JP4545150B2 - 電波到来方向の適応推定追尾方法および装置 - Google Patents
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Description
しかし、従来の部分空間手法を用いて、時変な多重波の到来方向をオンラインで推定する場合には、実時間で固有値分解(或いは特異値分解)を繰り返す行う必要があるので、これらの手法の計算処理が複雑になり、計算時間がかなりかかる。
ここで、M個のアレー素子数をもつ線形等間隔アレーにp個の多重波狭帯域信号[sk(n)]が角度[θk] からアレーアンテナに入射しているとする。各素子のアレー受信信号は数1 のように表せる。
Rs=E[s(n)sH(n)]は入射する多重波の共分散行列であり、IMはM×Mの単位行列である。さらに、観測データyi(n),yk(n)の相関rikをrik=E{yi(n) y*k(n)}で定義する。ただし、rik=r*kiという関係が存在する。(・)*は複素共役を表す。また、数2 内のアレーの共分散行列Rは次式で明確的に表現できる。
のサブアレーの受信ベクトル
は数4で表現できる。
である。また、am(θk) とAmはサブアレーの応答ベクトルと応答行列である。従って、
のサブアレーの共分散行列は数5 で与えられる。
を空間的に平均すると,数6 のような共分散行列が得られる。
の固有ベクトルと固有値であり、Eは[ei]を列とする行列,∧は[λi]を要素とする対角行列である。また、信号ベクトル{e1,e2,…ep}と雑音ベクトル{ep+1,ep+2,…em}が張る空間をそれぞれ信号部分空間と雑音部分空間と呼ぶ。なお、信号部分空間はアレーの応答ベクトルを用いて表すことができる。信号部分空間と雑音部分空間の直交関係に基づく到来方向推定方法は部分空間手法と呼ばれる。
の固有値解析により,雑音ベクトル{ep+1,ep+2,…em}と信号部分空間に存在するサブアレーの応答ベクトルam(θk)には,次の直交関係が成立する.
である。空間スムージングMUSIC は、数7で与えられたスペクトルのp個の最大ピーク位置から入射する多重波の到来方向を推定する。
また、本発明者は、通信信号の周期定常性に基づく到来方向推定および追尾する電波到来方向推定方法及び装置(非特許文献5または特許文献1参照)について提案しているが、信号の周期定常性という時間的な特性を利用しており、かなり長いアレーデータが必要となる。
更に、本発明者は、新しい立場から固有値分解を利用しないかつ計算的に有効なSUMWE (Subspace-based method without eigendecomposition) という到来方向推定手法(非特許文献6または特許文献2参照)について提案しているが、この方法はオンライン到来方向推定および時間的に変化する到来方向の追尾問題にまだ検討されていない。
本発明の別の目的は、アレーの観測雑音が時空間的に無相関白色雑音ではなく空間的に相関雑音となる環境においても、適用できるようにすることである。
R.O. Schmidt, "Multiple emitter location and signal parameter estimation," IEEE Trans. Antenna Propagation, vol. 34, no. 3, pp. 276-280 (1986) J. Shan, M. Wax and T. Kailath, "On spatial smoothing for direction-of-arrival estimation of coherent signals," IEEE Trans. Acoust., Speech, Signal Processing, vol. 33, no. 4, pp. 806-811 (1985) S.U. Pillai and B.H. Kwon, "Forward/backward spatial smoothing techniques for coherent signals identification," IEEE Trans. Acoust., Speech, Signal, vol. 37, no. 1, pp. 8-15(1989) A.Eriksson, P. Stoica, and T. Soderstrom, "On-line subspace algorithms for tracking moving sources, "IEEE Trans. Signal Processing, vol. 42, no. 9, pp. 2319-2330 (1994) J. Xin and A. Sano,"Directions-of-arrival tracking of coherent cyclostationary signals in array processing, "IEICE Trans. Fundamentals vol. E86-A, no. 8, pp. 2037-2046 (2003) J. Xin and A. Sano, "Computationally efficient subspace-based method for direction-of-arrival estimation without eigendecomposition, "IEEE Trans. Signal Processing, vol. 52, no. 4, pp. 876-893 (2004)
本発明は、複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の信号を受信し、該信号の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法である。
本発明の第1の電波到来方向推定方法は、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出するステップ、各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成するステップ、該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離するステップ、前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いて適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定するステップ、該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムを用いて時刻nにおける多重波の到来方向を推定するステップを備え、時空間的に無相関白色雑音環境における電波到来方向を推定する。
本発明の第2の電波到来方向推定方法は、qを雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出するステップ、各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成するステップ、該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離するステップ、前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いて適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定するステップ、該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムを用いて時刻nにおける多重波の到来方向を推定するステップを備え、時空間的に相関雑音環境における電波到来方向を推定する。
本発明は、複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の信号を受信し、該信号の到来方向を推定する電波到来方向推定装置である。
本発明の第1の電波到来方向推定装置は、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いて適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムを用いて時刻nにおける多重波の到来方向を推定する手段、を備え、時空間的に無相関白色雑音環境における電波到来方向を推定する。
本発明の第2の電波到来方向推定装置は、qを雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いて適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムを用いて時刻nにおける多重波の到来方向を推定する手段を備え、時空間的に相関雑音環境における電波到来方向を推定する。
本発明によれば、全てのアレー素子受信データ間の相関を計算する必要がなく、しかも固有値分解を処理する必要がないので、演算量を低減することができる。また、本発明によれば、空間的に無相関白色雑音環境および相関雑音環境における電波到来方向を推定することができる。
本発明はアレーアンテナを用いて電波到来方向を精度よく推定する基地局の電波到来方向推定装置及びその到来方向推定方法に関するものであり、図面に従って第1実施例の多重波到来方向推定制御を説明する。なお、以降の図において、概略同じ物あるいは同じ機能を有するものについては同じ符号を付する。
図1は距離dの間隔で直線的にM個のアンテナ素子を配列したアレーアンテナの構成図である。図2は送信源10と基地局受信アンテナ(アレーアンテナ)30との配置関係図である。アレーアンテナ30は図1に示すように等間隔直線アレーアンテナ構成を有し、多重波到来方向推定システムを構成する。図2において、送信源10からアレーアンテナ30にまっすぐ入射するものは直接波11であり、建物BL1,BL2などによって反射されてからアレーアンテナ30に入射するものは反射波12である。図2では一つ例として、二つ反射波を示すが、以下では送信源10からの直接波と反射波の総個数(多重信号数)はpとする。また、pを既知と仮定する。さらに、直接波と反射波の関係は、次式
図4は到来方向推定部50の構成図である。この到来方向推定部50は、時刻nにおけるアレーデータ間の瞬間相関の計算手段51、時刻nにおける瞬間相関行列の形成手段52、時刻nにおける線形演算子の更新手段53、時刻nにおける直交射影作用素の計算手段54および時刻nにおける電波到来方向の更新手段55で構成されている。
一般には、アレーアンテナ30により受信した信号から電波到来方向を推定する際に、アンテナ素子受信信号ベクトルy(n)(=y1(n),y2(n),…,yM(n))の各受信信号間の相関r11〜rMMを演算して行列に配列したアレー共分散行列Rが用いられる。このアレー共分散行列Rは、受信信号ベクトルy(n)の複素共役をyH(n)とすると、無相関白色雑音環境において次式で与えられる。
yi(n)=xi(n)+wi(n)
E[ wi(n) wj*(n)]=σ2 (i=j)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (i≠j)
である。すなわち、無相関白色雑音環境ではアレー共分散行列Rの対角要素r11,r22,...rMMに雑音が含まれている。
以下に、到来方向推定部50における多重波の到来方向推定手順について説明する。まず、アレーデータ間の瞬間相関計算手段51は、ベースバンド及びディジタル処理部40から得られた複素ディジタル信号y1(n),y2(n),…,yM(n)で数1 のように受信ベクトルy(n)をつくる。さらに、サンプル時刻nにおける受信ベクトルy(n)を用いて数12で信号y(n)とy*M(n),およびy(n)とy*1(n)の瞬間相関ベクトル
を形成し、それぞれ上下2つの行列
に分離する。
r1M(n),r2M(n),…rM-1,M(n)
(図5の最終列参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図7に示すように、最終行の該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を上から下方向に1個づつずらしながら(M−p)組取り出し、1行目から順番に行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列Φf(n)を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列Φf1(n)と(M−2p)×pの行列Φf2(n)に分割する。同様に、瞬間相関計算手段51は、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関
r21(n),r31(n),…rM1(n)
(図5の第1列参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図7に示すように、第1列目の該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を上から下方向に1個づつずらしながら(M−p)組取り出し、1行目から順番に行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列
を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列
と(M−2p)×pの行列
に分割する。
r12(n),r13(n),…r1,M(n)
(図6の第1行目参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図8に示すように、第1行目の該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を右から左に1個づつずらしながら(M−p)組取り出し、行列の1行目から順番に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列Φb(n)を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列Φb1(n)と(M−2p)×pの行列Φb2(n)に分割する。同様に、瞬間相関計算手段51は、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関
rM1(n),rM2(n),…rM,M-1(n)
(図6の最終行参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図8に示すように最終行の該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を右から左に1個づつずらしながら(M−p)組取り出し、行列の1行目から順番に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列
を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列
と(M−2p)×pの行列
に分割する。
を使って、次式、
を満たす正数である。ただし、 tr[・]はトレース演算である。
一方、方向{θk}は以下のコスト関数を最小化することにより推定できる。
はそれぞれ、p×pのユニタリーマトリクス、p×pの上側三角マトリクス(upper-triangular matrix)である。かくして、数17の直交射影作用素Π(n)は次式
、二次導関数、
である。したがって、時刻nにおいて数20を変形すると数21が得られる。
θ1(n)=300+0.010×(n−1)
θ2(n)=100+50sin(2π(4×10-4n+2.25×10-6n2))
からアレーアンテナに入射するものとする。ここで,SNR は10 dB,LMSのステップサイズはμ=8×10-4である.100 回の計算を行い、得られた
の平均値及びその推定誤差はそれぞれ図9、図10で示すようになる。なお、比較するために図9に本発明の推定角度曲線A、適応SWEDE 法の推定角度曲線B、実際の角度Cを表示している。図9、図10から明らかなように、本発明に基づく到来方向追尾手法によれば、複雑な固有値分解を使用せずに、時間的に変化する完全相関信号(多重波)の到来方向を迅速かつ精確に推定することができる。
以上では、数15に従って線形演算子P(n)をLMS適応アルゴリズムにより計算する際、ステップサイズパラメータμの値を固定したが、時間的に変化(時変)することができる。すなわち、数15のステップサイズμを時刻nにおける瞬間相関行列Φ1(n)に連動させて次式
θ1(n)=300+0.010×(n−1)
θ2(n)=100+50sin(2π(4×10-4n+2.25×10-6n2))
からアレーアンテナに入射するものとする。ここで,SNR は10 dBである.100 回の計算を行い、得られた
の平均値及びその推定誤差はそれぞれ図11、図12で示すようになる。なお、比較するために図11に本発明の推定角度曲線A、適応SWEDE 法の推定角度曲線B、実際の角度Cを表示している。図11、図12から明らかなように、本発明に基づく到来方向追尾手法によれば、複雑な固有値分解を使用せずに、時間的に変化する完全相関信号(多重波)の到来方向を迅速かつ精確に推定することができる。
第1実施例では数15に従って線形演算子P(n)をLMS適応アルゴリズムにより計算しているが、次式
はそれぞれ、p×pのユニタリーマトリクス、p×pの上側三角マトリクス(upper-trian
gular matrix)であり、数24のΦ1(n)Φ1 H(n)のQR分解により得られる。
を満たすべきである。
θ1(n)=300+0.010×(n−1)
θ2(n)=100+50sin(2π(4×10-4n+2.25×10-6n2))
からアレーアンテナに入射するものとする。ここで,SNR は10 dBであり、NLMSアルゴリズムのステップサイズはμ=0.5とする。100 回の計算を行い、得られた
の平均値及びその推定誤差はそれぞれ図13、図14で示すようになる。なお、比較するために図13に本発明の推定角度曲線A、適応SWEDE 法の推定角度曲線B、実際の角度Cを表示している。図13、図14から明らかなように、本発明に基づく到来方向追尾手法によれば、複雑な固有値分解を使用せずに、時間的に変化する完全相関信号(多重波)の到来方向を迅速かつ精確に推定することができる。
第1実施例では、4つののHankel相関行列
を求め、それぞれを上下2つの行列
に分離し、これらを用いて数13により2つの行列Φ1(n),Φ2(n)を決定し、これら2つの行列Φ1(n),Φ2(n)を用いて線形演算子P(n)を計算して、最終的に電波到来方向を推定している。しかし、アレー共分散行列Rは共役対称になっているから、到来方向の推定には図5に示す第1列目、最終列目、図6に示す第1行目、最終行目のみの瞬間相関、あるいは任意の2以上の行、列を用いるだけでも電波到来方向を推定できる。すなわち、上記(A)における4つの組のうち、任意の1〜4つを用いて行列Φ1(n),Φ2(n)を決定することができる。なお、4つを用いて行列Φ1(n),Φ2(n)を決定する場合が第1実施例である。
上記(A)における4つの組のうち、任意の1つの組を選んで、行列Φ1(n),Φ2(n)を次式
上記(A)における4つの組のうち、任意の2つの組を選んで、行列Φ1(n),Φ2(n)を次式
上記(A)における4つの組のうち、任意の3つの組を選んで、例えば、行列Φ1(n),Φ2(n)を次式
音環境における多重波の到来方向を推定する。
第1、第2実施例は、無相関白色雑音環境における電波到来方向の推定の実施例であり、第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関が次式
E[ wi(n) wj*(n)]=σ2 (i=j)
E[ wi(n) wj*(n)]=0 (i≠j)
で表現される場合である。すなわち、雑音の空間的相関の長さが1の場合である。第3実施例では雑音の空間的相関の長さがq(>1)の場合の実施例である。雑音の空間的相関の長さがqの場合、第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関は次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される
すなわち、雑音の空間的相関の長さがqの場合、アレー共分散行列Rの対角要素r11,r22,...rMMおよび該対角要素からqの距離にある瞬間相関要素には雑音が含まれている。
アレー共分散行列Rは共役対称になっているから、到来方向の推定には図15に示すようにその1列目と最終列、あるいは図16に示すように1行目と最終行を計算するだけで十分である。ただし、対角要素および該対角要素からqの距離にある瞬間相関要素には雑音が含まれているから図15に示すように各列から要素r11〜rq+1,1,rM-q,M〜rMMを除外する。また、図16に示すように、各行から要素r11〜r1,q+1,rM,M-q〜rMMを除外する。
r1M(n),r2M(n),…rM-q-1,M(n)
(図15の最終列参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図17に示すように、最終列の該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を上から下方向に1個づつずらしながら(M−q−p)組取り出し、1行目から順番に行列に配列してなる(M−q−p)×pの瞬間相関行列Φf(n)を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列Φf1(n)と(M−q−2p)×pの行列Φf2(n)に分割する。同様に、瞬間相関計算手段51は、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関
rq+2,1(n),rq+3,1(n),…rM1(n)
(図15の第1列参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図17に示すように、第1列目の該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を上から下方向に1個づつずらしながら(M−q−p)組取り出し、1行目から順番に行列に配列してなる(M−q−p)×pの瞬間相関行列
を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列
と(M−q−2p)×pの行列
に分割する。
r1,q+2(n),r1,q+3(n),…r1,M(n)
(図16の第1行目参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図18に示すように、第1行目の該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を右から左に1個づつずらしながら(M−q−p)組取り出し、行列の1行目から順番に配列してなる(M−q−p)×pの瞬間相関行列Φb(n)を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列Φb1(n)と(M−q−2p)×pの行列Φb2(n)に分割する。同様に、瞬間相関計算手段51は、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−q−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関
rM1(n),rM2(n),…rM,M-q-1(n)
(図16の最終行参照)を算出する。ついで、相関行列形成手段52は、図18に示すように最終行の該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を右から左に1個づつずらしながら(M−q−p)組取り出し、行列の1行目から順番に配列してなる(M−q−p)×pの瞬間相関行列
を作成し、該瞬間相関行列を上下2つのp×pの行列
と(M−q−2p)×pの行列
に分割する。
を使って、数13により2つの行列Φ1(n),Φ2(n)を決定し、これらと線形演算子P(n)を用いて数14により推定誤差行列E(n)を計算する。
ついで、線形演算子更新手段53は、推定誤差行列E(n)、固定ステップサイズパラメータμを用いて数15によりLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子P(n)を求める。この線形演算子P(n)を用いて直交射影作用素計算手段54は数19より直交射影作用素Π(n)を計算する。到来方向の更新手段55は数21により、すなわち近似ニュートン法により時刻nにおける到来方向を計算する。以上に述べたように,到来方向推定部50は、ある固定したステップサイズμをもつLMS アルゴリズム及び近似Newton 法を利用して、空間的に相関する雑音環境における多重はまたは、部分相関信号又は無相関信号の到来方向を推定し、追尾することができる。
また、第1実施例と同様に数23と数24に従ってNLMS適応アルゴリズムにより線形演算子P(n)を計算することができる。
以上では、4つののHankel相関行列
を求め、それぞれを上下2つの行列
に分離し、これらを用いて数13により2つの行列Φ1(n),Φ2(n)を決定し、これら2つの行列Φ1(n),Φ2(n)を用いて線形演算子P(n)を計算して、最終的に電波到来方向を推定している。しかし、アレー共分散行列Rは共役対称になっているから、到来方向の推定には図15に示す第1列目、最終列目、図16に示す第1行目、最終行目のいずれかのみの瞬間相関、あるいは任意の2以上の行、列を組み合せて用いるだけでも電波到来方向を推定できる。すなわち、上記(A)における4つの組のうち、任意の1〜4つを用いて、第2実施例と同様に行列Φ1(n),Φ2(n)を決定することができる。
・基地局受信装置
信号の到来方向推定装置と、該到来方向推定装置により推定された信号源方向にピークが向くように受信ビームパターンを生成するビーム形成手段により基地局受信装置を構成することができる。
図19はかかる基地局受信装置の構成図である。アレーアンテナ30は信号を受信し、べースバンド及びディジタル処理部40に入力する。ディジタル処理部40はアンテナ素子毎に信号処理して複素ディジタル受信データを出力する。到来方向推定部50は各アンテナ素子毎の複素ディジタル受信データを用いて信号の到来方向を推定する。ビーム形成器(受信ビームフォーマ)60は到来方向推定部50から取得した信号の到来方向の推定値を用いて信号源方向にピークを有するようにビームを形成する。すなわち、ビーム形成器60は干渉や雑音などを抑圧しながら希望信号を抽出してチャネル受信部70に送る。チャネル受信部70は周知の方法で受信処理を行って受信データを復調、出力する。
なお、第1、第2、第3実施例により得られた到来方向情報を利用してビームを信号源方向に向けるビーム形成器60としては、種々の構成が可能であるが、例えば、O.L. Frost、
"An algorithm for linearly constrained adaptive array processing、" Proc. IEEE、 vol. 60、no. 8、 pp. 926-935 (1975)及びJ. Xin、 H. Tsuji、 Y. Hase、 and A. Sano、 "Array beamforming based on cyclic signal detection、" Proc. IEEE 48th Vehicular Technology Conference、 pp. 890-894、 Ottawa、Canada (1998)などに記載されたビーム形成手法を活用して、希望の信号到来方向にビームを向けて受信することが可能である。
電波の到来方向推定装置50と、該到来方向推定装置により推定された方向にピークが向くように送信ビームパターンを生成するビーム形成手段(送信ビームフォーマ)80により基地局送信装置を構成することができる。
図20はかかる基地局送信装置の構成図である。なお、図20には基地局受信装置も図示している。
送信ビームフォーマ80は、送信部90から送信データが入力されると、到来方向推定部50により推定された方向にピークが向くように送信ビームパターンを形成し、複素ディジタル送信信号をべースバンド及びデジタル信号処理部40′に入力する。信号処理部40′は複素ディジタル送信データを無線信号に変換してアレーアンテナ30′の各アンテナ素子に入力する。この結果、受信局に向けてビームが発射され、誤り率を低下できる。なお、図20のアレーアンテナ30,30′を共通化することができる。
なお、本発明は多重波或いは部分相関或いは無相関信号の到来方向をオンラインで推定/追尾する際に適用できるものである。
以上説明したように,本発明は固有値分解や空間スムーシングなど複雑な処理を使用せ
ず、演算量を低減することが可能となり、多重波或いは部分相関或いは無相関信号の到来方向をオンラインで推定/追尾することができる。
また、計算機シミュレーションの具体例で明らかにしたように、本発明の手法より基地局におけるアレーアンテナに入射する信号の時変な到来方向を迅速かつ精確に推定できる。従って,信号の到来方向推定/追尾する際精度向上を図ることが可能となる。
さらに,本発明の到来方向推定手法から得られた信号の到来方向に関する情報を利用して,ある希望方向に指向性をもつビームを形成できる基地局の指向性可変受信及び送信装置を実施することができる。
また、本発明によれば、空間的に相関雑音環境であっても、電波到来方向を推定することができる。
Claims (22)
- 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出し、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成し、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離し、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定し、
該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムにより時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr21(n),r31(n),…rM1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr12(n),r13(n),…r1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から1つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr21(n),r31(n),…rM1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr12(n),r13(n),…r1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から2つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr21(n),r31(n),…rM1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr12(n),r13(n),…r1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から3つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr21(n),r31(n),…rM1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第2,3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr12(n),r13(n),…r1,M(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-1(n)とし、該(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p)組取り出して行列に配列してなる(M−p)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p)×pの行列を
とするとき、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−q)/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出し、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成し、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離し、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いて適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定し、
該雑音部分空間を利用して適応アルゴリズムにより時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする空間的に相関雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−q)/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-q-1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrq+2,1(n),rq+3,1(n),…rM1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1,q+2(n),r1,q+3(n),…r1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-q-1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から1つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする空間的に相関雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−q)/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-q-1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrq+2,1(n),rq+3,1(n),…rM1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1,q+2(n),r1,q+3(n),…r1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-q-1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から2つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする空間的に相関雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−2)/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-q-1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrq+2,1(n),rq+3,1(n),…rM1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1,q+2(n),r1,q+3(n),…r1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-q-1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とするとき、以下の4つの瞬間相関行列の組
から3つの組を選んで、行列Φ1(n)、Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする空間的に相関雑音環境における電波到来方向推定方法。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−q)/2)の多重波を受信し、該多重波の到来方向を推定する電波到来方向推定追尾方法において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…(M−q−1)番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1M(n),r2M(n),…rM-q-1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦf(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦf1(n),Φf2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrq+2,1(n),rq+3,1(n),…rM1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とし、更に、
前記アレーアンテナにおける1番目のアンテナ素子の受信信号と第q+2,q+3,…M番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をr1,q+2(n),r1,q+3(n),…r1,M(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列をΦb(n)とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列をΦb1(n),Φb2(n)とし、かつ、前記アレーアンテナにおけるM番目のアンテナ素子の受信信号と第1,2,…M−q−1番目のアンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関をrM1(n),rM2(n),…rM,M-q-1(n)とし、該(M−q−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1個づつずらしながら(M−p−q)組取り出して行列に配列してなる(M−p−q)×pの瞬間相関行列を
とし、該瞬間相関行列の上下2つのp×pの行列と(M−2p−q)×pの行列を
とするとき、行列Φ1(n),Φ2(n)を
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重波の到来方向を推定する、
ことを特徴とする空間的に相関雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。 - 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の到来方向推定追尾手法に基づいて、NLMS適応アルゴリズムと近似ニュートン法を用いて電波の到来方向を推定することを特徴とする時空間的に無相関白色雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。
- 請求項6から請求項10までのいずれかに記載の到来方向推定追尾手法に基づいて、NLMS適応アルゴリズムと近似ニュートン法を用いて電波の到来方向を推定することを特徴とする空間的に相関雑音環境における多重波到来方向推定追尾方法。
- 請求項1から請求項12までのいずれかに記載の到来方向推定追尾手法に基づいて、固定または時変のステップサイズパラメータを用いたLMS適応アルゴリズム或はNLMS適応アルゴリズムと近似ニュートン法を用いて電波の到来方向を推定することを特徴とする時空間的に無相関白色雑音環境または空間的に相関雑音環境における無相関信号の到来方向推定追尾方法。
- 請求項1から請求項12までのいずれかに記載の到来方向推定追尾手法に基づいて、固定または時変のステップサイズパラメータを用いたLMS適応アルゴリズム或はNLMS適応アルゴリズムと近似ニュートン法を用いて電波の到来方向を推定することを特徴とする時空間的に無相関白色雑音環境または空間的に相関雑音環境における相関信号の到来方向推定追尾方法。
- 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<M/2)の信号を受信し、該信号の到来方向を推定する電波到来方向推定装置において、
前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする無相関白色雑音環境における電波到来方向推定装置。 - 複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナで所定数(=p<(M−q)/2)の信号を受信し、該信号の到来方向を推定する電波到来方向推定装置において、
第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p個)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする空間的に相関雑音環境における電波到来方向推定装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する基地局の受信ビーム形成装置において、
複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p<M/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける信号の到来方向を推定する手段、
得られた信号の到来方向にピークが向くようにビームを生成するビーム形成手段、
を備えたことを特徴とする基地局の受信ビーム形成装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する基地局の受信ビーム形成装置において、
同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナのアンテナ素子数をMとし、また、第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音wi(n)、 wj(n)の相関Eが次式
E[ wi(n) wj*(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ wi(n) wj*(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p<(M−q)/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重信号の到来方向を推定する手段、
得られた信号の到来方向にピークが向くようにビームを生成するビーム形成手段、
を備えたことを特徴とする基地局の受信ビーム形成装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する電波到来方向推定装置と、
前記電波到来方向推定装置に推定された方向にピークが向くようにビームを生成する受信ビーム形成装置と、
を備え、前記電波到来方向推定装置は、
複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p<M/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする基地局受信装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する電波到来方向推定装置と、
前記電波到来方向推定装置に推定された方向にピークが向くようにビームを生成する受信ビーム形成装置と、
を備え、前記電波到来方向推定装置は、
同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナのアンテナ素子数をMとし、また、第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音w i (n)、 w j (n)の相関Eが次式
E[ w i (n) w j *(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ w i (n) w j *(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p<(M−q)/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする基地局受信装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する電波到来方向推定装置と、
前記電波到来方向推定装置に推定された方向にピークが向くようにビームを生成する送信ビーム形成装置と、
を備え、前記電波到来方向推定装置は、
複数個(=M)のアンテナ素子を同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素を除き、該対角要素が除かれた(M−1)個の瞬間相関より信号数(=p<M/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする基地局送信装置。 - 請求項1から請求項14までのいずれかに記載の到来方向推定追尾方法を実現する電波到来方向推定装置と、
前記電波到来方向推定装置に推定された方向にピークが向くようにビームを生成する送信ビーム形成装置と、
を備え、前記電波到来方向推定装置は、
同一素子間隔で直線状に配列したアレーアンテナのアンテナ素子数をMとし、また、第iアンテナ受信素子と第jアンテナ受信素子の受信信号に含まれる雑音w i (n)、 w j (n)の相関Eが次式
E[ w i (n) w j *(n)]≠0 (|i−j|≦q)
E[ w i (n) w j *(n) ]=0 (|i−j|>q)
で表現される場合のq(0≦q≦M−1)を雑音の空間的相関の長さとするとき、前記アレーアンテナの各アンテナ素子の受信信号と他アンテナ素子の受信信号間の時刻nにおける瞬間相関を算出する手段、
各瞬間相関を行列に配列してなるアレー共分散行列を構成する所定の行あるいは列要素より対角要素および該対角要素に連鎖的に隣接するq個の要素を除き、該(q+1)個の要素が除かれた(M−q−1)個の瞬間相関より、信号数(=p<(M−q)/2)の瞬間相関を1要素づつずらしながら取り出して行列に配列してなる瞬間相関行列を作成する手段、
該瞬間相関行列を2つの上下相関行列に分離する手段、
前記2つの上下相関行列と固定又は時変のステップサイズパラメータを用いてLMS適応アルゴリズムあるいはNLMS適応アルゴリズムにより時刻nにおける線形演算子を算出し、該線形演算子を用いて雑音部分空間を推定する手段、
該雑音部分空間を利用して近似ニュートン法により時刻nにおける多重信号の到来方向を推定する手段、
を備えたことを特徴とする基地局送信装置。
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