JP7129002B2 - 構造体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、構造体の製造方法に関する。
近年、製造ラインでの適性に優れることから、粘着テープ等の成形品に替わり、塗布型の硬化性組成物を用いる場合が増えている。
建築用途や自動車用途等の構造体製造用の塗布型硬化性組成物として、例えば、特許文献1には、反応性ケイ素基を分子末端に有するビニル系重合体、粘着付与樹脂、充填材、及び/又はチクソ性付与剤、硬化触媒を含む湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
特開2009-024108号公報
しかし、特許文献1に記載の硬化性組成物は湿気硬化型反応性ホットメルト接着剤であるため、一般的には100~150℃程度の高温で加熱溶融しながら塗布される。そのため、比較的熱に弱い材料を用いて構造体を製造する場合、接着剤の塗布によって基材が変形したり、基材を傷める可能性がある。
更に、構造体の製造においては、次工程への移行時や一時保管の際にある程度の振動や衝撃が加わってもずれが生じないよう、十分な初期固定性が求められる。しかし、湿気硬化性の接着剤は、完全に硬化するまでには一定の養生時間を要するため、十分な初期固定性、及び硬化速度を満たすことが困難である。
よって本発明は、比較的低温(例えば、80℃以下)で塗布が可能であり、構造体製造時の初期固定性、及び塗布後の硬化性に優れる硬化性組成物を用いた構造体の製造方法が提供される。
すなわち、本発明は次の構造体の製造方法、及び構造体の製造用硬化性組成物に関する。
(1)(A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含有する、密閉容器に収容された硬化性組成物を部材に、塗布する塗布工程を含み、前記(C)硬化触媒は、一般式RSnO(式中、R及びRは、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、前記硬化性組成物の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、前記(C)硬化触媒を活性化させた後の前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で前記硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、構造体の製造方法。
(2)前記構造体が、建築物である(1)に記載の構造体の製造方法。
(3)前記構造体が、建築用部材である(1)に記載の構造体の製造方法。
(4)前記硬化性組成物の80℃での粘度が500Pa・s以上2,000Pa・s以下である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の構造体の製造方法。
(5)(A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含み、前記(C)硬化触媒は、一般式RSnO(式中、R及びRは、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、活性化された前記(C)硬化触媒を含む前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、密閉容器に収容された構造体の製造用硬化性組成物。
本発明によれば、反応性ホットメルト接着剤の至適温度では変形や傷みが生じ得る材料に対しても適切に使用することができ、構造体製造時の初期固定性、及び塗布後の硬化性に優れる硬化性組成物を用いることで、構造体を構成する材料の材質を選ばず、長期の使用に耐えうる構造体を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<構造体の製造方法>
本発明の構造体の製造方法は、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含む密閉容器に収容された硬化性組成物を、構造体に塗布する塗布工程を含む。
〔塗布工程〕
塗布工程は、硬化性組成物を塗布対象物に塗布する工程である。塗布工程では、硬化性組成物を常温で塗布してもよく、空気を遮断した状態で塗布に適した粘度になるまで加熱して塗布してもよい。塗布工程において硬化性組成物を加熱する際、熱に脆弱な材料に対しても広く使用可能とするため、加熱温度は30℃~100℃が好ましく、30℃~90℃であることがより好ましく、50~80℃であることが特に好ましい。ただし、加熱温度は、加熱時における周囲環境の温度より高い温度である。
[硬化性組成物の粘度]
(常温での粘度)
硬化性組成物の常温(例えば、23℃50%RH環境下)での粘度は、800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、好ましくは1,500Pa・s以上3,500Pa・s以下であり、より好ましくは2,000Pa・s以上3,000Pa・s以下である。
硬化性組成物の23℃50%RH環境下での粘度が上記範囲であることにより、硬化性組成物は、常温等の比較的低い温度帯であっても、液状の性状を示し、作業性に優れると共に、容器への充填性や、構造体製造時の初期固定性に優れる。特に、2,000Pa・s以上3,000Pa・s以下にすることで、作業性と、初期固定性とのバランスに優れる点で好ましい。
硬化性組成物の常温での粘度が過少であると、硬化性組成物を対象物へ塗布した後の初期固定性が不十分となる可能性がある。一方、硬化性組成物の常温での粘度が過大であると、硬化性組成物を高温(例えば、120℃以上)に加熱しなければ、塗布に適した粘度にすることができない可能性がある。
塗布対象物が熱可塑性樹脂成形体等の熱に脆弱な材料である場合、対象物に硬化性組成物を塗布する際、高温に加熱された硬化性組成物が有する熱によって、熱可塑性樹脂成形体等が変形したり、熱可塑性樹脂成形体等を傷める場合がある。そのため、構造体を製造するにあたり、塗布対象物の材質によって、異なる種類の硬化性組成物を使用しなければならず、硬化性組成物の汎用性が劣るため、塗布に適した粘度にするための加熱温度は低い方が好ましい。
(80℃での粘度)
また、本発明において用いる硬化性組成物の80℃での粘度は、塗布性の観点から、500Pa・s以上2,000Pa・s以下であり、好ましくは600Pa・s以上1,500Pa・s以下である。
硬化性組成物の80℃での粘度が上記範囲であることにより、硬化性組成物を高温(例えば、120℃以上)に加熱しなくても、硬化性組成物を対象物に塗布することができる。
[塗布方法]
本発明に用いる硬化性組成物の塗布方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、ビード塗布や、点状塗布が挙げられる。硬化性組成物を高温に加熱することを要さず塗布できるため、硬化性組成物を充填した容器から押し出すための押出しガンによる塗布や、連続自動生産による塗布等、用途に応じて適した塗布方法を用いることができる。
〔硬化性組成物〕
本発明において用いる硬化性組成物は、高粘度でありながら、製造安定性と、塗布後の初期固定性及び硬化性に優れた湿気硬化性組成物であり、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填材と、(C)硬化触媒とを含む。
本発明者らは、構造体の製造に用いる硬化性組成物の初期固定性を向上させるため、構造体を構成する材料に塗布した後、早急に高粘度の状態となるような湿気硬化性組成物を検討した。
比較的熱に弱い材料にも適用可能であり、硬化性組成物を塗布した後、早急に高粘度の状態にするためには、常温(例えば、23℃)環境下で高粘度の湿気硬化性組成物を適用することが考えられる。しかし、一般的な製造装置を用いて高粘度の湿気硬化性組成物を製造すると、低粘度の湿気硬化性組成物の場合とは異なり、製造時の硬化進行が顕著に現れ、容器への充填すら困難となる場合があり、製造面での問題があることが分かった。
高粘度の湿気硬化性組成物について製造安定性が低下するのは、高粘度の組成物は製造装置で混練する際に空気を巻き込みやすく、空気中に含まれる湿分によって、製造中であっても湿気硬化性組成物の硬化が進行するためと推測される。よって、一般的な製造装置を用いて高粘度の湿気硬化性組成物を製造する場合、製造安定性が低下すると考えられる。
そこで、本発明者らは、一般的な製造装置を用いて高粘度の湿気硬化性組成物を製造する場合であっても製造安定性に優れる硬化性組成物の製造方法を検討した。その結果、硬化性組成物の製造時においては活性が相対的に弱い触媒を用いて硬化性組成物を製造し、製造した硬化性組成物(当該触媒を含有する)を密閉容器に充填して密閉した後、硬化性組成物の使用前に硬化性組成物を密閉容器に密閉した状態で加熱すると当該触媒の活性が相対的に向上し、製造安定性に優れる構造体の製造用硬化性組成物が得られることを見出した。よって、本発明において用いる硬化性組成物は、硬化性組成物の製造安定性と、構造体製造時の初期固定性とを両立した組成物である。
なお、本発明において粘度は、B形粘度計を用いて、JIS K6833-1に準拠し、23℃50%RH環境下、回転数10r/minで測定した値をいうものとし、高粘度とは、構造体の種類によって初期固定性が十分な粘度であれば良いが、例えば、800Pa・s以上のことをいう。
[(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体]
(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である(以下、A成分ともいう。)。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が好ましい。
Figure 0007129002000001
式(1)中、Rは、有機基を示す。なお、Rは、炭素数が1~20の炭化水素基が好ましい。これらの中でRは、特にメチル基が好ましい。Rは、置換基を有していてもよい。Xは水酸基又は加水分解性基を示し、Xが2個以上存在する場合、複数のXは同一であっても、異なっていてもよい。aは1、2又は3の整数である。
Xで示される加水分解性基としては、特に限定されないが、例えば、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。これらの中では、加水分解性が穏やかで取扱いやすいという観点からアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ない基の方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられる。
架橋性ケイ素基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基(-Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基(-SiR(OR)が挙げられる。ここでRはメチル基やエチル基等のアルキル基である。トリアルコキシシリル基はジアルコキシシリル基よりも反応性が大きく速硬化性の組成物を調製できる。また、ジアルコキシシリル基はトリアルコキシシリル基より安定であるので安定な組成物を調製できる。
架橋性ケイ素基は1種で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基は、主鎖又は側鎖、若しくはいずれに結合していてもよい。(A)成分の有機重合体において、架橋性ケイ素基は、有機重合体1分子中に平均して1.0個以上5個以下存在することが好ましく、1.1~3個存在することがより好ましい。
(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の主鎖骨格の例としては、ポリオキシアルキレン系重合体;ポリオレフィン系重合体、水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;(メタ)アクリル酸エステル系重合体等のビニル系重合体;有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体等が挙げられる。これらの骨格は、(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の中に単独で含まれていても、2種類以上がブロック若しくはランダムに含まれていてもよい。
ポリイソブチレン、水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン等の飽和炭化水素系重合体や、ポリオキシアルキレン系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は比較的ガラス転移温度が低く、得られる硬化物の脆さがよく改善されることから好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、透湿性が高く深部硬化性に優れることから特に好ましい。
主鎖骨格がオキシアルキレン系重合体であり末端に架橋性ケイ素基を有するポリマーは、本質的に一般式(2)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
-R-O-・・・(2)
(式中、Rは炭素数が1~14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基であり、炭素数が2~4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましい。)
一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、-CHCHO-、-CHCH(CH)O-、-CHCHCHCHO-等が挙げられる。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体からなる主鎖骨格が好ましい。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量の下限としては15,000が好ましく、18,000が更に好ましく、20,000がより好ましい。また、数平均分子量の上限は50,000、更には40,000が好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量である。数平均分子量が15,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると組成物の粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基の含有量を適度に低下させると、硬化物における架橋密度が低下するので、より柔軟な硬化物になり、モジュラス特性が小さくなると共に破断時伸び特性が大きくなる。ポリオキシアルキレン系重合体において架橋性ケイ素基は、重合体1分子中に平均して1.2個以上2.8個以下存在することが好ましく、1.3個以上2.6個以下存在することがより好ましく、1.4個以上2.4個以下存在することが更に好ましい。分子中に含まれる架橋性ケイ素基の数が1個未満になると硬化性が不十分になり、また多すぎると網目構造があまりに密になるため良好な機械特性を示さなくなる。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状でも分岐を有してもよい。引張モジュラスを小さくする観点からは、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状の重合体が好ましい。また、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)は2以下、特には1.6以下が好ましい。なお、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量である。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、例えば、KOHのようなアルカリ触媒による重合法、例えば、複金属シアン化物錯体触媒による重合法等が挙げられるが、特に限定されない。複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いポリオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、例えば、トルエンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体との反応から得られる成分を挙げることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性ケイ素基の導入は分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基、又はイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を有する官能基、及び架橋性ケイ素基を有する化合物を反応させることにより可能である(以下、高分子反応法という。)。
高分子反応法の例として、不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体に架橋性ケイ素基を有するヒドロシランや、架橋性ケイ素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を得る方法を挙げることができる。不飽和基含有ポリオキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物を反応させて得ることができる。
また、高分子反応法の他の例として、末端に水酸基を有するポリオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基、並びに架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法や、末端にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基、並びに架橋性ケイ素基を有する化合物とを反応させる方法を挙げることができる。イソシアネート化合物を用いると、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体を容易に得ることができる。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の主鎖を構成する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、各種のモノマーを用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸系モノマー;(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー;脂環式(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;芳香族(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体では、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共にビニル系モノマーを共重合することもできる。ビニル系モノマーを例示すると、スチレン、無水マレイン酸、酢酸ビニル等が挙げられる。また、単量体単位(以下、他の単量体単位とも称する)として、これら以外にアクリル酸を含有してもよい。
これらは、単独で用いても、複数を共重合させてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法は、例えば、ラジカル重合反応を用いたラジカル重合法を用いることができる。ラジカル重合法としては、重合開始剤を用いて所定の単量体単位を共重合させるラジカル重合法(フリーラジカル重合法)や、末端等の制御された位置に架橋性ケイ素基を導入できる制御ラジカル重合法が挙げられる。
制御ラジカル重合法としては、特定の官能基を有する連鎖移動剤を用いたフリーラジカル重合法やリビングラジカル重合法が挙げられる。原子移動ラジカル重合法(Atom Transfer Radical Polymerization;ATRP)等のリビングラジカル重合法を採用することが好ましい。なお、主鎖骨格が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって、その一部がテレケリックポリマーである重合体(以下、「疑似テレケリックポリマー」という。)を合成する反応として、架橋性ケイ素基を有するチオール化合物を用いた反応や、架橋性ケイ素基を有するチオール化合物、及びメタロセン化合物を用いた反応が挙げられる。
これらの架橋性ケイ素基を有する有機重合体は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。具体的には、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、並びに架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される2種以上をブレンドした有機重合体を用いることができる。特に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体が優れた特性を有する。
架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体とをブレンドした有機重合体の製造方法としては、様々な方法が挙げられる。例えば、架橋性ケイ素基を有し、分子鎖が実質的に、一般式(3):
-CH-C(R)(COOR)- ・・・(3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基、Rは炭素数が1~5のアルキル基を示す。好ましくは、炭素数が1~2のアルキル基が挙げられる。なお、Rは単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、一般式(6):
-CH-C(R)(COOR)- ・・・(4)
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数が6以上のアルキル基を示す。好ましくは2-エチルヘキシル基、ステアリル基等の炭素数が8~20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、Rは単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が挙げられる。
ここで、「実質的に」とは、共重合体中に存在する式(3)及び式(4)の単量体単位の合計が50質量%を越えることを意味する。式(3)及び式(4)の単量体単位の合計は好ましくは70質量%以上である。また式(3)の単量体単位と式(4)の単量体単位との存在比は、質量比で95:5~40:60が好ましく、90:10~60:40が更に好ましい。
架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の数平均分子量は、600以上10,000以下が好ましく、1,000以上5,000以下がより好ましく、1,000以上4,500以下が更に好ましい。数平均分子量をこの範囲にすることにより、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体との相溶性が向上する。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、単独で用いても、2種以上併用してもよい。架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体との配合比には特に制限はないが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とポリオキシアルキレン系重合体との合計100質量部に対して、(メタ)アクリル酸エステル系重合体が5~80質量部の範囲内であることが好ましく、10~60質量部の範囲内がより好ましく、15~45質量部の範囲内が更に好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系重合体が80質量部より多いと粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
更に、本発明においては架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体と架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体とをブレンドした有機重合体も用いることができる。架橋性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体をブレンドして得られる有機重合体の製造方法としては、他にも、架橋性ケイ素基を有する有機重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体を重合する方法を利用できる。
[(B)充填材]
充填剤は、硬化性組成物の粘度を調整し、硬化性組成物の塗布後の初期固定性を確保すると共に、得られる硬化物の接着性や耐熱性を更に高める役割を担う(以下、B成分ともいう。)。
(B)充填剤としては、特に限定されず、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土含水ケイ酸、含水けい酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、シリカ(溶融シリカ、沈降性シリカ)、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライト、けいそう土、白土、木粉、クルミ殻粉、もみ殻粉、石英粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。このうち炭酸カルシウムが好ましく、表面処理が施された脂肪酸処理炭酸カルシウムがより好ましい。
また、ガラスビーズ、シリカビーズ、アルミナビーズ、カーボンビーズ、スチレンビーズ、フェノールビーズ、アクリルビーズ、多孔質シリカ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、サランバルーン、アクリルバルーン等を用いることもでき、これらの中で、組成物の硬化後の伸びの低下が少ない点からアクリルバルーンがより好ましい。
充填剤は、単独で用いても、2種以上併用しても良い。
(B)充填剤の配合量は、特に限定されるものではないが、硬化性組成物の常温(例えば、23℃50%RH環境下)での粘度を800Pa・s以上にするため、(B)充填剤の配合量は、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して200質量部を超えることが好ましい。そして、当該粘度を4000Pa・s以下に抑えるため、(B)充填剤の配合量の上限は、500質量部以下であることが好ましく、400質量部以下であることがより好ましい。
(B)充填剤の配合量が過少であると、硬化性組成物を、構造体を構成する材料へ塗布した後の初期固定性が不足する場合がある。
一方、(B)充填剤の配合量が過大であると、硬化性組成物の常温での粘度が高くなりすぎるため、一般的な製造装置では製造時の硬化抑制が困難となり硬化性組成物の製造安定性が劣る場合や、高温での加熱(例えば、120℃以上)をしなければ塗布に適した粘度とならない場合がある。
[(C)硬化触媒]
(C)硬化触媒としては、従来公知のシラノール縮合触媒を用いることができ、有機錫化合物、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩等のチタン化合物、ビスマストリス2-エチルヘキソエート等のビスマス化合物、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等のカルボン酸の錫塩:ジブチルアミン-2-エチルヘキソエート等のアミン塩を挙げることができる(以下、C成分ともいう。)。これらの中では有機錫化合物を用いることが好ましい。
有機錫化合物の中でも特に、一般式RSnO(式中、R及びRは、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表される有機錫化合物を用いることが好ましい。
及びRの1価の炭化水素基としては、特に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ドデシル基、ラウリル基、プロペニル基、フェニル基、トリル基等の炭素数1~20程度の炭化水素基が好適な例として挙げられる。R及びRは同一でも異なっていてもよい。
一般式RSnOで示される硬化触媒としては、特に、ジメチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイドが好ましい。これらの硬化触媒は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
一般式RSnOで表される有機錫化合物(以下、熱活性化触媒ともいう。)を用いる場合、常温(例えば、23℃)環境下では触媒活性が低く湿気による硬化が進行しづらいが、加熱することで触媒活性が高くなるため、高粘度の湿気硬化性組成物の製造にあたって完全密閉が可能な製造装置ではなく、一般的な製造装置を用いる場合であっても、組成物の製造時には硬化進行を抑制することができ、使用時(構造体の製造時)には十分な硬化性を発現させることができる。
また、本発明に用いる硬化性組成物において、(C)硬化触媒として熱活性化触媒を用いる場合、硬化性組成物を密閉容器に充填した後、加熱することで触媒活性を高めることができるため、硬化性組成物の製造時の粘度を製造に適した粘度に抑えながら、構造体の製造時には初期固定に十分な粘度の組成物を得ることができる。
(C)硬化触媒の配合量は、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下がより好ましい。(C)硬化触媒の配合量が0.1質量部未満であると、硬化に時間がかかるため、構造体の製造時、次工程への移行に影響する可能性があり、10質量部を超えると、可使時間が不十分になる可能性がある。
[その他の添加剤]
本発明に係る硬化性組成物は、上述した成分に加えて、必要に応じて、希釈剤、可塑剤、シランカップリング剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、粘着付与剤、垂れ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、ラジカル重合開始剤等を配合してもよく、また相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
(希釈剤)
希釈剤は、硬化性組成物の粘度や、硬化性組成物を塗布する工程における作業性を調整する目的で添加される。
希釈剤として、沸点250℃以下の一般的な有機溶剤が好適に使用できるが、硬化性組成物の硬化過程で揮発して、最終的には、硬化物中に殆ど残らないものが好ましい。希釈剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、飽和炭化水素系溶剤;芳香族炭化水素系溶剤;エステル系溶剤;ケトン系溶剤;アルコール系溶剤;ハロゲン系溶剤等が挙げられる。希釈剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(可塑剤)
可塑剤は、硬化物の伸び物性を高めたり、低モジュラス化を目的として添加される。可塑剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;脂肪酸一塩基酸エステル類;脂肪酸二塩基酸エステル類;グリコールエステル類;脂肪族エステル類;エポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤;ポリエーテル類;ポリスチレン類、アクリル系可塑剤等が挙げられる。可塑剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、硬化性組成物の接着性を向上させ、硬化を促進する目的で添加される。シランカップリング剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルメトキシシラン等のアミノシラン類、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
(脱水剤)
脱水剤は、保存中における水分を除去する目的で添加される。脱水剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメトルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。
(粘着付与剤)
粘着付与剤は、初期の固定性を向上する目的で添加することができる。粘着付与剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びこれを水素添加した水素添加テルペン樹脂、テルペン類をフェノール類と共重合させたテルペン-フェノール樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、キシレン-フェノール樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、スチレン共重合体樹脂、石油樹脂(例えば、C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、C5C9炭化水素共重合樹脂等)、水添石油樹脂、DCPD樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いる硬化性組成物においては、耐熱クリープ性が低下する可能性があるため、粘着付与剤は添加しない方が好ましいが、添加する場合にはごく少量であることが好ましく、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが特に好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために用いられる化合物であり、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、硬化物の光劣化を防止して、耐候性を改善するために用いられる化合物であり、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
〔硬化性組成物の製造方法〕
本発明に係る硬化性組成物の製造方法は、混合工程と容器充填工程とを有する。更に、本発明に係る硬化性組成物の製造方法は、例えば、硬化性組成物の実際の使用前に触媒活性工程を有する。
[混合工程]
混合工程は、上述した成分(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒と、必要に応じて添加剤とを従来公知の方法により混合して、硬化性組成物を調製する工程である。なお、混合工程は、完全密閉可能な混合装置を用いることは要さず、空気の存在下でも実行できる。ただし、完全密閉可能な混合装置の使用を排除するものではない。
[容器充填工程]
容器充填工程は、上述した混合工程で調製された硬化性組成物を密閉容器に充填する工程である。充填方法としては、従来公知の方法で充填することができ、特に限定されない。
[密閉容器]
上述した硬化性組成物は、密閉容器に充填されている。(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体が有する架橋性ケイ素基は、空気中の湿気によって架橋が進み硬化する。そこで、保存安定性を確保する上で、硬化性組成物は、密閉容器に収容されていることが好ましい。
密閉容器は、硬化性組成物を密閉できれば、その形状は、特に限定されるものではなく、用途に応じて選択すればよい。例えば、硬化性組成物を3~50L収容可能なペール缶や、硬化性組成物を1L未満収容可能なカートリッジ容器等が挙げられる。
[触媒活性工程]
触媒活性工程は、硬化性組成物中の成分(C)硬化触媒の活性を高める工程である。
(C)硬化触媒の活性化の一例として、密閉容器に充填し、密閉した硬化性組成物を30℃~150℃、好ましくは50~150℃、より好ましくは70~120℃の環境下で、1~6日間、好ましくは1~4日間加熱することが挙げられる。
加熱温度及び加熱時間は、硬化性組成物の充填形態や、硬化触媒の種類によって、適宜調整されればよい。例えば、容量20Lのペール缶では、90℃4日間程度が好ましく、容量333mLのカートリッジ容器では、100℃で1日間程度が好ましい。
一般に、上記加熱温度が150℃を超えると、硬化性組成物の劣化が進みやすく、30℃未満では硬化触媒の活性化に必要な加熱時間が長時間となり、硬化性組成物の製造効率が悪くなる場合がある。
なお、必要以上に硬化性組成物を加熱すると、組成物が劣化し、所期の性能から変化する可能性があるため、所定の触媒活性工程後、常温環境下で、密閉容器に充填されたまま硬化性組成物を常温に戻しておくことが、硬化性組成物の性能の安定性の面で好ましい。
本発明において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が、触媒活性工程前の硬化性組成物は、用いる製造装置等によって適した時間を確保すればよいが、例えば2時間以上であることが好ましく、3時間以上であることが特に好ましい。また、触媒活性工程後の硬化性組成物は、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下であり、好ましくは1分以上20分以下、より好ましくは3分以上15分以下である。指触乾燥時間が上記範囲であることにより、製造安定性に優れると共に、使用時には速硬化性を示し、初期固定性にも優れる。
〔塗布対象物〕
上記〔硬化性組成物の製造方法〕によって製造された硬化性組成物は、対象となる部材に塗布するために用いられる。
本発明において、構造体の製造における塗布対象の形状や材質は、特に限定されない。
本発明における構造体の製造方法は、初期固定性を求められる用途であれば特に限定されず適用することができ、例えば、建築用途(建築物の目地部へのシーリングや、建築部材の製造等)や、自動車の製造において特に好適に用いることができる。また、本発明において用いる硬化性組成物は、接着剤やシーリング材、ポッティング材、コーティング剤等として好適に用いることができる。
(実施の形態の効果)
本発明に係る硬化性組成物は、反応性ホットメルト接着剤の至適温度(100℃を超え、例えば、120℃程度)で変形や傷みが生じ得る材料に対しても適切に用いることができる。また、本発明においては、加熱前は(C)硬化触媒の触媒活性が低いので、硬化性組成物の製造時に当該硬化性組成物の粘度を製造に適した粘度に抑えることができると共に、構造体等の製造時の前に加熱して(C)硬化触媒の触媒活性を高めることで、構造体の初期固定に十分な粘度を有する硬化性組成物を得ることができる。これにより、本発明に係る硬化性組成物によれば、構造体製造時には初期固定性を発揮すると共に塗布後の硬化性に優れるので、構造体を構成する材料の材質を選ばず、長期の使用に耐えうる構造体を製造できる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<硬化性組成物の調製>
実施例及び比較例において、表1に示す組成及び質量比にて各成分を混合した。
Figure 0007129002000002
表1において、各々の成分は以下のとおりである。
(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体
*1:A1成分,主鎖がポリオキシプロピレンで分子末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーと、主鎖がポリメタクリル酸エステルの共重合体で分子中にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーとの混合物(製品名:サイリルMA440、カネカ株式会社製)
*2:A2成分,主鎖がポリプロピレンオキサイドで架橋性ケイ素基を反応基として有しているポリマー(製品名:MSポリマーS327、カネカ株式会社製)
(B)充填剤
*3:重質炭酸カルシウム(製品名:ホワイトンSB、白石カルシウム株式会社製)
*4:コロイド炭酸カルシウム(製品名:カルファイン500、丸尾カルシウム株式会社製)
(C)特定の硬化触媒
*5:ジオクチル錫オキサイド(製品名:U-800P、日東化成株式会社製)
*6:ジブチル錫オキサイド(製品名:U-300、日東化成株式会社製)
(C’)他の硬化触媒
*7:ジオクチル錫ジネオデカノエート(製品名:U-830、日東化成株式会社製)
*8:ジブチル錫ジラウレート(製品名:MSCAT-02、日東化成株式会社製)
(D)添加剤
*9:希釈剤,ノルマルパラフイン(製品名:N-11、JXエネルギー株式会社社製)
*10:可塑剤,ポリオキシプロピレントリオール(製品名:S3011、旭硝子株式会社製)
*11:シランカップリング剤,3-アミノプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM903、信越化学工業株式会社製)
<評価>
実施例及び比較例の初期固定性、粘度、硬化性組成物の触媒活性工程前の硬化性(製造安定性)、触媒活性工程後の硬化性について、次のように評価した。
〔初期固定性〕
実施例1~5及び比較例1~3の密閉容器(カートリッジ)入り硬化性組成物を、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。その後、80℃に加熱した状態の硬化性組成物を、アルミ板(幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mm)に、幅25mm×長さ25mmの塗布面積で塗布し、直ちに、同種のアルミ板と貼り合わせた。貼り合わせた試験体を、23℃50%RH下で10分間養生した後に、JIS K6850に準拠し、試験速度を500mm/minに設定して引張せん断強さ試験を実施した。結果を表1に示す。
〔粘度〕
[23℃50%RHでの粘度]
実施例1~5及び比較例1に係る硬化性組成物を表1に記載の配合割合でそれぞれ調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填し、密閉した後、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。その後、硬化性組成物を密閉容器から取り出し、23℃50%RH下で組成物の粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製、TVB10型粘度計No.7ローター、回転数:10rpm、測定時間:60秒間)を用いて測定した。結果を表1に示す。
また、比較例2及び3に係る硬化性組成物を表1に記載の配合割合でそれぞれ調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填し、密閉した後、23℃50%RH下で24時間静置した。その後、硬化性組成物を密閉容器から取り出し、23℃50%RH下で組成物の粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製、TVB10型粘度計No.7ローター、回転数:10rpm、測定時間:60秒間)を用いて測定した。結果を表1に示す。
[80℃での粘度]
実施例1~5及び比較例1に係る硬化性組成物を表1に記載の配合割合でそれぞれ調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填し、密閉した硬化性組成物を、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した後、密閉容器ごと80℃に加熱した以外は、23℃50%RHでの粘度と同様の方法で粘度を測定した。結果を表1に示す。
また、比較例2及び3に係る硬化性組成物についても表1に記載の配合割合で調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填後、密閉し、23℃50%RH下で24時間静置した後、密閉容器ごと80℃に加熱した以外は、23℃50%RHでの粘度と同様の方法で粘度を測定した。結果を表1に示す。
〔触媒活性工程前の硬化性〕(製造安定性)
実施例1~5及び比較例1~3の硬化性組成物を密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填、密封し、23℃50%RH下で24時間静置した後、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験を実施した。指触乾燥時間の測定結果を表1に示す。
〔触媒活性工程後の硬化性〕
実施例1~5及び比較例1~3の硬化性組成物を密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填、密封し、100℃環境下で24時間加熱した後、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験を実施した。指触乾燥時間の測定結果を表1に示す。
<結果>
加熱により高い活性を発現する(C)硬化触媒を用いた実施例1~5では、触媒の活性化を要せず十分な活性を有する硬化触媒を用いた比較例1及び2に比べ、製造安定性に優れていた。また、加熱により高い活性を発現する(C)硬化触媒を用いているものの、触媒が活性化された後の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s未満である比較例3では、初期固定性が不十分であった。

Claims (5)

  1. (A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含有する、密閉容器に収容された硬化性組成物を、部材に塗布する塗布工程を含み、
    前記(C)硬化触媒は、一般式RSnO(式中、R及びRは、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、
    前記硬化性組成物の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、
    前記(C)硬化触媒を活性化させた後の前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で前記硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、構造体の製造方法。
  2. 前記構造体が、建築物である請求項1に記載の構造体の製造方法。
  3. 前記構造体が、建築用部材である請求項1に記載の構造体の製造方法。
  4. 前記硬化性組成物の80℃での粘度が500Pa・s以上2,000Pa・s以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
  5. (A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含み、
    前記(C)硬化触媒は、一般式RSnO(式中、R及びRは、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、
    23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、
    活性化された前記(C)硬化触媒を含む前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、
    密閉容器に収容された構造体の製造用硬化性組成物。
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