JP4412639B2 - 筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸筒の把持部分に設けたグリップ部とは別に、口金部分にも滑り止め部材を設けた筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ボールペンやシャープペンシルなどの筆記具においては、筆記の際の把持部分を、滑り止め目的でゴムなどの弾性を有する材質で被覆してグリップ部とすることが広く行われている。
このようなグリップ部は、筆記具を正しく把持する場合には滑り止めの効果を十分に発揮する。しかし、筆記具の先端近くを把持する癖を有する者が、特に子供を中心に少なからず存在する。このような者にとっては、通常の把持部分に設けられたグリップ部は役に立たない。
【0003】
このような問題点に対し、下記特許文献1に示すシャープペンシルに関する従来技術が提案されている。この従来技術においては、グリップ部が口金に取り付けられることとしている。これにより、筆記具の先端近くを持つ場合にも滑り止め効果を発揮させることとしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−289378号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術によれば、グリップ部は、口金に取り付けることとしている。この従来技術からは、グリップ部の構造は以下の2通りに把握される。
(1)口金にはグリップ部が装着されているが、本来の把持部分には装着されない。すなわち、グリップ部は口金にのみ装着される。
【0006】
(2)口金にはグリップ部が装着されており、このグリップ部は本来の把持部分をも覆う。すなわち、グリップ部は、本来の把持部分に加え、口金の一部をもカバーする。
ここで、上記(1)の場合には、本来の把持部分にはグリップ部は装着されていないことになるため、正しく筆記具を把持する場合には滑り止め効果は発揮されない。
【0007】
また、上記(2)の場合には、本来の把持部分をもグリップ部はカバーしているため、正しく筆記具を把持する場合にも滑り止め効果は発揮される。しかし、この(2)の構造においては、グリップ部は軸筒と口金との両方を覆うことになる。このため、筆記具の設計上、口金を軸筒に対し脱着可能としたい場合にこの構造を採用しようとすると、上記従来技術の実施例にも記載されているとおり、口金を軸筒から取り外すときにグリップ部も一緒に軸筒から取り外されるような設計とせざるを得ない。このような設計は筆記具の製造工程上も難があり、また、実用上も口金の脱着が煩雑ないし困難となる。そればかりでなく、グリップ部が軸筒に対して固定されていないため、グリップ部が使用中に軸筒からずれる可能性があり、グリップ部の滑り止め効果についても懸念がある。
【0008】
そこで、本発明は、本来の把持部分におけるグリップ部の滑り止め効果は保ちつつ、口金部分を把持する場合においても滑り止め効果を有し、かつ、口金部分の脱着にも支障を来さない筆記具の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題に鑑み、本発明は、軸筒20の先端に、筆記先端45を保持する口金50が装着されている筆記具10であって、前記軸筒20の把持部分は、軸筒20とは別材質で弾性を有するグリップ部30で被覆されているとともに、前記口金50の外周に、前記グリップ部30とは別体で弾性を有する滑り止め部材53を設けたことを特徴とする。
【0010】
ここで、「口金50」については、金属製、樹脂製、その他材質は問わない。
なお、口金50が筆記先端45を保持するということは、口金50に筆記先端45が固定されている場合のみならず、たとえば前後方向に移動可能な筆記先端45が筆記時に口金50の先端から突出するような構造において、その口金50が筆記先端45を支持するような場合も含む。また、筆記先端45が単に横方向にぐらつかないように口金50が筆記先端45を支持するような場合も含む。
【0011】
また、「滑り止め部材53」については、上記口金50と別部品として形成して、後から口金50に固定することとしても、また、二色成形又はインサート成形により口金50と同時に形成することとしても、いずれでもよい。
また、滑り止め部材53は「弾性を有する」こととなっているが、これは、口金50を形成する材質よりも弾性に富むことを要する。また、軸筒20の把持部分を被覆する「グリップ部30」についても、軸筒20を形成する材質よりも弾性に富むことを要する。
【0012】
滑り止め部材53及びグリップ部30を形成する材質については上記のように弾性を有するものであれば特に限定はない。ただし、具体的には、成形のしやすさ、口金50及び軸筒20への装着の容易さ、並びに使用時のベタつき回避等の観点から、シリコーンゴムを用いるのが望ましい。
上記により、軸筒20における本来の把持部分にグリップ部30が設けられ、口金50にも滑り止め部材53が設けられている。これによって、筆記具10を正しく把持する場合にも、また、筆記具10の先端近くを把持する場合にも、同様に滑り止め効果が得られる。さらに、口金50の滑り止め部材53は軸筒20のグリップ部30とは別体であるため、口金50を脱着する場合にも何らの支障も来さないこととなる。
【0013】
ここで、本発明においては、上記の構成に加えて、前記口金50の外周には、溝状の固定溝51が設けられているとともに、前記滑り止め部材53は環状に形成され、前記固定溝51に嵌設されていることが望ましい。
上記のように形成することで、滑り止め部材53は口金50に確実に装着され、脱落の可能性を著しく減じることが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、上記の構成に加えて、前記固定溝51の後端には、後方に向かって同固定溝51の深さが浅くなる傾斜面52を形成することが望ましい。ここで、筆記具10の口金50は通常先細りとなっているため、滑り止め部材53は構造的に前方方向へ脱落しやすくなっている。そこで、このような傾斜面52を設けることで、滑り止め部材53が膨潤するなどして前後方向にずれる力が作用する場合であっても、前方よりも後方へ移動しやすくなっており、滑り止め部材53がが前方へ脱落する可能性を減少させることとなっている。
【0015】
さらに、本発明においては、上記の構成に加えて、前記口金50は前方に向かって外径が漸次縮径するとともに、前記滑り止め部材53を、口金50の前方からスライドさせることで固定溝51に嵌合させることを特徴とする。
すなわち、口金50が先細りとなっていることから、滑り止め部材53を前方から装着することが容易となっている。また、滑り止め部材53は弾性に富むことから、装着の際に弾性変形させて固定溝51まで移動させることが容易となっている。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の1の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る筆記具10を斜視図で示したものである。本図に示すように、本実施の形態に係る筆記具10は、ノック式ボールペンとして形成されている。
【0017】
硬質樹脂製の軸筒20の前半の把持部分には、軸筒20より弾性に富むグリップ部30が設けられている。また、軸筒20の先端には、金属製の口金50が螺着されている。口金50後縁付近の外周には、シリコーンゴム製の環状の滑り止め部材53が装着されている。口金50先端の開口部からは、ボールペンチップとして形成されている筆記先端45が出入り可能となっている。一方、軸筒20の後端には、ノックボタン60が設けられている。このノックボタン60を押すことで、筆記先端45が口金50から突出し、また収納されることとなっている。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る筆記具10の先端部分を正面断面図で示したものである。
軸筒20の内部には、インキを収容するリフィール40が納められている。このリフィール40の先端に、筆記先端45が装着されている。一方、軸筒20前半の把持部分の外周は、シリコーンゴム製の外被体31で覆われている。この外被体31と軸筒20外周との間には、ゲル状物質32が位置している。このゲル状物質32と外被体31とによりグリップ部30が形成されている。すなわち、このグリップ部30においては、外被体31を形成するシリコーンゴムの弾性に加えて、ゲル状物質32により把持した際の手指の形状に合わせた把持部分の変形が可能となっており、把持感の向上が図られている。なお、このゲル状物質32もシリコーンを原料としている。また、このようなゲル状物質32の他にも、空気若しくは窒素ガスその他の不活性ガスなどの気体、又はシリコーンオイルその他の油若しくは水などの液体をこの外被体31に封入することができる。
【0019】
また、軸筒20の先端には、滑り止め部材53が装着された口金50が螺着されている。
図3は、口金50を一部断面斜視図で示したものである。
図2及び図3に示すように、口金50の後縁部分には溝状の固定溝51が設けられており、この固定溝51に滑り止め部材53が嵌設されている。この固定溝51の後端部分には、後方に向かって固定溝51の深さが浅くなるような傾斜面52が形成されている(図2参照)。
【0020】
図4は、滑り止め部材53の口金50への装着の様子を斜視図で示したものである。
口金50は先細りの形状となっている。この口金50の先端側から、滑り止め部材53を弾性変形させつつ後方へ向かって押し込むと、固定溝51の位置で復元力により嵌入し、固定されることとなる(図2及び図3参照)。そして、滑り止め部材53が高温などにより膨張した際でも、固定溝51にある傾斜面52の作用により、先端方向よりも後端方向へ移動する傾向が生じる。これにより、先細りとなっている口金50の先端方向へ滑り止め部材53が脱落する可能性を減じることとしている。
【0021】
図5は、口金50の軸筒20への螺着の様子を斜視図で示したものである。滑り止め部材53を装着した口金50は、軸筒20の先端へ螺着されることで、筆記具10が形成されることとなる(図1参照)。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、上記の通り構成されているので、以下に記す効果を奏する。
すなわち、本来の把持部分におけるグリップ部の滑り止め効果は保ちつつ、口金部分を把持する場合においても滑り止め効果を有し、かつ、口金部分の脱着にも支障を来さない筆記具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1の実施の形態に係る筆記具を斜視図で示したものである。
【図2】本発明の1の実施の形態に係る筆記具の先端部分を正面断面図で示したものである。
【図3】本発明の1の実施の形態に係る筆記具の口金を一部断面斜視図で示したものである。
【図4】本発明の1の実施の形態に係る筆記具において、滑り止め部材の口金への装着の様子を斜視図で示したものである。
【図5】本発明の1の実施の形態に係る筆記具において、口金の軸筒への螺着の様子を斜視図で示したものである。
【符号の説明】
10 筆記具 20 軸筒
30 グリップ部
31 外被体 32 ゲル状物質
40 リフィール 45 筆記先端
50 口金
51 固定溝 52 傾斜面
53 滑り止め部材
60 ノックボタン

Claims (5)

  1. 軸筒の先端に、筆記先端を保持する口金が装着されている筆記具であって、
    前記軸筒の把持部分は、軸筒とは別材質で弾性を有するグリップ部で被覆されているとともに、
    前記口金はその後端から先端にかけて外径が漸次縮径した先細りの形状を有し、
    前記口金の外周に、前記グリップ部とは別体で弾性を有する滑り止め部材を設けたことを特徴とする筆記具。
  2. 前記口金の外周には、溝状の固定溝が設けられているとともに、
    前記滑り止め部材は環状に形成され、前記固定溝に嵌設されていることを特徴とする請求項1記載の筆記具。
  3. 前記固定溝の後端には、後方に向かって同固定溝の深さが浅くなる傾斜面を形成したことを特徴とする請求項2記載の筆記具。
  4. 記滑り止め部材を、口金の前方からスライドさせることで固定溝に嵌合させることを特徴とする請求項2又は3記載の筆記具。
  5. 前記滑り止め部材は、シリコーンゴム製であることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の筆記具。
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