JP4402232B2 - 熱収縮性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、瓶・ボトル等のラベル、キャップシール、被覆に用いられる熱収縮性ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、収縮処理時に高温収縮させてもシワなどの発生がなく、また、レトルト処理などの熱殺菌処理でゆるみを生じない熱収縮性ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック収縮フィルムは瓶やボトル等のラベル、キャップシール、電子部品、電池、長尺物の結束、被覆等に使用されている。従来、収縮フィルム用樹脂にはポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレンなどがあるが、これらは一般に耐熱性が乏しく、ボイル処理や、レトルト処理に耐えられないものが多い。またこれらは、例えば、ポリ塩化ビニルからなるフィルムは、ポリマーや添加剤のゲル状物が生成し易く、印刷時に印刷ぬけを生じることがある。ポリスチレンからなるフィルムは、耐候性や耐溶剤性に劣りクラックが生じ易くフィルムの寸法が安定しないという問題がある。ポリプロピレンからなるフィルムは低温度域での収縮性が悪く、収縮部分にシワや斑を生じ易いという問題がある。
【0003】
これに対してポリエステルは耐熱性、耐候性及び耐溶剤性の面で非常に優れた素材である。反面、収縮フィルムとして収縮率が不充分であったり、収縮温度が比較的高温であるためプラスチックボトル等のラベル用として問題があったが、ネオペンチルグリコールやイソフタル酸の共重合による収縮率の改善(特開平1−4326号公報、特開昭63−222845号公報)、あるいは、脂肪族ジカルボン酸の共重合による収縮開始温度の引き下げ(特開平2−153941号公報)等により改善されている。
【0004】
通常、収縮フィルムは140℃から180℃の比較的高温で収縮処理を行うが、ポリエステル系収縮フィルムは収縮開始までの時間が長く、かつ、収縮を開始すると急激に収縮率が増大するため、高速、高温の収縮条件では収縮率不足のため斑が発生したり、急激な収縮によるシワの発生等の外観不良を起こし易い。これに対処するため脂肪族ジカルボン酸の共重合により収縮開始温度を引き下げる方法(特開平2−153941号公報)や、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートエラストマー等のガラス転移温度の低いポリエステルのブレンドによる方法(特開平4−335041号公報、特開平7−216109号公報)により改善されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような技術的背景により、収縮フィルムとして十分な収縮率と収縮特性さらには外観不良の抑制がなされているが、食品等の熱殺菌を必要とする用途に用いられる場合、高温処理でゆるみが生じないものが必要とされる。本発明はこの点を解決しようとするものであり、その目的とするところは、外観不良を起こさず、熱殺菌工程でゆるみを生じない熱収縮性ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、異なる2種のポリエステルのブレンドにより、収縮後の外観に優れるフィルムを得るに至った。すなわち本発明は、ポリエステル樹脂(A)5〜40重量%とポリエステル樹脂(B)60〜95重量%からなる熱収縮性フィルムであって、(A)はガラス転移温度が35〜55℃、主たる酸成分をテレフタル酸、主たるグリコール成分をエチレングリコールまたはブタンジオールとし、これ以外にイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂であり、(B)はガラス転移温度が75〜120℃、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、これにイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂からなる熱収縮性ポリエステルフィルムにある。
【0007】
さらに本発明は、上記発明において水温を40℃から90℃まで上昇させフィルムの収縮率の変化を測定した場合、70℃から80℃に温度を上昇させた場合の収縮率の増大が5%より大きく、温水に10秒浸漬した場合のフィルムの収縮率が70℃で5〜40%、90℃で35%以上である熱収縮性ポリエステルフィルムにある。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは(A),(B)2種のポリエステル樹脂の組成物からからなる。ポリエステル樹脂(A)はガラス転移温度(以下、Tgと記載する。)35〜55℃、主たる酸成分をテレフタル酸、主たるグリコール成分をエチレングリコールまたはブタンジオールとし、これ以外にイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂である。より好ましくはTgが40〜50℃、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種の合計が20〜40mol%である。
【0009】
ポリエステル樹脂(A)のTgが35℃より低いとフィルムは室温で収縮を起こし、55℃より高い場合は低温域における収縮が不足し外観不良を起こす。また、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種の合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15mol%より少ないとフィルムは低温域における収縮が不足し、また、50mol%より多いと熱殺菌処理後にオリゴマーを発生しフィルムが濁る等の不都合を生じる。
【0010】
ポリエステル樹脂(A)には、テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール以外の酸性分、グリコール成分を、得られるポリエステル樹脂のTgが上記の範囲中内であれば共重合することが可能である。
【0011】
共重合可能な酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸の何れも用いることができる。芳香族ジカルボン酸としては、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸類、4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等のジカルボキシビフェニル類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられる。
【0012】
また、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸等が挙げられる。さらに、上記脂環式ジカルボン酸としては1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
【0013】
共重合可能なグリコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールの何れもが用いられる。脂肪族ジオールとしてはジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。さらに上記芳香族ジオールとしては2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコールが挙げられる。また、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0014】
ポリエステル樹脂(B)は、Tgが75〜120℃、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、これにイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂であり、より好ましくはTgが80〜110℃、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の1つ以上の合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が20〜40mol%である。
【0015】
ポリエステル樹脂(B)のTgが75℃より低いとフィルムの急激な収縮の抑制が不充分であり、120℃より高いと通常の収縮条件ではフィルムの収縮率が不足し不都合である。また、イソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種の合計が15mol%より少ないとフィルムの十分な収縮率が得られず、50mol%より多いと熱殺菌処理後にオリゴマーがフィルム表面に析出し白化の原因となる。
【0016】
ポリエステル樹脂(B)にはテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、エチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール以外の酸成分、グリコール成分をTgが上記の範囲であれば共重合することが可能である。
【0017】
共重合可能な酸成分としては芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸の何れも用いることができる。芳香族ジカルボン酸としては、オルトフタル酸、5−tert―ブチルイソフタル酸等のベンゼンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、2,2,6,6−テトラメチルビフェニル−4,4’−ジカルボン酸等のジカルボキシビフェニル類、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインデン4,5−ジカルボン酸及びその置換体、1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸及びその置換体等が挙げられる。
【0018】
また、脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ピメリン酸、スベリン酸、ウンデカン酸、ドデカンジカルボン酸、ブラシル酸、テトラデカンジカルボン酸、タプシン酸、ノナデカンジカルボン酸、ドコサンジカルボン酸等が挙げられる。さらに、上記脂環式ジカルボン酸としては1,4−ジカルボキシシクロヘキサン、1,3−ジカルボキシシクロヘキサン等が挙げられる。
【0019】
また、共重合可能なグリコール成分としては脂肪族ジオール、脂環式ジオール及び芳香族ジオールの何れもが用いられる。脂肪族ジオールとしてはブタンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−n−ブチル−1,3プロパンジオール等が挙げられる。脂環式ジオールとしては、1,3−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。さらに、上記芳香族ジオールとしては2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシジフェニル)スルホン等のビスフェノール系化合物のエチレンオキサイド付加物、キシリレングリコールが挙げられる。またポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0020】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂(A),(B)は、公知の直接重合法やエステル交換法等により製造することができ、連続式あるいはバッチ式の何れの方法で調製してもよい。
【0021】
ポリエステル樹脂(A),(B)の重合度は、特に限定されるものではないが、フィルム原反の成形性から極限粘度[η](フェノール/テトラクロロエタン等重量混合溶液を溶媒として25℃で測定)が0.50〜1.5dl/gであることが好ましい。
【0022】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂(A),(B)の配合比は、ポリエステル樹脂(A)が5〜70重量%とポリエステル樹脂(B)が30〜95重量%であり、好ましくはポリエステル樹脂(A)が10〜60重量%とポリエステル樹脂(B)が40〜90重量%である。ポリエステル樹脂(A)が5重量%より少なく、ポリエステル樹脂(B)が95重量%より多いと、フィルムの収縮率の不足、外観不良を生じ、またポリエステル樹脂(A)が70重量%より多く、ポリエステル樹脂(B)が30重量%より少ないと、フィルムの外観不良を起こす原因となる。
【0023】
ポリエステル樹脂(A),(B)を所定の比率で配合したポリエステル樹脂組成物は、例えば、以下の方法によって熱収縮性ポリエステルフィルムに成形される。まず、ポリエステル樹脂を乾燥、あるいは、ベント式の押出機で加水分解による重合度の低下を抑制し、押出機から冷却ドラム上に押し出してフィルム原反を作成する。
【0024】
次いで、このフィルム原反を、ブレンドしたポリエステル樹脂のTgより3℃以上高い温度で縦方向あるいは横方向に1.5〜5.0倍、好ましくは1.0〜4.8倍に延伸し、高い収縮率をフィルムに付与する。さらに、必要に応じて前記延伸方向と直角方向に1.0〜1.8倍、好ましくは1.0〜1.5倍に延伸する。これはフィルムの主収縮方向に対して直角方向の強度を向上させ前記延伸方向の収縮を必要以上に収縮させないために有効である。フィルムの延伸は、同時二軸延伸、逐次二軸延伸、一軸延伸の方法により行われ、横方向の延伸と縦方向の延伸はどちらを先に延伸してもよい。延伸された熱収縮フィルムは、そのまま製品として使用することも可能であるが、寸法安定性の点から50℃から150℃の温度で数秒から数十秒の熱処理を行ってもよい。
【0025】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムの厚さは特に限定されるものではないが1〜600μmの範囲のものが実用的に使われる。
【0026】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムには、さらに、特定の性能を付与するために公知の各種の加工処理を施すことができる。その例としては紫外線、α線、β線、γ線、あるいは電子線等の照射、コロナ処理、火炎処理等の処理、塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリオレフィン等の樹脂の塗布、ラミネート、あるいは金属の蒸着等が挙げられる。
【0027】
また、本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムには、必要に応じて各種の既知の添加剤を含有させることができる。その例としてはポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の樹脂、二酸化チタン、微粒子状シリカ、カオリン、炭酸カルシウム等の滑剤、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤等、帯電防止剤、老化防止剤が挙げられる。
【0028】
以上のようにして得られたフィルムの収縮挙動は、以下に説明するような収縮特性を有するため、シワやムラのない外観の良好な熱収縮性ポリエステルフィルムとなる。すなわち、フィルムの収縮特性は、 水温を40℃から90℃まで上昇させ収縮率の変化を測定した場合、70℃から80℃の収縮率の増大が3%以上好ましくは5%以上であり、温水に10秒浸漬した場合の収縮率が70℃で5〜30%好ましくは10〜25%、90℃で35%以上、好ましくは40%以上である。70℃から80℃に温度を上昇させた場合の収縮率の増大が3%より少ないと、熱殺菌処理時にゆるみが生じ不都合である。また、70℃の温水中での収縮率が5%より低いと収縮率不足、外観不良を起こし、逆に、35%を超えるとしわの発生等の外観不良を起こし易い。また、90℃の温水中での収縮率が35%より低いと熱収縮性フィルムとしては実用的でない。
【0029】
【実施例】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明をさらに説明する。
[樹脂1,2,4〜9,11,15,16,18の製造]
表1に記載したポリエステル生成原料を還流塔、攪拌装置を備えた反応容器に入れ、200℃から240℃で副生する水を留去しながら水の留出量が理論量の90%になるまで反応させエステル化物を得た。
ついで、このエステル化物に仕込み原料の重量に対して500ppmの三酸化アンチモンを添加し、285℃で副生するグリコール成分を600Pa以下の高真空で留去させつつ、285℃の溶融粘度が極限粘度[η]が0.7dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)の285℃におけるトルク値に相当するまで溶融重合しポリエステル樹脂を得た。
【0030】
[樹脂3,10の製造]
表1記載の原料を還流塔、攪拌装置を備えた反応容器に入れ原料に対して500ppmのテトラブチレンチタネートを添加し反応温度140℃から240℃で副生するメタノールを留去しながらメタノール留出量が理論量の90%になるまで反応させエステル化物を得た。このエステル化物を250℃で副生するグリコール成分を600Pa以下の高真空で留去させつつ、250℃における溶融粘度が極限粘度[η]が0.7dl/gのPETの285℃におけるトルク値に相当するまで溶融重合しポリエステル樹脂を得た。
【0031】
[樹脂12〜14, 17,19の製造]
表1記載の原料を還流塔、攪拌装置を備えた反応容器に入れ、原料に対して800ppmの酢酸マンガン4水和物を添加し副生するメタノールを留去しながらメタノールの留出量が理論量の90%になるまで反応させエステル化物を得た。ついで、このエステル化物に原料の重量に対して500ppmの三酸化アンチモンを添加し、285℃で副生するグリコール成分を600Pa以下の高真空で留去させつつ、攪拌トルクが極限粘度[η]0.7dl/gのPETの285℃におけるトルク値になるまで溶融重合しポリエステル樹脂を得た。
以上の各例で製造したポリエステル樹脂の組成及びTgを表1、表2に示した。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】
なお、樹脂組成は樹脂をヒドラジンで加水分解した後クロマトグラフィーにより求めた。また、Tgは以下のようにして求めた。
[Tgの測定]
樹脂を280℃で5分間メルトした後、ドライアイスにてクエンチを行って得た試料を用い、(株)島津製作所製、示差走査熱量計(DSC)で昇温速度10℃/分で窒素気流化で測定し、Tgをベースラインのショルダー値とした。
【0034】
[フィルムの作成]
前記各例で得たポリエステル樹脂を真空乾燥により水分率が100ppm以下になるまで乾燥し、表3に示した配合比になるような樹脂組成とし、これを260℃で冷却ドラム(20℃)上に押し出しフィルム原反を得た。このフィルム原反をバッチ式の延伸機によりブレンドした樹脂のTgより25℃高い温度で原反の製膜方向に対して直角方向に4.0倍延伸し(製膜方向は1.0倍)厚さ50μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムについて温度変化に対する収縮率、所定温度における収縮率、収縮後外観、熱殺菌特性、フィルムの保存性を評価した。
以下に測定条件について述べる。
【0035】
[温度変化に対する収縮率]
延伸方向に140mm、その直角方向に30mmの大きさに切り出したフィルムを、チャック間隔50mmで固定し、水温40℃から90℃までを2℃/分で昇温し温度変化に対する収縮率の変化を測定した。測定には東洋精機製収縮率測定装置を使用した。また、収縮率は下式により求めた。
収縮率(%)={(L−L’)/L}×100
L:収縮前の標線間長さ L’:収縮後の標線間長さ
表3に80℃における収縮率と、70℃における収縮率の増大分を示した。
【0036】
[所定温度での収縮率]
延伸方向に150mm、その直角方向に20mmの大きさに切り出したポリエステルフィルムに、標線を間隔100mmに設けて70、90℃の温水浴に10秒間浸漬し、下式により求めた。
収縮率(%)={(L−L’)/L}×100
L:収縮前の標線間長さ L’:収縮後の標線間長さ
【0037】
[収縮処理後の外観]
▲1▼ 収縮処理
フィルムを円筒状にチューブ化し、丸形容器に被せ、シュリンクトンネルを通過させた。シュリンクトンネルの通過条件は、150℃で滞留時間10秒とした。
【0038】
▲2▼ 収縮後外観、フィルムの保存性
上記▲1▼の収縮処理後のフィルムの収縮仕上がりを、シワ、ゆがみ、収縮ムラ等の観点から目視により次の基準で判定した。
○:収縮ムラ、シワ等の外観不良無し。
△:収縮ムラ、シワはないが、収縮率が不足し密着不良。
×:収縮ムラ、シワ等が著しい。
【0039】
[熱殺菌処理後の外観]
殺菌処理として、収縮処理を行った各フィルムについて容器ごと120℃の飽和水蒸気中で30分処理した後、フィルムのゆるみ、白化の状況について外観を評価した。
▲1▼ フィルムのゆるみ
上記殺菌処理後のゆるみを目視により次の基準で判定した。(収縮処理で外観不良のあったものについては判定対象外とした。)
○:ゆるみがなく密着良好。
×:ゆるみがあり密着不良。
▲2▼ フィルムの白化
殺菌処理後のフィルムの白化を目視により次の基準で判定した。
○:白化が認められない。
×:白化が認められる。
【0040】
[フィルムの保存性]
フィルムを40℃のオーブンに74時間保持し、外観の変化から保存性を次の基準で判定した。
○:収縮等の変化が見られない。
×:収縮等の変化が認められる。
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】
本発明の熱収縮性ポリエステルフィルムは、シワ、ムラ等の外観不良がなく、熱殺菌処理によってもゆるみを生ずることがなく、瓶、ボトル等のキャップシール、ラベル、被覆等の用途で良好な性能を発揮する。
Claims (2)
- ポリエステル樹脂(A)5〜40重量%とポリエステル樹脂(B)60〜95重量%からなる熱収縮性フィルムであって、(A)はガラス転移温度が35〜55℃、主たる酸成分をテレフタル酸、主たるグリコール成分をエチレングリコールまたはブタンジオールとし、これ以外にイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂であり、(B)はガラス転移温度が75〜120℃、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸を主たる酸成分、エチレングリコールを主たるグリコール成分とし、これにイソフタル酸、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの中の少なくとも1種を含み、かつ、これらの合計(イソフタル酸の場合全酸成分中のmol%、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの場合は全グリコール成分中のmol%)が15〜50mol%であるポリエステル樹脂からなる熱収縮性ポリエステルフィルム。
- 水温を40℃から90℃まで上昇させ収縮率の変化を測定した場合、70℃から80℃に温度を上昇させた場合の収縮率の増大が5%より大きく、温水に10秒浸漬した場合の収縮率が70℃で5〜40%、90℃で35%以上である請求項1記載の熱収縮性ポリエステルフィルム。
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