JP4407129B2 - コンクリート補強用カットファイバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンクリート補強用カットファイバーに関するものである。更に詳しくは、コンクリート中での分散性に優れ、コンクリート強度などのコンクリート性能向上効果を改善したコンクリート補強用カットファイバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、コンクリートを補強し、亀裂発生等を防止するため、補強用繊維をコンクリートに配合することが行われている。補強用繊維としてはガラス繊維、炭素繊維、合成高分子繊維などが用いられ、形態としてはカットファイバーとして用いられることが多い。
【0003】
カットファイバーによる補強効果を十分に発揮させるためには、カットファイバーをコンクリート中に充分に分散させることが重要であり、この分散性はカットファイバー自身の特性だけでなく、カットファイバーに付着した処理剤にも左右される。
【0004】
コンクリート補強用繊維としては種々のカットファイバーが提案されており、またそれらに付着させる処理剤についても種々のものが提案されてきた。
【0005】
例えば、炭素繊維に付着させる処理剤としては、シランカップリング剤とポリエチレンオキサイド化合物(例えば、特許文献1参照)、アミノシランカップリング剤(例えば、特許文献2参照)、ポリエステル共重合物(例えば、特許文献3参照)、シリコンゴム微粒子(例えば、特許文献4参照)、フミン酸類(例えば、特許文献5参照)、およびポリエチレングリコール(例えば、特許文献6参照)などが提案されており,また、ポリプロピレン繊維に付着させる処理剤としては、アルキルホスフェート塩(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
【0006】
また、ポリビニルアルコール系繊維については、繊維自体の親水性が強いため、コンクリート中での分散性を考慮した処理剤は使用されていない(例えば、特許文献8、特許文献9および特許文献10参照)。
【0007】
一方、ポリアミド系繊維については、繊維自体の親水性はさほど悪くないため、コンクリート中での分散性を考慮した処理剤は使用されていなかった(例えば特許文献11参照)。
【0008】
一般的に、ポリアミド系合成繊維は、製糸および高次加工の各工程を円滑に進め、高品質の最終製品を得るために、紡糸工程においてポリアミド系合成繊維用処理剤が付与される。そして、この場合に使用されるその繊維用処理剤には、製糸および高次加工の各工程を円滑に進め、高品質の最終製品が得られるように、繊維に潤滑性、集束性および制電性などの特性を付与する機能が要求される。特に、カットファイバーとしてコンクリート補強用に使用する場合には、上記の特性の他に、カットファイバーがコンクリート中に均一に分散するよう優れた分散性が求められるが、これまでコンクリート中への分散性をも考慮したポリアミド系合成繊維用処理剤は知られていなかった。
【0009】
また、カットファイバーの繊維種類によって、コンクリート中での分散性を改良する処理剤は異なっており、上記の各処理剤をポリアミド系カットファイバーにそのまま適応したとしても、良好な分散性改良効果が得られるとは限らない。
【0010】
【特許文献1】
特開平3−150241号公報
【0011】
【特許文献2】
特開平3−150242号公報
【0012】
【特許文献3】
特開平5−295663号公報
【0013】
【特許文献4】
特開平7− 26421号公報
【0014】
【特許文献5】
特開平11−60309号公報
【0015】
【特許文献6】
特開平11−116295号公報
【0016】
【特許文献7】
特開平6−248506号公報
【0017】
【特許文献8】
特開平3−82815号公報
【0018】
【特許文献9】
特開平4−126835号公報
【0019】
【特許文献10】
特開平4−163311号公報
【0020】
【特許文献11】
特開2002−137942号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものである。
【0022】
したがって、本発明の目的は、コンクリート中での分散性に優れ、コンクリート強度などのコンクリート性能向上効果を改善したコンクリート補強用カットファイバーを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、コンクリート中でのカットファイバーの分散性に及ぼす繊維表面の界面物性について鋭意検討したところ、繊維表面に対する水の付着張力が高いほど、更に処理剤の水中脱落率が高くなるほど、コンクリート中での分散性が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明のコンクリート補強用カットファイバーは、処理剤が付着したポリアミド系繊維からなるコンクリート補強用カットファイバーであって、前記処理剤の25℃雰囲気における繊維に対する水の付着張力が115〜140mNであり、且つ水中脱落率が75〜100%であることを特徴とする。
【0024】
なお、本発明のコンクリート補強用カットファイバーにおいては、前記ポリアミド系繊維の単糸繊度が5〜30dtexであること、前記処理剤が、硬化ヒマシ油1モルに酸化エチレン20〜30モルを付加したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルを、純分として15〜40重量%含有していること、および
前記処理剤が繊維重量に対して0.8〜1.6重量%付着していることが、いずれも好ましい条件であり、これらの条件を適用することによりより優れた効果の発現を期待することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のコンクリート補強用カットファイバーについて詳細に説明する。
【0026】
本発明のカットファイバーに用いられる繊維の素材はポリアミドである。繊維素材であるポリアミドとしては、公知のものが用いられ、特に限定はされない。例えばポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)およびそれらポリマの共重合物、ブレンド物などが挙げられ、いずれの素材を適用しても相応の効果が得られるが、特にポリカプラミド(ナイロン6)繊維を用いた場合に、コンクリート中の繊維の分散性に優れ、且つ強度などの性能に優れたカットファイバーが得られる。
【0027】
本発明におけるカットファイバー用繊維は、上記ポリアミドからなるものであるが、硫酸相対粘度が3.0以上、好ましくは3.2以上の高分子量ポリアミドポリマからなる繊維であることが望ましい。ここで、ポリアミドの硫酸相対粘度が3.0未満では、本発明が目的とする強度が得られ難くなることがある。
【0028】
また、本発明におけるカットファイバー用繊維は、単糸繊度が30dtex未満、特に5〜30dtexで、単糸数が30以上のマルチフィラメントからなるポリアミド繊維であることが好ましい。更には単糸繊度が10dtex未満、単糸数が100以上であることがより好ましい。
【0029】
本発明においては上記のようなカットファイバーに処理剤を付着させる。処理剤は、ポリアミド系繊維の紡糸工程で繊維糸条に付与するのが一般的であるが、後加工工程で付与してもよい。なお、本発明のコンクリート補強用カットファイバーに使用される処理剤は、水エマルジョン、低粘度鉱物油のようなソルベントで希釈するかあるいは処理剤そのままのいずれかの状態で、ローラーオイリングやガイドオイリングなど公知の方法で繊維糸条に付与される。
【0030】
本発明のコンクリート補強用カットファイバーに使用される処理剤は、繊維に付着させたとき、後述する方法により測定した25℃雰囲気における繊維表面に対する水の付着張力が115〜140mNであり、且つ後述する方法により測定した25℃の水中における水中脱落率が75〜100%であることが必須の条件である。
【0031】
処理剤の25℃の雰囲気中における水の付着張力が上記の115mN未満であると、コンクリート中でのカットファイバーの分散性が悪くなり、140mNを越えると、コンクリート補強のためのアンカー効果を阻害するため、本発明の目的とするコンクリート中の繊維の分散性およびコンクリート補強性能を満足させることができない。
【0032】
また、処理剤の繊維表面からの水中脱落率が75%未満であると、本発明が目的とするコンクリート中でのカットファイバーの分散性改良効果が得られなくなるため好ましくない。
【0033】
本発明のコンクリート補強用カットファイバーに使用される処理剤は、潤滑剤を含有することが好ましい。ここで用いる潤滑剤としては、処理剤としたとき、ポリアミド系繊維に潤滑性、集束性および制電性などの性能を付与し、製糸・加工の各工程を円滑に進め、高品質の繊維製品を与えると共に、コンクリート中でのカットファイバーの分散性を損なわない特性、つまり25℃における繊維表面に対する水の付着張力が115〜140mNの範囲外にならず、25℃の水中脱落率が75〜100%の範囲外にならない特性を有する潤滑剤であれば、従来一般に用いられている潤滑剤をそのま使用することが可能である。
【0034】
このような潤滑剤としては、例えば鉱物油、動植物油(例えばヤシ油、ナタネ油、オリーブ油など)、シリコーン油(例えばポリジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、ポリエポキシシロキサン、アミノ変性シロキサンなど)、1価アルコールと1価カルボン酸とのエステル(例えばメチルオレート、ブチルステアレート、イソオクチルステアレート、イソオクチルオレート、ラウリルオレート、イソトリデシルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソステアリルオレート、オレイルラウレート、オレイルオレートなど)、多価アルコールと1価カルボン酸とのエステル(例えばジエチレングリコールジオレート、ヘキサメチレングリコールジオレート、ネオペンチルグリコールジラウレート、トリメチロールプロパントリカプリレート、グリセリントリオレート、ペンタエリスリトールテトラオレート、ビスフェノールAジラウレート、チオジプロパノールジラウレートなど)、多価カルボン酸と1価アルコールとのエステル(例えばジオレイルマレート、ジイソトリデシルアジペート、ジオレイルアジペート、ジオクチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルフタレート、トリオクチルトリメリテートなど)、アルキレンオキサイドを付加したアルコールとカルボン酸とのエステル(例えばエチレンオキサイドを2モル付加したドバノール23(三菱化学株式会社製の合成アルコール)とラウリン酸とのエステル、プロピレンオキサイドを2モル付加したイソトリデシルアルコールとラウリン酸とのエステル、エチレンオキサイドを2モル付加したドバノール23とアジピン酸とのジエステルなど)、アルキレンオキサイド共重合体およびその誘導体(例えばエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとのブロックもしくはランダム共重合体、該共重合体の両末端もしくは一方の末端がアルコールもしくはカルボン酸で封鎖された重合体など)、およびチオビスフェノール誘導体あるいは長鎖炭化水素類のチオエーテル類などが挙げられる。
【0035】
上記の潤滑剤は単品で使用することができるが、必要に応じて2種以上のものを適宜併用することもできる。
【0036】
潤滑剤の配合量は特に限定されるものではないが、通常は処理剤中に全純分に対して純分で好ましくは20〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%である。
【0037】
本発明のコンクリート補強用カットファイバーに使用される処理剤は、上記潤滑剤を水にエマルジョン化するか、あるいはカットファイバーへの付着性を補助するために界面活性剤を配合して調製される。界面活性剤の使用は、繊維糸条に制電性、集束性を与えるという本来の機能以外に、本発明の目的であるコンクリート中での分散性に優れ、水との親和性を向上させるという効果が得られる。
【0038】
ここで使用される界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル、非イオン系界面活性剤(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールジオレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレングリセリンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテルなど)、アニオン系界面活性剤(例えばジオクチルスルホサクシネートNa塩、ラウリルスルホネートNa塩、ドデシルベンゼンスルホン酸Na塩、エチレンオキサイド付加ラウリルサルフェートK塩など)、およびカチオン系界面活性剤(例えばオレイルジメチルアミン燐酸付加物、ポリオキシエチレンラウリルアミン乳酸付加物、ラウリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムナイトレートなど)などが挙げられる。また、その他にも、ベタイン系活性剤、シリコーン系活性剤、およびフッ素系活性剤などが挙げられる。
【0039】
これらの界面活性剤中から、処理剤としたとき、25℃雰囲気における繊維表面に対する水の付着張力が115〜140mNで、且つ水中脱落率が75〜100%になるような、親水性に優れた界面活性剤を選択して使用することが好ましい。例えば前記した界面活性剤の中でも、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルが優れている。また、この界面活性剤を使用する場合は、硬化ヒマシ油1モルに20〜30モルの酸化エチレンを付加したものを、処理剤中に純分で15〜40重量%含むことが好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルの酸化エチレン付加モル数が20モル未満になると、繊維表面に対する水の付着張力が115mN未満になることがあり、30モルを越えると、常温で固体状になり製糸・加工工程で発生するスカムのトラブルを引き起こすことがある。また、処理剤中のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルの含有量が15%未満の場合、繊維に対する水の付着張力が115mN未満になることがあり、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルの含有量が40%を越えると、繊維−金属間の摩擦が上がり、製糸・加工工程の操業性に支障きたすことがある。
【0040】
なお、上記の界面活性剤は単独で用いても、必要に応じて2種以上のものを適宜併用することもできる。
【0041】
界面活性剤の配合量は特に限定されるものではないが、通常は処理剤中に全純分に対して純分で好ましくは0.5〜80重量%、より好ましくは10〜50重量%である。
【0042】
本発明で使用する処理剤には、上記の成分以外に、本発明の効果が損ねられない範囲であれば、他の成分、例えば消泡剤および防腐剤などの添加剤を配合することができる。そして、これら潤滑剤、界面活性剤および必要によりその他の添加剤を含む水系エマルジョンとすることが好ましい。
【0043】
本発明において、カットファイバー用繊維への処理剤の付着量は繊維重量に対して0.8〜1.6重量%、好ましくは0.9〜1.3重量%である。
【0044】
処理剤の付着量が0.8重量%未満であると、水中脱落率が75%以上であっても水に溶解する処理剤の絶対量が少なく、良好な分散性が得られないことがある。また、処理剤の付着量が1.6重量%を越えると、良好な分散は得られるものの、製糸工程において処理剤給油時の飛散量が増えたり、繊維表面の粘性が上がることにより、ゴデットロールへの巻き付きが発生し操業性低下の原因となることがある。
【0045】
次に、本発明のコンクリート補強用カットファイバーの製造方法の一具体例について説明する。
【0046】
まず、硫酸相対粘度が3.0以上のポリアミドポリマーに、必要に応じて酸化防止剤としての銅化合物およびハロゲン化アルカリ金属などを添加したポリアミド組成物を準備する。
【0047】
次いで、上記ポリアミド組成物を、水分率が0.2重量%以下となるよう乾燥した後、エクストルーダー型紡糸機を用いて、紡糸温度280〜310℃の範囲で溶融する。
【0048】
続いて、溶融ポリマを紡糸パック中にて、約5〜50μmの細孔を有する金属不織布フィルターを通して濾過した後、口金細孔を通して紡出する。
【0049】
口金直下には、10〜100cm、好ましくは15〜50cm長の加熱筒を設置し、加熱筒内の雰囲気温度を250℃以上、好ましくは280〜310℃とする。
【0050】
上記加熱筒雰囲気中を通過して徐冷された糸条は、次いで冷風を吹きつけられて急冷固化される。
【0051】
次に、糸条に対し処理剤を付与する。ここで用いられる処理剤は、上述の通り、潤滑剤、界面活性剤および必要により添加剤からなる水系エマルジョン処理剤とすることが好ましい。潤滑剤は製糸工程における糸条と金属との摩擦抵抗を軽減させる効果を有し、界面活性剤は潤滑剤を安定なエマルジョンとするための乳化作用を行なう効果を有し、さらにそれぞれポリアミド繊維の高次加工性、例えば本発明の目的とするコンクリート中でのフィラメント繊維の分散性を向上させる効果を有する。また、添加剤としは制電剤、極圧剤および耐熱剤などを含み、それぞれ制電性、極圧性、耐熱性などの効果を付与する。
【0052】
上記本発明のカットファイバー用繊維の製造方法において、目的とする特性を有するカットファイバーを得るためには、繊維に付与する水系エマルジョン処理剤の成分中の潤滑剤および界面活性剤成分が重要な役割を果たす。すなわち、25℃雰囲気における繊維表面に対する水の付着張力が115〜140mNであり、且つ処理剤の25℃雰囲気における水中脱落率が75〜100%となるよう、潤滑剤および界面活性剤成分、およびそれらの含有量を適宜選択する必要がある。具体的には鉱物油等の潤滑剤を20〜95重量%、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル等の界面活性剤を0.5〜80重量%の範囲となるように適宜混ぜ合わせ、必要に応じ添加剤を添加した処理剤を繊維重量に対して0.8〜1.6重量%となるように付与させればよい。
【0053】
上記水系エマルジョン油剤を付与されたポリアミド糸条は、引取ロールで300〜1000m/分、好ましくは450〜800m/分の速度で引取られ、この引取り糸条は一旦捲取られることなく連続して延伸工程に送られ、延伸に供される。
【0054】
総延伸倍率は3.5〜6.5倍、また延伸温度は最終延伸温度が210℃以上、好ましくは215〜250℃の高温であることが望ましい。
【0055】
また、延伸に引き続いて熱弛緩処理を行なうが、この熱処理は通常は上記最終延伸ロールとその後に配置したリラックスロールとの間で5〜15%弛緩の条件で行われる。
【0056】
このようにして紡糸、延伸して製造したナイロン6繊維を、カッターなどで繊維長0.5〜3.0cmにカットして、ナイロン6カットファイバーとすることにより、本発明のコンクリート補強用カットファイバーが製造される。
【0057】
このようにして得られた本発明のコンクリート補強用カットファイバーは、コンクリートを調合する際、粗原料としてどの段階において混和しても良いが、通常はセメント、砂、砂利及び水を主原料とするベースコンクリートに混和・混練し、混練したカットファイバー含有コンクリートをコンクリートポンプ等を用いて所定の位置に施工すればよい。ベースコンクリートであるセメント、砂、砂利及び水の配合量は一般に使用されるセメント100重量部に対して砂100〜200重量部、砂利200〜400重量部、水30〜100重量部で使用される。また、カットファイバーはベースコンクリート100重量部に対して0.5〜3重量部で添加される。
【0058】
なお、本発明のコンクリート補強用カットファイバーは、上記したコンクリートはもちろんのこと、モルタルやセメントモルタルにも好適に使用することができる。
【0059】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中、各成分の配合量は特に記載のない限り全て重量%で表す。
【0060】
また、上記および以下の実施例における各種特性は、以下に説明する方法により測定した。
[水の付着張力]
下記の条件で作製した試料を使い、(株)レスカ社製の動的濡れ性試験器”WET−6000”を用いて、下記条件に設定して測定した(単位はmN:ミリニュートン)。
【0061】
(測定用試料の作製方法)
実施例記載のナイロン6繊維をタフタにし、縦30cm、横20cmの大きさに裁断し、マングル(TSUJII DYEING MACHINE MFG.CO.LTD製 VARAIOUS TEXTILE FINISHING MACHINES 型式 VPM-1使用)を用いて、目標処理剤付着量が1.0%となるようにディップニップした後、(株)大栄科学精器製作所製ピンテンター型ベーキング試験装置(型式DK−5E)を用いて、105℃×2分間の乾燥処理を行った。得られた試料を、縦2.5cm、横1.5cmの大きさの短冊状にカットしたものを付着張力測定用試料とした。なお、ディップニップに使用したディップ溶液の形態は、処理剤を水で希釈したものを使用した。
【0062】
(測定時の設定条件)
試料の浸漬深さ:1mm
試料の浸漬速度:0.5mm/秒
測定時間 :20秒
本測定に使用する水は、協和化学(株)社製KYOWA CBVP SURFACE TENTION METER(25℃、白金プレート)で測定した表面張力が65mN/cmを示す蒸留水である。
[処理剤の水中脱落率]
まず、カットファイバーの処理剤付着量をJIS−L−1017に記載の方法で測定する。次いで1000mlのビーカーに蒸留水1000mlを入れ、25℃に水温を調整する。この水を長さ4cmのマグネチックスターラーで回転数250rpmで撹拌しながら、上記カットファイバー3.0gを投入する。
【0063】
2分間撹拌後、その繊維を取り出しJIS−L−1017に記載の方法で処理剤の残存量を測定し、処理剤の水中脱落率を次式で求めた。
【0064】
処理剤脱落率=(処理剤付着量−処理剤残存量)/処理剤付着量×100
[コンクリート中分散性]
普通ポルトランドセメント(太平洋セメント製)4.5kg、砂(6号珪砂)4.5kg、水2.5kg、1.5cm長のカットファイバー90gをコンクリートミキサーに投入し5分間混ぜ合わせ、カットファイバーの分散性を目視で観察し、下記の通り判定した。下記表現しているカットファイバーの塊とはマルチフィラメントが絡み合ってできた豆粒大の塊のことをいう。
【0065】
○:カットファイバーの塊が殆どない。
【0066】
△:カットファイバーの塊が少し存在する。
【0067】
×:カットファイバーの塊が多く存在する。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
硫酸相対粘度3.7のナイロン6樹脂を通常の方法で溶融紡糸したナイロン6繊維糸条に、表1の組成からなる処理剤をローラーオイリング法で1.0重量%付与した。その繊維糸条について、一旦巻き取ることなく延伸倍率4.5倍で多段熱延伸(最終ホットローラー温度:200℃)を行い、1400dtex/210fil(デシテックス/フィラメント)のナイロン6繊維を得た。得られたナイロン6繊維を、カッターで繊維長1.5cmにカットして、ナイロン6カットファイバーにした。
【0068】
このようにして得られたカットファイバーにおける処理剤の水の付着張力、脱落率およびコンクリート中分散性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0069】
また、製糸工程での糸切れ回数を、糸1トン当たりに換算した結果を、延伸性として表1に併記した。
【0070】
実施例、比較例ともに、製糸工程では糸揺れ、静電気、スカムなどのトラブルもなく、順調に製糸することができた。
【0071】
【表1】
Figure 0004407129
【0072】
表1の結果から明らかなように、実施例1〜3で用いた処理剤は、25℃における水の付着張力が115〜140mNの値を示し、25℃の水中脱落率も75〜100%の値を示しているため、これらの処理剤を付与したナイロン6繊維は延伸性が良好であり、ナイロン6カットファイバーのコンクリート中での分散性も良好であった。
【0073】
一方、処理剤中のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル量が少ない比較例1の処理剤は、25℃における水の付着張力が115mN未満であり、25℃の水中脱落率も75%未満である。その処理剤を付与したナイロン6繊維は、延伸性良好であるが、ナイロン6カットファイバーのコンクリート中での分散性については十分ではなかった。
【0074】
また、処理剤中のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルの酸化エチレン付加モル数が少ない比較例2の処理剤は、25℃における水の付着張力は115mN以上であるが、25℃の水中脱落率が75%未満であるためナイロン6繊維は延伸性良好であるが、ナイロン6カットファイバーのコンクリート中での分散性については十分ではなかった。
【0075】
処理剤中のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテル量が多い比較例3は、25℃における水中脱落率は75%以上であるが、25℃における水の付着張力が140mNを越えるためナイロン6カットファイバーのコンクリート中での分散性は良好であるものの、ナイロン6繊維は繊維−金属間の摩擦抵抗が高いため延伸性不良であった。
【0076】
【発明の効果】
以上記述したように、本発明のコンクリート補強用カットファイバーは、製糸工程での糸揺れ、静電気、スカムなどのトラブルもなく良好な操業性で製糸されたポリアミド系合成繊維からなるものであり、コンクリート中での分散性に優れ、コンクリート強度などのコンクリート性能向上効果が効果的に改善されたものである。

Claims (3)

  1. 処理剤が付着したポリアミド系繊維からなるコンクリート補強用カットファイバーであって、25℃雰囲気における繊維表面に対する水の付着張力が115〜140mNであり、且つ前記処理剤の25℃雰囲気における水中脱落率が75〜100%であり、前記処理剤が、硬化ヒマシ油1モルに酸化エチレン20〜30モルを付加したポリオキシエチレン硬化ヒマシ油エーテルを、純分として15〜40重量%含有していることを特徴とするコンクリート補強用カットファイバー。
  2. 前記ポリアミド系繊維の単糸繊度が5〜30dtexであることを特徴とする請求項1記載のコンクリート補強用カットファイバー。
  3. 前記処理剤が、繊維重量に対して0.8〜1.6重量%付着していることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート補強用カットファイバー。
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