JP4404859B2 - 新規アントラピリドン化合物、水性マゼンタインク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
インクジェット記録用水溶性インクに用いられるマゼンタの色素骨格としては、特許文献1−3等にみられるキサンテン系と、特許文献4−8等にみられるH酸アゾ系が代表的なものである。これらのうちキサンテン系については色相及び鮮明性は非常に優れるが耐光性は非常に劣る。またH酸アゾ系については色相及び耐水性は良いものがあるが、耐光性及び鮮明性が劣る。特許文献6にみられるように、鮮明性及び耐光性の優れたマゼンタ染料も開発されているが、銅フタロシアニン系に代表されるシアン染料やイエロー染料など他の色相の染料に比べ耐光性は依然劣る水準である。
本発明は、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光及び耐水堅牢度が強いマゼンタの水性インク組成物を提供する事を目的とする。
(1)式A−B
(式中、Aは下記式(1)
で表される色素残基を、Bは水素原子又は色素残基A上の置換基を示す。)
で表されるアントラピリドン化合物又はその塩、
(2)Bが、アシル基又は下記式(2)
で表される基である(1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩
(3)(2)の式(2)においてXがアニリノ基(スルホン酸基、カルボキシル基から選択される1種又は2種の置換基で置換されていてもよい)、Yが塩素原子、水酸基、アミノ基、モノエタノ−ル基、ジエタノ−ル基又はモルホリノ基である(2)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(4)アシル基がベンゼンスルホニル基、トシル基、2−カルボキシ−ベンゾイル基、又は3,4−ジカルボキシベンゾイル基である(2)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(5)R1 が水素原子、R2 がメチル基である請求項1に記載のアントラピリドン化合物又はその塩、
(6)色素成分として、(1)乃至(5)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩を含むことを特徴とする水性マゼンタインク組成物、
(7)水及び有機溶剤を含有する(6)に記載の水性マゼンタインク組成物
(8)アントラピリドン化合物又はその塩中の含有量が1重量%以下である(6)又は(7)に記載の水性マゼンタインク組成物、
(9)インクジェット記録用である(6)乃至(8)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物、
(10)インク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、インクとして(6)乃至(8)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法、
(11)インク滴を記録信号に応じて吐出させて記録材に記録を行うインクジェット記録方法において、マゼンタインクとして(6)乃至(8)のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を、シアンインクとして水溶性金属フタロシアニン色素を含有する水性インクをそれぞれ使用することを特徴とするインクジェット記録方法、
(12)被記録材が情報伝達用シ−トである(11)に記載のインクジェット記録方法、
(13)情報伝達用シ−トが表面処理されたシ−トである(12)に記載のインクジェット記録方法、
(14)(6)乃至8のいずれか一項に記載の水性マゼンタインク組成物を含有する容器及び水溶性金属フタロシアニン色素を含有する水性シアンインク組成物を含有する容器を有するインクジェットプリンタ−、
(15)R1が水素原子又は低級アルコキシカルボニル基、R2がメチル基、Bが水素原子又はC1乃至C4のアルコキシカルボニル基である(1)に記載のアントラピリドン化合物又はその塩
に関する。
アシル基としては、置換又は非置換のベンゼンスルホニル基、置換又は非置換のアルキルスルホニル基、置換又は非置換のベンゾイル基、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基等を挙げることが出来る。これらの基におけるベンゼン核上の置換基としてはC1〜C4のアルキル基、フェニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基等を挙げることが出来、これらの置換基のうち更に置換基を有しうるものについては、上記の置換基で置換されていてもよい。又、アルキル基の置換基としてはベンゼン核に置換しうる置換基として挙げたもの(アルキル基を除く)が挙げられる。これらのアシル基の具体例としては、例えばベンゼンスルホニル基、トシル基等の低級アルキル置換ベンゼンスルホニル基、4−クロルベンゼンスルホニル基、4−ブロモベンゼンスルホニル基等のハロゲノベンゼンスルホニル基、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等のC1〜C4のアルキルスルホニル基、ベンゾイル基、3,4−ジカルボキシベンゾイル基等の置換されていても良いベンゾイル基、フェニルアセチル基、アセチル基等の置換されていてもよい低級アルキルカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等の置換されていてもよいアルコキシカルボニル基等があげられる。
前記式(2)のXは置換基で置換されていても良いアニリノ基が好ましく、より好ましくは少なくとも1個のスルホン酸基を有するアニリノ基である。
又アントラピリドン化合物において、R1が水素原子又はアルコキシカルボニル基、R2はメチル基、Bが水素原子又はC1乃至C4のアルコキシカルボニル基であるアントラピリドン化合物又はその塩は本発明のアントラピリドン化合物を合成するための中間体としても重要である。
本発明の前記式A−Bで示されるアントラピリドン化合物の具体例を表1に示す。尚、表1中(S)はスルホン酸基を、2(S)はジスルホン酸基を、(K)はカルボキシ基を、2(K)はジカルボキシ基を、Eはエトキシカルボニル基を、Mはメトキシカルボニル基を、Phはフェニル基を、Bzはベンゾイル基をそれぞれ意味する。
No. A B
式(1) 式(2)
R1 R2 X Y
1 H CH3 COCH3
2 H CH3 H
3 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ Cl
4 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ OH
5 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ NH2
6 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ モルホリノ
7 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ ジ(ヒドロキシエチル)
アミノ
8 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ ヒドロキシエチルアミノ
9 H CH3 3-(S)-アニリノ Cl
10 H CH3 3-(S)-アニリノ OH
11 H CH3 2-(S)-アニリノ Cl
12 H CH3 2-(S)-アニリノ OH
14 H CH3 4-(S)-アニリノ OH
15 H CH3 2-(K)-4-(S)-アニリノ Cl
16 H CH3 2-(K)-4-(S)-アニリノ OH
17 H CH3 2-(K)-4-(S)-アニリノ NH2
18 H CH3 2-(K)-5-(S)-アニリノ Cl
19 H CH3 2-(K)-5-(S)-アニリノ OH
20 H CH3 2-(K)-5-(S)-アニリノ NH2
21 E CH3 2,5-2(S)-アニリノ Cl
22 E CH3 2,5-2(S)-アニリノ OH
23 M H 2,5-2(S)-アニリノ Cl
24 M H 2,5-2(S)-アニリノ OH
25 H CH3 2,5-2(S)-アニリノ 2,5-2(S)-アニリノ
27 H CH3 トシル
28 H CH3 ベンゼンスルホニル
29 H CH3 ベンゾイル
30 H CH3 3,4-2(K)-ベンゾイル
31 H CH3 メチルゼンスルホニル
32 H CH3 4-Cl-ベンゼンスルホニル
33 H CH3 Ph-アセチル
34 H CH3 エトキシカルボニル
35 H CH3 ベンジルオキシカルボニル
36 E CH3 トシル
37 E CH3 ベンゼンスルホニル
39 E CH3 3,4-2(K)-ベンゾイル
40 E CH3 メチルゼンスルホニル
41 E CH3 4-Cl-ベンゼンスルホニル
42 E CH3 Ph-アセチル
43 E CH3 エトキシカルボニル
44 E CH3 ベンジルオキシカルボニル
45 E CH3 COCH3
46 E CH3 H
47 Bz CH3 2,5-2(S)-アニリノ OH
48 E CH3 2(K)-ベンゾイル
で示されるアントラピリドンのブロム体に5−アセチルアミノ−2−スルホアニリンをウルマン反応により縮合し、前記No.1の化合物を得る。次いでアセチル基を加水分解により除去することにより、Bが水素原子であるNo.2の化合物が得られる。
Bが式(2)で示される基であり、かつ式(2)におけるXが塩素原子又は水酸基以外の基の場合は常法により目的化合物に対応するアニリン類等のアミン類と2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン(シアヌルクロライド)とを縮合させ、対応する1次縮合物とし、次いで該1次縮合物に、No.2の化合物を2次縮合させることにより、Xが該アミン類に対応するアミノ基で、Yが塩素原子である化合物が得られる。次いで、加水分解することによりYが水酸基の化合物を得ることが出来る。Yが塩素原子又は水酸基以外の基の場合にはYが塩素原子である前記化合物に目的化合物に対応するアミン類を3次縮合させることにより目的化合物をえることが出来る。又、Bが式(2)で示される置換基以外の基である場合は、No.2の化合物にアシル化剤を反応させればよい。
アシル化剤としては前記アシル基に対応するアシルクロライド等が挙げられる。例えば、置換又は非置換のベンゼンスルホニルクロライド、置換又は非置換のアルキルスルホニルクロライド、置換又は非置換のベンゾイルクロライド、置換又は非置換のアルコキシカルボニルクロライド等を挙げることが出来、具体的にはベンゼンスルホニルクロライド、トルエンスルホニルクロライド、4−クロルベンゼンスルホニルクロライド、4−ブロモベンゼンスルホニルクロライド、メチルスルホニルクロライド、エチルスルホニルクロライド、ベンゾイルジュロライド、3,4−ジカルボキシベンゾイルクロライド、フェニル酢酸クロライド、酢酸クロライド、メトキシカルボニルクロライド、エトキシカルボニルクロライド、プロポキシカルボニルクロライド、ブトキシカルボニルクロライド、ベンジルオキシカルボニルクロライド等が挙げられる。
無機物の少ない本発明の色素成分(前記式A−Bで表される化合物又はその塩)を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法又は本発明のアントラピリドン化合物の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール及び水の混合溶媒中で撹拌し、濾過、乾燥する方法で脱塩処理すればよい。後者の場合、アルコ−ル濃度は混合溶媒全体に対して30重量%乃至95重量%、好ましくは40重量%乃至85重量%である。又、ウエットケ−キに対する混合溶媒の使用量は特に制限はなく、通常1乃至200容量倍、好ましくは2乃至100容量倍程度である。
尚、無機塩のうちNaCl、Na2SO4の含有量はClイオン又はSO4イオンの量をイオンクロマトグラフで測定した後それぞれ換算される。又重金属類は原子吸光法又はICP(Industrial Coupled Plasma )発光分析法で、カルシウムイオン及びマグネシウムについてはイオンクロマトグラフ法、原子吸光法、ICP発光分析法にて測定される。
水溶性金属フタロシアニン色素を含有する水性シアンインク組成物は、例えば上記の水性マゼンタインク組成物の製法に準じて製造され、容器に注入され、この容器を、上記の水性マゼンタインク組成物を含有する容器と同様に、インクジェットプリンターの所定位置にセットされて、使用される。
本発明の水性インク組成物は、鮮明で、社団法人日本印刷産業機械工業会発行のJapan Co1orに指定された色調に近似しており、彩度が高く、適度に青みを有する理想に近いマゼンタ色であり、他のイエロ−、シアンのインクと共に用いる事により、広い可視領域の色調を色出しする事ができ、又耐光性及び耐水性の優れた既存のイエロー、シアン、ブラックを選択することにより、耐光性及び耐水性に優れた記録物を得ることができる。
(1)N,N−ジメチルホルムアミド450部中に、撹拌しながら式(3)の化合物(R1 =H,R2 =CH3 )51.0部、炭酸ソーダ23.9部、酢酸第二銅・一水和物18.0部及び5−アセチルアミノ−2−スルホアニリン114.0部を順次仕込み、昇温する。130〜135℃の温度にて3時間反応を行う。次いで、冷却し、20℃にて30分撹拌後濾過し、メタノール300部で洗浄後、乾燥して、No.1の化合物62.9部を赤色結晶として得る。
(1)実施例1の(3)で得られるNo.3の化合物9部を約80℃の湯180部に添加し、10%苛性ソーダ水溶液を滴下し、pHを11に保ちながら、85℃にて2時間反応を行う。次いで、液量を250部に調整後55〜60℃にて食塩50部を添加し、55〜60℃にて2時間保持する。析出する結晶をろ過し、乾燥して、No.4の化合物7.6部を赤色結晶として得る。
(1)実施例1の(1)で得られるNo.2の化合物11.7部をピリジン125部に添加し、80℃に加熱する。次いで、p−トルエンスルホニルクロライド9.6部を約10分を要して加える。100℃にて2時間反応後、水冷、ろ過、水洗、乾燥して、No.27の化合物12.2部を赤色結晶として得る。
(1)N,N−ジメチルホルムアミド250部中に、撹拌しながら式(3)の化合物(R1=エトキシカルボニル基,R2 =CH3 )30.9部、炭酸カリ15.5部、酢酸第二銅・一水和物9.0部及び5−アセチルアミノ−2−スルホアニリン53.0部を順次仕込み、1時間かけて110℃に昇温する。110〜120℃の温度にて3時間反応を行う。次いで、冷却し、反応液を2200部の水中に注加する。20℃にて1時間撹拌し、次いでろ過し、少量の不溶解分を除去する。母液に水を加えて液量を約3000部にし、撹拌下、食塩450部を添加する。1時間室温で撹拌後析出した結晶をろ過、乾燥して、No.45の化合物32.9部を赤色結晶として得る。
(1)氷水100部にリパールOH 0.25部を加え、溶解後シアヌルクロライド10.1部を添加し、15分撹拌する。次に、5ースルホアントラニル酸(純度88.4%)14.0部を8〜10℃にて添加し、その温度で10%苛性ソーダ水溶液を滴下しながら、pHを2.7〜3.0に保ち3時間1次縮合反応を行い、シアヌルクロライドと5−スルホアントラニル酸の1次縮合物を含有する反応液を得る。
(1)実施例1の(3)で得られるNo.3の化合物10.0部を約85℃の湯100部に添加し、次いで28%アンモニア水10.0部を添加して、加熱下80〜90℃にて4時間反応を行う。(その間pHは11.0から8.5に下がる。)
次いで28%アンモニア水10.0部を添加して85℃にて3時間反応を行う。(その間pHは10.5から9.0に下がる。)HPLC(高速液体クロマトグラフイ−)にて反応が完結したことを確認する。次にパ−ライト(ケイ藻土、三井金属社製)1.5部を添加して60〜65℃にて15分間攪拌後濾過する。母液に湯を添加して液量を200部に調整後加熱して60〜65℃に保つ。その温度にて食塩30部を添加し、次いで濃塩酸を添加してpHを0.5に調整し結晶を析出させる。30分間攪拌後濾過してNo.5の化合物のウエットケ−キを得る。次いでメタノ−ル150部で洗浄後乾燥してNo.5の化合物6.0部を赤色結晶として得る。λmax:523nm(水溶液中、アンモニウム塩として)
(2)No.5の化合物を用いて通常の方法によりインクを調製し、インクジェットプリンタ−にて、専用紙(セイコ−エプソン社製)にプリントし、記録画像の耐水性、耐光性を測定したところいずれも良好であった。
(1)実施例1の(3)で得られるNo.3の化合物を含有する反応液を85℃に加熱し、撹拌下、10%苛性ソ−ダ水溶液を滴下しpHを11に保ちながら85℃にて2時間反応を行う。次いでパ−ライト8.0部を添加して10分間撹拌後濾過する。母液に濃塩酸を加えてpHを6〜7に調整後加熱して60〜65℃に保ちながら食塩80部を添加し30分撹拌して塩析を行う。得られる結晶を濾過し20%食塩水溶液40部で洗浄する。得られるウエットケ−キを水400部と共に加熱して60〜65℃に保ちながら、濃塩酸を1時間30分かけて滴下し、pHを0.8に調整し結晶を析出させる。30分撹拌後濾過し、No.4の化合物のウエットケ−キを得る。
(2)(1)で得られるウエットケ−キをメタノ−ル300部と共に加熱し60〜65℃にて1時間撹拌を行う。次いで濾過し、メタノ−ル200部で洗浄、乾燥してNo.4の化合物の脱塩品31.3部が赤色結晶として得られる。
(3)No.4の化合物の脱塩品を用いて通常の方法にてアンモニアを加えてアンモニウム塩とした後、インクを調製し、インクジェットプリンタ−にて専用紙(キャノン社製)にプリントし、記録画像の耐水性、耐光性を測定したところいずれも良好であった。
(1)インクの作製
実施例2で得られたNo.4のアントラピリドン化合物を脱塩処理したものを含む下記表2の組成のインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフイルタ−で濾過する事により本発明のインクジェット用インクを得た。
色素(No.4) 7部
水 73部
グリセリン 5部
尿素 5部
N−メチル−2−ピロリドン 5部
エチレングリコ−ル 5部
合計 100部
(2)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ−(BJF−600、キャノン社製)を用いて、市販の光沢紙(カラ−BJフォトシ−トフイルムCA−101、キャノン社製)にインクジェット記録を行った。
(3)記録画像の色相、鮮明性:印刷ずみの記録紙を(GREATAG SPM50:GREATAG社製)を用いて測色を行い、L*、a*、b*値を算出した。色相についてJNC(社団法人 日本印刷産業機械工業会)のJapan Colorの標準マゼンタの標準測色値との比較をおこなった。鮮明性C*は下記計算式(1)により算出した。結果は表3に記載した。
カ−ボンア−クフェ−ドメ−タ−(スガ試験機社製)を用い、記録画像に20時間照射した。判定級は、JIS L−0841に規定されたブル−スケ−ルの等級に準じて判定した。
(5)記録画像の耐水性試験
印刷済みの記録材を100℃の飽和蒸気の容器内に60分入れ,水(蒸気)による影響(印刷された部分から未印刷部分へのブリ−ドの状況)を評価した.評価結果は下記の記号で表示した.
○ 全くブリ−ドがみられないもの
△ 中程度のブリ−ドがみられるもの
× 極めて大きなブリ−ドがみられるもの
表3には(1)〜(5)の試験結果をまとめた.
色相 鮮明性 耐光性 耐水性
L* a* b* (C*) (級) 判定
JNC標準マゼンタ 46.3 74.4 -4.8 74.5 − −
実施例2のNo.4 48.4 81.0 -3.9 81.1 4級 ○
比較対照用のインク 48.3 78.2 24.0 81.8 4級 ×
下記各インク組成物を使用し下記の試験を実施した。
(1)使用したインク組成物
マゼンタインク
M1:実施例2で得られたNo.4のインク組成物
M2:比較対照用のインク組成物
シアンインク
C1:C.I.ダイレクト・ブル−199(銅フタロシアニン系 色素)を含むシアンインク組成物
(2)インクジェットプリント
インクジェットプリンタ−を用いて色素受容層を有する光沢紙(キャノン社製、カラ−BJフォトシ−トフイルムCA−101)にマゼンタインク単独及びシアンインクとマゼンタインクとを重ねて印刷してインクジェット印刷物を得た。
ワコム社製促進型キセノン耐光試験機を用い、上記(2)で印刷した記録紙について40時間の耐光試験を行った。重ねて印刷した印刷画像の耐光堅牢度が優れていた。
(4)測色
耐光試験前後の記録画像の色相を前記測色機を用いて測色し、色差(ΔE)を求めた。結果を表4に示した。
印刷方法 光沢紙(ΔE)
1 (M1単独) 16.5
2 (M1にC1を重ねて印刷) 15.4
3 (M2単独) 10.3
4 (M2にC1を重ねて印刷) 24.5
実施例8に準じ下記のY:イエロ−、M:マゼンタ、C:シアンの各インキを調製し、配合色を印刷し、得られた記録画像の評価を行い、前記Japan Colorの各色標準測色値と比較した。得られた結果を表4に、色空間を図1に示した。
インキの調製に使用した色素
Y:C.I.ダイレクト・イエロ−86
M:実施例2で得られたNo.4の色素
C:C.I.ダイレクト・ブル−199
JNC標準色素 本発明のインキ使用時の色素
a* b* a* b*
イエロ− −6.6 91.1 12.9 107.8
レッド 68.5 48.1 68.2 59.3
マゼンタ 74.4 −4.8 81.0 −3.9
ブル− 20.0 −51.0 26.9 −53.5
シアン −37.5 −50.4 −41.3 −48.3
、イエロ−インク及びシアンインクとの組み合わせでJNC標準色相に近似した色相及び混合色相が得られる。本発明のマゼンタ色素はインクジェットプリント用として工業的に極めて有用性が高い。
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