JP4122870B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の燃料供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、蓄圧式(コモンレール式)燃料噴射装置は、蓄圧室から供給される高圧燃料を燃料噴射弁の内部に設けた制御室に導入して、燃料制御弁のニードル弁を下降させ、このニードル弁を常閉状態に保ち、さらに、制御室内の燃料を燃料排出路にリークさせ、制御室内を減圧することで、ニードル弁を上昇させ、このニードル弁を開いて燃料噴射孔より燃料噴射をする構成である。
【0003】
このような燃料噴射装置において、メイン噴射と言われる相対的に長い時間にわたり多量の燃料噴射が行われる燃料噴射の他にも、そのメイン噴射の前後に少量の燃料を噴射するサブ噴射が行われている。例えば、機関の運転騒音の低減及び排気中のNOx の低減を目的として、燃料噴射サイクル毎に、最初短時間内に少量のパイロット噴射を行い、休止時間を置いた後、相対的に長い時間にわたり多量のメイン噴射を行う噴射パターンが知られている。
【0004】
これによれば、最初のパイロット噴射による少量の燃料は直ちには燃焼せず、続くメイン噴射の初期に噴射される燃料と共に緩やかな燃焼が生起され、その結果、燃焼圧力、燃焼温度の低い燃焼が生起され、機関の振動、騒音が低くなり、かつ、排気中のNOx 量が少なくなる。
【0005】
また、メイン噴射の後に、ポスト噴射と呼ばれる燃料噴射を行うことも知られている。ポスト噴射は、メイン噴射の後に、休止時間を置いた後、少量の燃料を噴射することで、アフター燃料噴射ともいう。ポスト噴射は内燃機関の性能改善のため、種々の場面で利用されている。
【0006】
また、これらのサブ噴射を一度の噴射で行うのではなく、複数回に分割して噴射するマルチ噴射も知られている。複数回に分割することで、サブ噴射一回当たりの噴射量を低減することが可能となり、以ってサブ噴射燃料のシリンダ内壁への付着を防止できる。
【0007】
更に、燃焼サイクルにおいてメイン噴射より早い時期であって、排気上死点においてサブ噴射を行う排気上死点サブ噴射技術が考案されている。これによって、予混合量が増え排気浄化を図ることができる。また排気上死点近傍では、シリンダ内壁がピストンによって塞がれているため、噴射されたサブ噴射燃料が直接にシリンダ内壁に付着しにくい構造となっており、燃料によってシリンダ内壁面の潤滑オイルを希釈してしまうという問題が起こりにくい。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上述のサブ噴射技術においては、内燃機関において使用される燃料は一定の燃料、特にディーゼルエンジンにおいてはその燃料は軽油という前提の上で、各技術が利用されている。ところが、使用される燃料が異なると当然にその蒸留性状も異なるため、シリンダ内が同一の燃焼条件であっても、燃料の揮発特性の相違により異なった混合気が形成されることとなる。即ち、上述のサブ噴射を行う場合において、燃焼室内の温度や圧力等が同一であっても、サブ噴射される燃料が異なれば、サブ噴射燃料の霧化状態が異なり、予混合の程度も相違することとなる。結果として、前提となっている軽油と蒸留性状が大きく異なる場合の燃料を用いたディーゼルエンジンでは、サブ噴射による当初の効果を得ることができない虞がある。
【0009】
また、サブ噴射を行うにあたっては、そのサブ噴射燃料がシリンダ内壁に付着して筒壁面上の潤滑オイルを希釈してしまうことを防止するために、シリンダ内温度や圧力に基づいてサブ噴射燃料の付着の可能性を推定し、付着すると推定される場合はサブ噴射回数を複数回に分割することで、一回のサブ噴射あたりの噴射量を低減することが行われている。ここで一回のサブ噴射あたりの噴射量を低減させることによって、シリンダ内壁への噴射燃料の付着を回避することが可能とはなるが、その反作用として噴射回数が増え、燃料噴射弁の駆動回路(以下、EDUという)の負荷も増大する。特にEDUの構成として、キャパシタモジュールが使用されている場合は、噴射回数が増大するとそのキャパシタモジュールの充電(チャージ)が間に合わなくなり、EDUの制御装置であるECUからのサブ噴射指令に追従できなくなる虞がある。
【0010】
また、先述した燃料のシリンダ内壁への付着を推定するに当たり、内燃機関燃料の揮発特性、即ち蒸留性状が非常に重要な要素となる。即ち、揮発性のよい燃料の場合は、サブ噴射直後から霧化されやすいため、シリンダ内壁への付着の可能性は低くなるが、逆に揮発性が悪い燃料の場合は、サブ噴射されても霧化されにくいためシリンダ内壁に付着する可能性が高くなる。そのため、揮発性が悪い燃料においては噴射量を減らす必要がある。ここで、この燃料付着の可能性の判断を、一定の燃料のみを基準にして行っている場合は、燃料の蒸留性状の相違によるシリンダ内壁への付着可能性のばらつきを吸収するために、サブ噴射回数を幾分多めに設定し一回当たりの噴射量をある程度低減させておく必要がある。結果として、噴射回数を分割する必要が無い揮発性のよい燃料であっても、一律に噴射回数が分割されることとなり、それに応じてEDUの負担が増大する。
【0011】
また、排気上死点サブ噴射においては、排気上死点近傍において混合気が排出されるため、シリンダ内の温度が最も低くなる。そのため、揮発性の悪い燃料が噴射された場合は、その燃料の霧化が十分に行われず予混合が効率的に進まない虞がある。そのため、噴射回数を分割して一回当たりの噴射量を低減させる必要性が特に高くなる。ここで、この燃料付着の可能性の判断を、一定の燃料のみを基準にして行っている場合は、燃料の蒸留性状の相違によるばらつきを吸収するために分割回数を増やし、結果として、燃料の揮発性にかかわらず、一律に噴射頻度を増大させることとなり、EDUの負担が大きくなる虞がある。
【0012】
そこで本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたものであり、パイロット噴射やポスト噴射等のサブ噴射や、排気上死点近傍におけるサブ噴射において、燃料の蒸留性状、即ち揮発性を考慮したサブ噴射制御を行うことで、EDUの負担となる過剰なサブ噴射回数を低減し、適正な頻度のサブ噴射を行うことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために以下のような手段を採用した。
すなわち、内燃機関の燃料供給装置において、ピストンが上死点近傍に位置したときに燃料噴射弁により機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるメイン噴射を行うメイン噴射手段と、
内燃機関の燃焼サイクルにおいて前記メイン噴射とは異なる時期に機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行うサブ噴射手段と、
該内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する燃料蒸留性状推定手段と、
少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の蒸留性状に基づいて、前記サブ噴射における該内燃機関燃料の噴射量とサブ噴射頻度を制御するサブ噴射制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
即ち、燃料蒸留性状推定手段によって推定される燃料の蒸留性状によって、内燃機関で使用されている燃料の揮発性を推定し、その揮発性に基づいて算出されたサブ噴射の噴射頻度と一回あたりの噴射量に従ってサブ噴射することで、過剰な噴射を抑制することができ、以って駆動回路であるEDUの負担を低減することができる。
【0015】
ここで言う燃料蒸留性状とは、初留、留出温度、終点、留出量等によって示される燃料の揮発性だけではなく、セタン価に代表される着火性やアロマ分、密度等の燃料の燃焼に関する要素を表すものである。本発明においては、燃料蒸留性状推定手段によって、この燃料の蒸留性状を推定し、その蒸留性状をサブ噴射制御に利用するものである。
【0016】
また、前記のサブ噴射制御手段には、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいてサブ噴射による噴射燃料の機関シリンダ内壁への付着を推定し、該噴射燃料が機関シリンダ内壁へ付着すると推定されるときはサブ噴射頻度を増加させることにより一回のサブ噴射あたりの燃料噴射量を低減させる制御が考えられる。サブ噴射による噴射燃料の機関シリンダ内壁への付着の推定にあたっては、内燃機関における吸気圧力、吸気温度、冷却水温度、機関回転数等をパラメータとして、予め実験等で決定された燃料の付着が起こらない範囲における限界噴射量と、実際のサブ噴射量とを比較することによって判断できる。この制御が燃料の蒸留性状に基づいて行われるため、サブ噴射頻度を適正なものとすることができ、過剰な噴射頻度を減らし、以ってEDUの負担が減ることとなる。
【0017】
更に、サブ噴射制御手段には、該内燃機関の燃焼サイクルの排気上死点近傍においてサブ噴射を行うときに、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいて、サブ噴射頻度と一回のサブ噴射あたりの燃料噴射量を決定すること制御が考えられる。これにより、排気上死点近傍においてサブ噴射を行うときにおいても、サブ噴射の制御を燃料蒸留性状に基づいて行うめ、サブ噴射頻度を適正なものとすることができ、過剰な噴射を減らし、以ってEDUの負担が減ることとなる。
【0018】
また前記サブ噴射には、内燃機関の燃焼サイクルにおいてメイン噴射より早い時期に行われるサブ噴射、排気上死点近傍において行われるサブ噴射、又はメイン噴射より遅い時期であって排気浄化触媒の還元を目的とするポスト噴射等が考えられる。
【0019】
また、ピストンが上死点近傍に位置したときに燃料噴射弁により機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるメイン噴射を行うメイン噴射手段と、
内燃機関の燃焼サイクルにおいて該メイン噴射より早い時期であって内燃機関の圧縮工程において機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行う第一のサブ噴射手段と、
内燃機関の燃焼サイクルにおいて排気上死点近傍において機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行う第二のサブ噴射手段と、
該内燃機関において機関シリンダ内へ噴射される内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する燃料蒸留性状推定手段と、
該内燃機関の燃焼サイクルの排気上死点近傍においてサブ噴射を行うときに、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の蒸留性状に基づいて、第一のサブ噴射と第二のサブ噴射とを選択的に実行するサブ噴射制御手段と、を有することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置によって先述の課題の解決を図る。
【0020】
ここで第一のサブ噴射は燃焼サイクルにおける圧縮工程において燃料噴射が行われるため、噴射燃料は比較的高温高圧の雰囲気に曝されることとなり、燃料の霧化が効率よく進む。一方、第二のサブ噴射においては、サブ噴射実行時においてピストンが最上位地点にあるため、サブ噴射によって噴射される燃料が直接シリンダ内壁に付着する可能性が非常に低くなり、第一のサブ噴射と比較して潤滑オイルの希釈を防止する点で非常に優れていると考えられる。ただし、排気上死点近傍においては、シリンダの排気ポートが開くことにより燃焼室内の温度が低くなり、サブ噴射された燃料が霧化されにくくなる。そこで、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置においては、燃料蒸留性状によって、即ち揮発性のよい燃料のときは、第二のサブ噴射を優先的に行うことで、燃料の霧化を損なわず且つ潤滑オイルの希釈を防止することができる。一方で揮発性の悪い燃料のときは、第一のサブ噴射を行い、燃料の霧化を確実なものとすることができる。
【0021】
この内燃機関の燃料供給装置におけるサブ噴射制御手段においても、燃料蒸留性状に基づいてサブ噴射頻度と一回のサブ噴射当たりの燃料噴射量を制御することで、過剰な噴射頻度を減らし、以ってEDUの負担を低減することができる。
【0022】
尚、前記の燃料蒸留性状推定手段には、該内燃機関燃料に含まれる特定の燃料成分の密度を検出し、その検出された密度に基づいて該内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する手段が考えられる。ここで、特定の燃料成分とは機関燃料の燃料蒸留性状の判断を可能とする燃料成分であって、オクタン価に代表される一定の鎖状炭化水素化合物等が考えられる。また前記の密度とは、機関燃料に占める前記特定性分の含有率を意味し、重量密度、体積密度、モル密度の何れでもよく、またこれ以外の密度であって、特定の燃料成分の含有率を示すものであってもよい。またこの密度の検出については、超音波や赤外線を利用する方法が知られている。
【0023】
ここで、上述の課題を解決するための手段を構成する各構成要素は可能な限り組み合わせることができるものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る内燃機関の排気浄化装置の具体的な実施態様について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明に係る内燃機関を車両駆動用のディーゼルエンジンに適用した場合を例に挙げて説明する。
図1は、本実施の形態に係るディーゼルエンジン1とその吸排気系の概略構成を示す図である。
図1に示すディーゼルエンジン1は、4つの気筒2を有する水冷式の4サイクル・ディーゼル機関である。
ディーゼルエンジン1は、各気筒2の燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁3を備えている。各燃料噴射弁3は、燃料を所定圧まで蓄圧する蓄圧室(コモンレール)4と接続されている。
前記コモンレール4は、燃料供給管5を介して燃料ポンプ6と連通している。この燃料ポンプ6は、ディーゼルエンジン1の出力軸(クランクシャフト)の回転トルクを駆動源として作動するポンプであり、該燃料ポンプ6の入力軸に取り付けられたポンププーリ6aがディーゼルエンジン1の出力軸(クランクシャフト)に取り付けられたクランクプーリ1aとベルト7を介して連結されている。このように構成された燃料噴射系では、クランクシャフトの回転トルクが燃料ポンプ6の入力軸へ伝達されると、燃料ポンプ6は、クランクシャフトから該燃料ポンプ6の入力軸へ伝達された回転トルクに応じた圧力で燃料を吐出する。
【0025】
前記燃料ポンプ6から吐出された燃料は、燃料供給管5を介してコモンレール4へ供給され、コモンレール4にて所定圧まで蓄圧されて各気筒2の燃料噴射弁3へ分配される。そして、燃料噴射弁3に駆動電流が印加されると、燃料噴射弁3が開弁し、その結果、燃料噴射弁3から気筒2内へ燃料が噴射される。ここで、燃料噴射弁3は、電子制御ユニット(以下、ECU:ElectronicControl Unitと呼ぶ)27から制御信号を受けた電子駆動回路(以下、EDU:Electronic Driver Unitと呼ぶ)26によって開閉動作を行う。即ち、EDUにおけるキャパシタモジュールの放電動作によって燃料噴射弁3の開閉が制御される。
【0026】
次に、ディーゼルエンジン1には、吸気枝管8が接続されており、吸気枝管8の各枝管は、各気筒2の燃焼室と吸気ポート(図示省略)を介して連通している。
前記吸気枝管8は吸気管9に接続されている。吸気管9には、該吸気管9内を流通する吸気の質量に対応した電気信号を出力するエアフローメータ10が取り付けられている。
前記吸気管9における吸気枝管8の直上流に位置する部位には、該吸気管9内を流通する吸気の流量を調節する吸気絞り弁11が設けられている。この吸気絞り弁11には、ステップモータ等で構成されて該吸気絞り弁11を開閉駆動する吸気絞り用アクチュエータ12が取り付けられている。
【0027】
ここで、エアフローメータ10と吸気絞り弁11との間に位置する吸気管9には、排気のエネルギを駆動源として作動する遠心過給機(ターボチャージャ)19のコンプレッサハウジング19aが設けられ、コンプレッサハウジング19aより下流の吸気管9には、前記コンプレッサハウジング19a内で圧縮されて高温となった吸気を冷却するためのインタークーラ20設けられている。
このように構成された吸気系では、吸気は、吸気管9を介してコンプレッサハウジング19aに流入する。
コンプレッサハウジング19aに流入した吸気は、該コンプレッサハウジング19aに内装されたコンプレッサホイールの回転によって圧縮される。前記コンプレッサハウジング19a内で圧縮されて高温となった吸気は、インタークーラ20にて冷却された後、必要に応じて吸気絞り弁11によって流量を調節されて吸気枝管8に流入する。吸気枝管8に流入した吸気は、各枝管を介して各気筒2の燃焼室へ分配され、各気筒2の燃料噴射弁3から噴射された燃料を着火源として燃焼される。
【0028】
一方、ディーゼルエンジン1には、排気枝管15が接続され、排気枝管15の各枝管が排気ポート(図示省略)を介して各気筒2の燃焼室と連通している。
前記排気枝管15は、前記遠心過給機19のタービンハウジング19bと接続されている。前記タービンハウジング19bは、排気管16と接続され、この排気管16は、下流にてマフラー(図示省略)に接続されている。
このように構成された排気系では、ディーゼルエンジン1の各気筒2で燃焼された混合気(既燃ガス)が排気ポートを介して排気枝管15へ排出され、次いで排気枝管15から遠心過給機19のタービンハウジング19bへ流入する。タービンハウジング19bに流入した排気は、排気が持つエネルギを利用してタービンハウジング19b内に回転自在に支持されたタービンホイールを回転させる。その際、タービンホイールの回転トルクは、前述したコンプレッサハウジング19aのコンプレッサホイールへ伝達される。
【0029】
前記排気管16の途中には、吸蔵還元型NOx触媒を担持したパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという。)18が設けられている。フィルタ18の下流の排気管16には、該排気管16内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁13が設けられている。この排気絞り弁13には、ステップモータ等で構成されて該排気絞り弁13を開閉駆動する排気絞り用アクチュエータ14が取り付けられている。
【0030】
前記タービンハウジング19bから排出された排気は、排気管16を介してフィルタ18へ流入し、排気中の粒子状物質(以下、PMと呼ぶ)が捕集され且つ有害ガス成分が除去又は浄化される。フィルタ18にてPMを捕集され且つ有害ガス成分を除去又は浄化された排気は、必要に応じて排気絞り弁13によって流量を調節された後にマフラーを介して大気中に放出される。
【0031】
ここで、図7にディーゼルエンジンにおける燃焼サイクルにおける燃料噴射の概念図を示す。尚、図7に示される図は概念的なものであり、ディーゼルエンジンの使用目的によって各噴射の噴射時期やメイン噴射を除く各サブ噴射の有無は相異する。ここで、燃焼サイクルにおいて圧縮上死点近傍にけるメイン噴射を除く燃料噴射をサブ噴射とする。図7においては、排気上死点噴射、パイロット噴射(図7に示すように分割されたものを含む)、ポスト噴射がサブ噴射として示される。メイン噴射は、主にディーゼルエンジンの出力トルクを発生させることを目的として行われる噴射であり、一般に他のサブ噴射と比べて燃料の噴射量は多い。更に燃焼サイクルの圧縮上死点近傍で行われるため、メイン噴射によって噴射された燃料は高温高圧の雰囲気に曝され、且つその多くが燃焼に費やされるため機関シリンダ内壁へ付着することはない。
【0032】
ここで、図7に示されるサブ噴射について説明する。メイン噴射を基準として、その以前に行われる排気上死点噴射及びパイロット噴射と、その以後に行われるポスト噴射とに大別できる。パイロット噴射は、燃焼サイクルにおいて早い時期に燃料を噴射することにより、燃料と空気との混合状態を改善することで排気改善やエンジンの騒音低減を主な目的とするものである。尚、パイロット噴射の噴射時期は、燃料の霧化等を踏まえて、圧縮工程において行われるのが通常である。次に、排気上死点噴射は、パイロット噴射よりも更に早い時期において行われるサブ噴射である。噴射時期を更に早めることによって、予混合量が更に増え、排気改善へとつながるものである。ポスト噴射は、ディーゼルエンジンの排気系に設置されたフィルタ18へ未燃焼の燃料成分を供給することによりフィルタ18に付着したPMを燃焼したり、フィルタ18に担持された排気浄化触媒を還元する。尚、本発明におけるサブ噴射には、上述の3種類のサブ噴射に該当する噴射に限られるものではなく、メイン噴射以外のすべての噴射が包含される。
【0033】
メイン噴射を除くサブ噴射では、その噴射が行われる時期において必ずしもシリンダ内が高温高圧とは限らず、また必ずしも上死点における噴射ではないため、サブ噴射による燃料が完全に霧化できない場合は、機関シリンダ内壁へ付着し、潤滑オイルを希釈してしまう虞がある。そのために噴射頻度を増大させ、且つ一回のサブ噴射あたりの噴射量を低減させることで、機関シリンダ内壁への付着を防止する必要がある。ただし、噴射頻度が増大することによりEDUの負担も増大する。そこで、本発明はEDUの負担を軽減すべく、機関燃料の燃料蒸留性状に基づいてサブ噴射を行うものである。以下にその具体的なECUの構成および制御フローチャートを示す。
【0034】
ここで図2は、図1におけるディーゼルエンジン1の燃料噴射弁3を制御するためのECU27を示す。このECU27は、ディーゼルエンジン1の運転条件や運転者の要求に応じて、燃料噴射弁の駆動回路であるEDU26を制御することで燃料噴射弁3の噴射時期や開弁時間等を制御するユニットである。ECU27には、燃料蒸留性状推定手段17、クランクポジションセンサ21、冷却水温度センサ22、吸気温度センサ23、吸気圧力センサ24、アクセル開度センサ25等の各種センサが電気配線を介して接続され、上記した各種センサの出力信号がECU27に入力されるようになっている。一方、ECU27には、燃料噴射弁3の駆動回路であるEDU26等が電気配線を介して接続され、EDU26をECU27が制御することが可能になっている。即ち、EDU26がECU27によって制御されることで、燃料噴射弁3が制御される。
【0035】
ここで、ECU27は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、A/Dコンバータ(A/D)204と、を備えている。
前記ROM202は各種アプリケーションプログラム及び制御マップを記憶している。
前記RAM203は、各センサからの出力信号やCPU201の演算結果等を格納する。前記演算結果は、例えば、クランクポジションセンサ21がパルス信号を出力する時間的な間隔に基づいて算出される機関回転数である。これらのデータは、クランクポジションセンサ21がパルス信号を出力する都度、最新のデータに書き換えられる。
前記CPU201は、前記ROM202に記憶されたアプリケーションプログラム等に従って動作する。
【0036】
次に、ディーゼルエンジン1における本実施の形態によるサブ噴射時の燃料噴射弁3の制御について説明する。図3は本制御のフローチャート図である。
ECU27は、ディーゼルエンジン1が運転状態にあるときに、図3に示す制御ルーチンを実行する。この制御ルーチンは、燃焼サイクル毎に繰り返し実行されるルーチンである。
本制御では、ECU27は、先ずS301において、クランクポジションセンサ17の信号から機関回転数Neを算出する。更に、冷却水温度センサ22から冷却水温度THW、吸気温度センサ23から吸気温度Ti、吸気圧温度センサ24から吸気圧力Pi、アクセル開度センサ25からアクセル開度Acを取得する。その後、S302へ進む。
【0037】
S302では、燃料蒸留性状が取得される。燃料蒸留性状は、燃料の蒸留に関する物性である初留、留出温度、終点、留出量等を初め、燃料の着火性を示すセタン価やアロマ分、密度等の燃料の燃焼に関する要素を表すものである。本制御においては、燃料蒸留性状推定手段により推定された蒸留性状を、軽油を基準として相対的に算出する。即ち、燃料蒸留性状推定手段によって、機関燃料の燃料性状を、軽油を基準として判断するものである。ここで、燃料蒸留性状の算出においては、先述の各要素の何れか一を基準として、又は複数の要素を基準として燃料蒸留性状を定量的に表現するのが好ましい。尚、複数の要素を基に燃料蒸留性状を定量的に表現するには、予めROM202に、基準とする要素をパラメータとして、燃料蒸留性状推定マップを作成しておき、該マップへアクセスすることで燃料蒸留性状を取得することができる。尚、図3において、S302における処理は燃焼サイクル毎に行われることになるが、機関燃料の燃料蒸留性状の経時変化が大きくない場合等は、一定数のサイクル毎にS302における処理である燃料蒸留性状の取得を行うようにしてもよい。
【0038】
ここで、燃料蒸留性状を推定する手段として、超音波を用いる手段や赤外線を用いる手段等が考えられる。超音波を用いる手段には、圧電振動子、磁歪振動子又は電磁誘導型振動子等から構成される超音波の受信機と発信機とを備えた超音波センサが用いられる。この手段は超音波センサから発振された超音波が燃料内を通過することによって生じる超音波の遅延時間によって、該燃料の密度を検出するものである。また赤外線を用いる手段においては、赤外線吸収分析法等が有用である。機関燃料の蒸留性状に大きく関係する環状芳香物や一定の鎖状炭化物の含有率等を検出し、それを基に該燃料の蒸留性状を推定するものである。
【0039】
S302において、燃料蒸留性状を取得した後はS303へ進む。S303では、S301で取得した機関回転数Neとアクセル開度Ac等をパラメータとして、ROM202に格納されている噴射燃料マップにアクセスし、燃焼サイクルにおける総噴射量を決定し、S304へ進む。S304では、サブ噴射の目的に応じたサブ噴射の噴射量および噴射時期を決定する。サブ噴射時期はサブ噴射の目的を運転者状況等から判断し、必要なサブ噴射を行う。噴射量については、サブ噴射の目的を達成するために必要な量を算出する。その算出にあたっては、各サブ噴射目的毎にROM202に設定されたサブ噴射燃料マップに、機関回転数Neや冷却水温度THW等をパラメータとしてサクセスし、サブ噴射量の算出を行う。ここで、サブ噴射による噴射燃料が最終的にトルク発生を目的とするサブ噴射である場合、例えばメイン噴射より早い時期に行われる排気上死点噴射やパイロット噴射等である場合は、各サブ噴射にて噴射する量に応じてメイン噴射燃料を減ずる必要がある。一方、メイン噴射以後、特に排気工程中にサブ噴射が行われる場合は、該サブ噴射はトルク発生に帰結する噴射ではないと考えられるため、サブ噴射に応じた量をメイン噴射に反映させる必要はない。
【0040】
ここでサブ噴射量の算出において、燃料蒸留性状に基づいて噴射量の算出をすることができる。その具体例として、図4に、サブ噴射が排気上死点噴射である場合のサブ噴射量算出方法が概念的に示されている。以下に図4に従い、燃料蒸留性状に基づいたサブ噴射量算出方法を説明する。先ず図4上図は、排気上死点噴射によって噴射される燃料がどの程度トルクに反映されているかを概念的に示す数式である。ここで式右辺に表されるマトリックスは、横軸をメイン噴射量、縦軸を排気上死点における噴射量として、該当するメイン噴射量、排気上死点噴射量の場合における排気上死点噴射による噴射燃料のうちトルクに反映される量、換言すると排気上死点噴射燃料の有効利用率を示すものである。尚、このマトリックスにおける数値は、予め基準となる軽油において実験で求めておくことができる。
【0041】
ここで、図4上図の式右辺に蒸留性状をパラメータとした補正項Qplを加えることで、最終的に排気上死点噴射によって噴射された燃料のうちトルクに反映された量を、燃料蒸留性状を基準として算出できる。即ち、図4下図に示すように、基準となる軽油に対して蒸留性状が軽質の場合、つまり揮発性がよい場合は噴射量を増加させることによって更にトルクへの反映を期待できる。一方、軽油に対して蒸留性状が重質である場合、つまり揮発性が悪い場合は噴射量をトルクへの反映が期待できないため、噴射量を抑制することとなる。このように蒸留性状に応じて排気上死点噴射量を制御することで、噴射量を適正なものとすることができ、過剰な燃料噴射によるEDUの負担抑制や潤滑オイルの希釈防止へとつながる。
【0042】
尚、図4における実施例はサブ噴射が排気上死点近傍で行われる場合であったが、前記パイロット噴射やポスト噴射の場合にも適応可能である。特に、ポスト噴射においては、噴射された燃料は原則として機関の出力トルクには反映されるものではないため、図4上図のように出力トルクに対応させるのではなく、例えばPM燃焼の燃焼状況やフィルタ18の還元状況を表すフィルタ18の触媒床温度等に対応する噴射量として、燃料蒸留性状をパラメータとする補正を行ってもよい。更に、図4下図においては、軽油を基準とした相対的蒸留性状をパラメータとして処理を行っているが、絶対値としての蒸留性状をパラメータとしても同様の処理が可能である。また図4下図のように限界噴射量を、蒸留性状をパラメータとして直線関数で表すだけではなく、任意の関数で表しても同様の処理が可能である。
【0043】
ここで、図3の制御フローチャートへと戻る。S304にてサブ噴射量を決定した後は、S305へ進む。S305においては、S304において、決定されたサブ噴射時期におけるサブ噴射量を噴射した場合、噴射された燃料のシリンダ内壁面への付着可能性を判断する。これは、サブ噴射による噴射燃料がシリンダ内壁に付着することによって、シリンダ内壁上の潤滑オイルを希釈してしまうことから保護するために行われる処理である。具体的には、所定のサブ噴射において吸気温度Ti、吸気圧力Pi、冷却水温度THW等をパラメータとして、サブ噴射の目的毎にシリンダ内壁へ噴射燃料が付着品範囲においてサブ噴射可能な限界噴射量を記録したサブ噴射量限界マップにおける噴射量と、S304において決定されたサブ噴射におけるサブ噴射量とを比較して、S304において決定されたサブ噴射量が限界マップの噴射量を越えるものである場合は、S305においてサブ噴射燃料がシリンダ内壁面へ付着する可能性があると判断され、S306へと進む。一方、サブ噴射量限界マップにおける噴射量と、S304において決定されたサブ噴射におけるサブ噴射量とを比較して、S304において決定されたサブ噴射量が限界マップの噴射量を越えない場合は、S305においてサブ噴射燃料がシリンダ内壁面へ付着する可能性はないと判断され、S307へと進む。
【0044】
S306へ進むと、サブ噴射の噴射頻度を増やし、一回のサブ噴射あたりの噴射量を低減させる。これによりシリンダ内壁面への燃料の付着を回避することができる。ここで、一回の噴射量をサブ噴射量限界マップから読むことのできる限界噴射量以下に抑制し、且つサブ噴射頻度を最小とすることで、潤滑オイルの希釈を抑制し、EDUへの過負荷を防止することができる。S306の処理が終了すると、S307へと進む。
【0045】
ここで、サブ噴射燃料限界マップの作成にあたって、燃料蒸留性状をパラメータとして、シリンダ内壁面にサブ噴射燃料が付着しない範囲におけるサブ噴射一回あたりの限界サブ噴射量を設定できる。サブ噴射が排気上死点近傍において行われる場合において、図5に従って説明を行う。図5は、横軸に軽油を基準とした相対的燃料蒸留性状を、縦軸にサブ噴射一回あたりの限界噴射量を示したものである。即ち、ある相対的蒸留性状において、図3におけるS304において算出された排気上死点噴射量が、直線より下位に位置する噴射量であれば単発の噴射において噴射することが可能となる。一方、直線より上位に位置する噴射量であれば噴射量が過大であるため噴射頻度を複数回にすることによって、一噴射あたりの噴射量を分割する必要が出てくる。尚、噴射頻度を複数回にするにあたって、EDUの負荷を考慮し、一回の噴射量が限界値を越えることなく、且つ噴射頻度が最も少なくなるように分割する。
【0046】
図5は、サブ噴射が排気上死点噴射である場合の限界噴射量を表しているが、サブ噴射が前記のパイロット噴射やポスト噴射等の他のサブ噴射である場合においても同様に、燃料蒸留性状に基づいた限界噴射量を設定することができる。また、限界噴射量の設定については、想定される各サブ噴射毎に事前に実験等で測定しておき、ROM202に燃料蒸留性状をパラメータとしたマップの形で格納しておくことが考えられる。更に、図5においては、軽油を基準とした相対的燃料蒸留性状をパラメータとして処理を行っているが、絶対値としての燃料蒸留性状をパラメータとしても同様の処理が可能である。また図5のように限界噴射量を、燃料蒸留性状をパラメータとして直線関数で表すだけではなく、任意の関数で表しても同様の処理が可能である。
【0047】
ここで、図5においては、燃料蒸留性状に応じた限界噴射量をROM202へ格納しているが、基準となる軽油の限界噴射量を1として各限界噴射量を比率で表し、ROM202へと格納してもよい。即ち、基準となる軽油に対する相対的な限界噴射値を定めることになる。
【0048】
ここで、再び図3の制御フローチャートへと戻る。S307においては、S304で決定された噴射量、又はS306で算出された噴射頻度と噴射量に従って、サブ噴射が実行される。
【0049】
<第2の実施例>
次に、ディーゼルエンジン1における本実施の第2の形態によるサブ噴射時の燃料噴射弁3の制御について説明する。本制御は、サブ噴射がメイン噴射よりも早い時期に行われる噴射である場合、燃料蒸留性状に基づいて、そのサブ噴射時期として排気上死点近傍又は圧縮工程中の何れかを選択し、サブ噴射を行うものである。図6は本制御のフローチャート図である。ECU27は、ディーゼルエンジン1が運転状態にあるときに、図6に示す制御ルーチンを実行する。この制御ルーチンは、燃焼サイクル毎に繰り返し実行されるルーチンである。ここで、図6において、S602における処理は燃焼サイクル毎に行われることになるが、機関燃料の燃料蒸留性状の経時変化が大きくない場合等は、一定数のサイクル毎にS602における処理である燃料蒸留性状の取得を行うようにしてもよい。尚、本制御のS601〜S604における処理は、図3のフローチャートにおけるS301〜S304の各処理と同様であるので、先述の説明を以って、S601〜S604の説明を省略する。以下に、S605以後の処理について説明する。
【0050】
S605では、S604において決定されたサブ噴射の噴射燃料をどの時期において噴射するか判断する。即ち、シリンダ内壁上の潤滑オイルの希釈を防止するには、サブ噴射を圧縮工程で行うのではなく、排気上死点近傍で行うのがより望ましい。そこでS605において、周囲温度が比較的に低い排気上死点近傍で、サブ噴射される燃料が霧化できるか否かをS602で取得された燃料蒸留性状に従って判断する。具体的には、燃料蒸留性状が所定の基準燃料蒸留性状より高いと判断された場合はS606へと進む。一方、S605において、燃料蒸留性状が所定の基準燃料蒸留性状より高くないと判断された場合はS607へと進む。ここで、前記所定の基準燃料蒸留性状とは、基準となる燃料の燃料蒸留性状を定量的に表したものであり、判断の対象となる燃料の燃料蒸留性状がこの基準燃料蒸留性状より高い場合は、基準燃料より揮発性がよいことを意味する。この基準燃料蒸留性状は予め実験等で測定し、ROM202へ格納しておく。
【0051】
S606へ進むと、排気上死点近傍において噴射可能であると判断し、サブ噴射の噴射時期を排気上死点近傍と設定する。一方、S607へ進むと、排気上死点近傍におけるサブ噴射は不可能であると判断し、サブ噴射の噴射時期を圧縮工程中と設定する。S606又はS607の処理が終了すると、S608へと進む。
【0052】
ここで、本制御におけるS608〜S610の処理は、図3におけるフローチャート中のS305〜S307の処理と実質的に同様である。即ち、S606又はS607で決定された噴射時期において、S604で決定された噴射量をサブ噴射する場合の、シリンダ内壁面への噴射燃料の付着可能性を判断し、付着可能性があると判断された場合は、サブ噴射頻度を増やして一回あたりのサブ噴射量を減ずるように燃料噴射弁3を制御するものである。先述の図3のフローチャートにおけるS305〜S307の説明を以って、S608〜S610の各処理の詳細な説明は省略する。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、燃料蒸留性状に応じてサブ噴射時の燃料噴射弁動作を制御することで、シリンダ内壁面への付着可能性の判断を正確に行うことが可能となり、過剰なサブ噴射頻度の増加を防止することが可能となる。更に、結果として燃料噴射弁の駆動回路であるEDUの負荷を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る内燃機関の概略構成を示す図である。
【図2】ECUの内部構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る内燃機関の燃料供給装置の制御ルーチンを示すフローチャート図である。
【図4】本実施の形態に係る内燃機関の燃料供給装置における、燃料蒸留性状に基づいたトルク変換噴射量の算出手段の概念を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る内燃機関の燃料供給装置における、燃料蒸留性状に基づいた限界噴射量の算出手段の概念を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る内燃機関の燃料供給装置の制御ルーチンを示す第2のフローチャート図である。
【図7】内燃機関の燃焼サイクルにおけるメイン噴射とサブ噴射との相関を示す概略図である。
【符号の説明】
1・・・・ディーゼルエンジン
2・・・・気筒
3・・・・燃料噴射弁
17・・・燃料蒸留性状推定手段
18・・・フィルタ
26・・・EDU
27・・・ECU

Claims (8)

  1. ピストンが上死点近傍に位置したときに燃料噴射弁により機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるメイン噴射を行うメイン噴射手段と、
    内燃機関の燃焼サイクルにおいて前記メイン噴射とは異なる時期に機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行うサブ噴射手段と、
    該内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する燃料蒸留性状推定手段と、
    少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいて、前記サブ噴射における該内燃機関燃料の噴射量とサブ噴射頻度を制御するサブ噴射制御手段と、
    を備え
    前記サブ噴射制御手段は、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいてサブ噴射による噴射燃料の機関シリンダ内壁への付着を推定し、該噴射燃料が機関シリンダ内壁へ付着すると推定されるときはサブ噴射頻度を増加させることにより一回のサブ噴射あたりの燃料噴射量を低減させることを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  2. 前記サブ噴射制御手段は、該内燃機関の燃焼サイクルの排気上死点近傍においてサブ噴射を行うときに、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいて、サブ噴射頻度と一回のサブ噴射あたりの燃料噴射量を決定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  3. 前記サブ噴射手段は、内燃機関の燃焼サイクルにおいて前記メイン噴射手段によって実行されるメイン噴射より早い時期に行われるサブ噴射を実行することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  4. 前記サブ噴射手段は、内燃機関の燃焼サイクルにおいて排気上死点近傍におけるサブ噴射を実行することを特徴とする請求項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  5. 内燃機関の排気系に排気浄化触媒が配設された内燃機関の燃料供給装置において、
    前記サブ噴射手段は、内燃機関の燃焼サイクルにおいてメイン噴射より遅い時期に行われるポスト噴射によって排気浄化触媒の還元をすることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  6. ピストンが上死点近傍に位置したときに燃料噴射弁により機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるメイン噴射を行うメイン噴射手段と、
    内燃機関の燃焼サイクルにおいて該メイン噴射より早い時期であって内燃機関の圧縮工程において機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行う第一のサブ噴射手段と、
    内燃機関の燃焼サイクルにおいて排気上死点近傍において機関シリンダ内へと内燃機関燃料が噴射されるサブ噴射を行う第二のサブ噴射手段と、
    該内燃機関において機関シリンダ内へ噴射される内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する燃料蒸留性状推定手段と、
    該内燃機関の燃焼サイクルの排気上死点近傍においてサブ噴射を行うときに、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいて、第一のサブ噴射と第二のサブ噴射とを選択的に実行するサブ噴射制御手段と、を有することを特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  7. 前記サブ噴射制御手段は、少なくとも前記燃料蒸留性状推定手段によって推定される該内燃機関燃料の燃料蒸留性状に基づいて、サブ噴射による噴射燃料の機関シリンダ内壁への付着を推定し、該噴射燃料が機関シリンダ内壁へ付着すると推定されるときは選択されたサブ噴射頻度を増加させることにより一回のサブ噴射あたりの燃料噴射量を低減させることを特徴とする請求項に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  8. 前記燃料蒸留性状推定手段は、該内燃機関燃料に含まれる特定の燃料成分の密度を検出し、その検出された密度に基づいて該内燃機関燃料の燃料蒸留性状を推定する手段であることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一に記載の内燃機関の燃料噴射装置。
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