JP4412791B2 - 二液型室温架橋性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、速硬化性及び接着性に優れる架橋体を与える二液型室温架橋性組成物に関する技術であり、詳しくは接着剤、シーリング材に好適に用いられる二液型室温架橋性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、アルコキシシリル基の様な加水分解性シリル基を持つ化合物とそれを硬化させる化合物(硬化触媒、架橋触媒)からなる硬化性組成物が知られている。例えば、特開昭56‐67366号公報には、シリル基含有ポリマーと金属酸化物/金属水酸化物からなる硬化性組成物が開示されており、特開昭57‐155250号公報には、官能性ケイ素含有ポリエーテルと有機錫化合物からなる硬化性組成物が開示されており、シーリング材等に使用される。これら硬化性組成物は、組成物中のシリル基が空気中の水分により加水分解され、脱水縮合反応を起こし硬化するものであり、金属酸化物や有機錫化合物は加水分解反応を促進する。
【0003】
上記硬化性組成物、あるいは、それを用いた接着剤、シーリング材は実質的に空気中の湿気により架橋または硬化する。更に、組成物中には硬化促進剤が添加されている。従って、貯蔵時には湿気を遮断するような工夫が必要となり、気密性を要する容器等で保管する必要があった。又、使用中の湿度管理は実質上困難であるので、開封後は、雰囲気中の湿気により徐々に反応が進行するので工程管理が困難であった。
一方、貯蔵安定性に優れた接着剤として、主剤を片方の基材に塗布し、硬化剤を他方の基材に塗布した後、それぞれを貼り合わせる事で速やかに架橋、硬化が進行し、接合が完了する二液型接着剤が知られている。
しかしながら、加水分解性シリル基を持つ化合物とその架橋剤をもちいた場合、架橋剤とそれを塗布した基材との間に未架橋部分が残る為に、予め架橋剤を混合した後接着剤として使用した場合に比べ、接着力に劣る場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
加水分解性シリル基を有する化合物とその架橋剤及び、上記化合物とは異なる架橋性化合物とその架橋剤を組み合わせてなる組成物であって、室温で速やかに架橋し接着性に優れた二液型室温硬化性組成物、及び該組成物よりなる接着剤組成物、及びシーリング材組成物を提供すること。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、化合物(A‐1)並びに、化合物(A‐2)及び化合物(B‐2)のどちらか一方の化合物を含有するA液と、化合物(B−1)並びに、化合物(A‐2)及び化合物(B‐2)のどちらか一方で、A液に含まれない方の化合物を含有するB液とからなる二液型室温架橋性組成物である。但し、化合物(A‐1)は一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する化合物。化合物(A‐2)は一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物よりなる架橋性化合物。化合物(B‐2)は架橋性化合物(A‐2)を架橋せしめる化合物。化合物(B−1)は化合物(A‐1)を架橋せしめるフッ素アニオンを有する化合物。
【0006】
請求項2記載の発明は、化合物(B−2)がポリアミン又はポリオールである請求項1記載の二液型室温架橋性組成物である。
【0007】
本発明中の一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する化合物(A−1)は、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する化合物である限り特に限定されるものではない。加水分解性シリル基としては、例えば、珪素元素に結合したアルコキシ基、オキシム基、アルケニルオキシ基、アセトキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。これらの置換基の内、貯蔵安定性等の観点から、珪素元素にアルコキシ基が結合したアルコキシシリル基が好適に用いられる。
【0008】
上記アルコキシシリル基とは、モノアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基を示す。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert‐ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができる。ジアルコキシシリル基あるいはトリアルコキシシリル基の場合、同じアルコキシ基であってもよいし、異なるアルコキシ基であってもよい。また、種類の異なる加水分解性シリル基が組み合わされて用いられても良い。
【0009】
上記加水分解性シリル基を有する化合物(A‐1)としては、揮発分の低さや、硬化後の凝集力、接着性等の品質面から、一分子中に少なくとも2個以上の加水分解性シリル基を有するポリマーが好適に用いられる。用いられるポリマーの化学構造として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールをモノマーユニットとするポリエーテル、エステル結合を持つポリエステル、アミド結合を持つポリアミド、カーボネート結合を有するポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン等のポリマーが挙げられる。これらは単独重合体であっても良いし、共重合体であっても良い。
【0010】
上記ポリマー中のアルコキシシリル基の結合位置は、ポリマー末端に位置していても良いし、ポリマーの側鎖に位置していても良い。また、ポリマー末端と側鎖の両方に位置していても何等問題ない。
上記ポリマーの分子量は特に限定されないが、通常は4000〜30000のものが用いられ、特に分子量が10000〜30000で分子量分布(Mw/Mn)が1. 6以下のものが硬化性、接着性が良好で取り扱いやすく、好適に用いられる。
【0011】
上記化合物(A‐1)として、MSポリマーS‐203、S‐303、S‐903等、サイリルSAT‐200、MA‐403、MA‐447(鐘淵化学工業社製)、エクセスターESS‐2410、ESS‐2420、ESS‐3630(旭硝子社製)等の市販の化合物を用いても良い。
【0012】
上記化合物(A−1)を架橋させる為のフッ素アニオンを有する化合物(B−1)としては、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオライド、テトラエチルアンモニウムフルオライド、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムフルオライド、テトラ‐n‐オクチルアンモニウムフルオライド等のオニウムフルオライド塩;トリス(ジメチルアミノ)サルファー (トリメチルシリル)ジフルオリド;フッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等のアルカリ金属のフッ化塩及び、クラウンエーテル、アザシクロ環化合物等の配位性環状化合物にる錯体塩が挙げられる。
【0013】
上記化合物(B‐1)の量は、化合物(A‐1)が十分硬化し、接着力が発現される限り何等制限を受けないが、化合物(A‐1)100重量部に対して、化合物(B‐1)10〜900重量部が好ましい。化合物(B‐1)が10重量部より少ない場合、化合物(A‐1)の架橋が不十分になりやすく、化合物(B‐1)が900重量部より多い場合、化合物(A‐1)の特徴となる接合性能を得るのが困難な場合がある。
【0014】
上記架橋性化合物(A‐2)としては、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物が用いられる。上記一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルイレンジイソシアネート(TDI)、ナフチレン‐1, 5‐ジイソシアネート、o‐トルイレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(p‐イソシアネートフェニル)チオホスファイト、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの単量体、またはこれらのイソシアヌレート変性体、ウレタン変性体、ビゥレット変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパン付加体、ブロックイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
上記化合物(A‐2)の量は、接着性が十分に発揮される限り特に制限されないが、化合物(A‐1)100重量部に対して、化合物(A‐2)10〜900重量部が好ましい。10重量部未満の場合は化合物(A‐2)に基づく接着強度が期待でき難くなり、900重量部を越えると化合物(A‐1)に基づく接着力を得るのが困難となってしまう。
【0018】
上記イソシアネート基を有する化合物を架橋させる化合物としては、ポリアミン、ポリオール等が挙げられる。
ポリアミンとしては、例えば、末端アミノ変成ポリエチレングリコール、末端アミノ変成ポリプロピレングリコール等の末端アミノ変成ポリアルキレングリコール;アミノ変成ポリ(メタ)アクリレート系ポリマー、アミノ変成ビニル系ポリマー、アミノ変成ポリエステル、アミノ変成ポリカーボネート、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン等のアミノ基を一分子中に2個以上持つポリマー;エチレンアミン類、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、脂肪族アミン変成体等の脂肪族アミン;m‐フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、芳香族アミン変成体等の芳香族アミン等が挙げられる。
【0019】
上記ポリオールとしては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水酸基変性(メタ)アクリル系ポリマー、水酸基変成ビニル系ポリマー、水酸基変成ポリエステル、水酸基変成ポリカーボネート等が挙げられる。
【0025】
上記架橋性組成物中における化合物(B‐2)の量は、化合物(A‐2)が十分に硬化する限り何等制限を受けないが、化合物(A- 2)100重量部に対して、化合物(B‐2)10〜900重量部が好ましい。化合物(B‐2)が10重量部より少ない場合、化合物(A‐2)の架橋が不十分になりやすく、化合物(B‐2)が900重量部より多くしても増量効果が認められ難くなる。
【0026】
本発明の架橋性組成物には、必要に応じて、増粘剤・チキソトロープ剤、物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等の各種添加剤が加えられても良い。
【0027】
増粘剤として、例えば、化合物(A‐1)又は化合物(A‐2)との相溶性の良い高分子化合物から選ばれ、配合される化合物から適宜選択される。例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等を挙げることができる。また、これら共重合体、官能基変成体を挙げることができし、これらを適宜組み合わせてもよい。
【0028】
チキソトロープ剤として、組成物がチキソトロピー性を発現するような物質から適宜選ばれる。例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等を挙げることができる。チキソトロープ剤の選択については、化合物(A‐1)又は化合物(A‐2)と親和性の高い表面を有することが望ましい。
【0029】
物性調整剤としては、各種シランカップリング剤として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N, N' ‐ビス‐[3‐(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N, N' ‐ビス‐[3‐(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N, N'-ビス- [3‐(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N, N'-ビス- [3‐(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0030】
増量剤としては、本発明に係る組成物中に添加してチキソトロープ性を発現しないものが好適に利用でき、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。 可塑剤として、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸- 塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等を挙げられ、これらは単独または2種以上併用してもかまわない。
【0031】
本発明の組成物は硬化性に優れているので、塗料、インク、コーティング材、表面保護材、接着剤、シーリング材、表面処理剤、ポッディング材等に用いることができ、特に接着剤、シーリング材に好適に用いられる。
【0032】
本発明の架橋性組成物を接着剤組成物として用いる場合、A液組成物を一方の接合部材に塗布し、他方の接合部材にB液組成物を塗布した後、お互いの接合部材の被塗部を貼り合わせ架橋させることにより接着することができる。即ち、いわゆるハネムーン接着が可能である。あるいは、A液とB液とを予め混合した後に、接合部材に塗布し貼り付けて使用することも可能である。
【0033】
本発明の架橋性組成物をシーリング材組成物として用いる場合、A液とB液とを予め混合した後、充填箇所に充填して施工することができる。あるいは、A液又はB液のどちらか一方を充填箇所に塗布した後、他方を充填して施工しても良い。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。ただし、下記実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するたものではない。
実施例1
(架橋性組成物の調整)
乾燥した0.3Lビーカー中で、シリル基含有化合物(MSポリマーS303、鐘淵化学工業社製)100g、α,ω‐ジアミノ‐ポリプロピレングリコール(JEFFAMINE D‐2000、Texaco Chemical Co.社製)100g、を均一になるまで撹拌、混合して本発明に係るA液を調整した。 一方、別の乾燥した0.1Lビーカー中で、テトラ‐n‐ブチルアンモニウムフルオライド10g、4,4' ‐ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)30g、を均一になるまで撹拌、混合して本発明に係るB液を調整した。
【0035】
(接着試験片の作成)
上記A液をスレート(30mm×25mm×9mm)に塗布面積が25mm×25mmとなる様に塗布して被塗物Aを得た。さらに、上記B液をスレート(30mm×25mm×9mm)に塗布面積が25mm×25mmとなる様に塗布して被塗物Bを得た。被塗物Aと被塗物Bを塗布した組成物面同士で貼り合わせて試験片を得た。
【0038】
実施例2
実施例1で調整したA液及びB液を1対1の割合で混合した後、該混合物をスレート(30mm×25mm×9mm)に塗布面積が25mm×25mmとなる様に塗布し、別のてスレート(30mm×25mm×9mm)を貼り付ける以外は実施例1と同様に行った。
【0039】
比較例1
実施例1において、α,ω‐ジアミノ‐ポリプロピレングリコール、4,4' ‐ジフェニルメタンジイソシアネートを使用しない以外は実施例1と同様に行った。
【0040】
〔評価〕
(接着強度)
得られた試験片について、貼り合わせ10分後及び7日後の剪断接着強度をJIS K 6852に準じて(試験速度5mm/min)測定した。結果を表1に示す。
(硬化特性)
A液とB液とを混合後、目地部に充填し、室温で7日間養生した後の架橋物の状態を観察し、シーリング剤としての使用の可否判定を行った。結果を表1に示す。
○印:タックが無く、ゴム状態を示しシーリング剤として良好
×印:タックが有り、もしくはゴム状態を示さずシーリング剤として不適当
【0041】
【表1】
Figure 0004412791
【0042】
【発明の効果】
本発明の二液形室温架橋性組成物は、一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する化合物(A‐1)、並びに、一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物よりなる架橋性化合物(A‐2)、あるいは、該架橋性化合物を架橋せしめる化合物(B‐2)とを含有するA液と、化合物(A‐1)を架橋させる為のフッ素アニオンを有する化合物(B−1)、並びに、化合物(A‐2)又は化合物(B‐2)のどちらかで、A液中に含有されない一方の化合物とを含有するB液とからなることを特徴とする架橋性組成物であるので、貯蔵安定性に優れ、室温で速やかに架橋し、接着剤、シーリング材として好適に用いる事ができる二液型室温架橋性組成物である。

Claims (2)

  1. 化合物(A‐1)並びに、化合物(A‐2)及び化合物(B‐2)のどちらか一方の化合物を含有するA液と、化合物(B−1)並びに、化合物(A‐2)及び化合物(B‐2)のどちらか一方で、A液に含まれない方の化合物を含有するB液とからなることを特徴とする二液型室温架橋性組成物。但し、化合物(A‐1)は一分子中に2個以上の加水分解性シリル基を有する化合物。化合物(A‐2)は一分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物よりなる架橋性化合物。化合物(B‐2)は架橋性化合物(A‐2)を架橋せしめる化合物。化合物(B−1)は化合物(A‐1)を架橋せしめるフッ素アニオンを有する化合物。
  2. 化合物(B−2)がポリアミン又はポリオールであることを特徴とする請求項1記載の二液型室温架橋性組成物。
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