからフェニルアラニンへの変異を含む。
他の実施形態において、配列番号:2のアミノ酸A485に対応する位置においてアラニンからスレオニンへの変異を含む組換え型ファミリーBポリメラーゼは、配列番号:2のP410に対応する位置にプロリンからロイシンへの変異を含む。
他の実施形態において、連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチオチドである。
他の実施形態において、ジデオキシヌクレオチドは検出可能に標識されている。
他の実施形態において、ジデオキシヌクレオチドは蛍光的に標識されている。
他の実施形態において、ジデオキシヌクレオチドは、フルオレセイン及びローダミンからなる群より選択される部分によって標識されている。
本発明は、本明細書に開示の方法を実施するためのキットも包含する。
本発明は、本明細書中に開示した組換え型DNAポリメラーゼの作成方法も包含し、該方法は、前記ポリメラーゼをコードする核酸配列を含む宿主細胞を、前記DNAポリメラーゼの生産を可能とする条件下で培養する工程を含む。
本発明は、本明細書に記載の変異DNAポリメラーゼと、TaqDNAポリメラーゼなどの別のDNAポリメラーゼ(好ましくは変異型、F667Y)との混合物を包含する。このような混合物は、標識されたヌクレオチドから合成ヌクレオチドへの重合によって発生されるシグナルの均一性を高めるのに有用である。
本発明は、鋳型DNA分子の所定位置におけるヌクレオチドを同定するための組成物を提供し、該組成物は、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したファミリーBのDNAポリメラーゼと、第1のプライマーとを含み、該第1のプライマーは鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドの3’に隣接してアニールする。
1つの実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、JDF−3DNAポリメラーゼである。
好ましい実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは配列番号:2の配列を有し、さらに、D141,E143,A485、L408またはP410の位置に1つまたはそれ以上のアミノ酸変異をさらに含む。
好ましい実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは、D141AまたはD141T、E143A、L408HまたはL408F、A485T、及びP410Lからなる群より選択される1つ以上のアミノ酸変異を有する。
好ましい実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは、D141A、E143A、P410L及びA485Tに4つのアミノ酸変異を含む。
好ましくは、上記実施形態におけるファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している。
本発明の上記実施形態は、少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログをさらに含んでいてもよく、該連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、鋳型依存的にファミリーBのDNAポリメラーゼによって第1のプライマーに取り込まれる。
好ましい実施形態において、少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、第1の検出可能なラベルによって標識されている。
他の好ましい実施形態において、1つより多い連鎖終結用ヌクレオチドアナログが標識され、各連鎖終結用ヌクレオチドアナログは異なる第1の検出可能なラベルで標識されている。
好ましくは、上記実施形態における連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチドである。
より好ましくは、ジデオキシヌクレオチドは、ddATP、ddTTP、ddCTP及びddGTPからなる群より選ばれる。
好ましい実施形態において、第1のプライマーは第2の検出可能なラベルによって標識されている。
他の好ましい実施形態において、第1及び第2の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生する。
ヌクレオチドを同定するための上記組成物は、第2のプライマーをさらに含んでいてもよい。
1つの実施形態において、第1のプライマーは、第2の検出可能なラベルで標識されており、第2のプライマーは第3の検出可能なラベルで標識されており、第2及び第3の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生する。
好ましい実施形態において、第2のプライマーは鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドの5’に隣接してアニールする。
1つの実施形態において、上記組成物はDNAリガーゼをさらに含む。
好ましい実施形態において、上記各組成物は、ファミリーBのDNAポリメラーゼのための反応バッファをさらに含む。
好ましい実施形態において、鋳型DNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応の産物またはプラスミドDNAである。
他の好ましい実施形態において、第1または第2または第3の検出可能なラベルは、蛍光ラベル、同位体、化学発光ラベル、量子ドットラベル、抗原、またはアフィニティ分子からなる群より選ばれるラベルである。
他の好ましい実施形態において、第1の検出可能なラベルはローダミンラベルまたはシアニンラベルである。
本発明は、さらに上記各組成物をキット形式で提供する。
好ましい実施形態において、上記キットは対照鋳型及び/または少なくとも1つの対照プライマーをさらに含む。
好ましい実施形態において、キットは対照鋳型と、4つの対照プライマーとをさらに含む。
本発明は、試料中の鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定する方法を提供し、該方法は、
(a)第1のプライマーを鋳型DNA分子と接触させる工程であって、接触により第1のプライマーを鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドの3’に隣接してアニールして、第1のプライマーと鋳型DNA分子との間に二本鎖が形成される工程と、
(b)工程(a)で得られる二本鎖を、ファミリーBのDNAポリメラーゼ及び少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログの存在下においてインキュベートする工程であって、ファミリーBのDNAポリメラーゼは非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少しており、ターミネータは第1の検出可能なラベルで標識されており、インキュベート工程によって、標識された連鎖終結用ヌクレオチドアナログのDNAポリメラーゼによる鋳型依存的第1のプライマーへの取り込みが可能になるインキュベーション工程と、
(c)第1の検出可能なラベルから発生されるシグナルによって工程(b)で得られる二本鎖の存在または正体を判定する工程とを含む。
好ましい実施形態において、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、JDF−3のDNAポリメラーゼである。
他の実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは、配列番号:2の配列を有し、D141,E143,A485、L408またはP410の位置に1つまたはそれ以上のアミノ酸変異をさらに含む。
好ましい実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは、D141AまたはD141T、E143A、L408HまたはL408F、A485T、及びP410Lからなる群より選択される1つ以上のアミノ酸変異を有する。
さらに好ましい実施形態において、JDF−3のDNAポリメラーゼは、D141A、E143A、P410L及びA485Tの4つのアミノ酸変異を含む。
好ましくは、ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している。
1つの実施形態において、少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、第1の検出可能なラベルによって標識されている。
他の好ましい実施形態において、1つより多い連鎖終結用ヌクレオチドアナログが標識され、各連鎖終結用ヌクレオチドアナログは異なる第1の検出可能なラベルで標識されている。
好ましくは、上記実施形態における連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチドである。
より好ましくは、ジデオキシヌクレオチドは、ddATP、ddTTP、ddCTP及びddGTPからなる群より選ばれる。
好ましい実施形態において、第1のプライマーは第2の検出可能なラベルによって標識されている。
他の好ましい実施形態において、第1及び第2の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生する。
好ましい実施形態において、鋳型DNA分子はポリメラーゼ連鎖反応の産物またはプラスミドである。
好ましい実施形態において、本発明の方法は、工程(a)の前にPCRプライマー及びdNTPをPCR産物から除去する工程をさらに含む。
本発明は、試料中の鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定する方法を提供し、該方法は、
(a)第1のプライマーと第2のプライマーとを鋳型DNA分子に接触させる工程であって、接触により、第1のプライマーは鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドの3’に隣接してアニールし、第2のプライマーは鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドの5’に隣接してアニールして、鋳型DNA分子と第1及び第2のプライマーとの間で複合体を形成し、該第1のプライマーは第2の検出可能なラベルで標識されており、第2のプライマーは第3の検出可能なラベルで標識されている接触工程と、
(b)工程(a)で得られる複合体を、DNAリガーゼの存在下でインキュベートする工程であって、インキュベーションにより第1のプライマーと第2のプライマーとが繋がれて単一の分子が形成されるインキュベーション工程と、
(c)第2及び第3の検出可能なラベルから発生されるシグナルによって、工程(b)で得られる単一の分子の存在または正体を判定する工程とを含む。
好ましい実施形態において、第1または第2または第3の検出可能なラベルは、放射性ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、比色ラベル及び酵素ラベルからなる群から選ばれるラベルである。
別の実施形態において、第1の検出可能なラベルはローダミンラベルまたはシアニンラベルである。
本明細書中で用いる「識別」とは、DNAポリメラーゼが、初期のDNA重合体中へ非従来型のヌクレオチドを取り込みを行えない傾向のことをいう。DNAポリメラーゼは、限定はされないがヌクレオチド塩基相補性を含むヌクレオチド構造及び糖及び複素環塩基の構造的特徴を感知して、DNAポリメラーゼが初期のポリマー中への取り込みに非従来型ヌクレオチドよりも従来型ヌクレオチドを優先的に利用できるようにする能力を有している。DNAポリメラーゼは、従来型デオキシヌクレオチドdATP,dCTP,dGTP及びdTTPをDNAポリマー強力に取り込むことを好み、ポリメラーゼはその結合ポケット内で非従来型ヌクレオチドによっては進みにくい。
本明細書中で用いる「識別が減少した」とは、DNAポリメラーゼが非従来型ヌクレオチド型を初期のDNAポリマーから排除する(すなわち、非従来型ヌクレオチドを初期のDNAポリマーへ取り込まない)傾向が、識別の減少を示さない親または野生型DNAポリメラーゼと比較して、少なくとも50%減少していることをいう。DNAポリメラーゼのもつ、DNAポリマーへ非従来型ヌクレオチドよりも従来型デオキシヌクレオチドdATP,dCTP,dGTP及びTTPを取り込みやすいという選択性は、DNAポリメラーゼによって非従来型ヌクレオチドの方がDNAポリマーにより容易に取り込まれるといったように、天然の選択性レベルよりも減少している。本発明に従えば、識別の減少を示すポリメラーゼは、少なくとも1つの非従来型ヌクレオチドに対して識別の減少を示すが、すべての非従来型ヌクレオチドに対して識別の減少を示すわけではない。
本発明に従えば、識別は、対応する従来型ヌクレオチドの取り込みを50%阻害するのに必要とされる非従来型ヌクレオチドの濃度を測定することによって定量化される。この濃度は、非従来型ヌクレオチドに対する「I50%」と呼ぶことにする。所与の非従来型ヌクレオチドに対する識別は、該非従来型ヌクレオチドに対するI50%が、変異DNAポリメラーゼの代わりに親DNAポリメラーゼを含めて同様のアッセイを行った場合に、少なくとも2倍(50%)減少している場合に、「減少している」という。
あるいは、識別の減少は、識別の減少を示す変異ポリメラーゼを用いる反応において、野生型または親酵素を用いた場合に得られるシーケンシングラダーと同等のラダーを得るのに必要とされる非従来型ヌクレオチド(例えば、ジデオキシヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはコルジセピン)の量を測定することにより定量化してもよい。シーケンシングラダーは、例えば、プライマー末端から1〜400塩基の範囲で調べることができ、ラダーはシーケンシング反応において生成される延長産物の長さだけでなく、生成される延長産物の数の点でも一致する。このタイプのアッセイに対して、一定量のdNTPと変化量の非従来型ヌクレオチドを用いて、野生型(または親)酵素及び変異ポリメラーゼの両方によってシーケンシングラダーが生成される(リボヌクレオチドに対して、シーケンシングラダーは重合産物のアルカリ切断によって生成される)。前掲のGardner&Jack,1999を参照のこと。変異体は、野生型または親酵素によって生成されるものと同じシーケンシングラダー(生成される延長産物の数と長さに関して)を生産するのに、野生型または親ポリメラーゼによって用いられる非従来型ヌクレオチドの量の、少なくとも2倍(50%)未満、5倍(80%)未満、10倍(100%)未満などしか必要とするようであれば識別の減少を示していることになる。
本明細書中で用いる「親」または「原体」とは、識別の減少を示す変異ポリメラーゼ作成時に出発物質として用いたポリメラーゼのことをいう。「親」という用語には、自然界で発生するいわゆる「野生型」酵素だけでなく、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少した酵素を作成するための出発物質として用いたエキソヌクレアーゼ欠失酵素などの中間型のものも包含する。
本明細書中で用いる「非従来型ヌクレオチド」は、a)DNAポリメラーゼによって認識または取り込まれる4つの従来型デオキシヌクレオチドdATP,dCTP,dGTP及びdTTPのうちの1つでないヌクレオチド構造物、b)(a)の4つの従来型デオキシヌクレオチドのうちの1つでない合成ヌクレオチド、c)修飾された従来型ヌクレオチド、またはd)リボヌクレオチド(DNAポリメラーゼによって正常に認識または取り込まれないからである)及びリボヌクレオチドの修飾型のことをいう。非従来型ヌクレオチドとしては、限定はされないが、例えばNew England Nuclearより市販されている表IIIに挙げたものが含まれる。上記非従来型ヌクレオチドのいずれも「ヌクレオチド複合体」であってよく、本明細書中でこの用語は、限定はされないが蛍光ラベル、同位体、化学発光ラベル、量子ドットラベル、抗原またはアフィニティラベルを含む検出可能なラベルを保持しているヌクレオチオドのことをいう。
本明細書中の「細胞」、「細胞系列」及び「細胞培養物」という用語は互換的に用いることができ、そのようなすべての表記は子孫を包含する。したがって、「形質転換体」または「形質転換細胞」という単語には、転移の数に関係なく、一次対象細胞及びそれから誘導される培養物が含まれる。すべての子孫は、意図的または非意図的変異のために、DNA含量が正確には同一でない場合がある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされるように、同一の機能を有する変異子孫も含まれる。
本明細書中で用いる「ベクターで形質転換された生物」とは、組換え型遺伝子構築物を保持する生物のことをいう。
本明細書中で用いる「熱安定性」とは、酵素が昇温状態において活性であり、約93℃〜約97℃の範囲のDNA二本鎖変性温度に対して耐性であるような、DNAポリメラーゼの性質のことをいう。「活性がある」とは、二本鎖核酸の変性を行うのに必要な時間だけ昇温状態または変性温度に供した場合に、酵素がプライマー延長反応を実行する能力を保持していることを意味する。本明細書中で用いる「昇温状態」とは、約70℃〜約75℃の範囲のことをいい、本明細書中で用いる「非昇温状態」とは、約35℃〜約50℃の範囲のことをいう。
本明細書中で用いる「古細菌の」という用語は、古細菌(kingdom Archea)の生物またはそれに由来するDNAポリメラーゼのことをいう。
本明細書中で用いる「プライマー」という用語は、天然または合成のいずれであってもよいオリゴヌクレオチドのことをいい、該オリゴヌクレオチドは実質的に相補的(すなわち、10のうちの少なくとも7、好ましくは10のうちの少なくとも9、より好ましくは10塩基のうちの9塩基が完全に相補的)であり、相補的鋳型DNAにアニールしてプライマーと鋳型DNAとの間に二重鎖を形成する。プライマーは、シーケンシングするDNA鎖へのアニーリングに続いて、ポリメラーゼによる核酸合成の開始点として機能することもできる。プライマーは典型的には一本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーの適当な長さは、プライマーの使用目的に依存するが、DNAシーケンシング用途に対しては典型的には約15〜約40ヌクレオチドの長さである。
本明細書中で用いる「ファミリーBのDNAポリメラーゼ」とは、ファミリーBのDNAポリメラーゼのメンバーとして分類される任意のDNAポリメラーゼのことをいい、ファミリーBの分類は、大腸菌DNAポリメラーゼIIとの構造的類似性に基づいている。以前はα−ファミリーポリメラーゼとして知られていたファミリーBのDNAポリメラーゼには、限定されないが表Iに挙げたようなものが含まれる。
本明細書中で用いる「ファミリーAのDNAポリメラーゼ」は、ファミリーAのDNAポリメラーゼのメンバーとして分類される任意のDNAポリメラーゼのことをいい、ファミリーAの分類は、大腸菌DNAポリメラーゼIとの構造的類似性に基づいている。ファミリーAのDNAポリメラーゼには、限定されないが表Iに挙げたようなものが含まれる。
本明細書中で用いる「3’→5’エキソヌクレアーゼ欠失」または「3’→5’エキソ」とは、DNAポリマーの3’末端から取り込まれたヌクレオチドを除去する能力を実質的に欠失しいてる酵素のことをいう。ファミリーBのポリメラーゼのメンバーによって例示される、例えば3’→5’エキソヌクレアーゼ活性のようなDNAポリメラーゼエキソヌクレアーゼ活性は、変異によって欠失させて、エキソヌクレアーゼ欠失ポリメラーゼを得ることができる。本明細書中で用いる、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失したDNAポリメラーゼは、実質的に3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を欠失している。「実質的に欠失している」という表現のなかには、活性が完全に欠失していること、あるいは活性が「実質的に」欠失していることが包含される。活性の「実質的な」欠失は、親ポリメラーゼに対して、変異ポリメラーゼの3’エキソヌクレアーゼ活性が0.03%であり、また、0.05%、0.1%、1%、5%、10%、または20%であってもよいが、親または野生型ポリメラーゼの3’エキソヌクレアーゼ活性の50%未満であることを意味する。
本明細書中で用いる、「変異」とは、DNAによってコードされるアミノ酸配列を変化させる出発親DNA配列に導入される変化のことをいう。変異の結果としては、限定されないが、新しい性質、特性、機能または、親DNAによってコードされるタンパク質においては見られない特性を生み出すことが含まれる。
本明細書中で用いる、「野生型」とは、自然界で見られる、生物、菌株、遺伝子、タンパク質または特徴の典型的な状態のことをいう。したがって、野生型は、野生型に変更を導入することにより野生型から誘導された、変異体とは区別される天然の状態である。
本明細書中で用いる、「対応する」とは、機能的に同等のドメインまたはサブシーケンスが同定されている、2つ以上の核酸またはポリペプチドの比較における配列類似性のことをいい、そのような機能的に同等のドメインまたはサブシーケンスまたはそのようなドメインまたはサブシーケンス内のアミノ酸は、「対応している」と言われる。すなわち、2つ以上の配列を、類似または同一の配列領域に対して全配列を調べる比較アライメント分析によって比較し、他の配列からの領域と機能的に同等でありそうな領域を同定する。
本明細書中で、アミノ酸、アミノ酸配列またはタンパク質ドメインの比較に関して用いる用語「類似する」は、同一ではないにせよ、「保守的な(conservative)」相違を示すアミノ酸またはドメインのことをいう。「保守的な」という用語は、異なるアミノ酸は、対応するまたは参照配列においてアミノ酸と同様の特性を有することを意味している。典型的な保守的な置換は、Ala、Val、Leu及びIleのあいだ、SerとThrのあいだ、酸性残基AspとGluのあいだ、AsnとGlnのあいだ、及び塩基性残基LysとArgのあいだ、または芳香族残基PheとTyrのあいだでの置換である。2つのポリペプチド配列の間での類似度(大半は百分率)を計算する際には、比較している2つの分子の全長に対する、2つのポリペプチド配列のなかの対応するアミノ酸残基間で同一性または類似性が観察される位置の数を考慮する。
本明細書中で用いる用語「機能的に同等の」は、所与のモチーフ、領域またはモチーフまたは領域中のアミノ酸が、酵素の全体機能に関して、別の酵素においてモチーフ、領域、またはモチーフまたは領域中のアミノ酸が遂行するのと同じ機能を遂行することを意味する。
本明細書中で用いる「連鎖終結用ヌクレオチドアナログ」とは、一旦取り込まれてしまうと、DNAポリメラーゼによる配列延長のための基質としては機能できず、DNAポリメラーゼによるDNAポリマーの延長を終結させるヌクレオチドアナログのことをいう。このようなヌクレオチドアナログは、典型的には、DNAポリメラーゼが入ってくるヌクレオチドによってホスホジエステル結合を合成することのできる該ヌクレオチドアナログの糖部分上に水酸基を欠失している。連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、非従来型ヌクレオチドのサブセットであり、限定はされないがジデオキシヌクレオチドを含んでいる。
本明細書中で用いる「検出可能に標識された」という表現は、様々な手段によって容易に検出可能な官能基(ラベル)を取り込んだ構造的修飾のことをいう。検出可能に標識できる化合物としては、非限定的にヌクレオチドアナログが含まれる。検出可能なヌクレオチドアナログラベルとしては、非限定的に蛍光化合物、同位体化合物、化学発光化合物、量子ドットラベル、ビオチン、酵素、電子密度試薬、及び抗血清やモノクローナル抗体が利用できるハプテンまたはタンパク質が含まれる。様々な検出手段としては、非限定的に分光学的、光化学的、生化学的、免疫学的または化学的手段が含まれる。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに関して本明細書中で用いる、「単離された」という用語は、天然で発生する配列がその正常な細胞環境から取り除かれているか、あるいは非自然環境において合成されている(例えば、人工的に合成されている)ことを意味する。したがって、配列は、細胞を含まない溶液中または異なる細胞環境中におくことができる。この用語は、配列が存在するヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖だけであることではなく、それぞれに通常付随する非ヌクレオチドまたは非ポリペプチド材料を本質的に含まない(少なくとも約90〜95%の純度)ことを含意している。
本明細書中で用いる用語「組換え型」は、遺伝子操作によって(すなわち、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドをコードする遺伝材料の修飾または操作によって)変えられた、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのことをいう。
本発明は、上述のような全長変異DNAポリメラーゼのみならず、変異ポリメラーゼの機能的断片、すなわち変異ポリメラーゼの全アミノ酸配列よりは小さいものの、少なくとも1組の条件下において、ポリヌクレオチドの重合を触媒する能力を保持しているDNAポリメラーゼの断片を意味する。このような機能的断片は、独立物として存在することもあるし、あるいは融合タンパク質などのより大きなポリペプチドの構成要素であることもある。
本明細書中で用いる「相補的DNA鎖」という用語は、プライマー延長反応においてDNAポリメラーゼによって鋳型DNA分子から合成されたDNA分子のことをいう。
本明細書中で用いる「鋳型DNA分子」という用語は、例えばプライマー延長反応において、DNAポリメラーゼによって相補的核酸鎖が合成される元になる核酸の鎖のことをいう。「鋳型DNA分子」は、配列を同定する必要がある鋳型DNA鎖のこともいう。配列は、鋳型DNA分子の所定の位置にある1つのヌクレオチドについて同定する必要がある場合と(すなわち、ミニシーケンシングによって)、DNA分子の断片または全体について同定する必要がある場合(すなわち、シーケンシングによって)がある。本発明に従う「配列」という用語は、鋳型DNA分子の所定の位置もしくは1つより多い位置におけるヌクレオチドの識別のことをいう。
本発明のさらなる特徴と利点は、以下の実施形態及び図面の説明のなか、及び請求項からより完全に明示されるであろう。
開示
本発明は、非修飾の野生型に比べて非従来型ヌクレオチドに対する識別の減少をもたらす1つ以上の遺伝子変異を有する、ファミリーBのDNAポリメラーゼの発見に基づいている。ここで述べる全ての引例は、そっくりそのまま引用により本願に取り込む。
非従来型ヌクレオチドに対する識別の減少を見せるファミリーBのDNAポリメラーゼは以下のとおりである。
A.本発明に従って有用なDNAポリメラーゼ
本発明に従えば、ファミリーBのDNAポリメラーゼは非従来型ヌクレオチドに対して識別の減少をみせる酵素を生じるように変異させることができる。表Iはこのファミリーによって分類した周知のDNAポリメラーゼの非限定的リストを含んでいる。
Figure 2005512560
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Figure 2005512560
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B.プラスミド
本発明に従うファミリーBのDNAポリメラーゼの生成のための出発配列は、プラスミドベクターに含有させることができる。クローン化したファミリーBのDNAポリメラーゼの非限定的なリスト、及びそれらのGeneBankアクセス番号が表IIに列挙されている。
Figure 2005512560
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Figure 2005512560
Figure 2005512560
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ファミリーBのDNAポリメラーゼの修飾型の発現を許容するプラスミドは、既知の多数の中から当業者によって選択可能である。本発明に従う修飾DNAポリメラーゼの発現のためのプラスミドベクターは、DNAポリメラーゼの高レベル発現を指示する配列を含むことが好ましく、DNAポリメラーゼの誘導可能な高レベル発現を指示する配列を含むことがより好ましい。誘導可能な高レベル発現系の一例として、本発明に従う修飾DNAポリメラーゼをコードする配列をバクテリオファージT7プロモータの制御下においたプラスミドを、染色体内に誘導可能なT7RNAポリメラーゼ遺伝子を有した細菌に導入するようにしてもよい。T7RNAポリメラーゼ遺伝子の誘導によって、T7プロモータによって駆動される修飾DNAポリメラーゼ遺伝子の高レベル発現が誘導される(例えば、Gardner&Jack,Nucleic Acids Res.27:2545を参照のこと)。

C.突然変異誘発
様々な方法により、クローン化した野生型のファミリーBのDNAポリメラーゼに変異をかけて、非従来型ヌクレオチドに対して識別の減少を示す型を作成することができる。
まず最初に、当該技術分野においては、1つ以上のランダムに位置した変異を保持する変異体団を与えるランダム突然変異誘発の方法がある。このような変異体団を次に、野生型のポリメラーゼに比べて識別の減少を示すかどうかをスクリーニングするようにしてもよい(下記の「変異体についての識別減少の評価方法」を参照のこと)。ランダム突然変異誘発のための方法の例として、いわゆる「変異性PCR法」がある。この名前が物語っているように、この方法は、DNAポリメラーゼが高フィデリティ取り込みを支持しない条件の下で、所与の配列を増幅する。DNAポリメラーゼが異なれば変異性取り込みを促進する条件が変わるが、当業者であれば所与の酵素に対してそのような条件を決定できるであろう。増幅のフィデリティにおける多くのDNAポリメラーゼに対する基本変数は、例えば、バッファ中の二価金属の種類と濃度である。、ポリメラーゼのエラー率に影響を与えるために、マンガンイオンの使用及び/またはマグネシウムまたはマンガンイオン濃度の変化を適用することができる。
第2に、当該技術分野においては、特定の部位または領域に直接的に変異をかけることのできる多数の部位特異的突然変異誘発が知られている。従来法及びPCRに基づく方法を含め、部位特異的突然変異誘発を実施するための多数のキットが市販されている。その例としては、Stratageneより市販されているEXSITE(商標)PCRに基づく部位特異的変異キット(カタログ番号:200502、PCRに基づく)及びStratageneより市販されているQUIKCHANGE(商標)部位特異的変異キット(カタログ番号:200518、PCRに基づかない)、ならびにこれもStratageneより市販されているCHAMELEON(登録商標)二本鎖部位特異的変異キット(カタログ番号:200509)が挙げられる。
当該技術分野において知られている上記よりも古い部位特異的突然変異誘発は、変異すべき配列を、一本鎖DNA鋳型の単離を可能にする、M13バクテリオファージベクターなどのベクター中にサブクローニングすることによるものであった。これらの方法においては、変異プライマー(すなわち、変異すべき部位にアニールすることのできるプライマーであって、変異部位に1つのミスマッチヌクレオチドを保持するもの)を一本鎖鋳型にアニールして、変異プライマーの3’末端から始まる鋳型の相補鎖の重合を行っていた。その後、得られた二本鎖で宿主細菌を形質転換し、プラークについて所望の変異を有しているかどうかを調べた。
もっと最近では、部位特異的突然変異誘発に、一本鎖鋳型を必要としないという利点を有するPCRの手順が用いられるようになった。さらに、サブクローニングを必要としない方法も開発されてきた。PCRに基づく部位特異的突然変異誘発を実施する際には、いくつかの問題を考慮しなければならない。第1に、これらの方法において、ポリメラーゼによる望ましくない変異の拡大を防ぐためにPCRサイクルの数を減らすことが望ましい。第2に、反応中に居座る未変異の親分子の数を減らすために選択を行わなければならない。第3に、1つのPCRプライマーセットを使用できるように、鎖長の長いPCR方法が好ましい。第4に、いくつかの熱安定性ポリメラーゼが鋳型非依存性末端延長活性を有しているため、PCRによって生成した変異体産物の平滑末端ライゲーションの前に末端ポリシング工程を組み込む必要があることが多い。
以下に記載するプロトコールは、次の工程によって上記の考慮をふまえている。第1に、使用する鋳型濃度を、従来のPCR反応において用いられるよりも約1000倍高くすることにより、産物の収率を劇的に低下させることなく、サイクルの数を25〜30から5〜10に減らすことができる。第2に、制限エンドヌクレアーゼDpnI(認識標的配列:5−Gm6ATC−3、A残基はメチル化されている)を用いて、親DNAに対する選択性を与える。これは最も一般的な大腸菌の株DamがそれらのDNAを配列5−GATC−3においてメチル化するためである。第3に、長い(すなわち、全プラスミド長)PCR産物の割合を増加させるために、PCR混合物中にTaqExtenderが用いられる。最後に、PfuDNAポリメラーゼを用いて、T4DNAリガーゼを用いる分子内ライゲーションの前にPCR産物の末端を研磨する。
方法について、以下に詳細に示す。
3’−5’エキソヌクレアーゼドメインのPCRに基づく部位特異的突然変異誘発
プラスミド鋳型DNA(約0.5pモル)をPCRカクテルに加える。PCRカクテルは、1×変異バッファ(20mM トリスHCl,pH7.5;8mM MgCl;40μg/mL BSA);12〜20pモルの各プライマー(当業者であれば、オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリング特性に影響を及ぼす、塩基組成、プライマー長及び目的とするバッファ塩濃度などを考慮しながら、必要に応じて変異プライマーを設計するであろう。1つのプライマーには所望の変異が含まれていなければならず、1つ(同一または他の)には、その後のライゲーションを容易にするための5’ホスフェートを含んでいなければならない)、250μMの各dNTP、2.5UのTaqDNAポリメラーゼ、及び2.5UのTaqExtender(Stratageneより市販、Nielsonら(1994)Strategies7:27及び米国特許第5,556,772号を参照のこと)を含んでいる。PCRサイクルは以下のようにして行った。94℃4分間、50℃2分間及び72℃2分間の1サイクル行った後、94℃1分間、54℃2分間及び72℃1分間のサイクルを5〜10サイクル行う。親の鋳型DNA、及び線形の変異プライマーを取り込んだPCRで生成されたDNAをDpnI(10U)及びPfuDNAポリメラーゼ(2.5U)を用いて処理する。これにより、インビボでメチル化された親鋳型のDpnI消化と、PfuDNAポリメラーゼによる、線形PCR産物上の鋳型非指向性TaqDNAポリメラーゼによって延長された塩基の除去が達成される。反応は、37℃で30分間インキュベートした後、72℃にしてさらに30分間インキュベートする。0.5mM ATPを含有する変異バッファ(1×、115μL)をDpn−消化し、PfuDNAポリメラーゼで研磨したPCR産物に加える。溶液を混合し、そのうちの10μLを新しい微量遠心管に取り、T4DNAリガーゼ(2〜4U)を加える。ライゲーションは37℃で60分以上行う。最後に、処理済溶液を標準的な方法に従ってコンピテント大腸菌に形質転換する。

D.本発明に従う有用な非従来型ヌクレオチド
当該技術分野においては広範な非従来型ヌクレオチドが市販されている。それらのどれもが本発明のDNAポリメラーゼとともに使用できるものとする。そのような非従来型ヌクレオチドの非限定的リストが表IIIに示されている。
Figure 2005512560
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Figure 2005512560
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本発明に従って有用なさらなる非従来型ヌクレオチドとしては、限定されないが、7−デアザ−dATP、7−デアザ−dGTP、5’−メチル−2’−デオキシシチジン−5’−三リン酸などが挙げられる。さらなる非従来型ヌクレオチドまたは上記リスト以外の変形は、Wright&Brown,1990,Pharmacol.Ther.47:447によって検討されている。リボヌクレオチドは一般にDNAポリメラーゼによって取り込まれないことから、リボヌクレオチドは従来型ヌクレオチドとして適格でないことを特記しておく。ポリメラーゼが標識または未標識のリボヌクレオチドを取り込む能力を与える、もしくはその能力を高めるファミリーBのDNAポリメラーゼの修飾が、ここでは特に意図されている。

E.変異体の識別の減少の評価方法
当該技術分野において知られるようにして、あるいは本明細書に記載したようにして作成され、細菌中で発現されたランダムまたは部位特異的変異体について、いくつかの異なるアッセイによって非従来型ヌクレオチドに対する識別の減少をスクリーニングすることができる。1つの方法において、例えばLambda ZapII(登録商標)に基づいて発現ベクターによって宿主に感染させることによって生成された溶菌λファージプラーク中で発現させたファミリーBのDNAポリメラーゼタンパク質を、メンブレン支持体に転移させる。固定化されたタンパク質について、メンブレンを取り込みについて調べたいDNA鋳型と非従来型ヌクレオチドを含むバッファ中に浸漬することにより、メンブレン上のポリメラーゼ活性を検定する。
Sagnerら(Sagner,G.,R.,and Kessler,C.(1991)Gene97:119〜123)によって用いられている技術の変形を用いて、変異ポリメラーゼライブラリーのスクリーニングを行うことができる。この手法のために、λファージクローンを1平方センチメートルあたり10〜20プラークの密度でプレーティングする。プラーク中に存在するタンパク質をフィルターに移し、ポリメラーゼスクリーニングバッファで濡らした(50mM トリス(pH8.0)、7mM MgCl、3mMβ―ME)。フィルターをプラスチックラップとガラスの層の間に保った状態で、65℃で30分間インキュベートすることにより、宿主細胞タンパク質を熱不活性化する。熱処理したフィルターを新鮮なプラスチックラップに移し、約35μLのポリメラーゼアッセイカクテルをフィルター1平方センチメートル毎に加える。アッセイカクテルは、1×クローン化Pfu(cPfu)マグネシウム非含有バッファ(1×バッファは20mM トリス−HCl(pH8.8)、10mM KCl、10mM(NHSO、100μg/mLウシ血清アルブミン(BSA)、及び0.1%TritonX−100であり;Pfuマグネシウム非含有バッファはStratagene(カタログ番号:200534)から入手してもよい)、125ng/mL活性化させた子牛胸腺またはサケ精子DNA、1.29μCi/mLα−33PddNTPまたはジデオキシヌクレオチド(dNTP:dye−ddNTP比=1:15にて)から構成される。最初のスクリーニングは、MnClの存在下で行われたが、好ましい方法は、1×Taqポリメラーゼバッファ中でスクリーニングすることである(1.5mM MgCl)。プラスチックラップとガラス板の間にフィルタを置き、65℃で1時間インキュベートした後、70℃で1時間15分間インキュベートする。フィルターを1回の洗浄につき5分間ずつ、2×SSC中で3回洗浄し、その後100%エタノール中で2回リンスし、真空乾燥させる。次にフィルターをX線フィルムに露光し(約16時間)、フィルタをファージクローンを保有する元のプレートと整合することにより、ラベルを取り込んだプラークを同定する。この方法で同定されたプラークをさらに薄い濃度で再度プレーティングし、同様の条件でアッセイして、精製されたプラークの単離を行えるようにする。
上述したようなアッセイにおいて、ラベルによって発生されるシグナルは、アッセイに用いられる特定の非従来型ヌクレオチドまたは非従来型ヌクレオチドの組み合わせに関して、ポリメラーゼの活性を測定することを目的としている。全部で4つの従来型ヌクレオチドに対応する非従来型ヌクレオチドを反応系に含めてもよいし、あるいは、1つの非従来型ヌクレオチドのみを含めて、所与の非従来型ヌクレオチドの利用に対する変異体の影響を調べるようにしてもよい。1つの手法としては、1回目のスクリーニングにおいて、全部で4つの従来型ヌクレオチドに対応する従来型ヌクレオチドを用いて、基準となる野生型クローンよりも取り込みが多いクローンを同定し、その後のスクリーニングにおいて個々の非従来型ヌクレオチドの取り込みをモニターすることがある。好ましいスクリーニングの形態において、ddATP,ddCTP及びddTTPのジデオキシヌクレオチド及びジデオキシヌクレオチドアナログを用いてもよいが、これは、ddGTPがいくつかのDNAポリメラーゼによって識別されず、どのスクリーニングにおいてもバックグラウンドシグナルが上昇するためである。
ジデオキシヌクレオチド取り込み能の向上したクローンをスクリーニングするために、ジデオキシヌクレオチドのみを用いた第1のスクリーニングによって同定されたクローンについて、4つすべてのdNTP、H−TTPトレーサ、及び低レベルの各ddNTPを用いたDNAポリメラーゼヌクレオチド取り込みアッセイにおいて、低レベルの4つの各ジデオキシヌクレオチドに対する感受性による特徴づけを行ってもよい。ジデオキシヌクレオチドの取り込みによりDNA鎖長延長が停止するので、ジデオキシヌクレオチドの取り込み能が優れていると、トリチウム標識したデオキシヌクレオチドの取り込みが、野生型DNAポリメラーゼに比べて減少する。ヌクレオチド取り込みの50%阻害を与えるddNTP濃度(I50%)の比較を用いて、種々のポリメラーゼまたはポリメラーゼ変異体のddNTP取り込み効率を比較することができる。ddATP、ddCTP,ddGTP及びddTTPに対するI50%値を比較することにより、変異体の特定の塩基に対する感受性の減少を同定することができる。このような変異体は、より均一なDNAシーケンシングラダーを生産することが予想される。
個々のddNTPの取り込みを測定するために、様々な濃度の関心ddNTPと、全部で200μMの各ヌクレオチド三リン酸からなるカクテルを調製する。例えば、野生型JDF−3ポリメラーゼによるddATPの取り込みは、0,40,80,120及び160μM ddATPで測定することができる。これらの反応系において、dATPの濃度は、それぞれ200,160,120,80及び40μMに調節して、アデニンヌクレオチド三リン酸の全量が200μMとなるようにする。比較において、変異体は、ddATPが0,5,10及び20μMとなるddATP濃度、それぞれ200,195,190及び180μMに調節したdATP濃度(dATP+ddATP=200μM)を用いてアッセイすることができる。ddCTP、ddGTP、及びddTTP取り込みを同様に測定するために、さらに別のカクテルを調製する。
上述の濃度パラメータにおける核酸の取り込みは、例えば、1μLの適当に希釈した細菌抽出物(すなわち、クローン化ポリメラーゼまたは変異クローン化ポリメラーゼを発現する、熱処理し、清澄化した細菌細胞の抽出物(実施例1、部M))を、10μLの各ヌクレオチドカクテルに添加した後、72℃で30分間インキュベートすることによって測定することができる。延長反応は氷上で停止させ、5μLのアリコートをDE81イオン交換フィルター(2.3cm;Whatman#365323)に迅速にスポットする。未取り込みのラベルは、2×SCC(0.3M NaCl,30mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)で6回洗浄し、100%エタノールで簡単に洗浄することによって除去する。取り込まれた放射能をシンチレーションカウントによって測定する。酵素を欠如する反応についても、試料のインキュベーションと平行して行い、「全cpms」(フィルタ洗浄工程を省略)及び「最小cpms」(フィルタを上述のように洗浄)を決定する。
結合したcpmは、細菌抽出物の体積あたりに存在するポリメラーゼ活性の量に比例する。約10,000cpmの取り込みをもたらす細菌抽出物の体積(一般に約0.25〜1μL)を、後続のヌクレオチドアナログ取り込み試験において用いるために決定した。
ランダム突然変異誘発によって作成した変異DNAポリメラーゼに対する遺伝子をシーケンシングして、変異の部位と数を同定してもよい。1つより多い変異を含む変異体に対して、所与の変異の効果は、特定の変異体に由来する他の変異から単離する際に、部位特異的突然変異誘発によってエキソ原体遺伝子に当該同定された変異を導入することによって評価することができる。このようにして、得られた1つの変異体のスクリーニングアッセイによって、該変異体単独の効果を決定することができるのである。

F.本発明に従う変異をかけたファミリーBのDNAポリメラーゼの発現
本発明に従うファミリーBのDNAポリメラーゼの変異型を発現させて単離するために、当該技術分野において周知の方法を適用することができる。多くの細菌発現ベクターは、外来配列によってコードされるタンパク質を高レベルで誘導可能に発現させることのできる配列要素または配列要素の組み合わせを含んでいる。例えば、上述のように、組み込まれた誘導可能型のT7RNAポリメラーゼ遺伝子を発現する細菌を、T7プロモータと連結した変異DNAポリメラーゼ遺伝子を保有する発現ベクターで形質転換するようにしてもよい。適当なインデューサ、例えば、lac誘導性プロモータに対するイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を加えることによる、T7RNAポリメラーゼの誘導により、T7プロモータからの変異遺伝子の高レベル発現が誘導される(前掲Gardner&Jack,1999を参照のこと)。
適当な細菌の宿主株は、当業者によって当該技術によって入手可能なもののなかから選択可能である。非限定的な例としては、大腸菌BL−21株が外来性タンパク質の発現に一般的に用いられている。これは、この株が、WJ56やER2566を含む、誘導可能なT7RNAポリメラーゼ遺伝子を保持する大腸菌BL−21の他の株に対するプロテアーゼを欠失しているためである。特定のポリメラーゼ遺伝子に対するコドンの利用が、通常に見られる大腸菌遺伝子とは異なるような状況に対して、より珍しいアンチコドンをもつtRNAをコードするtRNA遺伝子を保持するように修飾され(例えば、argU,ileY,leuW,及びproL tRNA遺伝子)、これによりクローン化されたタンパク質遺伝子、例えばクローン化された古細菌酵素遺伝子を高効率で発現させることのできるBL−21株がある(珍しいコドンtRNAを保有するいくつかのBL21-CODON PLUS(商標)細胞株が、例えばStratageneより市販されている)。
本発明の修飾DNAポリメラーゼの精製に適した多くの方法が当業者によって知られている。例えば、Lawerら(1993,PCR Meth.&App.2:275)の方法は、この方法が元々はTaqポリメラーゼの単離のために設計されたことからも、大腸菌において発現される熱安定性DNAポリメラーゼの単離に非常に適している、あるいは、宿主タンパク質を破壊するための熱変性工程と、非常に活性が高く約80%の純度をもつ熱安定性DNAポリメラーゼを単離するための2回のカラム精製工程(DEAE−セファロースカラム及びヘパリン−セファロースカラム)とを採用した、Kongらの方法(1993,J.Biol.Chem.268:1965、引用により本願に組み込む)を用いてもよい。さらに、以下の実施例1のパートNに詳細に示されているように、DNAポリメラーゼ変異体は、硫酸アンモニウム分画に続くQセファロースカラム及びDNAセルロースカラムによって単離してもよく、あるいは、HiTrapQカラムで汚染物質を吸着した後、HiTrapヘパリンカラムからの勾配溶出を行って単離してもよい。

G.ThermococcusJDF−3種の識別が減少した熱安定性DNAポリメラーゼの調製
ジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)に対する識別の減少を示す熱安定性ファミリーBのポリメラーゼを調製するために、超好熱性古細菌ThermococcusJDF−3種に由来する3’→5’エキソヌクレアーゼ欠失(D141A)ファミリーBポリメラーゼをコードするDNA配列に対し、本明細書中に記載した「変異性PCR」を用いてランダム突然変異誘発を行い、バクテリオファージλZap(登録商標)II中にクローニングした。JDF−3に由来するポリメラーゼを選んだ理由は、Pyrococcus furiosus(Pfu)に由来するファミリーBのDNAポリメラーゼに比べて、プロセッシビティならびに、重合速度及びddNTP取り込みが優れているからである(下記の表IVを参照のこと)。変異体のライブラリーを大腸菌宿主上にプレーティングし、溶菌プラークを示したタンパク質を固体支持体上に移し、これをDNA鋳型ならびに4つすべてのα−33P標識されたジデオキシヌクレオチドを含むバッファ中に浸漬した。標識されたジデオキシヌクレオチドを取り込んだ変異体は、それらのα−33PddNTPを取り込む能力に対応するシグナルを発生した。単離されたクローンについて、全部で4つのdNTP及びH−TTPトレーサを用いるDNAポリメラーゼヌクレオチド取り込みアッセイにおいて、低レベルの各4つのジデオキシヌクレオチドに対する感受性の特徴づけを行った。ジデオキシヌクレオチドの取り込みはDNA鎖長延長を停止するので、ジデオキシヌクレオチドの優れた取り込み能力は、トリチウム標識されたデオキシヌクレオチドの取り込みを減少させる。未変異の原体DNAポリメラーゼはジデオキシヌクレオチドをめったに取り込まず、高いddNTPレベル(各ddNTP100〜160マイクロモル)でも50%しか阻害されない。変異酵素は、5〜40マイクロモル濃度のddNTPにおいて50%の阻害しか示さず、4つすべてのddNTPに対して高い取り込みが観察された(ddATP,ddCTP,ddTTP及びddGTP、下記実施例1の表V及びVIを参照のこと)。
非従来型ヌクレオチドの取り込みは、それぞれ0.021μMで存在するα−33P標識ddNTPと2.1μMで存在するdNTPを用いて、サイクルシーケンシングにおける精製変異ポリメラーゼの使用を介して評価した。変異体は4つすべてのジデオキシヌクレオチドを容易に利用し、F667YTaqDNAポリメラーゼ変異体を用いたThermo Sequenase(登録商標)に比べて遜色のないシーケンシングラダーを発生した(VanderHornら、1997、BioTechniques22:758)。
40の精製変異体のうちの17について関係するドメインをシーケンシングした。大半のランダム変異したクローンは、シーケンシングした領域中に1つより多い変異を含んでいたが、すべての変異体は3つの部位のうちの1つに変異を含んでいた。ddNTP取り込みの向上した表現型に関与すると予測される変異を、部位特異的突然変異誘発により、原体エキソヌクレアーゼ欠失DNAポリメラーゼ配列中に導入し、ジデオキシヌクレオチド取り込みが向上した表現型に寄与すると予想されない付属変異体を除外した。
17のJDF−3DNAポリメラーゼ変異体のうちの16が、コンセンサス配列404DxxSLYPSII413内のチロシンのいずれかの側の領域II(モチーフA)中に見つけられた。これらの変異は、DFRSLYLSII(P410L)、DFRSHYPSII(L408H)及びDFRSFYPSII(L408F)から構成された。したがって、領域IIのLYPモチーフは、JDF−3のファミリーBポリメラーゼにおけるddNTP識別に重要であるようにみえる。
従来技術におけるJDF3ファミリーBのDNAポリメラーゼにおけるY409に相当するチロシンの修飾から、これがヌクレオチド結合ポケットにおける位置合わせのためのものと理解されている。しかしながら、本明細書中で示すように、Y409に隣接する残基(L408HまたはL408FまたはP410L)の修飾では、特にddNTP取り込みに関するヌクレオチド結合を大いに変化させるという予期せぬ結果が得られた。
領域IIの外で起こる非従来型ヌクレオチドの取り込みの向上を導く唯一のJDF−3DNAポリメラーゼ変異は、領域III中の485位におけるアラニン(alaまたはA)からスレオニン(thrまたはT)への変換(A485T)である。この部位は、ファミリーAのDNAポリメラーゼのヘリックスO中のKX(F/Y)GXYGと構造的にではなく機能的に類似する、KXNSXYG(前掲Jungら、1990;上記Blascoら、1992;Dongら、1993,J.Biol.Chem.268:21163;Zhuら、1994,Biochem.Biophys.Acta1219:260;Dong and Wang、1995,J.Biol.Chem.270:21563)(領域IIIまたはモチーフBと呼ばれる)の2残基上流である。Klenow断片やTaqDNAポリメラーゼなどのファミリーAのDNAポリメラーゼにおいて、OヘリックスはdNTP結合に主要な役割を果たすアミノ酸を含んでいる(Astakteら、1998、J.Mol.Biol.278:147;Astatkeら、1995、J.Biol.Chem.270:1945;Poleskyら、1992、J.Biol.Chem267:8417;Poleskyら、1990,J.boil.Chem.265:14579;Pandeyら、1994、J.Biol.Chem.269:13259;Kaushikら、1996、Biochem.35:7256)。具体的には、ヘリックスOは、ファミリーAのDNAポリメラーゼにおいてddNTP識別に関与しているとみなされるF(Klenow断片におけるF763、TaqにおけるF667)を含んでいる(KX(F/X)GXYG)(前掲Tabor and Richardson、1995)。
JDF−3DNAポリメラーゼにおけるddNTP取り込みに対するA485T変異の影響は、RB69及びThermococcus gorgonarius結晶構造(前掲Hopfinerら、1999)によって、提案されているヌクレオチド結合表面の活性部位から遠ざかるように面していることが示されたため驚くべきものであった。さらに、古細菌ファミリーBのDNAポリメラーゼにおいてリボース選択性に関与している側鎖のタイプ(A:小さく、非極性)は、ファミリーAのDNAポリメラーゼにおいてddNTP識別を命令している嵩高な芳香族Y及びF残基のものとは異なっている(前掲Tabor and Richardson、1995)。さらに、この位置(A485)は、DNAポリメラーゼファミリーのいずれのあいだでもあまり保存されておらず、このドメインに対するコンセンサス配列には含まれていないことから(前掲Braithwaite and Ito、1993)、dNTP認識においてさほど重要でないことが暗示される。
P410LとA485Tの変異を含むJDF−3二重変異体を構築した。ジデオキシヌクレオチドサイクルシーケンシングにおいて、二重変異体によって実証されたバンドパターン強度は非常に均一であったことから、対応するddNTPよりもdNTPを好むという選択性が殆どないことが示唆される(図8及び実施例1Qを参照のこと)。このポリメラーゼ特性は、自動化シーケンシングにおける塩基呼び出しの精度を高める。P410LとA485変異との組み合わせ、L408HとA485変異との組み合わせ、及びL408FとA485変異との組み合わせによって、ddNTPの取り込みの向上を示す酵素が得られると予想している。このような二重変異酵素によるジデオキシヌクレオチド取り込みの効率は、取り込みの相対向上度を決定するために、本明細書に記載したようなI50%を測定することにより、キャラクタライズまたは定量化してもよい。

実施例
以下の実施例は説明のみを意図して与えられるものであって、請求される本発明の範囲を限定することは一切意図していない。
実施例1
A.Thermococcus JDF−3種DNAポリメラーゼからのDNAポリメラーゼ遺伝子のクローニング
Thermococcus種をフアンデフカ海峡より採取した海洋試料から培養した。ゲノムDNAを単離し、標準的な手順を用いてZAPII(Stratagene)中にゲノムDNAライブラリーを調製するために用いた。λライブラリーをXL1−BlueMRFの大腸菌上にプレーティングし、サンガーら(Sanger,G.,Ruger,R.,and Kessler,C.(1991)Gene97:119-123)によって記載されている方法の変形を用いて、DNAポリメラーゼ活性を有するクローンをスクリーニングした。活性ポリメラーゼを含むプラークの芯を抜き、SMバッファ中に保存した。陽性の一次プラークを再度プレーティングし、再度アッセイして、単離クローンの精製を可能にした。二次クローンをZAPIIシステム(Stratagene)によって提供される説明書に従って切り出し、インサートのDNA配列を決定した(図1)。
JDF−3DNAポリメラーゼの翻訳されたアミノ酸配列を図2に示した。アミノ酸配列アライメントから、JDF−3DNAポリメラーゼは、ファミリーBと呼ばれるDNAポリメラーゼのクラスに対して相同性を示すことがわかった。
組換え型JDF−3DNAポリメラーゼを下記のようにして精製した(「JDF−3の精製(方法1)」を参照のこと)。JDF−3DNAポリメラーゼの生化学的特性を、他の市販されている古細菌DNAポリメラーゼと比較した。表IV及びVに示されている結果から、他の酵素に比べて、JDF−3は高いプロセシビティと、高い重合速度(Kcat)、及び大きなddNTP利用傾向を示すことが分かった。このことから、JDF−3DNAポリメラーゼをDNAシーケンシング酵素を開発するために選択した。
Figure 2005512560

B.JDF−3DNAポリメラーゼをコードする遺伝子からのインテインの除去
ファミリーBのDNAポリメラーゼ配列とのアライメントにより、JDF−3DNAポリメラーゼクローンは、インテイン配列を含むことが分かった(図3及び図4)。組換え型JDF−3ポリメラーゼの発現を向上させるために、インテインを逆PCRによって除去した。PCRプライマーは、インテイン末端をコードする配列のすぐ上流または下流から開始するように設計し、プライマーの3’末端がインテインから遠ざかるような向きとした。プライマーにはライゲーションを容易にするために5’−リン酸基の修飾も行った。プラスミド/インサート配列を標準的な方法によってPCR増幅し環状化した。

C.3’−5’エキソヌクレアーゼ活性の減少したJDF−3DNAポリメラーゼ変異体の構築
3’−5’エキソヌクレアーゼ(プルーフリーディング)活性を欠失するDNAポリメラーゼは、ヌクレオチドアナログ取り込みを必要とする用途(例えば、DNAシーケンシング)に対して、取り込み後のヌクレオチドアナログの除去を防ぐために好ましい。プルーフリーディングDNAポリメラーゼに付随する3’−5’エキソヌクレアーゼ活性は、突然変異誘発によって減少または無くすことができる。配列の比較から、DNAポリメラーゼの3’−5’エキソヌクレアーゼドメイン中に3つの保存されたモチーフ(エキソI,II,III)が同定されている(V.Derbyshire,J.K.Pinsonneault,and C.M.Joyce,Methods Enzymol.262,363(1995)に概説)。Vent(H.Kong,R.B.Kucera,and W.E.Jack,J.Biol.Chem.268,1965(1993))及びPfu(Strawtagene,非公開)などの古細菌DNAポリメラーゼを含む、多数のDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性は、保存されたアスパラギン酸またはグルタミン酸残基のどれをアラニンに置換しても無くすことができることが証明されている。保守的な置換により、古細菌9°N−7DNAポリメラーゼの変異体について示されているように、エキソヌクレアーゼ活性の減少が起こる(M.W.Southworth,H.Kong,R.B.Kuera,J.Ware,H.Jannasch,and F.B.Perler,Proc.Natl.Acad.Sci.93,5281(1996))。
実質的に低下した3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を示すJDF−3DNAポリメラーゼ変異体は、エキソIドメイン中の保守的な141Dまたは143E残基にアミノ酸置換を導入することによって調製した。CHAMELEON(登録商標)二本鎖部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene)を用いて、D141A、D141N、D141S,D141T、D141E及びE143Aの変異体を構築した。
JDF−3変異体タンパク質を分析するために、JDF−3DNAポリメラーゼをコードするDNA配列を、
Figure 2005512560
を用いてPCR増幅した。PCR産物を消化し、精製し、標準的な方法を用いて高発現レベルベクター内にライゲーションした。プラスミドクローンをBL21(DE3)中に形質転換した。標準的な方法を用いて組み換え型細菌クローンを増殖させ、JDF−3ポリメラーゼ変異体を誘導の非存在下で発現させた。組換え型クローンのエキソヌクレアーゼ及びポリメラーゼ活性を細菌溶解物を用いてアッセイした。典型的には、粗抽出物を70℃で15〜30分間加熱し、その後遠心分離して、清澄な溶解物を得た。
Kongら(Kongら、1993,J.Biol.Chem.268:1965)の方法ならびにSouthworthら(Southworthら、1996,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:5281)の方法を含む、3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を測定するための多数の方法が当該技術分野において知られている。上記の文献の全内容を引用により本願に組み込む。Kongらの方法によって測定された、野生型及び活性変異ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性は以下の通りである。
Figure 2005512560

複合エキソヌクレアーゼ変異体D141A+E143Aは、L項に記載のようにして作成した。
E143AJDF−3変異体(クローン#550)は3’−5’エキソ活性の有意な減少を示したため、ddNTPならびに他のヌクレオチドアナログの取り込みを高めるためのさらなる突然変異誘発の対象に選んだ。実質的にエキソヌクレアーゼ活性の減少を示した他のJDF−3変異体、JDF−3D141T変異体もこの目的ために使用することができた。3’−5’エキソヌクレアーゼ活性を完全に除去する必要のある実験または用途に対しては、二重変異体D141A+E143Aが好ましかった。

D.JDF−3DNAポリメラーゼ遺伝子の変異性PCR増幅
高フィデリティ複製を支持しないような条件下において全遺伝子(クローン#550)を増幅することにより、ランダム変異をエキソJDF−3中に導入した。潜在的変異体のスペクトルを広げるために、3つの異なるPCR酵素を変異性条件下で用いた。
好ましい形態において、各100μLの反応型を各PCR酵素を用いて増幅した。
i.TaqDNAポリメラーゼによる増幅
反応混合物
Figure 2005512560

サイクルパラメータ
PCRは、Hot Topアセンブリを備えたStratagene社のROBOCYCLER(商標)40温度サイクラを用いて実施した。以下は使用したサイクル条件である。
1)95℃で1分間
2)95℃で1分間
3)54℃で1分間
4)72℃で2.5分間
5)2)〜4)の工程を30回反復

ii.エキソJDF−3DNAポリメラーゼによる増幅
反応混合物
Figure 2005512560

サイクルパラメータ
PCRは、Hot Topアセンブリを備えたStratagene社のROBOCYCLER(商標)40温度サイクラを用いて実施した。以下は使用したサイクル条件である。
1)95℃で1分間
2)95℃で1分間
3)54℃で1分間
4)72℃で2.5分間
5)2)〜4)の工程を30回反復

iii.エキソPfuDNAポリメラーゼによる増幅
反応混合物
Figure 2005512560

サイクルパラメータ
PCRは、Perkin-Elmer社の9600温度サイクラを用いて実施した。以下は使用したサイクル条件である。
1)95℃で1分間
2)95℃で1分間
3)53℃で1分間
4)72℃で5分間
5)2)〜4)の工程を30回反復

順方向プライマー
変異体ライブラリーの初期バージョンを順方向プライマー461を用いて作成した。このプライマーは、EcoRI部位を含んでいる。プライマー461及び923によって増幅された産物を制限酵素によって切断し、以下のセクションに記載するようにλベクター中にクローニングした場合、ベクターによってコードされるβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)タンパク質の最初の39のアミノ酸を有する融合タンパク質が合成される。
Figure 2005512560

プライマー461を用いて単離されたクローンがp#で示されている。
増幅及びクローニングの好ましい態様は順方向プライマー721を用いる。このプライマーもまたEcoRI部位に続いて、3つの連続するインフレーム停止コドンとリボソーム結合部位とを含んでいる。この構成により、JDF−3DNAポリメラーゼは、アミノ末端にあるすべてのベクター由来残基を持たないように翻訳されることができる。順方向プライマー721を用いて構築したライブラリーから単離されたクローンは、一連のp#クローンと区別するために1#で示されている。
Figure 2005512560

逆方向プライマー
Figure 2005512560

E.クローニング用PCR産物の調製
PCR産物は、STRATAPREP(商標)PCR精製キット(Stratageneカタログ番号:400771)を用いて精製し、濃縮した。PCR産物を1.5×ユニバーサルバッファ(10×ユニバーサルバッファの組成は、1M KOAc、250mM トリス−Acetate(pH7.6)、100mM MgOAc、5mMβ−メルカプトエタノール及び100μg/mLBSAである)中、37℃で1時間、50ユニットのXhoIと50ユニットのEcoRIにて消化した。消化した試料を1%アガロース、1×TBEゲルに泳動し、臭化エチジウム染色によって可視化した。2.3kb増幅産物を、STRATAPREP(商標)DNAゲル抽出キット(Stratageneカタログ番号:400766)を用いてゲル分離し、精製した。

F.PCRインサートのUni−Zap(登録商標)XRλベクターへのクローニング
200ngの精製した増幅産物を、EcoRI及びXhoIで予め消化し、アルカリホスファターゼ(Stratageneカタログ番号:237211)で脱リン酸化しておいた1μgのUNI−Zap(登録商標)XRλベクター(Stratageneカタログ番号:239213)とライゲーションした。DNAは2ユニットのT4DNAリガーゼ(Stratageneカタログ番号:600011)及び0.5mMのATPを用いて、1×リガーゼバッファ(50mM トリス−HCl(pH7.5)、7mM MgCl、1mM DTT)中、10〜15μLの反応体積でライゲーションした。ライゲーションは16℃にて最低16時間実施した。

G.λパッケージング及び細菌感染
各ライゲーション反応から2マイクロリットルをGIGAPACK(登録商標)IIIゴールドパッケージング抽出物(Stratageneカタログ番号:200201)を用いて室温で90分間パッケージングした後、500μLのSMバッファ(50mM トリスpH7.5、100mM NaCl、8mM MgSO及び0.01%ゼラチン)及び20μLのクロロホルムで停止した。パッケージングされたλベクターを大腸菌XL1−BlueMRF宿主細胞上にプレーティングした。

H.ジデオキシヌクレオチドスクリーニング
変異ポリメラーゼライブラリーを、Sangerら(Sanger,G.,Ruger,R.,and Kessler,C.(1991)Gene97:119-123)によって用いられている技術の変形を用いてスクリーニングした。λファージクローンを1平方センチメートルあたり10〜20プラークの密度でプレーティングした。プラーク中に存在するタンパク質をフィルターに移し、ポリメラーゼスクリーニングバッファで濡らした(50mM トリス(pH8.0),7mM MgCl,3mMβ―ME)。フィルターをプラスチックラップとガラスの層の間に保った状態で、65℃で30分間インキュベートすることにより、宿主細胞タンパク質を熱不活性化した。熱処理したフィルターを新鮮なプラスチックラップに移し、約35μLのポリメラーゼアッセイカクテルをフィルター1平方センチメートル毎に加えた。ポリメラーゼアッセイカクテルは、1×クローン化Pfuマグネシウム非含有バッファ(Stratagene、カタログ番号:200534)、125ng/mL 活性化させた子牛胸腺またはサケ精子DNA、1.29μCi/mLα−33PddNTP(Amersham)及び0.5mM MnClから構成される。最初のスクリーニングは、MnClの存在下で行われたが、1×Taqポリメラーゼバッファ中でスクリーニングすることを好ましい方法とした(1.5mM MgCl)。再度プラスチックラップとガラス板の間にフィルタを置き、65℃で1時間インキュベートした後、70℃で1時間15分間インキュベートした。フィルターを1回の洗浄につき5分間ずつ、2×SSC中で3回洗浄し、その後100%エタノール中で2回リンスし、真空乾燥器中で乾燥させた。次にフィルターを約16時間X線フィルムに露光した。強いシグナルに対応するプラークの芯を抜き、SMバッファ中においた。陽性の一次プラークをさらに薄い濃度で再度プレーティングし、実質的に類似する条件下においてアッセイし、単離されたプラークを精製できるようにした。

Dye−ジデオキシヌクレオチドスクリーニング
dye−デオキシヌクレオチド及びdye−ジデオキシヌクレオチドの利用能力が高められた変異ポリメラーゼを検出するために、JDF−3変異DNAポリメラーゼライブラリーを以下のことを除いては前述のようにしてスクリーニングした。

Flu−12−dUTPスクリーニングのためのポリメラーゼアッセイカクテル:
0.9×Taqバッファ(Stratageneカタログ番号:200435)、65μM dATP、65μM dCTP、65μM dGTP、65μM dTTP、0.3μMフルオレセイン−12−dUTP(Stratagene社内製品)、0.75μg/μL活性化子牛胸腺DNA。

ROX ddNTPのためのポリメラーゼアッセイカクテル
1×Taqバッファ、0.9μM dATP,0.9μM dCTP,0.9μM dGTP,0.9μM dTTP,0.6μM ROX ddATP(New England Nuclear(NEN)NEN478)、0.06μM ROX ddGTP(NEN NEL479)、0.06μM ROX ddCTP(NEN NEL477)、0.06μM ROX ddUTP(NEN NEL476)、0.84μg/μL活性化子牛胸腺DNA(注意:DNAポリメラーゼがddGTPに対する識別をしないことから、ROX ddGTPを含まないスクリーニング系が好ましい方法である)。

フルオレセインddUTPのためのポリメラーゼアッセイカクテル
1×Taqバッファ、70μM dATP、70μM dTTP、70μM dCTP、15μM dTTP、1μM フルオレセイン−12−ddUTP(NEN NEL401)、0.84μg/μL活性化子牛胸腺DNA。

フルオレセインへの抗体の結合
フィルタをTBST(50mM トリスpH8.0、150mM NaCl、0.05%Tween−20)中に溶解した1%の脱脂粉乳によって4℃で一晩ブロックした。フィルタをTBST中で簡単に洗浄した後、イルミネータキット(Stratageneカタログ番号:300360)からのアルカリホスファターゼ共役抗フルオレセイン抗体を、50mLのTBST中、1/10,000希釈で加えた。100mM トリスpH9.5、100mM NaCl、及び5mM MgClからなるバッファ中にそれぞれ0.3mg/mL及び0.15mg/mLの濃度のNBT/BCIPで抗体を検出した。

ローダミンへの抗体の結合
抗ROX抗体(Zymedカタログ番号71−3600ウサギローダミン(5−ROXポリクローナル、1mg/mL)をTBST中に1:1000希釈した。ブロックしたフィルタを簡単に吸い取って余分な水分を除き、プラスチックラップ上に置いて、2.5mLの希釈抗体溶液で覆った。プラスチックラップをもう1枚フィルター上に置いてから、室温で1時間インキュベートした。フィルタをTBSTで簡単に3回洗浄し、それぞれ15分間を3回穏やかに攪拌しながら洗浄した。洗浄したフィルタを、TBST中に1:5000希釈したアルカリホスファターゼ共役ヤギ抗ウサギ抗体とともにインキュベートした。フィルタを抗体とともに1時間インキュベートしてから、前述のようにNBT/BCIPを用いて検出した。

I.ジデオキシヌクレオチド認定
一次ライブラリスクリーニングにおいて33P標識ddNTPを取り込んだλファージクローンを再度スクリーニングして、ポリメラーゼ活性を確認し、33P−ddNTP取り込みに対する二価金属イオンの寄与を調べた。この回のスクリーニングのあいだに選択されたクローンをp#として示した。これらのクローンはすべて、「順方向プライマー」のタイトルの項において考察したように、アミノ末端タグを含んでいた。図5は、クローンp1,p2,p3,p6,p7,p8,p9,p10,p11,p12,p14,p15及びp16が、親#550クローンとのシグナル強度の類似性に基づいて、野生型レベルのDNAポリメラーゼ活性を示すことを表している(図5、パネル3)。最初のスクリーニングは0.5mM MnClの存在下で行われたにも拘わらず、p9とp10を除くすべてのクローンが、33P標識ddNTPを、1.5mM MgCl(パネル2)の存在下と同等の程度に取り込むことができ、クローンp2,p4,p8,p11,p12,p13,p14,p15,p17,及びp18は最も高いシグナルを発生した。
18の変異体を評価のために選んだ。各精製プラークから単離した1マイクロリットルのファージを、それぞれ3つの大腸菌XL1−BlueMRF芝上に置いた。エキソJDF3DNA(#550クローン)の親コピーを含むファージをマス目上にスポッティングした。ファージによって形成されたプラークをフィルタに移し、最終バッファの組成を除いては前述のスクリーニングの項に記載したようにして処理した。各フィルタ(フィルタ1〜3)のために用いたバッファは以下のとおりであった。
Figure 2005512560
結果を図5に示す。

Dye−ジデオキシヌクレオチド認定
前述のように、一次λクローンを大腸菌芝上にスポッティングし、適当な抗体又は抗原を用いて再スクリーニングした。

J.λクローンの切り出し
ラムダZap(商標)ベクターは、適切な条件下でヘルパーファージとともにインキュベートした場合に、pBluescript(SK−)及びインサートを含むベクターの一部のファージミドコピーを生産するように設計されている。このプロセスにより、ラムダクローン中に含まれていたものと同一のインサートを保持するプラスミド(pBluescriptSK−)ベクターが得られる。所望の表現型を有するクローンの切り出しは、EXASSIST(商標)システム(Stratageneカタログ番号:200253)のなかの説明書に従って実施した。

K.変異体の配列解析
変異体のシーケンシングは、以下のプライマーを用いてSequentech Corporation(カリフォルニア州、マウンテンビュー)によって行われた。
プライマー3(またはプライマG)
5’CCAGCTTTCCAGACTAGTCGGCCAAGGCC3’
プライマー5(またはJDF3−1128)
5’AACTCTCGACCCGCTG3’

L.ジデオキシヌクレオチド突然変異誘発
ddNTP識別の減少に寄与するアミノ酸を結論的に同定するために、QUIKCHANGE(商標)部位特異的突然変異誘発キット(Stratageneカタログ番号:200518)を用いて個々の点変異をエキソJDF−3#550クローン中に導入した。以下の変異体を調製した。L408H,L408F,P410L,A485T,S345P,D373Y,A619V及びL631V。さらに、A485T変異をエキソJDF−3P410L変異クローン中に導入することにより、二重変異(P410L/A485T)を構築した。すべての3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を完全に除去するために、変異D141Aをすべてのクローンに与えた。すでに存在している5’→3’エキソヌクレアーゼ変異(E143A)は、親鋳型JDF−3 550中に存在していた。

Dye−ジデオキシヌクレオチド突然変異誘発
ダイヌクレオチドの識別の減少に寄与するアミノ酸を結論的に同定するために、変異S345P単独と、P410L及びP410L+A485Tと組み合わせたものとを作成した。

M.熱処理された細菌抽出物の調製
切り出したプラスミドを含む大腸菌SOLR細胞を37℃で一晩増殖させた。500μLの培養物に含まれる細胞を微量遠心分離によって回収した。細胞ペレットを50μLの50mM トリス(pH8.0)中に再懸濁した。リゾチームを最終濃度1μg/μLとなるように加え、細胞を37℃で10分間、次に65℃で10分間インキュベートする間に溶解した。熱不活性化細胞材料を微量遠心分離によって回収し、上清について以下のようにしてdNTP及びddNTP取り込みを調べた。

N.JDF−3及びJDF−3ポリメラーゼ変異体の精製。
エキソJDF−3DNAポリメラーゼを精製するための1つの方法では、硫酸アンモニウム分画の後に、Qセファロースカラム及びDNAセルロースカラムを実施する。第2の方法は、JDF−3ポリメラーゼ変異体の迅速な精製を可能にするために開発されたものであり、HiTrapQカラム上に汚染物質を吸着した後、HiTrapヘパリンカラムから勾配溶出することを伴う(セクションiii)。

i.細菌溶解物の調製
凍結細胞ペースト(3〜14グラム)を、50mM トリス−HCl(pH8.0)、1mM EDTA及び10mMβ−メルカプトエタノールからなる3倍体積の溶解バッファで再懸濁した。リゾチームを0.2mg/mLで加え、PMSFを最終濃度1mMで加えた。細胞を1時間かけて氷上で溶解した。溶解物を2分間超音波処理した(90%効率、2×2.5、1×3.0レベル)。超音波処理に続いて、溶解物を65℃で15分間加熱し、細菌のタンパク質を変性させた。加熱した溶解物を、SorvallSS−34ロータを用いたSorvallRC−2B遠心機中、14.5Krpmで30分間遠心分離し、上清を回収した。

ii.硫酸アンモニウム分画及びQセファロース/DNAセルロースクロマトグラフィ(方法1)
硫酸アンモニウムを細胞溶解物に最終濃度45%で加えた。硫酸アンモニウムは15分間かけて加え、混合物はさらに30分間攪拌した。混合物を上述のように遠心分離し、上清を回収した。追加の硫酸アンモニウムを最終濃度が65%となるまで加えた。混合物を上述のように遠心分離し、上清を除去した。ペレットを、50mM トリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、10mMβ−メルカプトエタノール、01%(v/v)Tween20、及び10%(v/v)グリコールから成るバッファA10mL中に再懸濁した。バッファーAを2回交換(各3リットル)しながら、上清を一晩透析した。
透析物を、予めバッファーAで平衡化しておいた、2.6×9.4cmのQ−セファロースファストフローカラム(50mls)上にローディングした。カラムを吸収(OD280)がベースラインに達するまでバッファAで洗浄した。次にカラムを0〜1MのNaCl/バッファAの勾配によって溶出した。画分を回収し、SDS−PAGE及びDNAポリメラーゼ活性アッセイによって分析した(下記参照)。活性タンパク質は典型的には130mM〜240mMのNaCl濃度で溶出した。活性画分をプールし、バッファBを2回交換しながら(各3リットル)一晩透析した。バッファBは、50mM トリス−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、10mMβ−メルカプトエタノール、0.1%(v/v)Tween20、10%(v/v)グリコール、及び50mM NaClから成る。
Q−セファロース溶出液を、バッファBで平衡化しておいた、1.6×4.9cm(10mls)DNAセルロースカラム上にローディングした。カラムを吸収(OD280)がベースラインに達するまでバッファBで洗浄した。次にカラムを50〜1000mMのNaCl/バッファAの勾配によって溶出した。画分を回収し、SDS−PAGE及びDNAポリメラーゼ活性アッセイによって分析した。活性タンパク質は典型的には280mM〜360mMのNaCl濃度で溶出した。活性画分をプールし、JDF−3最終バッファに対して一晩透析した。JDF−3最終バッファは、25mM トリス−HCl(pH7.5)、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.1%(v/v)Tween20、0.1%(v/v)イゲパール630、10μg/mL BSA、及び50%(v/v)グリセロールから成る。

iii.HiTrapQ/HiTrapヘパリンクロマトグラフィー(方法2)
複数の変異体を迅速に精製するのに好ましい方法は以下のとおりである。熱変性工程の直前にTwee20とイゲパールCA630とを最終濃度が0.01%(v/v)となるように添加し、熱変性温度として72℃を用いたことを除いては、細菌細胞溶解物を上記方法1のようにして調製した。
溶解物を、バッファCで予め平衡化しておいた、1.6×2.5cm(5mls)HiTrapQカラム(Pharmacia社製プレパックドカラム)上にローディングした。バッファCは、50mM トリス−HCl(pH8.2)、1mM EDTA、10mMβ−メルカプトエタノール、0.1%(v/v)Tween20、及び0.1%(v/v)イゲパール630からなる。カラムを吸収(OD280)がベースラインに達するまでバッファCで洗浄した。画分全体を通して流液(OD280吸収がバックグラウンドを超える)を回収し、予めバッファDで平衡化しておいた、1.6×2.5cm(5mls)HiTrapヘパリンカラム(Pharmacia社製プレパックドカラム)上にローディングした。バッファDは、50mM トリス−HCl(pH8.2)、1mM EDTA、1mM DTT、0.1%(v/v)Tween20、0.1%(v/v)イゲパール630、及び10%(v/v)グリセロールから成る。カラムを吸収(OD280)がベースラインに達するまでバッファDで洗浄した。次にカラムを0〜1MのKCl/バッファDの勾配によって溶出した。画分を回収し、SDS−PAGE及びDNAポリメラーゼ活性アッセイによって分析した。活性タンパク質は典型的には390mM〜560mMのNaCl濃度で溶出した。活性画分をプールし、JDF−3最終バッファに対して一晩透析した(上記参照)。精製ポリメラーゼは−20℃で保存した。

iv.精製タンパク質の分析
JDF−3及び変異DNAポリメラーゼの濃度は、Pierceのクーマシーブルータンパク質アッセイ試薬を用いて、BSA基準(Pierce)に対して決定した。さらに、種々のポリメラーゼ調製物の純度と相対タンパク質濃度をSDS−PAGEにより確認した。ポリメラーゼ試料を4〜20%トリス−グリシンゲル(Novex)上で電気泳動し、標準的な方法を用いてゲルを銀染色した。

O.ヌクレオチド取り込みアッセイ
DNAポリメラーゼ活性は、精製したJDF−3ポリメラーゼ変異体または様々な変異体クローンから調製した熱処理後の細菌抽出物を用いて測定した。DNAポリメラーゼ活性は、活性化された子牛胸腺DNAへのH−TTPの取り込みによってモニターすることにより測定した。典型的なDNAポリメラーゼ反応カクテルは以下のものを含んでいた。
Figure 2005512560

取り込みは、1μLのポリメラーゼ試料を10μLのポリメラーゼカクテルのアリコートに加えることによって測定した。DNAポリメラーゼ試料を適当な保存バッファ(例えば、25mM トリス−HCl(pH7.5)、100mM KCl、0.1mM EDTA、1mM DTT、0.1%(v/v)Tween20、0.1%(v/v)イゲパール630、10μg/mL BSA、及び50%(v/v)グリセロール)中に希釈した。重合反応は、72℃で30分間行った。延長反応を氷上で停止させ、5μLのアリコートをDE81イオン交換フィルター(2.3cm;Whatman#365323)に迅速にスポットした。未取り込みの[H]TTPは、2×SCC(0.3M NaCl,30mMクエン酸ナトリウム、pH7.0)で6回洗浄し、100%エタノールで簡単に洗浄することによって除去した。取り込まれた放射能をシンチレーションカウントによって測定した。酵素を欠如する反応についても、試料のインキュベーションと平行して行い、「全cpms」(フィルタ洗浄工程を省略)及び「最小cpms」(フィルタを上述のように洗浄)を決定した。
結合したcpmは、細菌抽出物の体積あたりに存在するポリメラーゼ活性の量に比例した。約10,000cpmの取り込みをもたらす細菌抽出物の体積(0.25〜1μL)を、後続のヌクレオチドアナログ取り込み試験において用いるために決定した。

P.ddNTP取り込み効率の定量化
相対ddNTP取り込み効率を調べるために、JDF−3ポリメラーゼ変異体について評価を行った。様々な濃度の各ddNTPターミネータ(ddATP,ddCTP,ddGTP及びddTTP)の存在下で、ヌクレオチド取り込みを測定した。ddNTP取り込みによって延長不能末端が生成されるため、ddNTPを効率的に取り込むポリメラーゼに対して重合は強力に阻害される。ヌクレオチド取り込みの約50%阻害をもたらすddNTP濃度(I50%)を比較することにより、様々なポリメラーゼまたはポリメラーゼ変異体のddNTP取り込み効率を比較することができる。ddATP,ddCTP,ddGTP及びddTTPのI50%値を比較することにより、特定の塩基に対する感受性が減少した変異体を同定することができる。このような変異体は、より均一なDNAシーケンシングラダーを生むと予想された。
個々のddNTPの取り込みを測定するために、様々な濃度の関心ddNTPと、全部で200μMの各ヌクレオチド三リン酸とからなるカクテルを調製した。例えば、野生型JDF−3ポリメラーゼによるddATPの取り込みは、0,40,80,120及び160μM ddATPにおいて測定した。これらの反応系において、dATP濃度は、それぞれ200,160,120,80及び40μMに調節して、アデニンヌクレオチド三リン酸の全量が200μMとなるようにした。比較において、変異体は、ddATPが0,5,10及び20μMとなるddATP濃度、それぞれ200,195,190及び180μMに調節したdATP濃度(dATP+ddATP=200μM)を用いてアッセイした。ddCTP、ddGTP、及びddTTP取り込みを測定するために、さらに別のカクテルが調製した。3つの異なるddNTP濃度におけるJDF−3変異体によるddNTP取り込みを調べるために、以下の成分からなる12反応カクテルを調製した。
10mM トリス−HCl,pH8.8
1.5mM MgCl
50mM KCl
0.001%ゼラチン
5μM[H]TTP(NEN#NET−221H,20.5Ci/ミリモル;エタノールを除去するために部分的に蒸発)
250μg/mLの活性化子牛胸腺DNA(例えば、Pharmacia#27−4575−01)
12の反応カクテルのそれぞれに、以下にまとめたように適当な量のdNTP及びddNTPを加えた。
Figure 2005512560

10μLの各ポリメラーゼカクテルに、1μLの適当に希釈した細菌抽出物(10,000cpm)を加えることにより取り込みを測定した。重合反応は72℃で30分間行った。延長反応は上記のようにして計数した。
「最小cpm」(上記洗浄フィルタ)を決定するために、酵素を含まない反応系も試料のインキュベーションと平行して行った。ddNTP濃度の関数としての%活性を決定するために、まずバックグラウンド(「最小cpm」値)を各試料のcpmから減算した。100%活性と等価である(0ddNTP)「全cpm」は、ddNTPを含まない4つの反応系(A−0,G−0,C−0,及びT−0)に対して補正したcpmを平均することによって求めた。次に、補正後の試料cpm(ddNTPによる)を補正後の全cpm(平均0ddNTP)で割ることにより、残存活性百分率を計算した。
活性百分率をddNTP濃度の関数としてプロットした。それぞれの変異体について、各ddNTPに対するI50%値(ヌクレオチド取り込みを50%阻害するddNTP濃度)を決定した。比較によって、野生型JDF−3に比べてddNTPの取り込みが向上した変異体を同定することができた。
最初の研究では精製酵素を用い、I50%値を40〜160μM ddNTPを利用する阻害プロットから決定した。表Vの結果は、変異体p8(P410L)、p11(P410L)、及びp12(A485T)が、親のエキソJDF−3ポリメラーゼよりも低い濃度のddNTPによって阻害されることを示している。感受性の向上は、変異体が元のJDF−3ポリメラーゼよりも4つすべてのddNTPをより効率的に取り込むことを示している。
ddTTPよりもTTPを優先的に取り込む酵素に対しては(エキソJDF−3,エキソPfu)、一定量の[H]TTP(5μM)と組み合わせて、ddTTP(80〜160μM)の濃度を次第に高め、これに対応してTTP(115〜35μM)の濃度を低くすると、ddNTP濃度の増加に伴って取り込まれるcpmも増加する。したがって、これらの最初の実験(ddTTP>120μM)において、TTPに対するI50%は人工的に高い。これらは異なるポリメラーゼ変異体間でのddTTP取り込みを比較するために用いることはできるが、ddCTP,ddGTPまたはddATPと比較してのddTTPに対する選択性の減少/増大を評価するために用いることはできない。
Figure 2005512560

より多数の変異クローンのスクリーニングを行えるようにするために、次の実験ではJDF−3ポリメラーゼ変異体を含む細菌抽出物を用いた。さらに、低濃度の各ddNTP阻害剤(5〜20μM)を用いることにより、感受性を高めた。表VIの結果は、一次フィルタースクリーニングから選択された変異体のすべてがddNTP取り込みの向上を示したことが示されている。ddNTP取り込みの向上は20倍を超えるものであった。アミノ酸408(L408H/F)、410(P410L)、または485(A485T)における変異(「一次変異」と呼ぶ)を含むすべての変異体が、4つすべてのddNTPに対して識別の減少を示した。全部ではないにせよ大半のL408H/F一次変異を有する変異体が、4つすべてのddNTPに対して非常に類似したI50%値(2倍未満の相違)を示し、塩基選択性を持たないか減少していることがわかった。
Figure 2005512560

Q.精製JDF−3ポリメラーゼ変異体を用いたシーケンシング
i.放射性標識したジデオキシヌクレオチドによるシーケンシング
1〜2μLの精製酵素をThermo Sequenase放射性標識ターミネータサイクルシーケンシングキット(Amersham-Pharmacia#US79750)に代入した。試料は、キットによって提供される対照プライマーと鋳型を用いて、製造業者の指示に従って処理した。各3マイクロリットルの各シーケンシング反応系を、6%アシルアミド−7M尿素、1×TBE CASTAWAY(商標)プレキャストゲル(Stratageneカタログ番号:401090及び401094)上にローディングした。ブロモフェノールブルー指示染料がゲルの端に到達したところで、ゲルを固定し、乾燥させ、24〜72時間、フィルムに露光した(図6)。
図6の結果は、クローンp11(パネルD)及びp8(パネルE)が、親#550クローン(パネルB)と比べて4つすべてのddNTPの取り込みの劇的向上を見せたことを示している。変異体p11とp8はいずれも一次P410L変異とアミノタグとを含むが、付属変異の数と種類に関して異なっている。変異体p12(パネルC)は、ぼんやりとしたシーケンシングラダーを与えたが、これはおそらく酵素の使用量が十分でなかったか、あるいは熱安定性を低下させるような付属変異が存在したからと考えられる。すべてのレーンにおいて終結産物が認められ、親クローンと比べて4つすべてのddNTPの取り込みが高められていることが示唆される。変異体p12は、付属変異に加えて一次変異A485Tを含んでいる。ここで同定されたJDF−3変異体とは対照的に、親クローンは、プライマー延長(図6)とddNTP阻害アッセイ(表V及びVI)のいずれからも証明されるように、ddGTPに対する強い選択性を示した。

ii.放射性標識されたプライマーと蛍光ジデオキシヌクレオチドを用いたシーケンシング
様々なDNAポリメラーゼ及びポリメラーゼ変異体は、ジデオキシヌクレオチドアナログ上のダイ部分に対して様々な程度の識別を示すと思われる。JDF−3ポリメラーゼ変異体によるダイ標識ジデオキシヌクレオチドアナログの利用を評価した。以下の方法を用いた。
a.プライマー標識
シーケンシングプライマーSKをKINACE-IT(商標)キナージングキット(Stratageneカタログ番号:200390)を用いて放射性標識した。インキュベーション反応系(40μL)は、以下の成分を含んでいた。
1× キナーゼバッファ#1
0.75 μCi/μL γ−33P ATP
0.375 μ/μL T4ポリヌクレオチドキナーゼ
2.5 pmol/μL SKプライマー
反応系を37℃で45分間インキュベートした。プライマーをサイズ排除マトリックス(NUC TRAP(登録商標)Stratageneカタログ番号:400701)を用いて遊離のヌクレオチドから精製した。

b.ダイ標識したジデオキシヌクレオチド:dNTP比
蛍光ジデオキシヌクレオチドはNew England Nuclear(NEN)より購入した。
R6G−ddATP NENカタログ番号:NEL−490
R110−ddTP NENカタログ番号:NEL−495
TAMRA−ddUTP NENカタログ番号:NEL−472
ROX−ddCTP NENカタログ番号:NEL−477

3つの異なる濃度のダイ標識ジデオキシヌクレオチド(ddNTP)及び一定量のデオキシヌクレオチド(dNTP:2.14μM)を用いて取り込みを測定した。
条件3)1:1 (2.14μM各dNTP:2.14μMダイ標識ddNTP)
条件2)1:0.1 (2.14μM各dNTP:0.214μMダイ標識ddNTP)
条件1)1:0.01 (2.14μM各dNTP:0.0214μMダイ標識ddNTP)

c.DNAシーケンシング反応混合物の調製
4つのポリメラーゼ、エキソJDF−3(#550クローン)、Thermo Sequenase(4U/μL)、JDF−3 P410L(補助変異を有するクローンp8及びアミノ末端タグ)及びJDF−3L408H(クローン1−1)について、ダイ標識ddNTPの利用を調べた。以下の試薬を含む混合物を構成した。

13.7μL H
1μL 標識SKプライマー(2pmol/μL)
1μL pBluescript KS(0.2μg/μL)
1μL ポリメラーゼ(〜1.5U/μL)
2μL 10×バッファ(1.5mM MgClを利用するL408H以外のすべてに対して反応バッファ1、バッファ(下記参照)
10×反応バッファ1
260mM トリスpH9.5
65mM MgCl

10×1.5mM MgCl バッファ
24mM MgCl
260mM トリスpH9.5
2.5μLの各ダイ標識ddNTPターミネータ(ddGTP,ddATP,ddTTP及びddGTPを4本のチューブの1つに別々に分注した。4.5μLの各ポリメラーゼ反応系を4本のチューブそれぞれに加え、最終反応体積7μLとした。
d.サイクルシーケンシング反応
試料は、Hot Topアセンブリ(Stratageneカタログ番号:400870及び400894)を備えたRoboCycler(登録商標)96温度サイクラにおいて、以下の条件を用いて循環させた。
1)95℃で1分間
2)95℃で1分間
3)50℃で1分間
4)72℃で2分間
5)ステップ2)〜4)を30回反復
4μLの停止溶液(95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノールFF)を各増幅反応系に加えてから、99℃で5分間加熱した。試料を上述のように6%CASTAWAY(商標)ゲル上に電気泳動した。ゲルを乾燥させ、フィルムに72時間露光した(図7)。
様々なポリメラーゼクローンによるダイ標識ddNTPの利用を調べるために設計された研究の結果が図7に示されている。クローンp8(パネルC)及び1−1(パネルD)は、R6G−ddATP及びR110−ddGTPの取り込みが、親クローン(パネルA)に比べて著しく向上していた。この向上は、0.1×(1)及び0.1×(2)dye−ddNTP/ddNTP比でシーケンシングラダーを合成することによって証明された。ddTTP及びddCTPの取り込みの向上を実現するために、反応条件及び/またはダイ部分の最適化を行ってもよい。

iii.二重変異エキソJDF−3DNAポリメラーゼによるシーケンシング
残基408,410及び485における変化が、ddNTP取り込みを向上するのに十分であるかどうかを確認するために、個々の変異を部位特異的突然変異誘発により親550(JDF−3エキソDNAポリメラーゼ)クローンに導入した。さらに、点変異を組み合わせて、単一の変異をもつポリメラーゼに比べてジデオキシヌクレオチド取り込みを向上させるかどうかについて調べた。
1×反応バッファ、0.15pmol/μLロング20プライマー、及び10ng/μg pBluescript KSからなるDNAシーケンシング反応系を以下のようにして調製した。
81μL H
9μL −20ロングプライマー(2pmol/μL)
6μL pBluescript KS(0.2μg/μL)
**μLポリメラーゼ
12μL10×バッファ(260mM トリスpH9.5,65mM MgCl
上記一覧に示した18μLのカクテルを、適当な数のチューブ(ポリメラーゼにつき1本)に等分した。各ポリメラーゼ(2μL)をカクテルのアリコートに加え、チューブをよく混合した。得られたそれぞれのポリメラーゼ混合物(4.5μL)を、予め0.06mMの4つの−33P−ジデオキシヌクレオチド(ddATP,ddTTP,ddGTPまたはddTTP;1500Ci/mmol;450μCi/mL)のうちの1つと、6mMの各デオキシヌクレオチドを2.5μLの体積中に含む、4本のチューブのそれぞれに加えた。
シーケンシング反応は、Hot Topアセンブリを備えたRoboCycler(登録商標)96温度サイクラにおいて、以下の条件を用いて循環させた。
1)95℃で1分間
2)95℃で45秒間
3)60℃で45秒間
4)72℃で1.5分間
5)ステップ2)〜4)を30回反復
停止溶液(μL;95%ホルムアミド、20mM EDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノールFF)を各反応系に加えてから、99℃で5分間加熱した。各試料(4μL)を6%アクリルアミド変性CASTAWAYゲル上にローディングした。ゲルを泳動し、前述のように処理した。
図8は、P410L/A485T二重変異体が、並外れて均等なシグナルを示すことを示している。バンドの均一性は、変異体p8(P410L変異+A485Tを含まない付属変異)及び変異体A485T(データ示さず)に比べて向上していた。変異体p8は、ddGTP及びddCTPを配列依存的に選択的に取り込む傾向を示した。酵素の最適量は、本実験において試験した量よりも高くしてもよい。市販のファミリーAのDNAポリメラーゼ変異体、Thermo Sequenaseによって生じる配列をパネルEに示した。

iv.JDF−3ポリメラーゼ変異体によるリボヌクレオチド取り込み
一本鎖DNA鋳型にアニールしたプライマーを、変異体及び原体ポリメラーゼを用いて、すべてのリボヌクレオチドまたはすべてのデオキシヌクレオチドを含有する混合物中で延長した。
混合物を95℃に加熱し、室温でゆっくりと冷却することにより、M13mp18+一本鎖DNAを95×モル過剰の38マープライマーにアニールした。

38マープライマー:
5’GGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGT3’

非最大レベルでの取り込み活性を調べるために酵素のどの程度の希釈が必要であるかを決定するために、予備アッセイを行った。最終アッセイ溶液は、以下の組成とした。

リボヌクレオチド混合物
20ng/μL アニールされるプライマー/鋳型
1× クローン化Pfuバッファ(Stratageneカタログ番号:200532)
200μM 各GTP,UTP,ATP
50μM CTP
1μM 5−H CTP20.2Ci/ミリモル
0.05〜0.3ユニット JDF−3ポリメラーゼ

デオキシリボヌクレオチド混合物
20ng/μL アニールされるプライマー鋳型
1× クローン化Pfuバッファ
200μM 各dGTP,dATP,dCTP
50μM TTP(デオキシリボヌクレオチド)
1μM チミジン5’−三リン酸、[メチル−H]20.5Ci/ミリモル
0.05〜0.3ユニット JDF−3ポリメラーゼ
別々に添加

9マイクロリットルのポリメラーゼを含まない混合物を0.2mLのチューブに入れてから、ポリメラーゼを加えた。試料は、Hot Topアセンブリ(Stratageneカタログ番号:400870及び400894)を備えたROBOCYCLER(登録商標)96温度サイクラー中72℃でインキュベートした。2分後にデオキシリボヌクレオチド混合物を取り出し、約2℃においた。リボヌクレオチド混合物は30分間インキュベートした。7マイクロリットルのアッセイ混合物を円形のDE81フィルタ(Whatmann)にスポッティングし、乾燥させてから、2×SSC(0.3M NaCl,0.03Mクエン酸ナトリウム)中で各回5分間ずつ3回洗浄した。フィルタをエタノール中で2回リンスし、乾燥させてからシンチレーションカウンタで定量化した。
デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチド反応系に対するバックグラウンドの1分あたりのカウント数(CPM)を、各酵素に対する同一の二重試料のそれぞれの平均CPM値から引いた。バックグラウンドで補正したリボヌクレオチドCPM値を、バックグラウンドで補正したデオキシリボヌクレオチドCPM値で割った(図9)。

ポリメラーゼ NTP/dNTP比 JDF−3に対する
550
JDF-3 550 0.000165162 1
JDF-3 L408H 0.041087258 249
JDF-3 L408F 0.051703924 313
JDF-3 AL485T 0.007628583 46

v.JDF−3ポリメラーゼ変異体を用いてリボヌクレオチドシーケンシング
デオキシリボヌクレオチドポリマーに取り込まれたリボヌクレオチドは、ポリマー長のサブ集団を与えうるアルカリ加水分解を受けやすい。標識したプライマーを特定のリボヌクレオチド塩基(例えばATP)及び4つのデオキシリボヌクレオチド塩基の存在下で延長すると、アルカリ加水分解によって得られる断片が、ATPが取り込まれた可能性のある位置のすべてに対応する、異なる長さの集団を形成する。これらの断片を大きさによって分けると、他のリボヌクレオチド塩基(CTP,UTP及びGTP)加水分解産物に関する、それらの移動パターンによって、鋳型配列の読みとりを行うことができる。前述したように、殆どのDNAポリメラーゼは非従来型デオキシヌクレオチドに対する区別を行う。非従来型ジデオキシヌクレオチドの取り込みが向上したJDF−3DNAポリメラーゼ変異体のサブセットもまた、リボヌクレオチド取り込みに対して耐性が高められている。
100ngの38マープライマーを、KINACE-IT(商標)キナージングキット(Stratageneカタログ番号:300390)中の指示に従って、γ−33Pを用いてキナーゼ処理した。

38マープライマー:
5’GGTTTTCCCAGTCACGACGTTGTAAAACGACGGCCAGT3’

10T.1E(10mM トリスpH8.0,0.1mM EDTA)中、NUCTRAP(登録商標)プローブ精製カラム(Stratageneカタログ番号:400701)を用いて、混入している遊離のヌクレオチドから標識オリゴヌクレオチドを精製した。0.32mM MgClの存在下で95℃に加熱してから室温に冷却することにより、標識したオリゴヌクレオチド(〜7ピコモル)を0.09ピコモルのM13mp18+にアニールした。

延長成分
0.054 pM アニールされるプライマー/鋳型
200μM 各dNTP
1×cPfu DNAポリメラーゼバッファ(Stratageneカタログ番号:200532)
4〜200 ATP
0.1〜5ユニット JDF−3ポリメラーゼ
別個に添加

上記最初の3つの成分を含む8マイクロリットルのカクテルを、0.2mLチューブに等分した。1μLのポリメラーゼと1μLの2mM、0.2mM、または0.4mM ATPを加え、反応系を72℃で15分間インキュベートした。1×cPfuポリメラーゼバッファを用いて反応体積を100μLにし、1.5mLチューブに移した。反応系を70mM NaOHの存在下、100℃で15分間加熱した後、反応系は70mM HClで中和し、10μLの3M酢酸ナトリウム及び327.5μLのエタノールを加えることにより沈殿させた。試料を14krpmで30分間微量遠心分離してから、上清を除去し、ペレットを80%エタノールで洗浄した。真空乾燥後、試料を5μLのシーケンシング停止溶液(95%ホルムアミド、20mMEDTA、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノールFF)中に再懸濁し、2.5μLを6%アシルアミド−7M尿素、1×TBE CASTAWAY(商標)プレキャストゲル(Stratageneカタログ番号:401090及び401094)上にローディングした。ゲルはブロモフェノールブルー染料がゲルの底部を通過するまで50ワットで泳動し、その後ゲルを固定し、乾燥し、72時間フィルムに露光した。
JDF−3 550(野生型ヌクレオチド取り込み)及び試験したすべての変異体に対するシーケンシングラダーは、200μM及び20μMのATPレベルにおいて視認できた。4μMのレベルにおいて、L408H及びL408F変異体のみが、ラダーを生み出した(データ示さず)。

vi.dye−ジデオキシヌクレオチドターミネータによるシーケンシング
プライマーはFAMddCTP(NENNEL481)の存在下で延長させた。シーケンス反応系を精製し、ABI370上で泳動した。
サイクルシーケンシングのための反応条件は以下の通りである。
1×cPFUバッファ、200ng pBluescriptII KSプラスミド、3ピコモルT7プライマー、0.23mM dCTP、0.23mM dATP、0.23mM dTTP、0.23mM dGTP、ならびに0.046mM FAM ddCTP。試料に対して、10μL体積中、Perkin-Elmerサイクラーにおいて、下記の温度と時間のサイクルを25回行った。
95℃ 30秒間
55℃ 30秒間
72℃ 2分間

試料は製造業者の指示に従って、CentriSepを用いて精製した。乾燥後、試料を66.7%脱イオンホルムアミド、16.7mg/mLブルーデキストラン、及び8.3mMEDTAからなる3μLのローディング染料中に再懸濁した。試料を95℃で3分間加熱し、ABI PRISM377DNAシーケンサー中、5%LongRangenゲル上にローディングした。
データはGene Scan2.1において処理した。

実施例2
DNAの標識
本発明の修飾DNAポリメラーゼは、DNAのラベリングにも応用することができる。当業者には、放射性標識ヌクレオチドの取り込みを含めて、DNAを標識するためのいくつかの手段があることが知られている。そのような一般的な手段の1つとして、典型的には約50〜1000塩基長の標識されたDNA断片を生成することを可能にするランダムプライミングがある。本明細書中に記載する手順は、F.Ausubelら、Ahort Protocols in Molecular Biology,Third Edition,John Wiley and Sons,Inc.,1995に準じたものである。
DNAランダムプライミングに向けての第1の工程として、2.5マイクロリットルの0.5mM 3dNTP(dCTP,dGTP,TTP、それぞれ0.5mM)、50μCi[−32P]dATP、50mM トリス−HCl,pH7.5中1マイクロリットルの3〜8ユニット/マイクロリットルDNAポリメラーゼ、10mM MgCl、1mMジチオスレイトール、0.05mg/mLウシ血清アルブミンを含む反応混合物を全体積が11マイクロリットルとなるように調製し、氷上でインキュベートした。次に、約30〜100gのDNAを約1〜5μgのランダムヘキサヌクレオチドと14ミリリットル中で混合し、2〜3分煮沸し、氷上に置いた。11マイクロリットルの反応混合液をDNA/ランダムヘキサマー混合液中に加え、ランダムプライミング反応系を10分間から最長でも4時間かけて室温でインキュベートした。反応を停止するために、1マイクロリットルの0.5M EDTA、3マイクロリットルの10mg/mL tRNA、及び100ミリリットルの10mM トリス−HCl、pH7.4を添加し、混合液をフェノールで抽出した。その後、標識されたDNAをクロマトグラフィーにより、未取り込みの放射性前駆物質より分離した。

R.Dye−ジデオキシヌクレオチド取り込みに対するゲルアッセイ
標識したオリゴヌクレオチド二本鎖を、ジデオキシヌクレオチドとdye−ジデオキシヌクレオチドの混合物によって延長した。二本鎖を変性20%アクリルアミド/7M尿素ゲル上で分離すると、ジデオキシヌクレオチドによって終結された標識オリゴヌクレオチドを、dye−デオキシヌクレオチドで終結されたオリゴヌクレオチドから分解することができる。

オリゴヌクレオチド:
259C 32P−TAACGTTGGGGGGGGGCA→
258C TGCAACCCCCCCCCGTAT

259Cの5’末端は、32Pγ−ATPを用いたことを除いては、Q.ii.の項で記載したように標識し、精製した。標識したオリゴヌクレオチオド259Cは約0.7ng/μLの濃度であった。相補的オリゴヌクレオチド(258C)を同濃度で加え、95℃で3分間、50℃で5分間、室温で20分間加熱した。関連する変異体の熱殺傷溶解物は、実施例のC.項に記載のようにして調製した。反応系を、30mM トリスpH8.0及び3mM MgClからなる5μL体積中、全体で0.1mMのヌクレオチド混合物とともにインキュベートした。FLUddUTPまたはROXddUTPに対するddTTPの比は、10:1であった。2量体は、1.2ピコモルの濃度で存在しており、0.5μLの酵素または粗溶解物または精製酵素を反応系に加えてから、Hot Topを備えたRobeCycler(登録商標)Gradient96温度サイクラー中、50℃でインキュベートした。試料を20秒間インキュベートしてから、3μLのホルムアミドをベースとするローディング染料を加え、試料を95℃で3分間熱変性させた後、20%アクリルアミド/7M尿素ゲル上にローディングし、一定の60ワットにて電気泳動した。ゲルをX線フィルムに露光し、フィルムをEagleEye(登録商標)Eeagle Sightソフトウェアパッケージにおいて分析した。

実施例3
本発明の修飾DNAポリメラーゼは、鋳型DNA分子の所定の位置にあるヌクレオチドを、例えばミニシーケンシングによって、同定するためにも応用することができる。例えば、JDF−3DNAポリメラーゼP410L/A485T変異体(JDF−3 D141A/E143A/P410L/A485T)は、低ddNTP/dNTP比(1/100)を用いて最長かつ最も均一な放射性DNAシーケンシングラダーを発生し、このことは、効率的なddNTP取り込み、最小の塩基選択性、及び高いポリメラーゼ活性を示している。本例では、このJDF−3DNAポリメラーゼP410L/A485T変異体の特性、及び変異ポリメラーゼを用いたミニシーケンシングに対する条件を最適化する手順について記載する。

A.実験プロトコール
i.材料
StrataPrep PCRカラム、StrataPrep DNAゲル抽出カラム、冷ddNTP、子牛アルカリホスファターゼ及びpBluescriptIIはStratagene社製のものを用いた。ローダミン標識ddNTPは、NENより購入した。EDTA/ブルーデキストラン、ローダミン染料−マトリックス標準、及びSNaPshot ddNTPプライマー延長キットは、Applied Biosystemsより購入した。Thermo Sequenase(TaqF667Y変異体)は、Amersham Pharmacia Biotech社製のものを用いた。Long Rangerポリアクリルアミドゲル(6%)はBMAより購入した。エビアルカリホスファターゼ及びエキソヌクレアーゼIは、USB社製のものを用いた。CENTRI-SEPスピンカラムは、Princeton Separationsより購入した。脱イオン化ホルムアミドは、Sigma社製のものを用いた。表VIIに配列が挙げられているオリゴヌクレオチド(PAGE精製済)は、Genset oligosより購入した。他のすべての試薬は分子生物学グレードのものを用いた。

ii.プライマー:鋳型形成
二本鎖のプライマー鋳型対は、10mM トリス−HCl(pH8)及び0.1mM EDTAを含む溶液中で、95℃5分間、室温までゆっくり冷却という温度レジメを用いて鋳型を10倍過剰の適当なプライマーとアニーリングすることによって形成した。プライマー:鋳型の濃度は、一本鎖鋳型のモルとして表される。

iii.産物の分析
ダイ標識した産物を6%ポリアクリルアミド/尿素ゲル上で分解し、Applied Biosystemsモデル377DNAシーケンサ上で、3.1.2GeneScan断片分析ソフトウェアを用いて、ピーク同定及び蛍光測定のために可視化した。ローダミン染料マトリックスを製造業者のプロトコールに従ってABI377シーケンサ上にインストールした。
Figure 2005512560

iv.JDF−3P410L/A485TDNAポリメラーゼの精製と最適な反応バッファ
JDF−3 P410L/A485TをXL−10 Gold中で発現させ、上記Brad Scottによる「JDF−3 P410L/A485T変異体の精製」Product Transfer Documentにおいて記載したようにして精製した。1ユニットの酵素とは、72℃、30分間以内に全10ナノモルのヌクレオチドを酸不溶状態に取り込むことを触媒する量として定義される。JDF−3P410L/A485Tに対する10×反応バッファは、200mM トリス−HCl(pH8.8)、100mM KCl、100mM(NHSO、20mM MgSOを含有する。

v.酵素アッセイ
a.ローダミン標識−ddNTP取り込み及び誤取り込みの速度論的分析
ローダミン標識−ddNTP取り込みに対するK及びVmax値は、50mMのプライマー:鋳型を、限界量のポリメラーゼ(0.1ユニットまたは5nM)とともにインキュベートし、ローダミン標識−ddNTPの濃度を0.1nMから500nMの範囲で変化させることによって測定した。試料は60℃で10分間インキュベートした。その後、反応を氷冷0.2MEDTA(最終濃度)を用いて停止した。CENTRI−SEPスピンカラム上で延長されたプライマー:鋳型を精製することにより、取り込まれなかったローダミン標識ddNTPを除去した。次に反応系を乾燥させ、ペレットを3:1ホルムアミド:EDTA/ブルーデキストラン中に溶解し、ABI377シーケンサ上で6%変性PAGEにより解析した。3.1.2GeneScanソフトウェアを用いてすべてのピーク領域の定量化を実施し、Lineweaver-Burkプロットを用いてK及びVmax値を算出した。
プライマー:鋳型に対するK及びVmax値は、100nMのR110−ddGTPと0.5〜100nMの範囲の様々な濃度のプライマー:鋳型(pBL31G:pBluescript II)の存在下で、限界量の酵素(0.1ユニットまたは5nM)を用いて測定した。試料は60℃で10分間インキュベートした。その後、反応を停止し、取り込まれなかったローダミン標識−ddNTPから精製し、上述のように解析した。
誤挿入の速度論を判定するために、限界量の酵素(0.1ユニットまたは5nM)を、50nMのプライマー:鋳型と様々な濃度の非相補的ローダミン標識ddNTP(1nM〜10,000nM)の存在下、60℃で10分間インキュベートすることにより、定常状態Michaelis-MentenK及びVmaxパラメータを算出した。

b. フィデリティのスクリーニング
反応(10μL)は1×反応バッファ中に1ユニットの酵素、15nMプライマー鋳型、25nMの非標識相補的ddNTP、及び25,100,500または1000nMのローダミン標識非相補的ddNTPとを4つの異なる反応系に含むものとした。反応系をPerkin-Elmer9600中で、96℃10秒→50℃5秒→60℃30秒を1サイクルとして25サイクルにわたってインキュベートした。次に氷冷0.2MEDTA(最終濃度)で反応を停止し、取り込まれなかったローダミン標識ddNTPから産物を精製し、上述のように解析した。

c.ローダミン標識ddNTP取り込みについてのアッセイ
これらの実験は、1ユニットの酵素と、15mMプライマー:鋳型と(4つの別個の反応系中にpBL25C及びTemp−A、Temp−T、Temp−C、またはTemp−G)、50nMdye−ddNTP(TAMRA−またはR110−標識)とを用いて実施した。反応系を60℃で10分間インキュベートした後、氷冷0.2MEDTA(最終濃度)で反応を停止し、取り込まれなかったローダミン標識ddNTPから産物を精製し、上述のように解析した。

B.最適化手順:
i.ミニシーケンシング用DNA鋳型の調製
インサートのSNPを含む断片を標準的なPCR条件を用いてゲノムDNAから増幅する。この研究では、PCR反応を、2.5ユニットのTaqPlus PrecisionDNAポリメラーゼブレンドを用いて実施した。ヒトα−1−抗トリプシン遺伝子の4kb断片を、10pmolのpPC26G及びpPC29Cプライマー(表VII)を用いて、100ngのヒトゲノムDNAから増幅した。Robocyclerにおいて以下のプログラムを用いた。95℃2分間を1サイクル、95℃1分間、58℃1分間、及び72℃4分間を30サイクル、続いて72℃7分間を1サイクル。
得られた4kb断片をPCRプライマー及び未取り込みのdNTPから精製するために、断片を(1)StrataPrep DNAゲル抽出キットを用いて精製するか、(2)exoI/SAPで処理するか、あるいは(3)StrataPrepカラム上でSAPまたはCIAPとともにインキュベートすることができる。PCR断片をexoI/SAPで処理するためには、2ユニットの各酵素を4μLのPCR産物に加え、混合物を37℃で1時間インキュベートし、その後72℃で15分間インキュベートして酵素を不活性化した。PCR増幅された断片をStrataPrepカラムを用いて精製するために、50μLのPCR反応物をStrataPrepカラムにローディングし、溶出前に50μLの1×対応する反応バッファ中の1ユニットのCIAPをカラムに添加したことを除いてはStrataPrepカラムマニュアルに記載のようにして処理した。カラムを室温で5分間インキュベートし、PCR断片をマニュアルに記載されているようにして溶出した。溶出液を72℃で15分間インキュベートして、残存するすべてのCIAPを不活性化した。これらの全クリーンアップ方法によって、続くミニシーケンシング用として十分な純度のDNA鋳型が製造された。

ii.プラスミドまたはPCR増幅された断片を用いたミニシーケンシングプロトコール
pBluescript(0.25pmol)のミニシーケンシングは、0.15pmolの各プライマー(例えば、pBL25C)、1ユニットの酵素、0.04μMのR6G−ddA、R110−ddG、及びROX−ddC、及び0.2μMのTAMRA−ddUを用いて行った。PCR増幅された断片を用いる場合には、0.02pmol/rxnと低い鋳型濃度を用いた。すべての反応は10μLの体積中で実施した。熱サイクルプログラムは以下のように構成した。Perkin-Elmer9600において96℃10秒間、50℃5秒間、及び60℃30秒間のサイクルを25サイクル、またはRobocyclerにおいて96℃50秒間、50℃50秒間、及び60℃50秒間のサイクルを25サイクル。
標識されたプライマーを未取り込みのdye−ddNTPから精製するために、試料をSAPまたはCIAPのいずれかによって処理するか、あるいはCENTRI-SEPカラムを用いて業者の推奨に従って精製した。1ユニットのCIAPまたは0.5ユニットのSAPを各10μLの反応系に添加し、37℃で60分間インキュベートした後、72℃で15分間インキュベートしてアルカリホスファターゼを不活性化した。反応系を乾燥させ、ペレットを10μLの3:1ホルムアミド:EDTA/ブルーデキストリン中に溶解した。1μLの各反応系をABI377シーケンサー上にて6%変性PAGEによって分解し、GeneScan3.1.2(Applied Biosystems)を用いて解析した。

C.結果
i.バッファ及び反応温度の最適化
ThermococcusJDF−3種のDNAポリメラーゼが、古細菌P.furiosusのDNAポリメラーゼ(Pfu)と密接に関係しているため、クローン化Pfuバッファ(10×バッファ:200mM トリス−HCl(pH8.8)、100mM KCl、100mM(NHSO、20mM MgSO、1%TritonX100、及び1mg/mL BSA)をバッファ最適化の出発点として用いた。バッファ及び反応温度変化による酵素活性の変化は、pBL34A:pBluescriptプライマー:鋳型の系を用いてR6G−ddATPを測定することによって決定した。このバッファ中にTritonX−100及びBSAが存在すると、シーケンシングゲル中に人工産物(二重バンド効果)を生み出すことが判明した(データ示さず)。酵素活性は、それぞれ様々な濃度のKCl(20,40または80mM)、(NHSO(5または20mM)、及びMgSO(4または8mM)の存在下、pH8.4及び9.5にて測定した。これらの変化のいずれもJDF−3P410L/A485Tの活性に顕著な影響を与えなかった。したがって、BSA及びTritonを含まないクローン化Pfuバッファが、ミニシーケンシングにとって最適の反応バッファであると同定された。さらに、JDF−3P410L/A485Tの活性対温度プロファイルから、ヌクレオチド組み込みは60℃〜72℃において有意に増大しないことが分かった(データ示さず)。延長温度をミニシーケンシングプライマーの融点未満に保つために、後続のすべての実験は60℃で実施した。

ii.ローダミン−ジデオキシリボヌクレオチドの取り込み
JDF−3P410L/A485T及びTaqF667Y変異体によるローダミン標識−ddNTPの相対取り込みを決定した。我々はTAMRA−及びR110−標識ddNTPの両方を用い、取り込まれたdye−ddNTPの量をフルオレセインユニットとして測定した。これらの実験は、プライマーとしてpBL25C、相補的鋳型としてTemp−A,Temp−T,Temp−CまたはTemp−Gを4つの別個の反応系中で用いて実施した。これらの4つのプライマー:鋳型系の間での唯一の違いは、SNP部位であり、これにより当該プライマー:鋳型配列がdye−ddNTP取り込みに効果をもつ可能性を評価することができる。図16のパネルBは、JDF−3P410L/A485TがTAMRA−ddGTP及びTAMRA−ddCTPを、TAMRA−ddATP及びTAMRA−ddUTPに比べてわずかに効率良く取り込むことを示している。R110標識したddNTPを用いた場合、ddCTP及びddGTPもまた、ddATPとddUTPよりも効率よく取り込まれる(図16パネルA)。GardnerとJackは、VentDNAポリメラーゼ(古細菌Thermococcus litoralisに由来)15のA488L変異体(JDF−3A485と等価)によるリボヌクレオチドの取り込みにおける変化も観察している。実際に、VentA488L変異体は、UMPをCMP,GMP及びAMPよりも10倍も低い効率でしか取り込まず、野生型VentDNAポリメラーゼは、dUMP取り込みい対して同等の偏りを示した。
我々は同じユニット数のTaqF667Yを用いて、同様のローダミン標識−ddNTP取り込み実験を行った。図16のパネルA及びBに示したように、JDF−3P410L/A485T及びTaqF667Y変異体は、類似したTAMRA−及びR110−ddNTP取り込み効率と限られた(3倍未満)の塩基選択性(選択性の順序はG>C>A>T)を示した。

iii.重合反応に対する速度論的パラメータ
プライマー:鋳型及びローダミン−ddNTPに対するK及びVmax値は、実験プロトコールに記載のようにして決定した。これらの値は表VIIIに報告する。この表ではJDF−3P410L/A485TとTaqF667Yの速度論的特性を比較している。この比較により、JDF−3P410L/A485TとTaqF667変異体とが類似した定常状態速度論的パラメータを示し、したがって、プライマー:鋳型及びローダミン−ddNTP基質の両方に対して類似のアフィニティを有することが確立された。
さらに、表VIII中の速度論的パラメータを用いて、TAMRA−ddATP(Vmax/K=1.9/0.9=2.1)と比較してのTAMRA−ddCTP(Vmax/K=3.3/1=3.3)の取り込み効率を求めた。TAMRA−ddCTPの取り込み効率がTAMRA−ddATPの1.5倍であることは、JDF−3P410L/A485T変異体が異なるddNTPをわずかに異なる速度で取り込むことを示唆し、図16で得られた結果の確証となる。
Figure 2005512560

iii.フィデリティ
フィデリティは、増加量の非相補的ヌクレオチドの存在下において、DNAポリメラーゼが正確なヌクレオチドを取り込む傾向として決定した。これらのアッセイでは、実験プロトコールのなかで記載したように、一定量のプライマー:鋳型、非標識相補的ddNTP及びDNAポリメラーゼ、及び様々な濃度のローダミン標識非相補的ddNTPを用いた。誤延長されたプライマーの量を、ローダミン標識された誤ったddNTP/非標識の正しいddNTPの比に対してプロットする(図18パネルA及びB)。我々は、すべての可能性のあるミスペアに対して同様のアッセイを行った(表IX)。

Figure 2005512560

太字で示した2つのミスペアは、JDF−3P410L/A485T変異体と比較して、TaqF667YDNAポリメラーゼによってより効率よく形成された。

ddT:dC及びddG:dTの2つのミスペアは、JDF−3P410L/A485Tと比べて、TaqF667Y変異体(ThermoSequenase及びAmpliTaqFS)によって有意に高い頻度で(3〜20倍)形成された(図18パネルA及びB)。他のミスペアは、JDF−3P410L/A485T及びTaqF667Yに対して、より低い頻度かつ、同等の速度で形成された。
同様のddG:dTミスペア形成速度が、AmpliTaqFS(TaqF667Y変異体:ABI)を用いて得られた。AmpliTaqFSは、dye−ddNTP及び反応バッファ(SNaPshotキット;ABI)を含む混合物の形でしか入手できない。AmpliTaqFSを試験するために、5μLのSNaPshotキット混合物に0.5ユニットのSAPを加え、37℃で30分間及び72℃で15分間インキュベートすることにより、dye−ddNTPを除去した。こうして得られた、dye−ddNTPを含まない混合物をフィデリティアッセイに用いた。
このフィデリティの違いが配列特異的でないことを確立するために、我々は2つの他のプライマー:鋳型系(pBL25C:Temp−T及びpPC34A:4kbPCR増幅断片)を用いて同様の実験を行い、両酵素に対して同様の誤取り込み速度を得た(データ示さず)。我々は、TAMRA−標識ddNTPを誤ったddNTPとして用いて、同様に誤取り込み速度を得た(データ示さず)。したがって、TaqF667YDNAポリメラーゼによって示されたより低いフィデリティは、配列特異的でもなく、R110ダイの誤取り込みの増加によるものでない。
フィデリティ低下の機構についての見識を深めるために、我々はミスペアddG:dTに対する誤挿入の頻度を決定した。これは誤対正dye−ddNTPに対する相対K及びVmax値に関して評価された。ヌクレオチド誤挿入の効率は、34−ヌクレオチドオリゴマー(pBL34A)でプライムしたDNA鋳型dTに対して決定した。見かけのミカエリス定数(K)及び最大速度(Vmax)及び相対挿入頻度をddATP及びddGTPについて測定した(表X)。
Figure 2005512560

表Xに示されるように、ddG:dTに対するTaqF667Yの誤挿入頻度は、JDF−3P410L/A485Tによって示されるものよりも有意に高い(〜17倍)。この相違の殆どは、誤dye−ddNTP:プライマー:鋳型の三重複合体に対するKの違いによるものである。TaqF667Y変異体は、JDF−3P410L/A485T変異体と比べて、dTに対する誤ったヌクレオチド(ddGTP)に対して7倍低いK(高い結合アフィニティ)を示した。

iv.ミニシーケンシングキットの開発:
ミニシーケンシングとゲル電気泳動とによるSNP検出には次の5つの主たる工程が含まれている。(i)血液または組織試料からのDNAの抽出;(ii)DNPを含むゲノムDNAの特異的断片のPCR増幅;(iii)未反応のPCRプライマーとdNTPを除去するためのミニシーケンシング前のPCR産物の処理;(iv)PCR産物のミニシーケンシングと延長されたプライマーの精製;(v)ゲル電気泳動とGeneScanソフトウェア(ABI)を用いた蛍光標識プライマーの分析。ここで、我々は工程(iii)及び(iv)を最適化し、酵素、反応バッファ、ローダミン標識ddNTP及び対照プライマー:鋳型系とを含んだミニシーケンシングキットを開発した。
工程(iii)を最適化するために、我々は、上記実験プロトコールに記載したようにミニシーケンシング前にPCR産物を未反応のPCRプライマー及びdNTPから精製するために3つの異なる手法を用いた。CIAP処理を行わずにStrataPrepカラムを用いたDNA鋳型を精製すると、残留dNTPの混入が多くて続くミニシーケンシングを妨害することが分かった。dNTP混入量が微量である場合には、1本の延長されたプライマーの代わりにシーケンシングラダーが生成された(図18、レーン2)。同様の問題がQiagen社のQIAquickPCR精製カラムを用いた場合にも観察された(データ示さず)。しかしながら、DIAPをStrataPrepカラムに結合したPCR産物に直接加えることにより、残留dNTPが効率的に除去され、熱処理(72℃で15分間)後の溶出DNAが、ミニシーケンシングに適用するのに適したものとなった(図18、レーン1)。
JDF−3P410L/A485Tミニシーケンシングキットを最適化するために、次の3つの異なるプライマー:鋳型系を用いた。ミニシーケンシングキットは、キット対照として用いられる、pBluescriptと、プライマーpBL34A,pBL31G,pBL28T及びpBL25C(表VII)(図22);4kbPCR断片と、プライマーpPC37A,pPC41T,pPC26G及びpPC29C;及びpGEMと、4つの対照プライマー(ABI#4312166)(図19)を含んでいる。我々のキットプロトコールは、1つの反応系中で4つのローダミン標識ddNTPを利用しているが(実験プロトコールの部を参照のこと)、将来的には、それぞれ異なるローダミン標識−ddNTP(+3つの未標識ddNTP)を用いた4つの別々の反応を実施するという顧客の関心に合わせるようにすることもできる。
JDF−3P410L/A485T、dye−ddNTP、プライマー、及び鋳型の濃度は、ABI377シーケンサによるミニシーケンシング及び蛍光検出に対して最適化した(最適化された条件については実験プロトコールを参照)。酵素、dye−ddNTP、及びプライマー:鋳型の濃度を高くすると、蛍光シグナルが増大する。しかしながら、そのようなシグナルの増大はABI377検出器を飽和し、ダイのブリードスルー(滲み出し:bleed-through)を引き起こすことになる(1つより多い色が1つのスポットを示す)。
異なるローダミン染料/ddNTP組み合わせを、JDF−3P410L/A485Tとともに用いることができる(図20;R110−ddG及びTAM−ddUTPの代わりにTAM−ddG及びR110−ddU)。しかしながら、実験プロトコール中で提案したようなダイ/塩基組み合わせ(R6G−ddATP,R110−ddGTP,ROX−ddCTP,及びTAMRA−ddUTP)は、3つの異なるプライマー:鋳型セットとともに最大のシグナル均一性を示した。JDF−3P410L/A485Tは、ddUTPの取り込みに対して僅かな識別しかしないので(図16、パネルA及びB)、ddUTPは他のddNTPの濃度の5倍の濃度で使用する。さらに、以前のデータは、JDF−3P410L/A485Tが、ローダミン以外の染料(例えば、シアニン染料)を取り込むことができることを示している。プライマー:鋳型配列がdye−ddNTP取り込みの効率、したがってシグナル均一性にも影響を及ぼすことができると指摘することが絶対に必要である。
スタンフォードゲノムテクノロジーセンターにおけるJDF−3P410L/A485Tのβ−テスティングを、Cy3−ddATP及びCy5−ddCTP、及びZyomysアルデヒドスライド上に固定したプライマーを用いて実施した。
ミニシーケンシングのためのプライマーの設計時に以下のプロトコール(Applied Biosystems)を用いるべきである。(1)ミニシーケンシングによるSNP変化はプライマーの位置に関して柔軟性がないため、ポジティブ鎖(+)のアッセイが難しいようであれば、DNAのネガティブ鎖(−)をプライマー設計のために用いてもよい。(2)45℃以上の融点を有する18より長いヌクレオチド長のプライマーを設計する。(3)プライマーに対して、延長可能なヘアピン構造及びプライマー2量体形成について調べる。(4)プライマーはPAGE精製すべきである。(5)新しいプライマーを評価する場合には負の対照(DNA鋳型を欠失)も泳動すべきである。
我々は、シグナル強度に影響を及ぼさずに多重化を行うために(1つの反応において、いくつかのプライマーと1つの鋳型)JDF−3P410L/A485を用いることができるかどうかを調べた。図20は、同一の鋳型DNA中4つのSNPを検出するために4つのプライマーを用いた際に、変化せずに残ったシグナル強度を示したものである。我々はキットを多重化のために最適化してはおらず、この用途が将来のキットの製造においてさらに開発されうることを指摘おかねばならない。
次に我々は、取り込まれなかったローダミン標識−ddNTPからミニシーケンシング産物を精製するために用いることのできるSAPまたはCIAPの量を決定した。10μLのミニシーケンシング反応系において、0.5ユニットのSAPまたは1ユニットのCIAPによりすべての未取り込みdye−ddNTPが分解された。最適状態の及ばないユニット数のアルカリホスファターゼを用いることにより、未取り込みのdye−ddNTPから蛍光シグナルを得ることができ、これによりSNPシグナルのマスキングができた。
キットサイクル条件の最適化する際に、我々は熱サイクルが産物の収率を高めるかどうかを評価した。図21に示すように、60℃または72℃の延長温度を用いたサイクルでは、酵素活性は有意に変化しなかった。しかしながら、熱サイクルは、60℃で10分間の1回のインキュベーションと比較して、ミニシーケンシングのシグナルを高めた。このシグナルの向上は、DNA鋳型の濃度がミニシーケンシングプライマーよりもはるかに低い場合に起こると予想される。しかしながら、図21に示すように、ミニシーケンシングプライマーがDNA鋳型によって飽和された場合でも、おそらくはミニシーケンシングプライマーがDNA鋳型にアニーリングする際に2本鎖DNAの相補鎖と競争するために、熱サイクルはシグナルを高めると思われる。
図22は、我々のミニシーケンシングキットの性能を、ABI社製SNaPshotキットと比較して示したものである。我々のミニシーケンシングキットは、ローダミン標識ddNTPを用いているので、産物のバンドを解析するためにはローダミン染料マトリックスをABI377シーケンサにインストールしなければならない。これに対し、SNaPshotキットは、ジクロロローダミン標識ddNTPを用いるので、SNaPshotキットによって生産された産物を解析するためには、ジクロロローダミンマトリックスをインストールした。上で議論したように、我々のキットはTAMRA−ddC及びROX−ddU(SNaPshotdye−ddNTP)の代わりにROX−ddC及びTAMRA−ddUを用いて、JDF−3P410L/A485TによるddU取り込みを高めている。ABIは、SNaPshot反応において用いられるAmpliTaqFSまたはジクロロローダミン標識ddNTPの濃度を開示していないため、比較は、同一のプライマー:鋳型量及びそれぞれのキットの推奨プロトコールを用いて簡単に行った。図22に示すように、我々のキットは、ddA及びddUに比べてddC及びddGに対して相当に低いシグナルを発生したSNaPshotキットと比べて、より均一なシグナルを与える。
Figure 2005512560
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他の実施形態
他の実施形態は同業者には明らかであろう。上記詳細な説明は明確化のためだけに提供されるものであって、説明的なものにすぎない。本発明の精神及び範囲は、上記実施例には限定されるのではなく、請求項によって包含される。
Thermococcus JDF−3種のDNAポリメラーゼをコードするDNA配列(インテイン除去)(配列番号:1)。 Thermococcus JDF−3種のDNAポリメラーゼのアミノ酸配列(インテイン除去)(配列番号:2)。 Thermococcus JDF−3種のDNAポリメラーゼをコードするゲノムクローンのアミノ酸配列(配列番号:3)。翻訳後プロセシングによって取り除かれたインテインの位置が示されている。 Thermococcus JDF−3種のDNAポリメラーゼをコードするゲノムクローンのDNA配列(配列番号:4)。5’及び3’の非翻訳領域、ポリメラーゼをコードする領域(エクステイン)、及びインテインをコードする領域に対応するDNA配列が示されている。 JDF−3変異体によるヌクレオチド取り込みを示す。一次ライブラリースクリーニングにおいて33Pで標識したddNTPを取り込んだλファージクローンを再度スクリーニングして、(パネル1)0.5mM MnClまたは(パネル2)1.5mM MgClの存在下における33P−ddNTPの取り込みを評定した。ポリメラーゼ活性は、1.5mM MgCl(パネル3)の存在下における33P−ddNTPを用いて測定した。ヌクレオチドの利用は、クローン1〜18及び親#550クローンに対して示した。 JDF−3ポリメラーゼ変異体を用いて実施した33P−ddNTPサイクルシーケンシング反応を示す。精製したJDF−3をThermo Sequenase放射性標識ターミネータサイクルシーケンシングキットに代入した。DNAシーケンシングラダーは、以下のポリメラーゼを用いてキットの説明書のとおりに作成した。(A)Thermo Sequenase(B)JDF−3#550クローン(親)(C)JDF−3A485T変異体(クローンp12)(D)JDF−3P410L変異体(クローンp11)(E)JDF−3P410L変異体(クローンp8)。オリジナルシーケンシングゲルの先頭が側方に示されている。レーンは、下から上へ、ddGTP,ddATP,ddTTP,ddCTPである。クローンp8、p11及びp12は、付属変異とアミノ末端タグとを含んでいる。 ダイ標識したddNTP及びJDF−3ポリメラーゼ変異体を用いて実施したサイクルシーケンシング反応を示している。DNAシーケンシングラダーは、(1)2.14μM dNTP:0.0214μM ddNTP;(2)2.14μM dNTP:0.214μM ddNTP;または(3)2.14μM dNTP:2.14μM ddNTPを用いて作成した。以下の精製DNAポリメラーゼを用いた。(A)JDF−3#550クローン(親)(B)Thermo Sequenase(C)JDF−3 P410L変異体(クローンp8、付属変異とアミノ末端タグとを含む)(E)JDF−3L408H変異体(クローン1−1)。オリジナルシーケンシングゲルの先頭が右手側に示されている。 JDF−3 P410L/A485T二重変異体及びα−33Pジデオキシヌクレオチドを用いて行ったサイクルシーケンシング反応を示す。DNAシーケンシングラダーは、JDF−3 P410L/A485T二重変異体を(A)2μL(B)1μL(C)0.5μL、JDF−3 P410L変異体(クローンp8、付属変異とアミノ末端タグとを含む)(D)、またはThermo Sequenase(E)を用いて作成した。オリジナルシーケンシングゲルの先頭が左側に示されている。レーンは下から上へ、ddGTP,ddATP,ddTTP,ddCTPである。 エキソJDF−3(550)及びこの原体クローンの変異体を用いたリボヌクレオチド取り込みアッセイの結果を示している。デオキシヌクレオチドに対するリボヌクレオチドの取り込み比を、JDF−3 550、JDF−3 L408H、JDF−3 L408F及びJDF−3 A485Tについてプロットしている。 JDF−3 DNAポリメラーゼの4つの型及びFAM ddCTPによって生成された配列の痕跡を示したものである。パネルAは、原体ポリメラーゼJDF−3 550によって生産された微量痕跡を示し、パネルBは、JDF−3 P410Lによって生成された僅かに向上した痕跡を示し、パネルCは、二重変異体S345P及びP410Lによって生成された配列を示し、パネルDはJDF−3 S345Pによって生成された痕跡を示している。 パネルA中のThermo Sequenaseと、パネルB中の二重変異体JDF−3 S345P+P410Lとによって証明されたピーク均一性の相違を示している。 ROX−ddUTPのジデオキシヌクレオチドチミジン三リン酸(New England Nuclear(NEN) NEL476)またはフルオレセイン−12−ddUTP(NEN NEL401)によって標識されたオリゴヌクレオチドの分離3’延長産物を示す。変異体4はJDF−3 S345Pであり、変異体2はJDF−3 P410Lであり、変異体3はJDF−3 A485Tであり、変異体5はY496Nである。FはFLU ddUTPを示し、RはROX ddUTPを示す。 図12からの相対バンド強度をグラフに示したものである。数値は、ddTTPバンドの強度値を、フルオレセイン−12−ddUTPバンドに対する強度値で割ることによって得られる。 dye−ジデオキシヌクレオチドによって選択されたJDF−3変異体の配列アライメント(アミノ酸301〜480)を示したものである。白四角によって強調されている核酸残基が変異の位置を示す。S345P変異は、変異体28中に存在する2つの変異のうちの1つである。 dye−ジデオキシヌクレオチドによって選択されたJDF−3変異体の配列アライメント(アミノ酸481〜660)を示したものである。白四角によって強調されている核酸残基が変異の位置を示す。 JDF−3 P410L/A485T及びThermo Sequenase(Taq F667Y)によるローダミン標識ddNTPの取り込みを示す。JDF−3 P410L/A485T及びTaq F667Y変異体は、それぞれのローダミン標識ddNTPに対して僅かに異なる取り込みを示す。パネルA及びBの反応系は、0.05MのTAMRA標識またはR110標識ddNTPと、15nMプライマー:鋳型と、1ユニットの酵素を含むものとした。反応系は実験プロトコールに記載したようにインキュベートした。 JDF−3 P410L/A485T及びThermo Sequenase(Taq F667Y)によるローダミン標識ddNTPの誤挿入。JDF−3 P410L/A485Tは、特定のddNTPの取り込み時にTaq F667Yに比べて高いフィデリティを示す。パネルA及びBの反応系は、1ユニットのJDF−3 P410L/A485TまたはThermo Sequenaseのいずれかと、15nMプライマー:鋳型(パネルA:pBluescript:pBL34A;パネルB:pBluescript:pBL31G)と、25nMの非標識相補的ddNTP(パネルA:ddATP;パネルB:ddGTP)及び25,100,500または1000nMのいずれかのダイ標識非相補的ddNTP(パネルA:R110−ddGTP;パネルB:R110−ddUTP)を4つの別々の反応中に含むものとした。反応系は実験プロトコールに記載のようにインキュベートし、分析した。パネルCは、パネルAのデータを導出したシーケンシングゲルを示す。 ミニシーケンシングを実施する前に、CIAP(子牛腸管粘膜由来アルカリホスファターゼ)を補助的に用いたStrataPrepカラム上でPCR増幅断片をインキュベートして、断片を精製した。1ユニットのJDF−3 P410L/A485Tを0.05M R6G−ddATP、0.15pmol pPC37A、及び0.02pmolのヒトゲノムDNAから増幅された4kb PCRフラグメントの存在下でインキュベートした。PCR産物は、実験プロトコールに記載したように、CIAP処理を実施するか(1)実施せず(2)に、StrataPrepカラム上で精製した。 JDF−3 P410L/A485T、及び2つの異なるプライマー:鋳型系を用いたミニシーケンシング。すべての反応系は、1ユニットのJDF−3 P410L/A485Tと、0.04MのR6G−ddA、R110−ddG、ROX−ddC、及び0.2M TAM−ddUを1×反応バッファー中に含むのとした。反応系1〜4は、0.4pmol pGEM及び1Lのp29A,p38G,p34T,及びp45C(ABI#4312166)をそれぞれ含んでいる。反応系5〜8は、0.02pmolの4kbPCR産物及び0.15pmolのpPC37A、pPC26G、pPC41T、及びpPC29Cをそれぞれ含んでいる。反応系は実験プロトコールに記載のようにしてインキュベートした。 多重化は、JDF−3 P410L/A485Tによって発生されるシグナル強度に影響を与えない。すべての反応系は、1ユニットのJDF−3 P410L/A485Tと、0.25pmolのpBluescriptと、0.04MのR6G−ddA、TAM−ddG、ROX−ddC、及び0.2MのR110−ddUを1×反応バッファ中に含むものとした。反応系1,2,3,4は、それぞれ0.15pmolのpBL25C、pBL28T、pBL31G、及びpBL34Aを含むものとした。反応系5は、0.15pmolの全部で4つのプライマーを含むものとした。反応系は実験プロトコールに記載のようにしてインキュベートした。 熱サイクルによって、ミニシーケンシングのシグナルは著しく高められる。5つの別個の反応系において、1ユニットのJDF−3 P410L/A485Tを15nM pBL25C,100nM ROX−ddCTP、及び0.1,1,5,10または50nMのpBluescriptの存在下でインキュベートした。インキュベーションは、Parkin-Elmer9600を用いて、96℃2分間、50℃1分間、及び60℃10分間の1サイクル、もしくは、96℃10秒間、50℃5秒間、60℃または72℃30秒間のサイクルを25サイクル繰り返して行った。反応系は、SAP処理を用いて未取り込みのROX−ddCTPから精製し、産物を実験プロトコールに記載のようにして分析、定量化した。 JDF−3 P410L/A485Tを含む我々のミニシーケンシングキットと、Applied Biosystems社のSNaPshotキットとの性能の比較をしたものである。(A)ミニシーケンシング反応は、1ユニットのJDF−3 P410L/A485Tと、0.25pmolのBluescriptと、0.04MのR6G−ddA、R110−ddG、及びROX−ddC、0.2M TAMRA−ddU、及び0.15pmol pBL34A、pBL31G、pBL25C、またはpBL28Tをそれぞれ4つの別個の反応系に含むものとした。実験プロトコールに記載したようにして、反応系をインキュベートし、精製し、分析した(ローダミンマトリックスを用いて)。(B)SNaPshotキットを上記と同一量のプライマー:鋳型とともに用いた。このキットは、ジクロロ−ローダミン標識されたddNTPを用いるので、対応するバンドの分析のためにジクロロ−ローダミンマトリックスをインストールした。

Claims (61)

  1. 鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定するための組成物であって、前記組成物は、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したファミリーBのDNAポリメラーゼと、第1のプライマーとを含み、前記第1のプライマーは前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの3’に隣接してアニールすることを特徴とする組成物。
  2. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、JDF−3DNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、配列番号:2の配列を有し、さらに、D141,E143,A485,L408またはP410における1つ以上のアミノ酸変異をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の組成物。
  4. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141AまたはD141T、E143A、L408HまたはL408F、A485T、及びP410Lからなる群より選ばれる1つ以上のアミノ酸変異を有することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
  5. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141A,E143A,P410L及びA485Tに4つのアミノ酸変異を含むことを特徴とする請求項4に記載の組成物。
  6. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠失していることを特徴とする請求項1〜5に記載の組成物。
  7. 少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログをさらに含み、前記連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、前記ファミリーBのDNAポリメラーゼによって鋳型依存的に前記第1のプライマー中へ取り込まれることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  8. 少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、第1の検出可能なラベルで標識されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  9. 1つより多い連鎖終結用ヌクレオチドアナログが標識されており、各連鎖終結用ヌクレオチドアナログは異なる第1の検出ラベルによって標識されていることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  10. 前記連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチドであることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
  11. 前記ジデオキシヌクレオチドは、ddATP,ddTTP,ddCTP及びddGTPからなる群より選択されることを特徴とする請求項10に記載の組成物。
  12. 前記第1のプライマーは、第2の検出可能なラベルによって標識されていることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
  13. 第1及び第2の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生することを特徴とする請求項12に記載の組成物。
  14. 第2のプライマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  15. 前記第1のプライマーは第2の検出可能なラベルで標識されており、前記第2のプライマーは第3の検出可能なラベルで標識されており、前記第2及び第3の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生することを特徴とする請求項14に記載の組成物。
  16. 前記第2のプライマーは、前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの5’に隣接してアニールすることを特徴とする請求項15に記載の組成物。
  17. DNAリガーゼをさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の組成物。
  18. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼのための反応バッファをさらに含む請求項1に記載の組成物。
  19. 前記鋳型DNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応の産物またはプラスミドDNAであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  20. 前記第1または第2または第3の検出可能なラベルは、蛍光ラベル、放射性同位体、化学発光ラベル、量子ドットラベル、抗原、またはアフィニティ分子からなる群から選ばれる1つであることを特徴とする請求項8,12または15に記載の組成物。
  21. 前記第1の検出可能なラベルは、ローダミンラベルまたはシアニンラベルであることを特徴とする請求項20に記載の組成物。
  22. 鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定するためのキットであって、前記キットは、非従来型ヌクレオチドに対する識別が減少したファミリーBのDNAポリメラーゼと、第1のプライマーとを含み、前記第1のプライマーは前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの3’に隣接してアニールすることを特徴とするキット。
  23. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、JDF−3DNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項22に記載のキット。
  24. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、配列番号:2の配列を有し、さらに、D141,E143,A485,L408またはP410における1つ以上のアミノ酸変異をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載のキット。
  25. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141AまたはD141T、E143A、L408HまたはL408F、A485T、及びP410Lからなる群より選ばれる1つ以上のアミノ酸変異を有することを特徴とする請求項24に記載のキット。
  26. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141A,E143A,P410L及びA485Tに4つのアミノ酸変異を含むことを特徴とする請求項25に記載のキット。
  27. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠失していることを特徴とする請求項22〜26に記載のキット。
  28. 少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログをさらに含み、前記連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、前記ファミリーBのDNAポリメラーゼによって鋳型依存的に前記第1のプライマー中へ取り込まれることを特徴とする請求項22に記載のキット。
  29. 少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、第1の検出可能なラベルで標識されていることを特徴とする請求項22に記載のキット。
  30. 1つより多い連鎖終結用ヌクレオチドアナログが標識されており、各連鎖終結用ヌクレオチドアナログは異なる第1の検出ラベルによって標識されていることを特徴とする請求項22に記載のキット。
  31. 前記連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチドであることを特徴とする請求項28に記載のキット。
  32. 前記ジデオキシヌクレオチドは、ddATP,ddTTP,ddCTP及びddGTPからなる群より選択されることを特徴とする請求項31に記載のキット。
  33. 前記第1のプライマーは、第2の検出可能なラベルによって標識されていることを特徴とする請求項29に記載のキット。
  34. 第1及び第2の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生することを特徴とする請求項33に記載のキット。
  35. 第2のプライマーをさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のキット。
  36. 前記第1のプライマーは第2の検出可能なラベルで標識されており、前記第2のプライマーは第3の検出可能なラベルで標識されており、前記第2及び第3の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生することを特徴とする請求項35に記載のキット。
  37. 前記第2のプライマーは、前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの5’に隣接してアニールすることを特徴とする請求項36に記載のキット。
  38. DNAリガーゼをさらに含むことを特徴とする請求項37に記載のキット。
  39. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼのための反応バッファをさらに含む請求項22に記載のキット。
  40. 前記鋳型DNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応の産物またはプラスミドDNAであることを特徴とする請求項22に記載のキット。
  41. 前記第1または第2または第3の検出可能なラベルは、蛍光ラベル、放射性同位体、化学発光ラベル、量子ドットラベル、抗原、またはアフィニティ分子からなる群から選ばれる1つであることを特徴とする請求項29,33または36に記載のキット。
  42. 前記第1の検出可能なラベルは、ローダミンラベルまたはシアニンラベルであることを特徴とする請求項41に記載のキット。
  43. 対照鋳型及び/または少なくとも1つの対照プライマーをさらに含む請求項22,28または39に記載のキット。
  44. 対照鋳型及び4つの対照プライマーを含む請求項43に記載のキット。
  45. 試料中の鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定する方法であって、前記方法は、
    (a)第1のプライマーを前記鋳型DNAに接触させる工程であって、前記接触によって前記第1のプライマーは、前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの3’に隣接してアニールすることができ、これにより前記第1のプライマーと前記鋳型DNAとの間で二本鎖が形成される工程と、
    (b)工程(a)からの前記二本鎖を、ファミリーBのDNAポリメラーゼ及び少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログの存在下でインキュベートする工程であって、非従来型ヌクレオチドと前記ターミネータに対する識別が減少した前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは第1の検出可能なラベルで標識されており、前記インキュベーション工程によって、DNAポリメラーゼによる標識された連鎖終結用ヌクレオチドアナログの前記第1のプライマーへの鋳型依存的取り込みが可能になるインキュベーション工程と、
    (c)工程(b)からの前記二本鎖の有無または正体を、前記第1の検出可能なラベルによって発生されるシグナルによって判定する工程とを含む方法。
  46. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、JDF−3DNAポリメラーゼであることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  47. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、配列番号:2の配列を有し、さらに、D141,E143,A485,L408またはP410における1つ以上のアミノ酸変異をさらに含むことを特徴とする請求項46に記載の方法。
  48. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141AまたはD141T、E143A、L408HまたはL408F、A485T、及びP410Lからなる群より選ばれる1つ以上のアミノ酸変異を有することを特徴とする請求項47に記載の方法。
  49. 前記JDF−3DNAポリメラーゼは、D141A,E143A,P410L及びA485Tに4つのアミノ酸変異を含むことを特徴とする請求項48に記載の方法。
  50. 前記ファミリーBのDNAポリメラーゼは、3’から5’へのエキソヌクレアーゼ活性を欠失していることを特徴とする請求項45〜49に記載の方法。
  51. 少なくとも1つの連鎖終結用ヌクレオチドアナログが第1の検出可能なラベルによって標識されていることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  52. 1つより多い連鎖終結用ヌクレオチドアナログが標識されており、各連鎖終結用ヌクレオチドアナログは異なる第1の検出ラベルによって標識されていることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  53. 前記連鎖終結用ヌクレオチドアナログは、ジデオキシヌクレオチドであることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  54. 前記ジデオキシヌクレオチドは、ddATP,ddTTP,ddCTP及びddGTPからなる群より選択されることを特徴とする請求項53に記載の方法。
  55. 前記第1のプライマーは、第2の検出可能なラベルによって標識されていることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  56. 第1及び第2の検出可能なラベルは、鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドを同定するためのシグナルを発生することを特徴とする請求項55に記載の方法。
  57. 前記鋳型DNA分子は、ポリメラーゼ連鎖反応の産物またはプラスミドであることを特徴とする請求項45に記載の方法。
  58. 工程(a)の前に、PCR産物からPCRプライマー及びdNTPを除去する工程をさらに含む請求項57に記載の方法。
  59. 試料中の鋳型DNA分子の所定位置にあるヌクレオチドを同定する方法であって、前記方法は、
    (a)第1のプライマーと第2のプライマーを、前記鋳型DNA分子に接触させる工程であって、前記接触によって前記第1のプライマーは、前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの3’に隣接してアニールすることができ、前記第2のプライマーは、前記鋳型DNA分子の所定位置にある前記ヌクレオチドの5’に隣接してアニールすることができ、これにより前記鋳型DNA分子と前記第1のプライマー及び前記第2のプライマーの間で複合体が形成され、前記第1のプライマーは第2の検出可能なラベルで標識されており、前記第2のプライマーは第3の検出可能なラベルで標識されている工程と、
    (b)工程(a)からの前記複合体を、DNAリガーゼ存在下でインキュベートする工程であって、該インキュベーション工程によって、単一の分子を形成するように前記第1及び第2のプライマー間のライゲーションが可能になる工程と、
    (c)工程(b)からの単一の分子の有無または正体を、前記第2及び第3の検出可能なラベルによって発生されるシグナルによって判定する工程とを含む方法。
  60. 前記第1または第2または第3の検出可能なラベルは、放射性ラベル、蛍光ラベル、化学発光ラベル、比色ラベル、及び酵素ラベルからなる群より選択される1つであることを特徴とする請求項45,55または59に記載の方法。
  61. 前記第1の検出可能なラベルは、ローダミンラベルまたはシアニンラベルであることを特徴とする請求項60に記載の方法。
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