JP7077874B2 - 適応整相システム、適応整相装置、適応整相処理方法およびプログラム - Google Patents

適応整相システム、適応整相装置、適応整相処理方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、複数のセンサの出力に基づいて整相処理を行う適応整相システム、適応整相装置、適応整相処理方法、およびこの方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
適応整相は、アレイを構成するセンサから出力された信号と雑音の情報により適応的に整相することで、所望の方位から到来する信号の感度を保ったまま、所望の方位と異なる方位から到来する信号を抑制する整相方式である。
適応整相処理として、例えば、Dominant Mode Rejection(DMR)、Minimum Variance Distortionless Response(MVDR)、Eigenvector/Beam Association and Excision (EBAE)などがある。これらの適応整相処理は、いずれも従来の整相処理よりも妨害音の抑制能力に優れた整相方式である。
EBAE方式を用いた適応整相処理が、非特許文献1および特許文献1に開示されている。EBAE方式は、センサ出力間の共分散行列の固有値分解を用いて信号部分空間の固有ベクトルをステアリングベクトルに対応付け、対応付けられたステアリングベクトルの方位に対して感度を拘束することを特徴とする適応整相処理である。固有値を用いて信号数を推定する方法として、AIC(Akaike Information Criterion)およびMDL(Minimum Description Length)が知られている。また、Nadakuditi and Edelman AIC(N/E AIC)も知られている(例えば、非特許文献2参照)。
また、不要波を含む雑音から所望波を特定できるようにするために、センサアレイの自由度Kと環境推定可能な自由度Jとの差の自由度(K-J)を、不要波除去の自由度に利用する受信装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
Stephen M. Kogon, "Experimental results for passive sonar arrays with eigenvector-based adaptive beamformers", Signal, Systems and Computers, 2002 Kathleen E. Wage and John R. Buck. "Performance Analysis of Dominant Mode Rejection Beamforming", Proceedings of 20th international Congress on Acoustics, ICA 2010, 23-27 August 2010, Sydney, Australia
特開2017-138260号公報 特開平8-62323号公報
従来のEBAE方式の適応整相処理は、センサ間で無相関な雑音を仮定している。しかし、実環境の雑音は、センサ間で相関性のある雑音成分を含む等方性雑音である。この場合、適応整相処理の整相出力において、実際の信号到来方位以外の方位に複数のピークが発生してしまうことがある。特許文献2に開示された受信装置では、環境推定可能な自由度Jは環境推定アルゴリズムによって異なるため、算出精度が十分でない場合がある。
本発明に係る適応整相システムは、アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づいて適応整相処理を行う適応整相システムであって、前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う周波数分割部と、前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する共分散行列推定部と、算出された共分散行列に対して固有値分解を行う固有値分解部と、前記アレイの自由度を算出する自由度計算部と、前記固有値分解で算出された固有値および前記自由度計算部で算出された自由度に基づいて信号数を推定する信号数推定部と、前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと前記信号数推定部で算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う対応付け部と、前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する重み計算部と、前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う整相部と、を有するものである。
本発明に係る適応整相装置は、アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づいて適応整相処理を行う適応整相装置であって、前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う周波数分割部と、前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する共分散行列推定部と、算出された共分散行列に対して固有値分解を行う固有値分解部と、前記アレイの自由度を算出する自由度計算部と、前記固有値分解で算出された固有値および前記自由度計算部で算出された自由度に基づいて信号数を推定する信号数推定部と、前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと前記信号数推定部で算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う対応付け部と、前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する重み計算部と、前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う整相部と、を有するものである。
本発明に係る適応整相処理方法は、アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づく適応整相処理方法であって、前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行い、前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出し、算出された共分散行列に対して固有値分解を行い、前記アレイの自由度を算出し、前記固有値分解で算出された固有値および算出された自由度に基づいて信号数を推定し、前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行い、前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出し、前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行うものである。
本発明に係るプログラムは、アレイを構成する複数のセンサの出力信号が入力されるコンピュータに、前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う手段と、前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する手段と、算出された共分散行列に対して固有値分解を行う手段と、前記アレイの自由度を算出する手段と、前記固有値分解で算出された固有値および算出された自由度に基づいて信号数を推定する手段と、前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う手段と、前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する手段と、前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う手段として機能させるものである。
本発明によれば、固有値をアレイの自由度に制限することで、雑音部分空間の固有値のレベルが一定の特性になる。そのため、等方性雑音の環境下であっても、整相出力の結果に、本来の信号方位と異なる複数の方位にピークが形成されることを抑制し、本来の信号方位に鋭いピークを形成できる。
本発明の実施の形態1に係る適応整相システムの一構成例を示す図である。 図1に示した適応整相システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 比較例の適応整相システムの構成を示す図である。 固有値および固有ベクトルについて信号部分空間および雑音部分空間の区分けを示す模式図である。 信号が1個の場合と信号が2個の場合の待ち受けビーム出力の一例を示す図である。 図3に示した固有値分解部が図5に示す信号を計算に用いた場合の固有値を示す図である。 図1に示した適応整相システムにおいて、図6(b)に示した固有値をアレイの自由度で制限した場合を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る適応整相処理方法の手順の一例を示すフロー図である。 図1に示した適応整相システムにおいて、雑音が等方性雑音の場合に固有値をアレイの自由度までに制限した場合の出力結果を示す図である。
実施の形態1.
本実施の形態1の適応整相システムは、アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づいて適応整相処理を行う適応整相システムである。本実施の形態1では、EBAE方式を用いた適応整相処理を行う場合で説明する。
(実施の形態1の適応整相システムの概要)
図1は、本発明の実施の形態1に係る適応整相システムの一構成例を示す図である。図1に示すように、適応整相システム1は、周波数分割部11と、適応整相処理部40とを有する。適応整相処理部40は、EBAE処理部20と、整相部30とを有する。EBAE処理部20は、共分散行列推定部12と、固有値分解部13と、対応付け部15と、重み計算部16と、自由度計算部17と、信号数推定部18とを有する。
適応整相システム1には、図1に示していないが、アレイを構成する複数のセンサが接続されている。複数のセンサは到来する信号を検出するセンサである。本実施の形態1では、センサの数をM個とする。Mは2以上の整数である。適応整相システム1は、M個のセンサの出力であるセンサ出力信号が入力端子k1~kMを介して入力され、センサ出力信号に対する整相処理を行い、その結果を出力端子Routから出力する。
図2は、図1に示した適応整相システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。適応整相システム1は、例えば、コンピュータを含む情報処理装置である。適応整相システム1は、記憶部60および制御部50を有する。記憶部60は、制御部50が実行する演算処理の結果を記憶する。記憶部60は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。制御部50は、プログラムを記憶するメモリ52と、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)51とを有する。CPU51がプログラムを実行することで、図1に示した、周波数分割部11および適応整相処理部40が適応整相システム1に構成される。
なお、周波数分割部11、共分散行列推定部12、固有値分解部13、対応付け部15、重み計算部16、自由度計算部17、信号数推定部18および整相部30が備える機能のうち、一部または全部が専用回路で構成されてもよい。専用回路は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。信号処理の一部または全部を専用回路で構成することで、信号処理の高速化を図ることができる。また、適応整相システム1は、周波数分割部11、共分散行列推定部12、固有値分解部13、対応付け部15、重み計算部16、自由度計算部17、信号数推定部18および整相部30の機能を複数の情報処理装置が分担して処理する構成であってもよい。
本実施の形態1の適応整相システム1を詳細に説明する前に、比較例の適応整相システムの構成および動作を説明する。
(比較例の適応整相システムの構成と動作)
図3は、比較例の適応整相システムの構成を示す図である。比較例の適応整相システムもEBAE方式である。適応整相システム100は、周波数分割部11と、適応整相処理部140とを有する。適応整相処理部140は、EBAE処理部120と、整相部30とを有する。EBAE処理部120は、共分散行列推定部12と、固有値分解部13と、対応付け部15と、重み計算部16と、信号数推定部14とを有する。適応整相システム100は、M個のセンサからのセンサ出力信号が入力端子k1~kMを介して入力され、センサ出力信号に対する整相処理を行い、その結果を出力端子Routから出力する。
なお、周波数分割部11、共分散行列推定部12、固有値分解部13、信号数推定部14、対応付け部15、重み計算部16および整相部30の各部が行う信号処理は、非特許文献1および特許文献1に開示されているため、その詳細な説明を省略する。
周波数分割部11は、M個のセンサから出力信号が入力されると、入力されたセンサ出力信号に対して、周波数分割を行う。説明を簡単にするために、以下では、1つのセンサ出力信号に対して周波数分割する場合を説明するが、M個のセンサの出力信号に対して1bin毎に信号処理が行われる。
周波数分割部11で周波数分割されたセンサ出力信号は共分散行列推定部12に入力される。共分散行列推定部12は、センサ出力信号間の共分散行列を計算する。共分散行列推定部12で算出された、センサ出力信号間の共分散行列は固有値分解部13に出力される。
固有値分解部13は、センサ出力信号間の共分散行列に対して、固有値分解を行う。固有値分解部13が算出する固有値行列Λ、固有ベクトルの行列Eおよび固有ベクトルeを、以下のように定義する。
Figure 0007077874000001
Figure 0007077874000002
Figure 0007077874000003
以下の説明では、便宜上、式(1)を次の式(4)のように変形させる。具体的には、固有値行列Λを変形させて、式(4)のように固有値ベクトルλを定義する。
Figure 0007077874000004
式(4)において、diagは行列に対する対角要素の取得を意味する。固有値分解部13は、固有値の並び替えに伴い固有値に対応する固有ベクトルの並び替えも行う。固有値分解部13が固有値および固有ベクトルを計算することにより、M個のセンサ出力信号が信号成分と雑音成分とに分解される。
固有値分解部13が算出した固有値は信号数推定部14に出力される。また、固有値分解部13が算出した、固有値および固有ベクトルは、固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付ける対応付け部15に出力される。ステアリングベクトルとは、想定される信号到来方位に応じた位相差を持ったベクトルを意味する。
信号数推定部14は、固有値分解部13から出力される固有値を用いて信号数を推定する。固有値を用いて信号数を推定する方法として、AICおよびMDLなどがあるが、ここでは、N/E AICを用いる場合で説明する。
N/E AICによる信号数
Figure 0007077874000005
の推定は、次の式(5)により計算される。
Figure 0007077874000006
また、tは、dの変数として、次の式(6)で与えられる。
Figure 0007077874000007
式(6)において、SPは固有値分解を求めるための共分散行列推定時のスナップショット数である。ここでは、スナップショット数SPは、共分散行列推定時の独立サンプル数である。λは降順に並び替えられた固有値であり、Mはセンサ数である。また、cはセンサ数Mとスナップショット数SPとの比から求められ、次の式(7)で表される。
Figure 0007077874000008
信号数推定部14が推定した信号数
Figure 0007077874000009
は対応付け部15に出力される。
対応付け部15には、固有値分解部13から出力される固有値および固有ベクトルと、信号数推定部14から出力される信号数とが入力される。図4は、固有値および固有ベクトルについて信号部分空間および雑音部分空間の区分けを示す模式図である。図4(a)に示すように、対応付け部15は、信号数推定部14から入力される信号数
Figure 0007077874000010
をもとに、固有値が大きい方から順に信号数だけの固有値を信号成分として判定し、それ以外を雑音成分の固有値として判定する。また、図4(b)に示すように、対応付け部15は、固有値が大きい方から順に信号数だけの固有ベクトルによって構成される空間を信号部分空間として判定し、それ以外を雑音部分空間として判定する。
その後、対応付け部15は、式(8)~式(10)にしたがって、信号部分空間として判定された固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積ESを計算する。ステアリングベクトル行列Vは式(8)で定義され、ステアリングベクトルνは式(9)で定義される。式(8)におけるBは待ち受けビーム数である。
Figure 0007077874000011
Figure 0007077874000012
式(8)および式(9)から、信号部分空間として判定された固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積ESは、次の式(10)で表される。
Figure 0007077874000013
対応付け部15は、式(10)により算出した、信号部分空間の固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積のピーク方位を、固有ベクトルとステアリングベクトルの対応付け方位として、重み計算部16に出力する。
重み計算部16は、対応付け部15から対応付け方位が入力されると、適応重みWを算出して出力する。適応重み行列Wは、次の式(11)および式(12)で表される。
Figure 0007077874000014
Figure 0007077874000015
ここで、適応重みベクトルwは、次の式(13)で算出される。
Figure 0007077874000016
βは、固有値から求められる係数であり、次の式(14)および式(15)で表される。
Figure 0007077874000017
Figure 0007077874000018
式(14)におけるDLはDiagonal Loading項である。式(13)におけるδは除外係数である。除外係数δは、対応付け部15が行う信号処理において対応付けられた方位ではδ=0であり、それ以外の方位ではδ=1になるように働く係数である。
整相部30は、周波数分割されたセンサ出力信号が周波数分割部11から入力され、入力されるセンサ出力信号に対して適応重みWを用いて整相処理を行う。重み計算部16が算出した適応重みWを用いて整相処理を行うことで、本来の方位と異なる方位から到来する信号成分を抑圧することができる。周波数分割された1binのセンサ出力信号をxとした場合、整相部30から出力される整相出力yは、次の式(16)で表される。
Figure 0007077874000019
その結果、待ち受けビーム出力において、本来の方位から到来する信号に対して鋭いピークが形成される。
比較例の適応整相システム100が行う適応整相処理は、センサ間で無相関な雑音を仮定している。しかし、実環境の雑音は、センサ間で相関性のある雑音成分を含む等方性雑音である。この場合、適応整相処理の整相出力において信号到来方位以外の方位に複数のピークが発生してしまうという問題がある。この問題を、図5を参照して説明する。
図5は、信号が1個の場合と信号が2個の場合の待ち受けビーム出力の一例を示す図である。実線矢印は、信号が1個の場合であり、信号方位は0°である。破線矢印は、信号が2個の場合であり、信号方位は+5°および-5°である。図5(a)は無相関雑音の待ち受けビーム出力を示す図であり、図5(b)は等方性雑音の待ち受けビーム出力を示す図である。図5(a)および図5(b)の縦軸は信号レベルを示し、横軸は整相方位を示す。
図5(a)を参照すると、信号到来方位に鋭いピークを持ち、副極が抑制されていることがわかる。これに対して、図5(b)を参照すると、信号の到来方位以外の方位に複数のピークが現れていることがわかる。待ち受けビーム出力において信号方位以外の方位にピークが現れると、信号の到来方位を特定することが困難になってしまう。等方性雑音の場合、適応整相において複数のピークが発生してしまう原因は、図3に示した信号数推定部14が信号数を正しく推定できないことに起因する。
図6は、図3に示した固有値分解部が図5に示す信号を計算に用いた場合の固有値を示す図である。図6(a)は無相関雑音の固有値であり、図6(b)は等方性雑音の固有値である。図6(a)および図6(b)の縦軸は固有値を示し、横軸は固有値番号を示す。図6(a)および図6(b)の横軸について、値の大きい順に固有値を並べている。図6(a)および(b)において、実線は信号が1個の場合を示し、破線は信号が2個の場合を示す。実線は×印のプロットを結ぶ線であり、破線は○印のプロットを結ぶ線である。
図6(a)を参照すると、信号部分の固有値のレベルが高くなり、それ以外の雑音部分の固有値のレベルはほぼ一定になっている。そのため、図6(a)に示す固有値を用いてN/E AICにより信号数を推定した結果、正しい信号数が推定される。
一方、図6(b)を参照すると、等方性雑音の場合の固有値の特性は、雑音部分の固有値のレベルが一定にはならず、固有値番号が10番目辺りの固有値からレベルが極端に落ちる特性である。この固有値を用いて、N/E AICにより信号数を推定すると、信号数は、15~19個と推定され、到来した信号数と異なり、過大に推定されてしまう。信号数推定の方法として、N/E AIC以外にもAICおよびMDLなど複数の方法があるが、いずれの方法も無相関雑音を仮定しているため、同様の現象が起こり得る。
その結果、図5(b)に示したように、出力端子Routからの出力結果において、信号方位以外にも複数のピークが形成されてしまう。比較例では、等方性雑音の環境下においては、信号数推定部14による信号数推定処理が正しい信号数を推定できないため、固有値分解を用いた適応整相が正常に動作しないという問題がある。
この問題に対して、本実施の形態1の適応整相システム1は、等方性雑音の環境下においても出力端子Routにおいて信号方位のみが鋭いピークとなるように改善するものである。
(実施の形態1の適応整相システムの構成)
図1を参照して、本実施の形態1の適応整相システム1の構成を説明する。ここでは、図3を参照して説明した構成と同様な構成についての詳細な説明を省略する。図1に示す適応整相システム1は、図3に示した比較例の構成と比較すると、自由度計算部17が追加され、信号数推定部14の代わりに信号数推定部18が設けられている。
自由度計算部17は、アレイの開口長からアレイの自由度を算出する。信号数推定部18は、固有値分解部13が算出する固有値および自由度計算部17が算出する自由度に基づいて信号数を推定する。適応整相システム1における共分散行列推定部12、固有値分解部13、対応付け部15および重み計算部16のそれぞれは、図3に示した共分散行列推定部12、固有値分解部13、対応付け部15および重み計算部16のそれぞれと同様な構成である。また、適応整相システム1における周波数分割部11および整相部30のそれぞれは、図3に示した周波数分割部11および整相部30のそれぞれと同様な構成である。
(実施の形態1の適応整相システムの動作)
次に、本実施の形態1の適応整相システム1の動作を、図1を参照して説明する。比較例の適応整相システム100の動作と同様な動作についての詳細な説明を省略する。
図1に示す自由度計算部17は、アレイの開口長からアレイの自由度を計算し、アレイの自由度を信号数推定部18に出力する。アレイの自由度とは、アレイが捉えることのできる信号数の限界値のことである。単純なラインアレイの場合、アレイの開口部の長さをL[m]とし、 到来する信号の波長をL’[m]とすると、アレイの自由度F_limは、次の式(17)で算出される。
Figure 0007077874000020
信号数推定部18は、固有値分解部13から出力された固有値と自由度計算部17から出力されたアレイの自由度とを入力とし、信号数の推定を行い、推定した信号数を対応付け部15に出力する。信号数の推定にN/E AICを用いる場合、N/E AICの方法にアレイの自由度を適用すると、式(5)は次の式(18)に変換される。
Figure 0007077874000021
式(18)におけるcは式(19)で求められ、式(18)におけるtは式(20)で求められる。
Figure 0007077874000022
Figure 0007077874000023
式(5)と式(18)との違いは、式(18)では、信号数推定部18が信号数の推定に用いる固有値の数がアレイの自由度の数(F_lim)以下に制限されることである。図7は、図1に示した適応整相システムにおいて、図6(b)に示した固有値をアレイの自由度で制限した場合を示す図である。
図7(a)は自由度が10の場合の固有値を示し、図7(b)は図7(a)に示した自由度までに制限した固有値を示す。図7(a)および図7(b)の縦軸は固有値を示し、横軸は固有値番号を示す。図7(a)および図7(b)の横軸について、値の大きい順に固有値を並べている。図7(a)および図7(b)において、実線は信号が1個の場合を示し、破線は信号が2個の場合を示す。実線は×印のプロットを結ぶ線であり、破線は○印のプロットを結ぶ線である。
等方性雑音の場合、図7(a)のようにアレイの自由度以降の固有値のレベルが極端に低くなっていることがわかる。図7(a)では、アレイの自由度以降の固有値を模様パターンで覆って、固有値番号が11以降の固有値を制限していることを示している。アレイの自由度という制限を設けることにより、図7(b)のように極端にレベルの低い固有値の影響を除去することができるため、正しい信号数
Figure 0007077874000024
が推定される。
上述した本実施の形態1の適応整相処理方法の概要を、図8を参照して説明する。図8は、本発明の実施の形態1に係る適応整相処理方法の手順の一例を示すフロー図である。
ステップS101において、周波数分割部11は、アレイを構成する複数のセンサから出力信号が入力されると、複数の出力信号に対して周波数分割を行う。ステップS102において、共分散行列推定部12は、周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する。ステップS103において、固有値分解部13は、算出された共分散行列に対して固有値分解を行って、固有値および固有値ベクトルを算出する。ステップS104において、自由度計算部17はアレイの自由度を算出する。
ステップS105において、信号数推定部18は、固有値分解で算出された固有値および自由度計算部17で算出された自由度に基づいて信号数を推定する。ステップS106において、対応付け部15は、固有値および固有値ベクトルと信号数推定部18で算出された信号数とに基づいて、固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う。ステップS107において、重み計算部16は、固有値とステアリングベクトルとの対応付け情報に基づいて適応重みを算出する。ステップS108において、整相部30は、周波数分割された出力信号に対して適応重みを用いて整相処理を行う。
本実施の形態1の適応整相処理方法によれば、固有値をアレイの自由度に制限することで、無相関雑音と同様に、雑音部分空間の固有値のレベルが一定の特性になる。そのため、レベルが極端に低い固有値を除去でき、信号数推定処理において正しい信号数を推定できる。
図9は、図1に示した適応整相システムにおいて、雑音が等方性雑音の場合に固有値をアレイの自由度までに制限した場合の出力結果を示す図である。図9の縦軸は信号レベルを示し、横軸は整相方位を示す。実線矢印は、信号が1個の場合であり、信号方位は0°である。破線矢印は、信号が2個の場合であり、信号方位は+5°および-5°である。図9に示すように、信号数が正しく推定されているため、信号方位のみに鋭いピークが形成される。本実施の形態1の適応整相処理方法によれば、EBAE方式で等方性の雑音に対応することができる。
本実施の形態1の適応整相システム1は、複数のセンサで構成されるアレイの自由度を算出する自由度計算部17と、固有値分解で算出された固有値および自由度計算部17で算出された自由度に基づいて信号数を推定する信号数推定部18とを有するものである。
本実施の形態1によれば、固有値をアレイの自由度に制限することで、雑音部分空間の固有値のレベルが一定の特性になる。そのため、レベルが極端に低い固有値を除去でき、信号数推定処理において正しい信号数を推定できる。その結果、等方性雑音の環境下において、整相出力の結果に、本来の信号方位と異なる複数の方位にピークが形成されることを抑制し、本来の信号方位に鋭いピークが形成されるように改善できる。
本実施の形態1では、信号数推定の方法としてN/E AICを用いる場合で説明したが、AICおよびMDLなどの方法も本実施の形態1に適用することができる。また、本実施の形態1では、適応整相処理としてEBAE方式の場合を説明したが、他の固有値分解を用いた適応整相処理にも適用することができる。
また、本実施の形態1では、図1に示す各部の処理を複数の情報処理装置に分担させることができるシステムの場合で説明したが、図1に示す各部の処理を単体で行う適応整相装置が本実施の形態1の適応整相処理を行ってもよい。さらに、本実施の形態1の適応整相処理方法の手順が記述されたプログラムをコンピュータにインストールし、コンピュータに本実施の形態1の適応整相処理方法を実行させてもよい。
1 適応整相システム
11 周波数分割部
12 共分散行列推定部
13 固有値分解部
14 信号数推定部
15 対応付け部
16 重み計算部
17 自由度計算部
18 信号数推定部
20 EBAE処理部
30 整相部
40 適応整相処理部
50 制御部
51 CPU
52 メモリ
60 記憶部
100 適応整相システム
120 EBAE処理部
140 適応整相処理部
k1~kM 入力端子
Rout 出力端子

Claims (6)

  1. アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づいて適応整相処理を行う適応整相システムであって、
    前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う周波数分割部と、
    前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する共分散行列推定部と、
    算出された共分散行列に対して固有値分解を行う固有値分解部と、
    前記アレイの自由度を算出する自由度計算部と、
    前記固有値分解で算出された固有値および前記自由度計算部で算出された自由度に基づいて信号数を推定する信号数推定部と、
    前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと前記信号数推定部で算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う対応付け部と、
    前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する重み計算部と、
    前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う整相部と、
    を有する適応整相システム。
  2. 前記信号数推定部は、前記信号数を推定する際、推定に用いる前記固有値の数を前記自由度で制限する、請求項1に記載の適応整相システム。
  3. 前記アレイがラインアレイである場合、前記自由度計算部は、[前記アレイの開口部の長さ/{(到来する信号の波長)/2}]の式にしたがって前記自由度を算出する、請求項1または2に記載の適応整相システム。
  4. アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づいて適応整相処理を行う適応整相装置であって、
    前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う周波数分割部と、
    前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する共分散行列推定部と、
    算出された共分散行列に対して固有値分解を行う固有値分解部と、
    前記アレイの自由度を算出する自由度計算部と、
    前記固有値分解で算出された固有値および前記自由度計算部で算出された自由度に基づいて信号数を推定する信号数推定部と、
    前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと前記信号数推定部で算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う対応付け部と、
    前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する重み計算部と、
    前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う整相部と、
    を有する適応整相装置。
  5. アレイを構成する複数のセンサの出力信号に基づく適応整相処理方法であって、
    前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行い、
    前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出し、
    算出された共分散行列に対して固有値分解を行い、
    前記アレイの自由度を算出し、
    前記固有値分解で算出された固有値および算出された自由度に基づいて信号数を推定し、
    前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行い、
    前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出し、
    前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う、
    適応整相処理方法。
  6. アレイを構成する複数のセンサの出力信号が入力されるコンピュータに、
    前記複数のセンサから入力される複数の出力信号に対して周波数分割を行う手段と、
    前記周波数分割された出力信号間の共分散行列を算出する手段と、
    算出された共分散行列に対して固有値分解を行う手段と、
    前記アレイの自由度を算出する手段と、
    前記固有値分解で算出された固有値および算出された自由度に基づいて信号数を推定する手段と、
    前記固有値分解で算出された前記固有値および固有値ベクトルと算出された信号数とに基づいて、前記固有値とステアリングベクトルとの対応付けを行う手段と、
    前記固有値と前記ステアリングベクトルとの対応付けに基づいて適応重みを算出する手段と、
    前記周波数分割された出力信号に対して前記適応重みを用いて整相処理を行う手段として機能させるためのプログラム。
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