JP3928551B2 - 到来波推定装置及び到来波推定方法、並びに波源位置推定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波の到来波を推定する到来波推定装置に関し、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナで受信された信号に基づいて、その到来波の方向と強度を推定する到来波推定装置及び到来波推定方法に関するものである。また、電波の波源の空間的位置または時間的位置を推定する波源位置推定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナを用いて到来波分布を把握するために多くの到来方向推定手法が提案されている。古典的な手法としてはビームフォーマ法(beamformer)、Capon法、線形予測法などがある。また、高分解能到来方向推定手法としては、MUSIC(Multiple Signal Classification)やESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)などがある。これらは非特許文献1に詳しく記載されている。
【0003】
中でもMUSICやESPRITは高分解能かつ高精度に到来方向を推定できることから広く利用されている。しかし、MUSICやESPRITでは、その信号処理過程において、固有値・固有ベクトルを計算する必要があり、計算負荷が非常に大きいため処理を高速化することが難しい。これに対して、線形予測法は固有値計算が必要ないために、小さい計算負荷で到来波の方向を検出することが可能である。しかし、ビームフォーマ法やCapon法とは異なり、算出される角度スペクトラムにおいてスペクトラム強度は到来波の受信強度に比例しない。そのため、検出した方向が真の到来方向であるかどうかを判定するためには、到来波の受信信号強度を別手段によって推定しなければならない。
【0004】
特許文献1に記載の電波到来方向推定装置によれば、線形予測法により到来方向候補を推定し、それら候補の信号強度を推定する部分には電力推定精度の高いCapon法を用いて、到来方向候補のアンテナ出力電力を算出している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−148324号公報
【非特許文献1】
菊間信良著、「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版、1998年11月、p.173−245
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、Capon法による電力推定演算も必ずしも計算負荷が小さいわけではない。Capon法による角度θにおける電力Pcp(θ)を求める演算は式(1)で表される。
【数1】
ここで、aはモードベクトル、Rxxは到来波信号の相関行列である。a、Rxxは複素ベクトル及び複素行列であるが、複素数演算は計算負荷が高い。そのため高速な処理を実現させるためには複素数演算を削減する必要がある。
【0007】
また、線形予測法とCapon法では精度や分解能に差がある。そのため真の到来方向であったとしても、両者の角度スペクトラムにおいてはスペクトラム強度のピーク位置がずれることがある。特に近接した方向から複数の到来波が受信される場合には、線形予測法では分解可能でもCapon法では分解不可能であるような状況がある。このような場合には、特許文献1に記載の線形予測法とCapon法を組み合わせた手法によっても、到来方向候補の信号強度を正しく推定することができなくなる。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するものであり、複数のアンテナで構成されるアレーアンテナで受信した信号から、高精度かつ小さい計算負荷で到来波の方向(つまり波源の空間的位置)を推定することが可能な到来波推定装置及び到来波推定方法、並びに波源位置推定装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、移動通信や無線LANにおいてはフェージングによって通信品質が劣化することがある。多重波の伝播遅延時間はこのフェージングを特徴付ける重要なパラメータであり、この伝播遅延時間を推定することが重要である(非特許文献、P269−274)。本発明は、波源から得られる信号を基に、高精度かつ小さい計算負荷で多重波の伝播遅延時間(つまり波源の時間的位置)を推定することが可能な波源位置推定装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の到来波推定装置は、到来波から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算手段と、前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出手段と、前記複数のウエイトベクトルを用いて、推定される到来波の方向と信号強度の分布を算出する到来波分布算出手段と、前記推定波源の信号強度に基づいて到来波の方向を判定する到来波判定手段とを有することを特徴とする。
【0011】
さらに本願の請求項2に記載の到来波推定装置は、到来波を受信する複数のアンテナから構成されるアレーアンテナと、前記アレーアンテナで受信した信号を前記入力信号へ変換する受信手段とをさらに有することを特徴とする。
【0012】
また本願の請求項3に記載の到来波推定装置は、到来波分布算出手段が、前記複数のウエイトベクトルの各々から角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出手段と、前記算出した角度スペクトラムを合成して信号強度を推定する信号強度推定手段とを有することを特徴とする。
【0013】
また本願の請求項4に記載の到来波推定装置は、到来波分布算出手段が、前記複数のウエイトベクトルのいずれか1つを用いて角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出手段と、前記角度スペクトラムの極大値を検出して到来波候補とする到来波候補検出手段と、前記複数のウエイトベクトルを用いて、前記到来波候補の信号強度を推定する信号強度推定手段とを有することを特徴とする。
【0014】
本願の請求項5に記載の到来波推定装置は、空間平均演算手段をさらに有することを特徴とする。
【0015】
また、本願の請求項6に記載の到来波推定方法は、到来波から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出工程と、前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算工程と、前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出工程と、前記複数のウエイトベクトルを用いて推定される到来波の方向と信号強度の分布を算出する到来波分布算出工程と、前記推定波源の信号強度に基づいて到来波の方向を判定する到来波判定工程とを有することを特徴とする。
【0016】
また、本願の請求項7に記載の到来波推定方法は、前記到来波分布算出工程に、前記複数のウエイトベクトルの各々から角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出工程と、前記算出した角度スペクトラムを合成して信号強度を推定する信号強度推定工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項8に記載の到来波推定方法は、前記到来波分布算出工程に、前記複数のウエイトベクトルのいずれか1つを用いて角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出工程と、前記算出した角度スペクトラムの極大値を検出して到来波候補とする到来波候補検出工程と、前記複数のウエイトベクトルを用いて前記到来波候補の信号強度を推定する信号強度推定工程とを含むことを特徴とする。
【0018】
また、本願の請求項9に記載の波源位置推定装置は、波源から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算手段と、前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出手段と、前記複数のウエイトベクトルを用いて、推定される波源の空間分布または時間分布を算出する信号強度分布算出手段と、前記推定される波源の信号強度分布に基づいて波源の空間的位置または時間的位置を推定する波源位置判定手段とを有することを特徴とする。
【0019】
また、本願の発明は、多重波の伝播遅延時間を推定する遅延時間推定装置であって、多重波の入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、前記算出した相関行列の逆行列を計算する逆行列算出手段と、前記計算した逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル計算手段と、前記複数のウエイトベクトルを用いて、多重波の伝播遅延時間に対する信号強度の分布を算出する遅延時間分布算出手段と、前記信号強度に基づいて多重波の伝播遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを有することを特徴とする。
【0020】
【発明の作用及び効果】
本発明の到来波推定装置は、到来波から得られる入力信号から相関行列を算出し、算出した相関行列の逆行列を計算する。計算された相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算し、その複数のウエイトベクトルを用いて、推定される到来波の方向と信号強度の分布を算出し、その結果、推定波源の信号強度に基づいて到来波の数とその方向とを判定するものである。
【0021】
一般に固有値計算を必要としない線形予測法はMUSICやESPIRITに比べて計算負荷が小さいことはよく知られている。従来の線形予測法では相関行列の第1列から導かれるウエイトベクトルにより角度スペクトラムを算出し、スペクトラム強度のピークを検出することで到来方向を推定する。しかし、真でない方向、つまり実際には到来しない方向にもピークが検出されることがある。一方、ウエイトベクトルは相関行列の第1列に限らず、どの列成分からでも導出可能であり、相関行列の次数分だけ算出することができる。当然それぞれのウエイトベクトルに対応した角度スペクトラムが算出可能であるが、真でない方向に突出するピークは使用するウエイトベクトルによって出現したり消失したりする。したがって、複数のウエイトベクトルを使用することにより、真でない到来方向のピークを判断することが可能である。本発明はこのことを利用することで、高精度かつ小さい計算負荷で到来波の方向と強度を推定することができる。
【0022】
以上のように本発明は線形予測法を基にしており、MUSICやESPRITで行われる固有値計算を必要としないため高速演算が可能である。また、従来の線形予測法では直接推定することができない受信信号強度を少ない演算量で推定できるため、真の到来方向を高速に検出することができる。
【0023】
ここで、従来の線形予測法と本発明との違いを説明する。
線形予測法では式(2)によってウエイトベクトルを計算し、それを用いて角度スペクトラム(式(3))が計算される。このウエイトベクトルはアレイアンテナの第1素子の信号を第2素子から第M素子の信号を用いて予測し、その予測誤差を最小化することによって導かれたものである。図1に線形予測法による角度スペクトラムの例を示す。図1において真の到来方向は0°と10°であるが、それ以外の方向にもピークが存在することが見て取れる。
【数2】
【0024】
本発明では線形予測法の考え方を拡張して、第K(K=1〜M)素子の信号をそれ以外の素子の信号によって予測することにより複数のウエイトベクトルを算出する。したがって、それぞれのウエイトベクトルから角度スペクトラムを計算することができる。図2に角度スペクトラムを示す。これらの角度スペクトラムには次のような性質がある。
(a)いずれの角度スペクトラムにおいても真の到来方向はピークとして現れる。
(b)真の到来方向でないピークはその強度や位置が角度スペクトラムによって様々に変化する。
したがって、複数のウエイトベクトルから算出される角度スペクトラムを例えば調和平均によって合成すると(図3)、真の到来方向でないものはそのピークが下がり、真の到来方向にあたるピークのみが高いままに残る。また、図3のような合成後の角度スペクトラムには相関行列の持つ情報がほぼすべて含まれているため、従来の線形予測法による角度スペクトラムに比べると、ピークの高さが到来波の電力に対応したものとなっている。
【0025】
また、本発明では算出した複数のウエイトベクトルの全てを使わずとも、例えば1つのウエイトベクトルを用いて角度スペクトラムを求めるようにしてもよい。この場合、求めた角度スペクトラムの極大値を到来波の候補として、候補となった到来波方向の信号強度について複数のウエイトベクトルを用いて求めるようにする。このため、複数の角度スペクトラムを算出することなく、信号強度を到来波候補についてのみ計算するだけでよく、さらに計算負荷を低減することができる。
【0026】
また、算出した相関行列に対して空間平均演算(例えば、Forward-Backward空間平均演算等)を行うことによって、算出すべきウエイトベクトルの個数をほぼ半分にすることができるため、さらに計算負荷を低減することができる。
【0027】
本発明は上記のように、複数のウエイトベクトルを用いることで、高精度かつ小さい計算負荷で真の到来方向を判断することができるという効果が得られるのである。
【0028】
また本発明の波源位置推定装置は、波源から得られる多重波の信号、例えば周波数領域のアレーデータから相関行列を算出し、算出した相関行列の逆行列を計算する。計算された相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算し、その複数のウエイトベクトルを用いて、推定される波源から得られる多重波の信号の遅延時間と信号強度の分布(すなわち時間分布)を算出し、その結果、推定波源の信号強度に基づいて多重波の伝播遅延時間(時間的位置)を推定するものである。
【0029】
本発明の到来波推定装置は、複数のアンテナから構成されるアレーアンテナで受信した信号を入力信号とし、角度スペクトラムを算出しているのに対して、本発明の波源位置推定装置は、一つのアンテナで受信した多重波を入力信号とし、遅延時間スペクトラムを算出している。本発明の波源位置推定装置は、本発明の到来波推定装置と同様にして、複数のウエイトベクトルを用いることで、高精度かつ小さい計算負荷で多重波の伝播遅延時間(時間的位置)を推定することができるという効果が得られるのである。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の到来波推定装置の実施の形態を説明する。
(第1の実施の形態)
図4は本発明の第1の実施の形態の構成要素を示すものである。本発明の到来波推定装置は、到来波を受信するM個のアンテナから構成されるアレーアンテナ10、アンテナからの信号が入力される受信機20、受信信号から相関行列を算出する相関行列算出器30、相関行列の逆行列を算出する逆行列算出器40、ウエイトベクトルを算出するウエイトベクトル算出器50、ウエイトベクトルを用いて角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出器60、複数の角度スペクトラムを合成して到来波の信号強度分布を推定する信号強度推定器70、推定された信号強度によって到来波の方向を判定する到来波判定器80からなる。
【0031】
次に到来波検出の流れを説明する。まず、各アレーアンテナで受信された信号x1〜xMを元に、相関行列算出器30において式(4)により相関行列Rxxが算出される。ただし、Lはスナップショット数である。さらに逆行列算出器40により相関行列の逆行列が算出される。
【数3】
【0032】
次にウエイトベクトル算出器50によって、相関行列の逆行列を基にウエイトベクトルが算出される。本実施の形態ではN個のウエイトベクトル算出器が用意され、式(5)に基づいてi番目のウエイトベクトル算出器がウエイトベクトルWiを算出する。ここでNは相関行列Rxxの次数である。またTiはi番目の成分だけ1で他の成分は0であるベクトルを表す。なお、本実施の形態では複数のウエイトベクトル算出器を用いているが、必ずしも複数である必要はなく1つのウエイトベクトル算出器であってもよい。複数のウエイトベクトルが算出できればよい。
【数4】
【0033】
角度スペクトラム算出器60ではそれぞれウエイトベクトルWiを用いて式(6)により角度スペクトラムPi(θ)が算出される。信号強度推定器70では式(7)に基づき、それぞれの角度スペクトラムPi(θ)が合成される。式(7)は複数の角度スペクトラムを調和平均するものである。これにより、Pi(θ)のいずれか一つで突発的に高い値をとるものが存在しても平均値P(θ)にはあまり影響を及ぼさず、すべてのPi(θ)が高いときに平均値P(θ)も高くなる。したがって、平均値P(θ)が高くなるのはすべてのPi(θ)においてピークをとる真の到来方向のみである。
【数5】
【0034】
到来波判定器80では、信号強度推定器70で算出された平均スペクトラムから信号強度の強いピークを検出し、到来波の方向と信号強度を算出する。
【0035】
(第2の実施の形態)
図5に本発明の第2の実施の形態の到来波推定装置の構成を示す。この構成において角度スペクトラム算出器61は一つであり、新たに到来波候補検出器62が導入される。
【0036】
複数のウエイトベクトルを算出するところまでは第1の実施の形態と同じであるので省略する。角度スペクトラム算出器61において、算出された複数のウエイトベクトルの一つ(ここではW1)を用いて角度スペクトラムPLP(θ)が算出される。到来波候補検出器62は算出された角度スペクトラムの極大値を検出して到来波候補θjとする。信号強度推定器70では検出された到来波候補θjについてのみ、式(7)を使用して信号強度が計算される。到来波判定器80では推定された信号強度を基に到来波候補の中から真の到来波が判定される。
【0037】
本実施の形態では、N個すべての角度スペクトラムを算出する必要がなく、信号強度も到来波候補についてのみ計算するだけでよいので、第1の実施の形態に比べ演算量を削減することができる。
【0038】
尚、本実施の形態では、角度スペクトラムを算出するために、ウエイトベクトルW1を用いているが、他のウエイトベクトルであっても良い。また、一つのウエイトベクトルだけでなく、到来波の候補を検出できればそれ以上の複数のウエイトベクトルを用いるようにしても構わない。
【0039】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態の到来波推定装置の構成を図6に示す。上記実施の形態との違いは、相関行列演算器30と逆行列演算器40との間に空間平均演算器90が加えられることである。
【0040】
この空間平均演算器90では相関行列にForward-Backward空間平均法が施される。Forward-Backward空間平均法は、入力ベクトル(Forwardベクトル:式(8))から計算される相関行列(式(10))と、入力ベクトルの複素共役を取り成分を逆順に並べたベクトル(Backwardベクトル:式(9))から計算される相関行列(式(11))を式(12)に示すように平均する手法である。
【数6】
【0041】
この操作により、信号強度推定器70における式(6)の演算結果には式(13)に示すような関係が成り立つ。そのため、N個すべてのウエイトベクトルを算出する必要はなく、Nが偶数のときにN/2番目まで、Nが奇数のとき(N+1)/2番目までのウエイトベクトルを算出すればよいので、ウエイトベクトル算出器の個数をほぼ半減することができる。さらに、信号強度推定器70における演算も式(14)のように変更できるため、複素数演算もほぼ半減することができるようになる。
【数7】
【0042】
(第4の実施の形態)
図7に本発明の第4の実施の形態に係る波源位置推定装置の構成を示す。本実施の形態の波源位置推定装置は、波源からの信号を受信するアンテナ11、アンテナからの信号が入力される受信機21、受信信号から相関行列を算出する相関行列算出器31、相関行列の逆行列を算出する逆行列算出器41、ウエイトベクトルを算出するウエイトベクトル算出器51、ウエイトベクトルを用いて遅延時間スペクトラムを算出する遅延時間スペクトラム算出器160、複数の遅延時間スペクトラムを合成して信号強度分布を算出する信号強度推定器170、推定された信号強度によって多重波の伝播遅延時間を推定する遅延時間推定器180からなる。
【0043】
ある波源からは、式(15)に示すようなΔfの一定間隔で掃引されたm個の周波数の信号が順次送信される。波源から送信された信号は様々な構造物による反射や回折によって、多重波となってアンテナ11に到来する。アンテナ11は、波源から送信されたm個の周波数の信号を受信する。アンテナ11で受信されたm個の信号x(fi)(i=1,…,m)が、受信機21から、相関行列算出器31に渡され、式(16)により相関行列Rxxが算出される。
【数8】
【0044】
以降の手順は第1の実施の形態と同様である。第1の実施の形態では、角度スペクトラム算出器60において角度スペクトラム(横軸−角度、縦軸−スペクトラム強度)を算出したのに対し、本実施の形態では遅延時間スペクトラム算出器160において遅延時間スペクトラム(横軸−遅延時間、縦軸−スペクトラム強度)を算出する。そして、算出した各遅延時間スペクトラムを信号強度推定器170において合成(調和平均)する。遅延時間推定器180では、算出された平均スペクトラムから信号強度の強いピークを算出し、遅延時間と信号強度を算出する。このように、複数のウエイトベクトルを用いて、遅延スペクトラムを算出することで、高精度かつ小さい計算負荷で多重波の伝送遅延時間を推定することが出来る。
【0045】
なお、本実施の形態の波源位置推定装置は、多重波の入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、前記算出した相関行列の逆行列を計算する逆行列算出手段と、前記計算した逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル計算手段と、前記複数のウエイトベクトルを用いて、多重波の伝播遅延時間に対する信号強度の分布を算出する遅延時間分布算出手段と、前記信号強度に基づいて多重波の伝播遅延時間を算出する遅延時間算出手段とを有することを特徴とする多重波の伝播遅延時間を推定する遅延時間推定装置とも言い換えることができる。
【0046】
また、本発明の到来波推定装置及び到来波推定方法、並びに波源位置推定装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来技術の線形予測法による角度スペクトラムの例を示す図。
【図2】 本発明の第1の実施の形態の複数ウエイトベクトルによる角度スペクトラムを示す図。
【図3】 本発明の第1の実施の形態の複数ウエイトベクトルによる角度スペクトラムを合成した角度スペクトラムを示す図。
【図4】 本発明の第1の実施の形態の構成を表すブロック図。
【図5】 本発明の第2の実施の形態の構成を表すブロック図。
【図6】 本発明の第3の実施の形態の構成を表すブロック図。
【図7】 本発明の第4の実施の形態の構成を表すブロック図。
Claims (9)
- 到来波から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、
前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算手段と、
前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出手段と、
前記複数のウエイトベクトルを用いて、推定される到来波の方向と信号強度の分布を算出する到来波分布算出手段と、
前記推定される到来波の信号強度に基づいて到来波の方向を判定する到来波判定手段と
を有することを特徴とする到来波推定装置。 - 到来波を受信する複数のアンテナから構成されるアレーアンテナと、
前記アレーアンテナで受信した信号を前記入力信号へ変換する受信手段と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の到来波推定装置。 - 前記到来波分布算出手段は、
前記複数のウエイトベクトルの各々から角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出手段と、
前記算出した複数の角度スペクトラムを合成して信号強度を推定する信号強度推定手段と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の到来波推定装置。 - 前記到来波分布算出手段は、
前記複数のウエイトベクトルのいずれか1つを用いて角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出手段と、
前記算出した角度スペクトラムの極大値を検出して到来波候補とする到来波候補検出手段と、
前記複数のウエイトベクトルを用いて前記到来波候補の信号強度を推定する信号強度推定手段と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の到来波推定装置。 - 空間平均演算手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の到来波推定装置。 - 到来波から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出工程と、
前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算工程と、
前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出工程と、
前記複数のウエイトベクトルを用いて、推定される到来波の方向と信号強度の分布を算出する到来波分布算出工程と、
前記推定される到来波の信号強度に基づいて到来波の方向を判定する到来波判定工程と
を有することを特徴とする到来波推定方法。 - 前記到来波分布算出工程は、
前記複数のウエイトベクトルの各々から角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出工程と、
前記算出した複数の角度スペクトラムを合成して信号強度を推定する信号強度推定工程と
を含むことを特徴とする請求項6に記載の到来波推定方法。 - 前記到来波分布算出工程は、
前記複数のウエイトベクトルのいずれか1つを用いて角度スペクトラムを算出する角度スペクトラム算出工程と、
前記算出した角度スペクトラムの極大値を検出して到来波候補とする到来波候補検出工程と、
前記複数のウエイトベクトルを用いて前記到来波候補の信号強度を推定する信号強度推定工程と
を含むことを特徴とする請求項6に記載の到来波推定方法。 - 波源から得られる入力信号から相関行列を算出する相関行列算出手段と、
前記相関行列の逆行列を計算する逆行列計算手段と、
前記相関行列の逆行列から複数のウエイトベクトルを計算するウエイトベクトル算出手段と、
前記複数のウエイトベクトルを用いて、推定される波源の空間分布または時間分布を算出する信号強度分布算出手段と、
前記推定される波源の信号強度分布に基づいて波源の空間的位置または時間的位置を推定する波源位置判定手段と
を有することを特徴とする波源位置推定装置。
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