JP3596517B2 - 電波到来方向推定装置、電波到来方向推定方法及び指向性可変送受信装置 - Google Patents

電波到来方向推定装置、電波到来方向推定方法及び指向性可変送受信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアレーアンテナを用いた電波到来方向推定装置、電波到来方向推定方法およびこれらによる電波到来方向推定結果を基にアンテナ指向性を可変する指向性可変送受信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナを用いて、電波の到来方向を高精度で推定を行う一つの方法として、文献R.O.Schmidt、“Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”、IEEE Trans.,AP−34,pp.276−280(1986)に開示されているMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法がある。これは同一周波数帯の複数到来波の方向推定を高精度に行えるアルゴリズムである。
【0003】
以下、図19および図20を用いて、従来のMUSIC法を用いた電波到来方向推定装置について説明する。図19は電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図である。M個(ただし、M>1)のアンテナ素子91−1〜91−Mで受信した受信信号92−1〜92−Mは、各アンテナ素子91−1〜91−Mに接続された受信部93−1〜93−Mにおいて周波数変換され、その後に位相検波され直交するI、Q信号からなる復調信号94−1〜94−Mに変換される。各復調信号94−1〜94−Mはアナログ/ディジタル変換器(以下A/D変換器と呼ぶ。)95−1〜95−Mにより、サンプリングデータ96−1〜96−Mに変換され、方向推定処理部98にデータ出力する。
【0004】
図20は方向推定処理部98の構成を示すブロック図である。方向推定処理部98はサンプリングデータ96−1〜96−Mを用いてMUSIC法に基づく方向推定を行う。相関行列演算部99は、各アンテナ素子91−1〜91−Mで得られたサンプル時刻kΔT(ΔTはサンプリング間隔、kは自然数)におけるサンプリングデータx(k)、x(k)、...、x(k)に対し、(数1)で示される受信ベクトルx(k)を構成し、さらにサンプル時刻k=1〜Nまでの受信ベクトルx(k)を用いて(数2)の相関行列Rを求める。なお相関行列Rは(M×M)行列である。
【0005】
【数1】
Figure 0003596517
【0006】
【数2】
Figure 0003596517
【0007】
ここで、Tはベクトル転置、Hは複素共役転置を示す。固有値演算部100は相関行列Rの固有値を降順に算出した固有値λ〜λを求める。固有ベクトル演算部101は、固有値λ〜λに対応する固有ベクトルe〜eを算出する。到来波数がS個の場合、到来角評価部102は、(数3)の関係にある雑音固有ベクトル空間に属する(M−S)個の固有ベクトルを列ベクトルとする雑音固有空間行列E=[es+1、...、e]を用い、固有ベクトルe〜eが張る信号固有ベクトル空間Es=[e、...、e]とEが直交する性質を利用して到来角評価関数の評価値を求める。
【0008】
【数3】
Figure 0003596517
【0009】
すなわち、方位θに対するアレーアンテナの複素応答を表すa(θ)(以下、ステアリングベクトルと呼ぶ)におけるθを所定の角度範囲で可変した時のEとの直交性を評価する到来角評価関数F(θ)を(数4)のように定義する。これにより、θが到来角に等しくなる場合、理想的には到来角評価関数F(θ)は無限大の値をとることになる。従って、θを可変した時のF(θ)の計算結果のピーク方向を到来波の到来角評価値とする。
【0010】
【数4】
Figure 0003596517
【0011】
なお、一般に到来波数Sは未知であるため、到来波数を判定のため固有値の分布や文献M.Wax and T.Kailath,“Detection of Signals by Information Theoretic Criteria”,IEEE Trans.On Acoustics,Speech and Signal Processing,Vol.ASSP33(2),pp.387−392,February(1985)に記載されている信号個数判定基準を設け判定を行う。
【0012】
以上のMUSIC法のようなアレー受信信号の相関行列の固有値展開を行うアルゴリズムを用いて信号処理により高精度に到来方向推定する電波到来方向推定装置においては、大地や建物等の反射より生じる多重波間の相対的な遅延時間がシンボル長に比べ短い場合、多重波間の相関が高くなる。この場合、相関行列Rのランクが低下し、到来波を高精度に分離できなくなる。その対処方法として、文献Pillai et al, ”Forward/Backward Spatial Smoothing Techniques for Coherent Signal Identification”, IEEE Trans. on Acoustics, speech and signal processing, VOL.37, NO.1, 1989等に開示されている空間スムージング法が提案されている。
【0013】
また、以上の説明では、アレーアンテナによる空間サンプルにより到来方向推定を行うが、周波数サンプルした受信信号に対しも同様にMUSIC法を適用することができ、受信波の遅延時間の高分解能推定が可能である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
MUSIC法では(数4)に示す到来角評価関数におけるθの可変ステップΔθにより到来方向推定の精度が変化する。Δθを大きくするとθを可変する全範囲にわたる演算量は減るが、正確に到来方向評価関数のピーク方向を検出することができず精度が劣化する。逆にΔθを小さくすることで、正確に到来方向評価関数のピーク方向を検出することが可能となるが、θを可変する全範囲にわたる演算量は増大するという課題を有する。
【0015】
本発明は、到来方向の精度劣化を招くことなく、到来方向評価関数のトータルの演算量を削減する電波到来方向推定装置および電波到来方向推定方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、この電波到来方向推定装置および電波到来方向推定方法による電波到来方向の推定結果を利用して、アンテナ指向性制御を行うことで送受信品質改善を行う指向性可変送受信装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、雑音固有空間行列と雑音固有空間行列の共役転置行列の積を、上(または下)三角行列の積とすることで、到来方向推定を行う角度範囲全体での到来角評価関関数の演算量を低減することができ、MUSIC法の角度スイープにおいて、大きな計算負荷を占める到来角評価関数による到来角評価を大幅に削減することができ、到来方向推定装置の処理の高速化または装置構成の簡易化が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出する雑音固有空間行列演算部と、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0019】
本発明の請求項2に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線状に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出する雑音固有空間行列演算部と、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができるという作用を有する。
【0020】
本発明の請求項3に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができるという作用を有する。
【0021】
本発明の請求項4に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができるという作用を有する。
【0022】
本発明の請求項5に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し逆行列を算出する逆行列演算部と、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0023】
本発明の請求項6に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0024】
本発明の請求項7に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0025】
本発明の請求項8に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0026】
本発明の請求項9に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号のうち、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する相関ベクトル演算部と、前記相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0027】
本発明の請求項10に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号のうち1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する相関ベクトル演算部と、前記相関ベクトルに対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価から到来角を判定する到来角判定部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0028】
本発明の請求項11に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の相関行列演算部が、アンテナ素子間での相関演算ではなく、前記アンテナ素子の複素ディジタル信号の周波数伝達関数の離散値から周波数軸での相関行列を算出する到来方向推定装置で、到来波の遅延時間推定の演算処理を低減できるという作用を有する。
【0029】
本発明の請求項12に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の三角行列演算部が入力された行列Rをコレスキ分解により上三角行列Uの積UUに分解する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0030】
本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の三角行列演算部が入力された行列Rをコレスキ分解により下三角行列Lの積LLに分解する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0031】
本発明の請求項14に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の三角行列演算部が入力された行列を改訂コレスキ分解により上三角行列Uと対角行列Dの積UDUに分解する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0032】
本発明の請求項15に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の三角行列演算部が入力された行列を改訂コレスキ分解により下三角行列Lと対角行列Dの積LDLに分解する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0033】
本発明の請求項16に記載の発明は、請求項1から8のいずれかに記載の相関行列演算部が相関行列を算出し、さらに、相関行列に対し空間スムージング処理を施した行列を出力する到来方向推定装置で、相関波が存在した場合でも推定精度の劣化がなく演算量を低減できるという作用を有する。
【0034】
本発明の請求項17に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の複数のアンテナ素子が等間隔で直線状に構成されるアレーアンテナである場合、アレーアンテナのボアサイト方向(直線アレー配置方向に対する法線方向)を角度の基準として、到来角評価部は正(または負)の角度θに対して到来角評価関数の評価値を算出する正(または負)領域評価部と、前記正(または負)領域評価部の評価結果から、負(または正)の角度−θに対する到来角評価値に変換する負(または正)領域評価変換部とを有する到来方向推定装置で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項18に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載のアレーアンテナが直線アレー形状である場合、到来角評価部での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出する到来方向推定装置で、推定精度が劣化するエンドファイア方向の不必要な演算を削減する作用を有する。
【0036】
本発明の請求項19に記載の発明は請求項1から10のいずれかに記載の到来角判定部の出力として得られる到来角を中心に所定の角度範囲で、前記到来角評価部で演算する角度間隔よりも細かい角度間隔で到来角評価関数の評価値を算出する高精度到来角評価部と、前記高精度到来角評価部の評価値から高精度に到来角を判定する高精度到来角判定部とからなる到来方向推定装置で、到来角評価関数の演算量をいたずらに増大させることなく高精度の到来角推定を行うことができるという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項20に記載の発明は請求項1から10のいずれかに記載の受信部、A/D変換器の代わりに、各アンテナ素子から得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで中間周波数(IF)信号を出力するIF受信部と、前記IF信号をIFディジタル信号に変換するIF周波数A/D変換器と、前記IFディジタル信号をディジタル直交復調し、複素ディジタル信号を相関行列演算部に出力するディジタル直交検波部とを有する到来方向推定装置で、IF信号に対しデジタル処理による復調動作が可能となる作用を有する。
【0038】
本発明の請求項21に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出し、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0039】
本発明の請求項22に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出し、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価値から到来角を判定する到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0040】
本発明の請求項23に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列の逆行列を算出し、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0041】
本発明の請求項24に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列の逆行列を算出し、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0042】
本発明の請求項25に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し逆行列を算出し、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0043】
本発明の請求項26に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列の逆行列を算出し、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0044】
本発明の請求項27に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0045】
本発明の請求項28に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0046】
本発明の請求項29に記載の発明は、複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出し、前記相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0047】
本発明の請求項30に記載の発明は、複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出し、前記相関ベクトルに対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定する電波到来方向推定方法で、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる作用を有する。
【0048】
本発明の請求項31に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有する指向性可変受信装置で、高い信号対雑音レベル比の受信信号が得られるという作用を有する。
【0049】
本発明の請求項32に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタアンテナから周波数変換後に変調信号を送信する送信部とを有する指向性可変受信装置で、送信電力の低減及び不要方向へ電波を放射しないため他局間干渉を低減できる作用を有する。
【0050】
本発明の請求項33に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、復調動作を行う受信部と、送信動作を行う送信部と、前記セクタスイッチに接続され、前記選択されたセクタアンテナからの出力信号を前記受信部に入力させるか、または前記送信部からの送信信号を前記選択されたセクタアンテナから出力させる送受切換器とを有する指向性可変受信装置で、高品質な通信が可能となる作用を有する。
【0051】
本発明の請求項34に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の電波到来方向推定装置と、前記電波到来方向推定装置で得られた到来方向に対してアレーアンテナの指向性が向くように、復調信号に対し複素重み付け加算処理を行う指向性制御部と、前記指向性制御部の出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有する指向性可変受信装置で、高い信号対雑音レベル比の受信信号が得られるという作用を有する。
【0052】
本発明の請求項35に記載の発明は、請求項1から10のいずれかに記載の電波到来方向推定装置と、送信信号を生成する送信部と、前記送信信号を前記電波到来方向推定装置で得られた到来方向に対してアンテナ指向性が向くように、送信信号に対し複素重み付け加算処理を行う指向性制御部と、前記指向性制御部の出力を周波数変換する送信部と、前記送信部の出力を送信するアレーアンテナとを有する指向性可変受信装置で、送信電力の低減及び不要方向へ電波を放射しないため他局間干渉を低減できる作用を有する。
【0053】
以下、本発明の実施の形態について、図面と共に詳細に説明する。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明による電波到来方向推定装置の第1の実施の形態における構成を示すブロック図である。
【0055】
アレーアンテナはM個(ただし、M>1)のアンテナ素子1−1〜1−Mから構成される。各アンテナ素子1−1〜1−Mで受信した高周波信号2−1〜2−Mは、各アンテナ素子1−1〜1−Mに接続された受信部3−1〜3−Mにおいて周波数変換された後に直交復調され、直交するI、Q信号からなる復調信号4−1〜4−Mに変換される。各復調信号4−1〜4−MはA/D変換器5−1〜5−Mにより、I信号及びQ信号それぞれに対しサンプリングされ、I信号を実数部、Q信号を虚数部として表現される複素ディジタル信号6−1〜6−Mに変換される。
【0056】
相関行列演算部7は、複素ディジタル信号6−1〜6−Mからそれぞれ得られるサンプル時刻kΔT(ただし、kは自然数、ΔTはサンプリング間隔)における複素ディジタル信号x(k)、x(k)、...、x(k)から(数1)で示される受信ベクトルx(k)を構成し、さらに、所定Nサンプル期間毎に蓄積した受信ベクトルx(k)を用いて(数2)の相関行列Rを求める。この場合、相関行列Rは(M×M)行列となる。
【0057】
方向推定処理部12は、雑音固有空間行列演算部8、三角行列演算部9、到来角評価部10および到来角判定部11から構成される。
【0058】
雑音固有空間行列演算部8は、相関行列演算部7で得られた相関行列Rに対して固有値分解を行い、得られた固有値を降順に表した固有値λ〜λと、それに対応する固有ベクトルをe〜eとして表す。到来波数がS個の場合、(数3)の関係にある雑音部分空間に属する(M−S)個の固有ベクトルを列ベクトルとする雑音固有空間行列E=[es+1、...、e]を出力する。
【0059】
三角行列演算部9は、(数5)の関係にある雑音固有空間行列と雑音固有空間行列を複素共役転置した行列との積Uを求める。
【0060】
【数5】
Figure 0003596517
【0061】
次に、行列Uは(M×M)の正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数6)で表せる下三角行列Lを求める。
【0062】
【数6】
Figure 0003596517
【0063】
到来角評価部10は、(数4)の到来角評価関数に対し、下三角行列Lを用いて、(数7)のように変形した評価関数を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、||x||はベクトルxのノルムを表す。
【0064】
【数7】
Figure 0003596517
【0065】
ここで、a(θ)はアレーアンテナの正規化されたステアリングベクトルである。Lは下三角行列であるため、下三角部分の要素以外は0であることから、(数4)の到来角評価関数に対して、(M+3)/[2(M−S+1)]の積和演算量となるため、到来波数SがS<(M−1)/2でアレーば、演算量が低減できる。
【0066】
図2は到来波数S=1の場合の(数4)による到来角評価関数に対する(数7)の到来角評価関数の演算量を示す。図2より、アンテナ素子数の増加に伴い本発明における(数7)による演算削減量も増加していることがわかる。例えば、アンテナ素子数が6の場合、従来方法の75%程度の演算量となる。
【0067】
図3はコレスキ分解の演算量に対する(数4)による1つの到来角θiに対するF(θi)の演算量の関係を示している。図3より、コレスキ分解の演算量は、アンテナ素子数20であっても、5つの到来角に対する到来角評価関数の演算量にも満たない。通常、これ以上の回数にわたり到来角評価を行うため、コレスキ分解による演算量増大は、(数7)による角度スイープする全範囲での到来角評価の演算削減量に比べるとはるかに小さい量とみなすことができる。
【0068】
到来角判定部11は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0069】
以上のように本実施の形態では、三角行列演算部9で雑音固有空間行列と雑音固有空間行列を複素共役転置した行列との積Uに対してコレスキ分解をして得られる下三角行列Lを用いて、(数4)で与えられる到来角評価関数に等価な式変形を行って得られる(数7)の到来角評価関数F(θ)を用いることで、到来波数SがS<(M−1)/2の条件下で到来角評価の際の演算量を削減することができる。
【0070】
なお、以上の説明では、MUSIC法に基づく方向推定の例を示したが、受信波の遅延時間の高分解能推定を行う場合の周波数サンプルした受信信号に対しても(数4)と同様な評価関数を用いるため、本実施の形態での手法をそのまま適用することができる。
【0071】
また、(数6)でコレスキ分解により下三角行列を求めたが、上三角行列を求めても同等な効果が得られるのは明らかである。またこれは、以降の実施の形態でも同様なことがいえる。
【0072】
また、三角行列演算部9は、改訂コレスキ分解を用いて、(数8)で表せる下三角行列L及び対角行列Dを求めてもよい。改訂コレスキ分解を用いる場合、平方根の演算が不要になることから、計算時間の短縮化も図れる。
【0073】
【数8】
Figure 0003596517
【0074】
この場合、到来角評価関数F(θ)は、(数9)で表せる。ただし、b、dは各々(数10)、(数11)に示すベクトルの要素である。ここでは下三角行列を用いたが、上三角行列を用いても同等な効果が得られるのは明らかである。またこれは、以降の実施の形態でも同様なことがいえる。
【0075】
【数9】
Figure 0003596517
【0076】
【数10】
Figure 0003596517
【0077】
【数11】
Figure 0003596517
【0078】
また、相関行列演算部7において、相関波の抑圧のために相関行列に対し空間スムージング処理を加えることも可能であり、この場合、相関行列の代わりに、空間スムージングを施した相関行列を方向推定処理部12への入力とすることで、本実施の形態の手法を同様に適用することができる。
【0079】
また、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合、文献M.Haardt and J.A.Nossek,“Unitary ESPRIT:How to Obtain Increased Estimation Accuracy with a Reduced Comutational Burden,” IEEE Trans.Signal Processing,vol.43,No.5,pp.1232−1242(1995)に掲載されているように、ステアリングベクトルの位相の共役中心対称性を用いて、(数12)に示すようにユニタリ行列Qを用いてステアリングベクトルを実数化する手法が適応できる。なお、a(θ)は位相中心をアレー中心においた場合のステアリングベクトルである。
【0080】
【数12】
Figure 0003596517
【0081】
この場合、方向推定処理部12において、相関行列Rの代わりに、Q RQの実部を用い、ステアリングベクトルa(θ)の代わりに、b(θ)を用いることで、本実施の形態と同様な手法を適用できる。
【0082】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、エンドファイア方向の推定精度は劣化するため、到来角評価部10での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0083】
また、本実施の形態での受信部3、A/D変換器5の代わりに、各アンテナ素子から得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することでIF信号を出力するIF受信部と、IF信号をディジタル信号に変換するIF周波数A/D変換器と、ディジタル信号をディジタル直交復調し、複素ディジタル信号を相関行列演算部に出力するディジタル直交検波部とを有する構成としてもよい。これは、以降の実施の形態でも同様に適応できる。
【0084】
(実施の形態2)
図4は実施の形態1における方向推定処理部12の他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。
【0085】
方向推定処理部12aに相関行列Rが入力されるまでの動作は実施の形態1と同様である。逆行列演算部20は相関行列Rの逆行列R−1を算出する。
【0086】
三角行列演算部21は、逆行列R−1が正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数13)で表せる下三角行列Lを求める。
【0087】
【数13】
Figure 0003596517
【0088】
到来角評価部22は、文献J.Capon,“High−Resolution Frequency−Wavenumber Spectrum Analysis.”Proc.IEEE,57(8)、pp.1408−1418、1969に記載されている(数14)で表せられるCapon法による到来角評価関数に対し、(数13)の下三角行列Lを用いて、(数15)のように変形した評価関数を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、||x||はベクトルxのノルムを表す。
【0089】
【数14】
Figure 0003596517
【0090】
【数15】
Figure 0003596517
【0091】
ここで、a(θ)はアレーアンテナの正規化されたステアリングベクトルである。Lは下三角行列であるため、下三角部分の要素以外は0であることから、従来のCapon法の評価関数である(数14)の到来角評価関数に対し、(数15)による到来角評価関数は(M+3)/[2(M+1)]の積和演算の低減が可能である。また、コレスキ分解の演算量に対する(数15)による、1つの到来角θiに対するFc(θi)の演算量の関係は、実施の形態1で説明したものと同様の関係をもつため、コレスキ分解による演算量増大は、(数15)による全角度範囲での到来角評価の演算削減量に比べると十分に小さい量とみなすことができる。
【0092】
到来角判定部23は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0093】
以上のように本実施の形態では、従来の(数14)のCapon法による到来角評価関数に比べ、三角行列演算部21で相関行列の逆行列R−1に対してコレスキ分解をして得られる下三角行列Lを用いて、(数14)で与えられる到来角評価関数に等価な式変形を行って得られる(数15)の到来角評価関数Fc(θ)を用いることで、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる。
【0094】
なお、以上の説明では、Capon法に基づく方向推定の例を示したが、受信波の遅延時間の高分解能推定を行う場合の周波数サンプルした受信信号に対しても(数14)と同様な評価関数を用いるため、本実施例での手法をそのまま適用することができる。
【0095】
また、相関行列演算部7において、相関波の抑圧のために相関行列に対し空間スムージング処理を加えることも可能であり、この場合、相関行列の代わりに、空間スムージングを施した相関行列を方向推定処理部への入力とすることで、本実施の形態の手法を同様に適用することができる。
【0096】
また、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合、ステアリングベクトルの位相の共役中心対称性を用いて、(数12)に示すようにユニタリ行列Qを用いてステアリングベクトルを実数化する手法が適応できる。なお、a(θ)は位相中心をアレー中心においた場合のステアリングベクトルである。この場合、方向推定処理部12aにおいて、相関行列Rの代わりに、Q RQの実部を用い、ステアリングベクトルa(θ)の代わりに、b(θ)を用いることで、本実施の形態と同様な手法を適用できる。
【0097】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、ボアサイト方向の推定精度は劣化するため、到来角評価部22での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0098】
また、三角行列演算部21は、改訂コレスキ分解を用いて、下三角行列L及び対角行列Dを求めてもよい。改訂コレスキ分解を用いる場合、平方根の演算が不要になることから、計算時間の短縮化も図れる。
【0099】
(実施の形態3)
図5は実施の形態1における方向推定処理部12の更に他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。方向推定処理部12bに相関行列Rが入力されるまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0100】
三角行列演算部24は、相関行列Rが正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数16)で表せる下三角行列Lを求める。
【0101】
【数16】
Figure 0003596517
【0102】
逆行列演算部25は、下三角行列Lの逆行列L−1を算出する。
【0103】
到来角評価部26は、(数14)で表されるCapon法による到来角評価関数に対し、(数16)の下三角行列Lを用いて、(数17)のように変形した到来角評価関数Fc(θ)を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、||x||はベクトルxのノルムを表す。
【0104】
【数17】
Figure 0003596517
【0105】
ここで、a(θ)はアレーアンテナの正規化されたステアリングベクトルである。Lは下三角行列であるため、下三角部分の要素以外は0であることから、従来のCapon法の評価関数である(数14)の到来角評価関数に対し、(数17)による到来角評価関数は(M+3)/[2(M+1)]の積和演算の低減が可能である。また、コレスキ分解の演算量に対する(数16)による、1つの到来角θiに対するFc(θi)の演算量の関係は、実施の形態1で説明したものと同様の関係をもつため、コレスキ分解による演算量増大は、(数17)による全角度範囲での到来角評価の演算削減量に比べるとはるかに小さい量とみなすことができる。
【0106】
到来角判定部27は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0107】
以上のように本実施の形態では、従来の(数14)のCapon法による到来角評価関数に比べ、三角行列演算部24で相関行列Rに対してコレスキ分解をして得られる下三角行列Lを用いて、(数14)で与えられる到来角評価関数に等価な式変形を行って得られる(数17)の到来角評価関数Fc(θ)を用いることで、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる。
【0108】
なお、以上の説明では、Capon法に基づく方向推定の例を示したが、受信波の遅延時間の高分解能推定を行う場合の周波数サンプルした受信信号に対しても(数14)と同様な評価関数を用いるため、本実施例での手法をそのまま適用することができる。
【0109】
また、相関行列演算部7において、相関波の抑圧のために相関行列に対し空間スムージング処理を加えることも可能であり、この場合、相関行列の代わりに、空間スムージングを施した相関行列を方向推定処理部12aへの入力とすることで、本実施の形態の手法を同様に適用することができる。
【0110】
また、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合、ステアリングベクトルの位相の共役中心対称性を用いて、(数12)に示すようにユニタリ行列Qを用いてステアリングベクトルを実数化する手法が適応できる。なお、a(θ)は位相中心をアレー中心においた場合のステアリングベクトルである。この場合、方向推定処理部12bにおいて、相関行列Rの代わりに、Q RQの実部を用い、ステアリングベクトルa(θ)の代わりに、b(θ)を用いることで、本実施の形態と同様な手法を適用できる。
【0111】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、ボアサイト方向(直線アレー配置方向に対する法線方向)の推定精度は劣化するため、到来角評価部26での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0112】
また、三角行列演算部24は、改訂コレスキ分解を用いて、(数18)で表せる下三角行列L及び対角行列Dを求めてもよい。改訂コレスキ分解を用いる場合、平方根の演算が不要になることから、計算時間の短縮化も図れる。
【0113】
【数18】
Figure 0003596517
【0114】
この場合、到来角評価関数は、(数19)で表せる。ただし、b、dは各々(数20)、(数21)に示すベクトルの要素である。ここでは下三角行列を用いたが、上三角行列を用いても同等な効果が得られるのは明らかである。またこれは、以降の実施の形態でも同様なことがいえる。
【0115】
【数19】
Figure 0003596517
【0116】
【数20】
Figure 0003596517
【0117】
【数21】
Figure 0003596517
【0118】
(実施の形態4)
図6は実施の形態1における方向推定処理部12の更に他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。方向推定処理部12cへ相関行列Rが入力されるまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0119】
三角行列演算部28は、相関行列Rが正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数22)で表せる下三角行列Lを求める。
【0120】
【数22】
Figure 0003596517
【0121】
到来角評価部29は、文献M.S.Bartlett.“SmoothingPeriodograms from Time Series with Continuous Spectra.”,Nature,161,pp.686−687,(1948)に記載されている(数23)で表されるフ−リエ法による到来角評価関数F(θ)に対し、(数22)の下三角行列Lを用いて、(数24)のように変形した評価関数を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、||x||はベクトルxのノルムを表す。
【0122】
【数23】
Figure 0003596517
【0123】
【数24】
Figure 0003596517
【0124】
ここで、a(θ)はアレーアンテナの正規化されたステアリングベクトルである。Lは下三角行列であるため、下三角部分の要素以外は0であることから、従来のフ−リエ法の評価関数である(数23)の到来角評価関数に対して、(数24)による到来角評価関数は積和演算量を(M+3)/[2(M+1)]に低減することが可能である。また、コレスキ分解による演算量増大は、実施の形態1で説明したものと同様の関係をもつため、(数24)による全角度範囲での到来角評価の演算削減量に比べると十分に小さい量となる。
【0125】
到来角判定部30は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基にピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0126】
以上のように本実施の形態では、従来の(数23)のフ−リエ法による到来角評価関数に比べ、三角行列演算部で相関行列に対してコレスキ分解をして得られる下三角行列Lを用いて、(数23)で与えられる到来角評価関数に等価な式変形を行うことで得られる(数24)の到来角評価関数FF2を用いることで、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる。
【0127】
また、相関行列演算部7において、相関波の抑圧のために相関行列に対し空間スムージング処理を加えることも可能であり、この場合、相関行列の代わりに、空間スムージングを施した相関行列を方向推定処理部12cへの入力とすることで、本実施の形態の手法を同様に適用することができる。
【0128】
また、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合、ステアリングベクトルの位相の共役中心対称性を用いて、(数12)に示すようにユニタリ行列Qを用いてステアリングベクトルを実数化する手法が適応できる。なお、a(θ)は位相中心をアレー中心においた場合のステアリングベクトルである。この場合、方向推定処理部12cにおいて、相関行列Rの代わりに、Q RQの実部を用い、ステアリングベクトルa(θ)の代わりに、b(θ)を用いることで、本実施の形態と同様な手法を適用できる。
【0129】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、ボアサイト方向の推定精度は劣化するため、到来角評価部30での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0130】
また、三角行列演算部28は、改訂コレスキ分解を用いて、(数18)で表せる下三角行列L及び対角行列Dを求めてもよい。改訂コレスキ分解を用いる場合、平方根の演算が不要になることから、計算時間の短縮化も図れる。この場合、到来角評価関数は、(数25)で表せる。ただし、b、dは各々(数26)、(数27)に示すベクトルの要素である。ここでは下三角行列を用いたが、上三角行列を用いても同等な効果が得られるのは明らかである。
【0131】
【数25】
Figure 0003596517
【0132】
【数26】
Figure 0003596517
【0133】
【数27】
Figure 0003596517
【0134】
(実施の形態5)
図7は実施の形態1における方向推定処理部12の更に他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。複素ディジタル信号6が得られるまでの動作は実施の形態1と同様である。
【0135】
相関ベクトル演算部31は、複素ディジタル信号6のうち、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する。以下では基準アンテナをアンテナ素子1−1とした場合を説明する。各アンテナ素子1−1〜1−Mで得られたサンプル時刻t+kΔT(ただし、tは任意時刻、ΔTはサンプリング間隔、kは自然数)におけるサンプリングデータx(k)、x(k)、...、x(k)に対し、サンプル時刻k=1〜Nまでのスナップショットデータを用いて(数28)で表せるM次元の相関ベクトルRvを求める。ここで、*は複素共役を示す。
【0136】
【数28】
Figure 0003596517
【0137】
到来角評価部32は、(数29)に示した評価関数を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、||x||はベクトルxのノルムを表す。
【0138】
ここで、a(θ)はアレーアンテナの正規化されたステアリングベクトルである。
【0139】
【数29】
Figure 0003596517
【0140】
到来角判定部33は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基にピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0141】
以上のように本実施の形態では、従来の(数23)のフ−リエ法に比べ、相関行列の代わりに相関ベクトルを用いて到来角評価を行うため、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる。
【0142】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、ボアサイト方向の推定精度は劣化するため、到来角評価部32での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0143】
(実施の形態6)
図8は実施の形態1における方向推定処理部12の更に他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。なお、本実施の形態はアレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合を扱う。
【0144】
複素ディジタル信号6が得られるまでの動作は実施の形態1と同様である。相関ベクトル演算部34は、複素ディジタル信号6のうち、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する。ここで基準アンテナをアンテナ素子1−1とした場合、各アンテナ素子1−1〜1−Mで得られたサンプル時刻t+kΔT(ただし、tは任意時刻、ΔTはサンプリング間隔、kは自然数)におけるサンプリングデータx(k)、x(k)、...、x(k)に対し、サンプル時刻k=1〜Nまでのスナップショットデータを用いて(数28)で表せるM次元の相関ベクトルRvを求める。ここで、*は複素共役を示す。
【0145】
アレーアンテナが等間隔直線アレー形状であることから、ステアリングベクトルの位相の共役中心対称性を用いて、(数12)に示すようにユニタリ行列Qを用いてステアリングベクトルを実数化する手法が適応できる。なお、a(θ)は位相中心をアレー中心においた場合のステアリングベクトルである。ユニタリ変換部35は、(数30)、(数31)に示すように相関ベクトルRvに対し、ユニタリ変換を行う。ただし、qi,jは行列Qのi行j列の成分、real(x)はベクトルxの各要素の実数成分からなるベクトルを表す。ただし、素子数Mが偶数のとき、m=M/2+1、奇数のとき、m=(M+1)/2+1である。
【0146】
【数30】
Figure 0003596517
【0147】
【数31】
Figure 0003596517
【0148】
到来角評価部36は、(数32)に示した評価関数を用いて、所定の角度ステップΔθ毎に到来角評価を行う。ただし、実数化ステアリングベクトルb(θ)は(数12)を用いてステアリングベクトルa(θ)を実数化して求められる。また、b(θ)は実数化ステアリングベクトルb(θ)の第k番目の要素である。
【0149】
【数32】
Figure 0003596517
【0150】
到来角判定部37は、Δθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基にピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0151】
以上のように本実施の形態では、従来の(数13)のフ−リエ法に比べ、相関行列の代わりに相関ベクトルを用いることができ、さらにステアリングベクトルを実数化して到来角評価を行うため、到来角評価の際の演算量を大幅に削減することができる。
【0152】
また、アレーアンテナが直線アレー形状である場合、ボアサイト方向の推定精度は劣化するため、到来角評価部37での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することで、演算量を低減することも可能である。
【0153】
(実施の形態7)
図9は実施の形態1における到来角評価部10の別な構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。本実施の形態ではアレーアンテナ1のアンテナ素子1−1〜1−Mが等間隔直線配列であることを前提条件とする。到来角評価部10aへ三角行列Lが入力されるまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0154】
到来角評価部10aは、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状であることから、アレーアンテナのボアサイト方向を角度基準(θ=0)として、正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する正領域評価部40と、正領域評価部の評価結果から、もう一方の負領域(−90°≦θ≦0°)の到来角評価値に変換する負領域評価変換部41とから構成される。
【0155】
アレーアンテナが等間隔直線アレー形状である場合、ステアリングベクトルa(θ)は(数33)で表される複素ベクトルであり、θに関して、実部は偶関数、虚数部は奇関数となる。この性質を利用すると、(数7)は、0≦θ≦90°を満たすθに対し(数34)のように変形することができる。ここで、Re(x)およびIm(x)は、それぞれベクトルまたは行列xの各要素の実部からなるベクトルおよび虚数部からなるベクトル、dはアンテナ素子間隔、λはキャリア周波数の波長である。
【0156】
【数33】
Figure 0003596517
【0157】
【数34】
Figure 0003596517
【0158】
ただし、ベクトルc1、c2、c3、c4は(数35)から(数38)で示される。
【0159】
【数35】
Figure 0003596517
【0160】
【数36】
Figure 0003596517
【0161】
【数37】
Figure 0003596517
【0162】
【数38】
Figure 0003596517
【0163】
正領域評価部40は、上記の関係を利用して、所定の角度ステップΔθで正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する。0≦θ≦90°を満たすθに対し、まず、(数35)から(数38)で示されるベクトルc1、c2、c3、c4を計算し、その後、(数39)に従い、正領域到来角評価値とする。そして、ベクトルc1、c2、c3、c4それぞれの計算結果を負領域評価変換部41に出力する。
【0164】
【数39】
Figure 0003596517
【0165】
負領域評価変換部41は、正領域評価部40の出力であるベクトルc1、c2、c3、c4を用いて、(数40)で示される計算式に従って、−θ方向の到来角評価値を算出する。
【0166】
【数40】
Figure 0003596517
【0167】
到来角判定部11は、到来角評価部10aからのΔθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基にピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0168】
以上のように本実施の形態では、等間隔直線アレー形状のアレーアンテナを用いる場合、正領域の到来角評価値を得る際の計算値であるベクトルc1、c2、c3、c4を利用して、負領域の到来角評価値に変換することができ、実施の形態1での到来角評価の際の演算量をほぼ半減することができる。
【0169】
なお、本実施の形態では実施の形態1における(数7)の到来角評価関数を用いて説明を行ったが、等間隔直線アレー形状のアレーアンテナを用いる場合、他の実施の形態におけるステアリングベクトルa(θ)を用いる到来角評価関数にも同様な式変形が可能であり、本実施の形態のように正領域の到来角評価値を得る際の計算値であるベクトルc1、c2、c3、c4を利用して、負領域の到来角評価値に変換することができ、到来角評価の際の演算量を従来法に比べほぼ半減することができるができる。
【0170】
(実施の形態8)
図10は実施の形態1における方向推定処理部12の別な構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。本実施の形態ではアレーアンテナ1のアンテナ素子1−1〜1−Mが等間隔直線配列であることを前提条件とする。相関行列演算部7により相関行列Rが出力されるまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0171】
ユニタリ変換部42は、位相中心を直線アレーの中心として表現したときのステアリングベクトルを実数化できるユニタリ行列Qを用いて、相関行列Rを(数41)のように変換する。ここで、real(A)は行列Aの各要素の実部からなる要素の行列を表す。
【0172】
【数41】
Figure 0003596517
【0173】
雑音固有空間行列演算部8aは、ユニタリ変換部42で得られたユニタリ変換相関行列Rrに対して固有値分解を行い、得られた固有値を降順に表した固有値λ〜λと、それに対応する固有ベクトルをe〜eとして表す。到来波数がS個の場合、(数3)の関係にある雑音部分空間に属する(M−S)個の固有ベクトルを列ベクトルとする雑音固有空間行列E=[es+1、...、e]を出力する。
【0174】
三角行列演算部9aは、(数5)の関係にある雑音固有空間行列と雑音固有空間行列を複素共役転置した行列との積Uを求める。次に、行列Uは正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数6)で表せる下三角行列Lを求める。
【0175】
到来角評価部10aは、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状であることから、アレーアンテナのボアサイト方向を角度基準(θ=0)として、正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する正領域評価部40aと、正領域評価部の評価結果から、もう一方の負領域(−90°≦θ≦0°)の到来角評価値に変換する負領域評価変換部41aとから構成される。位相中心を直線アレーの中心としたステアリングベクトルa(θ)をユニタリ行列Qで変換した場合、(数42)で表さる実数ベクトルb(θ)となる。
【0176】
【数42】
Figure 0003596517
【0177】
ここでμは(数43)で表せる。ただし、dはアンテナ素子間隔、λはキャリア周波数の波長である。
【0178】
【数43】
Figure 0003596517
【0179】
(数42)より、アンテナ素子数がM=2mの場合、b(θ)の要素1〜mに関して偶関数、要素m+1〜2mは奇関数となる。この性質を利用すると、(数7)は、0≦θ≦90°を満たすθに対し(数44)のように変形することができる。ただし、c1、c2、beven(θ),bodd(θ)は(数45)から(数48)で示される。
【0180】
【数44】
Figure 0003596517
【0181】
【数45】
Figure 0003596517
【0182】
【数46】
Figure 0003596517
【0183】
【数47】
Figure 0003596517
【0184】
【数48】
Figure 0003596517
【0185】
アンテナ素子数がM=2m+1の場合も同様に、b(θ)の要素1〜mに関して偶関数、要素m+2〜Mは奇関数となる。この性質を利用すると、(数7)は、0≦θ≦90°を満たすθに対し、(数44)のように変形することができる。ただし、この場合のbeven(θ),bodd(θ)は(数49)、(数50)で示される。
【0186】
【数49】
Figure 0003596517
【0187】
【数50】
Figure 0003596517
【0188】
正領域評価部40aは、上記の関係を利用して、所定の角度ステップΔθで、正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する。0≦θ≦90°を満たすθに対し、まず、(数45)から(数46)で示されるベクトルc1、c2を計算し、その後、(数51)に従い、正領域到来角評価値とする。そして、ベクトルc1、c2をそれぞれの計算結果を負領域評価変換部41aに出力する。
【0189】
【数51】
Figure 0003596517
【0190】
負領域評価変換部41aは、正領域評価部40aの出力であるベクトルc1、c2を用いて、(数52)で示される計算式に従って、−θ方向の到来角評価値を算出する。
【0191】
【数52】
Figure 0003596517
【0192】
到来角判定部11aは、到来角評価部10aからのΔθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0193】
以上のように本実施の形態では、等間隔直線アレー形状のアレーアンテナを用いる場合、ユニタリ行列変換を行うことで、ステアリングベクトルを実数化した上で、正領域の到来角評価値を得る際の計算値であるベクトルc1、c2を利用して、負領域の到来角評価値に変換することができ、実施の形態1での到来角評価の際の演算量をほぼ半減することができるができる。
【0194】
(実施の形態9)
図11は実施の形態2デ説明した図4の方向推定処理部12aの他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1および2と異なる部分を主に説明する。本実施の形態ではアレーアンテナ1のアンテナ素子1−1〜1−Mが等間隔直線配列であることを前提条件とする。相関行列演算部7により相関行列Rが出力されるまでの動作は実施の形態1と同様である。
【0195】
ユニタリ変換部42は、位相中心を直線アレーの中心として表現したときのステアリングベクトルを実数化できるユニタリ行列Qを用いて、相関行列Rを(数41)のように変換する。逆行列演算部20aは、ユニタリ変換部42で得られたユニタリ変換相関行列Rrの逆行列を算出する。三角行列演算部21aは、逆行列R−1が正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて、(数13)で表せる下三角行列Lを求める。
【0196】
到来角評価部22aは、アレーアンテナが等間隔直線アレー形状であることから、アレーアンテナのボアサイト方向を角度基準(θ=0)として、正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する正領域評価部53と、正領域評価部の評価結果から、もう一方の負領域(−90°≦θ≦0°)の到来角評価値に変換する負領域評価変換部54とから構成される。正領域評価部53は、所定の角度ステップΔθで正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する。0≦θ≦90°を満たすθに対し、まず、(数45)から(数46)で示されるベクトルc1、c2を計算し、その後、(数53)に従い、正領域到来角評価値とする。そして、ベクトルc1、c2をそれぞれの計算結果を負領域評価変換部54に出力する。
【0197】
【数53】
Figure 0003596517
【0198】
負領域評価変換部54は、正領域評価部53の出力であるベクトルc1、c2を用いて、(数54)で示される計算式に従って、−θ方向の到来角評価値を算出する。
【0199】
【数54】
Figure 0003596517
【0200】
到来角判定部23は、到来角評価部22aからのΔθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0201】
以上のように本実施の形態では、等間隔直線アレー形状のアレーアンテナを用いる場合、ユニタリ行列変換を行うことで、ステアリングベクトルを実数化した上で、正領域の到来角評価値を得る際の計算値であるベクトルc1、c2を利用して、負領域の到来角評価値に変換することができ、実施の形態1での到来角評価の際の演算量をほぼ半減することができるができる。
【0202】
また、本実施の形態は、実施の形態3で説明した到来角評価関数に対しても、同様に適用が可能である。
【0203】
(実施の形態10)
図12は実施の形態4で説明した図6における方向推定処理部12cの他の構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1および4と異なる部分を主に説明する。本実施の形態ではアレーアンテナ1のアンテナ素子1−1〜1−Mが等間隔直線配列であることを前提条件とする。相関行列演算部7により相関行列Rが出力されるまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0204】
ユニタリ変換部42は、位相中心を直線アレーの中心として表現したときのステアリングベクトルを実数化できるユニタリ行列Qを用いて、相関行列Rを(数41)のように変換する。
【0205】
三角行列演算部24aは、ユニタリ変換後の相関行列Rrが正定値行列であることから、コレスキ分解を用いて下三角行列Lを求める。
【0206】
到来角評価部25aは、アレーアンテナが直線アレー形状であることから、アレーアンテナのボアサイト方向を角度基準(θ=0)として、正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する正領域評価部55と、正領域評価部の評価結果から、もう一方の負領域(−90°≦θ≦0°)の到来角評価値に変換する負領域評価変換部56とから構成される。正領域評価部55は、所定の角度ステップΔθで正の角度領域(0°≦θ≦90°)の到来角評価関数を算出する。0≦θ≦90°を満たすθに対し、まず、(数45)から(数46)で示されるベクトルc1、c2を計算し、その後、(数55)に従い、正領域到来角評価値とする。そして、ベクトルc1、c2をそれぞれの計算結果を負領域評価変換部56に出力する。
【0207】
【数55】
Figure 0003596517
【0208】
負領域評価変換部56は、正領域評価部55の出力であるベクトルc1、c2を用いて、(数56)で示される計算式に従って、−θ方向の到来角評価値を算出する。
【0209】
【数56】
Figure 0003596517
【0210】
到来角判定部26aは、到来角評価部25aからのΔθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基にピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とする。
【0211】
以上のように本実施の形態では、等間隔直線アレー形状のアレーアンテナを用いる場合、ユニタリ行列変換を行ってステアリングベクトルを実数化した上で、正領域の到来角評価値を得る際の計算値であるベクトルc1、c2を利用して、負領域の到来角評価値に変換することができ、実施の形態1での到来角評価の際の演算量をほぼ半減することができるができる。
【0212】
また、本実施の形態は、実施の形態6に対しても同様な式変形を行うことで適用が可能である。
【0213】
(実施の形態11)
図13は実施の形態1における方向推定処理部12の更に他の構成を示すブロック図である。本構成は、実施の形態1の方向推定処理部12に、到来角評価部で演算する角度間隔よりも細かい角度間隔で到来角評価関数の評価値を算出する高精度到来角評価部60と、高精度到来角評価部60の評価値から高精度に到来角を判定する高精度到来角判定部61とが追加されている。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。
【0214】
方向推定処理部12kに相関行列Rが入力され、三角行列演算部9による三角行列Lの算出され、到来角判定部11は、到来角評価部10からのΔθ毎にθの可変範囲で到来角評価した結果を基に、ピーク方向を検出し、到来波の到来角推定値とするまでの動作は、実施の形態1と同様である。
【0215】
図14は、高精度到来角評価部60及び高精度到来角判定部61の動作を説明するための模式図である。高精度到来角評価部60は、到来角判定部11の出力として得られるk個の到来角θk(kは自然数)に対し、(θk−Δθ)<φ<(θ+Δθ)を満たすφの角度範囲Wk内で、到来角評価部10での角度ステップΔθよりも細かい角度ステップΔφを用いて、再度、到来角評価関数による到来角評価を行い、その高精度到来角評価値を高精度到来角判定部61に出力する。
【0216】
高精度到来角判定部61は、k個の角度範囲Wk内での評価値を基に、それぞれの角度範囲内Wkでのピーク方向φpeak,kを検出し、高精度到来角推定値として出力する。
【0217】
以上のように本実施の形態では、実施の形態1での効果に加え、到来角判定部11での到来角を中心とした範囲内で限定して、到来角評価部10での角度ステップΔθよりも細かくした高精度な到来角評価を行うことで、到来角評価関数の演算量をいたずらに増大させることなく高精度の到来角推定を行うことができる。
【0218】
なお、本実施の形態は、実施の形態1の方向推定処理部12に追加する構成での動作説明を行ったが、実施の形態2〜10の各方向推定処理部12a〜12hに追加する構成でも同様な効果が得られる。
【0219】
(実施の形態12)
図15は本発明における指向性可変受信装置の一例における構成を示すブロック図である。本実施の形態は、実施の形態1から11において説明したいずれかの到来方向推定装置63を用いた到来方向推定結果64を基に主ビーム方向の異なる複数のセクタアンテナの選択を行い、指向性を可変にする指向性可変受信装置である。
【0220】
到来方向推定装置63の動作に関しては実施の形態1〜11において説明したものと同様であり、その説明は省略する。以下、付加された構成部に関して図15を用いて説明を行う。
【0221】
本実施の形態における指向性可変受信装置は、到来方向推定装置と、主ビーム方向の異なるm本の(m≧2)セクタアンテナ65−1〜65−m、セクタスイッチ66、セクタ制御部67、受信部68およびセクタスイッチの制御を行うセクタ制御信号69からなる。
【0222】
複数のアンテナ素子1−1〜1−Mからなるアレーアンテナから得られた受信信号2−1〜2−Mを使用して電波到来方向推定する動作は、実施の形態1から11で行った説明と同様であり、最終的に得られる到来方向推定結果64はセクタ制御部67に入力される。セクタ制御部67は到来方向推定結果64から、その推定方向に最も近い方向に主ビーム方向を持つ第ms番目のセクタアンテナを複数セクタアンテナ65−1〜65−mから選択し、セクタ制御信号69によりセクタスイッチ66を制御し、受信部68に接続させる。受信部68は接続された第ms番目のセクタアンテナによる受信信号70に対し復調動作を行う。
【0223】
以上のような動作により、複数のセクタアンテナ65−1〜65−mから到来波方向に最も近い主ビーム方向をもつ最適なセクタアンテナを選択することができ、高い信号対雑音レベル比の受信信号70が得られる。また、選択されたセクタアンテナの主ビーム方向以外の多重波が抑圧され符号間干渉を低減できるという効果が得られる。
【0224】
なお、本実施例では受信装置の構成を示したが、受信部68を送信部に置き換えることで、送信装置としても適用できる。この場合、送信電力の低減及び不要方向へ電波を放射しないため他局間干渉を低減することができる。
【0225】
また、図16に示すように、送受切換器72を介して、受信部68と送信部71を接続することで、送受信の切換が可能な送受信装置としてもよい。
【0226】
(実施の形態13)
図17は本発明における指向性可変受信装置の他の例における構成を示すブロック図である。
【0227】
本実施の形態は、実施の形態1から11において説明したいずれかの到来方向推定装置63を用いた到来方向推定結果64を基に指向性を可変にして受信を行う指向性可変受信装置である。
【0228】
到来方向推定装置63の動作に関しては実施の形態1〜11において説明したものと同様であり、その説明は省略する。以下、付加された構成部に関して図15を用いて説明を行う。
【0229】
L個(ただし、L>1)のアンテナ素子75−1〜75−Lは、図1のアンテナ素子1−1〜1−Mからの信号を2分配する構成でもよいが、異なるアンテナ素子の場合を以下説明する。
【0230】
各アンテナ素子75−1〜75−Lで受信した受信信号76−1〜76−Lは、各アンテナ素子75−1〜75−Lに接続された受信部77−1〜77−Lにおいて周波数変換され、その後に直交復調されて直交するI、Q信号からなる復調信号78−1〜Lに変換される。各復調信号78−1〜78−LはA/D変換器79−1〜79−Lにより、アナログ信号から複素ディジタル信号80−1〜80−Lに変換される。ここで、A/D変換器80−1〜80−Lのサンプリング周波数fsは、後続する処理において復調動作を行うため送信変調波の帯域WB(Hz)に対し、fs≧2WBとなるナイキスト条件を満たす必要がある。複素ディジタル信号80−1〜80−Lに対し、指向性制御部81は到来方向推定装置63の到来方向推定結果64に従い、指向性を制御するための複素重み付けを行う。受信部は重み付けられた信号に対し受信動作を行う。
【0231】
以上のような動作により、複数の複素ディジタル信号80−1〜80−Lに対し、複素重み付け合成する指向性制御部81により、到来方向推定結果64の方向に指向性ビームを持たせることができる。この場合、より最適な指向性パタ−ンを形成することができ、セクタアンテナを用いた場合よりも、さらに高品質な通信が可能となるという効果が得られる。
【0232】
なお、本実施の形態では、受信装置において指向性制御を行う構成を示したが、図18に示すように、送信装置として指向性制御を行う構成でもよく、この場合、送信電力の低減及び不要方向へ電波を放射しないため、他局間干渉を低減することができる。
【0233】
図18において、送信部71からの送信信号82は指向性制御部83に入力される。指向性制御部83は、送信信号82をL分配し、到来方向推定装置63の到来方向推定結果64に従って指向性を制御するため、それぞれに送信信号82に対し複素重み付けを行い、複素ディジタル信号84−1〜84−Lとして出力する。D/A変換器85−1〜85−Lはディジタル信号をアナログ信号に変換しベ−スバンド信号86−1〜86−Lとして出力する。送信周波数変換部87−1〜87−Lはベ−スバンド信号86−1〜86−Lを送信周波数帯に周波数変換を行なった高周波信号88−1〜88−Lを出力し、アンテナ素子89−1〜89−Lから送信信号を放射する。
【0234】
さらに、図17、図18の機能をもつ送受信装置としての適用も可能であり、この場合、高品質な通信が可能となり、また、送信電力の低減及び不要方向へ電波を放射しないため他局間干渉を低減することができる。
【0235】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、到来方向推定の精度劣化を招くことなく、到来方向評価関数による到来角度評価のトータルの演算量を削減する電波到来方向推定装置を実現でき、演算処理の高速化、あるいは装置構成の簡易化を可能とする。また、本到来方向推定装置の到来方向に指向性を向ける指向性制御機能を付加したアンテナを送信部あるいは受信部に付加した送受信装置とすることで、高品質な通信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における電波到来方向推定装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における演算量の改善を示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるコレスキ分解に要する演算量を示す図
【図4】本発明の実施の形態2における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図5】本発明の実施の形態3における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態4における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施の形態5における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図8】本発明の実施の形態6における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図9】本発明の実施の形態7における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態8における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図11】本発明の実施の形態9における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図12】本発明の実施の形態10における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図13】本発明の実施の形態11における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【図14】本発明の実施の形態11における方向推定処理の動作を説明するための模式図
【図15】本発明の実施の形態12における指向性可変受信装置の構成を示すブロック図
【図16】本発明の実施の形態12における指向性可変送受信装置の構成を示すブロック図
【図17】本発明の実施の形態13における指向性可変受信装置の構成を示すブロック図
【図18】本発明の実施の形態13における指向性可変受信装置を指向性可変送信装置に変換した場合の構成を示すブロック図
【図19】従来の電波到来方向推定装置の一例における構成を示すブロック図
【図20】従来の電波到来方向推定装置における方向推定処理部の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 アレーアンテナ
1−1〜1−M、75−1〜75−L アンテナ素子
2−1〜2−M 高周波信号
3−1〜3−M 受信部
4−1〜4−M 復調信号
5−1〜5−M、79−1〜79−L A/D変換器
6−1〜6−M 複素ディジタル信号
7 相関行列演算部
8、8a 雑音固有空間行列演算部
9、9a、21、21a、24、24a、28 三角行列演算部
10、10a、22、25a、26、29、32、36 到来角評価部
11、11a、23、26a、27、30、33、37 到来角判定部
12、12a〜12k 方向推定処理部
20、20a、25 逆行列演算部
31、34 相関ベクトル演算部
35、42 ユニタリ変換部
40、40a、53、55 正領域評価部
41、41a、54、56 負領域評価部
60 高精度到来角評価部
61 高精度到来角判定部
63 到来方向推定装置
66 セクタスイッチ
67 セクタ制御部
68、77−1〜77−L 受信部
71 送信部
72 送受切換器
81 指向性制御部

Claims (35)

  1. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するアナログ/ディジタル(A/D)変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出する雑音固有空間行列演算部と、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  2. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出する雑音固有空間行列演算部と、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  3. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  4. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  5. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し逆行列を算出する逆行列演算部と、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  6. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を算出する逆行列演算部と、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  7. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  8. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号の前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出する相関行列演算部と、前記相関行列に対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解する三角行列演算部と、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  9. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号のうち、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する相関ベクトル演算部と、前記相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価部の評価結果から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  10. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナの各アンテナ素子で受信された高周波信号を周波数変換後に復調処理することで復調信号を出力する受信部と、前記復調信号を複素ディジタル信号に変換するA/D変換器と、前記複素ディジタル信号のうち、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出する相関ベクトル演算部と、前記相関ベクトルに対しユニタリ変換を行うユニタリ変換部と、前記ユニタリ変換後の相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算する到来角評価部と、前記到来角評価から到来角を判定する到来角判定部とを有することを特徴とする電波到来方向推定装置。
  11. 相関行列演算部が、アンテナ素子間での相関演算ではなく、前記アンテナ素子の複素ディジタル信号の周波数伝達関数の離散値から周波数軸での相関行列を算出することを特徴とする請求項1から6記載の電波到来遅延時間推定装置。
  12. 三角行列演算部は入力された行列Rをコレスキ分解により上三角行列Uの積UUに分解することを特徴とする請求項1から8記載の電波到来方向推定装置。
  13. 三角行列演算部は入力された行列Rをコレスキ分解により下三角行列Lの積LLに分解することを特徴とする請求項1から8記載の電波到来方向推定装置。
  14. 三角行列演算部は入力された行列を改訂コレスキ分解により上三角行列Uと対角行列Dの積UDUに分解することを特徴とする請求項1から8記載の電波到来方向推定装置。
  15. 三角行列演算部は入力された行列を改訂コレスキ分解により下三角行列Lと対角行列Dの積LDLに分解することを特徴とする請求項1から8記載の電波到来方向推定装置。
  16. 相関行列演算部が、相関行列を算出し、さらに、相関行列に対し空間スムージング処理を施した行列を出力することを特徴とする請求項1から8記載の電波到来方向推定装置。
  17. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナである場合、アレーアンテナのボアサイト方向を角度の基準として、到来角評価部は正(または負)の角度θに対して到来角評価関数の評価値を算出する正(または負)領域評価部と、前記正(または負)領域評価部の評価結果から、負(または正)の角度−θに対する到来角評価値に変換する負(または正)領域評価変換部とを有することを特徴とする請求項1から10記載の電波到来方向推定装置。
  18. アレーアンテナが直線アレー形状である場合、到来角評価部での評価値演算において、アレーアンテナのエンドファイア方向の角度間隔をボアサイト方向よりも粗くして、到来角評価関数の評価値を算出することを特徴とする請求項1から10記載の電波到来方向推定装置。
  19. 到来角判定部の出力として得られる到来角を中心に所定の角度範囲で、前記到来角評価部で演算する角度間隔よりも細かい角度間隔で到来角評価関数の評価値を算出する高精度到来角評価部と、前記高精度到来角評価部の評価値から高精度に到来角を判定する高精度到来角判定部とからなることを特徴とする請求項1から10記載の電波到来方向推定装置。
  20. 受信部、A/D変換器の代わりに、各アンテナ素子から得られる高周波信号を周波数変換及び位相検波することで中間周波数(IF)信号を出力するIF受信部と、前記IF信号をIFディジタル信号に変換するIF周波数A/D変換器と、前記IFディジタル信号をディジタル直交復調し、複素ディジタル信号を相関行列演算部に出力するディジタル直交検波部とを有することを特徴とする請求項1から10記載の電波到来方向推定装置。
  21. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出し、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  22. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し固有値分解することで雑音固有空間に属する固有ベクトルを列または行にもつ雑音固有空間行列を算出し、前記雑音固有空間行列と前記雑音固有空間行列を共役転置した行列の積からなる行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価値から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  23. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列の逆行列を算出し、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  24. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列の逆行列を算出し、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  25. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列に対し逆行列を算出し、前記逆行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  26. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列の逆行列を算出し、前記上または下三角行列の逆行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  27. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  28. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、前記アンテナ素子間での相関演算を行うことで相関行列を算出し、前記相関行列に対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関行列を上または下三角行列の積に分解し、前記上または下三角行列を用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  29. 複数のアンテナ素子で構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出し、前記相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  30. 複数のアンテナ素子が等間隔で直線上に構成されるアレーアンテナで受信された受信信号に対し、1つのアンテナ素子を基準として他のアンテナ素子間での相関演算を行うことで相関ベクトルを算出し、前記相関ベクトルに対しユニタリ変換を行い、前記ユニタリ変換後の相関ベクトルを用いて表せる到来角評価関数の所定角度毎の評価値を演算し、前記所定角度毎の評価結果から到来角を判定することを特徴とする電波到来方向推定方法。
  31. 請求項1から10記載のうち1つの電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタスイッチの出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置。
  32. 請求項1から10記載のうち1つの電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、前記セクタアンテナから周波数変換後に変調信号を送信する送信部とを有することを特徴とする指向性可変送信装置。
  33. 請求項1から10記載のうち1つの電波到来方向推定装置と、異なる主ビーム方向をもつ複数のセクタアンテナと、前記複数のセクタアンテナから前記電波到来方向推定装置による推定方向にビーム方向をもつ1つのセクタアンテナを選択するセクタ制御信号を出力するセクタ制御部と、前記セクタ制御信号に基づきセクタアンテナを択一的に接続するセクタスイッチと、復調動作を行う受信部と、送信動作を行う送信部と、前記セクタスイッチに接続され、前記選択されたセクタアンテナからの出力信号を前記受信部に入力させるか、または前記送信部からの送信信号を前記選択されたセクタアンテナから出力させる送受切換器とを有することを特徴とする指向性可変送受信装置。
  34. 請求項1から10記載のうち1つの電波到来方向推定装置と、前記電波到来方向推定装置で得られた到来方向に対してアレーアンテナの指向性が向くように、復調信号に対し複素重み付け加算処理を行う指向性制御部と、前記指向性制御部の出力信号に対し復調動作を行う受信部とを有することを特徴とする指向性可変受信装置。
  35. 請求項1から10記載のうち1つの電波到来方向推定装置と、送信信号を生成する送信部と、前記送信信号を前記電波到来方向推定装置で得られた到来方向に対してアンテナ指向性が向くように、送信信号に対し複素重み付け加算処理を行う指向性制御部と、前記指向性制御部の出力を周波数変換する送信部と、前記送信部の出力を送信するアレーアンテナとを有することを特徴とする指向性可変送信装置。
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