JP2017138260A - 整相器および整相処理方法 - Google Patents

整相器および整相処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の信号が近接している場合であっても、虚像の発生を抑制し、実際の信号の検出精度を向上させることが可能な整相器および整相処理方法を提供する。
【解決手段】整相器は、アレイを構成する複数のセンサに到来する信号を示すセンサ出力信号に基づき、共分散行列を算出する共分散行列算出部と、共分散行列に基づき、空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに、信号部分空間または雑音部分空間に属する固有ベクトルを取得する固有値分解処理部と、センサ出力信号の到来方位を推定する方位推定処理部と、推定された方位と、信号部分空間に属する固有ベクトルとを対応付けるとともに、各方位に対応する適応重みを算出する重み算出部とを備え、重み算出部は、所定の方位に対応する適応重みを算出する際に、所定の方位に対応付けられた固有ベクトルの成分を除外して適応重みを算出する。
【選択図】図5

Description

本発明は、複数のセンサで構成されたアレイによって受信した信号を処理する整相器および整相処理方法に関する。
ソーナー、レーダー、地震源の推定等の分野においては、信号源の位置を推定するために、空間的に異なる位置にアレイを構成する複数のセンサを設置し、センサ出力間に生じる時間差情報または位相差情報に基づき、周囲に存在する信号源に関する情報を取得している。
このような処理を行うアレイ信号処理としては、例えば整相処理が挙げられる。整相処理では、センサ出力に対して遅延時間を設定し、その結果に対して所定の重み付き加算を行うことにより、特定の方位から到来した信号を抽出する。
整相処理は、整相処理の重み付き加算における重みの与え方に応じて、例えば、重みが固定的な「従来整相」と、周囲の環境に応じて重みを動的に変化させる「適応整相」との2つの処理に大別して分類することができる。
適応整相には、例えば非特許文献1および2に記載されているように、複数の信号方位を分離する能力が高いEBAE(Eigenvector/Beam Association and Excision)方式と称する方式がある。EBAE方式は、センサ出力の共分散行列の固有値分解によって得られる固有ベクトルと、方位を示すとともに整相方位を決定するステアリングベクトルとを対応付ける。そして、このステアリングベクトルを用いて整相処理を行う際に、対応する固有ベクトルの情報を除外して適応的な重み計算を行うものである。
このようなEBAE方式は、固有ベクトルとステアリングベクトルとを1対1で対応付けるとともに、適応重みを計算する際に固有ベクトルの情報を除外することにより、高い方位分解能を有する。また、様々な雑音の影響を受けるような環境であっても、センサ出力に対してロバストな整相結果を得ることができる。
Stephen M. Kogon,"Robust adaptive beamforming for passive sonar using eigenvector/beam association and excision", Sensor Array and Multichannel Signal Processing Workshop Proceedings, 2002 Stephen M. Kogon,"Experimental results for passive sonar arrays with eigenvector-based adaptive beamformers", Systems and Computers, 2002
しかしながら、上述したEBAE方式では、1つの固有ベクトルが1つの信号に対応しない場合には、正常に機能しないという問題点があった。例えば、2つの信号の到来方位が近接している場合など、1つの固有ベクトルが2つ以上の信号に対応する場合には、2つの信号の本来の方位とは異なる方位に実際の信号と異なる「虚像」のピークが生じてしまう。
実際の環境では、複数の信号が近接している状態が十分に存在する。そのため、このような場合には、従来のEBAE方式では虚像が発生し、実際の信号と虚像とを区別することができないという問題点があった。
そこで、複数の信号が近接している場合であっても、虚像の発生を抑制し、実際の信号の検出精度を向上させることが可能な整相器および整相処理方法が望まれている。
本発明に係る整相器は、アレイを構成する複数のセンサに到来する信号を示すセンサ出力信号に基づき、前記アレイの周囲に存在する信号源に関する情報を取得する整相器であって、前記センサ出力信号に基づき、共分散行列を算出する共分散行列算出部と、前記共分散行列に基づき、空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに、前記信号部分空間または前記雑音部分空間に属する固有ベクトルを取得する固有値分解処理部と、前記センサ出力信号の到来方位を推定する方位推定処理部と、前記推定された方位と、前記信号部分空間に属する固有ベクトルとを対応付けるとともに、各方位に対応する適応重みを算出する重み算出部とを備え、前記重み算出部は、所定の方位に対応する適応重みを算出する際に、前記所定の方位に対応付けられた固有ベクトルの成分を除外して前記適応重みを算出するものである。
以上のように、本発明によれば、信号の到来方位を推定する方位推定処理を用いて、各方位および周波数に対応する適応重みを算出することにより、複数の信号が近接している場合であっても、虚像の発生を抑制し、実際の信号の検出精度を向上させることが可能になる。
EBAE方式において、固有ベクトルと信号が1対1で対応する場合について説明するための概略図である。 図1に示す状態における固有ベクトルおよびステアリングベクトルの内積と信号の方位との関係の一例を示す概略図である。 EBAE方式において、1つの固有ベクトルが複数の信号に対応する場合について説明するための概略図である。 図3に示す状態における固有ベクトルおよびステアリングベクトルの内積と信号の方位との関係の一例を示す概略図である。 実施の形態1に係る整相器の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態1における適応重みの算出処理について説明するための概略図である。 実施の形態1による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果について説明するための概略図である。 実施の形態2に係る整相器の構成の一例を示すブロック図である。 実施の形態2における適応重みの算出処理について説明するための概略図である。 実施の形態2による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果について説明するための概略図である。
実施の形態1.
以下、本実施の形態1に係る整相器について説明する。
本実施の形態1に係る整相器では、従来のEBAE方式を改善した、虚像の発生を抑制可能な改善型EBAE方式を用いた整相処理を行う。
[EBAE方式について]
本実施の形態1に係る整相器について説明する前に、本実施の形態1で用いられる改善型EBAE方式の前提となる従来のEBAE方式の概略について説明する。
EBAE方式は、センサ出力の共分散行列の固有値分解によって得られる固有ベクトルと、方位を示すとともに整相方位を決定するステアリングベクトルとを対応付ける。そして、このステアリングベクトルを用いて整相処理を行う際に、対応する固有ベクトルの情報を除外して重み計算を行う。なお、以下の説明においては、数式中で「R」などの文字の上に「^」がつけられた文字を「R^」と記載するものとする。
EBAE方式は、DMR(Dominant Mode Rejection)方式と称する整相処理をベースとしたものである。そのため、ここではまず、DMR方式による適応重みの算出方法について説明する。
(DMR方式による適応重みの算出)
アレイを構成するm番目のセンサ出力において、離散化されたセンサ出力をs[n]とし、センサ出力s[n]に対して離散フーリエ変換を適用した場合のk番目の周波数の出力をx[k]とする。ここで、「n」は時刻を表すインデックスを示す。
このとき、DMR方式におけるk番目の周波数の出力y[p,k]は、式(1)で表される。ここで、「p」は、適応整相を行う方位インデックスを示し、「[・]」は、共役転置の操作を示す。
Figure 2017138260
w[p,k]は、方位pおよび周波数kに対する適応重みを並べた行列であり、式(2)で定義される。また、x[k]は、周波数kの各センサ出力を並べた行列であり、式(3)で定義される。ここで、「M」は、アレイを構成するセンサ数を示す。また、「w[p,k]」は、M番目のセンサ出力に対して与えられる重みを示し、「x[k]」は、M番目のセンサにおけるk番目の周波数の出力を示す。
Figure 2017138260
Figure 2017138260
この適応重みw[p,k]は、アレイを構成するセンサ出力の共分散行列R[k]と、ステアリングベクトルv[p,k]に基づき、式(4)を用いて算出することができる。ここで、「R[k]−1」は、共分散行列R[k]の逆行列を示す。
Figure 2017138260
ところで、センサ出力の共分散行列R[k]を直接算出することは、一般的に困難である。そのため、この場合には、観測したセンサ出力を用いて瞬時の共分散行列を算出し、その結果を平均した共分散行列の推定値R^[k]を算出する。そして、この推定値R^[k]を式(4)における共分散行列R[k]の代わりに使用する。共分散行列の推定値R^[k]は、式(5)を用いて算出することができる。ここで、「J」は、平均する瞬時の共分散行列の数を示す。また、「j」は、推定の際に使用する瞬時の共分散行列に付与される番号を示す。
Figure 2017138260
次に、DMR方式においては、共分散行列の推定値R^[k]の逆行列を算出するが、このとき、固有値分解と称する処理と、信号部分空間および雑音部分空間の分離による適応重みの修正処理とを行う。
(固有値分解処理)
共分散行列の推定値R^[k]は、固有値分解処理により、式(6)に示すような行列の加算形式で表すことができる。ここで、「λ[k]」は、周波数kにおけるm番目の固有値を示す。また、「q[k]」は、λ[k]に対応する固有ベクトルを示す。
固有値λ[k]には、信号または雑音のパワーに関する情報が含まれている。また、固有ベクトルq[k]には、信号または雑音の到来方位に関する情報が含まれている。
Figure 2017138260
また、共分散行列の推定値R^[k]の逆行列R^[k]−1は、式(6)に基づき、式(7)のように算出することができる。
Figure 2017138260
(適応重みの修正処理)
次に、固有値分解の結果を示す式(6)は、信号部分空間および雑音部分空間の2つの空間に分離することができる。
信号部分空間は、M個の固有値のうち、D個の大きな固有値に対応する固有ベクトルによって形成される空間である。雑音部分空間は、M個の固有値のうち、残りの固有値に対応する固有ベクトルによって形成される空間である。
したがって、式(6)は、分離された信号部分空間および雑音部分空間の2つの空間を考慮することにより、式(8)のように表すことができる。式(8)における右辺の第1項は、信号部分空間の固有値および固有ベクトルの集まりを示し、第2項は、雑音部分空間の固有値および固有ベクトルの集まりを示す。
Figure 2017138260
なお、信号部分空間に属する固有値の数Dを推定する方法としては、例えば、AIC(Akaike information criterion)、MDL(Minimum description length)等の方法がある。これらの方法は、信号部分空間に属する固有値の数Dを推定する方法として周知の方法であり、本発明における特徴を示すものではないため、ここでは説明を省略する。また、以下では、上述した推定方法等を用いて信号部分空間に属する固有値の数Dが推定されたものとして説明する。
ここで、DMR方式においては、背景の雑音が空間的に白色であるものと仮定し、共分散行列を推定する際の収束速度を向上させるため、大きな固有値と当該固有値に対応する固有ベクトルのみを用いて共分散行列を表す。この場合、式(8)は、式(9)のように書き換えることができる。
Figure 2017138260
なお、「η」は、雑音パワーの推定値を示す。この雑音パワーの推定値ηは、例えば、式(10)に示すように、雑音部分空間における固有値の平均値とする方法が一般的に用いられている。
Figure 2017138260
そして、共分散行列の推定値R^[k]の逆行列R^[k]−1は、式(9)に基づき、式(11)および式(12)に示すように表すことができる。
Figure 2017138260
Figure 2017138260
したがって、式(4)および式(11)に基づき、正規化されていない適応重みwun[p,k]は、式(13)のように算出することができる。
Figure 2017138260
この式(13)に示す適応重みwun[p,k]は、正規化されていないため、正規化された適応重みwun[p,k]は、式(14)を用いて算出することができる。この場合には、「wun[p,k]v[p,k]=1」という無ひずみ条件を考慮する。
このようにして、DMR方式においては、適応重みw[p,k]を算出することができる。
Figure 2017138260
(EBAE方式による適応重みの算出)
次に、EBAE方式による適応重みの算出方法について説明する。
EBAE方式は、上述したDMR方式を改良した方式であり、このEBAE方式では、基本的には、式(14)に示すDMR方式による適応重みの算出方法に基づいて、適応重みを算出する。
このEBAE方式では、所定の固有ベクトルq[k](mは1〜Dの整数)に対して特定のステアリングベクトルを対応付ける。そして、このステアリングベクトルを用いて適応重みを算出する際に、ステアリングベクトルに対応付けられた固有ベクトルおよび固有値を、上述した式(14)から除外する。
このように、ステアリングベクトルに対応付けられた固有ベクトルおよび固有値を除外することにより、除外した固有ベクトルに対応する信号を整相器の出力から除去しないようにすることができる。
ここで、固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付ける方法について説明する。
適応重みを計算する際に用いられる固有ベクトルは、q[k]〜q[k]のD個だけ存在する。例えば、周波数kの固有ベクトルq[k]に対応するステアリングベクトルの方位インデックスpは、式(15)に基づき算出される。
Figure 2017138260
そして、式(15)により得られたステアリングベクトルv[p,k]へ整相するときの適応重みを算出する場合には、固有ベクトルq[k]を計算から除外する。言い換えると、方位インデックスp1を除くすべての方位へ整相する場合は、固有ベクトルq[k]を適応重みの算出に使用し、固有ベクトルq[k]で表される成分を除外する。
他の固有ベクトルq[k]〜q[k]に対しても同様の処理を適用し、各固有ベクトルに対して1つのステアリングベクトルを対応させる。そして、対応するステアリングベクトルを用いて適応重みを算出する場合には、このステアリングベクトルに対応する固有ベクトルを除外する。
このように、EBAE方式は、固有ベクトルとステアリングベクトルとを1対1で対応させるとともに、適応重みを算出する際に固有ベクトルを除外することにより、高い方位分解能を有することができる。また、様々な雑音の影響を受けた環境でのセンサ出力に対して、ロバストな整相結果を得ることができる。
図1は、EBAE方式において、固有ベクトルと信号が1対1で対応する場合について説明するための概略図である。
図1に示す例は、3個の受波器で構成されたアレイにおいて、2つの信号を受信した場合の信号のベクトル、雑音のベクトルおよび固有ベクトルのイメージを示している。この例では、1つの固有ベクトルが1つの信号に対応することが示されている。具体的には、固有ベクトルqが信号#1のベクトルx(以下、「信号ベクトルx」と適宜称する)に対応し、固有ベクトルqが信号#2のベクトルx(以下、「信号ベクトルx」と適宜称する)に対応している。
図1(a)に示すように、信号ベクトルxと信号ベクトルxとによって張られる平面空間を信号部分空間と称し、雑音のベクトルx(以下、「雑音ベクトルx」と適宜称する)によって張られる平面空間を雑音部分空間と称する。
また、この例では、信号ベクトルxと信号ベクトルxとが互いに直交関係にある。そのため、これらのベクトルxおよびベクトルxには、それぞれ1つの固有ベクトルが対応する。具体的には、信号ベクトルxに固有ベクトルqが対応し、信号ベクトルxに固有ベクトルqが対応する。
このように、信号ベクトルと固有ベクトルとが1対1で対応する場合、EBAE方式による適応整相は正常に機能する。そして、その結果、図1(b)に示すように、2つの信号#1および信号#2の方位に、信号レベルのピークが正しく現れる。
図2は、図1に示す状態における固有ベクトルおよびステアリングベクトルの内積と信号の方位との関係の一例を示す概略図である。
固有ベクトルqは信号#1に対応するため、図2(a)に示すように、信号#1の方位のステアリングベクトルが示す方位において、内積の値が最大となる。また、固有ベクトルqは信号#2に対応するため、図2(b)に示すように、信号#2の方位のステアリングベクトルが示す方位において、内積の値が最大となる。
この結果と上述した式(15)とに基づき、固有ベクトルqに対応する方位p、および固有ベクトルqに対応する方位pを算出することができる。
一方、1つの固有ベクトルが1つの信号に対応しない場合、EBAE方式による適応整相は、正常に機能しないという問題がある。
図3は、EBAE方式において、1つの固有ベクトルが複数の信号に対応する場合について説明するための概略図である。
図3に示す例は、図1の例と同様に、3個の受波器で構成されたアレイにおいて、2つの信号を受信した場合の信号のベクトル、雑音のベクトルおよび固有ベクトルのイメージを示している。
この例では、図3(a)に示すように、信号ベクトルxおよび信号ベクトルxによって張られる信号部分空間は、図1に示す信号部分空間と同一空間である。しかし、信号ベクトルxおよび信号ベクトルxがなす角が図1に示す場合の角度よりも狭い。これは、2つの信号の到来方位が図1の場合よりも近接していることを示す。
このように複数の信号の到来方位が近接する場合、共分散行列を固有値分解して得られる固有ベクトルは、図1に示す方向と異なる方向を示す。そのため、固有ベクトルqは、信号ベクトルxと信号ベクトルxとは異なる方位、例えば2つの信号ベクトルの中間方位を示すことになる。また、固有ベクトルqは、信号部分空間平面上において、固有ベクトルqと直交する方位を示すことになる。
このような場合、EBAE方式による適応整相の処理結果は、図3(b)に示すように、2つの信号#1および信号#2の方位とは異なる方位に、信号レベルのピークが生じてしまう。
図4は、図3に示す状態における固有ベクトルおよびステアリングベクトルの内積と信号の方位との関係の一例を示す概略図である。
図3に示す例において、固有ベクトルqは信号#1および信号#2の中間方位を示すステアリングベクトルに対応するため、図4(a)に示すように、信号#1および信号#2の中間方位のステアリングベクトルが示す方位において、内積の値が最大となる。その結果、固有ベクトルqは、信号#1および信号#2の中間方位と対応付けられることになる。
また、固有ベクトルqについても同様に、図4(b)に示すように、実際の信号が存在しない方位のステアリングベクトルが示す方位において、内積の値が最大となる。その結果、固有ベクトルqは、実際の信号が存在しない方位と対応付けられることになる。
このように、EBAE方式による適応整相では、複数の信号の到来方位が近接する場合に、実際の信号が存在しない方位から信号が到来するかのような、「虚像」が発生することになる。そのため、従来のEBAE方式では、実際の信号と虚像との区別ができない可能性がある。
上述したように、従来のEBAE方式による適応整相では、信号部分空間における固有ベクトルが示す方位と、信号の到来方位とが一致しない場合がある。EBAE方式では、信号部分空間における固有ベクトルが信号の到来方位を向いていることを前提として、固有ベクトルと当該固有ベクトルに最も近いステアリングベクトルとを対応付けている。
しかし、本来は、信号部分空間における固有ベクトルと、信号の到来方位に最も近いステアリングベクトルとを対応付ける必要がある。
そこで、本実施の形態1では、信号部分空間における固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付け、信号の到来方位を推定するための方位推定処理を行い、EBAE方式を改善した改善型EBAE方式を用いるようにしている。
固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付ける方法としては、例えば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)、ESPRIT(Estimation of Signal Parameter via Rotation Invariance Techniques)、線形予測法など、様々な方法を適用することができる。以下では、MUSICを用いた場合を例にとって、改善型EBAE方式について説明する。
[改善型EBAE方式を用いた整相器の構成]
本実施の形態1に係る整相器は、複数のセンサを有するアレイによって得られたセンサ出力に基づき、信号の到来方位を推定する方位推定処理を行うとともに、各方位および周波数に対応する適応重みを算出するようにしている。
図5は、本実施の形態1に係る整相器10の構成の一例を示すブロック図である。
整相器10は、乗算器1、共分散行列算出部2、固有値分解処理部3、MUSIC処理部4および適応重み算出部5を備えている。
この整相器10には、アレイを構成する複数のセンサによって得られる信号を示すセンサ出力x[k]が入力される。整相器10に入力されるセンサ出力x[k]は、各センサによって得られる信号に対して離散フーリエ変換を適用したものであり、k番目の周波数の出力を示す。
共分散行列算出部2は、整相器10に入力されたセンサ出力x[k]に基づき、共分散行列R[k]の推定値R^[k]を算出する。
固有値分解処理部3は、共分散行列算出部2で算出された共分散行列の推定値R^[k]に対して固有値分解処理を行い、信号部分空間の固有ベクトルおよび固有値、雑音部分空間の固有ベクトルおよび固有値を取得する。
MUSIC処理部4は、固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付け、信号の到来方位を推定する方位推定処理部である。MUSIC処理部4は、固有値分解処理部3で得られた雑音部分空間の固有ベクトルに基づき、信号の到来方位を推定する処理の一例であるMUSIC処理を行い、MUSIC出力を算出する。
なお、一般的なMUSIC処理は、センサ出力に基づく共分散行列の算出、共分散行列に対する固有値分解および後述するMUSIC処理のすべてを含むもののことをいうが、本実施の形態1では、共分散行列に対する固有値分解の後の処理をMUSIC処理と称して説明することとする。また、MUSIC処理部4におけるMUSIC処理の詳細については、後述する。
適応重み算出部5は、固有値分解処理部3で得られた信号部分空間の固有ベクトルおよび固有値、ならびに雑音部分空間の固有値と、MUSIC処理部4で算出されたMUSIC出力とに基づき、固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付けるとともに、各方位および周波数に対応する適応重みを算出する。なお、適応重み算出部5における適応重み算出処理の詳細については、後述する。
乗算器1は、整相器10に入力されたセンサ出力x[k]と、適応重み算出部5で得られた適応重みとを乗算し、整相器10としての出力を算出する。
[整相器の動作]
次に、整相器10の動作について説明する。
アレイを構成するセンサから整相器10に対してセンサ出力x[k]が入力されると、入力されたセンサ出力x[k]は、乗算器1および共分散行列算出部2に供給される。
共分散行列算出部2は、供給されたセンサ出力x[k]に基づき、共分散行列R[k]の推定値R^[k]を算出する。算出された共分散行列R[k]の推定値R^[k]は、固有値分解処理部3に供給される。
固有値分解処理部3は、共分散行列算出部2から供給された共分散行列R[k]の推定値R^[k]に基づき、固有値分解処理を行う。そして、信号部分空間および雑音部分空間の分離を行うとともに、信号部分空間に属する固有ベクトルおよび固有値、ならびに雑音部分空間に属する固有ベクトルおよび固有値を取得する。取得した雑音部分空間に属する固有ベクトルは、MUSIC処理部4に供給される。また、取得した信号部分空間に属する固有ベクトルおよび固有値、ならびに雑音部分空間に属する固有値は、適応重み算出部5に供給される。
MUSIC処理部4は、固有値分解処理部3から供給された雑音部分空間に属する固有ベクトルに基づき、信号の到来方位を推定するMUSIC処理を行い、MUSIC出力を算出する。算出されたMUSIC出力は、適応重み算出部5に供給される。
適応重み算出部5は、固有値分解処理部3から供給された信号部分空間に属する固有ベクトルおよび固有値、ならびに雑音部分空間に属する固有値と、MUSIC処理部4から供給されたMUSIC出力とに基づき、各方位および周波数に対応する適応重みを算出する。算出された適応重みは、乗算器1に供給される。
乗算器1は、センサから供給されたセンサ出力x[k]と、適応重み算出部5から供給された適応重みとを乗算する。これによって得られた出力は、整相器10の出力として外部に出力される。
次に、整相器10の各部で行われる処理の具体的な方法について説明する。
(共分散行列推定処理)
共分散行列算出部2で行われる共分散行列推定処理では、供給されたセンサ出力x[k]に基づき、式(5)を用いて共分散行列の推定値R^[k]を算出する。なお、共分散行列の具体的な推定方法は、DMR方式を用いた場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(固有値分解処理)
固有値分解処理部3で行われる固有値分解処理では、共分散行列算出部2から供給された共分散行列の推定値R^[k]に基づき、式(6)〜式(8)を用いて空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに固有値分解処理を行う。そして、信号部分空間の固有ベクトルおよび固有値、雑音部分空間の固有ベクトルおよび固有値を取得する。なお、固有値分解処理の具体的な方法は、DMR方式を用いた場合と同様であるため、ここでは説明を省略する。
(MUSIC処理)
MUSIC処理は、MUSIC処理部4で行われる。固有ベクトルによって張られる信号部分空間および雑音部分空間の2つの空間は、互いに直交補空間の関係にある。したがって、雑音部分空間に属する固有ベクトルは、信号部分空間に属するすべての固有ベクトルと直交関係となる。本実施の形態1では、このような固有ベクトル間の直交関係を、信号の到来方位の推定に利用する。ここでは、信号の到来方位を推定するための処理の一例として、MUSIC処理を用いる。
MUSIC処理では、固有値分解処理部3で得られた雑音部分空間の固有ベクトルに基づき、出力MUSIC[p,k]を算出する。このMUSICの出力MUSIC[p,k]は、式(16)に基づき算出することができる。このようなMUSICは、高い方位分解能で信号の方位にピークが出現する。すなわち、MUSICの出力は、ステアリングベクトルに関する情報を含んでいる。
また、このMUSIC処理では、式(16)に基づいて得られた結果を最大値で正規化した値をMUSIC出力とし、MUSIC処理部4から出力している。
Figure 2017138260
(適応重みの算出処理)
適応重みの算出処理は、適応重み算出部5で行われる。この適応重みの算出処理は、基本的には上述した従来のEBAE方式と同様に、式(15)に基づいて固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付ける。そして、式(14)を用いて適応重みを計算する。このとき、特定のステアリングベクトルを用いて適応重みを算出する際には、このステアリングベクトルに対応付けられた固有ベクトルおよび固有値を除外して計算する。
また、本実施の形態1では、固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積を算出した結果と、MUSIC処理部4から供給されるMUSIC出力とを組み合わせる。
図6は、本実施の形態1における適応重みの算出処理について説明するための概略図である。
図6に示す例は、図3に示す例と同様に、2つの信号#1および信号#2の到来方位が近接している場合を示す。
このような場合において、固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積を算出すると、図6(a)に示すように、内積の大きさが2つの信号#1および信号#2の中間方位において最大となる。これは、図4(a)に示す状態と同様である。
一方、MUSIC出力は、図6(b)に示すように、信号#1および信号#2の到来方位が近接した場合であっても、各信号の方位にピークが出現する。これにより、MUSIC出力に基づいてステアリングベクトルの情報を得ることができる。
ここで、本実施の形態1では、図6(a)に示す固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積の結果と、図6(b)に示すMUSIC出力の結果とを乗算する。2つの結果を乗算した場合には、図6(c)に示すように、2つの信号#1および信号#2の方位にピークが出現する。このように、2つの信号#1および信号#2の方位にピークが出現するのは、2つの信号#1および信号#2の中間方位における内積の大きさが最大となるものの、この中間方位におけるMUSIC出力が小さいためである。
そして、このようにMUSIC出力によって修正した内積の結果に対して、式(15)を用いてステアリングベクトルを対応付け、式(14)を用いて適応重みを算出する。
(各処理後の結果)
図7は、本実施の形態1による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果について説明するための概略図である。
図7において、図7(a)は、従来のEBAE方式を用いた場合の整相処理の結果を示し、図7(b)は、本実施の形態1による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果を示す。また、図7(c)は、複数のセンサで構成されたアレイに対する信号#1および信号#2の入射の様子を示す。
この例では、0dBのレベルの信号#1が方位90°である方位0(=cos90°)から入射すると共に、0dBのレベルの信号#2が方位85°である方位0.0872(=cos85°)から入射した場合を示す。
この場合、従来のEBAE方式を用いると、図7(a)に示すように、信号#1および信号#2の中間方位にピークが出現することがわかる。この中間方位に出現するピークが虚像である。また、従来のEBAE方式を用いた場合には、信号#1の方位の近傍にピークが出現するものの、このピークの方位は、信号#1の方位とは異なる方位となる。
これに対して、本実施の形態1による改善型EBAE方式を用いた場合には、図7(b)に示すように、信号#1および信号#2の方位のみにピークが出現し、図7(a)に示す虚像が抑制されている。
このように、本実施の形態1に係る整相器では、改善型EBAE方式を用いることにより、従来のEBAE方式を用いた場合に出現する虚像を抑制することができる。
以上のように、本実施の形態1に係る整相器10は、アレイを構成する複数のセンサに到来する信号を示すセンサ出力に基づき、共分散行列を算出する共分散行列算出部2と、共分散行列に基づき、空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに、信号部分空間または雑音部分空間に属する固有ベクトルおよび固有値を取得する固有値分解処理部3と、センサ出力の到来方位を推定する方位推定処理部としてのMUSIC処理部4と、推定された方位と、信号部分空間に属する固有ベクトルとを対応付けるとともに、各方位に対応する適応重みを算出する適応重み算出部5とを備え、適応重み算出部5は、所定の方位に対応する適応重みを算出する際に、所定の方位に対応付けられた固有ベクトルの成分を除外して適応重みを算出する。
このように、信号の到来方位を推定するMUSIC処理を用いて、各方位に対応する適応重みを算出するため、複数の信号が近接している場合であっても、虚像を抑制するとともに、実際の信号の検出精度を向上させることができる。
実施の形態2.
次に、本実施の形態2に係る整相器について説明する。
本実施の形態2では、適応重みを算出する方法が実施の形態1と相違する。
上述した実施の形態1では、従来のEBAE方式を用いた場合と比較して、虚像を抑制することができるが、図7(b)に示すように、信号#2のレベルが10dB程度劣化している。そこで、本実施の形態2では、このような信号レベルの劣化を改善するようにしている。
図8は、本実施の形態2に係る整相器20の構成の一例を示すブロック図である。
なお、以下の説明において、実施の形態1に係る整相器10と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
整相器20は、乗算器1、共分散行列算出部2、固有値分解処理部3、MUSIC処理部4および適応重み算出部15を備えている。なお、乗算器1、共分散行列算出部2、固有値分解処理部3およびMUSIC処理部4については、実施の形態1と同様であるため、その構成および動作についての説明を省略する。
適応重み算出部15は、実施の形態1における適応重み算出部5と同様に、式(15)に基づいて固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付ける。そして、式(14)によって適応重みを計算する。
ここで、本実施の形態2では、固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積を算出した結果と、MUSIC処理部4から供給されるMUSIC出力とを組み合わせて得られる結果に基づき、固有ベクトルを、最大となるピークが示す方位(MUSIC出力によって修正した内積の大きさが最大となる方位)に対応付けるとともに、2番目の大きさのピークが示す方位についても対応付ける。
図9は、本実施の形態2における適応重みの算出処理について説明するための概略図である。
図9に示す例は、図6に示す例と同様に、2つの信号#1および信号#2の到来方位が近接している場合を示す。
このような場合において、固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積を算出すると、図9(a)に示すように、内積の大きさが2つの信号#1および信号#2の中間方位において最大となる。これは、図4(a)および図6(a)に示す状態と同様である。
一方、MUSIC出力は、図9(b)に示すように、信号#1および信号#2の到来方位が近接した場合であっても、各信号の方位にピークが出現する。これにより、MUSIC出力に基づいてステアリングベクトルの情報を得ることができる。
本実施の形態2では、実施の形態1と同様に、図9(a)に示す固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積の結果と、図9(b)に示すMUSIC出力の結果とを乗算する。2つの結果を乗算した場合には、図9(c)に示すように、2つの信号#1および信号#2の方位にピークが出現する。
ここで、図9(a)において、修正前の内積の大きさは、1つのピークのみを示すが、このピークには、信号#1および信号#2に関する2つの情報が含まれている。そのため、図9(c)に示す内積とMUSIC出力との乗算値において、2つのピークが示す方位に対して固有ベクトルを対応付けることが有効である。
図10は、本実施の形態2による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果について説明するための概略図である。
図10において、図10(a)は、実施の形態1による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果を示す。この図は、図7(b)と同じ結果を示す。図10(b)は、本実施の形態2による改善型EBAE方式を用いた場合の整相処理の結果を示す。また、図10(c)は、複数のセンサで構成されたアレイに対する信号#1および信号#2の入射の様子を示す。
この例では、図7(c)に示す状態と同様に、0dBのレベルの信号#1が方位90°である方位0(=cos90°)から入射すると共に、0dBのレベルの信号#2が方位85°である方位0.0872(=cos85°)から入射した場合を示す。
この場合、実施の形態1による改善型EBAE方式を用いると、図10(a)に示すように、信号#1および信号#2の方位のみにピークが出現し、図7(a)に示す虚像が抑制されているものの、信号#2の方位に出現するピークのレベルが10dB程度低下していることがわかる。
これに対して、本実施の形態2による改善型EBAE方式を用いた場合には、図10(b)に示すように、信号#1および信号#2の方位に出現するピークのレベルは、共に設定した値である0dBとほぼ同等になっていることがわかる。
このように、本実施の形態2に係る整相器では、信号の到来方位を推定する方位推定処理を用いて、各方位および周波数に対応する適応重みを算出する際に、固有ベクトルを、内積とMUSIC出力との乗算値の大きさが最大となる方位に対応付けるとともに、2番目の大きさのピークが示す方位についても対応付ける。これにより、虚像を抑制することができるとともに、信号のレベルを実際のレベルと同等にすることができる。
以上のように、本実施の形態2に係る整相器20において、適応重み算出部15は、MUSIC処理によって得られた推定結果と、信号部分空間に属する固有ベクトルおよび方位を示すステアリングベクトルの内積の結果とを乗算し、信号部分空間に属する固有ベクトルを、内積とMUSIC出力との乗算値の大きさが最大となるピークが示す方位と対応付けるとともに、内積とMUSIC出力との乗算値の大きさがその次に大きいピークが示す方位とも対応付ける。これにより、実施の形態1と同様に、複数の信号が近接している場合であっても、虚像を抑制することができるとともに、実際の信号の検出精度をより向上させることができる。
以上、実施の形態1および実施の形態2について説明したが、本発明は、上述した実施の形態1および実施の形態2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
例えば、実施の形態1および実施の形態2では、MUSIC出力を算出する際に、式(16)を用いる場合について説明している。この式(16)では、雑音部分空間に属するすべての固有ベクトルを用いているが、これに限られず、例えば任意の数の固有ベクトルのみを使用して、MUSIC出力を算出してもよい。このようにMUSIC出力を算出する際に使用する雑音部分空間の固有ベクトルを減らすことにより、計算量を削減することができる。
ただし、使用する雑音部分空間の固有ベクトルを減らすと、MUSIC出力において各信号に対応しない方位にピークが生じる可能性がある。しかしながら、そのような場合であっても、信号部分空間に属する固有ベクトルとステアリングベクトルとの内積の結果と、MUSIC出力の結果とを乗算するため、内積の結果およびMUSIC出力の結果に共通していないピーク、または大きな値を抑制することができる。
また、実施の形態2では、MUSIC出力によって修正した内積の大きさが最大および2番目の大きさとなるピークの方位を1つの固有ベクトルに対応付けるように説明したが、これはこの例に限られない。例えば、さらに多くの信号が近接する場合には、1つの固有ベクトルに対して3つ以上の方位を対応付けるようにしてもよい。
さらに、実施の形態1および実施の形態2では、信号部分空間に属する固有ベクトルとステアリングベクトルとを対応付け、方位を推定する処理として、MUSIC処理を用いる場合について説明したが、これはこの例に限られない。例えば、信号部分空間に属する固有ベクトルとステアリングベクトルとの対応付けが可能であれば、Root−MUSIC、最小ノルム法、ESPRIT、線形予測法などの他の様々な方法を適用することができる。
1 乗算器、2 共分散行列算出部、3 固有値分解処理部、4 MUSIC処理部、5、15 適応重み算出部、10、20 整相器。

Claims (5)

  1. アレイを構成する複数のセンサに到来する信号を示すセンサ出力信号に基づき、前記アレイの周囲に存在する信号源に関する情報を取得する整相器であって、
    前記センサ出力信号に基づき、共分散行列を算出する共分散行列算出部と、
    前記共分散行列に基づき、空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに、前記信号部分空間または前記雑音部分空間に属する固有ベクトルを取得する固有値分解処理部と、
    前記センサ出力信号の到来方位を推定する方位推定処理部と、
    前記推定された方位と、前記信号部分空間に属する固有ベクトルとを対応付けるとともに、各方位に対応する適応重みを算出する重み算出部と
    を備え、
    前記重み算出部は、
    所定の方位に対応する適応重みを算出する際に、前記所定の方位に対応付けられた固有ベクトルの成分を除外して前記適応重みを算出する
    ことを特徴とする整相器。
  2. 前記方位推定処理部は、
    前記固有値分解処理部で得られた前記雑音部分空間に属する固有ベクトルに基づき、MUSIC処理によって前記センサ出力信号の到来方位を推定し、
    前記重み算出部は、
    前記MUSIC処理によって得られた推定結果と、前記信号部分空間に属する固有ベクトルおよび方位を示すステアリングベクトルの内積の結果とを乗算し、
    前記乗算の結果を示す乗算値の大きさが最大となるピークが示す方位と前記信号部分空間に属する前記固有ベクトルとを対応付ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の整相器。
  3. 前記重み算出部は、
    前記信号部分空間に属する前記固有ベクトルを、前記内積の大きさが最大となる前記ピークの次に大きい1または複数のピークが示す方位とさらに対応付ける
    ことを特徴とする請求項2に記載の整相器。
  4. 前記方位推定処理部は、
    前記固有値分解処理部で得られた前記雑音部分空間に属する固有ベクトルに基づき、MUSIC処理によって前記センサ出力信号の到来方位を推定し、
    前記重み算出部は、
    前記信号部分空間に属する固有ベクトルおよび方位を示すステアリングベクトルの内積を算出し、
    前記MUSIC処理によって得られた推定結果に含まれるピークが示す方位に最も近い方位にピークを有する前記内積の大きさに対応する固有ベクトルを選択し、
    選択された前記固有ベクトルと前記推定結果に含まれる前記ピークが示す方位とを対応付ける
    ことを特徴とする請求項1に記載の整相器。
  5. アレイを構成する複数のセンサに到来する信号を示すセンサ出力信号に基づき、前記アレイの周囲に存在する信号源に関する情報を取得する整相処理方法であって、
    前記センサ出力信号に基づき、共分散行列を算出する共分散行列算出ステップと、
    前記共分散行列に基づき、空間を信号部分空間および雑音部分空間に分離するとともに、前記信号部分空間または前記雑音部分空間に属する固有ベクトルを取得する固有値分解ステップと、
    前記センサ出力信号の到来方位を推定する方位推定ステップと、
    前記推定された方位と、前記信号部分空間に属する固有ベクトルとを対応付けるとともに、各方位に対応する適応重みを算出する重み算出ステップと
    を有し、
    前記重み算出ステップは、
    所定の方位に対応する適応重みを算出する際に、前記所定の方位に対応付けられた固有ベクトルの成分を除外して前記適応重みを算出する
    ことを特徴とする整相処理方法。
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