JP3783514B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具に係り、更に詳しくは、長時間筆記しても疲れにくい筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ペン先部が前端側に設けられた本体筒を備えた繰出鉛筆やボールペン等の筆記具が知られている。これら筆記具は、一般的に、それら本体筒が略一定の外径を有する比較的単純な円筒形状に設けられたもの、或いは、前端側が相対的に大径化されたものが殆どであり、いずれも、最初持ったときの感触を良くするために前端側に重心が配置されるような重量構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような筆記具にあっては、以下の要因によって、長時間筆記した際の疲労感が増大するという不都合がある。すなわち、筆記は、前記本体筒の前端側を親指,人差し指及び中指で摘みながら、手首の軽いスナップによって、本体筒の前部領域と後部領域との間の中間領域を中心とした微小な往復回転運動すなわちピボット動作を筆記具に与えることにより行う。この際、親指及び人差し指の各付け根間を結ぶ手の縁部領域には、前記本体筒の前部領域と後部領域との間に位置する中間領域が接触し、これによって、筆記具は、やや傾斜した状態で、前端側の摘んだ部分と前記手の縁部領域との二箇所で支持されることになる。ここで、当該手の縁部領域は複雑な面形状をなしている一方、前記本体筒は単純な円筒形状をなしているため、これら手の縁部領域と本体筒は接触しにくい。従って、筆記時において、前記手の縁部領域に中間領域が密着しにくくなり、そこでの筆記具の支持をしっかり行うことができず、前記本体筒を摘む部分若しくは領域に荷重が集中する他、本体筒が適正方向以外にブレ易くなって、安定したピボット動作が得られなくなり、これらの要因が、長時間筆記した際の疲労感の増大をもたらす。また、特に、ダブルチャックタイプの筆記具の場合にあっては、前部側の内部機構自体の重さが必然的に作用する構造であるため、前述した手の縁部領域への中間領域の密着度が更に低下し、以上の不都合は一層顕出化する。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、長時間の筆記に伴う疲労を軽減することができる筆記具を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、ペン先部が前端側に設けられた本体筒を有する筆記具において、
前記本体筒は、前部領域と、後部領域と、これら各領域との間の中間領域とからなり、
前記中間領域は、親指及び人差し指の各付け根部分の間に位置する手の縁部領域に接触する部位を含む領域とされ、前部領域との境界位置の外径よりも細径となるくびれ状に設けられるとともに、その外周が当該中間領域の前端及び後端側から中間領域の中央に向かって曲線状に減少する外径に設けられ、且つ、当該中間領域内に全体の重心が位置する重量構造を備える、という構成を採っている。このような構成によれば、筆記時において、前記中間領域が親指及び人差し指の各付け根間を結ぶ手の縁部領域に馴染み易くなって、当該手の縁部領域と本体筒を摘む親指,人差し指及び中指との二箇所で確実に筆記具が支持され、指先への荷重集中を抑制することができるとともに、安定したピボット動作を行うことができ、これらにより、長時間の筆記に伴う疲労を軽減することができる。しかも、中間領域に重心があるため、筆記時において当該中間領域が前記手の縁部領域に自然に乗るように作用し、前記手の縁部領域と指先との二箇所で一層確実に筆記具を支持できる。また、筆記時における回転中心となる中間領域に重心があるため、筆記時において筆記具のブレがより少ない安定したピボット動作を得ることができる。また、中間領域は、中央に向かって曲線状に減少する外径であるから、前記中間領域が前記手の縁部領域に一層馴染み易くなって、長時間の筆記に伴う疲労をより軽減することができる。
【0007】
なお、本明細書において、位置若しくは方向を示す用語である「前」とは、特に明記しない限り、筆記具のペン先部側について用いられ、「後」とは、その軸方向の反対側について用いられる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1には、本発明が繰出鉛筆に適用された実施例の概略正面図が示され、図2には、図1の繰出鉛筆の使用状態を示す概略斜視図が示されている。これらの図において、筆記具としての繰出鉛筆10は、樹脂製の本体筒11と、この本体筒11の前端に連なるペン先部12と、本体筒11における後端部分に配置されたクリップ部13と、本体筒11の後端に連なるノック部14とを備えて構成されており、本体筒11の内部に設けられた図示しない繰出機構によって、ペン先部12の前端側から芯材Cが繰り出されるようになっている。なお、この繰出機構は、ここでは詳細構造を省略するが、本実施例では、いわゆるダブルチャックタイプの構造が採用され、ノック部14を押す度に、バックチャックとフロントチャックとが同期して前進することで、所定長ずつ芯材Cが繰り出しできるように設けられている。
【0010】
前記本体筒11は、ペン先部12側に位置する前部領域16と、ノック部14側に位置する後部領域17と、これら前部領域16と後部領域17との間に位置する中間領域18とからなっている。ここで、中間領域18は、図2に示されるように、筆記時において、親指F1及び人差し指F2の各付け根部分の間に位置する手の縁部領域Aに接触する部位を含む領域である。
【0011】
前記前部領域16及び後部領域17は、特に限定されるものではないが、それぞれ略円筒状に設けられている。特に、前部領域16は、ゴム等からなるすべり止め部材(図示省略)含んで構成され、前部領域16を把持する親指F1及び人差し指F2等の滑りが防止される。
【0012】
前記中間領域18は、前部領域16及び後部領域17の外径よりも細径となるくびれ状に設けられている。具体的に、中間領域18は、前部領域16及び後部領域17との各境界位置B1,B2の外径よりも細径に設定されており、境界位置B1に連なる中間領域18の前端側、及び境界位置B2に連なる中間領域18の後端側から中間領域18の中央に向かってそれぞれ曲線状に減少する外径となっている。このため、本体筒11の外観形状は、前部領域16及び後部領域17から中間領域18の中央に向かって緩やかな放物線を描きながら窄まる形状となっている。
【0013】
前記ペン先部12は、本体筒11に連なるテーパ部21と、このテーパ部21の先端側から突出し、前後方向すなわち軸方向に向かって移動可能に配置されたチャック部22とからなる公知の構造が採用されている。具体的に、チャック部22は、図示省略した前述の繰出機構と連動して、ノック部14を押したときに、芯材Cの進退を許容可能にする一方、ノック部14を押さないときには、芯材Cを締め付けて進退を規制するようになっている。
【0014】
前記クリップ部13は、本発明にあっては特に限定されるものではなく、樹脂等によって本体筒11と一体的に設けてもよいし、本体筒11と別体となる金属等によって形成してもよい。要するに、洋服のポケット等の引掛対象物に引っ掛けることができる形状及び構造であれば、種々の変更が可能である。なお、符号24,25は、本体筒11とクリップ部13に設けられ、前記引掛対象物からのクリップ部13の脱落防止を図るための突起である。また、前記ノック部14にあっても、その形状、材質等は特に限定されるものではなく、消しゴム等を一部に設ける等、種々の構造を採用することができる。
【0015】
ところで、前記繰出鉛筆10は、以上説明した各部材の寸法、重量、設置位置等を適正に設定することによって、全体の重心が中間領域18内に位置するような重量構造となっており、この限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、本体筒11として、中間領域18の中央に重心が位置する形状及び重量配分を有するものを用いた場合に、その他の部材については、これら各部材の重心と中間領域18の中央との間の距離に、該当する部材の重量を乗じた値が、中間領域18の中央を境界とする前後で等しくなるように、材質、設置位置、重量等が設定される。
【0016】
次に、本発明の他の実施例について図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、先に説明した実施例と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0017】
この実施例は、本発明がボールペンに適用されたものであって、このボールペン30の外観形状は、ペン先部12及びノック部14が若干相違する点を除いて略同一となっている。ここで、ペン先部12の前端側には、図示省略した回転ボールを前端に備えた尖頭部32が進退可能に設けられる。この尖頭部32は、本体筒11の内部に収容される図示しないインク収容パイプに連なっており、ノック部14を押す度に、テーパ部21の前端から進退が繰り返される公知の繰出構造(図示省略)が採用される。
【0018】
なお、本実施例にあっては、前記実施例と同様に、ボールペン30の重心が中間領域18に位置する重量構造が採られているが、繰出鉛筆10とボールペン30の特性の相違から、当該ボールペン30の重心位置が繰出鉛筆10よりも若干前方とすることが好ましい。
【0019】
従って、以上の各実施例によれば、中間領域18がくびれ状に形成され、且つ、筆記具の重心が中間領域18に位置しているため、複雑な曲面形状となる手の縁部領域Aに馴染み易く、筆記時に中間領域18でも筆記具を確実に支持でき、筆記具を把持する指先への負担を軽減することができるという効果を得る。また、手の縁部領域Aに馴染み易くなることから、本体筒11の無駄な動作を抑制でき、筆記時において安定したピボット動作を行うことが可能になるという効果をも得る。
【0020】
なお、前記各実施例にあっては、前記前部領域16と後部領域17を略円筒形状としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、それらの軸径が中間領域18に向かって徐々に減少又は増大するテーパ型、或いは、部分的に軸径が増大する樽型等、種々の形状を採用することができる。
【0021】
また、前記中間領域18は、各実施例における形状に限定されず、前部領域16及び後部領域17の各境界位置B1,B2の外径よりも細径となるくびれ状に設けられている限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0022】
更に、前記各実施例にあっては、本発明を繰出鉛筆及びボールペンに適用した例を図示説明したが、万年筆、マーキングペン等の他の筆記具について適用することも可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、前部領域と中間領域との境界位置の外形よりも細径となるくびれ状の中間領域とし、且つ、当該中間領域に重心が位置するように構成したから、筆記時において、中間領域が親指及び人差し指の各付け根間を結ぶ手の縁部領域に馴染み易くなって、本体筒を摘む親指,人差し指及び中指への荷重負担を軽減しながら、安定したピボット動作を行うことができ、長時間の筆記に伴う疲労を軽減することができる。また、筆記時において中間領域が前記手の縁部領域に自然に乗って、親指及び人差し指への荷重負担が一層軽減されるとともに、筆記時においてブレの少ない安定したピボット動作を行うことができる。
【0024】
また、前記中間領域を、当該中間領域の前端及び後端側から中間領域の中央に向かって曲線状に減少する外径に設けたから、前記中間領域を前記手の縁部領域に一層馴み易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る繰出鉛筆の概略正面図。
【図2】図1の繰出鉛筆の使用状態を示す概略斜視図。
【図3】本発明の他実施例に係るボールペンの概略正面図。
【符号の説明】
10 繰出鉛筆(筆記具)
11 本体筒
12 ペン先部
16 前部領域
17 後部領域
18 中間領域
30 ボールペン(筆記具)
B1 境界位置
B2 境界位置
Claims (1)
- ペン先部が前端側に設けられた本体筒を有する筆記具において、
前記本体筒は、前部領域と、後部領域と、これら各領域との間の中間領域とからなり、
前記中間領域は、親指及び人差し指の各付け根部分の間に位置する手の縁部領域に接触する部位を含む領域とされ、前部領域との境界位置の外径よりも細径となるくびれ状に設けられるとともに、その外周が当該中間領域の前端及び後端側から中間領域の中央に向かって曲線状に減少する外径に設けられ、且つ、当該中間領域内に全体の重心が位置する重量構造を備えたことを特徴とする筆記具。
Priority Applications (1)
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- 2000-03-23 JP JP2000087075A patent/JP3783514B2/ja not_active Expired - Lifetime
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