JP4042383B2 - グリップ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具などの軸体に設けられたグリップに関するものであり、特に、グリップの表面処理に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
1例として実開昭57−129687号公報を挙げ説明する。該公報には、前軸と後軸とより構成された軸筒が記載されており、その前軸の表面には、ローレット模様が印刷、或いは、形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ローレットは、装飾上の観点からは好まれるが、そのローレットの大きさによっては、把持している指が軸筒に対して滑ってしまったり、指の腹に痛みを感じてしまう場合があるなど、筆記の際に違和感が感じられるものが多く、実用上好適なものはなく、未だ開発の余地が残されていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、軸体に挿着されるグリップであって、そのグリップをグリップ筒と弾性体で構成し、前記グリップ筒の表面にローレット加工を施すと共に、そのローレット領域に貫通孔を形成し、前記弾性体に弾性突起を設け、その弾性突起を前記貫通孔から露出させたことを要旨とする。
【0005】
【実施例】
シャープペンシルのグリップを1例として挙げ説明するが、これに限定されるものではない。ボールペンのグリップであっても良いし、筆記具に限らず、電子入力ペンのグリップやドライバーやペンチなど工具類のグリップ、釣り竿のグリップなどであっても良い。
樹脂、或いは、金属製の軸筒1の前端には、先部材2が螺着などの手段によって着脱自在に固定されている。また、軸筒1の前方部には、グリップ部材3が挿着されているが、このグリップ部材3については、後に詳述する。
前記軸筒1の内部には、中軸4が前後動自在に配置されており、その中軸4の先端には先具6が螺着などの手段によって着脱自在に固定されている。その先具6の先端には、芯をガイドし、案内する芯保護管7が圧入・固定されているが、先具6と一体的に形成しても良い。これら先具6や芯保護管7は、常時は、弾撥部材8によって後方に付勢され、前記軸筒1内に収納されているが、中軸が前進移動することによって、先部材2の先端から突出し得るようになっている。
一方、前記軸筒1の後部には、軸筒1の径方向に付勢されたクリップ9が固定されており、そのクリップ9の先端内側には玉部10が形成されている。そして、その玉部10の先端には係合部11が形成されていて、前記中軸4が前進し、芯保護管7などが突出した際、それらの後退動作が阻止しされるようになっている。つまり、中軸4が前進すると、クリップ9の前方部分が軸筒1の径方向に倒れ込むように回転し、クリップ9の係合部11が中軸4の後端部12に係合するのである。
【0006】
また、前記中軸4の内側には、芯タンク13が摺動自在に配置されており、その芯タンク13の前端には、継ぎ手部材14を介して芯の把持・解放を行うチャック体15が固定されている。また、チャック体15の前方部分には、そのチャック体15の開閉を行うチャックリング16が囲撓している。そして、チャック体15の前方には、芯の後退を阻止するゴム状弾性体からなる芯戻り止め部材18が位置しており、その芯戻り止め部材18は前記先具6の内面に圧入・固定されている。符号Sは、前記芯タンク2やチャック体15などを後方に付勢するコイルスプリングなどの弾撥部材である。他方、前記芯タンク13の後部には、消しゴムホルダー19が圧入・固定されており、その消しゴムホルダー19には、消しゴム20が座金21を介して着脱自在に嵌入されている。また、その消しゴムホルダー19には、消しゴムカバー22が着脱自在に嵌め込まれているが、その消しゴムカバー22には、ノック部材23が被覆されている。そして、そのノック部材23の前端外周部には、鍔部24が形成されており、前記軸筒1内面との摺接部となっているが、実質的には軸筒1の後端に固定された尾嵌25内面との摺接部となっている。つまり、ノック部材23の表面に発生する摺動傷を防止しているのである。符号17は、前記先具6と先部材2との間に介在されたゴム状弾性体からなるOリングであって、中軸4の移動に対して摺動抵抗を付与している。
【0007】
前記軸筒1の前方には、金属製のグリップ筒26がリング部材27と前記先部材2によって挟み込まれた状態で配置されているが、先部材2と一体的に形成しても良い。
そのグリップ筒26について詳述する。グリップ筒26の表面には、ローレット加工28が施されており(図2参照)、そのローレット領域28には、貫通孔29が複数形成されている。そして、その貫通孔29からはゴム状弾性体からなる弾性突起30が露出している。その弾性突起30は、グリップ筒26内で連結されている。具体的に説明すると、弾性突起30は、ゴム状弾性筒31の表面に等間隔に複数形成されている。
前記弾性突起30は、楕円形状をなしており、ローレット領域28からの突出量Rは、0.3mmに設定しているが、実施例に示したとおり、0.1mm〜1.0mmの範囲で許容される(図3参照)。尚、本例におけるローレット領域からの突出量とは、ローレットの頂部から弾性突起の頂部までの長さを言う。
また、前記ローレット領域28の1つの駒は菱形状をしており、その菱形の鋭角部の角度θ1は、60度に形成されている。また、そのローレット28の頂部と谷部には、円弧32が形成されており、その円弧は、曲率半径が0.06mmであり、また、頂部と谷部の角度θ2,θ3は90度に形成されている。さらに、谷部から頂部までの距離(高さ)Hは、0.2mmに形成されており(図5参照)、ローレットのピッチPは、本例では、0.5mmに形成されているが、実施例に示した通り、0.4mm〜0.7mmの範囲で許容される。
【0008】
実施例1
グリップ筒26の外径が10mmで、ローレット28のピッチが0.2mm、高さが0.2mm、並びに、弾性突起30の突出量が0.0mm、すなわち、ローレットの頂部と同じ高さを有する弾性突起を配置した前記グリップ筒を作成し、把持した際の滑り荷重と、指の腹への感触を試験した。尚、滑り荷重とは、グリップ部を筆記時と同様に3本の指(親指、人差し指、中指)で把持し、その状態でシャープペンシルの先端をばね秤に押し付け、グリップ部に対して指が滑り出す瞬間の荷重である。また、指の腹への感触とは、指の腹に感ずる痛みである。
【0009】
実施例2〜実施例9については、前記実施例1において突出量を以下のように変更した以外は同様にして試験を行った。
実施例2 :突出量 0.1mm
実施例3 :突出量 0.2mm
実施例4 :突出量 0.3mm
実施例5 :突出量 0.4mm
実施例6 :突出量 0.5mm
実施例7 :突出量 0.6mm
実施例8 :突出量 0.7mm
実施例9 :突出量 0.8mm
実施例10:突出量 0.9mm
実施例11:突出量 1.0mm
【0010】
比較例1
グリップ筒26の外径が10mmで、ローレット28のピッチが0.2mm、高さが0.2mm、並びに、弾性突起30の突出量が1.1mmの前記グリップ筒を作成し、把持した際の滑り荷重と、指の腹への感触を試験した。
【0011】
比較例2
グリップ筒26の外径が10mmで、ローレット28のピッチが0.2mm、高さが0.2mm、並びに、弾性突起30の突出量が1.2mmの前記グリップ筒を作成し、把持した際の滑り荷重と、指の腹への感触を試験した。
【0012】
比較例3
グリップ筒26の外径が10mmで、ローレット28のピッチが0.2mm、高さが0.2mm、並びに、弾性突起30を有さない前記グリップ筒を作成し、把持した際の滑り荷重と、指の腹への感触を試験した。
以下、表1に前記実施例、比較例による試験結果を示す。
【0013】
【表1】
【0014】
また、比較例3〜比較例15については、前記比較例1においてローレット加工を施さないグリップ筒を使用すると共に、突出量を以下のように変更した以外は同様にして試験を行った。
比較例4 :突出量 0.0mm
比較例5 :突出量 0.1mm
比較例6 :突出量 0.2mm
比較例7 :突出量 0.3mm
比較例8 :突出量 0.4mm
比較例9 :突出量 0.5mm
比較例10:突出量 0.6mm
比較例11:突出量 0.7mm
比較例12:突出量 0.8mm
比較例13:突出量 0.9mm
比較例14:突出量 1.0mm
比較例15:突出量 1.1mm
比較例16:突出量 1.2mm
以下、表2に前記比較例による試験結果を示す。
【0015】
【表2】
【0016】
感触の試験については、社員10人にモニターし、6人が良好と支持した試験品を好適な値であると判断した。また、滑り荷重が2kgf以下のものは、筆記の際に滑りが発生するため、不適と判断した。
【0017】
次に使用例について説明する。ノック部材23を押圧すると、弾撥部材8の弾撥力に抗して前記中軸4並びに、芯タンク13などが前進移動し、先部材2の先端から先具6並びに、芯保護管7が突出する。この時、中軸4の後端12が、クリップ9の係合部11に係合し、前記弾撥部材8の復帰力による後退動作が阻止される(図6参照)。ここで、更にノック部材23を押圧すれば、芯タンク13やチャック体15が前進し、芯の繰り出し操作が行われる。
再び、先具6を先部材2内に収納したい場合には、前記クリップ9を持ち上げ、中軸後端12との係合を解除する。その解除によって中軸4などは、弾撥部材8によって後方に復帰する。尚、本例においては、この中軸の後退状態において、チャック体が拡開し、芯を解放するようになっている。即ち、芯を突出させた状態で収納しても、芯が解放されているため、例え外力が付与されたとしても芯が容易に収納される様になっているのである。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、軸体に挿着されるグリップであって、そのグリップをグリップ筒と弾性筒で構成し、前記グリップ筒の表面にローレット加工を施すと共に、そのローレット領域に貫通孔を形成し、前記弾性筒に弾性突起を設け、その弾性突起を前記貫通孔から露出させたので、筆記感覚が良好なグリップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1例を示す縦半断面図。
【図2】 ローレット領域の要部拡大外観図。
【図3】 図1の要部拡大図。
【図4】 図3の横断面図。
【図5】 ローレット領域の側面図。
【図6】 使用例を示す縦半断面図。
【符号の説明】
1 軸筒
2 先部材
3 グリップ部材
4 中軸
6 先具
7 芯保護管
8 弾撥部材
9 クリップ
10 玉部
11 係合部
12 後端部
13 芯タンク
14 継ぎ手部材
15 チャック体
16 チャックリング
18 芯戻り止め部材
19 消しゴムホルダー
20 消しゴム
21 座金
22 消しゴムカバー
23 ノック部材
24 鍔部
25 尾嵌
26 グリップ筒
27 リング部材
28 ローレット加工
29 貫通孔
30 弾性突起
31 ゴム状弾性筒
32 円弧
33 弾性突起
34 凹部
Claims (2)
- 軸体に挿着されるグリップであって、そのグリップをグリップ筒と弾性筒で構成し、前記グリップ筒の表面にローレット加工を施すと共に、そのローレット領域に貫通孔を形成し、前記弾性筒に弾性突起を設け、その弾性突起を前記貫通孔から露出させたことを特徴とするグリップ。
- 前記弾性突起のローレット領域表面からの突出量を0.0mm〜1.0mmにしたことを特徴とする請求項1に記載のグリップ。
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