JP4408049B2 - 二輪車等のフロントフォーク - Google Patents
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Description
「炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部の一端部が、同一の内径に形成されてなり、本体部の一端部の外周に、シールケースを接着剤を介して嵌着し、オイルシールの軸方向の内側となるシールケースの内周に、インナチューブを案内するブッシュを嵌着した」により、
(a)本体部の一端部に、接着剤にてシールケースを固着し、このシールケースの内側にブッシュを嵌着したので、炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部の一端部には、ブッシュを嵌着するための拡径部を形成する必要がなくなり、同一内径の長尺のCFRPパイプを所望の長さに切断して使用することができる。
「シールケースの内周を大径とした結合部を形成し、結合部を本体部の一端部の外周に嵌合した」により、
(b)シールケースが結合部を介してアウタチューブの本体部の外周に嵌着することにより、本体部とシールケースの嵌着部の剛性を下げることができる。その結果、フロントフォークにおける前方からの衝撃の吸収性を向上できる。
「シールケースの結合部の外周に、本体部の外周と接続する滑らかな傾斜面を形成した」により、
(c)シールケースの端部がアウタチューブの本体部に及ぼす曲げ応力を分散できる。
「ブッシュの背部となるシールケースの外周に、シールケースの結合部の外径より小径の環状部を形成した」により、
(d)シールケースの剛性を小径の環状部により下げることができる。
フロントフォーク10は、図1〜図6に示す如く、上下のブラケットA、Bにより車体側に支持されるアウタチューブからなる車体側チューブ101内に、車軸に結合されるインナチューブからなる車輪側チューブ102を摺動自在に嵌合し、両チューブ101、102の間に懸架スプリング11を介装している。尚、車体側チューブ101の下端内周に後述する如くに設けたシールケース310には車輪側チューブ102の外周に摺接するブッシュ101Aが、車輪側チューブ102の上端外周には車体側チューブ101の内周に摺接するブッシュ102Aが設けられる(図5)。車体側チューブ101の下端内周のシールケース310には、車輪側チューブ102の外周に摺接する、オイルシール(シール部材)103A、ダストシール103Bも設けられる。
フロントフォーク10はアウタチューブ101が炭素繊維強化プラスチックパイプ(CFRP)からなる本体部120を有し、本体部120の下端部の外周に、オイルシール103A等を内装した金属製のシールケース310を嵌合して備え、本体部120の上端部の外周に、キャップボルト104が取付けられる金属製のカラー320を嵌着して備える。
フロントフォーク10はインナチューブ102が炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部130を有し、本体部130の下端部の外周に、金属製の車軸ブラケット111を嵌着して備え、本体部130の上端部の内周に金属製のキャップ330を嵌着して備える。
(a)インナチューブ102の本体部130の内周をホーニング等の機械研磨を施して平滑にした後、無電解ニッケルメッキ(約5μ)を施し、本体部130の剛性を確保することができる。
フロントフォーク10は、図6に示す如く、車輪側チューブ102における本体部130の下端部の外周に、金属製の車軸ブラケット111を接着剤を介して嵌着し、車軸ブラケット111と本体部130に貫通する貫通孔111A、131を形成し、この貫通孔111A、131にピン141を挿入し、車軸ブラケット111と本体部130を軸方向及び径方向に結合する。
尚、車軸ブラケット111はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部130に、径方向の貫通孔131を形成するための穴加工をするだけで良く、ねじ部を形成するためのネジ切り加工をする場合に比較して炭素繊維がめくれたり、はがれたりすることが少ない。一端にねじ切り加工を施すための大径部を備えた金属パイプを使用しないので、金属パイプを使用しない分、一層の軽量化を図ることができる。
フロントフォーク10は、図4に示す如く、車輪側チューブ102における本体部130の上端部の内周に、上下面に中央孔331を有する中空円筒状の金属製のキャップ330(図15)を接着剤を介して嵌着し、キャップ330とインナチューブ102の本体部130に貫通する径方向の貫通孔332、132を形成し、この貫通孔332、132にピン142を挿入し、キャップ330と本体部130を軸方向及び径方向に係合する。
尚、キャップ330はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部130に、貫通孔132を形成するための穴加工をするだけで良く、ねじ部を形成するためのネジ切り加工をする場合に比較して炭素繊維がめくれたり、はがれたりすることが少ない。一端にねじ切り加工を施すための大径部を備えた金属パイプを使用しないので、金属パイプを使用しない分、一層の軽量化を図ることができる。
フロントフォーク10は、図5に示す如く、車体側アウタチューブ101における本体部120の下端部の外周に、オイルシール103A等を内装した金属製のシールケース310を嵌合してある。本体部120の少なくとも下端部が軸方向に関して同一の内径に形成されてなり、本体部120の下端部の外周に、シールケース310を接着剤を介して嵌着する。シールケース310の内周であって、オイルシール103Aの装填位置より軸方向の内側(ダストシール103Bの反対側)となる位置に、車輪側チューブ102を案内するブッシュ101Aが嵌着される。車体側チューブ101に対するシールケース310の固定部は、車輪側チューブ102におけるような引抜き荷重が作用しないから、接着剤以外のピン等の別途の結合手段を必要としない。
尚、シールケース310はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)本体部120の一端部に、接着剤にてシールケース310を固着し、このシールケース310の内側にブッシュ101Aを嵌着したので、炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部120の一端部には、ブッシュ101Aを嵌着するための拡径部を形成する必要がなくなり、同一内径のCFRPパイプを所望の長さに切断して使用することができる。
その結果、オイルシールリップやダストシールリップの車輪側チューブ102の外周への追従性を向上でき、オイルの外部への漏洩や、ダストの内部への侵入を防止できる。
フロントフォーク10は、図3に示す如く、車体側チューブ101における本体部120の上端部の外周に、キャップボルト104が取付けられる金属製のカラー320が結合される。カラー320は、図14に示す如く、本体部120の上端側に接着剤を介して嵌着される結合部321と、結合部321が本体部120に嵌着された状態で、本体部120の上端部より軸方向の外側に延びる取付部322とを一体に形成して備える。カラー320の取付部322の内周に、本体部120の上部開口端を閉じるキャップボルト104がOリング105を介して挿着され、かつ螺着されて取付けられる。
尚、カラー320はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金からなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部120の一端の内周に、金属製のカラー320を取付けるための大径部等を設けず、大径部等を形成するための特別な加工を必要としない。
フロントフォーク20は、図7に示す如く、上下のブラケットA、Bにより車体側に支持されるアウタチューブからなる車体側チューブ201内に、車軸に支持されるインナチューブからなる車輪側チューブ202を摺動自在に嵌合し、単筒形ダンパ204を正立にして形成している。即ち、ダンパ204は、後に詳述する如く、ピストンロッド211を車体側チューブ201に取付けて構成される。尚、車体側チューブ201の下端内周に後述する如くに設けたシールケース310には車輪側チューブ202の外周に摺接するブッシュ201Aが、車輪側チューブ202の上端外周には車体側チューブ201の内周に摺接するブッシュ202Aが設けられる(図11)。車体側チューブ201の下端内周のシールケース310には、車輪側チューブ202の外周に摺接する、オイルシール(シール部材)203A、ダストシール203Bも設けられる。
ピストンバルブ装置230(ピストン・バルブ組立体)は、図9に示す如く、ピストンロッド211の先端部にピストンホルダ231Aを装着し、このピストンホルダ231Aにナット231B等によりメインピストン232を保持している。メインピストン232は、車輪側チューブ202の内部をピストンロッド211が収容されないピストン側油室233Aとピストンロッド211が収容されるロッド側油室233Bとに区画し、該車輪側チューブ202の内部を摺動する。メインピストン232は、上下のピストン232A、232Bの組立体であり、多数枚の板バルブをピラミッド状に積層した伸側板バルブ234Aを備えてピストン側油室233Aとロッド側油室233Bとを連絡可能とする伸側ポート234と、中高速用圧側板バルブ235Aと低速用圧側板バルブ235Bとを備えてピストン側油室233Aとロッド側油室233Bとを連絡可能とする圧側ポート235とを備える。
ベースバルブ装置250は、図12に示す如く、車輪側チューブ202の下端部の車軸ブラケット207に螺着されている前述のボトムキャップボルト209にロックナット209Aを介してガイドパイプ251を螺着し、ガイドパイプ251の先端部にハウジングホルダ251Aを螺着し、このハウジングホルダ251Aにナット251B等によりサブピストン252を保持している。サブピストン252は車輪側チューブ202の内部で前述のメインピストン232に相対するように固定配置され、車輪側チューブ202の内周部に液密に接し、前述のピストン側油室233Aの下方にベースバルブ室253の油室253Aを区画形成する。サブピストン252は、多数枚の板バルブをピラミッド状に積層した中高速用圧側板バルブ254Aを備えてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とする圧側ポート254と、伸側板バルブ255A(チェックバルブ)を備えてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とする伸側ポート255とを備える。また、ハウジングホルダ251Aは、圧側ポート254と伸側ポート255とをバイパスしてピストン側油室233Aとベースバルブ室253の油室253Aとを連絡可能とするバイパス流路256を備える。
(圧縮時)
フロントフォーク20の圧縮時には、ピストン速度の極低速時に、ベースバルブ装置250においてサブピストン252のニードル258Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、低速時には、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232の低速用圧側板バルブ235Bを流れる油により圧側減衰力を生じ、かつベースバルブ装置250においてサブピストン252の低速用圧側板バルブ254Cを流れる油により圧側減衰力を生じ、中高速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232の中高速用圧側板バルブ235Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、かつベースバルブ装置250においてサブピストン252の圧側板バルブ254Aを流れる油により圧側減衰力を生ずる。
フロントフォーク20の伸張時には、ピストン速度の低速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232のニードル237Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、中高速時に、ピストンバルブ装置230においてメインピストン232の伸側板バルブ234Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ベースバルブ装置250では殆ど減衰力を生じない。
フロントフォーク20は車体側アウタチューブ201が炭素繊維強化プラスチックパイプ(CFRP)からなる本体部270を有し、本体部270の下端部の外周に、オイルシール203A等を内装した金属製のシールケース310を嵌合して備え、本体部270の上端部の外周に、キャップボルト205が取付けられる金属製のカラー320を嵌着して備える。
フロントフォーク20は車輪側インナチューブ202が炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部280を有し、本体部280の下端部の外周に、金属製の車軸ブラケット207を嵌着して備え、本体部280の上端部の内周に金属製のキャップ212を嵌着して備える。
(a)インナチューブ202の本体部280の内周に無電解ニッケルメッキを施してメインピストン232の摺動面を形成することができるとともに、本体部280の剛性を確保することができる。
フロントフォーク20は、図13、図18に示す如く、車輪側チューブ202における本体部280の下端部の外周に、金属製の車軸ブラケット207を接着剤を介して嵌着し、車軸ブラケット207と本体部280に径方向に貫通する貫通孔207A、281を形成し、この貫通孔207A、281にピン291を挿入し、車軸ブラケット207と本体部280を軸方向及び径方向に結合する。
尚、車軸ブラケット207はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部280に、貫通孔281を形成するための穴加工をするだけで良く、ねじ部を形成するためのネジ切り加工をする場合に比較して炭素繊維がめくれたり、はがれたりすることが少ない。一端にねじ切り加工を施すための大径部を備えた金属パイプを使用しないので、金属パイプを使用しない分、一層の軽量化を図ることができる。
フロントフォーク20は、図10、図16に示す如く、車輪側インナチューブ202における本体部280の上端部の内周に、金属製のキャップ212の下部のロッドガイド部212Fの下端外周をOリング341を介し、その上端外周を接着剤を介して嵌着し、キャップ212と本体部280に径方向に貫通する貫通孔342、282を形成し、この貫通孔342、282にピン292を挿入し、キャップ212と本体部280を軸方向及び径方向に係合する。尚、キャップ212は、下端外周と上端外周を本体部280の内周に嵌合する大径部とし、中間部外周を細径部とし、この細径部の外周を注油孔212Dから横孔202Bへの注油路とする。
尚、キャップ212はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部280に、貫通孔132を形成するための穴加工をするだけで良く、ねじ部を形成するためのネジ切り加工をする場合に比較して炭素繊維がめくれたり、はがれたりすることが少ない。一端にねじ切り加工を施すための大径部を備えた金属パイプを使用しないので、金属パイプを使用しない分、一層の軽量化を図ることができる。
フロントフォーク20は、図11に示す如く、車体側チューブ201における本体部270の下端部の外周に、オイルシール203A等を内装した金属製のシールケース310を嵌合してある。本体部270の少なくとも下端部が軸方向に関して同一の内径に形成されてなり、本体部270の下端部の外周に、シールケース310を接着剤を介して嵌着する。シールケース310の内周であって、オイルシール203Aの装填位置より軸方向の内側(ダストシール203Bの反対側)となる位置に、車輪側チューブ202を案内するブッシュ201Aが嵌着される。車体側チューブ201に対するシールケース310の固定部は、車輪側チューブ202におけるような引抜き荷重が作用しないから、接着剤以外のピン等の別途の結合手段を必要としない。
尚、シールケース310はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金よりなる。
(a)本体部270の一端部に、接着剤にてシールケース310を固着し、このシールケース310の内側にブッシュ201Aを嵌着したので、炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部270の一端部には、ブッシュ201Aを嵌着するための拡径部を形成する必要がなくなり、同一内径のCFRPパイプを所望の長さに切断して使用することができる。
その結果、オイルシールリップやダストシールリップの車輪側チューブ202の外周への追従性を向上でき、オイルの外部への漏洩や、ダストの内部への侵入を防止できる。
フロントフォーク20は、図8に示す如く、車体側チューブ201における本体部270の上端部の外周に、キャップボルト205が取付けられる金属製のカラー320が結合される。カラー320は、図14に示す如く、本体部270の上端側に接着剤を介して嵌着される結合部321と、結合部321が本体部270に嵌着された状態で、本体部270の上端部より軸方向の外側に延びる取付部322とを一体に形成して備える。カラー320の取付部322の内周に、本体部270の上部開口端を閉じるキャップボルト205がOリング206を介して挿着され、かつ螺着されて取付けられる。
尚、カラー320はアルミニウム、マグネシウム等の軽合金からなる。
(a)炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部270の一端の内周に、金属製のカラー320を取付けるための大径部等を設けず、大径部等を形成するための特別な加工を必要としない。
101、201 車体側チューブ(アウタチューブ)
101A、201A ブッシュ
102、202 車輪側チューブ(インナチューブ)
103A、203A オイルシール
120、270 本体部
310 シールケース
311 結合部
311A 傾斜面
312 環状部
Claims (4)
- アウタチューブ内に、インナチューブを摺動自在に挿入し、
アウタチューブが炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部を有してなり、
該本体部の一端部の外周に、オイルシールを内装したシールケースを嵌合した二輪車等のフロントフォークにおいて、
前記炭素繊維強化プラスチックパイプからなる本体部の一端部が、軸方向に関して同一の内径に形成されてなり、
該本体部の一端部の外周に、前記シールケースを接着剤を介して嵌着し、
前記オイルシールの軸方向の内側となる前記シールケースの内周に、前記インナチューブを案内するブッシュを嵌着したことを特徴とする二輪車等のフロントフォーク。 - 前記シールケースの軸方向の一端側の内周を大径とした薄肉の結合部を形成し、該結合部を前記本体部の一端部の外周に嵌合した請求項1に記載の二輪車等のフロントフォーク。
- 前記シールケースの結合部の外周に、前記本体部の外周と接続する滑らかな傾斜面を形成した請求項2に記載の二輪車等のフロントフォーク。
- 前記ブッシュの背部となる前記シールケースの外周に、該シールケースの結合部の外径より小径の環状部を形成した請求項2又は3に記載の二輪車等のフロントフォーク。
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