JP7013726B2 - 信号処理装置及び信号処理方法 - Google Patents
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Description
以下、本発明に係る信号処理装置1及び信号処理方法の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施の形態1に係る信号処理装置1を示すブロック図である。信号処理装置1は、複数のセンサからの出力を処理して、特定の方位から到来する信号を抽出するものである。信号処理装置1は、複数のセンサからの出力から適応重みを算出して整相処理する。信号処理装置1は、行列算出手段2と、瞬時共分散行列バッファ3と、推定手段4と、分解手段5と、加工手段20と、重み算出手段8と、整相処理手段9とを備えている。
行列算出手段2は、複数のセンサからの出力を離散フーリエ変換して取得するベクトルであるセンサ出力x[k]を用いて、次式で瞬時共分散行列RJ+1[k]を算出するものである。ここで、J+1は現在の時刻を表すインデックスである。
瞬時共分散行列バッファ3は、行列算出手段2によって算出された瞬時共分散行列RJ+1[k]を格納する記憶手段である。
推定手段4は、瞬時共分散行列に、予め設定された重み係数を付与して、共分散行列を推定するものである。推定手段4は、共分散行列の推定値R*[k]を次式で計算する。その際、推定手段4は、事前に設定された固定の重み係数ξfix,1~ξfix,Jと、瞬時共分散行列バッファ3に格納されている瞬時共分散行列R1[k]~RJ+1[k]のうち、R2[k]~RJ+1[k]とを用いる。
分解手段5は、推定手段4によって推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得するものである。分解手段5は、式(15)で計算した共分散行列の推定値R*[k]を固有値分解し、固有ベクトルq1[k]~qM[k]と固有値λ1[k]~λM[k]とを得る。ここで、固有値λM[k]は固有ベクトルqM[k]に対応し、λ1[k]>・・・>λM[k]とする。また、固有値分解の処理では、信号部分空間に属する固有値の数Dを推定し、固有ベクトルq1[k]~qD[k]と固有値λ1[k]~λD[k]を後段へ出力する。
加工手段20は、分解手段5によって取得された固有ベクトルを所定時間毎に加工するものである。加工手段20は、例えば分解手段5によって取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度に基づいて、固有ベクトルを加工する。加工手段20は、固有値固有ベクトルバッファ6と、判定手段7とを有している。
固有値固有ベクトルバッファ6は、直前の固有値及び固有ベクトルを格納する記憶手段である。ここで、直前の固有値及び固有ベクトルとは、所定時間前に取得された固有値及び固有ベクトルのことをいう。
判定手段7は、分解手段5によって取得された固有ベクトルと、直前の固有ベクトルとの類似度を判定するものであり、非定常成分を検出する。本実施の形態1の適応整相処理では、通常、複数の定常的な妨害成分がアレイに到来していることが想定されており、その定常的な妨害成分を抑制するように、アレイを構成するセンサ出力間の相関特性を用いて、適応整相処理で使用する適応重みを計算する。なお、定常的な妨害成分を抑制することを、ヌルを形成すると呼称する。
なお、Iは予め決められた数値である。そして、判定手段7は、正準角の2乗平均値Sに対して、しきい値Sthを設定し、SとSthとの大きさを比較して、瞬時共分散行列バッファ3及び固有値固有ベクトルバッファ6の更新の有無を決定する。
重み算出手段8は、分解手段5によって取得された固有ベクトルに基づいて、適応重みを算出するものである。重み算出手段8は、分解手段5によって取得された固有ベクトルと、直前の固有ベクトルとの類似度に基づいて、適応重みを算出するものである。重み算出手段8は、判定手段7によって類似度が所定値より低いと判定された場合、直前の固有ベクトルを用いて、適応重みを算出するものである。一方、重み算出手段8は、判定手段7によって類似度が所定値より低いと判定された場合、直前の固有ベクトルを用いて、適応重みを算出するものである。ここで、適応重みは、非定常的な妨害成分の受信時に起因するビームパターンの変化を抑制するものとして算出される。
整相処理手段9は、センサからの出力x[k]と適応重みwopt[p,k]とに基づいて、EBAE方式のk番目周波数の出力である適応整相処理の出力値y[p,k]を式(1)によって算出する。
図3は、本実施の形態2に係る信号処理装置100を示すブロック図である。本実施の形態2は、共分散行列推定重みバッファ110を備え、加工手段120が、修正手段112と、再推定手段113と、再分解手段114と、固有ベクトルバッファ111とを有している点で、実施の形態1と相違する。本実施の形態2では、実施の形態1と同一の部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
共分散行列推定重みバッファ110は、共分散行列推定重みが格納されている記憶手段である。共分散行列推定重みξjは、瞬時共分散行列バッファ3に格納されている瞬時共分散行列と同じ数だけ必要である。ξ1~ξJのうちξ1~ξJ-1については、共分散行列推定重みバッファ110に格納されている共分散行列推定重みξ1~ξJ-1が用いられ、ξJについては暫定値として1が設定される。共分散行列の推定値R*[k]は次式によって得られる。ただし、共分散行列の推定においては、ξJ=1とする。
固有ベクトルバッファ111は、直前の固有ベクトル[r1[k]r2[k]・・・rL[k]]を格納する記憶手段である。
修正手段112は、分解手段5によって取得された固有ベクトルと、固有ベクトルバッファ111に格納されている直前の固有ベクトルとの類似度に基づいて、重み係数を修正するものである。修正手段112は、実施の形態1の判定手段7と同様の処理により、現時点の共分散行列の推定値によって得られた信号部分空間と直前の固有ベクトルによって形成される信号部分空間の類似度を計測し、2つの部分空間の類似度に応じた重み係数を計算する。前述の如く、推定手段4で用いた共分散行列推定重みξJは、暫定値として1が設定されている。
再推定手段113は、瞬時共分散行列に、修正手段112によって修正された重み係数を付与して、共分散行列を再推定するものである。再推定手段113は、共分散行列更新バッファに格納されている共分散行列推定重みξ1~ξJと、瞬時共分散行列バッファ3に格納されている瞬時共分散行列R1[k]~RJ[k]を用いて、共分散行列の再推定値R*re[k]を式(18)によって計算する。
再分解手段114は、再推定手段113によって推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得するものである。再分解手段114は、式(18)で計算した共分散行列の推定値R*re[k]を固有値分解し、固有ベクトルq1[k]~qM[k]と固有値λ1[k]~λM[k]とを得る。ここで、固有値λM[k]は固有ベクトルqM[k]に対応し、λ1[k]>・・・>λM[k]とする。また、固有値分解の処理では、信号部分空間に属する固有値の数Dを推定し、固有ベクトルq1[k]~qD[k]と固有値λ1[k]~λD[k]を後段へ出力する。
重み算出手段115は、再分解手段114によって取得された固有ベクトルを用いて、適応重みを算出するものである。重み算出手段115の機能は、実施の形態1の重み算出手段8の機能と同様である。なお、全ての処理が終了した後に、瞬時共分散行列バッファ3及び共分散行列推定重みバッファ110には、新たな行列及び係数が再格納されて保持される。新たな行列及び係数は、それぞれ行列及び係数のインデックス番号1からJのうち、インデックス番号2からJのJ-1個のみがインデックス番号1からJ-1にスライドしたものである。
図5は、第1変形例に係る信号処理装置200を示すブロック図である。第1変形例は、適応重みバッファ216と、平滑手段217とを備えており、判定手段7を備えていない点で、実施の形態1と相違する。
適応重みバッファ216は、重み算出手段8によって算出された適応重みを格納する記憶手段である。
平滑手段217は、重み算出手段8によって算出され、適応重みバッファ216に格納された適応重みを、時間方向に平滑化するものである。平滑手段217は、適応重みを平滑化することによって、非定常的な妨害成分が到来したときに起因するビームパターンの変化を抑制する。平滑手段217による時刻インデックス1~Jの適応重みwJ[p,k]の平滑化は、次式で表される。ここで、bJは平滑化係数であり、任意の関数を与えることができる。
図6は、第2変形例に係る信号処理装置300を示すブロック図である。図6に示すように、第2変形例は、実施の形態1の判定手段7を備えている上で、適応重みバッファ216と、平滑手段217とを備えている。このように、信号処理装置300は、判定手段7及び平滑手段217を備えていることによって、非定常的な妨害成分到来時に起因するビームパターンの変化を更に抑制することができる。
図7は、第3変形例に係る信号処理装置400を示すブロック図である。図7に示すように、第3変形例は、実施の形態2の修正手段112、再推定手段113及び再分解手段114を備えている上で、適応重みバッファ216と、平滑手段217とを備えている。このように、信号処理装置400は、修正手段112、再推定手段113、再分解手段114及び平滑手段217を備えていることにより、非定常的な妨害成分に対してヌルを形成する。このため、非定常的な妨害成分が無視できないレベルに達しても、ビームパターンの変化を更に抑制することができる。
2 行列算出手段
3 瞬時共分散行列バッファ
4 推定手段
5 分解手段
6 固有値固有ベクトルバッファ
7 判定手段
8 重み算出手段
9 整相処理手段
20 加工手段
100 信号処理装置
110 共分散行列推定重みバッファ
111 固有ベクトルバッファ
112 修正手段
113 再推定手段
114 再分解手段
115 重み算出手段
120 加工手段
200 信号処理装置
216 適応重みバッファ
217 平滑手段
300 信号処理装置
400 信号処理装置
Claims (7)
- 複数のセンサからの出力から適応重みを算出して整相処理する信号処理装置であって、
複数の前記センサからの出力に基づく瞬時共分散行列に、予め設定された重み係数を付与して、共分散行列を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得する分解手段と、
前記分解手段によって取得された固有ベクトルを所定時間毎に加工する加工手段と、
前記加工手段によって加工された固有ベクトルに基づいて、前記適応重みを算出する重み算出手段と、
を備え、
前記加工手段は、
前記分解手段によって取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度に基づいて、いずれかの固有ベクトルを選択するものであり、
前記分解手段によって取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度を判定する判定手段を有し、
前記重み算出手段は、
前記判定手段によって類似度が所定値より低いと判定された場合、所定時間前に加工された固有ベクトルを用いて、前記適応重みを算出するものである
ことを特徴とする信号処理装置。 - 前記重み算出手段は、
前記判定手段によって類似度が所定値以上と判定された場合、前記分解手段によって取得された固有ベクトルを用いて、前記適応重みを算出するものである
ことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。 - 複数のセンサからの出力から適応重みを算出して整相処理する信号処理装置であって、
複数の前記センサからの出力に基づく瞬時共分散行列に、予め設定された重み係数を付与して、共分散行列を推定する推定手段と、
前記推定手段によって推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得する分解手段と、
前記分解手段によって取得された固有ベクトルを所定時間毎に加工する加工手段と、
前記加工手段によって加工された固有ベクトルに基づいて、前記適応重みを算出する重み算出手段と、
を備え、
前記加工手段は、
前記分解手段によって取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度に基づいて、固有ベクトルを加工するものであり、
前記類似度に基づいて、前記重み係数を修正する修正手段と、
前記瞬時共分散行列に、前記修正手段によって修正された重み係数を付与して、共分散行列を再推定する再推定手段と、
前記再推定手段によって推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得する再分解手段と、を有し、
前記重み算出手段は、
前記再分解手段によって取得された固有ベクトルを用いて、前記適応重みを算出するものである
ことを特徴とする信号処理装置。 - 前記修正手段は、
前記類似度が所定値以上の場合よりも前記所定値より低い場合の方が、前記重み係数を小さくする
ことを特徴とする請求項3記載の信号処理装置。 - 前記重み算出手段によって算出された適応重みを、時間方向に平滑化する平滑手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の信号処理装置。 - 複数のセンサからの出力に基づく瞬時共分散行列に、予め設定された重み係数を付与して、共分散行列を推定するステップと、
推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得するステップと、
取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度を判定して、取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度に基づいて、いずれかの固有ベクトルを所定時間毎に選択するステップと、
類似度が所定値より低いと判定された場合、所定時間前に選択された固有ベクトルを用いて、適応重みを算出するステップと、
を備えることを特徴とする信号処理方法。 - 複数のセンサからの出力に基づく瞬時共分散行列に、予め設定された重み係数を付与して、共分散行列を推定するステップと、
推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得するステップと、
取得された固有ベクトルと、直前に取得された固有ベクトルとの類似度に基づいて、固有ベクトルを所定時間毎に加工して、前記類似度に基づいて、前記重み係数を修正し、前記瞬時共分散行列に、修正された重み係数を付与して、共分散行列を再推定し、推定された共分散行列を固有値分解して、固有ベクトルを取得するステップと、
取得された固有ベクトルを用いて、適応重みを算出するステップと、
を備えることを特徴とする信号処理方法。
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