JP4415483B2 - ディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンオイル中のスーツ量の算出結果に基づいてそのエンジンオイルの交換時期を検知するディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンでは、煤化した未燃燃料(スーツ)がエンジンオイル中に混入し、その潤滑性に悪影響を及ぼす。そのため、エンジンオイル中のスーツ量が所定量を超えた時点で、エンジンオイルを交換する必要がある。
【0003】
従来より、ディーゼルエンジンを備える車両では一般に、その車両の走行距離を指標としてオイル交換時期を決めている。しかしながら、走行距離がエンジンオイル中に混入したスーツ量を厳密に反映しているとは言い難く、不適切なオイル交換を生じさせることがある。
【0004】
そこで、より適切なオイル交換時期を検知する検知装置として、例えば特公昭58−20916号公報に記載のオイル交換時期検知装置が知られている。このオイル交換時期検知装置では、エンジンの運転状態に基づいて所定算出期間におけるエンジンオイル中へのスーツ混入量を逐次演算し、その演算結果を積算することでエンジンオイル中のスーツの総量を算出するようにしている。そして、その算出されたエンジンオイル中のスーツの総量が所定限界値を超えることで、オイル交換時期を検知するようにしている。
【0005】
なお、上記公報に記載の検知装置では、詳しくは、予め実験により求められた次式(a)に基づいて所定算出期間におけるスーツ混入量Tstを算出するようにしている。
【0006】
Tst=k1・F1{n,L}・V・(k2・e+k3)・k4 …(a)
ここで、「k1」〜「k3」はエンジン機種等によって決まる所定の定数を、「k4」はスーツ中のカーボン重量比率を、「n」はエンジン回転速度を、「L」は燃料噴射量(エンジン負荷)を、「e」はEGR率(吸入空気量に占めるEGRガスの割合)を、「V」はエンジン回転速度nの関数として算出される吸入空気量を、それぞれ示している。そして、更に関数F1{n,L}は、燃焼によるスーツの生成度合いを示す関数である。
【0007】
すなわち、この検知装置では、所定算出期間内のエンジンオイル中へのスーツ混入量を、主にエンジン回転速度n及び燃料噴射量L(EGRガスを導入するディーゼルエンジンにおいては更にEGR率e)に基づき算出するようにしている。そして、その算出されたスーツ混入量が所定限界値を超えることで、オイル交換時期を検知するようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように上式(a)に従い、エンジン回転速度n、燃料噴射量L及びEGR率eに基づき上記スーツ混入量を算出すれば、適切なオイル交換時期を検知することは確かにできる。
【0009】
しかしながら、より厳密に云えば、上記スーツ混入量には、それらエンジン回転速度n、燃料噴射量L及びEGR率e以外にも、例えば後述する空燃比や燃料噴射時期等の因子も深く拘わっており、それら3つのパラメータだけでは、上記スーツ混入量を直接的に求めることはできない。そのため、上式(a)から上記スーツ混入量を正確に求めようとすれば、エンジン回転速度n及び燃料噴射量Lとスーツ混入量との対応関係(関数F1{n,L})を、予めエンジンの全運転領域に亘って細かに把握しておかなければならない。しかも、それらの対応関係はエンジン機種によって異なっているため、適用される機種の各々について実験やシミュレーションなどによって同対応関係を予め確認しておく必要がある。
【0010】
特に近年にあっては、ディーゼルエンジンにあっても細密な吸入空気量制御を行うなど、エミッション改善や燃費向上などの要求によってエンジン制御が複雑化しており、それらの対応関係を予め把握しておくことが、益々困難となっている。しかも、こうしたエンジン制御の複雑化に伴い、スーツ混入量に影響する因子全てがエンジン回転速度n及び燃料噴射量Lから一義的に定められないことも多くなっており、それらエンジン回転速度n、燃料噴射量L及びEGR率eのみに基づくだけでは、必ずしも精度良くエンジンオイルの交換時期を求められなくなっている。
【0011】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、適正なエンジンオイルの交換時期を比較的容易に検知することのできるディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(請求項1)
まず請求項1に記載の発明は、ディーゼルエンジンのエンジンオイル中のスーツ量の算出結果に基づいてそのエンジンオイルの交換時期を検知するディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を前記ピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に基づき算出し、同算出されたスーツ量に基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしたものである。
【0018】
ディーゼルエンジンでは、燃料噴射時期がエンジンオイル中へのスーツの混入度合いに影響することがある。特に、シリンダ内に燃料を直接噴射する直接噴射式ディーゼルエンジンにおいては、以下に述べるように、燃料噴射時期がエンジンオイル中へのスーツ混入度合いに大きく影響することがある。
【0019】
直接噴射式ディーゼルエンジンでは一般に、図1に示すように、シリンダ1の燃焼室6上方に配設されたインジェクタ5から、ピストン2の頂面3に形成された凹状のキャビティ4内に向けて燃料が噴射される。このとき、同図(a)に示すように、ピストン2がシリンダ1の最上部付近(上死点付近)に位置するときに噴射された燃料は、ほとんどがキャビティ4の内部に収まるようになる。
【0020】
ところが、同図(b)に示すように、ピストン2が下方に位置するときに噴射された燃料は、キャビティ4の内部に収まりきらず、その一部がピストン2の頂面3にて飛散し、燃焼しながらシリンダ1の周壁に跳ね掛かるようになる。そしてこの結果、燃料の燃焼により生じたスーツがシリンダ1周壁のエンジンオイル中に直接混入されるため、エンジンオイル中のスーツ混入量が大幅に増加するようになる。
【0021】
こうしてキャビティ4から溢れ、シリンダ1の周壁に跳ね掛かる燃料の量は、燃料噴霧とピストン2との相対位置関係によって決まり、それは燃料噴射量(時間)と燃料噴射時期とから求めることができる。したがって、こうしたシリンダ1の周壁への燃料の跳ね掛かりによって増加する分のスーツ混入量は、ピストンが所定位置に位置したとき以降に噴射された燃料の量によって求めることができる。
【0022】
そこで、この請求項1に記載の構成では、ピストン頂面での噴射燃料の飛散によってエンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量をピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に基づき算出し、同算出されたスーツ量に基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしている。
【0023】
こうしてピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量をも加味してスーツ量を求めることで、上記の如くシリンダ周壁への噴射燃料の跳ね掛かりによって増大する分のスーツ混入量をも正確に演算することができるようになる。したがって、エンジンオイル中のスーツ量をより正確に把握し、ひいては適正なオイル交換時期を精度良く検知することができるようになる。
【0024】
なお、直接噴射方式以外のディーゼルエンジンにおいても、ピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量が噴射燃料の燃焼態様などに影響を与え、エンジンオイル中へのスーツの混入度合いに影響することがある。このため、直接噴射方式以外のディーゼルエンジンに対して、エンジン回転速度、燃料噴射量及び燃料噴射時期とに基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出する上記構成のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置を適用した場合にも、やはりオイル交換時期の検知精度を向上することができるようになる。
【0025】
また上記構成では、エンジン回転速度及び燃料噴射量等とスーツ混入量との対応関係をエンジンの全運転領域に亘り予め把握しておかなくとも、上記スーツ量を正確に求めることができるため、検知装置の適用も比較的容易である。したがって、この請求項1に記載の発明によれば、適正なエンジンオイルの交換時期を比較的容易に検知することができるようになる。
【0026】
なお、導入されるEGRガスの量(EGR率)などもスーツ混入度合いに影響するため、更にそれらも加味してスーツ量を算出することが好ましい。ただし、それらの影響が十分に小さくて無視し得る範囲にあれば、上記構成のように上記スーツ量の算出にピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量のみを用いることで、十分に適正なエンジンオイルの交換時期を容易に検知することができる。
【0027】
(請求項2)
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を、前記ピストンが前記所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に対して、同燃料のスーツ変換率を示す係数である所定の定数を乗算した値から算出するようにしたものである。
(請求項3)
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を、前記ピストンが前記所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に対して、同燃料のスーツ変換率を示す係数であって前記ディーゼルエンジンの燃料噴射終了時期が遅角側となるほど大きな値が設定される係数を乗算した値から算出するようにしたものである。
【0030】
(請求項4)
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、燃焼ガス中から前記エンジンオイル中に溶け込むスーツ量を燃料噴射量と空燃比とに基づき算出し、同算出されたスーツ量と、前記算出された前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量との両スーツ量から前記エンジンオイル中に含まれるスーツ量を算出するようにしたものである。
【0031】
エンジンオイル中には、大きくは、燃焼ガス中に生成されたスーツの溶け込み、及びピストン頂面での噴射燃料の飛散による直接的な混入との2つの態様でスーツが混入する。前者態様で混入するスーツ量は、燃焼ガス中に生成されるスーツ量に依存し、燃料噴射量と空燃比との影響を受ける。また後者態様で混入されるスーツ量は、噴射燃料の飛散の量に依存し、それはピストンが所定位置に位置したとき以降に噴射された燃料の量によって求めることができる。したがって、上記構成では、それら両態様で混入するスーツ量をそれぞれ正確に求められるので、エンジンオイル中のスーツ量を正確に把握し、エンジンオイルの交換時期を精度良く検知することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかるディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置を具体化した一実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
【0033】
本実施形態のオイル交換時期検知装置の適用されるディーゼルエンジンは、燃料をシリンダ内に直接噴射する直接噴射式の車載用ディーゼルエンジンであり、その燃料噴射装置としてコモンレール(蓄圧式)システムを採用している。
【0034】
図2は、本実施形態についてそのオイル交換時期検知装置及びその適用対象となるディーゼルエンジンの概略構成と、同エンジンの潤滑系の油圧回路構成等を併せ示している。まず、ディーゼルエンジンの構成について、同図2を参照して説明する。
【0035】
同図2に示すように、ディーゼルエンジン10は大きくは、吸気通路11、排気通路12及び燃焼室16等を備えて構成されている。ディーゼルエンジン10の各シリンダ13にはピストン14が上下動可能に配設されている。そのピストン14の頂面14aの中央には、燃焼室16を構成する「くぼみ」(キャビティ)15が形成されている。そして、その燃焼室16の上方には、燃料を噴射するインジェクタ17が設けられている。
【0036】
上記コモンレールシステムは、このインジェクタ17に加え、各シリンダ13共通の燃料蓄圧室であるコモンレール18等を備えて構成されている。ディーゼルエンジン10の運転にあたっては、まず燃料タンク18a内に備蓄された燃料が燃料ポンプ18bによって汲み出され、高圧に加圧されてコモンレール18に蓄圧される。こうして蓄圧された燃料の圧力は、同コモンレール18に連結された各シリンダ13のインジェクタ17に印加されている。そのインジェクタ17の先端部には、その背後圧が所定高圧となることで開弁し、燃料を噴射させるノズル(図示略)が設けられている。そして、そのインジェクタ17の内部に設けられた電磁ソレノイド(図示略)によって、上記ノズルの背後圧を制御することで、燃料噴射の開始と終了とを決めるようにしている。したがって、こうしたコモンレールシステムでは、ディーゼルエンジン10の回転速度に依存しない高精度の燃料噴射制御を行うことができる。
【0037】
一方、吸気通路11において、その上流には、ステップモータ23によって開閉駆動されて、同吸気通路11の流路面積を可変とする吸気絞り弁22が設けられている。更にその上流には、吸気通路11を流過する吸入空気量を検出するためのエアフローメータ21、及び吸入空気を浄化するエアクリーナ20がそれぞれ設けられている。
【0038】
さて、このディーゼルエンジン10には、クランクシャフトやカムシャフトなどの軸受け(図示略)や上記シリンダ13とピストン14との摺接面などの潤滑を必要とする潤滑部32が存在する。同図2に併せ示すように、それら潤滑部32に供給される潤滑用のエンジンオイルは、ディーゼルエンジン10にあってそのシリンダ13の下方に設けられたオイルパン30内に貯留されている。そして、そのオイルパン30内のエンジンオイルがオイルポンプ31によって汲み出され、各潤滑部32へと送り出される。こうして各潤滑部32へと送られたエンジンオイルは、再びオイルパン30へと還流され、循環される。
【0039】
こうしてディーゼルエンジン10内を循環されるエンジンオイルは、循環を重ねる毎に、燃料の燃焼に伴い生成されるスーツが次第に混入されて劣化し、交換の必要が生じる。そのため、このディーゼルエンジン10には、エンジンオイルの劣化度合いを判定し、オイル交換時期を検知するためのオイル交換時期検知装置が採用されている。また、同エンジン10が搭載された車両の運転席の計器板(図示略)には、そのオイル交換時期検知装置の検知結果に基づき、オイルの交換時期に至ったことを運転者等に通知するためのオイル交換指示用のインジケータ27が設けられている。
【0040】
一方、こうしたディーゼルエンジン10及びそのオイル交換時期検知装置において、上記エアフローメータ21をはじめとする各種センサの出力は、同エンジン10の制御系及びその診断系としての役割を司る電子制御装置(「ECU」)26に対し入力される。このECU26は、上記吸気絞り弁22を開閉駆動するステップモータ23、及び燃料噴射を行うインジェクタ17等を駆動制御するとともに、オイル交換時期の検知にかかる処理を実行し、上記インジケータ27を点灯/消灯させる。
【0041】
このECU26には、上記エアフローメータ21の他、ディーゼルエンジン10の出力軸であるクランクシャフト24aの回転位相を、そして更にはその回転速度を検知するNEセンサ24、アクセルペダル25aの踏み込み量を検知するアクセルセンサ25、コモンレール18内に蓄圧された燃料の圧力を検知する燃圧センサ19等のディーゼルエンジン10の運転状態を検知する種々のセンサの出力が入力される。そしてECU26は、これらセンサの出力結果に基づきディーゼルエンジン10の運転状態を把握し、上記インジェクタ17やステップモータ23をはじめとする種々のアクチュエータを駆動制御して、同エンジン10の各種制御を実行する。
【0042】
こうしたエンジン制御の一環としてECU26は、インジェクタ17の駆動制御に基づく燃料噴射量及び燃料噴射時期の制御を実行している。次に、こうした燃料噴射量及び燃料噴射時期制御について説明する。
【0043】
まず、ECU26は、NEセンサ24及びアクセルセンサ25等の各種センサの出力結果に基づき、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じた燃料噴射量及び燃料噴射時期(燃料噴射の開始時期)を算出する。また、こうして算出された燃料噴射量に応じた燃料を噴射可能な燃料噴射時間、すなわちインジェクタ17の上記ノズルの開弁時間を、上記NEセンサ24及び燃圧センサ19によって検知されるそのときのエンジン回転速度及びコモンレール18内の燃料圧力に基づき算出する。
【0044】
そしてECU26は、これらの算出結果からインジェクタ17からの燃料噴射を開始する時期(上記クランクシャフトの回転位相)と噴射を終了する時期とを算出するとともに、それら時期に応じてインジェクタ17を駆動制御する。こうして、ディーゼルエンジン10の運転状態に応じて、インジェクタ17から適度な量の燃料が適切な時期に噴射されるようになる。
【0045】
なお、このディーゼルエンジン10では、上記コモンレールシステムを採用して細密な燃料噴射制御を行うと共に、吸入空気量制御も併せて行うことで、エミッションの改善や燃費の向上を図るようにしている。そのために、上記の如く吸気通路11に細かな開度調整が可能なステップモータ(23)駆動式の吸気絞り弁22を設けると共に、エアフローメータ21によって吸入空気量を検知するようにしている。そして、ECU26は、エンジン運転状態に応じてステップモータ22を駆動制御して、細かな吸入空気量制御を行うようにしている。
【0046】
そしてその一方で、ECU26は、上記インジェクタ17の駆動制御のために算出する燃料噴射量と、エアフローメータ21によって検知される吸入空気量とに基づき、燃焼室16内での空燃比を算出するようにしている。
【0047】
また本実施形態では、上述したようにECU26はこうした燃料噴射制御などのエンジン制御にかかる処理に加え、エンジンオイルの交換時期の検知にかかる処理を実行している。続いて、こうしたオイル交換時期の検知にかかる処理について、図3〜図6を参照して説明する。
【0048】
このオイル交換時期検知装置では、エンジン回転数、燃料噴射量、空燃比、及び燃料噴射時期などのディーゼルエンジンの運転状態に基づき、所定算出期間(例えば1秒)にエンジンオイル中に混入するスーツの量(スーツ混入量)を随時演算し、その演算結果を積算することで、エンジンオイル中のスーツ量を求めている。そして、こうして求められたスーツ量が所定限界値を超えることで、エンジンオイルの交換時期を検知するようにしている。
【0049】
まず以下では、本実施形態での所定算出期間におけるスーツ混入量の算出方法の詳細について説明する。
エンジンオイル中へのスーツの混入態様は、次の2つの態様に大別される。1つは、燃料の燃焼により生成されたスーツの一部がシリンダ13周壁などのエンジンオイル中に溶け込む態様での混入であり、もう1つは、噴射時にキャビティ15内から溢れ、燃焼しながらシリンダ13周壁のエンジンオイル中に吹き付けられる態様での混入である。
【0050】
前者の態様でのスーツ混入量は、燃焼時に生成されるスーツの量に比例する。このスーツ生成量は、燃焼される燃料の量、すなわち燃料噴射量と、燃焼時の燃料のスーツ転換率によって決定される。この場合、噴射された燃料に対して燃焼室16内の空気の割合が少ない程、すなわち空燃比がリッチである程、燃料の不完全燃焼が生じてスーツ生成量が増大する。
【0051】
したがって、前者の混入態様でのスーツ混入量は、燃料噴射量及び空燃比に基づき把握することができる。本実施形態では、所定算出期間(1秒)におけるエンジンオイル中への上記前者の態様でのスーツ混入量S1を、次式(b)によって算出している。
【0052】
S1=Gfin・f{ABYF}・NE・CY/2 …式(b)
ここで、「Gfin」は燃料噴射量を、「NE」はエンジン回転速度[毎秒]を、「CY」はディーゼルエンジン10のシリンダ数をそれぞれ示している。また、「f{ABYF}」は、空燃比ABYFの関数であり、その値は空燃比ABYFによる燃焼時の燃料のスーツ転換率に比例する。そしてその関数f{ABYF}値は、空燃比ABYFがリッチな程増大する。
【0053】
図3は、こうした混入態様でのスーツ混入量S1と空燃比ABYFとの関係を示している。同図3に示すように、この混入態様でのスーツ混入量S1は、空燃比ABYFがリッチ(値が小)となる程増大するようになる。ちなみに、こうした態様のみによってスーツが混入されるときには、生成されたスーツの大部分が排気と共に排出されるため、スーツ混入量は比較的少ない。
【0054】
一方、後者の態様、すなわちキャビティ15からの噴射燃料の溢れによるスーツ混入量は、燃料噴射期間中のピストン14の位置に応じて変化する。
例えば、先の図1(a)に示すように、ピストン14が上方に位置する期間に燃料噴射が行われれば、噴射燃料の大部分がピストン14のキャビティ15内に留まるため、そうしたシリンダ13周壁に直接的に吹き付けられる態様でのスーツ混入はほとんど生じない。
【0055】
ただし、燃料噴射時期(噴射開始時期)の遅角、或いは燃料噴射量(噴射時間)の増大によって、図1(b)に示すように、ピストン14がある程度下方に移動した後も燃料噴射が行われていれば、噴射された燃料はキャビティ15内に収まりきらなくなる。そして、インジェクタ17から噴射された燃料の一部は、ピストン14の頂面14aにて飛散し、或いは直接吹き付けられて、燃焼しながらシリンダ13周壁のエンジンオイル中に直接的に混入するようになる。
【0056】
こうした態様で混入するスーツの量は、図1(b)に示すように、噴射された燃料がキャビティ15から溢れるようになってから、噴射終了に至るまでの燃料噴射量によって把握することができる。
【0057】
本実施形態では、所定算出期間(1秒)におけるエンジンオイル中への上記後者の態様でのスーツ混入量S2を、次式(c)によって算出している。
S2=β・Gfin・(Te−α)/(Te−Ts)・NE・CY/2
[ただし、S2>0] …式(c)
ここで、「Te」は噴射終了時期[°CA]を、「Ts」は噴射開始時期[°CA]をそれぞれ示している。また、「α」は、インジェクタ17から噴射された燃料がキャビティ15内から溢れるようになる時期[°CA]を示している。更に、「β」は、キャビティ15から溢れ出した燃料量に対しての、上記後者の態様にてエンジンオイル中に混入するスーツ量の割合を示す所定の定数である。
【0058】
ちなみに、本実施形態の適用されるディーゼルエンジン10では、噴射終了時期Teが該当気筒の上死点から「20°CA」以降となると、噴射燃料のキャビティ15から溢れるようになるため、上記定数「α」は「20°CA」に設定されている。
【0059】
図4は、こうした混入態様でのスーツ混入量S2と噴射終了時期Teとの関係を示している。同図4に示すように、この混入態様でのスーツ混入量S2は、噴射終了時期Teが遅角となって、「α°CA」以降に噴射される燃料の量が増大する程、増大するようになる。
【0060】
図5は、本実施形態において採用する「スーツ量算出ルーチン」を示すフローチャートである。この算出ルーチンは、ECU26(図1)によって所定算出期間(1秒)毎に周期的に実行される。
【0061】
さて、処理が本ルーチンに移行すると、ECU26はまず、ステップ110において、上式(b)に従い、所定算出期間における上記前者の混入態様でのスーツ混入量S1を、エンジン回転速度NE、燃料噴射量Gfin、及び空燃比ABYFに基づき演算する。
【0062】
また、続くステップ120においては、上式(c)に従い、所定算出期間における上記後者の混入態様でのスーツ混入量S2を、エンジン回転速度NE、燃料噴射量Gfin、及び燃料噴射時期(噴射開始時期Ts及び噴射終了時期Te)に基づき演算する。
【0063】
そして、続くステップ130においては、それら演算されたスーツ混入量S1及びS2をスーツ量STに加算する。こうして本ルーチンでは、所定算出期間毎に上記各混入態様でのスーツ混入量S1、S2を随時演算すると共に、それらの演算結果を積算することで、エンジンオイル中のスーツ量STを算出するようにしている。なお、このスーツ量STは、エンジンオイルを交換した際にリセット用スイッチを操作することで、その値が「0」にクリアされる。
【0064】
更に本実施形態では、こうして算出されたスーツ量に基づいてエンジンオイルの劣化度合いを判定し、オイル交換時期を検知するようにしている。
図6は、本実施形態において採用する「オイル交換時期検知ルーチン」を示すフローチャートである。なお、この検知ルーチンは、上記の「スーツ量算出ルーチン」の処理に引き続き、ECU26(図1)によって所定時間(1秒)毎に周期的に実行される。
【0065】
さて、処理が本ルーチンに移行すると、ECU26はまずステップ200において、上記「スーツ量算出ルーチン」にかかる処理よって算出されたエンジンオイル中のスーツ量STが、オイル交換を要する所定限界値γ2よりも少し小さな所定値γ1未満であるか否かを判断する。そして、スーツ量STがこの所定値γ1未満であれば(ステップ200:YES)、一旦本ルーチンを抜ける。一方、エンジンオイル中のスーツ量STがこの所定値γ1以上であれば(ステップ200:NO)、処理をステップ210に移行し、エンジンオイル中のスーツ量STが上記所定限界値γ2未満であるか否かを判断する。
【0066】
ここでスーツ量が所定限界値γ2を超えていれば(ステップ210:YES)、ステップ220において上記インジケータ27を点灯させ、オイル交換時期に達していることを運転者等に通知する。一方、スーツ量STが所定限界値γ2未満(γ1<=ST<γ2)であれば(ステップ210:YES)、ステップ230においてインジケータ27を点滅させて、オイル交換時期が迫っていることを通知する。
【0067】
以上のように、本実施形態では、エンジンオイル中に含まれるスーツ量STの算出結果に基づきエンジンオイルの交換時期を検知し、インジケータ27の点灯或いは点滅によって、その旨を運転者等に通知するようにしている。
【0068】
以上説明した本実施の形態のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置によれば、以下に記載する効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、エンジン回転速度と燃料噴射量と空燃比とに基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出すると共に、その算出結果に基づきエンジンオイルの交換時期を検知するようにしている。そのため、空燃比が噴射燃料の燃焼態様に及ぼす影響を加味して、エンジンオイル中のスーツ量を求めることができ、ひいては同オイルの交換時期をより適切に検知することができるようになる。
【0069】
(2)上記実施形態では、エンジン回転数と燃料噴射量と燃料噴射時期とに基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出すると共に、その算出結果に基づいてエンジンオイルの交換時期を検知するようにしている。そのため、燃料噴射時期が与える影響も加味してエンジンオイル中のスーツ量を求めることができ、ひいてはオイル交換時期を精度良く検知することができるようになる。
【0070】
(3)上記実施形態では、燃料噴射期間中のピストンの位置によってエンジンオイル中へのスーツの混入度合いが大きく変化する直接噴射方式のディーゼルエンジンにおいて、エンジン回転数と燃料噴射量と燃料噴射時期とに基づいてエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしている。したがって、こうした直接噴射方式のディーゼルエンジンにあっても、上記のようなスーツ混入度合いに変化を加味した適切なオイル交換時期の検知を行うことができるようになる。
【0071】
(4)上記実施形態では、ディーゼルエンジン10の全運転領域でのエンジン運転状態とスーツの混入度合いとの対応関係を予め求めておかなくても、エンジンオイル中のスーツ量を正確に求めることができる。したがって、適正なエンジンオイルの交換時期を比較的容易に検知することができるようになる。
【0072】
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態では、上記式(b)及び式(c)を用いて所定算出期間におけるエンジンオイル中へのスーツ混入量を演算すると共に、その演算結果を積算してスーツ量を求めるようにしていたが、スーツ量の算出態様は任意であり、要は空燃比及び燃料噴射時期のいずれか一方或いは両方と、エンジン回転数と燃料噴射量とに基づいて算出するようにすれば、空燃比や燃料噴射時期がスーツの混入度合いに与える影響を加味した適正なオイル交換時期を検知することができる。
【0073】
更に、例えばEGR率など、上記エンジン回転速度、燃料噴射量、空燃比、燃料噴射時期以外のパラメータが上記スーツの混入度合いに無視し得ない影響を与える場合には、更にそのパラメータを加味して上記スーツ量を算出することで、より正確なオイル中のスーツ量を予測することができる。
【0074】
続いて、そうしたスーツ量の算出態様の変形例を説明する。
上記実施形態では、燃焼により生成されたスーツの一部がシリンダ13周壁などのエンジンオイル中に溶け込む態様で混入するスーツ量S1を、上式(b)に基づいて算出している。この式(b)では、所定時間当たりの燃料噴射の総量に対して、空燃比に応じて算出された燃料のスーツ転換率を乗算することで、スーツ量S1が算出されている。また、所定時間当たりの燃料噴射の総量をエンジン回転速度、燃料噴射量から求めている。
【0075】
上述したように、上記混入態様でのスーツ量S1を決定する要素は、基本的には空燃比の影響が支配的であるが、場合によっては他の因子の影響も無視し得ないことがある。
【0076】
例えば、燃料の噴射終了時期は、上記スーツ転換率に少なからず影響することが、発明者らによって確かめられている。そこでここでは、上式(b)におけるf{ABYF}を、空燃比に加えて噴射終了時期を含む関数とすることで、そうした噴射終了時期の影響についても併せ反映するようにしている。すなわちここでは、図7に例示する空燃比と噴射終了時期との算出マップを用いて上式(b)のf{ABYF}の値を求めている。同図に示すように、f{ABYF}には、噴射終了時期が遅角側となる程、或いは空燃比がリッチとなる程、大きな値が設定される。これら空燃比、噴射終了時期、f{ABYF}の相関関係は、実験や物理モデルを用いたシミュレーション等によって求めることができる。
【0077】
また更に、EGR率等のその他の因子が無視し得ない影響を燃料のスーツ転換率に及ぼす場合には、上記f{ABYF}をそれら因子を含む関数とすることで、そうした因子の影響をスーツ量S1に反映することができる。
【0078】
一方、上記実施形態では、噴射時にキャビティ15内から溢れ、燃焼しながらシリンダ13周壁のエンジンオイル中に吹き付けられる態様での混入するスーツ量S2を、上式(c)に基づいて算出している。ここでは、上記キャビティ内からの溢れが生じる時期α以降に噴射された燃料の量に対して、そうした燃料のスーツ変換率を示す所定の定数βを乗算した値からスーツ量S2を求めている。すなわち、上記実施形態では、上記時期α以降に噴射された燃料の量に比例すること前提として、そうした混入態様でのスーツ量S2を求めている。
【0079】
これにより、ある程度は正確にスーツ量S2を予測することはできるものの、厳密には種々の因子がスーツ量S2についても複雑な影響を及ぼし、上記のような単純な比例関係に基づくだけでは予測精度の向上に限界がある。
【0080】
例えば、上記所定時期α以降においても、噴射時点のピストン14の位置に応じてピストン頂面14aにて反射されシリンダ13の周壁に付着する燃料の割合が変化する。また噴射時点の燃焼室16内の燃焼状態によって、シリンダ13の周壁に付着した燃料のスーツ変換率も変化することとなる。
【0081】
そこで、ここでは、上式(c)における係数βを定数とせず、噴射終了時期の関数として係数βを求めることで、そうした影響をスーツ量S2に反映するようにしている。すなわちここでは、図8に例示するような噴射終了時期の算出マップを用いて係数βを求めている。ここでの噴射終了時期と係数βの相関関係についても、実験や物理モデルを用いたシミュレーション等によって求めることができる。そしてこれにより、スーツ量S2をより正確に求められるようになる。
【0082】
なお、更にその他の因子が無視し得ない影響を及ぼす場合には、係数βをそれら因子を含む関数とすることで、そうした因子の影響をスーツ量S2に反映することができる。
【0083】
以上説明した本発明は、更に以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、エンジン回転速度、燃料噴射量に加え、空燃比及び燃料噴射時期に基づきエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしているが、燃料噴射時期がスーツの混入度合いに与える影響が十分に小さく、無視し得る範囲にあれば、エンジン回転数、燃料噴射量及び空燃比のみに基づいて上記スーツ量を算出するようにしても、エンジンオイルの交換時期を適切に検知することができる。
【0084】
・また、空燃比がエンジンオイル中のスーツ量に与える影響が十分に小さく、無視し得る範囲にあれば、エンジン回転数、燃料噴射量及び燃料噴射時期のみに基づき上記スーツ量を算出するようにしても、エンジンオイルの交換時期を適切に検知することができる。
【0085】
・上記実施形態では、燃料噴射装置としてコモンレールシステムを備えるディーゼルエンジン10に本発明にかかるオイル交換時期検知装置を適用した場合について説明したが、コモンレールシステム以外の燃料噴射装置を備えるディーゼルエンジンにおいても、上記実施形態と同様の検知装置を適用することができる。そしてその場合にも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
・上記実施形態では、直接噴射方式のディーゼルエンジンに対して本発明にかかるオイル交換時期検知装置を適用した場合について説明したが、それ以外のディーゼルエンジンに対しても、上記実施形態に準じた検知装置を適用することで、上記実施形態と同様或いはそれに準じた効果を得ることはできる。
【0087】
続いて、上記実施形態から把握することのできる請求項の記載以外の技術的思想について、以下に列記する。
(イ)請求項1に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記エンジンオイル中のスーツ量の算出に際して、前記エンジン回転速度と燃料噴射量と空燃比とに基づいて所定算出期間におけるエンジンオイル中のスーツ混入量を逐次演算すると共に、その演算結果を積算することで該エンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしたことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。
【0088】
上記構成では、所定算出期間毎にエンジン回転速度と燃料噴射量と空燃比とに基づきスーツ混入量を逐次演算し、その演算結果を積算してエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしている。そのため、エンジン運転状態に応じたスーツの混入度合いの変化をより的確に反映することができるようになる。
【0089】
(ロ)請求項2に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記エンジンオイル中のスーツ量の算出に際して、前記エンジン回転速度と燃料噴射量と燃料噴射時期とに基づいて所定算出期間におけるエンジンオイル中のスーツ混入量を逐次演算すると共に、その演算結果を積算することで該エンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしたことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。
【0090】
上記構成では、所定算出期間毎にエンジン回転速度と燃料噴射量と燃料噴射時期とに基づきスーツ混入量を逐次演算し、その演算結果を積算してエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしている。そのため、エンジン運転状態に応じたスーツの混入度合いの変化をより的確に反映することができるようになる。
【0091】
(ハ)請求項3に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記エンジンオイル中のスーツ量の算出に際して、前記エンジン回転数と燃料噴射量と燃料噴射時期と空燃比とに基づいて所定算出期間におけるエンジンオイル中へのスーツ混入量を逐次演算すると共に、その演算結果を積算することで該エンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしたことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。
【0092】
上記構成では、所定算出期間毎にエンジン回転速度と燃料噴射量と空燃比と燃料噴射時期とに基づきスーツ混入量を逐次演算し、その演算結果を積算してエンジンオイル中のスーツ量を算出するようにしている。そのため、エンジン運転状態に応じたスーツの混入度合いの変化をより的確に反映することができるようになる。
【0093】
(ニ)請求項2または3、或いは上記(ロ)または(ハ)に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、前記ディーゼルエンジンはシリンダ内に燃料を直接噴射する直接噴射方式のディーゼルエンジンであることを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。
【0094】
上述したように、直接噴射方式のディーゼルエンジンでは、燃料噴射期間におけるピストンの位置が、エンジンオイル中へのスーツの混入度合いに多大な影響を与えることがある。こうした直接噴射方式のディーゼルエンジンにおいて、エンジンオイル中のスーツ量の算出にあたり、燃料噴射量及び燃料噴射時期を用いることで、上記影響を加味した適正なオイル交換時期の検知を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直接噴射方式のディーゼルエンジンにおける燃料の噴射態様を示す断面図。
【図2】本発明にかかるディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置を具体化した一実施形態についてその全体構造を模式的に示す略図。
【図3】同実施形態における空燃比とスーツ混入量との関係を示す略図。
【図4】同実施形態における噴射終了時期とスーツ混入量との関係を示す略図。
【図5】同実施形態によるエンジンオイル中のスーツ量の算出手順を示すフローチャート。
【図6】同実施形態によるオイル交換時期の検知にかかる処理手順を示すフローチャート。
【図7】その他の実施形態の算出マップの例を示す略図。
【図8】その他の実施形態の算出マップの例を示す略図。
【符号の説明】
10…ディーゼルエンジン、14…ピストン、15…キャビティ、16…燃焼室、17…インジェクタ、21…エアフローメータ、22…吸気絞り弁、23…ステップモータ、24…NEセンサ、26…電子制御装置(ECU)、27…インジケータ。
Claims (4)
- ディーゼルエンジンのエンジンオイル中に含まれるスーツ量の算出結果に基づいてそのエンジンオイルの交換時期を検知するディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、
ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を前記ピストンが所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に基づき算出し、同算出されたスーツ量に基づいて前記エンジンオイル中のスーツ量を算出するようにした
ことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。 - 請求項1に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、
前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を、前記ピストンが前記所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に対して、同燃料のスーツ変換率を示す係数である所定の定数を乗算した値から算出するようにした
ことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。 - 請求項1に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、
前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量を、前記ピストンが前記所定位置に位置するとき以降に噴射された燃料の量に対して、同燃料のスーツ変換率を示す係数であって前記ディーゼルエンジンの燃料噴射終了時期が遅角側となるほど大きな値が設定される係数を乗算した値から算出するようにした
ことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置において、
燃焼ガス中から前記エンジンオイル中に溶け込むスーツ量を燃料噴射量と空燃比とに基づき算出し、同算出されたスーツ量と、前記算出された前記ピストン頂面での噴射燃料の飛散によって前記エンジンオイル中に直接的に混入するスーツ量との両スーツ量から前記エンジンオイル中に含まれるスーツ量を算出するようにした
ことを特徴とするディーゼルエンジンのオイル交換時期検知装置。
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