JP2007271396A - 到来波推定方法および装置 - Google Patents

到来波推定方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】到来波の到来方向および広がり角を精度よく推定する。
【解決手段】受信アンテナ素子10−1〜10−Kによって受信された到来波は、受信部12,A/D変換器14を介し、受信信号ベクトルとして信号処理装置16に供給される。信号処理装置16は、供給される受信信号ベクトルから、角度広がりおよび位相変化を考慮した積分型モードベクトルを求め、これからCapon法にて到来方向および広がり角を求める。
【選択図】図1

Description

本発明は、到来波をアレーアンテナで受信し、得られる受信信号ベクトルに基づいて、到来波の到来方向を推定する到来波推定に関する。
アレーアンテナを利用するレーダ装置においては、受信信号ベクトルに基づいて到来波の到来方向を推定する方法として、DBF、Capon、MUSIC、ESPRITなどの手法が知られている。
また、広がりをもつ到来波の到来方向をCapon法で推定する場合に、微係数拘束条件を加えることにより受信波の到来方向を精度良く推定する技術についての提案がある(非特許文献1参照)。さらに、角度範囲の広がりをもつ到来波を考慮した積分型モードベクトルを適用したMUSIC法によって、到来方向と広がり角をどちらも推定できるようにした技術についての提案もある(非特許文献2)。
David Asztely, Bjorn Ottersten, and A. Lee Swindlehurst, "A generalized array manifold model for local scattering in wireless communications," Proc. IEEE ICASSP'97, pp.4021-4024, Apr. 1997. 堀田浩之,菊間信良,榊原久二男,平山裕, "微分型及び積分型モードベクトルを用いたMUSIC法による到来方向と角度広がりの推定に関する比較検討," 電気情報通信学会論文誌 B, Vol.J87-B, No.9, pp.1414-1423, Sep. 2004.
上述したDBF、Capon、MUSIC、ESPRITなどの到来方向推定技術は、モードベクトルに到来波の角度広がりを考慮していない。このため、到来波の到来方向(方位)は推定できるが、広がり角を推定できない。また、角度広がりのある到来波の到来方向推定結果の精度は、角度広がりの無い到来波の到来方向を推定した場合よりも劣化する。
また、非特許文献1に記載の技術では、到来波に角度広がりがある場合でも到来方向推定精度が劣化しないように微係数拘束条件を利用している。しかし、この非特許文献1において利用されるモードベクトルも角度広がりを考慮したものではなく、従って到来方向を推定するのみで広がり角の推定はできなかった。
一方、非特許文献2では、モードベクトルを到来波の角度広がりを考慮した積分型モードベクトルとし、これを従来のモードベクトルと置き換えたためMUSIC法により到来方向と広がり角を推定する。この方法は、解像度が高いMUSIC法を用いているため、接近した複数の到来波を分離して推定する能力が高い。しかし、その能力のために到来波を構成する素波が狭い間隔で連続して存在していない状態では複数の素波を分離して検出してしまい、到来波の広がり角を正確に推定できなくなるという問題があった。
また、MUSIC法では到来波数をあらかじめ正確に推定する必要があり、これを正しく推定できなければ到来方向や広がり角も正しく推定できない。例えば、到来波が1波でもそれを構成する素波を2つのグループに分離した場合には、到来波を2波としなければ正確に推定できない。ここで、この到来波の推定は、一般的に自己相関行列を固有値展開して得られる固有値の大きさから推定するが、信号電力が雑音電力に比べてあまり大きくなかったり、観測時間が短いために素波間の相関が高くなってしまったりすることが多い現実の測定環境ではこの到来波数の推定が極めて難しいという問題がある。
さらに、到来波を構成する素波の位相が各々異なる場合には、素波の位相が全て同じと仮定しているモードベクトルとの差異により、波数推定や到来方位推定精度が劣化するという問題が生じる。特に、移動通信や移動体に搭載するレーダのように周辺環境が時々刻々と変化する状況では、素波の位相が様々に変化するため、この問題は極めて顕著に現れる。
本発明は、到来波をアレーアンテナで受信し、得られる受信信号ベクトルに基づいて、到来波の到来方向を推定する到来波推定方法であって、Capon法のモードベクトルを到来波の角度範囲の広がりを考慮した積分型モードベクトルとし、到来波の到来方向および広がり角を推定することを特徴とする。
また、前記積分型モードベクトルを到来波を構成する素波の位相変化を考慮した積分型モードベクトルとすることが好適である。
また、前記Capon法における推定について微係数拘束条件を加えて行うことが好適である。
また、前記微係数拘束のウエイトが任意に変えられることが好適である。
また、前記受信信号ベクトルから自己相関行列を作成するとともに、この自己相関行列に対して、擬似雑音を加えて逆行列演算を行うことが好適である。
また、本発明は、上述のような到来波推定方法を利用して、到来波の到来方向および広がり角を推定する到来波推定装置に関する。
なお、到来波をアレーアンテナで受信し、アレーアンテナの受信波に基づいて、到来波の到来方向を推定する到来波推定方法において、到来波を構成する素波の角度広がりおよび振幅または位相変化を考慮した積分型モードベクトルを用いて、到来波の到来方向および広がり角を推定することも好適である。
到来波推定の手段として、Capon法を用いたことにより、到来波数の推定が不要になり、また分解能の低下により到来波を構成する素波が不必要に分離されることがない。このため、到来波数をあらかじめ正確に推定する必要がなく、到来波を構成する素波の数が減少した場合でも正確に到来方向や広がり角を推定できる。
また、積分型モードベクトルに振幅または位相項を付加して拡張し、到来波を構成する素波の振幅または位相情報を含めたモードベクトルとすることにより、到来波を構成する素波の振幅や位相が同一でなくそれぞれ異なっていても、方位または広がり角を正確に推定できる。
また、Capon法で方位や広がり角を推定するときに微係数拘束条件を加えることにより、さらに素波が不必要に分離し難くなり、素波の数や振幅、位相などが変化しても方位や広がり角の推定に与える影響が小さくなる。従って、到来波を構成する素波の振幅や位相が様々に変化する状況でも、それらの変動の影響を受け難くなり到来波の到来方向および広がり角を正確に推定できる。
ここで、微係数拘束付積分型Capon法では、微係数拘束を利用しない積分型Capon法よりも方位推定精度が劣化する場合がある。これは微係数拘束の影響が強すぎることが原因であり、微係数拘束のウエイトを任意に変えられるようにすることにより、方位推定精度が最良となるウエイトを設定することが可能となる。一方、広がり角推定では微係数拘束のウエイトを重くすると精度が良くなる傾向がある。このため、方位と広がり角の推定精度がどちらも望ましくなるようにウエイトを最適に設定することにより、方位の推定精度を向上させながら広がり角の精度劣化を抑えることが可能になる。
また、到来波を構成する素波の相関が非常に高かったり、観測時間や回数が少なかったりすると自己相関行列が正則にならない。しかし、この自己相関行列の対角成分に擬似雑音を加えることにより、自己相関行列を正則にでき、そのような状況でも、自己相関行列に擬似雑音を加えることにより逆行列演算を行うことが可能になる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態に係る到来波推定を行う受信装置の構成を示すブロック図である。K本の受信アンテナ素子10−1〜10−Kには、受信部12−1〜12−Kがそれぞれ接続されている。従って、到来波はK本の受信アンテナ素子10−1〜10−Kによってそれぞれ受信され、受信部12−1〜12−Kから受信信号がそれぞれ出力される。受信部12−1〜12−Kには、A/D変換器14−1〜14−Kがそれぞれ接続されており、受信部12−1〜12−Kからのアナログの受信信号はA/D変換器14−1〜14−Kによってデジタル受信信号x1〜xKに変換される。A/D変換器14−1〜14−Kからのデジタル受信信号x1〜xKからなる受信信号ベクトル(x1,x2,x3、・・・,xK)は、信号処理装置16に入力される。信号処理装置16は、入力される受信信号ベクトル(x1,x2,x3、・・・,xK)について、演算処理を行い、到来波の到来方向および広がり角を算出する。
「到来波の到来方向と広がり角の推定」
ここで、信号処理装置16における到来波の到来方向と広がり角の推定について、以下に説明する。
本実施形態においては、素波の振幅と位相の角度分布を考慮した積分型モードベクトルを適用したCapon法により、到来波の到来方向と広がり角の推定を行う。
まず、図2に示すように、受信アンテナが配置された環境に角度広がりのある到来波が到来したと仮定する。
ここで、到来波の中心方位はθ、広がり角はΔθとする。また、到来波はM個の素波からなり、各素波の振幅はAm、位相はφmとする。また、素波の到来波の中心方位θを基準とした角度をθmとする。また、図2においては、受信アンテナ素子10−1が受信している状態を示している。受信アンテナ素子10間の間隔はdであり、各受信アンテナ素子10によって受信される到来波はこの間隔dおよび到来波方位に応じて位相が変化する。
「到来波が1波しかないとした場合の受信信号」
図2のような到来波を図1に示したような受信装置によって受信した場合の、各受信アンテナ素子10から得られるチャネルごとの受信信号x1〜xKは次式(数1)のように表される。なお、下式においては、ベクトルを太字で表す(以下同じ)が、文字コードで表す明細書中の文章には太字が使用できないため、通常フォントを使用する。また、nはノイズベクトルである。
「波源の広がりを考慮しない従来のモードベクトル」
また、到来波の広がりを考慮していない場合、モードベクトルaは到来方位θのみを用いて受信アンテナ素子10−1を位相基準として次式(数2)のように表される。
ここで、kは受信アンテナ素子10の番号であり、各受信アンテナ素子10における受信波の位相は、1番目の受信アンテナ素子10−1に対し、(2π/λ)d(k−1)sinθだけずれる。また、Tは転置、dは受信アンテナ素子間隔、λは到来波の波長を示す。
「角度広がりと素波の振幅変化を考慮した積分型モードベクトル」
上述した非特許文献2における到来波を構成する素波の振幅を与えた積分型モードベクトルは次式(数3)のように表される。なお、波源は、波源分布内で連続的に無数に存在すると仮定している。
ここで、Amは素波の振幅、v(θ)は角度に依存した素波の振幅である。
上記式において、1段目は支配的な素波がM個に限られている場合であり、2,3段目は素波が連続的に存在する場合を仮定している。
「角度広がりと素波の振幅と位相変化を考慮した積分型モードベクトル」
振幅や位相の与え方の一例として、広がりのある到来波の発生状況から推測して与えることが考えられる。そこで、下式で示される新たなモードベクトルを考える。
ここで、φmは素波の位相、p(θ)は角度に依存した素波の位相である。
なお、数4において、上記数3と同様に1段目は支配的な素波がM個に限られている場合であり、2、3段目は素波が連続的に存在する場合を仮定している。
「Capon法の角度スペクトラム」
そして、本実施形態では、上述の角度とその位相変化考慮した積分型モードベクトルを従来から存在するCapon法に適用する。この場合、本モードベクトルは、従来の到来波の広がりを考慮していないモードベクトルや広がりと素波の振幅を考慮した積分型モードベクトルに単純に置き換えて利用できる。
このようにして、上述した角度とその位相変化考慮した積分型モードベクトルをCapon法に適用した場合における、受信信号から到来方位と広がり角を推定する角度スペクトラムの導出式を次式(数5)に示す。
ここで、Hは複素共役転置を示す。
この式に示すように、自己相関行列Rxxとモードベクトルa(θ)から、角度スペクトラムを計算することができる。そして、θ,Δθを変化させたときのピークの位置から到来方位θおよび広がり角Δθを推定することができる。なお、ピーク高さが電力推定値となる。この計算は上述の通り、従来のCapon法と同じに到来方向および広がり角について感度が一定という条件の下にそれ以外の信号の干渉を最小化する拘束付き最小化法になっている。
「擬似雑音を加えた相関行列」
観測時間が短くて受信信号ベクトルが1つしかないなどの理由で自己相関行列が正則でない場合がある。この場合に、次式(数6)に示すように自己相関行列に擬似雑音を加えることにより逆行列演算ができるようになる。
ここで、σ2は擬似雑音の電力である。このようにすれば上述のCapon法の角度スペクトラムも計算できる。
「推定結果の例」
上述のようにして得られた、位相を考慮した積分型モードベクトルを適用したCapon法による、広がりのある到来波の到来方向および広がり角推定結果の一例について説明する。
すなわち、到来波を構成する素波の位相変化を到来波の広がりの範囲において−45°〜45°で変化させた場合の推定結果を示す。
まず、設定値として、次のようなものを採用した。
到来波数:1、到来波の到来方向θ:0°、到来波の広がり角Δθ:3.6°、素波数M:3〜15、到来波の広がり角に対する振幅変化:ガウス分布、到来波の広がり角に対する位相変化:−45°〜45°、受信アンテナ素子配置:直線状アレーアンテナ、受信アンテナ素子数K:9、受信アンテナ素子間隔:1波長である。
従って、図3に示すように、到来波の広がり角に対する位相変化は、図2に示すθm=1.8°では素波の位相p(θ)は45°、θm=−1.8°では素波の位相p(θ)は−45°であり、その間について直線的関係となっている。
そして、モードベクトルについて、次のように位相変化を与えた場合における、到来方向推定結果および広がり角推定結果(素子数別)を図4,5に示す。ここで、#1:位相変化なし(従来の積分型モードベクトル)、#2:−18°(@−Δθ/2)〜18°(@Δθ/2)、#3:−45°(@−Δθ/2)〜45°(@Δθ/2)、#4:−90°(@−Δθ/2)〜90°(@Δθ/2)、#5:−180°(@−Δθ/2)〜180°(@Δθ/2)である。
このように、到来波数を推定する必要がないため、素波数にかかわらず到来方向、広がり角のどちらも安定して推定できることがわかる。また、位相を考慮した積分型モードベクトルに与えた位相が到来波の位相変化と同じである場合の推定結果が最も精度良く推定できていることが分かる。それに対して位相を考慮しない従来の積分型モードベクトルを用いた場合は特に広がり角の推定で誤差が大きいことが分かる。さらに、本実施例では、到来波が1波の場合を仮定したが、従来の到来方向推定と同様に、到来波が複数となった場合でも、分離して推定することが可能である。
なお上記の結果において「位相変化なしの場合」は、位相を考慮しない場合における積分型モードベクトルを適用したCapon法と同じである。
なお、上述した位相を考慮したモードベクトルは、Capon法だけでなくDBF法、LP法、MUSIC法やESPRIT法などの良く知られる各種の到来方向推定手段にも同様に適用して、到来波の到来方向または広がり角を推定することが可能である。
さらに、上記自己相関行列に擬似雑音を加える手法は、MUSIC法やESPRIT法のように自己相関行列の固有値・固有ベクトル展開が必要となる場合にも同様に適用できる。
「積分型モードベクトルを適用した微係数拘束条件を加えたCapon法(微係数拘束付積分型Capon法)による到来波の到来方向と広がり角の推定」
この例では、微係数拘束条件を加えて、素波同士の位相変化の影響などを抑制する。上述の場合と同様に、到来波の広がりを考慮し、到来波を構成する素波の振幅を与えた積分型モードベクトルは上述した数3のように表される。1段目は支配的な素波がM個に限られている場合であり、2、3段目は素波が連続的に存在する場合を仮定している。
そして、微係数拘束条件を加えて積分型モードベクトルをCapon法に適用した場合における、受信信号から到来方向と広がり角を推定する角度スペクトラムの導出式を次式(数7)に示す。
ここで、*は複素共役を示す。
このような微係数拘束条件を加えた角度スペクトラムの導出式を利用して、上述と同様の演算によって、到来波の到来方向および広がり角を推定することができる。
また、上述の場合と同様に、観測時間が短くて受信信号ベクトルが1つしかない場合には、自己相関行列に擬似雑音を加えることで、演算対象となる行列を正則にできる。
ここで、積分型モードベクトルを適用した微係数拘束条件を加えたCapon法による、広がりのある到来波の到来方向および広がり角推定結果の一例について、位相を考慮しない積分型モードベクトルを適用したCapon法の結果と比較して図6,7に示す。
ここで、設定値は、次の通りである。到来波数:1、到来波の到来方向θ:0°、到来波の広がり角Δθ:3.6°、素波数M:3〜15、到来波の広がり角に対する振幅変化:ガウス分布、到来波の広がり角に対する位相変化:−45°〜45°、受信アンテナ配置:直線状アレーアンテナ、受信アンテナ素子数K:9、受信アンテナ素子間隔:1波長。
このように微係数拘束条件を加えたCapon法を用いた結果は単にCapon法を用いた結果よりも到来方向推定精度が若干劣化したが、推定誤差0.5°以下を維持しており、広がり角推定精度は向上している。なお、どちらの推定法も位相を考慮しない積分型モードベクトルを用いている。
これより、微係数という拘束条件を設けたことにより、到来波を構成する素波の位相変化とモードベクトルの位相変化の違いによる推定結果への悪影響を吸収できていることがわかる。この例では、位相を考慮しない数3をモードベクトルに用いたが、当然数4でも同様の効果が得られる。
「微係数拘束のウェイトの変更」
上述のように、微係数拘束条件を加えることで、図6、7に示されるように、推定の精度を向上することができる。ここで、別の評価結果を図8(a)、(b)に示す。図8(a)が広がり角推定結果、図8(b)が到来方向推定結果である。
このグラフの縦軸は、図4〜図7とは違い到来波の広がり角に対する位相変化を乱数で100回試行による2乗平均平方根誤差(RMSE)で表している。この評価は、到来波の広がり角に比例して−45°〜45°で線形に変化させて与えていた素波の位相を、任意の乱数でランダムに与えたものである。これらの結果から「微係数拘束付積分型Capon法」の推定精度を「積分型Capon法」と比較すると、微係数拘束付積分型Capon法では、到来波を構成する素波数によらず、広がり角推定では推定精度は良くなり、到来方向推定ではほぼ同等の精度が得られていることが分かる。
なお、この評価の際の設定値は、次の通りである。到来波数:1、到来波の方位θ:0°、到来波の広がり角Δθ:3.6°、素波数M:3〜15、到来波の広がり角に対する素波の振幅変化:ガウス分布、到来波の広がり角に対する素波の位相変化:任意(乱数)、受信アンテナ配置:直線状アレーアンテナ、受信アンテナ素子数K:9、受信アンテナ素子間隔:1波長、試行回数:100回。
図8のような結果となる理由について検討した結果ところ、次のことが分かった。上記の2種類の推定法は、どちらも到来方向推定に用いる角度スペクトラムの走査において凸型のカーブを描き、そのピークから推定方位を得ている。しかし、図9に示すように、微係数拘束付積分型Capon法では微係数が0となる極値を拘束条件として利用しているために、到来波の振幅や位相等の状況によっては、ピーク付近において凹型のカーブを描いてしまい、極値周辺のピークから推定方位を得るために推定誤差が大きくなる場合がある。そのため、微係数拘束付積分型Capon法の到来方向推定精度が積分型Capon法よりも劣化する場合があり、RMSEは良くならなかった。
そこで、本実施形態においては、広がり角推定で積分型Capon法よりも良い精度が得られるという特徴を維持しながら、この極端に精度が劣化した到来方向推定を行わないことを目指している。
ここで、積分型モードベクトルを利用するとともに角度スペクトラムの走査に微係数拘束を加えてCapon法に適用した微係数拘束付積分型Capon法における、受信信号から到来方向と広がり角を推定する角度スペクトラムの導出式は、上述した数7のように表される。
一方、微係数拘束のウエイトを変えられることを特徴とした微係数軟拘束付積分型Capon法における、受信信号から到来方向と広がり角を推定する角度スペクトラムの導出式を次式(数8)に示す。
ここで、αは微係数拘束のウェイトである。そこで、この数8の式(1)におけるウェイトαの値を変化することにより、微係数拘束のウエイトを変化することができる。なお、微係数拘束付積分型Capon法では、D(θ,Δθ)=0となる極値を、θやΔθを推定する拘束条件としており、上述の数7における行列Cの中のD(θ,Δθ)にウェイトをかけても、結果としてαが推定において考慮されないことになる。
また、数8において、逆行列の部分を展開することにより式(2)を得ることができる。
式(1)では逆行列演算内にθとΔθの成分が存在するため、角度スペクトラムを求める場合にθおよびΔθを変化させる度に逆行列演算を行う必要があり、従来の方法と比較して非常に計算コストが高くなる。
一方、式(2)では自己相関行列の逆行列のみを求めれば良く、逆行列演算内にθとΔθを含まないため、計算コストは従来の微係数拘束付積分型Capon法と変わらず、現実的な計算コストで、演算が可能になる。
なお、観測時間が短くて受信信号ベクトルが1つしかないなどの理由により、自己相関行列が正則でなく逆行列が計算できない場合もあるが、上述の数6に示すように、自己相関行列に擬似雑音を加えることにより逆行列演算ができるようになる。
「推定結果」
本実施形態による、微係数軟拘束付(ウェイト変更可能)積分型Capon法による、角度広がりを有する到来波の到来方向および広がり角推定を計算機シミュレーションで実施した。その一例の条件と結果を、積分型Capon法および微係数拘束付積分型Capon法と比較して図10(a)、(b)に示す。なお、図9(a)、(b)において、微係数軟拘束付Capon法の結果は、信号内のノイズレベルや擬似雑音のレベルによって異なり、およそ、それらのレベルに対して1/100〜1/1000程度とすることが望ましい。ここでは一例としてα=5×10-6,α=9×10-6とした結果を示す。
これらの結果から、本実施形態に係る微係数軟拘束付積分型Capon法は、到来波を構成する素波数によらず、広がり角の推定精度の劣化をある程度抑えて積分型Capon法よりも良いという特徴を維持しながら、到来方向推定精度は積分型Capon法や微係数拘束付積分型Capon法よりも向上できていることが分かる。また数8のウエイトαを変化することにより、到来方向と広がり角の推定精度が変化していることも分かる。
入力信号に含まれる雑音や擬似雑音のレベルよりもα|D|の大きさが小さいと推定にほとんど影響を与えないため、積分型Capon法と同様の結果となるウエイトαは、雑音レベル、スナップショット数、擬似雑音レベル等に基づいて最適に設定されることが望ましい。なお、|D|は、Dのノルムを示す。
ここで、微係数軟拘束付積分型Capon法において計算された、到来方向推定の角度スペクトラムの例を図11に示す。このときの設定値は、次の通りである。到来波数:1、到来波の方位θ:0°、到来波の広がり角Δθ:3.6°、素波数M:9、到来波の広がり角に対する素波の振幅変化:ガウス分布、到来波の広がり角に対する素波の位相変化:任意(乱数)、受信アンテナ配置:直線状アレーアンテナ、受信アンテナ素子数K:9、受信アンテナ素子間隔:1波長。
微係数拘束付積分型Capon法では微係数拘束が強いため、すでに図9に示したように方位推定で用いる角度スペクトラムがピークを描かず凹型の極値を示してしまう場合がある。この場合到来方向は、極値の周辺のピークから導いてしまうため、凹型となると推定精度が劣化する。
一方、本実施形態に係る微係数軟拘束付積分型Capon法では、微係数のウエイトを調整する。これによって、図11に示したように最適な角度スペクトラムのピークが得られており、より到来方向の推定精度を向上させることが可能になっていることが分かる。
受信装置の構成を示すブロック図である。 角度広がりのある到来波のモデルを示す図である。 到来波の広がり角に対する素波の位相変化を示す図である。 素波の位相変化を考慮した到来方向推定結果を示す図である。 素波の位相変化を考慮した広がり角推定結果を示す図である。 微係数拘束条件を加えた場合の到来方向推定結果を示す図である。 微係数拘束条件を加えた場合の広がり角推定結果を示す図である。 微係数軟拘束条件を加えた場合の広がり角および到来方向の推定結果を示す図である。 微係数軟拘束条件を加えた場合の広がり角および到来方向の別の推定結果を示す図である。 計算された角度スペクトラムの例を示す図である。 計算された角度スペクトラムの他の例を示す図である。
符号の説明
10 受信アンテナ素子、12 受信部、14 A/D変換器、16 信号処理装置。

Claims (6)

  1. 到来波をアレーアンテナで受信し、得られる受信信号ベクトルに基づいて、到来波の到来方向を推定する到来波推定方法であって、
    Capon法のモードベクトルを到来波の角度範囲の広がりを考慮した積分型モードベクトルとし、到来波の到来方向および広がり角を推定することを特徴とする到来波推定方法。
  2. 請求項1に記載の到来波推定方法において、
    前記積分型モードベクトルを到来波を構成する素波の振幅または位相変化を考慮した積分型モードベクトルとしたことを特徴とする到来波推定方法。
  3. 請求項1または2に記載の到来波推定方法において、
    前記Capon法における推定について微係数拘束条件を加えて行うことを特徴とする到来波推定方法。
  4. 請求項3に記載の到来波推定方法において、
    前記微係数拘束のウエイトが任意に変えられることを特徴とする到来波推定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の到来波推定方法において、
    前記受信信号ベクトルから自己相関行列を作成するとともに、この自己相関行列に対して、擬似雑音を加えて逆行列演算を行うことを特徴とする到来波推定方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の到来波推定方法を利用して、到来波の到来方向および広がり角を推定する到来波推定装置。
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