JP7129002B2 - 構造体の製造方法 - Google Patents
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(1)(A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含有する、密閉容器に収容された硬化性組成物を部材に、塗布する塗布工程を含み、前記(C)硬化触媒は、一般式R7R8SnO(式中、R7及びR8は、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、前記硬化性組成物の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、前記(C)硬化触媒を活性化させた後の前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で前記硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、構造体の製造方法。
(2)前記構造体が、建築物である(1)に記載の構造体の製造方法。
(3)前記構造体が、建築用部材である(1)に記載の構造体の製造方法。
(4)前記硬化性組成物の80℃での粘度が500Pa・s以上2,000Pa・s以下である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の構造体の製造方法。
(5)(A)架橋性ケイ基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含み、前記(C)硬化触媒は、一般式R7R8SnO(式中、R7及びR8は、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、活性化された前記(C)硬化触媒を含む前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、密閉容器に収容された構造体の製造用硬化性組成物。
本発明の構造体の製造方法は、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含む密閉容器に収容された硬化性組成物を、構造体に塗布する塗布工程を含む。
塗布工程は、硬化性組成物を塗布対象物に塗布する工程である。塗布工程では、硬化性組成物を常温で塗布してもよく、空気を遮断した状態で塗布に適した粘度になるまで加熱して塗布してもよい。塗布工程において硬化性組成物を加熱する際、熱に脆弱な材料に対しても広く使用可能とするため、加熱温度は30℃~100℃が好ましく、30℃~90℃であることがより好ましく、50~80℃であることが特に好ましい。ただし、加熱温度は、加熱時における周囲環境の温度より高い温度である。
(常温での粘度)
硬化性組成物の常温(例えば、23℃50%RH環境下)での粘度は、800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、好ましくは1,500Pa・s以上3,500Pa・s以下であり、より好ましくは2,000Pa・s以上3,000Pa・s以下である。
また、本発明において用いる硬化性組成物の80℃での粘度は、塗布性の観点から、500Pa・s以上2,000Pa・s以下であり、好ましくは600Pa・s以上1,500Pa・s以下である。
本発明に用いる硬化性組成物の塗布方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、ビード塗布や、点状塗布が挙げられる。硬化性組成物を高温に加熱することを要さず塗布できるため、硬化性組成物を充填した容器から押し出すための押出しガンによる塗布や、連続自動生産による塗布等、用途に応じて適した塗布方法を用いることができる。
本発明において用いる硬化性組成物は、高粘度でありながら、製造安定性と、塗布後の初期固定性及び硬化性に優れた湿気硬化性組成物であり、(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填材と、(C)硬化触媒とを含む。
(A)架橋性ケイ素基を有する有機重合体の架橋性ケイ素基は、ケイ素原子に結合した水酸基又は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る基である(以下、A成分ともいう。)。架橋性ケイ素基としては、例えば、一般式(1)で示される基が好ましい。
-R3-O-・・・(2)
(式中、R3は炭素数が1~14の直鎖状若しくは分岐アルキレン基であり、炭素数が2~4の直鎖状若しくは分岐アルキレン基が好ましい。)
-CH2-C(R4)(COOR5)- ・・・(3)
(式中、R4は水素原子又はメチル基、R5は炭素数が1~5のアルキル基を示す。好ましくは、炭素数が1~2のアルキル基が挙げられる。なお、R5は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、一般式(6):
-CH2-C(R4)(COOR6)- ・・・(4)
(式中、R4は前記に同じ、R6は炭素数が6以上のアルキル基を示す。好ましくは2-エチルヘキシル基、ステアリル基等の炭素数が8~20の長鎖のアルキル基が挙げられる。なお、R6は単独でもよく、2種以上混合していてもよい。)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体に、架橋性ケイ素基を有するポリオキシアルキレン系重合体をブレンドして製造する方法が挙げられる。
充填剤は、硬化性組成物の粘度を調整し、硬化性組成物の塗布後の初期固定性を確保すると共に、得られる硬化物の接着性や耐熱性を更に高める役割を担う(以下、B成分ともいう。)。
(C)硬化触媒としては、従来公知のシラノール縮合触媒を用いることができ、有機錫化合物、アルキルチタン酸塩、有機ケイ素チタン酸塩等のチタン化合物、ビスマストリス2-エチルヘキソエート等のビスマス化合物、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等のカルボン酸の錫塩:ジブチルアミン-2-エチルヘキソエート等のアミン塩を挙げることができる(以下、C成分ともいう。)。これらの中では有機錫化合物を用いることが好ましい。
本発明に係る硬化性組成物は、上述した成分に加えて、必要に応じて、希釈剤、可塑剤、シランカップリング剤、脱水剤(保存安定性改良剤)、粘着付与剤、垂れ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、着色剤、ラジカル重合開始剤等を配合してもよく、また相溶する他の重合体をブレンドしてもよい。
希釈剤は、硬化性組成物の粘度や、硬化性組成物を塗布する工程における作業性を調整する目的で添加される。
可塑剤は、硬化物の伸び物性を高めたり、低モジュラス化を目的として添加される。可塑剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、リン酸エステル類;フタル酸エステル類;脂肪酸一塩基酸エステル類;脂肪酸二塩基酸エステル類;グリコールエステル類;脂肪族エステル類;エポキシ可塑剤類;ポリエステル系可塑剤;ポリエーテル類;ポリスチレン類、アクリル系可塑剤等が挙げられる。可塑剤は、単独で用いても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤は、硬化性組成物の接着性を向上させ、硬化を促進する目的で添加される。シランカップリング剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルメチルメトキシシラン等のアミノシラン類、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン類、γ-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等のイソシアネートシラン類等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、単独で使用しても、2種以上併用してもよい。
脱水剤は、保存中における水分を除去する目的で添加される。脱水剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメトルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等のシラン化合物が挙げられる。
粘着付与剤は、初期の固定性を向上する目的で添加することができる。粘着付与剤としては、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びこれを水素添加した水素添加テルペン樹脂、テルペン類をフェノール類と共重合させたテルペン-フェノール樹脂、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、キシレン-フェノール樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、クマロンインデン樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル樹脂、水添ロジンエステル樹脂、キシレン樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、スチレン共重合体樹脂、石油樹脂(例えば、C5炭化水素樹脂、C9炭化水素樹脂、C5C9炭化水素共重合樹脂等)、水添石油樹脂、DCPD樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
酸化防止剤は、硬化物の酸化を防止して、耐候性を改善するために用いられる化合物であり、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール系の酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤は、硬化物の光劣化を防止して、耐候性を改善するために用いられる化合物であり、従来公知の化合物を用いることができ、特に限定はないが、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
本発明に係る硬化性組成物の製造方法は、混合工程と容器充填工程とを有する。更に、本発明に係る硬化性組成物の製造方法は、例えば、硬化性組成物の実際の使用前に触媒活性工程を有する。
混合工程は、上述した成分(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒と、必要に応じて添加剤とを従来公知の方法により混合して、硬化性組成物を調製する工程である。なお、混合工程は、完全密閉可能な混合装置を用いることは要さず、空気の存在下でも実行できる。ただし、完全密閉可能な混合装置の使用を排除するものではない。
容器充填工程は、上述した混合工程で調製された硬化性組成物を密閉容器に充填する工程である。充填方法としては、従来公知の方法で充填することができ、特に限定されない。
上述した硬化性組成物は、密閉容器に充填されている。(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体が有する架橋性ケイ素基は、空気中の湿気によって架橋が進み硬化する。そこで、保存安定性を確保する上で、硬化性組成物は、密閉容器に収容されていることが好ましい。
触媒活性工程は、硬化性組成物中の成分(C)硬化触媒の活性を高める工程である。
上記〔硬化性組成物の製造方法〕によって製造された硬化性組成物は、対象となる部材に塗布するために用いられる。
本発明に係る硬化性組成物は、反応性ホットメルト接着剤の至適温度(100℃を超え、例えば、120℃程度)で変形や傷みが生じ得る材料に対しても適切に用いることができる。また、本発明においては、加熱前は(C)硬化触媒の触媒活性が低いので、硬化性組成物の製造時に当該硬化性組成物の粘度を製造に適した粘度に抑えることができると共に、構造体等の製造時の前に加熱して(C)硬化触媒の触媒活性を高めることで、構造体の初期固定に十分な粘度を有する硬化性組成物を得ることができる。これにより、本発明に係る硬化性組成物によれば、構造体製造時には初期固定性を発揮すると共に塗布後の硬化性に優れるので、構造体を構成する材料の材質を選ばず、長期の使用に耐えうる構造体を製造できる。
実施例及び比較例において、表1に示す組成及び質量比にて各成分を混合した。
(A)架橋性ケイ素基含有有機重合体
*1:A1成分,主鎖がポリオキシプロピレンで分子末端にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーと、主鎖がポリメタクリル酸エステルの共重合体で分子中にメチルジメトキシシリル基を有するポリマーとの混合物(製品名:サイリルMA440、カネカ株式会社製)
*2:A2成分,主鎖がポリプロピレンオキサイドで架橋性ケイ素基を反応基として有しているポリマー(製品名:MSポリマーS327、カネカ株式会社製)
(B)充填剤
*3:重質炭酸カルシウム(製品名:ホワイトンSB、白石カルシウム株式会社製)
*4:コロイド炭酸カルシウム(製品名:カルファイン500、丸尾カルシウム株式会社製)
(C)特定の硬化触媒
*5:ジオクチル錫オキサイド(製品名:U-800P、日東化成株式会社製)
*6:ジブチル錫オキサイド(製品名:U-300、日東化成株式会社製)
(C’)他の硬化触媒
*7:ジオクチル錫ジネオデカノエート(製品名:U-830、日東化成株式会社製)
*8:ジブチル錫ジラウレート(製品名:MSCAT-02、日東化成株式会社製)
(D)添加剤
*9:希釈剤,ノルマルパラフイン(製品名:N-11、JXエネルギー株式会社社製)
*10:可塑剤,ポリオキシプロピレントリオール(製品名:S3011、旭硝子株式会社製)
*11:シランカップリング剤,3-アミノプロピルトリメトキシシラン(製品名:KBM903、信越化学工業株式会社製)
実施例及び比較例の初期固定性、粘度、硬化性組成物の触媒活性工程前の硬化性(製造安定性)、触媒活性工程後の硬化性について、次のように評価した。
実施例1~5及び比較例1~3の密閉容器(カートリッジ)入り硬化性組成物を、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。その後、80℃に加熱した状態の硬化性組成物を、アルミ板(幅25mm×長さ100mm×厚み1.6mm)に、幅25mm×長さ25mmの塗布面積で塗布し、直ちに、同種のアルミ板と貼り合わせた。貼り合わせた試験体を、23℃50%RH下で10分間養生した後に、JIS K6850に準拠し、試験速度を500mm/minに設定して引張せん断強さ試験を実施した。結果を表1に示す。
[23℃50%RHでの粘度]
実施例1~5及び比較例1に係る硬化性組成物を表1に記載の配合割合でそれぞれ調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填し、密閉した後、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。その後、硬化性組成物を密閉容器から取り出し、23℃50%RH下で組成物の粘度をB型粘度計(東機産業株式会社製、TVB10型粘度計No.7ローター、回転数:10rpm、測定時間:60秒間)を用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例1~5及び比較例1に係る硬化性組成物を表1に記載の配合割合でそれぞれ調製し、密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填し、密閉した硬化性組成物を、100℃環境下で1日間加熱し、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した後、密閉容器ごと80℃に加熱した以外は、23℃50%RHでの粘度と同様の方法で粘度を測定した。結果を表1に示す。
実施例1~5及び比較例1~3の硬化性組成物を密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填、密封し、23℃50%RH下で24時間静置した後、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験を実施した。指触乾燥時間の測定結果を表1に示す。
実施例1~5及び比較例1~3の硬化性組成物を密閉容器(容量333mLのカートリッジ容器)に充填、密封し、100℃環境下で24時間加熱した後、密閉された状態のまま、23℃50%RH下で24時間静置した。JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験を実施した。指触乾燥時間の測定結果を表1に示す。
加熱により高い活性を発現する(C)硬化触媒を用いた実施例1~5では、触媒の活性化を要せず十分な活性を有する硬化触媒を用いた比較例1及び2に比べ、製造安定性に優れていた。また、加熱により高い活性を発現する(C)硬化触媒を用いているものの、触媒が活性化された後の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s未満である比較例3では、初期固定性が不十分であった。
Claims (5)
- (A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含有する、密閉容器に収容された硬化性組成物を、部材に塗布する塗布工程を含み、
前記(C)硬化触媒は、一般式R7R8SnO(式中、R7及びR8は、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、
前記硬化性組成物の23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、
前記(C)硬化触媒を活性化させた後の前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で前記硬化性組成物の指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、構造体の製造方法。 - 前記構造体が、建築物である請求項1に記載の構造体の製造方法。
- 前記構造体が、建築用部材である請求項1に記載の構造体の製造方法。
- 前記硬化性組成物の80℃での粘度が500Pa・s以上2,000Pa・s以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体の製造方法。
- (A)架橋性ケイ素基含有有機重合体と、(B)充填剤と、(C)硬化触媒とを含み、
前記(C)硬化触媒は、一般式R7R8SnO(式中、R7及びR8は、それぞれ1価の炭化水素基である。)で表され、
23℃50%RH下での粘度が800Pa・s以上4,000Pa・s以下であり、
活性化された前記(C)硬化触媒を含む前記硬化性組成物において、JIS A 1439に準拠して、23℃50%RH下で指触乾燥時間試験をしたときの指触乾燥時間が30秒以上30分以下である、
密閉容器に収容された構造体の製造用硬化性組成物。
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