JP4407849B2 - 染料組成物、インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

染料組成物、インク組成物及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規スルホン化されたキノフタロン系染料組成物、水性イエローインク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタによる記録方法としてインクの各種吐出方式が開発されているが、いずれもインクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材料(紙、フィルム、布帛等)に付着又は染着させ記録を行うものである。インクジェットプリンタによる記録方法は、記録ヘッドと被記録材料とが接触しない為、音の発生がなく静かであり、凹凸面、柔軟物質、壊れやすい製品等、場所を選ばず印字ができるという特長がある。またプリンタの小型化及び印字等の高速化、カラー化が容易という特長の為、近年急速に普及し、今後も大きな伸長が期待されている。コンピュータのカラーディスプレイ上の画像又は文字情報をインクジェットプリンタにより、カラ−で記録するには、一般にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の三原色にブラック(K)を加えた4色のインクによる減法混色で表現される。CRTディスプレイ等のレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)による加法混色画像をできるだけ忠実に再現するには、使用する色素、中でもYMCのインクに使用される色素にはできるだけYMCそれぞれの標準に近い色相を有し、且つ鮮明であることが望まれる。又、インク組成物は長期の保存に対し安定であり、又プリントした画像の濃度が高く、しかも耐水性、耐光性等の堅牢度に優れている事が求められる。今後、使用分野を拡大すべく、広告等の展示物に活用した場合、光(電灯、蛍光灯、日光等)に曝される場合が多くなり、特に耐光性の優れたインク組成物が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
インクジェットプリンタの用途はOA用小型プリンタから産業用の大型プリンタまで拡大されており、耐水性及び耐光性等の堅牢性がこれまで以上に求められている。耐水性については多孔質シリカ、カチオン系ポリマー、アルミナゾル又は特殊セラミックスなどインク中の色素を吸着し得る無機微粒子をPVA樹脂などとともに紙の表面にコーティングすることにより大幅に改良され、既にインクジェットプリント用の各種コート紙が市販されている。しかし、耐光性については大幅に改良させる技術は確立されておらず、その改良が重要な課題となっている。
【0004】
インクジェット記録用水性インクに用いられるイエローの色素骨格としてはアゾ系が代表的である。しかしアゾ系については色相及び耐水性は良いものがあるが、耐光性が一般的に劣る。特に銅フタロシアニン系に代表されるシアン染料等の染料に比べ耐光性は劣る水準である。
本発明は、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光、耐水性堅牢度が強く、更にカラーバリューも高いイエロー色素及び水性イエローインク組成物を提供する事を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったものである。即ち本発明は、
(1)式(2)
【0006】
【化3】
Figure 0004407849
【0007】
(式中、Xは水素原子、塩素原子あるいは臭素原子を示す。)
で表される化合物をスルホン化することにより得られる化合物またはその塩を含有する水溶性染料組成物、
(2)式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が式(1)
【0008】
【化4】
Figure 0004407849
【0009】
(式中、Xは水素原子、塩素原子あるいは臭素原子を示す。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンのカチオンまたはアンモニウムイオンを示す。nは1〜4の整数である。)
で表される(1)に記載の水溶性染料組成物、
(3)式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が、式(2)で示される化合物を5〜65重量%発煙硫酸中、反応温度を0〜100℃でスルホン化して得られる化合物またはその塩である(1)または(2)に記載の水溶性染料組成物、
(4)式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が、式(2)で示される化合物を10〜45重量%発煙硫酸中、反応温度を10〜80℃でスルホン化して得られる化合物またはその塩である(1)ないし(3)記載の水溶性染料組成物、
(5)色素成分として、(1)ないし(4)記載の染料組成物を含有することを特徴とする水性イエローインク組成物、
(6)水及び水溶性有機溶剤を含有する(5)に記載の水性イエローインク組成物、
(7)染料組成物中の塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有量が1重量%以下である(5)又は(6)に記載の水性イエローインク組成物、
【0010】
(8)インクジェット記録用である(5)ないし(7)のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物、
(9)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(5)ないし(8)のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法、
(10)被記録材が情報伝達用シートである(9)に記載のインクジェット記録方法、
(11)(5)ないし(8)のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物を含有する容器、
(12)(11)に記載の容器を有するインクジェットプリンタ、
(13)(1)ないし(4)に記載の染料組成物を有する着色体
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の染料組成物は、前記式(2)で表されるキノフタロン化合物をスルホン化して得られる化合物またはその塩を含有し、このキノフタロン系染料組成物は、水溶性でイエロー色の色素成分として使用される。
【0012】
前記式(2)及び式(1)において、Xは水素原子、塩素原子または臭素原子である。好ましいXとしては、水素原子が挙げられる。
【0013】
また、前記式(1)において、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンのカチオンまたはアンモニウムイオンを示す。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等が挙げられる。有機アミンとしては、例えばメチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。好ましいMとしては、水素原子、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、アンモニウムイオン、モノエタノールアミンイオン、ジエタノールアミンイオン、トリエタノールアミンイオン、モノイソプロパノールアミンイオン、ジイソプロパノールアミンイオン、トリイソプロパノールアミンイオン等のアルカノールアミンイオン等が挙げられる。
【0014】
前記式(1)において、nは1〜4の整数で、通常、nが1〜4の化合物の混合物として存在する。なお、nは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、質量分析法(ESI−MSスペクトル)等の方法により判別出来る。
【0015】
本発明の、前記式(2)で表される化合物をスルホン化することにより得られる水溶性の染料組成物または前記式(1)で表される化合物又はその塩は、例えば前記式(2)で表される3’−オキシベンゾキノフタロン誘導体をスルホン化することにより得られる。
【0016】
前記式(2)で表される3’−オキシベンゾキノフタロン誘導体は通常一般式(3)で表されるキノリン誘導体とナフタリン−2,3−ジカルボン酸またはその無水物あるいはイミド類とを加熱し、所望によりさらにハロゲン化することにより得られる。(式(2)の化合物の合成法の詳細については、特公昭53−16009号公報参照。)
【0017】
【化5】
Figure 0004407849
【0018】
(式中、Rは水素原子、カルボン酸またはハロゲン原子を示す。)
【0019】
こうして合成された3’−オキシベンゾキノフタロン誘導体は通常前記式(2)で表されるような骨格で示されるが、堀口博著「綜説合成染料」308頁に記載されているように一般的にキノフタロン化合物は構造異性体をとることが知られており、式(2)も構造異性体をとることが考えられる。
【0020】
本発明の、キノフタロン系水溶性染料組成物は、前記式(2)で表される3’−オキシベンゾキノフタロン誘導体を、例えば発煙硫酸中でスルホン化することにより得られる。発煙硫酸の使用量は式(2)の化合物に対し重量比で3〜15倍量が好ましく、より好ましくは5〜10倍量である。15倍量以上使用してもスルホン化反応自体は特に問題とはならないが多量の酸性廃液が副生し工業的に不利であり、また3倍量以下では式(2)の化合物が溶解不良となり撹拌不良または異常反応が起こるおそれがある。発煙硫酸の濃度は通常5〜65重量%、好ましくは10〜45重量%である。反応温度は通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃である。また反応時間は反応温度により変わるが通常30分〜20時間、好ましい態様においては1〜10時間である。このスルホン化は、TLCにより式(2)の化合物がなくなった時点を終点とする。反応終了後、反応液を氷水中にあけ、酸析または塩析後、濾過、乾燥することにより式(2)のスルホン化物を含有する水溶性の染料組成物が得られる。この染料組成物は、通常前記式(1)で示される化合物を含有する。式(1)におけるスルホン酸基の数は前記のように1〜4個の混合物であり、また置換位置も複数考えられることからスルホン化されて得られる化合物は多種類混在しているが、後記する本発明のインク組成物を得るための色素としては何ら差し支えない。
【0021】
こうして得られる化合物は、通常遊離酸の形であるいはその塩の形で得られる。遊離酸とするには、例えば常法により酸析すればよい。また、遊離酸の形の化合物を水と共に撹拌しながら、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水、メチルアミン、モノエタノールアミンを添加して中和すれば、各々ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、メチルアミン塩、モノエタノールアミン塩が得られる。
【0022】
本発明の水性イエローインク組成物は、前記式(2)の化合物のスルホン化された化合物またはその塩を含有する染料組成物、より好ましい態様においては、式(1)の化合物を水又は水溶性有機溶剤に溶解したものである。インクのpHは4〜11が好ましい。より好ましいpHは5〜10である。この水性インク組成物をインクジェット記録用プリンタで使用する場合、色素成分としては金属陽イオンの塩酸塩、硫酸塩等の無機物の含有量は少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含量として1重量%以下である。無機物の少ない色素成分を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は色素成分の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。
【0023】
本発明の水性インク組成物は水を媒体として調製されるが、本発明の染料組成物または式(1)の化合物は該水性インク組成物中に、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜8重量%程度含有される。本発明の水性インク組成物にはさらに水溶性有機溶剤やインク調製剤を含有していても良い。その含有量は水溶性有機溶剤0〜30重量%、好ましくは5〜30重量%、インク調製剤0〜5重量%、好ましくは0〜2重量%程度である。
【0024】
本発明のインク組成物は、蒸留水及びイオン交換水等の不純物を除去した水に、本発明の染料組成物又は式(1)の化合物を必要により、下記水溶性有機溶剤、インク調製剤と共に添加混合することにより調製される。また、水と下記水溶性有機溶剤、インク調製剤等との混合物に本発明の染料組成物又は式(1)の化合物を添加、溶解してもよい。また必要ならインク組成物を得た後で濾過を行い、狭雑物を除去してもよい。
【0025】
使用し得る水溶性有機溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1 〜C4 アルカノール、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム類、尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン又は1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素、アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロピレングリコール、1,2−又は1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、チオジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のC2 〜C6 アルキレン単位を有するモノー、オリゴー又はポリアルキレングリコール又はチオグリコール、グリセリン、ヘキサン−1.2.6−トリオール等のポリオール(トリオール)、エチレングリコールモノメチルーエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1 〜C4 アルキルエーテル、γーブチロラクトン又はジメチルスルホキシド等があげられる。これらの水溶性有機溶剤は2種以上併用しても良い。
【0026】
有利な水溶性有機溶剤としては、N−メチルピロリジン−2−オン、C2 〜C6 アルキレン単位を有するモノ、ジ又はトリアルキレングリコール(例えばモノ、ジ又はトリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、特に、N−メチルピロリジン−2−オン、ジエチレングリコール、ジメチルスルホキシドの使用が好ましい。
【0027】
インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがあげられる。
【0028】
防腐防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等があげられる。
【0029】
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを4〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その例として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などが挙げられる。
【0030】
キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウムなどがあげられる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニア、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどがあげられる。水溶性高分子化合物としては、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等があげられる。水溶性紫外線吸収剤としては、例えばスルホン化されたベンゾフェノン、スルホン化されたベンゾトリアゾール等があげられる。染料溶解剤としては、例えばεーカプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等があげられる。界面活性剤としては、例えばアニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知公用の界面活性剤があげられる。
【0031】
本発明のインクジェット記録方法における被記録材としては、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維及び皮革等が挙げられる。情報伝達用シートについては、表面処理されたもの、具体的にはこれらの基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオンポリマーを含浸あるいは塗工することにより、また多項質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸着し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニールピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工することにより設けられる。このようなインク受容層を設けたものは通常インクジェット専用紙(フィルム)や光沢紙(フィルム)と呼ばれ、例えばピクトリコ(旭硝子社製)、カラーBJペーパー、カラーBJフォトフィルムシート(いずれもキャノン社製)、カラーイメージジェット用紙(シャープ社製)、スーパーファイン専用光沢フィルム(セイコーエプソン社製)ピクタファイン(日立マクセル社製)等が挙げられる。なお、普通紙にも適用できることはもちろんである。
【0032】
また繊維についてはナイロン、絹及びウール等のポリアミド繊維が好ましく、不織布や布状のものが好ましい。これらの繊維については、本発明のインク組成物を該繊維に、好ましくはインクジェット方法により付与した後、飽和蒸気加熱(例えば約80〜120℃)あるいは高温蒸熱(例えば約150〜180℃)の固着工程を経ることで該繊維内部に色素を染着させることができ、鮮明性、耐光性及び耐洗濯性に優れた染色物を得ることができる。
【0033】
本発明の水性インク組成物は溶解安定性が高く、貯蔵中沈殿の分離が生じない。また本発明の水性インク組成物をインクジェットプリンタにおいて使用する場合、噴射ノズルの目詰まりを生ずることがなく、比較的長い時間(一定の再循環下における使用または断続的に中間的遮断下での使用)においても本発明の水性インク組成物は物理的性質の変化を生じない。
【0034】
本発明の容器は上記の水性イエローインク組成物を含有する。また、本発明のインクジェットプリンタは、この水性イエローインク組成物を含有する本発明の容器がインクタンク部分にセットされたものである。さらに、本発明の着色体は、上記の式(2)の化合物のスルホン化された化合物またはその塩を含有する染料組成物(または式(1)の化合物)で、好ましくは上記の水性イエローインク組成物を調製し、これを用いて着色されたものである。
【0035】
本発明の水性インク組成物は、鮮明で、JNC(社団法人 日本印刷産業機械工業)の標準イエロー色に近似したイエロー色であり、他のマゼンタ、シアンのインクと共に用いる事で、広い可視領域の色調を色出しする事ができる。また、耐光性及び耐水性の優れた既存のマゼンタ、シアン、ブラックと共に用いることで耐光性及び耐水性に優れた記録物を得ることができる。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を更に実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り重量基準である。
【0037】
実施例1
30%発煙硫酸300部中に撹拌しながら30℃以下で式(2)の化合物(X=H)50部を徐々に仕込み溶解する。次いで、60℃に昇温後60〜65℃にて5時間反応を行った。反応後、冷却し得られた反応液を氷水1リットル中に注加し発煙硫酸を分解後、撹拌しながら食塩30部を徐々に添加する。室温にて2時間撹拌し色素分を十分に析出させた後、析出した結晶をろ取し10%の食塩水150部で洗浄してウエットケーキ77部を得た。乾燥して式(1)(X=H、M=Na、n=1、2、3及び4の混合物で、n=2が主成分)で示される染料組成物39部を黄色結晶として得た。続いて得られたドライケーキ20部をメタノール50部とともに加熱還流を1時間行った後室温まで冷却し、析出した結晶をろ別し、少量のメタノールで洗浄後、乾燥して式(1)(X=H、M=Na)で示される化合物の脱塩品12部を赤色結晶として得た。極大吸収波長:460nm,437nm(水溶液中)。pH=6〜9における水に対する溶解性が100g/l以上。
【0038】
以下に、実施例1で得られた染料組成物の高速液体クロマトグラフィーのデータを示す。カラム;イナートシル ODS−2,4.6φ×250mm、溶離液;A:5mMol/l酢酸アンモニウム水溶液,B:アセトニトリル、流量;0.7ml/min、温度;40℃、検出;UV−254nm、グラジェントモードは、アセトニトリル初期濃度10%から15分かけて40%にあげ、更に15分間展開する。
【0039】
Figure 0004407849
【0040】
実施例2
30%発煙硫酸800部中に撹拌しながら25℃以下で式(2)の化合物(X=H)100部を徐々に仕込み溶解する。次いで、55℃に昇温後54〜56℃にて6時間反応を行った。反応後、30℃まで冷却し得られた反応液を氷水2リットル中に注加し発煙硫酸を分解後、撹拌しながら食塩120部を徐々に添加する。室温にて5時間撹拌し色素分を十分に析出させた後、析出した黄色結晶をろ取し10%の食塩水で洗浄してウエットケーキ520部を得た。次いで得られたウェットケーキを水1250部に溶解後20%水酸化ナトリウム溶液にて中和し、食塩300部を添加し再塩析を行う。析出してくる橙色結晶を濾取しウェットケーキ390部を得た。次いで得られたウェットケーキを1600部のメタノールとともに50〜55℃で1時間撹拌した後室温まで冷却後分散している結晶を濾別し少量のメタノールで洗浄後、乾燥して式(1)(X=H、M=Na、n=1、2、3及び4の混合物で、n=2が主成分)で示される染料組成物150部を得た。極大吸収波長:460nm,437nm(水溶液中)。pH=6〜9における水に対する溶解性が100g/l以上、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有量:0.2重量%以下。
【0041】
以下に、実施例2で得られた染料組成物の高速液体クロマトグラフィーのデータを示す。クロマトグラフィーの条件は実施例1と同様。
【0042】
Figure 0004407849
【0043】
実施例3
15%発煙硫酸93.3部中に撹拌しながら30℃以下で式(2)の化合物(X=H)15部を徐々に仕込み溶解する。次いで60%発煙硫酸26.6部添加し反応液中の発煙硫酸濃度を25%に調整したのち昇温し54〜56℃にて6時間反応を行った。反応後、30℃まで冷却し得られた反応液を氷水500部中に注加し発煙硫酸を分解後、撹拌しながら食塩60部を徐々に添加する。室温にて5時間撹拌し色素分を十分に析出させた後、析出した黄色結晶をろ取し15%の食塩水で洗浄してウエットケーキ56.4部を得た。次いで得られたウェットケーキを実施例2と同様の脱塩処理を行うことにより式(1)(X=H、M=Na、n=1、2、及び3の混合物、n=2が主成分)で示される橙色の染料組成物17部を得た。極大吸収波長:459nm,435nm(水溶液中)。pH=6〜9における水に対する溶解性が100g/l以上、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有量:0.2重量%以下。
【0044】
以下に、実施例3で得られた染料組成物の高速液体クロマトグラフィーのデータを示す。クロマトグラフィーの条件は実施例1と同様。
【0045】
Figure 0004407849
【0046】
実施例4
(A)インクの作成
下記表1に記載の各成分を混合溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより本発明のインクジェット用水性インク組成物を得た。本発明の水性インク組成物は、貯蔵中、沈殿分離が生じず、また長期間保存後においても物性の変化は生じなかった。
【0047】
Figure 0004407849
【0048】
(B)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ(商品名 NEC社PICTY80L)を用いて、普通紙(プリンタペーパーA4 TLB5A4S(キャノン社製))、専用紙A(Color BJ Paper LC101(キャノン社製))、専用紙B(カラーイメージジェット用コート紙 STX73A4(シャープ社製))、光沢フィルムA(専用光沢フィルム MJA4SP6(セイコーエプソン社製))及び光沢フィルムB(カラーBJフォトシートフィルムCA−101(キャノン社製))の5種の被記録材料にインクジェット記録を行った。本発明の水性イエローインク組成物(式(1)のXが水素原子、Mがナトリウム塩)の記録画像の色相、鮮明性、耐光性及び耐水性の試験結果を表2にす。
【0049】
比較対象としてインクジェット用イエロー色素として多用されているアゾ系色素のC.I. Acid Yellow 17(比較例1)を用いる他は前記と同様のインク組成で本発明のイエローインク組成物と光学濃度が合うように調整した比較用インク組成物の記録画像の色相、鮮明性、耐光性及び耐水性試験結果を表2に示す。また、JNCのJAPAN Colorの標準イエローのカラーサンプルの色相及び鮮明性を表2に示す(紙はJapan Color Standard Paper)。
【0050】
(C)記録画像の評価
▲1▼ 色相評価
記録画像の色相、鮮明性:記録紙をCOMSEK−V測色システム(日本化薬社製)を用いて測色し、L*、a*、b*値を算出。色相はJNCのJAPAN Colorの標準イエローのカラーサンプルとの比較、鮮明性はC*=((a*2+(b*21/2で評価した。
▲2▼ 耐光試験
カーボンアークフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、記録画像に40時間照射した。判定級は、JIS L−0841に規定されたブルースケールの等級に準じて判定するとともに、上記の測色システムを用いて試験前後の色差(ΔE)を測定した。
▲3▼ 耐水試験
水を張ったビーカー中に記録が行われた記録材料を入れ、2分間撹拌した後取り出し風乾し、試験前後の変化をJIS変褪色グレースケールで判定するとともに、上記の測色システムを用いて試験前後の色差を測定した。
【0051】
Figure 0004407849
Figure 0004407849
【0052】
表2から、本発明のキノフタロン系色素を用いて作製されたインク組成物は、JNCの標準イエローの色相に非常に近似しており、インクジェット用イエローインクとして適している。
【0053】
表2より、本発明のインク組成物は、普通紙や専用紙での耐水性が良好で、特に専用紙における耐水性は極めて良好である。又、耐光性も良好であり、記録材料(普通紙も含む)によって差がみられず安定した品質を供給することが可能なインク組成物である。一方アゾ系色素を用いて作製した比較用インク組成物では普通紙や専用紙での耐水性が不良であり、また専用紙Aや光沢フィルムBにおける耐光性の不良など使用する被記録材料によって品質に大きな差が生じている。
【0054】
以上のことから本発明の染料組成物を用いたイエローインク組成物は、適用範囲が広い非常に優れたインクジェット用イエローインク組成物の作製が可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明の染料組成物は極めて水溶解性に優れ、水溶液は経時でも安定であり、インク組成物製造過程でのメンブランフィルターに対するろ過性が良好という特徴を有し、インクジェット用色素として高濃度のインクが作製可能である。さらに、カラーバリューも高い。又、この染料組成物を使用した本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。又、本発明のインク組成物をインクジェット記録用のイエローインク組成物として使用した印刷物は耐光性及び耐水性に優れ、マゼンタ、シアン及びブラック染料と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたインクジェット記録が可能である。更に印刷面は鮮明でJNCで定める標準イエローに近い色相であり、他のマゼンタ、シアンのインクと共に用いる事で、広い可視領域の色調を色出しする事ができる。従って、本発明のインク組成物はインクジェット記録用のイエローインク組成物として極めて有用である。

Claims (13)

  1. 式(2)
    Figure 0004407849
    (式中、Xは水素原子、塩素原子あるいは臭素原子を示す。)
    で表される化合物をスルホン化することにより得られる化合物またはその塩を含有する水溶性染料組成物。
  2. 式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が式(1)
    Figure 0004407849
    (式中、Xは水素原子、塩素原子あるいは臭素原子を示す。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、有機アミンのカチオンまたはアンモニウムイオンを示す。nは1〜4の整数である。)
    で表される請求項1に記載の水溶性染料組成物。
  3. 式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が、式(2)で示される化合物を5〜65重量%発煙硫酸中、反応温度を0〜100℃でスルホン化して得られる化合物またはその塩である請求項1または2に記載の水溶性染料組成物。
  4. 式(2)で示される化合物のスルホン化により得られる化合物またはその塩が、式(2)で示される化合物を10〜45重量%発煙硫酸中、反応温度を10〜80℃でスルホン化して得られる化合物またはその塩である請求項1ないし3記載の水溶性染料組成物。
  5. 色素成分として、請求項1ないし4記載の染料組成物を含有することを特徴とする水性イエローインク組成物。
  6. 水及び水溶性有機溶剤を含有する請求項5に記載の水性イエローインク組成物。
  7. 染料組成物中の塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含有量が1重量%以下である請求項5又は6に記載の水性イエローインク組成物。
  8. インクジェット記録用である請求項5ないし7のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物。
  9. インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして請求項5ないし8のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  10. 被記録材が情報伝達用シートである請求項9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 請求項5ないし8のいずれか一項に記載の水性イエローインク組成物を含有する容器。
  12. 請求項11に記載の容器を有するインクジェットプリンタ。
  13. 請求項1ないし4に記載の染料組成物を有する着色体。
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