JP4409721B2 - 赤リン系難燃剤およびその製造方法、並びに、該赤リン系難燃剤を配合してなる難燃性樹脂組成物 - Google Patents

赤リン系難燃剤およびその製造方法、並びに、該赤リン系難燃剤を配合してなる難燃性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発火点が高く、ホスフィンの発生が少なく、溶出リン分の少ない、基材となる物質の物性を低下させない等の条件を満足すべく改良した、高安定性赤リン系難燃剤およびその製造方法、並びに、該赤リン系難燃剤を配合してなる難燃性樹脂組成物に関する。
本発明に係る安定化赤リンは、合成樹脂の難燃剤として、自動車の内装材(座席,天井張り,マット,シートなど)、室内の内装材(カーテン,どん帳,ブラインド,カーペットのバッキング材)、筐体、塗料、接着剤、電気・電子部品分野(ケーブル、半導体用封止材,リレー抵抗器,プリント基板,IHCケース,スイッチ,コネクター,OA機器ハウジングなど)に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】
合成樹脂の難燃剤として、赤リンが有用であることはよく知られているが、赤リンは、そのままでは熱や摩擦に対して不安定であり、また、徐々に空気中の水分や酸素と反応し、ホスフィンやリンのオキソ酸を生成する。
【0003】
そこで、保管や取扱い時または合成樹脂との混練作業時における、危険性を低減するため、また、ホスフィンガスやリンのオキソ酸の生成を抑制するため、そして、合成樹脂の変質を防止するため、赤リンの粒子表面を各種の有機化合物や無機化合物で被覆し、赤リン系難燃剤として使用されている。
しかし、この種の赤リン系難燃剤では、赤リンの安定化効果は十分でなく、いまだホスフィン発生を皆無にすることはできていない。
【0004】
一方、赤リン系難燃剤の用途が広がるにしたがって、保管や取扱い時または合成樹脂との混練作業時の、安全性、リンのオキソ酸やホスフィンガス発生の抑制、合成樹脂の変質防止に対する要求がより厳しくなってきている。
これらの要求に答えるため、従来、赤リンの諸性質を改良すべく種々のことが行われてきた。
【0005】
例えば、(1) 赤リンにAl(OH)3、Mg(OH)2を添加する方法、赤リンを水酸化アルミニウム等の無機質で被覆処理する方法[グメリンス ハンドブッフ デル アンオルガニッシェン ヒェミー(Gmelins Handbuch der anorganischen Chemie)第8版,1964年,巻リン,B部 第83頁、フエアラークヒェミー、バインハイム/ベルクシュトラーセ、西ドイツ特許出願公開第281351号、米国特許第2635953号、西ドイツ特許第3900965号、米国特許第4421782号、特開昭59−13612号]、
(2)パラフィン,ワックスで被覆する方法(西ドイツ特許第1185591号)、
(3)熱硬化性樹脂で被覆する方法(特開昭51−105996号、西ドイツ特許第2655739号)、
(4)無機質,有機質で併用被覆する方法(特開昭56−73606号、特開昭60−141609号、特開昭61−86407号、特開平4−54613号、カナダ特許第1097152号、特開平4−275910号、特開平4−275911号、西ドイツ特許第2945118号)
などが行われてきた。
【0006】
しかし、上記(1)〜(4)のいずれの方法も、保管や取扱い時または合成樹脂との混練作業時における“危険性低減”については、ある程度効果は出ているが、“ホスフィンの抑制”に対しては、顕著な効果が見られず、用途の拡大と共に赤リン系難燃剤に対するホスフィン発生の抑制要求も厳しくなり、分野によっては応えられない状況となった。
【0007】
また、熱可塑性樹脂は、作業性の向上等の要求から、加工成形温度が200℃以上、時には300℃を越える場合も多くなってきているが、このような樹脂加工の際に、従来の方法による改質赤リンでは、ホスフィンガスの抑制は不十分であるため、実用に供することが難しくなってきている。
【0008】
このホスフィン発生の抑制には、
(5)赤リンを樹脂に練り込む際に一緒に、「ホスフィン結合物質」あるいは「ホスフィン捕捉剤」として重金属化合物を加える方法(特開昭49−114651号、特開昭50−119042号、特開昭51−150553号、特開昭52−8062号)、
(6)赤リンを水酸化アルミニウムで被覆し、更に重金属化合物で被覆し、その上に無機または有機質で被覆する方法(特開昭55−10462号)、
(7)赤リンをカルボン酸銅塩で被覆する方法(特開昭55−10463号)、
(8)赤リンを無電解メッキ被覆する方法(特開昭63−69704号)、
などが提案されている。
【0009】
ところが、柴田雄次・木村健二郎監修,「無機化学全書IV−6 リン」,丸善,東京(1965)の第100頁には、赤リンの酸化反応の速度は、微量の金属(ビスマス,銀,ニッケル,カドミウムなど)の存在で促進されることが記載されている。
【0010】
本発明者の研究では、上記「無機化学全書」の記載を裏付けるように、評価方法によっては、上記重金属化合物は、赤リンの安定化に必ずしも寄与していないことがわかってきた。
赤リンの安定性は、多くの場合、ホスフィンの発生量によって評価されてきた。従来技術にみられるように、ホスフィンの発生低減は「ホスフィン結合物質」あるいは「ホスフィン捕捉剤」といった名称から理解できるように、発生したホスフィンを固定化して、ガス状ホスフィンの遊離を阻止する方法である。
【0011】
本発明者は、赤リンの安定化に関して試行錯誤を繰り返し、上記ホスフィン捕捉剤が赤リンの酸化,加水分解,不均化反応を本質的に防止するものではなく、条件によっては逆に酸化,加水分解,不均化反応を促進する場合がある、との認識に至った。
すなわち、赤リンを樹脂に練り込む際に、一緒に重金属化合物を加える方法では、難燃化された樹脂からはホスフィンの発生が抑えられるが、重金属化合物は赤リンに対して酸化反応を促進させたり、活性化させたりする作用を有する。重金属化合物と赤リンが直接接触している改質赤リンを加熱していくと、50〜100℃といったかなりの低温域より赤リンの酸化による発熱反応が起こり、重金属化合物の量が多いと発火し危険である。
【0012】
一方、赤リンと重金属化合物の両方に反応しない水酸化アルミニウムを被覆し、その上に重金属化合物を被覆すると、赤リンと重金属の反応が防止できるが、加熱下では、水酸化アルミニウムの結晶水と赤リンが反応するためか、また、加湿下では、重金属イオンがコート膜に侵入してきた水に溶け込んで赤リン表面へ移動し、赤リンの加水分解を促進させるためか、ホスフィンガスの発生は充分に抑制されない。
また、重金属化合物が直接樹脂に接触する時は、樹脂の機械的性質や電気的性質を劣化させる原因となる。
【0013】
このように、従来の方法では、近年の産業技術の発展と共に赤リン系難燃剤に対する品質要求も厳しくなり、分野によっては、赤リン系難燃剤の熱安定性および赤リン系難燃剤からのリンのオキソ酸およびホスフィン発生量が、現在の要求に応えられない状況となった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者は、上記要求を満たす赤リン系難燃剤について研究を重ねた結果、本発明を完成したものであって、本発明の目的(技術的課題)とするところは、発火温度の高い高熱安定性で、しかもホスフィンおよび/またはリンのオキソ酸の発生が少ない、高安定性の赤リン系難燃剤を提供することにある。
また、本発明の目的(技術的課題)は、難燃性に優れているのみならず、ホスフィン発生量の極めて少ない樹脂組成物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的(技術的課題)を達成するため、本発明者が研究を重ねた結果、被覆樹脂としてはエポキシ樹脂を使用してこれを第一層とし、金属化合物を第二層に配して赤リンと直接接触させないことにより、従来にない高安定化赤リンが得られること発見し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、本発明の赤リン系難燃剤は、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、および、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする赤リン系難燃剤」(請求項1)、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする赤リン系難燃剤」(請求項2)、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする赤リン系難燃剤」(請求項3)、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、および、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする赤リン系難燃剤」(請求項4)、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする赤リン系難燃剤」(請求項5)、
「赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第三次被覆層で更に被覆されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤」(請求項6)、
を要旨(発明を特定する事項)とする。
【0017】
そして、前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、フタルン酸ポリグリシジルエステル、テレフタル酸ポリグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、3,4−エポキシ−(6−メチルシクロヘキシル)メチルカルボキシレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ナフタレンジグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ビフェニルジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、クレジルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイドの群から選ばれる少なくとも一種を原料とするものであること(請求項7)、を特徴とする。
【0018】
また、前記第二次被覆層の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂であること(請求項)、を特徴とする。
【0019】
更に、前記ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の赤リン被覆量としては、赤リン100重量部に対し、金属元素に換算して、0.5重量部以上、好ましくは1〜16重量部であること(請求項,請求項10)、
前記水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムの被覆量としては、赤リン100重量部に対し、金属元素に換算して0.7重量部以上、好ましくは0.7〜18重量部であること(請求項11,請求項12)、
を特徴とする。
【0020】
更にまた、前記赤リン系難燃剤が、250℃で3時間加熱した場合のホスフィン発生量が400μg/g−サンプル以下であること(請求項13)、
酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む第二次被覆層で被覆されている前記赤リン系難燃剤の場合は、250℃で3時間加熱した場合のホスフィン発生量が100μg/g−サンプル以下であること(請求項14)、
水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る、あるいは含む第二次被覆層で被覆されている前記赤リン系難燃剤が、8gをイオン交換水80gに懸濁し、80℃で20時間放置した後濾過した場合の濾液の導電率が1.00mS/cm以下であること(請求項15)、
前記赤リン系難燃剤の平均粒径が、50μm以下であり、かつ80重量%以上が粒径64μm以下の粒子で構成されていること(請求項16)、
を特徴とする。
【0021】
一方、本発明の赤リン系難燃剤の製造方法は、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む熱硬化性樹脂で第二次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項17)、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムで第二次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項18)、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂で第二次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項19)、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂で第二次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項20)、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムで第二次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項21)、
「赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で更に第三次被覆することを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法」(請求項22)、
を要旨(発明を特定する事項)とする。
【0022】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、上記請求項1〜請求項16のいずれかの赤リン系難燃剤を合成樹脂に配合してなることを特徴とする(請求項23)。
【0023】
(作用)
ここで、本発明の上記構成からなる「赤リン系難燃剤」の作用について説明すると、赤リン粒子表面を、第一次被覆層として、吸水率の低いエポキシ樹脂で被覆することにより、赤リンの水分や酸素との反応を防止すると考えられる。また、第二次被覆層として、“ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物”“リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物”で被覆することにより、発生したホスフィンやリンのオキソ酸を被覆赤リンに固定化し、ホスフィンやリンのオキソ酸の遊離を防止していると考えられる。本発明においては、“ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物”を、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれる金属化合物と特定し、さらに“リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物”は、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムと特定する。
【0024】
この作用は、従来のように赤リンと金属化合物を粉体混合して使用する場合に比べて、赤リンの周囲に集中して分布するため、ホスフインやリンのオキソ酸を捕捉する効率が高い。このように、ホスフィンやリンのオキソ酸の遊離がない或いは少ないことは、適用した合成樹脂の物性に悪影響を及ぼさないことにつながる。また、このような金属化合物をエポキシ樹脂被覆の外側に配し、赤リンに直に接しないようにすることにより、赤リンの酸化,加水分解や不均化反応を促進しない構造となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の赤リン系難燃剤を得るための原料赤リンは、粉末状であれば特に限定されるものではなく、通常転化釜と称する反応容器中で黄リンを数日間熱処理して得られる塊状物を粉砕して製造されるもの(以下“粉砕赤リン”と言う)はもちろん、部分転化法によって得られる赤リンも使用することができる。
【0026】
例えば、部分転化法による赤リン、即ち、黄リンを250〜600℃に加熱して黄リンの一部を赤リンに転化し、赤リンの含量が70重量%以下の流動性混合物から未転化黄リンを除去して得られる赤リンは、破砕面のない球体様赤リンおよび/またはその集合体からなり、水分の吸着や反応が前記粉砕赤リンに比べ低いので(特許第1899673号および特許第1907576号参照)、耐湿性の求められる分野には、このような赤リンを使用することが好ましい。
また、黄リンの転化反応を分散剤の存在下で行うことにより得られる赤リンは、真球に近い球体様単粒子またはその低次結合体からなり、平均粒径10μm以下の極めて微細な、しかも粒径の揃ったシャープな粒度分布を有する。一般には、赤リンは、微細であればあるほど表面積は増大し、したがって、不均化反応の場が増大するため、安定性は低下するが、上記微細球体様赤リンは、微細であるにも関わらず、耐湿,耐熱安定性が高い(特許第2601743号参照)ので、このような赤リンを原料赤リンとして使用することも好ましい。
【0027】
本発明において、赤リン粒子表面を被覆する第一次被覆および第三次被覆は、エポキシ樹脂であり、その種類,被覆量および被覆方法について以下に詳記するが、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。
【0028】
被覆用のエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、フタルン酸ポリグリシジルエステル、テレフタル酸ポリグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、3,4−エポキシ−(6−メチルシクロヘキシル)メチルカルボキシレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ナフタレンジグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ビフェニルジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、クレジルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイドなどの群から選ばれる少なくとも一種を原料とする、種々のエポキシ樹脂を用いることができる。
【0029】
中でも被覆に特に好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、フタルン酸ポリグリシジルエステル、テレフタル酸ポリグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル,3,4−エポキシ−(6−メチルシクロヘキシル)メチルカルボキシレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール等の常温液状エポキシ樹脂、および、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、クレジルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイド等の反応性希釈剤に溶かすことによって常温で液状になるナフタレンジクリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等のエポキシ樹脂またはこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
硬化剤としては、アミン類では、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、エチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジアリルメラミン、n−ヒドロキシエチルジエチレントリアミン等の脂肪族アミン、ジアミノジフェニルメタン、トリス(ジエチルアミノメチル)フェノール、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタンや、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、メンセンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクトのような環式脂肪族アミン、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド、ポリアミドポリアミン、複素環式アミン、変性ポリアミン、ポリアミノアミド、脂肪族アミドアミン等が挙げられ、これらの硬化促進剤としては、サリチル酸や乳酸等が挙げられる。
【0031】
また、カルボン酸無水物の硬化剤も使用でき、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ドデシル無水コハク酸、ポリアゼライン酸無水物、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水マレイン酸、無水コハク酸が挙げられ、その硬化促進剤としては、N,N−ジメチルピペラジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザ−ジシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,4−ジアザジシクロ(2,2,2)オクタン(トリエチレンジアミン)のような第3級アミン、ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカブタン、トリフェニルホスフィンなどの有機ホスフィン、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウム・トリメリテート、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリ−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−エチル−4−メチルイミダゾリ−(1))−エチル−S−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2−ウンデシルイミダゾリル−(1))−エチル−S−トリアジン、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウム・クロライド、1,3−ジベンジル−2−メチルイミダゾリウム・クロライド、1,2−ジメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、フェロセン誘導体、BF3モノエチルアミン、BF3ピペラジンのような三フッ化ホウ素化合物が挙げられる。さらにフェノールノボラック樹脂も、上記硬化剤と併用して使用できる。
【0032】
エポキシ樹脂の赤リン粒子表面への被覆方法としては、赤リンの粒子表面に均一に被覆できるならば、どのような被覆方法でも適用可能である。
用いるエポキシ樹脂の種類によって幾分変動するが、例えば、以下の方法で行うことができる。
【0033】
まず、アセトン100重量部に対して赤リン10〜125重量部を含む赤リンのアセトン懸濁液に、エポキシ樹脂を赤リン100重量部に対し3〜40重量部添加する。次に、攪拌下で、添加したエポキシ樹脂の添加量に応じて硬化剤を添加し、続いて、6wt%ゼラチン水溶液を200重量部滴下し、水150重量部加え、室温〜50℃で20分〜5時間攪拌を続け、更に75〜100℃で1〜2時間攪拌・熟成する。
得られた被覆赤リンを分離し、そのまま第二次被覆の原料とする。または、分離,水洗し、窒素雰囲気下、100〜145℃で乾燥し、第二次被覆の原料とする。
【0034】
また、水系エポキシ樹脂(エポキシ樹脂エマルジョン)を使用する場合は、水100重量部に対して赤リン10〜100重量部を含む赤リンの水懸濁液に、エポキシ樹脂を乳化させた水溶液を樹脂換算で赤リン100重量部に対し3〜40重量部添加する。次に、攪拌下、添加したエポキシ樹脂の添加量に応じて硬化剤を添加し、室温で10〜60分攪拌を続け、更に40〜100℃で1〜2時間攪拌・熟成する。
得られた被覆赤リンを分離し、そのまま第二次被覆の原料とする。または、分離,水洗し、窒素雰囲気下、100〜145℃で乾燥し、第二次被覆の原料とする。
【0035】
本発明の被覆赤リンの第二次被覆は、以下の被覆層から選ぶことができる。
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層。
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物から成る第二次被覆層。
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物を含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層。
・リンのオキソ酸により難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物を含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層。
・リンのオキソ酸により難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物から成る第二次被覆層。
【0036】
本発明の被覆赤リンの第三次被覆は、前記した第一次被覆と同様、エポキシ樹脂による被覆層である。なお、本発明では、赤リンに数回の被覆処理を施すので、被覆方法の説明においては、第1層以上を有する赤リンを、本明細書で、便宜上“処理赤リン”と言う。
【0037】
本発明において、“ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物”とは、“ホスフィンと結合し、ホスフィンの遊離を阻害する金属化合物”を意味し、従来、燐化水素結合物質、ホスフィン捕捉剤あるいはホスフィンキャッチャー等として使用されているものを含む。
具体的には、酸化銅(II)、酢酸銅、Co23、MoO3、MnO2、V25、Sb23、PbO2、Bi23、CdO、NiO、Ag2O、Cr23、CeO2、PtO2が挙げられ、このうち、特に、酸化銅(II)、Ag2O、PtO2が好ましい。
【0038】
このホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の被覆方法としては、後記する“リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物”と、および/または、後記する“熱硬化性樹脂”と併用して二次被覆する。
この際、エポキシ樹脂で被覆処理した赤リン(処理赤リン)と一緒にホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を、金属元素として、赤リン100重量部に対し0.5重量部以上、好ましくは1〜16重量部を水に懸濁させ、エポキシ被覆層の上にホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を付着させる。0.5重量部未満では、ホスフィン捕捉効果が低い。一方、16重量部を超えても効果はそれ程大きくならず、また、被覆量が多過ぎると、赤リン含量が低下し難燃剤としての有効性も低下するので好ましくない。
【0039】
本発明において、“リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物”としては、具体的には、水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム,酸化チタン,含水酸化チタン(メタチタン酸),水酸化チタン(オルソチタン酸)等を用いることができる。
【0040】
このリンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物の被覆方法としては、エポキシ樹脂で被覆処理した赤リン(処理赤リン)を水に懸濁させ、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の水溶性塩類の水溶液を添加し、水酸化ナトリウムによる中和または重炭酸アンモニウムによる複分解によって、上記金属の酸化物および/または水酸化物被覆層を形成させる。
【0041】
この際、処理赤リンの水懸濁液として、水100重量部に対し赤リン10〜100重量部,リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の水溶性塩類の水溶液濃度として、4〜30重量%とするのが好ましい。
また、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の水酸化物および/または酸化物の被覆生成量としては、赤リン100重量部につき金属元素に換算して0.7重量部以上が好ましく、より好ましくは0.7〜18重量部である。0.7重量未満では、リンのオキソ酸捕効果が低い。一方、18重量部を超えても効果はそれ程大きくならず、また、被覆量が多すぎると、赤リン含量が低下し難燃剤としての有効性も低下するので好ましくない。
【0042】
あるいは、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物自体を添加し、処理赤リン粒子表面に付着させてもよい。
【0043】
このように、ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および/または、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物から成る第二次被覆処理をした後、濾過,水洗し、窒素雰囲気下、100〜145℃で乾燥する。
【0044】
この第二次被覆のホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および/または、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物は、熱硬化性樹脂被覆層に介在させてもよい。
熱硬化性樹脂原料としては、この樹脂の合成原料物又はその初期縮合物が処理赤リンの水懸濁液中で容易に重合反応を進行するか、または、その初期縮合物を水に乳化分散し、赤リンの粒子表面に均一に沈積,被覆するならば、どのような樹脂原料でも使用することができる。熱硬化性樹脂としては、通常、フェノール樹脂,フラン樹脂,キシレン・ホルムアルデヒド樹脂,ケトン・ホルムアルデヒド樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,アニリン樹脂,アルキド樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等から選ばれる。
【0045】
上記樹脂の被覆処理条件としては、用いる熱硬化性樹脂の種類によって幾分変動するが、水100重量部に対して赤リン10〜100重量部を含む処理赤リンの水懸濁液に、樹脂の合成原料又は初期縮合物を、赤リン100重量部に対して1〜35重量部添加するのが好ましい。
【0046】
ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および/または、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の水酸化物を含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層を形成させる場合は、処理赤リン懸濁液に、上記諸原料、すなわち、ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物、および/または、リンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物の原料も添加する。
そして、樹脂の合成原料を用いる場合、40〜100℃で1〜3時間攪拌処理し、また、予め調製した初期縮合物を用いる場合、60〜100℃で1〜2時間攪拌処理を行うのが好ましい。得られた生成物を分離,水洗し、130〜145℃で乾燥し、重合反応を完結させる。
【0047】
本発明の赤リン系難燃剤は、その平均粒径が50μm以下であり、かつ80重量%以上が粒径64μm以下の粒子で構成されている。このように、微細粒子であることから、樹脂に対する分散性が良く、樹脂特性,成形物の表面平滑性,表面光沢性などの外観を損なわないという利点を有する。
【0048】
また、本発明の赤リン系難燃剤は、
・250℃で3時間加熱した場合のホスフィン発生量が400μg/g−サンプル以下、特に100μg/g−サンプル以下の物性値を有し、
・8gをイオン交換水80gに懸濁し、80℃で20時間放置した後濾過した場合の濾液の導電率が1.00mS/cm以下である物性値を有する。
【0049】
本発明の赤リン系難燃剤は、各種合成樹脂の難燃化に適用でき、難燃性樹脂組成物を提供することができる。
上記合成樹脂としては、本発明で特に限定するものではないが、ポリオレフィン系樹脂,ポリスチレン,ポリ−p−キシリレン,ポリ酢酸ビニル,ポリアクリレート,ポリメタクリレート,ポリエーテル,ポリカーボネート,熱可塑性ポリエステル,ポリアミド,ポリウレタン,フェノール樹脂,フラン樹脂,キシレン・ホルムアルデヒド樹脂,ケトン・ホルムアルデヒド樹脂,尿素樹脂,メラミン樹脂,アニリン樹脂,アルキド樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0050】
また、本発明の赤リン系難燃剤は、高度に安定化されており、自動車の内装材(座席,天井張り,マット,シートなど)や室内の内装材(カーテン,どん帳,ブラインド,カーペットのバッキング材)、電気・電子分野(ケーブル,半導体用封止材,リレー抵抗器,プリント基板,IHCケース,スイッチ,コネクター,OA機器ハウジングなど)の品質要求の高い用途においても有用である。
【0051】
【実施例】
次に、本発明の実施例1〜58、9、11〜14、18〜31および参考例6,7,10、15〜17を比較例1〜17と共に挙げ、本発明をより詳細に説明する。
【0052】
ここで、以下の各実施例、参考例および比較例で使用した赤リンA〜Dの調製について、まとめて説明する。
・赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)の調製
市販赤リンの20%水懸濁液をボールミル内で3時間粉砕し、その後300meshのフルイを使用し、湿式分級して平均粒径11μmの微細粉砕赤リンを得た。
・赤リンB(平均粒径16μmの粉砕赤リン)の調製
市販赤リンの20%水懸濁液をボールミル内で1.5時間粉砕し、その後200meshのフルイを使用し、湿式分級して平均粒径16μmの粉砕赤リンを得た。
・赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)の調製
黄リン500gを窒素ガスで置換したステンレス製容器に入れ、密封し270℃で3時間加熱した後未転化の黄リンを除去する。このようにして平均粒径33μmの球体様赤リン161gを得た。
・赤リンD(平均粒径3μmの微細球体様赤リン)の調製
黄リン980g及び分散剤として非イオン系界面活性剤アルキロールアミド(ライオン社製、ホームリードCD)1.0gを窒素ガスで置換したステンレス製容器にいれ密封し280℃で8時間加熱した後未転化の黄リンを除去する。平均粒径3μmの球体様赤リン201gを得た。
【0053】
(実施例1)
前記赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gをアセトン300mlに懸濁し、これに、エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]10g(樹脂分:10重量部に相当)および硬化剤[変性脂肪族ポリアミン,旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]4gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら、45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で5時間、更に75℃で2時間、攪拌・熟成した後、冷却し濾過した。
【0054】
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、610mlとし、アンモニア水でpH10.0に調整した後、酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)添加し、25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製の商品名“ホーラサイトTD−2388”]20g(樹脂分:5重量部に相当)を添加した。
続いて、18%塩化水素水溶液4.6gおよび塩化アンモニウム1.0g添加し、90℃で1時間攪拌した。その後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン128gを得た。
【0055】
(比較例1)
前記赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gを水に懸濁させ、600mlとし、アンモニア水でpH10.0に調整した後、25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製のホーラサイトTD−2388(商品名)]20g(樹脂分:5重量部に相当)を添加した。続いて、18%塩化水素水溶液4.9g及び塩化アンモニウム1.1g添加し、90℃で1時間攪拌した。その後、冷却,濾過した。
こうして得たフェノール樹脂被覆赤リンを再度水に懸濁させ、実施例1のエポキシ被覆処理後の処理と同様に処理し、被覆赤リン123gを得た。
【0056】
(比較例2)
前記赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gを水に懸濁させ、550mlとし、27%硫酸アルミニウム水溶液35.5g(Al換算で1.5重量部に相当する)を添加した後、18%重炭酸アンモニウム水溶液でpHを7に調製し、90℃に加熱し1時間熟成した後、冷却し濾過した。
こうして得たアルミニウム水和物被覆赤リンを再度水に懸濁させ、実施例1のエポキシ被覆処理後の処理と同様に処理し、被覆赤リン121gを得た。
【0057】
(実施例2)
前記赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gを実施例1と同様のエポキシ被覆処理をした。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、550mlとし、酸化銅(II)の粉体15g(Cu換算で12重量部に相当する),メラミン1.9g,37%ホルマリン8.9g及び炭酸ナトリウム3.2g(樹脂分:5重量部に相当)を添加し、90℃で2時間攪拌反応させた。一昼夜放冷後、濾過,水洗し、窒素雰囲気下、135℃で3時間乾燥し、被覆赤リン128gを得た。
【0058】
(実施例3)
赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gを実施例1と同様のエポキシ被覆処理をした。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度アセトン300mlに懸濁し、酸化銅(II)の粉体15g(Cu換算で12重量部に相当する) ,エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]10g(樹脂分:10重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]4gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で2時間、更に85℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン133gを得た。
【0059】
(実施例4〜5)
実施例1の酸化銅(II)を、実施例4では酸化銀(I)に代えて、実施例5では酸化白金(IV)に代えて、実施例1と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0060】
参考例6)
前記赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gをアセトン300mlに懸濁し、エポキシ樹脂[油化シュルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]20g(樹脂分:20重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]8gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で5時間、更に75℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、620mlとし、酸化銅(II)の粉体を20g(Cu換算で16重量部に相当する)および150gの水に硫酸チタニル[テイカ(株)製のTM結晶]90g(Ti換算で17.3重量部に相当する)を溶かした水溶液を添加した後、アンモニア水でpHを7.5に調製し、90℃で2時間攪拌・熟成した。その後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン172gを得た。
【0061】
参考例7および参考例10)
前記参考例6において、その第二層被覆材の酸化銅(II)粉体の添加量を、参考例7ではCu換算で0.5重量部と、参考例10では0重量部とした以外は、参考例6と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0062】
(実施例8)
前記赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gをアセトン300mlに懸濁し、エポキシ樹脂[油化シュルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]20g(樹脂分:20重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]8gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で5時間、更に75℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、620mlとし、酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)および27%硫酸アルミニウム水溶液143g(Al換算で6.1重量部に相当する)を添加した後、18%重炭酸アンモニウム水溶液でpHを7に調製し、90℃で1時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン148gを得た。
【0063】
(実施例9および実施例11)
前記実施例8において、その第二層被覆材の酸化銅(II)粉体の添加量を、実施例9ではCu換算で1重量部と、実施例11では0重量部とした以外は、実施例8と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0064】
(実施例12)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gをアセトン300mlに懸濁し、エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]20g(樹脂分:20重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]8gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で5時間、更に75℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、550mlとし、10%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液3g,水酸化マグネシウム13.5g(Mg換算で5.6重量部に相当する),酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)及び25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製のホーラサイトTD−2388(商品名)]36g(樹脂分:9重量部に相当)を添加した。続いて、18%塩化水素水溶液19g及び塩化アンモニウム9.7g添加し、90℃で1時間攪拌した。その後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン154gを得た。
【0065】
(実施例13)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを最終工程の水洗、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥を除いて、実施例12と同様に処理し、得られた被覆赤リンを再度アセトン300mlに懸濁し、エポキシ樹脂[油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)]10g(樹脂分:10重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]4gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で2時間、更に85℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン162gを得た。
【0066】
(実施例14)
前記実施例12において、その第二層被覆材の酸化銅(II)粉体を添加しないで、実施例12と同様に処理し、被覆赤リン138gを得た。
【0067】
(比較例3)
前記実施例1において、その第二層被覆材の酸化銅(II)粉体を添加しないで、実施例1と同様に処理し、被覆赤リン113gを得た。
【0068】
(比較例4)
赤リンA(平均粒径11μmの微細粉砕赤リン)100gを水に懸濁させ、エポキシ被覆処理を除いた実施例1と同様に処理し、被覆赤リン117gを得た。
【0069】
(比較例5)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水に懸濁させ、エポキシ被覆処理を除いた実施例8と同様に処理し、被覆赤リン130gを得た。
【0070】
(比較例6)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水に懸濁させ、エポキシ被覆処理を除いた実施例12と同様に処理し、被覆赤リン133gを得た。
【0071】
(比較例7)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水に懸濁させ、エポキシ被覆処理を除いた参考例10と同様に処理し、被覆赤リン131gを得た。
【0072】
(比較例8)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水に懸濁させ、エポキシ被覆処理を除いた実施例14と同様に処理し、被覆赤リン119gを得た。
【0073】
参考例15〜17および比較例9)
前記参考例6において、その第二層被覆材の酸化銅(II)粉体の添加量及びチタン水和物の添加量を、後記表4に記載した量に変えて、参考例6と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0074】
(実施例18〜20および比較例10)
前記実施例8において、その第二層被覆材のチタン水和物の添加量を、後記表4に記載した量に変えて、実施例8と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0075】
(実施例21〜23)
後記表5に記載した原料赤リンを使用し、その他は前記実施例1と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0076】
(比較例11〜14)
赤リンA〜D、すなわち、被覆を施さない原料赤リンA〜Dを準備した(後記表5参照)。なお、この比較例11〜14は、原料赤リンA〜D自体を評価するためのものである。
【0077】
(実施例24)
前記実施例22のエポキシ樹脂添加量を20g(樹脂分:20重量部に相当)に、硬化剤添加量を8gに変え、実施例22と同様に処理し、被覆赤リンを得た。
【0078】
(実施例25)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水300mlに懸濁し、60%水系エポキシ樹脂エマルジョン溶液[旭電化工業(株)製のアデカレジンEM−041(商品名):ビスフェノールAジグリシジルエーテルの強制乳化タイプ]33.3g(樹脂分:20重量部に相当)及び硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]7.2gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら40℃に昇温し、1時間攪拌した。75℃で1時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、610mlとし、アンモニア水でpH10.0に調整後、酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)添加し、25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製のホーラサイトTD−2388(商品名)]20g(樹脂分:5重量部に相当)添加した。続いて、18%塩化水素水溶液4.6g及び塩化アンモニウム1.0g添加し、90℃で1時間攪拌した。冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン134gを得た。
【0079】
(実施例26)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gをアセトン300mlに懸濁し、エポキシ樹脂[混合比:油化シェルエポキシ(株)製のエピコート828(商品名)/エピコート180S65(商品名)/フェニルグリシジルエーテル=50/25/25]20g(樹脂分:20重量部に相当)及び硬化剤[混合比:新日本理化(株)製のリカシッドTMEG(商品名)/四国化成工業(株)製の2E4MZ(商品名)=46/1]9.4gを添加し、室温で20分間攪拌した。攪拌しながら45℃に昇温し、6wt%ゼラチン水溶液200gを滴下し、水150ml加え、45℃で5時間、更に90℃で2時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、610mlとし、アンモニア水でpH10.0に調整後、酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)添加し、25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製のホーラサイトTD−2388(商品名)]20g(樹脂分:5重量部に相当)添加し、18%塩化水素水溶液4.6g及び塩化アンモニウム1.0g添加し、90℃で1時間攪拌した。冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、145℃で3時間乾燥し、被覆赤リン140gを得た。
【0080】
(実施例27)
赤リンC(平均粒径33μmの球体様赤リン)100gを水300mlに懸濁し、50%水系エポキシ樹脂エマルジョン溶液[旭電化工業(株)製のアデカレジンEM−0427W(商品名):ビスフェノールAジグリシジルエーテルの自己乳化タイプ]40g(樹脂分:20重量部に相当)を添加し、室温で20分間攪拌した。硬化剤[変性脂肪族ポリアミン、旭電化工業(株)製のアデカハードナーEH−227(商品名)]6.6gを添加し、室温で5分間攪拌した。攪拌しながら40℃に昇温し、1時間攪拌した後、75℃で1時間攪拌・熟成した後、冷却,濾過した。
こうして得たエポキシ被覆赤リンを再度水に懸濁させ、610mlとし、アンモニア水でpH10.0に調整後、酸化銅(II)の粉体を15g(Cu換算で12重量部に相当する)添加し、25%レゾール型フェノール樹脂[大日本インキ化学工業(株)製のホーラサイトTD−2388(商品名)]20g(樹脂分:5重量部に相当)添加し、18%塩化水素水溶液4.6g及び塩化アンモニウム1.0g添加し、90℃で1時間攪拌した。冷却,濾過,水洗し、窒素雰囲気下、130℃で3時間乾燥し、被覆赤リン135gを得た。
【0081】
前記各実施例、各参考例、各比較例で用いた赤リンおよび被覆材の添加量について、表1〜6に示した。すなわち、実施例1および比較例1〜2については“表1”に、実施例2〜5、8、9(実施例1も含む)および参考例6,7、10を表2に、実施例11〜14および比較例3〜8については“表3”に、参考例15〜17、実施例18〜20および比較例9〜10については“表4”に、実施例21〜23(実施例1も含む)および比較例11〜14については“表5”に、実施例24〜27については“表6”に、それぞれ示した。
【0082】
また、得られた赤リン系難燃剤の安定性をみるため、「ホスフィン生成量AおよびB」および浸漬水の「導電率」を測定し、同様に表1〜表6に示した。一部の赤リン系難燃剤については、「発火温度」「平均粒径」を測定し、「発火温度」は表1〜表3に、「平均粒径」は表5に示した。浸漬水の「導電率」は、赤リンから生成するリンのオキソ酸の生成程度を推測するのに役立つ。
【0083】
なお、表1〜表6における赤リン系難燃剤の「ホスフィン生成量AおよびB」および浸漬水の「導電率」、表1〜表3における赤リン系難燃剤の「発火温度」、表5の「平均粒径」は、次のように測定した。
【0084】
(ホスフィン生成量Aの測定法)
試料10gを300mlの三角フラスコに入れた後、二本のガラス管を有する栓でこの三角フラスコの口を密封する。ガラス管の一方を窒素ガス容器に、他方をガス捕集容器に連結し、窒素ガスを導入して三角フラスコ内を十分に該ガス置換する。次に、三角フラスコを250℃の油浴に浸漬し、3時間この温度に保持し、この間に発生するガスを捕集する。
この捕集ガス100mlをシリンジに分取し、リン化水素検知管(光明理化学工業社製)を用いてホスフィン濃度を測定し、ガス発生量から試料1gあたりのホスフィン生成量“μg/g−サンプル”を算出する。
【0085】
(ホスフィン生成量Bの測定法)
試料10gを300mlの三角フラスコに入れた後、コック付ガラス管二本を有する栓でこの三角フラスコの口を密封する。この際、フラスコ内には、水を染み込ませたガーゼを試料と接しないように取付け、また、ガラス管の一方に漏れのないようにビニール袋をラスコ内側に取り付けておく。65℃に調節した恒温器に24時間静置し、この間に発生するガスを捕集する。室温で30分間放置した後、ビニール袋を取付けたガラス管のコックを開き、もう一方のガラス管より捕集ガス100mlをシリンジに分取し、リン化水素検知管を用いてホスフィン濃度を測定し、フラスコ内容積から試料1gあたりのホスフィン生成量“μg/g−サンプル”を算出する。
【0086】
(導電率の測定)
試料8gをイオン交換水80mlに浸漬し、80℃で20時間放置後、濾別し、濾液の導電率“mS/cm”を測定する。
【0087】
(発火温度の測定)
試料1gを容量10mlの磁性ルツボに入れて電気炉内に静置し、1℃/minの昇温速度で加熱して、発火温度を測定する。
【0088】
(平均粒径の測定)
レーザー回折式粒度分布計モデル715(シーラスアルカテル社製,仏)により測定する。
【0089】
【表1】
Figure 0004409721
【0090】
【表2】
Figure 0004409721
【0091】
【表3】
Figure 0004409721
【0092】
【表4】
Figure 0004409721
【0093】
【表5】
Figure 0004409721
【0094】
【表6】
Figure 0004409721
【0095】
表1から明らかなように、第1層にレゾール型フェノール樹脂被覆がなされている比較例1や第1層にアルミニウム水和物被覆がなされている比較例2に比べて、第1層にエポキシ樹脂被覆がなされている実施例1は、ホスフィン生成量Bがかなり低下している。これは、比較例1,2では、レゾール型フェノール樹脂やアルミニウム水和物は、透湿性および吸湿性が高く、加湿下では赤リン表面へ水や水に溶解した銅イオンが容易に到達し、赤リンの加水分解反応が促進されるためである、と推測される。
【0096】
表2,表3から明らかなように、樹脂被覆赤リンからなる比較例3に比べ、第2層にホスフィン捕捉作用を有する銅化合物、銀化合物や白金化合物が含まれている実施例1,4,5は、ホスフィン生成量AおよびBがかなり低下している。これは、第2層の銅化合物、銀化合物や白金化合物が赤リン粒子から発生したホスフィンを捕捉し、難燃剤粒子外への放出を抑制しているためと推測される。
また、実施例1〜3からわかるように、第二層の熱硬化性樹脂被覆は、フェノール樹脂,メラミン樹脂,エポキシ樹脂など種々の熱硬化性樹脂被覆方法を用いることができる。
【0097】
赤リン粒子に直接チタン水和物が被覆されている比較例7や直接マグネシウム水和物を含むフェノール樹脂が被覆されている比較例8に比べて、第1層にエポキシ樹脂被覆がなされている参考例10および実施例14は、ホスフィン生成量Bがかなり低下している。これは、比較例7,8では、加湿した水分が赤リン表面へ到達しやすく、赤リンの不均化反応が促進されるためと推測される。また、赤リン粒子に直接銅化合物を分散した被覆材が被覆されている比較例4,5,6に比べて、第1層にエポキシ樹脂被覆がなされている実施例1,8,12は、ホスフィン発生量Bがかなり低下し、発火温度が上がっている。これは、比較例4,5,6では、赤リンに直接接している銅化合物が赤リンの酸化や加水分解反応を促進しているためと推測される。
【0098】
表2,3の参考例6、7、10、実施例8、9、11からわかるように、酸化銅(II)による被覆量は、赤リン100重量部に対し、銅元素として0.5重量部でも効果がある。実施例12に比べ、さらに第3層としてエポキシ樹脂被覆がなされている実施例13は、導電率がかなり低下している。これは、実施例13では、第3層としてエポキシ樹脂被覆がなされているため、さらに赤リン表面へ水が到達しにくく、赤リンの加水分解反応が抑制されているものと推測される。
【0099】
表4から明らかなように、チタン水和物,水酸化アルミニウム水和物による被覆量は、赤リン100重量部に対し、チタン元素,アルミニウム元素として1.1重量部,0.75重量部でも効果がある。
【0100】
表5では、種々の赤リンを原料とした場合の被覆効果がわかる。一般に、赤リンは粒度が細かいと比表面積が増大し、空気中の水分や酸素との反応の場が拡大するため、赤リンの安定性は低下する。また、赤リンの形状によっても安定性は異なり、破砕面を持つ粉砕赤リンは反応活性点を多く有し、安定性は低くなる。このため、原料赤リンの選択は被覆赤リンの安定性に影響を与えるが、表5からわかるように、本発明によれば、原料赤リンに関わらず高い安定性が得られることがわかる。
【0101】
また、表6からわかるように、第一層のエポキシ樹脂被覆は、エポキシ樹脂を溶剤に溶かして赤リン粒子に被覆する方法や、エマルジョンタイプのエポキシ樹脂を用いる方法な等、種々のエポキシ樹脂被覆方法を用いることができる。
【0102】
(実施例28)
ポリスチレン[三菱モンサント化成社製のダイヤレックHT−88(商品名)]に、赤リン量が10重量%となるように、実施例13によって得た赤リン系難燃剤を混合し、押出機にて混練した。この混合物を射出成形し、長さ60mm,幅30mm,厚さ4mmの試験片及びUL−94試験片を作製した。
【0103】
(実施例29)
赤リン系難燃剤を実施例8によって得た赤リン系難燃剤に代えて、前記実施例28と同様に樹脂組成物の試験片を作製した。
【0104】
(比較例15)
比較のため、赤リン系難燃剤を比較例3によって得た赤リン系難燃剤に代えて、前記実施例28と同様に樹脂組成物の試験片を作製した。
【0105】
(実施例30)
ナイロン6[東レ社製のアミランCM−1007(商品名)]に、赤リン量が5重量%となるように、実施例8によって得た赤リン系難燃剤を混合し、押出機にて混練した。この混合物を射出成形し、長さ60mm,幅30mm,厚さ4mmの試験片びUL−94試験片を作製した。
【0106】
(比較例16)
比較のため、赤リン系難燃剤を比較例3によって得た赤リン系難燃剤に代えて、前記実施例30と同様に樹脂組成物の試験片を作製した。
【0107】
(実施例31)
エポキシ樹脂配合品[アサヒ化学研究所製のアサヒタイトEX−17(商品名),硬化剤:EX17ADD(商品名)]100重量部、水酸化アルミニウム[昭和軽金属社製のハイジライトH−32(商品名)]100重量部及び赤リン量が10重量部となるように、参考例15によって得た赤リン系難燃剤を混合し、混練機にて混練した。真空脱泡後、金型に注入し、150℃で1時間加熱硬化し、長さ10mm,幅10mm,厚さ2mmの試験片及びUL−94試験片を作製した。
【0108】
(比較例17)
比較のため、赤リン系難燃剤を比較例3によって得た赤リン系難燃剤に代えて、前記実施例31と同様に樹脂組成物の試験片を作製した。
【0109】
前記実施例28〜31及び比較例15〜17によって得られた樹脂組成物について試験を実施し、その結果を表7に示した。なお、表7における「難燃性」「ホスフィン発生量」は、次のように測定した。
(難燃性の測定)
UL−94試験により評価した(1/8“試験片)。V−2以上を合格とする。(ホスフィン生成量Aの測定法)
前記表1〜6のホスフィン生成量Aの測定法と同様に測定する。ただし、試料10gを試験片1枚に代える。
【0110】
【表7】
Figure 0004409721
【0111】
表7から明らかなように、実施例28〜31は、比較例15〜17に比べて、ホスフィン生成量が極端に低いことがわかる。
【0112】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明の赤リン系難燃剤は、赤リン粒子の表面が、特定の第一次被覆層(第1層)および第二次被覆層(第2層),または、更に第三次被覆層(第3層)で被覆した構成からなり、
第一次被覆層(第1層)は、エポキシ樹脂による被覆であり、
第二次被覆層(第2層)は、
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を含む熱硬化性樹脂による被覆、
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物およびリンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物による被覆、
・ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物およびリンのオキソ酸と難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物を含む熱硬化性樹脂による被覆、
・リンのオキソ酸により難溶性塩を形成する金属の酸化物および/または水酸化物を含む熱硬化性樹脂による被覆、
のいずれかであり、または、更に第三次被覆層(第3層)がエポキシ樹脂による被覆である、ことを特徴とし、
これにより、発火温度の高い高熱安定性で、しかもホスフィンおよび/またはリンのオキソ酸の発生が少ない高安定性の赤リン系難燃剤が得られるという効果が生ずる。
【0113】
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性に優ているのみならず、ホスフィン発生量の極めて少ないれる樹脂組成物を提供することができる。

Claims (23)

  1. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、および、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されている、ことを特徴とする赤リン系難燃剤。
  2. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る第二次被覆層で被覆されている、ことを特徴とする赤リン系難燃剤。
  3. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されている、ことを特徴とする赤リン系難燃剤。
  4. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、および、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂による第二次被覆層で被覆されている、ことを特徴とする赤リン系難燃剤。
  5. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第一次被覆層、ならびに、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る第二次被覆層で被覆されている、ことを特徴とする赤リン系難燃剤。
  6. 赤リン粒子の表面が、エポキシ樹脂による第三次被覆層で更に被覆されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  7. 前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールADジグリシジルエーテル、フタルン酸ポリグリシジルエステル、テレフタル酸ポリグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ポリグリシジルエステル、3,4−エポキシ−(6−メチルシクロヘキシル)メチルカルボキシレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ナフタレンジグリシジルエーテル、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ビフェニルジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、n−ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、クレジルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノエポキサイドの群から選ばれる少なくとも一種を原料とするものである、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  8. 前記第二次被覆層の熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、フラン樹脂、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂、ケトン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アニリン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂またはエポキシ樹脂である、ことを特徴とする請求項1,請求項3,請求項4または請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  9. 前記ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物が、赤リン100重量部に対し、金属元素に換算して0.5重量部以上である、ことを特徴とする請求項1〜請求項3または請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  10. 前記ホスフィン捕捉作用を有する金属化合物が、赤リン100重量部に対し、金属元素に換算して1〜16重量部である、ことを特徴とする請求項1〜請求項3または請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  11. 前記水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムが、赤リン100重量部に対し金属元素に換算して0.7重量部以上である、ことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  12. 前記水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムが、赤リン100重量部に対し金属元素に換算して0.7〜18重量部である、ことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  13. 前記赤リン系難燃剤が、250℃で3時間加熱した場合のホスフィン発生量が400μg/g−サンプル以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  14. 酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする前記赤リン系難燃剤が、250℃で3時間加熱した場合のホスフィン発生量が100μg/g−サンプル以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項3,請求項6、請求項9または請求項10のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  15. 水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムから成る、あるいは含む第二次被覆層で被覆されていることを特徴とする前記赤リン系難燃剤が、8gをイオン交換水80gに懸濁し、80℃で20時間放置した後濾過した場合の濾液の導電率が1.00mS/cm以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  16. 前記赤リン系難燃剤の平均粒径が50μm以下であり、かつ80重量%以上が粒径64μm以下の粒子で構成されている、ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤。
  17. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む熱硬化性樹脂で第二次被覆する、ことを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法。
  18. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物を1種または2種以上含む水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムで第二次被覆する、ことを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法。
  19. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、酸化銅(II)、酢酸銅、Co 、MoO 、MnO 、V 、Sb 、PbO 、Bi 、CdO、NiO、Ag O、Cr 、CeO 、PtO から選ばれるホスフィン捕捉作用を有する金属化合物の1種または2種以上および水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂で第二次被覆する、ことを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法。
  20. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを含む熱硬化性樹脂で第二次被覆する、ことを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法。
  21. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で第一次被覆し、次いで、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムで第二次被覆する、ことを特徴とする赤リン系難燃剤の製造方法。
  22. 赤リン粒子の表面を、エポキシ樹脂で更に第三次被覆することを特徴とする請求項1720のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤の製造方法。
  23. 請求項1〜請求項16のいずれか一項に記載の赤リン系難燃剤を合成樹脂に配合してなることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
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