JP4401526B2 - 電波到来方向推定装置及び指向性可変送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアレーアンテナを用いて電波到来方向、特に少ない素子数でも到来波の最大レベル方向を精度よく推定する電波到来方向推定装置及び方向推定結果を基にアンテナ指向性を可変する指向性可変送信及び受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数の素子アンテナからなるアレーアンテナを用いて、電波の到来方向を高精度で推定を行う一つの方法として、文献R.O.Schmitdt、“Multiple emitter Location and Signal Parameter Estimation”、IEEE Trans.,AP−34、3,pp.276−280(1986)に開示されているMUSIC(MUtiple SIgnal Classification)法がある。これは同一周波数帯の複数波を同時に高精度に方向推定可能なアルゴリズムである。
【0003】
以下、図9、図10を用いて、従来のMUSIC法を用いた電波到来方向推定装置について説明する。図9は電波到来方向推定装置の構成図である。M個(ただし、M>1)の素子アンテナ91−1〜Mで受信した受信信号92−1〜Mは、各素子アンテナ91−1〜Mに接続された周波数変換部93−1〜Mにおいて周波数変換され、その後に位相検波され直交するI、Q信号からなる複素ベ−スバンド信号94−1〜Mに変換される。
【0004】
各複素ベースバンド信号94−1〜Mはアナログ/ディジタル変換器95−1〜M(以下A/D変換器と呼ぶ。)により、アナログ信号から複素ディジタル信号96−1〜Mに変換される。データバス97は複素ディジタル信号96−1〜Mからそれぞれ得られるサンプル時刻kΔT(ΔTはサンプリング間隔)における複素ディジタル信号x1(k)、x2(k)、...、xM(k)を、所定サンプル間、一時的に蓄積後に所定のタイミングで一括的に方向推定処理部にデータ転送を行う。
【0005】
方向推定処理部98はデータバス97の出力データからMUSIC法に基づく演算を行い方向推定を行う。図10は方向推定処理部98の構成を示す図である。分散行列演算手段99は、データバス97から得られる複素ディジタル信号96−1〜Mから(数1)で示される受信ベクトルX(k)をつくり、サンプル時刻k=1〜Nまでの受信ベクトルX(k)を用いて、(数2)の共分散行列Rを求める。
【0006】
【数1】
【0007】
【数2】
【0008】
ここで、Tは転置、Hは複素共役転置を示す。固有値演算手段100は共分散行列Rの固有値を降順に算出した固有値λ1〜λMを求める。固有ベクトル演算手段101は、固有値λ1〜λMに対応する固有ベクトルe1〜eMを算出する。
【0009】
到来波数がS個の場合、到来方向評価関数演算手段102は、(数3)の関係にある雑音固有ベクトル空間に属する(M−S)個の固有ベクトル行列EN=[es+1、...、eM]を用い、固有ベクトルe1〜eSが張る信号固有ベクトル空間Es=[e1、...、eS]とENは直交する性質を利用する。
【0010】
すなわち、方位θに対するアレイアンテナの複素応答を表すa(θ)(ステアリングベクトルと呼ばれる。)におけるθを0〜360度まで可変した時のENとの直交性を評価する到来方向評価関数F(θ)を(数4)のように定義する。
【0011】
これにより、θが到来角に等しくなる場合、理想的には到来方向評価関数F(θ)は無限大の値をとることになる。従って、θを可変した時のF(θ)の計算結果のピーク方向を到来波の到来方向推定値とする。
【0012】
【数3】
【0013】
【数4】
【0014】
なお、一般に到来波数Sは未知であるため、到来波数を判定のため固有値の分布や文献M.Wax and T.Kailath,“Detection of Signals by Information Theoretic Criteria”,IEEE Trans.On Acoustics,Speech and Signal Processing,Vol.ASSP33(2),pp.387−392,February(1985)に記載されている信号個数判定基準を設け判定を行う。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上のMUSIC法のようなアレー受信信号の共分散行列の固有値展開を行うアルゴリズムを用いて信号処理により高精度に到来方向推定する電波到来方向推定装置においては、大地や建物等の反射より生じる多重波間の相対的な遅延時間がシンボル長に比べ短い場合、多重波間の相関が高いなり共分散行列のフルランク性が保証されず到来波を高精度に分離できなくなるという課題を有する。
【0016】
その対処方法として、文献Pillai et al, "Forward/Backward Spatial Smoothing Techniques for Coherent Signal Identification", IEEE Trans. on Acoustics, speech and signal processing, VOL.37, NO.1, 1989等に開示されている空間スムージング法が提案されている。
【0017】
しかしながら、空間スムージング法は直線アレーをサブアレー化したものの共分散行列の平均操作を行うため、4素子程度のアレーアンテナの場合は、サブアレー化によりさらにアレーの自由度が減少し、実質的な効果が得られないという課題がある。
【0018】
本発明は4素子程度の簡易なアレー構成でも、相関波が存在する多重波環境においても、主波方向推定が正確にできる電波到来方向推定装置を提供することを目的とするものであり、さらに、この電波到来方向推定装置の推定結果を利用して、アンテナ指向性制御を行うことで送受信品質改善を行う指向性可変受信装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために本発明は、到来波の相関の有無を考慮した到来波数の判定を行う到来波数判定部と、到来波数判定部による到来波数に基づきMUSIC法などの従来の固有値展開手法の到来方向推定手法を演算する到来方向推定部と、到来波の電力を推定する到来波電力推定部と、到来方向推定部と到来波電力推定部の推定結果を合成し最大レベルの到来波の到来方向を推定する主波方向推定部とを有する構成としたものである。これにより、高い相関を有する到来波が存在する場合でも、電力推定との組み合わせることで、到来方向推定精度の劣化を最低限に抑えることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は複数の素子アンテナを均一間隔で円形アレー状に構成したアレーアンテナと、前記アレーアンテナで得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、所定時間間隔毎に得られた前記複素ディジタル信号を仮想的な直線アレーでの受信信号に変換する仮想直線アレー変換部と、前記仮想直線アレー変換部の出力から到来波の電力推定を行う到来波電力推定部と、前記所定時間内で得られた前記複素ディジタル信号に対し相関行列演算し更にその固有値と固有ベクトルを演算する固有値演算部と、前記固有値演算部で演された固有値から到来波数を判定する到来波数判定部と、前記到来波数判定部の判定結果から固有値展開手法による到来波推定処理を変更する到来方向推定部と、前記到来波電力推定部と前記到来方向推定部で得られた推定結果を合成することで最大レベルの到来方向を推定する主波方向推定部とを有する構成としたものであり、電力推定を仮想的な直線アレーを用いて行うことにより推定精度を向上させることができ、さらに到来波数の推定が誤っていても、電力推定による推定結果と到来方向推定結果を合成することで推定誤りを低減できるという作用を有する。
【0021】
請求項2に記載の発明は複数の素子アンテナを均一間隔で直線アレー状に構成したアレーアンテナと、前記アレーアンテナで得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、所定時間間隔毎に得られた前記複素ディジタル信号から到来波の電力推定を行う到来波電力推定部と、前記所定時間内で得られた前記複素ディジタル信号に対し相関行列演算し更にその固有値と固有ベクトルを演算する固有値演算部と、前記固有値演算部で演算された固有値から到来波数を判定する到来波数判定部と、前記到来波数判定部の判定結果から固有値展開手法による到来波推定処理を変更する到来方向推定部と、前記到来波電力推定部と前記到来方向推定部で得られた推定結果を合成することで最大レベルの到来方向を推定する主波方向推定部とを有する構成としたものであり、到来波数の推定が誤っていても、電力推定による推定結果と到来方向推定結果を合成することで推定誤りを低減できるという作用を有する。
【0022】
請求項3に記載の発明は固有値演算部で演算された固有値の内、最大固有値と次大値固有値の比に基づき到来波数を判定する到来波数判定部を有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、アレイ受信信号の共分散行列の固有値の大きさにより到来波数判定を行うという作用を有する。
【0023】
請求項4に記載の発明は固有値演算部で演算された固有値の内、最大固有値に対する次大値固有値の比が所定値を超える場合に到来波数を1と判定し、所定値を超えない場合に(素子アンテナ数―1)と判定する到来波数判定部を有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、アレイ受信信号の共分散行列の固有値に基づく到来波数の判定を行うという作用を有する。
【0024】
請求項5に記載の発明は到来波の電力推定を行う到来波電力推定部と、所定の到来方向評価関数を演算することで到来方向推定を行う到来方向推定部と、前記電力推定部と前記到来方向推定部の推定結果を加算し、そのピーク方向を最大レベルの到来方向とする主波方向推定部とを有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、2つの評価関数による到来方向推定によりその精度を高めるという作用を有する。
【0025】
請求項6に記載の発明は到来波の電力推定を行う到来波電力推定部と、所定の到来方向評価関数を演算することで到来方向推定を行う到来方向推定部と、前記電力推定部と前記到来方向推定部の推定結果を重み付け加算し、そのピーク方向を最大レベルの到来方向とする主波方向推定部とを有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、2つの評価関数重みづけ加算による到来方向推定によりその精度を高めるという作用を有する。
【0026】
請求項7に記載の発明は前記データバスの出力データから信号電力対雑音電力比(SNR)を算出し到来波数判定部に出力するSNR算出部と、前記SNRが所定値を下回る場合、到来波数を1と判定する到来波数判定部を有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、到来波の受信レベルに影響をうけずに到来波数判定部における到来波数判定が安定して行える効果が得られるという作用を有する。
【0027】
請求項8に記載の発明は前記データバスの出力データから信号電力対雑音電力比(SNR)を算出し到来波数判定部に出力するSNR算出部と、あらかじめ想定されるSNR値に対する到来波推定部における到来方向評価関数のダイナミックレンジを記憶したダイナミックレンジ記憶部と、到来方向評価関数を演算しその最大値から最小値を引いたダイナミックレンジを算出し前記ダイナミックレンジ記憶部におけるダイナミックレンジ記憶値とを比較し、算出値が記憶値よりも下回る場合、到来波数を1と判定する到来波数判定部を有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、到来波間の相関状況を検出し、その結果として到来波数判定部における判定値を変化させることができ、多様な伝搬条件下でも到来波方向推定を安定して行える作用を有する。
【0028】
請求項9に記載の発明は周波数変換部の代わりに、各アンテナ素子から得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで中間周波数(IF)信号を出力するIF周波数変換部と、前記IF信号をディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記ディジタル信号をディジタル直交復調し複素ベースバンド信号をデータバスにデータ出力するディジタル直交検波部とを有することを特徴とする請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置としたものであり、IF段以降をディジタル化することができ集積化に向くという作用を有する。
請求項10に記載の発明は請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから主波方向推定部の推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置としたものであり、到来する主波方向にメインビームをもつセクタアンテナを選択することができ、高い信号対雑音レベル比の受信信号が得られるという作用を有する。
【0029】
請求項11に記載の発明は請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから主波方向推定部の推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変送信装置としたものであり、到来電波の最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナにより送信を行うことができ、不要方向へ電力送信することなく高品質な送信が可能となるという作用を有する。
【0030】
請求項12に記載の発明は請求項1及び2記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから主波方向推定部の推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、復調動作を行う受信部と、送信動作を行う送信部と、前記セクタスイッチに接続され、前記選択されたセクタアンテナからの出力信号を前記受信部に入力するように切り換えるか、または前記送信部からの送信信号を前記選択されたセクタアンテナから出力させる送受切換器とを有することを特徴とする指向性可変送受信装置としたものであり、到来電波の最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナにより送受信を行うことができ、選択されたセクタアンテナの主ビーム方向以外の多重波が抑圧され符号間干渉を低減でき、高品質な通信が可能となるという効果が得られるという作用を有する。
【0031】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図8を用いて説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。以下図1を用いてその動作説明を行う。M個(ただし、M>1)の素子アンテナ1−1〜Mは半径rの均一素子間隔の円形アレ−とする。図1においては一例として、M=4とした4素子アレ−の場合を示す。
【0033】
各素子アンテナ1−1〜Mで受信した受信信号2−1〜Mは、各素子アンテナ1−1〜Mに接続された周波数変換部3−1〜Mにおいて周波数変換され、その後に直交復調され直交するI、Q信号からなる複素ベ−スバンド信号4−1〜Mに変換される。
【0034】
各複素ベースバンド信号4−1〜Mはアナログ/ディジタル変換器5−1〜M(以下A/D変換器と呼ぶ。)により、アナログ信号から複素ディジタル信号6−1〜Mに変換される。ここで、A/D変換器5−1〜Mのサンプリング周波数fsは、後続する処理において復調動作を行わないため送信変調波の帯域WB(Hz)に対し、fs≧2WBとなるナイキスト条件でサンプリングする必要はないが、十分な電波到来方向推定精度が得られる程度にサンプリングのジッタが小さい必要がある。
【0035】
複素ディジタル信号6−1〜Mはデータバス7を経由し、所定サンプル数Ndの時間間隔毎に、時刻t0から時刻t0+NdΔTまでの複素ディジタル信号6−1〜Mからなるx1(k)、x2(k)、...、xM(k)(ただし、k=0〜Nd)を方向推定信号処理部8に転送する。ただし、ΔTはサンプリング間隔を表す。
【0036】
以下に、方向推定信号処理部8の動作を説明する。まず、固有値演算部9は、データバスの出力から得られる複素ディジタル信号6−1〜Mから(数5)で示される受信ベクトルx(k)をつくり、サンプル時刻k=1〜Ndまでの受信ベクトルx(k)を用いて、(数6)の共分散行列Rを求める。ここで、Tは転置、Hは複素共役転置を示す。
【0037】
【数5】
【0038】
【数6】
【0039】
そして、固有値演算部9は共分散行列Rの固有値を降順に算出した固有値λ1〜λMを求め、さらに固有値λ1〜λMに対応する固有ベクトルe1〜eMを算出する。
【0040】
到来波数判定部10は共分散行列Rの固有値の最大値と次大値の比Er=(最大固有値/次大値固有値)を算出し、所定値Drとの比較を行う。Er≧Drの場合、到来波が1波または、複数の相関波が到来しているとみなし、到来波数は1と判定する。一方、Er<Drの場合、到来波数はM−1と判定する。
【0041】
ここで、実際の到来波がM−1よりも少ない場合、アレーの自由度に余裕があるため(数7)による到来波方向推定部の到来方向推定結果に偽のピークが発生しやすいが、到来波電力推定部の電力推定結果との合成を行う事により、そのような偽のピークを排除することができる。
【0042】
到来方向推定部11は、到来波数判定部10から得られる到来波数の判定結果がS波の場合、(M−S)個の固有ベクトルeS+1〜eMからなる行列EN=[es+1、...、eM]を雑音固有空間行列とし、S個の固有ベクトルe1〜eSからなる行列Es=[e1、...、eS] を信号固有空間行列とみなす。
【0043】
信号固有空間行列Esと雑音固有空間行列ENとの直交性を評価する到来方向評価関数F(θ)を(数7)のように定義する。ただし、a(θ)は方位θに対するアレイアンテナの複素応答であるステアリングベクトルであり、θを所定の角度間隔Δθで、0〜360度まで可変した時のF(θ)の演算結果を出力する。
【0044】
【数7】
【0045】
仮想直線アレイ変換部12は、円形アレーによる受信信号2−1〜Mを仮想的な直線アレーでの受信信号に変換する。仮想的な直線アレーへの変換方法は文献M.Wax et al,“Direction Finding of Coherent Signals via Spatial Smoothingfor Uniform Circular Arrays”,IEEE Trans. AP−42,No.5,1994等に開示されており、ここではその詳細説明は省略する。
【0046】
以下、変換方法を示す。素子数Mの円形アレーに対し、仮想的な直線アレー素子数Mv(=2h+1)をMv≦Mを満たす奇数とする。ただし、hは自然数。この場合、仮想直線アレーへの変換行列は(数8)の行列Fと(数9)の行列Jの行列積JFで表現できる。ここで、Jnはn次のベッセル関数、k=2π/λ、λは搬送波の波長、rは均一円形アレーの半径をあらわす。
【0047】
【数8】
【0048】
【数9】
【0049】
以上の変換行列JFを(数5)で表せる均一配置による円形アレーの受信ベクトルx(k)との積から仮想的な直線アレーでの受信ベクトルxV(k)を演算する。
【0050】
【数10】
【0051】
到来波電力推定部13は、文献R.O.Schmitdt、“Multiple emitter Location and Signal Parameter Estimation”、IEEE Trans.,AP−34、3,pp.276−280(1986)に開示情報に従い、以下のような演算を行う。
【0052】
まず、仮想的な直線アレーの受信ベクトルxV(k)の共分散行列Rvを(数11)に従い演算する。更に、所定の角度間隔Δθで(数12)による到来波電力推定を行う。ただし、σ2は雑音電力でありの最小固有値に相当する。
【0053】
【数11】
【0054】
【数12】
【0055】
主波方向推定部14は到来方向推定部11における(数7)で示される演算値F(θ)と、到来波電力推定部13における(数12)で示される演算値P(θ)を合成値Ps(θ)を演算し、その最大値方向を検出することで、最大レベル方向を推定し到来方向推定結果15を出力する。ここでαは、重み付けのための定数パラメータである。
【0056】
【数13】
【0057】
円形配列で電力推定を行う場合、配列の対称性から空間スペクトラムを推定する場合にグレーティングの影響をうけやすいが、本構成のように電力推定を仮想的な直線アレーを用いて行うことにより、その影響を排除することができ推定精度を向上させることができる。
【0058】
また、従来のMUSIC法等の固有値展開手法による到来方向推定では、建物、大地等の反射から多重波が形成される多重波伝搬環境下において、その相対的な遅延時間が1シンボル時間程度内である場合、互いに相関の高い到来波となり、到来波数の分離を正確に推定することができなくなるが、本実施例の場合、到来波数の推定が誤っていても、電力推定による推定結果と到来方向推定結果を合成することで、推定誤りを低減することが可能となる。
【0059】
なお、以上の説明では、方向推定信号処理部8においてMUSIC法により方向推定した例を示したが、他の共分散行列の固有値展開に基づく方向推定アルゴリズムに対しても同様に実施可能である。
【0060】
また、複素ディジタル信号に対し間引き、あるいは、ローパスフィルタ通過させた後に、方向推定信号処理部8の動作を行っても同様な結果が得られる。
【0061】
なお、アレーが均一間隔の直線配列である場合、図2で示す方向推定信号処理部8aの構成により同様な効果が得られる。図1と異なる点は、アレーが直線配列であることから、仮想直線アレー変換部12が不要となる点であり、データバス7を経由して得られる複素ディジタル信号6−1〜Mに対し、直接的に到来波電力推定部13において電力推定を行う。それ以外の動作は図1と共通である。
【0062】
なお、図1に示した構成例では複素ベースバンド信号4−1〜Mに対し、A/D変換を行っているが、図3に示すようにアンテナ1−1〜Mで受信された受信信号2−1〜Mを周波数変換部3a−1〜Mにおいて中間周波数(IF)に変換したIF信号4a−1〜Mに対しA/D変換を行い、それにより得られたIFディジタル信号6a−1〜Mをディジタル直交検波部16a−1〜Mにおいてディジタル直交復調し複素ディジタル信号6−1〜Mを生成する構成でも同様な効果が得られる。また、A/D変換器5a−1〜Mは受信したIF信号4a−1〜Mに対しナイキストサンプルあるいはバンドパスサンプルを行う。
【0063】
(実施の形態2)
図4は方向推定信号処理部8bの別な構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。図4において、複素ディジタル信号6−1〜Mの信号対雑音比(SNR)を算出するSNR算出部20と、その算出されたSNRにより到来波判定のための所定値を変化させる点が図1で示した方向推定処理部8の構成と異なる点であり、以下その動作を説明する。
【0064】
SNR算出部20はデータバスを経由して得られる複素ディジタル信号6−1〜Mから(数5)で示される受信ベクトルx(k)を用いて(数14)のようにSNRを求める。ただし、N0は送信信号がない場合の受信信号2−1〜Mから得られる受信ベクトルx0(k)を用いて(数15)のように算出する雑音電力レベルである。
【0065】
【数14】
【0066】
【数15】
【0067】
到来波数判定部21は共分散行列Rの固有値の最大値と次大値の比Er=(最大固有値/次大値固有値)を算出し、所定値Drとの比較を行う。到来波の条件が同じでもSNRが小さくなるにつれ、到来波の分離ができにくくなり、共分散行列Rの固有値の最大値と次大値のErは小さくなっていく傾向があるため、DrをSNRの関数とし、例えば、Dr(SNR)=β・SNRのように、SNRの減少に伴い、Drを減少させる可変しきい値とする。
【0068】
Er≧Dr(SNR)の場合、到来波数は1と判定し、Er<Dr(SNR)の場合、到来波数はM−1と判定する。
【0069】
以上のような構成により、到来波の受信レベルに影響をうけずに到来波数判定部20における到来波数判定が安定して行える効果が得られる。
【0070】
(実施の形態3)
図5は方向推定信号処理部8cの別な構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。図5において、複素ディジタル信号6−1〜Mの信号対雑音比(SNR)を算出するSNR算出部20と、算出されたSNRにより対応する到来方向推定のダイナミックレンジ記憶値を出力するダイナミックレンジ記憶部30と、到来波方向推定部11のダイナミックレンジを算出するダイナミックレンジ算出部31と、ダイナミックレンジ記憶部30とダイナミックレンジ算出部31の出力判定を基に到来波数を判定する到来波数判定部32とを設けている点が図1で示した方向推定信号処理部8の構成と異なる点であり、以下その動作を説明する。
【0071】
SNR算出部20はデータバスを経由して得られる複素ディジタル信号6−1〜Mから(数5)で示される受信ベクトルx(k)を用いて(数14)のようにSNRを求める。ただし、N0は送信信号がない場合の受信信号2−1〜Mから得られる受信ベクトルx0(k)を用いて(数15)のように算出する雑音電力レベルである。
【0072】
ダイナミックレンジ算出部31は、到来波方向推定部11による到来方向推定結果の最大値と最小値を求め、ダイナミックレンジDS=最大値−最小値を算出する。ダイナミックレンジ記憶部30は、電波暗室内等で互いに無相関な波が複数波(ただし、M−1波以下)を発生させ、到来推定の予備伝送実験をあらかじめ行った結果から,送信電力パラメータとして、SNR算出部20におけるSNRと到来方向推定部11の到来方向推定結果のダイナミックレンジを算出した値DMを記憶している。
【0073】
到来波数判定部32はダイナミックレンジ記憶部30とダイナミックレンジ算出部31の出力判定を基に到来波数の判定を行う。図6は到来波数判定部32の動作を示すフローチャートである。
【0074】
以下、図6を用いてその動作を説明する。まず、共分散行列Rの固有値の最大値と次大値の比Er=(最大固有値/次大値固有値)を算出する(ステップ60)。そして、所定値Drとの比較を行い(ステップ61)、Er≧Drの場合、到来波数は1と判定し(ステップ62)、Er<Drの場合、前回の判定結果が同一であるかを判定し(ステップ63)、初期動作あるいは前回の判定結果が異なる場合、到来波数はM−1と判定する(ステップ64)。
【0075】
前回の判定結果と同じであれば、次にダイナミックレンジ算出値DSと記憶値DMとの比較を行い(ステップ65)、DS<DMの場合、相関波が含まれるものとして波数を1と判定する(ステップ66)。DS≧DMの場合、到来波間には相関がないものみなし波数をM−1と判定する(ステップ67)。
【0076】
以上のような動作により、本実施例は、同じSNRでも到来波間の相関が高い場合は到来方向推定部11における推定結果はそのダイナミックレンジが小さくなるという性質を利用し、到来波間の相関状況を検出し、その結果として到来波数判定部32における判定値を変化させることができる。この結果、多様な伝搬条件下でも到来波方向推定を安定して行えるという特性が得られる。
【0077】
(実施の形態4)
図7は指向性可変受信装置の構成を示すブロック図である。以下図7は実施の形態1から3において、説明した最大レベル方向を推定する到来方向推定処理部8を用い、その到来方向推定結果出力を基に主ビーム方向の異なる複数のセクタアンテナの選択を行い、指向性を可変にする指向性可変受信装置である。到来方向推定処理部8の動作に関しては前述したものと同様であり、その説明は省略する。以下、付加された構成部に関して図7を用いて説明を行う。
【0078】
図7は指向性可変受信装置の構成図を示し、実施の形態1から3において説明した方向推定処理部8の推定結果15と、主ビーム方向の異なるm本の(m≧2)セクタアンテナ70−1〜m、セクタスイッチ71、セクタ制御部72、受信部73からなる。
【0079】
以下図7における動作を説明する。複数の素子アンテナ1−1〜Mからなるアレーアンテナから得られた受信信号2−1〜Mを使用して電波到来方向推定する動作は、実施の形態1から3で行った説明と同様であり、最終的に得られる方向推定信号処理部8の最大レベル方向推定結果15はセクタ制御部72に入力される。セクタ制御部72は推定結果から最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向を持つ第ms番目のセクタアンテナを複数セクタアンテナ70−1〜mから選択し、受信部73に接続するようにセクタスイッチ71を制御する。セクタスイッチ71はセクタ制御信号74に基づき第ms番目のセクタアンテナを受信部73に接続する。受信部73は接続された第ms番目のセクタアンテナによる受信信号75に対し復調動作を行う。
【0080】
以上のような動作により、複数のセクタアンテナ70−1〜mから最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナを選択することができ、高い信号対雑音レベル比の受信信号75が得られる。また、選択されたセクタアンテナの主ビーム方向以外の多重波が抑圧され符号間干渉を低減できるという効果が得られる。
【0081】
なお、本実施例では方向推定信号処理部8における最大レベル方向推定結果に最も近い方向に主ビームをもつセクタアンテナの選択を行うが、複数の素子アンテナ1−1〜Mの位相制御を行うことで主ビーム方向を方向推定信号処理部8における最大レベル方向推定結果に合致するよう制御する構成でも同様な効果が得られる。
【0082】
なお、本実施例では受信装置の構成を示したが、受信部73を送信部に置き換えることで、送信装置としても適用できる。
【0083】
(実施の形態5)
図8は指向性可変送受信装置の構成を示すブロック図である。以下図8は実施の形態1から3において、説明した最大レベル方向を推定する到来方向推定処理部を用い、その到来方向推定結果出力を基に主ビーム方向の異なる複数のセクタアンテナの選択を行い、指向性を可変にする指向性可変送受信装置である。到来方向推定処理部の動作に関しては前述したものと同様であり、その説明は省略する。以下、付加された構成部に関して図8を用いて説明を行う。
【0084】
図8は指向性可変送受信装置の構成図を示し、実施の形態1から3において説明した方向推定処理部8推定結果15と、主ビーム方向の異なるm本の(m≧2)セクタアンテナ80−1〜m、セクタスイッチ81、セクタ制御部82、送受信を切り換えるための送受切換器83、受信部84、送信部85からなる。
【0085】
以下図8における動作を説明する。複数の素子アンテナ1−1〜Mからなるアレーアンテナから得られた受信信号2−1〜Mを使用して電波到来方向推定する動作は、実施の形態1から3で行った説明と同様であり、最終的に得られる方向推定信号処理部8の最大レベル方向推定結果15はセクタ制御部82に入力される。
【0086】
セクタ制御部82は推定結果から最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向を持つ第ms番目のセクタアンテナを複数セクタアンテナ80−1〜mから選択し、送受切換器83に接続するようにセクタスイッチ81を制御する。
【0087】
セクタスイッチ81はセクタ制御信号86に基づき第ms番目のセクタアンテナを送受切換器83に接続する。
【0088】
受信部84は送受切換器の出力から第ms番目のセクタアンテナによる受信信号87に対し復調動作を行う。送信部85は送受切換器の出力から第ms番目のセクタアンテナを通して送信信号を送信する。
【0089】
以上のような動作により、複数のセクタアンテナ80−1〜mから到来電波の最大レベル方向に最も近い方向に主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナにより送受信を行うことができ、選択されたセクタアンテナの主ビーム方向以外の多重波が抑圧され符号間干渉を低減でき、高品質な通信が可能となるという効果が得られる。
【0090】
なお、本実施例では方向推定信号処理部8における最大レベル方向推定結果に最も近い方向に主ビームをもつセクタアンテナの選択を行うが、複数の素子アンテナ1−1〜Mの位相制御を行うことで主ビーム方向を方向推定信号処理部8における最大レベル方向推定結果に合致するよう制御する構成でも同様な効果が得られる。
【0091】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、電力推定を仮想的な直線アレーを用いて行うことにより、円形配列で電力推定を行う場合に生じるグレーティングの影響を排除することができ推定精度を向上させることができる。
【0092】
また、従来のMUSIC法等の固有値展開手法による到来方向推定では、建物、大地等の反射から多重波が形成される多重波伝搬環境下において、その相対的な遅延時間が1シンボル時間程度内である場合、互いに相関の高い到来波となり、到来波数の分離を正確に推定することができなくなるが、本実施例の場合、到来波数の推定が誤っていても、電力推定による推定結果と到来方向推定結果を合成することで、推定誤りを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1における方向推定信号処理部の別な構成を示すブロック図
【図3】実施の形態1における電波到来方向推定装置の別な構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施の形態2における方向推定信号処理部の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態3における方向推定信号処理部の構成を示すブロック図
【図6】実施の形態3における到来波数判定部の動作を示すフローチャート
【図7】本発明の実施の形態4における指向性可変受信装置の構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態5における指向性可変送受信装置の構成を示すブロック図
【図9】従来の電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図
【図10】従来の方向推定信号処理部の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1−1〜M 素子アンテナ
2−1〜M 受信信号
3−1〜M 周波数変換部
4−1〜M 複素ベースバンド信号
5−1〜M アナログ/ディジタル変換器
6−1〜M 複素ディジタル信号
7 データバス
8 方向推定信号処理部
9 固有値演算部
10 到来波数判定部
11 到来方向推定部
12 仮想直線アレイ変換部
13 到来波電力推定部
14 主波方向推定部
15 到来方向推定結果
Claims (10)
- 複数の素子アンテナを均一間隔で円形アレー状に構成したアレーアンテナと、
前記アレーアンテナで得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、
前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、
所定時間間隔毎に得られた前記複素ディジタル信号を仮想的な直線アレーでの受信信号に変換する仮想直線アレー変換部と、
前記仮想直線アレー変換部の出力から到来波の電力推定を行い、所定の角度毎の到来波電力推定値を出力する到来波電力推定部と、
前記所定時間内で得られた前記複素ディジタル信号に対し相関行列演算し更にその固有値と固有ベクトルを演算する固有値演算部と、
前記固有値演算部で演算された固有値から到来波数を判定する到来波数判定部と、
前記到来波数判定部により判定される前記到来波数から固有値展開手法による到来方向推定を行い、所定の角度毎の到来方向評価関数演算値を出力する到来方向推定部と、
前記到来波電力推定部により出力される前記所定の角度毎の到来波電力推定値と前記到来方向推定部により出力される前記所定の角度毎の到来方向評価関数演算値とを重み付け加算し、そのピーク方向を最大レベルの到来方向として推定する主波方向推定部と
を有することを特徴とする電波到来方向推定装置。 - 複数の素子アンテナを均一間隔で直線アレー状に構成したアレーアンテナと、
前記アレーアンテナで得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで複素ベースバンド信号を出力する周波数変換部と、
前記複素ベースバンド信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、
所定時間間隔毎に得られた前記複素ディジタル信号から到来波の電力推定を行い、所定の角度毎の到来波電力推定値を出力する到来波電力推定部と、
前記所定時間内で得られた前記複素ディジタル信号に対し相関行列演算し更にその固有値と固有ベクトルを演算する固有値演算部と、
前記固有値演算部で演算された固有値から到来波数を判定する到来波数判定部と、
前記到来波数判定部により判定される前記到来波数から固有値展開手法による到来方向推定を行い、所定の角度毎の到来方向評価関数演算値を出力する到来方向推定部と、
前記到来波電力推定部により出力される前記所定の角度毎の到来波電力推定値と前記到来方向推定部により出力される前記所定の角度毎の到来方向評価関数演算値とを重み付け加算し、その最大値方向を検出することで、最大レベルの到来方向を推定する主波方向推定部と
を有することを特徴とする電波到来方向推定装置。 - 前記固有値演算部で演算された固有値の内、最大固有値と次大値固有値の比に基づき到来波数を判定する到来波数判定部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置。
- 前記固有値演算部で演算された固有値の内、最大固有値に対する次大値固有値の比が所定値を超える場合に到来波数を1と判定し、所定値を超えない場合に(素子アンテナ数−1)と判定する到来波数判定部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置。
- 前記A/D変換器の出力データから信号電力対雑音電力比(SNR)を算出し前記到来波数判定部に出力するSNR算出部をさらに有し、
前記到来波数判定部は、前記SNRが所定値を下回る場合、到来波数を1と判定することを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置。 - 前記A/D変換器の出力データから信号電力対雑音電力比(SNR)を算出し前記到来波数判定部に出力するSNR算出部と、あらかじめ想定されるSNR値に対する前記到来波推定部における到来方向評価関数のダイナミックレンジを記憶したダイナミックレンジ記憶部と、前記到来方向推定部により出力される到来方向評価関数の最大値から最小値を引いたダイナミックレンジを算出するダイナミックレンジ算出部とをさらに有し、
前記到来波数判定部は、前記ダイナミックレンジ記憶部に記憶されたダイナミックレンジ記憶値と、前記ダイナミックレンジ算出部により算出されたダイナミックレンジ算出値とを比較し、算出値が記憶値よりも下回る場合、到来波数を1と判定することを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置。 - 前記周波数変換部は、前記アレーアンテナから得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで、前記複素ベースバンド信号の代わりに中間周波数(IF)信号を出力し、
前記A/D変換器は、前記IF信号をディジタル信号に変換するものであり、
前記ディジタル信号をディジタル直交復調し、複素ベースバンド信号を前記仮想直線アレー変換部及び前記固有値演算部にデータ出力するディジタル直交検波部をさらに有することを特徴とする請求項1記載の電波到来方向推定装置。 - 前記周波数変換部は、前記アレーアンテナから得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで、前記複素ベースバンド信号の代わりに中間周波数(IF)信号を出力し、
前記A/D変換器は、前記IF信号をディジタル信号に変換するものであり、
前記ディジタル信号をディジタル直交復調し、複素ベースバンド信号を前記到来波電力推定部及び前記固有値演算部にデータ出力するディジタル直交検波部をさらに有することを特徴とする請求項2記載の電波到来方向推定装置。 - 請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから主波方向推定部の推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置。
- 請求項1又は2記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから主波方向推定部の推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、復調動作を行う受信部と、送信動作を行う送信部と、前記セクタスイッチに接続され、前記選択されたセクタアンテナからの出力信号を前記受信部に入力するように切り換えるか、または前記送信部からの送信信号を前記選択されたセクタアンテナから出力させる送受切換器とを有することを特徴とする指向性可変送受信装置。
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