以下、本発明の実施の形態について、図1から図5を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る無線通信装置の構成を示すブロック図である。図1に示す無線通信装置において、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子1−1〜Nにて受信された高周波信号は、各アンテナ素子1−1〜Nに設けられた無線受信部2−1〜Nにおいて、高周波増幅、周波数変換、直交検波およびA/D変換が順次施され、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号3−1〜Nが生成される。ただし、Nはアンテナ素子数である。
相関演算部4―1〜Nの各々には、ベースバンド信号3−1〜Nがそれぞれ対応して入力される。パイロット信号発生部5は受信信号にあらかじめ埋め込まれた既知信号(以下パイロット信号)を生成する。相関演算部4―1〜Nはパイロット信号との相互相関演算を行う。例えば、W−CDMA通信方式の場合には、スクランブリング符号及びチャネライゼーション符号による逆拡散処理後に、フレーム毎に埋め込まれたパイロット信号との相関演算を行う。ここで、パイロット信号をr(s)とする。ただし、s=1〜Npであり、Npはパイロット信号のシンボル数とする。第m番目の相関演算部4−mは、第m番目のベースバンド信号3−m(以下、xm(t)と表す。なお、tはサンプルタイミングを表す。)に対し、(数1)に示す相関演算を、パスサーチを行う時間範囲内のサンプル数Tsに相当する回数だけ、相関演算を開始するサンプルタイミングpを1からTsまで変化させ、各サンプルタイミングのパイロット相関値hm(p)を算出する。Noはシンボルに対するオーバーサンプル数である。なお、*は複素共役を示す。これにより、サンプルタイミングpを相関演算の開始点とするm番目のアンテナ素子1−mでのパイロット信号相関値hm(p)が得られる。以上の動作を、すべてのアンテナ素子1−1〜Nで受信されたベースバンド信号3―1〜Nに対して行う。
パス検出部6は、各相関演算部4−1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)を基に遅延プロファイルを生成し、所定数L個の電力上位パスを選択し、選択されたパスのタイミングを出力する。ここで、p=1〜Ts、m=1〜Nである。なお、遅延プロファイルは、1)各アンテナ素子1―1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)の絶対値あるいは2乗を同じタイミング毎に合成する方法、あるいは、2)指向性ビーム形成する重みを同じタイミングのパイロット相関値に乗算後、加算し、その絶対値あるいは2乗をとることで複数の遅延プロファイルを生成する方法、さらにはそれらを合成する方法により生成する。
パス相関値合成部7は、検出されたL個のパスうち、第k番目のパスのタイミング情報をpkとして表すと、(数2)に示すようにパス相関値を合成する相関行列Rを出力する。ここでkは1からLの自然数、Hは複素共役転置を表す。また、Vkは(数3)に示すように第k番目のパスの検出タイミングであるpkにおける相関演算部4−1〜Nで得られるパイロット相関値hm(pk)を要素とする相関ベクトルを表す。(mは1からNまでの自然数)ただし、Tはベクトル転置を表す。相関ベクトルVkは、アレーアンテナ1の空間的な配置に起因する位相情報が含まれるため、(数3)のみからでも、到来パスの方向を推定することが可能であるが、本実施の形態においては、それぞれのパスから得られる相関ベクトルVkを合成した相関行列を生成することで、複数パスの平均的な到来方向を推定することが可能となる。複数パスがある角度広がりをもって到来する場合、パスあたりの電力が小さい場合でも、それらの複数パスの到来方向情報をベクトル加算した後に、方向推定を行うため、本構成によりフェージング変動下でも到来方向推定精度を確保することができる。
なお、シンボルレート、あるいはチップレートに対し、オーバーサンプル処理している場合、パス検出部6において、検出された到来パス受信タイミングに隣接するサンプルでも、アレーアンテナ1の空間的な配置に起因する位相情報がある程度保存されており、それらを加えた相関行列を生成しても良い。その場合の相関行列R2を(数4)に示す。(数4)では、k番目の到来パス受信タイミングpkに、前後に隣接する所定サンプル数Tの相関ベクトルを加えた相関行列を算出しており、パス全体としては、L×(2T+1)タイミングの相関ベクトルを加算している。これにより、演算量は増加するが、パス数が少なくても相関行列のランク数がフルランクとなりやすく、高分解能到来方向推定アルゴリズムの適用が容易になる。また、到来パスの電力が小さい場合でも、隣接タイミングでの相関ベクトルを加算することで推定精度が向上するといった効果が得られる。
到来方向推定部8は、(数6)に示す到来方向推定評価関数F(θ)におけるθを所定の角度ステップΔθで可変することで角度スペクトラムを算出し、角度スペクトルのピークレベルの高い順に所定数Nd(Nd≧1)のピーク方向を検出し、到来方向推定値とする。ただし、a(θ)はアレーアンテナ1の素子配置で決まる方向ベクトルであり、例えば素子間隔dの等間隔直線アレーの場合、(数7)のように表すことができる。ここで、λは搬送波の波長であり、θはアレーの法線方向を0°方向としている。また、Hは複素共役転置を表す。
図2はアレー素子数N=8、パス数L=2(等レベル2パス条件)の場合の角度スペクトラム算出結果を示す。図2(a)はパス1の到来角度θ1=20°、パス2の到来角度θ2=−20°の結果であり、図2(b)はθ1=5°、パス2の到来角度θ2=−5°の結果である。(数6)で示す到来方向推定はビームフォーマ法と呼ばれるものであり、アレーウエイトW=aH(θ)により形成されるアレーアンテナ1のビーム幅より、複数パスの到来角度が十分離れている場合はそれぞれのパス方向に対するピークを検出することができる(図2(a))。また、複数パスの到来角度が近接している場合(図2(b))、パス数に比べ少ないピーク数をもつ角度スペクトルが得られる。この場合のピーク方向は、複数パスの合成電力が最大となるステアリングビーム方向となる。
算出された角度スペクトラムにおいて、1)ピーク位置が一つの場合(=θ1)は、すべてのパスの到来方向推定値は、θ1とする。2)ピーク位置が複数存在する場合は、最大レベルのピーク位置φ1及び最大レベルから所定範囲内にあるピークレベルのピーク位置φ2、φ3、...、φMをパス到来方向推定値の候補とする。ここで、M≦Lである。第k番目パスが複数ピーク位置φsのいずれに属するかを、アレーアンテナ1の方向ベクトルa(θ)、および相関ベクトルVkを用いて表せる(数8)により判定する。ただし、sは1からMの自然数である。(数8)での判定の結果、最大値を与えるパス方向を第k番目のパスの到来方向推定値θkとする。
以上のような動作により、到来パスの方向推定が可能となる。以降では、到来パスに対する指向性受信制御について、CDMA通信方式を用いる場合を例にして説明する。
逆拡散部9−1〜Lは、各アンテナ1−1〜Nに到来するL個のマルチパス成分(以下、第1パス〜第Lパスとする。)に対して逆拡散処理を行う。つまり、逆拡散部9−1〜Lは、パス検出部6で検出されたパスタイミング情報を基に、アンテナ1−1〜Nに到来する各パスの受信タイミングに合わせて逆拡散処理を行う。これにより、アンテナ1−1〜Nからパス数分に分配して接続されたパスpに対する逆拡散部9−p−1〜Nでは、アンテナ1−1〜Nで受信された第pパスの信号がそれぞれ取り出される。ただし、p=1〜L、Nはアンテナ素子数である。
パス受信ビーム形成部10―1〜Lは、アレーアンテナ1の主ビームを到来方向推定部8において方向推定結果を基に指向性形成する。すなわち、パス受信ビーム形成部10―pは、第p番目のパスの到来方向推定値方向θpに指向性を向けるビームウエイトベクトルWpを生成し、(数9)のように逆拡散部9−p―1〜Nの出力である第pパスアレー受信信号ベクトルxp(t)に対し、ビームウエイトベクトルWpを乗算した結果であるアレー合成信号yp(t)を出力する。ただし、p=1〜Lである。ビームウエイトベクトルWkとしては、例えば(数7)に示される方向ベクトルa(θp)、チェビシェフビーム等を用いる。
RAKE合成部11は、第1〜Lパスに対するアレー合成信号y1(t)〜yL(t)に対し、チャネル推定値h1’〜hM’の複素共役値(h1’)*〜(hM’)*をそれぞれ乗算し、回線変動値h1〜hMが補償された後、RAKE合成される。RAKE合成された信号は、データ判定部12で符号判定され、これにより受信データが得られる。
以上のように、本実施の形態によれば、到来方向推定部8の推定結果に基づき、パス受信ビーム形成部10において、近接した方向から到来する複数パスの合成電力が最大となる方向に対しパスに共通なアレーアンテナ1の指向性を向けて受信することができる。従って、パス当りの受信電力が小さい場合でも、ある角度広がりを持って到来する複数パスの平均的な到来方向をフェージング変動がある場合でも精度を保って推定することができる。アレーアンテナ1の設置場所が、周辺の建物高よりも十分高い場合にある場合、一般的に、到来波の角度広がりは、10°程度以下と考えられ、このような環境下では到来方向推定部8において、算出される角度スペクトラムは1つのピークをもつものとして現れる。また、アレーアンテナ1の設置場所が、周辺の建物高よりも低い場合、到来波の角度広がりはより大きくなり、到来方向推定部8において算出される角度スペクトラムには複数のピークが現れる場合が生じるが、このような場合においても、パス毎に、複数ピークから最適なピーク方向を判定し、それぞれのパスに対し指向性受信をすることができるため、角度広がりの大小によらず良好な推定精度が得られる。このような安定した方向推定結果を基に指向性受信を行うことで通信品質の劣化を防ぐことができる。また、これら一連の動作は、複数パスに対し、一度の角度スペクトラムの算出により、複数パスの到来方向を推定することで行えるため、個別に到来方向する場合に比較して処理量の大幅な削減が可能となる。
また、本実施の形態では、パス検出過程に得られるパイロット信号相関値を用いて到来方向推定を行うため、処理共用化が図れ、装置全体としての演算量を低減することができる。さらに大電力干渉波が存在する場合でも、到来パスタイミング同一でなければ、パイロット信号相関値が小さくなるため、干渉波は抑圧される。
なお、本実施の形態における到来方向推定部8では、ビームフォーマ法を用いて方向推定をおこなっているが、菊間著、「アレーアンテナによる適応信号処理」(科学技術出版)等で情報開示されているMUSIC法、ESPRIT法といった固有値分解手法や、相関行列の逆行列演算を含むCapon法等の到来方向推定の高分解能手法を、(数2)あるいは(数4)で示されるパス相関値合成部7の出力の相関行列Rに対し、適用することが可能である。ただし、到来パス数がアレー素子数よりも小さい場合は、パス相関値合成部7の出力である相関行列のランク数がフルランクにならないケースが考えられるため、ランク数、あるいはパス数に応じて、ビームフォーマ法との適応的な併用が考えられる。また、アレーアンテナ1の構成が等間隔直線アレー配置である場合、パス相関値合成部7で得られる相関行列に対し、空間スムージング処理や、ユニタリ変換行列を乗算することでの方向ベクトルを実数化したビームスペースでの到来方向推定処理も同様に適用可能である。
また、これら到来方向推定の高分解能手法を用いた場合、アレーアンテナ1のビーム幅よりも、到来方向推定の分解能が高まるが、必要以上にピーク位置間隔の分解能を高めても、受信性能としては大きく変わらないため、到来方向推定部8の動作を以下のようにしてもよい。すなわち、到来方向推定部8において算出された角度スペクトラムにピーク位置が複数存在する場合の動作として、最大レベルのピーク位置φ1及び最大レベルから所定範囲内にあるピークレベルで、さらにピーク位置間隔が、そのピーク位置でのアレーアンテナ1のビーム幅以上離れたピーク位置φ2、φ3、...、φMをパス到来方向推定値の候補とし、(数8)での判定の結果、最大値を与えるパス方向を第k番目のパスの到来方向推定値θkとする。
なお、パス相関値合成部7、及び到来方向推定部8における演算量を低減するために、パス相関値合成部7では、(数2)あるいは(数4)で示される相関行列の1行目で示される相関ベクトルrを算出し、到来方向推定部8では、相関ベクトルrとアレーアンテナ1の方向ベクトルa(θ)の内積の絶対値|r*・a(θ)|で表される到来方向推定評価関数により角度スペクトラムを算出し方向推定しても良い。
なお、本実施の形態では、パス受信ビーム形成部10―1〜Lは到来方向推定部8の結果に基づき、主ビームが推定方向に向くビームを形成しているが、パス相関値合成部7の出力である相関行列Rとパス方向の方向ベクトルa(θ)を用いて、ヌル形成を行っても良い。この場合、第k番目のパスに対する受信ウエイトWkは、第k番目のパスの到来方向θkを用いて、(数10)で示される。あるいは、第k番目のパスのパイロット相関値により生成される相関ベクトルVkを用いて(数11)のように生成しても良い。ただし、Vkは(数3)から得られる。
なお、パス検出部6において、所定回数(所定フレーム期間)にわたる各相関演算部4―1〜Nの出力を平均化した後に遅延プロファイルを生成することで複数の到来パス受信タイミングを検出しても良く、この場合パス変動に対する追従性は劣化するが、パス検出精度を高めることができ、パス検出動作のロバスト性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、多重方式としてCDMA方式を用いる通信システムに使用される基地局装置について説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、TDMA方式やOFDM方式の多重方式を用いる通信システムに使用される基地局装置にも適用可能なものである。
また、上記実施の形態では、複数のアンテナを搬送波の半波長の間隔で直線状に配置した場合を想定して説明した。しかし、これに限られるものではなく、本発明は、複数のアンテナを備えて指向性を形成する基地局装置にはすべて適用可能である。
(実施の形態2)
図3は実施の形態1における到来方向推定部8の結果に基づき送信指向性を適応的に形成する構成を示すブロック図である。以下、実施の形態1と異なる部分を主に説明する。
アレーアンテナ1による受信信号を基に到来方向推定部8において方向推定値を得るまでの動作は実施の形態1と同様である。なお、本実施の形態では、到来方向推定部8での動作、すなわち1)すべてのパスの到来方向推定が共通の方向θsである場合と、2)複数の到来方向推定値が出力される場合で異なる動作を行う。
変調部20は、送信データを所定の変調フォーマットに変調する。送信ビーム形成部21は、変調部20の出力をアレーアンテナ1の素子数Nに等しい数に分配し、それぞれの出力に対し、送信ウェイトベクトルWs=[w1、w2、...、wn]の要素を乗算して出力する。ここで、1)すべてのパスの到来方向推定が共通の方向θsである場合、送信ウエイトベクトルWsは(数12)のようにステアリングベクトルa(θ)を用いるか、θs方向に主ビームが向くチェビシェフビームウエイト等を用いる。
また、2)Nd個の複数の到来方向推定値θkが出力される場合、送信ウエイトベクトルWsは(数13)のようにステアリングベクトルa(θ)を合成した値を用いるか、推定方向に主ビームが向く複数のチェビシェフビームウエイト合成したもの等を用いる。ただしk=1〜Nd。
拡散部22−1〜Nは、送信ビーム形成部21からの出力信号を所定の拡散率の拡散符号で拡散し、送信部23−1〜Nに出力する。送信部23−1〜Nは拡散部22−1〜Nの出力に所定の無線処理(D/A変換、周波数アップコンバート等)を施した後に、アンテナ1−1〜Nを介して通信端末に送信する。
以上のように、本実施の形態により、実施の形態1の効果に加え、到来方向推定部8の推定値が1)すべてのパスの到来方向推定が共通の方向θsである場合、送信ビーム形成部21において、近接した方向から到来する複数パスの合成電力が最大となる方向に対しパスに共通なアレーアンテナ1の指向性を向けて送信することができる。アレーアンテナ1の設置場所が、周辺の建物高よりも十分高い場合にある場合、一般的に、到来波の角度広がりは、10°程度以下と考えられ、このような環境下では、本実施の形態の適用が非常に有効であり、不要な方向に電波を放射することなく通信端末の受信特性が向上する。また、本実施の形態は、パス毎に到来方向推定することなく、一度の到来方向推定部8における角度スイープ演算により、複数パスの合成電力が最大となる方向推定が可能であり、処理量の削減、演算回路規模の削減ができる。
また、到来方向推定部8の推定値が、2)複数の到来方向推定値θkが出力される場合、送信ビーム形成部21において、複数の推定方向に向くビームを形成することができる。アレーアンテナ1の設置場所が、周辺の建物高と同程度以下の高さに設置される場合、一般的に、到来波の角度広がりは大きくなり、それぞれが角度広がりをもつ複数のパスが到来する環境となる。本実施の形態では、このような環境下に対し、方向の異なるそれぞれに広がりあるパスに対し、指向性を持ったビームを形成することができ、通信端末では、それぞれのパス方向からの電波を受けることができ、通信端末でRake合成等などにより、効率的に複数パスを合成受信することで受信特性が向上する。また、本実施の形態は、一度の到来方向推定処理で、複数のパス方向を一括して推定することができる。この場合、1つの角度スペクトラムから複数のパスの到来方向を推定することができるため、演算量の削減、それに伴う装置規模の削減が可能である。
なお、本実施の形態では、到来方向推定部8にて複数の到来方向推定値θkが出力される場合、それぞれの方向に指向性が向くように送信ウエイトを生成したが、推定された到来パスの到来方向のうち、最大受信電力のパス方向にのみ指向性ビームを形成して送信しても良く。この場合、複数ユーザが多重通信している場合には、他ユーザへの干渉量を抑えることができ、システム全体の通信容量が改善される。
また、本実施の形態では、多重方式としてCDMA方式を用いる通信システムに使用される基地局装置について説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、TDMA方式やOFDM方式の多重方式を用いる通信システムに使用される基地局装置にも適用可能なものである。
また、上記実施の形態では、複数のアンテナを搬送波の半波長の間隔で直線状に配置した場合を想定して説明した。しかし、これに限られるものではなく、本発明は、複数のアンテナを備えて指向性を形成する基地局装置にはすべて適用可能である。
なお、上記実施の形態では、RAKE合成を用いて各パスを通って到来した信号を合成した。しかし、これに限られるものではなく、本発明では、各パスを通って到来した信号をアンテナ毎に合成できる方法であれば、いかなる合成方法を用いてもよい。
(実施の形態3)
図4は実施の形態1で説明した到来方向推定部8に、異なるパス受信タイミングでのパスの到来方向を個別に推定するパス毎到来方向推定部30を追加し、それらの方向推定結果の一方を選択的に用いてパス受信ビーム形成して受信する無線通信装置の構成を示すブロック図である。
以下、到来方向推定部8の動作は、実施の形態1と同様であるため、新たに追加したパス到来方向推定部30、パス毎の方向推定結果を基に角度広がりを算出する角度広がり算出部31、角度広がりの検出結果を基に、到来方向推定部8あるいはパス毎到来方向推定部30の推定結果のどちらかを選択する到来方向推定方式選択部32の動作について主に説明する。図4に示す無線通信装置において、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子1−1〜Nにて受信された高周波信号は、各アンテナ素子1−1〜Nに設けられた無線受信部2−1〜Nにおいて、高周波増幅、周波数変換、直交検波およびA/D変換を順次施され、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号3−1〜Nが生成される。ただし、Nはアンテナ素子数である。
相関演算部4―1〜Nの各々には、ベースバンド信号3−1〜Nがそれぞれ対応して入力される。パイロット信号発生部5は受信信号にあらかじめ埋め込まれた既知信号(以下パイロット信号)を生成する。相関演算部4―1〜Nはパイロット信号との相互相関演算を行う。例えば、W−CDMA通信方式の場合には、スクランブリング符号及びチャネライゼーション符号による逆拡散処理後に、フレーム毎に埋め込まれたパイロット信号との相関演算を行う。ここで、パイロット信号をr(s)とする。ただし、s=1〜Npであり、Npはパイロット信号のシンボル数とする。第m番目の相関演算部4−mは、第m番目のベースバンド信号3−m(以下、xm(t)と表す。なお、tはサンプルタイミングを表す。)に対し、(数1)に示す相関演算を、パスサーチを行う時間範囲内のサンプル数Tsに相当する回数だけ、相関演算を開始するサンプルタイミングpを1からTsまで変化させ、各サンプルタイミングのパイロット相関値hm(p)を算出する。Noはシンボルに対するオーバーサンプル数である。なお、*は複素共役を示す。これにより、サンプルタイミングpを相関演算の開始点とするm番目のアンテナ素子1−mでのパイロット信号相関値hm(p)が得られる。以上の動作を、すべてのアンテナ素子1−1〜Nで受信されたベースバンド信号3―1〜Nに対して行う。
パス検出部6は、各相関演算部4−1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)を基に遅延プロファイルを生成し、所定数L個の電力上位パスを選択し、選択されたパスのタイミングを出力する。ここで、p=1〜Ts、m=1〜Nである。なお、遅延プロファイルは、1)各アンテナ素子1―1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)の絶対値あるいは2乗を同じタイミング毎に合成する方法、あるいは、2)指向性ビーム形成する重みを同じタイミングのパイロット相関値に乗算後、加算し、その絶対値あるいは2乗をとることで複数の遅延プロファイルを生成する方法、さらには、指向性の異なる複数の重みを用いて遅延プロファイルを生成し、それらを電力加算する方法により生成する。
パス毎到来方向推定部30は、検出されたL個のパス毎の到来方向を推定する。以下その動作を説明する。第k番目の到来パス受信タイミングをpkとした場合、(数3)に示されるアレ−アンテナ素子間の相関情報を含む相関ベクトルVkを用いて、(数14)に示される到来方向推定評価関数Gk(θ)におけるθを所定の角度ステップΔθで可変することで角度スペクトラムを算出する。ただし、k=1〜Lの整数であり、a(θ)はアレーアンテナ1の素子配置で決まる方向ベクトル、Hはベクトル共役転置を表す。得られた第k番目のパスの角度スペクトラムにおけるピーク方向Φkを第k番目のパスの到来方向推定値とする。
なお、シンボルレートあるいはチップレートに対し、オーバーサンプル処理している場合、パス検出部6において、検出された到来パス受信タイミングに隣接するサンプルでも、アレーアンテナ1の空間的な配置に起因する位相情報がある程度保存されており、それらを加えた到来方向推定を行うことで方向推定精度を高めることができる。その場合の到来方向推定評価関数Gk(θ)は(数15)で示される。相関行列Ukは、(数5)のukを用いて、(数16)で示される。ここではk番目の到来パス受信タイミングpkに、前後に隣接する所定サンプル数Tの相関ベクトルを加えた相関行列を算出しており、パス当りは(2T+1)タイミングの相関ベクトルを加算している。これにより、演算量は増加するが、パス当りのサンプルタイミング総数(2T+1)をアンテナ素子数N以上となるようにすることで、相関行列のランク数をフルランクとすることができ、MUSIC法やESPRIT法などの高分解能到来方向推定アルゴリズムや、Capon法といった他のビームフォーマ手法を用いた到来方向推定アルゴリズムの適用が可能になる。また、到来パスの電力が小さい場合でも、隣接タイミングでの相関ベクトルを加算することで推定精度が向上するといった効果が得られる。また、アレーアンテナが等間隔直線アレーである場合、(数16)に示される相関行列に対し空間スムージング処理を施してから、MUSIC法、ESPRIT法、Capon法、フーリエビームフォーマ法等の方向推定処理を施してもよく、この場合、相関波の抑圧が可能となり、相関行列Ukのランクを回復することができる。なお、相関行列Ukの1行目で示される相関ベクトルrkを算出し、相関ベクトルrkと方向ベクトルa(θ)の内積の絶対値|rk*・a(θ)|で表される到来方向推定評価関数により角度スペクトラムを算出し方向推定して、計算量を削減する処理を加えてもよい。
角度広がり算出部31は、得られたL個のパスの到来方向推定値Φkと、その方向の到来方向推定評価関数値Gk(θ)を用いて、(数17)に示される計算式を用いて角度広がりASを算出する。なお、φ0は(数18)で示される。
パス相関値合成部7、到来方向推定部8の動作は実施の形態1と同様であるので、ここではその説明を省略する。到来方向推定方式選択部32は、角度広がり算出部31における角度広がりASの算出値を基に、角度広がりASが所定値を超える場合は、パス毎到来方向推定部30における方向推定結果を選択的に出力する。角度広がりASが所定値以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。角度広がりASとの比較に用いる所定値は、アレー素子数にも依存するが、例えば5°〜10°程度を用いる。以上のような動作により、到来パスの方向推定が可能となる。到来パスに対する指向性受信制御については、実施の形態1での指向性受信動作と同様であり、説明は省略する。
以上のように、本実施の形態によれば、パス毎の到来方向推定の結果得られる角度広がりの大きさにより、到来方向推定方式を選択することができる。これにより、角度広がりが所定値よりも小さい場合、到来方向推定部8の推定結果に基づき、パス受信ビーム形成部10において、近接した方向から到来する複数パスの合成電力が最大となる方向に対しパスに共通なアレーアンテナ1の指向性を向けて受信することができる。従って、パス当りの受信電力が小さい場合でも、ある角度広がりを持って到来する複数パスの平均的な到来方向をフェージング変動がある場合でも精度を保って推定することができ、安定した品質で通信を行うことができる。
一方、角度広がりが所定値よりも大きい場合、到来パスは様様な方向から到来する通信周辺環境であるため、到来パスの受信電力に応じた方向推定精度で、パス毎に到来方向を推定することが可能となる。角度広がりは、アレーアンテナ1の設置場所と周辺の建物高などに応じてその大きさが決まっていくるが、本実施の形態では、適応的に到来方向推定方式を選択することができ、アレーアンテナ1の設置場所によらず安定した品質で通信を行うことができる。また、実施の形態1での動作に比べ、本実施の形態では、パス毎に到来方向を推定するため、角度広がりが大きい環境下でより安定した品質で通信を行うことができる。
なお、本実施の形態では、角度広がり算出部31において、パス毎の到来方向推定部30の結果を用いて角度広がりASを算出したが、これとは異なる次のような2つ方法の適用が可能である。
(1)角度広がり算出部31は、パス毎到来方向推定部30の方向推定結果の代わりに、パス相関値合成部7で算出した(数2)または(数4)で示される相関行列RまたはR2を入力とし、その相関行列の最大固有値及び2番目に大きい固有値を算出し、そして角度広がりAS=(2番目に大きい固有値)/(最大固有値)を算出する。この場合の角度広がりASは1以下の値をとるが、到来方向推定方式選択部32では、角度広がりASと1より小さい所定値との大小比較を行い、角度広がりASが所定値を超える場合は、パス毎到来方向推定部30における方向推定結果を選択的に出力し、角度広がりASが所定値を以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。
(2)角度広がり算出部31は、パス毎到来方向推定部30の方向推定結果の代わりに、到来方向推定部で算出した(数6)で示される角度スペクトラムを入力とし、そのピーク位置が複数存在し、かつ、それらのピークレベルが最大ピークレベルから所定レベルの範囲内にある場合に、その最大ピーク間隔を角度広がりASとする。到来方向推定方式選択部32では角度広がりASと所定値との大小比較を行い、角度広がりASが所定値を超える場合は、パス毎到来方向推定部30における方向推定結果を選択的に出力し、角度広がりASが所定値を以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。なお、パス検出部6において、所定回数(所定フレーム期間)にわたる各相関演算部4―1〜Nの出力を平均化した後に遅延プロファイルを生成することで複数の到来パス受信タイミングを検出しても良く、この場合パス変動に対する追従性は劣化するが、パス検出精度を高めることができ、パス検出動作のロバスト性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、多重方式としてCDMA方式を用いる通信システムに使用される基地局装置について説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、TDMA方式やOFDM方式の多重方式を用いる通信システムに使用される基地局装置にも適用可能なものである。
また、上記実施の形態では、複数のアンテナを搬送波の半波長の間隔で直線状に配置した場合を想定して説明した。しかし、これに限られるものではなく、本発明は、複数のアンテナを備えて指向性を形成する基地局装置にはすべて適用可能である。
(実施の形態4)
図5は実施の形態3で説明した構成に、レイク合成受信する最大フィンガ数を超える複数の到来パス受信タイミングを検出するパス検出部6bと、検出バスタイミングでのパス毎到来方向推定部30bでの到来推定方向に指向性受信した場合の受信電力から、レイク合成受信を行う最大フィンガ数内のパスを選択する有効パス選択部40を追加した無線通信装置の構成を示すブロック図である。
以下、実施の形態3と異なる部分を主に説明する。図5に示す無線通信装置において、アレーアンテナ1を構成するアンテナ素子1−1〜Nにて受信された高周波信号は、各アンテナ素子1−1〜Nに設けられた無線受信部2−1〜Nにおいて、高周波増幅、周波数変換、直交検波およびA/D変換を順次施され、I信号及びQ信号からなるベースバンド信号3−1〜Nが生成される。ただし、Nはアンテナ素子数である。
相関演算部4―1〜Nの各々には、ベースバンド信号3−1〜Nがそれぞれ対応して入力される。パイロット信号発生部5は受信信号にあらかじめ埋め込まれた既知信号(以下パイロット信号)を生成する。相関演算部4―1〜Nはパイロット信号との相互相関演算を行う。例えば、W−CDMA通信方式の場合には、スクランブリング符号及びチャネライゼーション符号による逆拡散処理後に、フレーム毎に埋め込まれたパイロット信号との相関演算を行う。ここで、パイロット信号をr(s)とする。ただし、s=1〜Npであり、Npはパイロット信号のシンボル数とする。第m番目の相関演算部4−mは、第m番目のベースバンド信号3−m(以下、xm(t)と表す。なお、tはサンプルタイミングを表す。)に対し、(数1)に示す相関演算を、パスサーチを行う時間範囲内のサンプル数Tsに相当する回数だけ、相関演算を開始するサンプルタイミングpを1からTsまで変化させ、各サンプルタイミングのパイロット相関値hm(p)を算出する。Noはシンボルに対するオーバーサンプル数である。なお、*は複素共役を示す。これにより、サンプルタイミングpを相関演算の開始点とするm番目のアンテナ素子1−mでのパイロット信号相関値hm(p)が得られる。以上の動作を、すべてのアンテナ素子1−1〜Nで受信されたベースバンド信号3―1〜Nに対して行う。
パス検出部6bは、各相関演算部4−1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)を基に遅延プロファイルを生成し、レイク合成受信する最大フィンガ数を超える複数の所定数L個の電力上位パスを選択し、選択されたパスのタイミングを出力する。ここで、p=1〜Ts、m=1〜Nである。なお、遅延プロファイルは、1)各アンテナ素子1―1〜Nで得られたパイロット信号相関値hm(p)の絶対値あるいは2乗を同じタイミング毎に合成する方法、あるいは、2)指向性ビーム形成する重みを同じタイミングのパイロット相関値に乗算後、加算し、その絶対値あるいは2乗をとることで複数の遅延プロファイルを生成する方法、さらには、指向性の異なる複数の重みを用いて遅延プロファイルを生成し、それらを電力加算する方法により生成する。
パス毎到来方向推定部30bは、検出されたL個のパス毎の到来方向を推定する。以下その動作を説明する。第k番目のパスのタイミング情報をpkとした場合、(数3)に示されるアレ−アンテナ素子間の相関情報を含む相関ベクトルVkを用いて、(数14)に示される到来方向推定評価関数Gk(θ)におけるθを所定の角度ステップΔθで可変することで角度スペクトラムを算出する。ただし、k=1〜Lの整数であり、a(θ)はアレーアンテナ1の素子配置で決まる方向ベクトル、Hはベクトル共役転置を表す。得られた第k番目のパスの角度スペクトラムにおけるピーク方向Φkを第k番目のパスの到来方向推定値とする。
有効パス選択部40はパス毎到来方向推定部30bでの到来推定方向Φk(ただし、k=1〜Lの整数)に、指向性受信した場合の受信電力Hkから、受信電力上位のレイク合成受信を行う最大フィンガ数内のパスを選択する。この場合、指向性受信した場合の受信電力Hkは(数19)で示される。この動作により、パス毎の到来方向に指向性受信ができた場合の得られるパス電力を推定することができ、この結果に基づき有効パスを選択することで有効パス選択性能を高めることができる。
角度広がり算出部31bは、有効パス選択部40の有効パス選択結果から、レイク合成受信を行う最大フィンガ数内であるQ個のパス毎の到来方向推定値Φkと、その方向の指向性ビームを向けた場合に得られる受信電力Hkを用いて、(数20)に示される計算式を用いて角度広がりASを算出する。ここで、kは1からQ個までの整数である。なお、φ0は(数21)で示される。
パス相関値合成部7、到来方向推定部8の動作は実施の形態1と同様であるので、ここではその説明を省略する。到来方向推定方式選択部32bは、角度広がり算出部31bにおける角度広がりASの算出値を基に、角度広がりASが所定値を超える場合は、有効パス選択部40における有効パス毎の方向推定結果を選択的に出力する。角度広がりASが所定値以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。角度広がりASとの比較に用いる所定値は、アレー素子数にも依存するが例えば5°〜10°程度を用いる。
以上のような動作により、到来パスの方向推定が可能となる。到来パスに対する指向性受信制御については、実施の形態1での指向性受信動作と同様であり、説明は省略する。
以上のように、本実施の形態によれば、実施の形態3の効果に加え、パス検出部6bにおいて最大フィンガ数を超える到来パス受信タイミングを検出することで、レイク受信する最大フィンガ数を超える数のパス毎の到来方向を推定することができ、これにより、パス毎に到来方向に指向性ビームをむけた場合に受信できるパス電力に基づき、レイク受信する最大フィンガ数内の有効パスを選択することができるため、有効パス選択性能、すなわちパスサーチの性能を高めることができる。そして、パスサーチ性能が高まることで受信性能が高めることができる。
なお、本実施の形態では、角度広がり算出部31bにおいて、有効パス選択部40の結果を用いて角度広がりASを算出したが、これとは異なる次のような2つ方法の適用が可能である。
(1)角度広がり算出部31bは、有効パス選択部40の方向推定結果の代わりに、パス相関値合成部7で算出した(数2)または(数4)で示される相関行列RまたはR2を入力とし、その相関行列の最大固有値及び2番目に大きい固有値を算出し、そして角度広がりAS=(2番目に大きい固有値)/(最大固有値)を算出する。この場合の角度広がりASは1以下の値をとるが、到来方向推定方式選択部32bでは、角度広がりASと1より小さい所定値との大小比較を行い、角度広がりASが所定値を超える場合は、有効パス選択部40における方向推定結果を選択的に出力し、角度広がりASが所定値を以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。
(2)角度広がり算出部31bは、有効パス選択部40の方向推定結果の代わりに、到来方向推定部で算出した(数6)で示される角度スペクトラムを入力とし、そのピーク位置が複数存在し、かつ、それらのピークレベルが最大ピークレベルから所定レベルの範囲内にある場合に、その最大ピーク間隔を角度広がりASとする。到来方向推定方式選択部32bでは角度広がりASと所定値との大小比較を行い、角度広がりASが所定値を超える場合は、有効パス選択部40における方向推定結果を選択的に出力し、角度広がりASが所定値を以下の場合は、到来方向推定部8における方向推定結果を選択的に出力する。
なお、パス検出部6において、所定回数(所定フレーム期間)にわたる各相関演算部4―1〜Nの出力を平均化した後に遅延プロファイルを生成することで複数の到来パス受信タイミングを検出しても良く、この場合パス変動に対する追従性は劣化するが、パス検出精度を高めることができ、パス検出動作のロバスト性を向上させることができる。
また、本実施の形態では、多重方式としてCDMA方式を用いる通信システムに使用される基地局装置について説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、TDMA方式やOFDM方式の多重方式を用いる通信システムに使用される基地局装置にも適用可能なものである。
また、上記実施の形態では、複数のアンテナを搬送波の半波長の間隔で直線状に配置した場合を想定して説明した。しかし、これに限られるものではなく、本発明は、複数のアンテナを備えて指向性を形成する基地局装置にはすべて適用可能である。
以上のように本発明によれば、アレーアンテナを備えた無線通信装置において、複数パスに対し、一度の角度スペクトラムの算出により、複数パスの到来方向を推定することができ、個別に到来方向する場合に比較して処理量の大幅な削減が可能となる。また、ある角度広がりを持って到来する複数パスの平均的な到来方向を推定するため、パス当りの受信電力が小さい場合、フェージング変動がある場合でも安定した精度で到来方向推定を行うことができる。