JP2001251233A - アダプティブアンテナを用いた無線通信装置 - Google Patents

アダプティブアンテナを用いた無線通信装置

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JP2001251233A JP2000351612A JP2000351612A JP2001251233A JP 2001251233 A JP2001251233 A JP 2001251233A JP 2000351612 A JP2000351612 A JP 2000351612A JP 2000351612 A JP2000351612 A JP 2000351612A JP 2001251233 A JP2001251233 A JP 2001251233A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上り回線と下り回線で異なる周波数を用いる
システムにおいても、簡易に電波到来方向を推定して相
手局における平均受信SIRを向上させるような送信ビ
ームを形成できる無線通信装置を提供する。 【解決手段】アレイアンテナを構成する各指向性アンテ
ナ10−1〜10−Nからの受信信号毎に、所望波とそ
の遅延波の遅延プロファイルを遅延プロファイル推定器
12−1〜12−Nで推定し、それに基づき受信アンテ
ナ選択器13で選択されたアンテナからの受信信号に対
してアダプティブ信号処理部14及びパスダイバーシチ
合成器15により時空間等化信号処理を行って受信出力
を得る無線通信装置において、遅延プロファイル推定器
12−1〜12−Nで推定された遅延プロファイルから
DOA推定器17で所望波の到来角度範囲を推定し、こ
れに基づき送信に用いるアンテナを送信アンテナ選択器
18で選択して送信を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動無線通信シス
テムなどに用いられるアダプティブアンテナを用いた無
線通信装置に係り、特に送信時の指向性を良好に制御す
る送信ビーム制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】陸上移動通信においては、フェージング
による受信出力レベルの低下や、同一チャネル干渉(C
CI)および符号間干渉(ISI)の影響による信号歪
み等が頻繁に生じる。
【0003】このような厳しい伝搬環境下において所望
波の信号を正しく抽出するには、アンテナ指向性を適応
的に制御するアダプティブアンテナの使用が有効であ
る。アダプティブアンテナとして、同一方向を除く任意
の方向に存在している干渉局に対して、積極的に信号抑
圧するようなパターンを形成する、干渉波抑圧機能を有
するアダプティブアレーアンテナがある。ただし、陸上
移動通信においては端末局はその携帯性から小型化を余
儀なくされるため、複数のアンテナをもつアダプティブ
アレーアンテナは通常、基地局に適用されることが多
い。
【0004】アダプティブアレーアンテナは、配列され
た複数のアンテナからの受信信号をその位相と振幅を制
御して合成するアンテナシステムであり、レベルの大き
い干渉波存在下においても、所望波の到来方向にビーム
を向け、また干渉波の到来方向にヌル(利得が零の点)
を向けるように動作することにより、受信SIR(所望
波対干渉波比)を最大化することができる。
【0005】受信信号の位相と振幅を制御して合成する
ことは、図10に示すように複数のアンテナからの受信
信号#1,#2,…,#Nを複素乗算器1−1,1−
2,…,1−Nにより受信重みベクトル計算部2で計算
された受信重みベクトルを乗じて複素重み付けを行った
後に加算器3で合成することと等価である。このとき、
加算器3からの出力(アダプティブアレー出力という)
yは次式で与えられる。 y=wTx (1) なお、wは各アンテナからの受信信号に与える複素重み
ベクトル(以下、受信重みベクトルという)、xは各ア
ンテナからの複素受信信号ベクトルを表し、 w=(w,w,…,w,…,wN T (2) x=(x,x,…,x,…,xN T (3) とする。ここで、Tは行列の転置を表す。
【0006】受信重みベクトルwは、アダプティブアレ
ー出力yが予め定められた規範を満たすように制御され
る。例えば、アダプティブアレー出力yと理想信号パタ
ーンとの平均自乗誤差を最小にする、あるいは、所望波
の到来方向に関する拘束条件下でアダプティブアレー出
力yの信号電力を最小にする等の規範がある。このよう
にして受信(上り回線)に関しては、各アンテナからの
受信信号に重み付けを行うことで、歪みのない信号を抽
出することができる。
【0007】上記説明はアンテナとして無指向性アンテ
ナを用いた場合であり、このような信号処理をエレメン
トスペース型と呼ぶ。これに対して、あらかじめ放射方
向の異なる複数のビームを形成し、そのビームによる受
信信号に対してアダプティブアレーによる処理を施す方
法をビームスペース型と呼ぶ。
【0008】ビームスペース型アダプティブアレーを用
いると、ビーム形成器が余分に必要になるが、ビーム利
得の加わった高SNR(信号対雑音比)の信号出力が得
られるため、ビームを選択することによって安定したア
ダプティブアレー処理が期待でき、その上、アダプティ
ブアレーに入力されるブランチ数を減らすことができる
ので、結果的に信号処理にかかる演算量を低減できると
いう特徴がある。この点については、例えば、文献
[1]千葉、中條、藤瀬、“ビームスペースCMAアダ
プティブアレーアンテナ,”信学論B-II,vol.J77-B-II,
no.3,pp.130-138,1994年3月、等に記されている。
【0009】また、ビームスペース型アダプティブアレ
ーでは通常、空間的に直交するビームを形成するが、こ
れを不完全な直交ビームとして、隣接ビーム間でオーバ
ーラップした指向性アンテナを用いたアダプティブアン
テナも検討されている。例えば、文献[2]特開平10-2
56821(松岡他)で提案されているアダプティブアンテ
ナでは、アダプティブアレーアンテナによる空間次元の
処理だけでなく、アンテナ合成出力に対してさらにパス
ダイバーシチによる時間次元処理を行うことによって、
遅延波のエネルギーを効率よく合成するという特徴を有
する。
【0010】一方、下り回線においても、アレーアンテ
ナにより最適送信パターンを得る手法が検討されてい
る。例えば、PHSのように送受信を時間分割して周期
的に切り替えるTDD(Time Division Duplex)方式を採
用するシステムでは、送受信で周波数が同一であるた
め、送受信信号が経由する伝搬路応答はほぼ同じとみな
すことができる。よって、文献[3]富里、松本、“T
DD移動通信システムにおけるアダプティブ送信アレー
の効果”,1997年信学全大,B-5-87,1997年3月、に示
されているように、送受信で同じ重みベクトルを用い
る、すなわち受信時に得られたのと同じアンテナパター
ンを形成することによって、端末局での受信SIRを改
善することができる。
【0011】しかし、送受信を周波数分割するFDD(F
requency Division Duplex)方式のように、送受信で周
波数が異なる場合には、上り回線と下り回線の伝搬路応
答は相関が小さいため、受信重みベクトルと同じ送信重
みベクトルを用いても端末局で最適な受信が保証される
とは限らない(例えば、文献[4]J.Litva,T.K.-Y.Lo,
“Digital Beamforming In Wireless Communication
s,” Artech House Publishers,pp.182-183,1996.参
照)。 このように上りと下りで伝搬路応答は異なるが、電波到
来方向に関しては上りと下りで可逆性が成り立つ。すな
わち、端末局の移動速度が極端に速い場合を除いて、基
地局において受信電波の到来方向(DOA: Direction
Of Arrival)を推定し、その方向にビームおよびヌルを
向けることにより、端末局において受信SIRを最大に
することが可能である。
【0012】このような送信パターン制御のためにはD
OAの推定が必須であり、その信号処理としてMUSI
C(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズム等が
知られている。しかしながら、MUSICに代表される
高分解能到来方向推定アルゴリズムはその計算量が膨大
であり、端末局の移動や周辺環境の変動によって逐次変
化するDOAを推定するような場合には不向きであると
いう問題がある。
【0013】また、たとえ膨大な演算量をかけて高精度
に干渉波のDOAを推定し、その方向に鋭いヌルを向け
る指向性重み付けを行っても、送信回路の校正不備によ
ってヌルの方向がずれたり、実際の伝搬路において端末
局周辺の反射・散乱による角度広がりによって効果が薄
れることが多い。この結果、端末局における平均受信S
IRが劣化してしまうという問題がある。さらに、マル
チパス環境においてアンテナ個数以上の数の到来波が存
在する場合に、MUSICではDOA推定が困難であ
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な問題を解決するためになされたものであり、上り回線
と下り回線で異なる周波数を用いるシステムにも適用で
き、簡易に電波到来方向を推定して相手局における平均
受信SIRを向上させるような送信ビームを形成できる
無線通信装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は受信系で所定の信号処理(例えば、時空間
等化信号処理)のために推定された遅延プロファイルに
基づき、所望波の大まかな到来方向を示す到来角度範囲
を推定し、これに基づき送信に最適なアンテナまたはビ
ームを選択して送信を行うことを基本的な特徴としてい
る。
【0016】すなわち、本発明に係る無線通信装置は、
所定形状に配列された指向性の異なる複数のアンテナ
と、各アンテナからの受信信号毎に、所望波とその遅延
波の到来時刻及び受信電力を表す遅延プロファイルを推
定する複数の遅延プロファイル推定手段と、推定された
遅延プロファイルから、所望波の到来角度範囲を推定す
る到来角度範囲推定手段と、推定された到来角度範囲に
基づき、複数のアンテナの中から送信に用いる少なくと
も一つのアンテナを選択する送信アンテナ選択手段と、
選択されたアンテナを用いて送信を行う送信手段とを具
備する。
【0017】このような構成により、上り回線と下り回
線で異なる周波数を用いる移動無線通信システムにおい
て、時空間等化信号処理を行うために既に測定している
各指向性アンテナ毎の遅延プロファイルを利用して、例
えば所望波及び遅延波毎の受信電力値を観測するだけで
簡易に所望波の到来角度範囲を推定することができ、上
り及び下りの両回線で可逆性が成り立つ電波到来方向を
基準にした適切な送信アンテナの選択を容易に行うこと
が可能となり、相手局での平均受信SNR(信号対雑音
比)、さらには平均受信SIRを高くとることができ
る。また、同時に遅延波に対しても到来角度範囲を検出
することができるため、送信(時間)ダイバーシチに活
用することができる。
【0018】また、このような基本構成において、到来
角度範囲推定手段により推定された到来角度範囲から、
所望波の到来方向を推定する到来方向推定手段と、推定
された到来方向に送信時の指向性の最大利得方向を向け
る送信重みベクトルを生成する送信重みベクトル生成手
段をさらに備えてもよい。
【0019】この場合、送信アンテナ選択手段において
は到来角度範囲推定手段により推定された到来角度範囲
に含まれる複数のアンテナを選択し、送信手段において
は送信アンテナ選択手段により選択された各アンテナに
送信重みベクトル生成手段により生成された送信重みベ
クトルを乗じた送信信号を供給して送信を行うことによ
り、所望波の到来方向へ送信ビームの最大利得方向を向
けることができ、相手局において平均受信SNRを最大
にすることが可能となる。
【0020】本発明に係る他の無線通信装置は、所定形
状に配列された複数のアンテナと、これらの各アンテナ
に接続され、放射方向の異なる複数のビームを形成する
ビーム形成手段と、形成された各ビームによる受信信号
毎に、所望波とその遅延波の到来時刻及び受信電力を表
す遅延プロファイルを推定する複数の遅延プロファイル
推定手段と、推定された遅延プロファイルから所望波の
到来角度範囲を推定する到来角度範囲推定手段と、推定
された到来角度範囲に基づき複数のビームの中から送信
に用いる少なくとも一つのビームを選択する送信ビーム
選択手段と、選択されたビームを用いて送信を行う送信
手段とを具備する。
【0021】このような構成により、先と同様に遅延プ
ロファイルを利用して簡易に所望波の到来角度範囲を推
定し、回線で可逆性が成り立つ電波到来方向を基準にし
た適切な送信ビーム、つまりSNRのより高い送信ビー
ムを選択して送信を行うことができ、相手局における平
均受信SNR、さらには平均受信SIRを改善すること
もできる。
【0022】また、このような基本構成において到来角
度範囲推定手段により推定された到来角度範囲から所望
波の到来方向を推定する到来方向推定手段と、推定され
た到来方向に指向性の最大利得方向を向ける送信重みベ
クトルを生成する送信重みベクトル生成手段をさらに備
えてもよい。
【0023】この場合、送信ビーム選択手段においては
到来角度範囲推定手段により推定された到来角度範囲に
含まれる複数のビームを選択し、送信手段においては送
信ビーム選択手段により選択された各ビームに送信重み
ベクトル生成手段により生成された送信重みベクトルを
乗じた送信信号を反映させて送信を行うことにより、所
望波の到来方向へ送信ビームの最大利得方向を向けるこ
とができ、相手局において平均受信SNR、さらには平
均受信SIRを最大にすることが可能となる。
【0024】到来方向推定手段では、一つの態様による
と到来角度範囲推定手段により推定された到来角度範囲
で所定の走査用ビームパターンによる走査を行い、該走
査で得られた受信出力レベルの最大値を求めることによ
って到来方向を検出する。これにより、所望波の到来方
向へ最大利得で放射する送信ビームパターンを形成する
ために必要な到来方向の推定を簡易に行うことができ
る。
【0025】到来方向推定手段の他の態様としては、到
来角度範囲推定手段により推定された到来角度範囲で所
定の走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走査で得
られた受信出力レベルの最小値を求めることによって到
来方向を検出するようにしてもよく、上述した走査用ビ
ームパターンによる走査に比べて所望波の到来方向を精
度良く推定することができる。
【0026】到来方向推定手段のさらに別の態様とし
て、上記二つの方法を組み合わせ、到来角度範囲推定手
段により推定された到来角度範囲で所定の走査用ビーム
パターンによる走査と所定の走査用ヌルパターンによる
走査を行い、これらの走査でそれぞれ得られた受信出力
レベルの差の最大値を求めることによって到来方向を検
出するようにしてもよい。この方法によると、ビームパ
ターンによる走査のみ、あるいはヌルパターンによる走
査のみによるて到来方向の推定方法に比べて、到来方向
の推定誤差を低減することができる。
【0027】送信手段においては、所望波の到来方向に
対して最大利得を持ち、それ以外の方向に対して抑圧さ
れたサイドローブを有する送信ビームパターンを形成し
て送信を行うようにしてもよい。この場合、相手局にお
ける平均受信SIRを最大にすることは必ずしもできな
いが、干渉波の到来方向が時間的に変動する場合におい
ても高SIRを達成するビームを形成することができ、
さらにヌル制御のための高分解能到来方向推定法を用い
る必要がないので、演算量を大幅に低減することができ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態を説明する。以下の説明においては、移動無線通
信システムにおける基地局側に本発明の無線通信装置を
適用した場合について述べるが、本発明は端末局に対し
ても同様な構成で適用でき、同様な効果が得られる。ま
た、以下の説明ではFDDシステムを仮定しているが、
TDDシステムに適用する場合も同様の構成で対応が可
能である。
【0029】(第1の実施形態)図1に、本発明の実施
形態に係る無線通信装置の構成を示す。本実施形態の無
線通信装置は、互いに異なる指向性をもつ複数の送受共
用のアンテナ10−1〜10−Nと、周波数の異なる送
受信信号を分波するデュプレクサ11−1〜11−N
と、遅延プロファイル推定器12−1〜12−Nと、ア
ンテナ10−1〜10−Nの中から受信に用いる所定個
数のアンテナ(受信アンテナ)を選択する受信アンテナ
選択器13と、選択された受信アンテナからの受信信号
を時空間等化信号処理するためのアダプティブ信号処理
部14及びパスダイバーシチ合成器15と、受信アンテ
ナ選択器13を制御する制御部16と、所望波の到来角
度範囲を推定するDOA推定器(到来角度範囲推定器)
17と、アンテナ10−1〜10−Nの中から送信に用
いる一つのアンテナ(送信アンテナ)を選択する送信ア
ンテナ選択器18及び選択された送信アンテナに対して
送信信号を供給するスイッチ19から構成される。
【0030】[受信動作について]まず、受信動作につ
いて説明する。アンテナ10−1〜10−Nは、例えば
円形などの所定形状に配列され、相手局である端末局か
ら送信されてきた電波を受信し、受信信号を出力する。
アンテナ10−1〜10−Nからの受信信号は、デュプ
レクサ11−1〜11−Nをそれぞれ経由して受信アン
テナ選択器13に入力される。
【0031】これと並行して、遅延プロファイル推定器
12−1〜12−Nにおいて各々の受信信号に対する遅
延プロファイル(平均遅延プロファイル)が推定され
る。平均遅延プロファイルとは、所望波およびその遅延
波の到来する時刻および平均受信電力をそれぞれ測定し
たものを表す。
【0032】遅延プロファイル推定器12−1〜12−
Nは、例えばスライディング相関器等で実現でき、また
CDMA(Code Division Multiple Access)方式等で
は、マッチドフィルタ等でも実現できる。CDMAでは
拡散符号によって帯域拡散しているため、チップレート
の逆数間隔で遅延プロファイルを推定できる。また、フ
ィルタリングの影響が無視できるような変復調系では、
タップを分数間隔に並べたスライディング相関器でも時
間分解能を向上させることができる。
【0033】遅延プロファイル推定器12−1〜12−
Nにより推定された平均遅延プロファイルを基に、制御
部16により各遅延時間の所望波に対して最適な受信ア
ンテナが選択されるように受信アンテナ選択器13が制
御される。受信アンテナ選択器13の後段でアダプティ
ブ信号処理部14及びパスダイバーシチ合成器15によ
り時空間等化処理を行う本実施形態の構成の場合、遅延
波は異なる伝搬路(パス)を経由した所望波とみなすこ
とができる。
【0034】このように制御部16からの制御信号によ
って、受信アンテナ選択器13で各遅延時間の所望波に
対して最適ないくつかの受信アンテナが選択され、選択
された受信アンテナからの受信信号に対してアダプティ
ブ信号処理部14によってアダプティブアレー等の空間
等化信号処理、さらにパスダイバーシチ合成器15によ
って時間等化信号処理が順次行われる。
【0035】受信アンテナ選択器13、アダプティブ信
号処理部14及びパスダイバーシチ合成器15の動作
は、特開平10−256821に記載されているが、こ
こで改めて説明すると、次の通りである。
【0036】まず、受信アンテナ選択器13では、各遅
延時間の所望波(簡単のため、ここでは遅延なしの直接
波、1シンボル遅延波、2シンボル遅延波の3つとす
る)毎に、N個のアンテナ10−1〜10−Nの中から
受信電力のより大きいK個(K<N)の受信アンテナを
それぞれ選択し、それらの受信アンテナからの受信信号
をアダプティブ信号処理部14に供給する。
【0037】アダプティブ信号処理部14は、例えば図
10と同様の構成により、各遅延時間の所望波毎に選択
されたK個の受信アンテナからの受信信号毎に重み付け
加算しして空間等化信号処理を行う。この際の重みベク
トルは、受信信号中の所望波成分を増大させ、それ以外
の干渉破成分を抑圧するように決定される。このように
して、アダプティブ信号処理部14からは各遅延時間毎
の受信信号(直接波、1シンボル遅延波、2シンボル遅
延波)の所望波成分の電力を高めた出力信号が得られ
る。アダプティブ信号処理部14からの3つの出力信号
は、パスダイバーシチ合成器15に供給される。
【0038】パスダイバーシチ合成器15では、空間信
号等化処理後の各遅延時間毎の受信信号に対し、直接波
を基準として1シンボル遅延波、2シンボル遅延波の時
間補正を行って相対的な時間を合わせた後に、これらを
同相合成法または最大比合成法により合成することによ
り、時間等化信号処理を行う。なお、パスダイバーシチ
合成器15の部分は例えば適応等化器に置き換えてもよ
く、要は時間次元の等化処理を行うものであればよい。
【0039】[送信動作について]次に、送信動作につ
いて説明する。送信時には、上述した受信時と同様に遅
延プロファイル推定器12−1〜12−Nで遅延プロフ
ァイルが推定される。この推定された遅延プロファイル
に基づき、DOA推定器17で所望波の到来角度範囲が
推定される。この到来角度範囲は、所望波の大まかな到
来方向、つまり所望波が到来すると予想される角度範囲
を表す。ここでは、アンテナの指向性を考慮して、単純
にすべての遅延プロファイル中の所望波の平均受信電力
を比較することによって、到来角度範囲が推定されるも
のとする。
【0040】これらの遅延プロファイルは、受信時に時
空間等化信号処理を行うために必須の処理なので、これ
を利用することによって特別複雑な計算をすることな
く、所望波の到来角度範囲をある程度限定することがで
きる。この到来角度範囲の推定結果に基づき、送信アン
テナ選択器18によってアンテナ10−1〜10−Nの
うち、各遅延波毎に最大電力で受信されたアンテナのみ
が送信アンテナとして選択され、その情報に基づいてス
イッチ19が切り替えられることにより、選択された送
信アンテナに送信信号が供給される。
【0041】次に、本実施形態のさらに具体的な動作例
を説明する。図2に、アンテナ10−1〜10−Nで受
信を行ったときの各到来波の状態と遅延プロファイルの
例を示す。図2では所望波(直接波)、1シンボル遅延
波、2シンボル遅延波、干渉波(同一チャネル干渉波)
が到来しているが、各アンテナ10−1〜10−N毎
に、シンボル時間Tおきの平均受信電力の遅延プロファ
イルが図の通り推定されているとする。
【0042】また、アンテナ10−1〜10−Nとして
は、8素子の指向性アンテナをそれぞれの指向性パター
ンがアレー中心から放射状に向くように円形配置してい
る。指向性はコサインビームパターンであり、ビーム半
値幅は90°であるため、隣接するビームは互いにオー
バーラップしている。
【0043】図2では、所望波(直接波)を受信してい
るアンテナは、アンテナ10−1,10−2,10−8
だけであり、それぞれの平均電力遅延プロファイルを比
較するとアンテナ10−1の受信電力値が最も大きいの
で、送信アンテナ選択器18によりスイッチ19を制御
し、アンテナ10−1を送信アンテナとして用いて送信
する。
【0044】移動無線通信システムにおいては、前述し
たように電波到来方向については上り回線(端末局→基
地局)と下り回線(基地局→端末局)とで可逆性が成り
立つので、下り回線においてアンテナ10−1の受信電
力値が最大であれば、上り回線において端末局ではアン
テナ10−1からの送信される電波の受信電力値が最も
大きいことになる。従って、上述のように基地局で受信
電力値が最も大きいアンテナ10−1を用いて送信する
ことにより、端末局での受信SNRが向上することにな
る。
【0045】このように本実施形態によると、上り回線
と下り回線で異なる周波数を用いる移動無線通信システ
ムにおいても、アダプティブアンテナを用いた基地局の
無線通信装置において簡易に適切な送信アンテナを選択
して端末局への送信を行うことが可能となり、指向性ダ
イバーシチによるダイバーシチ効果によって端末局での
受信SNRを向上させることができる。
【0046】また、時空間等化信号処理を行うために既
に測定している各アンテナの受信信号毎の遅延プロファ
イルを利用して、遅延波毎の電力値を観測するだけで簡
易に所望波の到来角度範囲を推定し、それに基づき上り
・下り両回線で可逆性が成り立つ電波到来方向を基準に
した適切な送信アンテナの選択を簡単な処理で高速に行
うことができ、高速処理を必要とするシステムにおいて
特に有用であり、さらにシャドーイング対策としても有
効である。
【0047】(第2の実施形態)図3に、本発明の第2
の実施形態に係る無線通信装置の構成を示す。図1と同
一部分に同一符号を付して、第1の実施形態との相違点
について説明する。
【0048】まず、第1の実施形態では指向性アンテナ
10−1〜10−Nを用いたが、本実施形態では無指向
性アンテナ20−1〜20−Nを用いている。また、ア
ンテナ20−1〜20−Nとデュプレクサ11−1〜1
1−Nとの間にビーム形成器21が接続され、このビー
ム形成器21によって放射方向(指向方向)の異なる複
数のビーム、すなわち複数の指向性パターンが形成され
る。ビーム形成器21は、例えばアナログ素子によるバ
トラーマトリクス回路や、空間FFTを行うディジタル
回路等で実現することができる。
【0049】さらに、ビーム形成器21を用いたことに
伴い、図1における受信アンテナ選択器13は制御部2
3により制御される受信ビーム選択器22に、送信アン
テナ選択器18は送信ビーム選択器24にそれぞれ置き
換えられ、送信ビーム選択器24によってスイッチ25
が制御される。
【0050】[受信動作について]本実施形態における
受信動作について説明すると、アンテナ10−1〜10
−Nからの受信信号はビーム形成器21に入力され、放
射方向の異なる複数のビームが形成される。ビーム形成
器21から出力される各ビームに対応した受信信号は、
デュプレクサ11−1〜11−Nをそれぞれ経由して受
信ビーム選択器22に入力され、これと並行して遅延プ
ロファイル推定器12−1〜12−Nにおいて各々の受
信信号に対する平均遅延プロファイルが推定される。
【0051】遅延プロファイル推定器12−1〜12−
Nにより推定された遅延プロファイルを基に、制御部2
3からの制御信号により受信ビーム選択器22が制御さ
れることによって、各遅延時間の所望波に対して最適な
受信ビームが選択され、選択された受信ビームに対応し
た受信信号に対してアダプティブ信号処理部14によっ
てアダプティブアレー等の空間等化信号処理、さらにパ
スダイバーシチ合成器15によって時間等化信号処理が
順次行われる。
【0052】[送信動作について]送信時には、受信時
と同様に遅延プロファイル推定器12−1〜12−Nで
推定された遅延プロファイルに基づき、DOA推定器1
7で所望波の到来角度範囲が推定される。そして、この
到来角度範囲の推定結果に基づき、送信ビーム選択器2
4によって、ビーム形成器21によって形成された複数
のビームのうち、各遅延波毎に最大電力で受信されたビ
ームのみが送信ビームとして選択され、その情報に基づ
いてスイッチ25が切り替えられることにより、選択さ
れた送信ビームで送信がなされるようにビーム形成器2
1に送信信号が供給される。
【0053】このように本実施形態によると、複数のビ
ームの中からよりSNRの高いビームを受信ビームとし
て選択して受信を行うことにより、基地局での受信特性
を改善すると同時に、同じビームを送信ビームとして用
いることによって、端末局での平均受信SNRを改善す
ることができる。
【0054】(第3の実施形態)図4に、本発明の第3
の実施形態に係る無線通信装置の構成を示す。本実施形
態は、第1の実施形態の構成を基本として、相手局であ
る端末局における平均受信SIRを効果的に向上させる
送信ビームパターンを形成できるようにしたものであ
る。
【0055】図1と同一部分に同一符号を付して、第1
の実施形態との相違点について説明すると、本実施形態
では、第1、第2の実施形態における所望波の到来角度
範囲を推定するDOA推定器(到来角度範囲推定器)1
7に代えて、所望波の到来角度範囲及び到来方向を推定
するDOA推定器(到来角度範囲/到来方向推定器)2
7が用いられ、さらに送信重みベクトル生成器30が追
加されると共に、図1におけるスイッチ19が重み付け
器(乗算器)31−1〜31−Nに置き換えられてい
る。
【0056】[受信動作について]本実施形態における
受信時の動作は、第1の実施形態と同様であり、アンテ
ナ10−1〜10−Nからの受信信号はデュプレクサ1
1−1〜11−Nをそれぞれ経由して受信アンテナ選択
器13に入力され、これと並行して遅延プロファイル推
定器12−1〜12−Nにおいて各々の受信信号に対す
る遅延プロファイルが推定される。
【0057】そして、遅延プロファイル推定器12−1
〜12−Nにより推定された遅延プロファイルを基に、
制御部16からの制御信号により受信アンテナ選択器1
3が制御されることによって各遅延時間の所望波に対し
て最適な受信ビームが選択され、選択された受信ビーム
に対応した受信信号に対してアダプティブ信号処理部1
4によってアダプティブアレー等の空間等化信号処理、
さらにパスダイバーシチ合成器15によって時間等化信
号処理が順次行われる。
【0058】[送信動作について]送信時には、受信時
と同様に遅延プロファイル推定器12−1〜12−Nで
推定された遅延プロファイルに基づき、まずDOA推定
器27で所望波のおおまかな到来方向である到来角度範
囲Φが推定される。具体的には、まずDOA推定器27
は先と同様に例えばすべての遅延プロファイル中の所望
波電力を比較し、アンテナ10−1〜10−Nの指向性
から到来角度範囲Φを求める。
【0059】こうしてDOA推定器27で到来角度範囲
Φが求まると、その方向に利得を持たない指向性を有す
るアンテナは無関係となるので、送信アンテナ選択器1
8において候補から除外されて送信アンテナが選択され
る。
【0060】次に、DOA推定器27は所望波の到来方
向の推定精度を改善するために、上記のように各遅延プ
ロファイル中の所望波の受信電力の比較から到来角度範
囲Φを特定した後に、後述するビーム走査やヌルパター
ン走査による推定を行ってΦより精度の高い所望波の到
来方向φを求める。
【0061】そして、DOA推定器17で推定された到
来方向φに基づき、送信重みベクトル生成器30におい
てφの方向に送信時の指向性(送信ビーム)の最大利得
方向を向ける送信重みベクトルが決定される。こうして
決定された送信重みベクトルは重み付け器31−1〜3
1−Nにおいて送信信号に乗じられ、送信アンテナ選択
器18によって選択された送信アンテナに対する送信信
号系列が生成されることにより、最適な送信ビームパタ
ーンで送信が行われる。
【0062】ここで、形成すべき送信ビームパターンに
ついて考察する。ヌルパターンは角度に対して急峻に利
得低下を生ずるため、受信信号の到来方向に対して非常
に敏感である。これに対して、メインローブの方はやや
広いビーム幅を持ち、角度変動に対してピークからの利
得劣化が緩やかであるので、DOAの推定精度が悪い場
合や、送信回路の校正不備によるビームのピークずれが
生じた場合や、端末局の移動や周辺環境の変動により、
受信時と送信時でDOAが異なる場合などに対しても、
強い耐性を持つと考えられる。
【0063】従って、DOA推定器27において推定精
度は悪いが、MUSICに比べてはるかに計算量の少な
い方法で所望波の到来方向φを推定し、これに基づき送
信重みベクトル生成器30により送信重みベクトルを生
成して送信信号に対する重み付けを行い、送信ビームパ
ターンを形成するようにしても、所望波の到来方向に対
する送信ビーム利得はさほど低下しないと考えられる。
【0064】また、送信ビームパターンとして所望波の
到来方向に向けるメインローブ以外の角度に対しては極
力低サイドローブを有するパターンを形成すれば、最適
でないにしても、干渉局の方向への放射利得をある程度
低減することができる。
【0065】これらのことから、送信ビームパターンと
してビーム中心(到来方向φに対応する)が所望波の到
来角度範囲Φに含まれ、かつこの到来角度範囲Φ内にお
ける放射利得がスレッショルドGU[dB]以上となる
ようなビーム幅を持ち、しかもサイドローブに関しては
そのレベルがあるスレッショルドGL[dB]以下とな
るパターンが形成されるように、送信重みベクトルを決
定すればよい。スレッショルドGU,GLはアンテナ数、
アンテナ指向性、アレー配置、電力遅延プロファイルの
推定精度等に依存するパラメータである。このような送
信ビームパターンは、例えば所望波の到来方向φに向け
たチェビシェフ分布の重み付け等を行うようにすること
で容易に得られる。
【0066】次に、所望波のDOA(到来角度範囲推定
及び到来方向)推定を行い、それに基づき送信ビームパ
ターンをどのようにして決めるかについて、具体的に記
述する。図2に示した例においては、所望波を受信して
いるアンテナはアンテナ10−1,10−2,10−8
だけであり、それぞれの所望波の遅延プロファイル(平
均遅延プロファイル)を比較すると、アンテナ10−1
で最も受信電力値が大きく、アンテナ10−2,10−
8ではそれに次いで低く、ほぼ同程度の受信電力値にな
っている。
【0067】アンテナ10−1〜10−Nの間隔は比較
的小さい(半波長程度)ことから、各アンテナ10−1
〜10−Nでの受信信号間のフェージング相関は極めて
高いため、受信信号電力値は同程度と考えられ、各アン
テナ10−1〜10−Nの指向性によって各遅延プロフ
ァイルでの受信電力値に差が生じている。
【0068】また、アンテナ10−1〜10−Nの指向
性は左右対称なので、所望波はほぼアンテナ10−1の
正面方向(φ0=0°とし、右回りに正の角度をとるも
のとする)から到来していると推定できる。従って、こ
の場合には中心がφ0=0°で、ビーム幅がおよそΦ=
−11°〜11°の送信ビームパターンを形成すればよ
いことがわかる。
【0069】同様にして、1シンボル遅延波に対しては
Φ=45°〜67°、2シンボル遅延波に対してはΦ=
124°〜146°程度と推定できるので、それぞれ中
心がほぼφ1=56°,φ2=135°で、ビーム幅がお
よそ22.5°の送信ビームパターンを形成すればよ
い。
【0070】DOA推定器17で推定される到来角度範
囲Φについて、どこまで狭く見積もれるかは、遅延プロ
ファイルで推定した受信電力値の信頼性に依存する。雑
音の影響等が無視できれば、所望波を受信したときの各
アンテナ10−1〜10−Nからの受信電力値の差を求
めることで、この到来角度範囲Φを絞り込むことができ
る。
【0071】このように本実施形態によれば、第1の実
施形態と同様にDOA推定器27でで推定された到来角
度範囲Φに基づき選択されたK個(K<N)の指向性ア
ンテナに供給する送信信号に対して、DOA推定器27
でさらに推定された所望波の到来方向φに送信ビームの
最大利得方向を向けるような送信重みベクトルで重み付
けを行うことによって、最大利得方向への指向性が鋭
く、かつサイドローブを抑圧した送信ビームパターンが
形成され、端末局における平均受信SIRを改善するこ
とができる。また、所望波および干渉波の到来方向の変
動に対してもロバスト性がある、という効果も得られ
る。
【0072】(第4の実施形態)図5に、本発明の第4
の実施形態に係る無線通信装置の構成を示す。本実施形
態は、第2の実施形態の構成を基本として、第3の実施
形態と同様の原理で相手局である端末局における平均受
信SIRを効果的に向上させる送信ビームパターンを形
成できるようにしたものである。
【0073】図3と同一部分に同一符号を付して、第2
の実施形態との相違点について説明すると、本実施形態
では第4の実施形態と同様に所望波の到来角度範囲及び
到来方向を推定するDOA推定器(到来角度範囲/到来
方向推定器)27が用いられ、さらに送信重みベクトル
生成器40が追加されると共に、図3におけるスイッチ
25が重み付け器(乗算器)41−1〜41−Nに置き
換えられている。
【0074】[受信動作について]本実施形態における
受信動作は第2の実施形態と同様であり、アンテナ10
−1〜10−Nからの受信信号はビーム形成器21に入
力され、複数のビームが形成される。ビーム形成器21
から出力される各ビームに対応した受信信号は、デュプ
レクサ11−1〜11−Nをそれぞれ経由して受信ビー
ム選択器22に入力され、これと並行して遅延プロファ
イル推定器12−1〜12−Nにおいて各々の受信信号
に対する平均遅延プロファイルが推定される。
【0075】そして、遅延プロファイル推定器12−1
〜12−Nにより推定された遅延プロファイルを基に、
制御部23からの制御信号により受信ビーム選択器22
が制御されることによって、各遅延時間の所望波に対し
て最適な受信ビームが選択され、選択された受信ビーム
に対応した受信信号に対してアダプティブ信号処理部1
4によってアダプティブアレー等の空間等化信号処理、
さらにパスダイバーシチ合成器15によって時間等化信
号処理が順次行われる。
【0076】[送信動作について]送信時には、第3の
実施形態と同様に遅延プロファイル推定器12−1〜1
2−Nで推定された遅延プロファイルに基づき、まずD
OA推定器27で所望波のおおまかな到来方向である到
来角度範囲Φが推定され、Φ以外の方向に利得を持たな
い指向性を有するアンテナは送信アンテナ選択器18に
おいて候補から除外されて送信アンテナが選択される。
【0077】次に、DOA推定器27においてΦより精
度の高い到来方向φが推定され、これに基づき送信重み
ベクトル生成器40においてφの方向に送信時の指向性
(送信ビーム)の最大利得方向を向ける送信重みベクト
ルが決定される。こうして決定された送信重みベクトル
が重み付け器41−1〜41−Nにおいて送信信号に乗
じられ、送信ビーム選択器24によって選択された送信
ビームに対する送信信号系列が生成されることにより、
最適な送信ビームパターンで送信が行われる。
【0078】このように本実施形態によると、複数のビ
ームの中からよりSNRの高いビームを受信ビームとし
て選択して受信を行うことにより、基地局での受信特性
を改善すると同時に、同じビームを送信ビームとして用
い、かつそれらの送信ビームの合成で最適な送信ビーム
パターンを形成することにより、端末局での平均受信S
IRをさらに改善することができる。
【0079】(第5の実施形態)次に、本発明の第5の
実施形態として、DOA推定法に関する他の実施形態を
を図6を用いて説明する。
【0080】本発明では、前述したDOA推定法では角
度分解能が十分でないような場合、MUSICに代わる
計算量の少ないDOA推定法として、ビームパターン走
査またはヌルパターン走査を用いることができる。
【0081】ビームパターン走査によるDOA推定によ
ると、受信信号に対して角度掃引に相当する重み付けを
試行することにより、より正確なDOAを推定すること
ができる。例えば、指向性アンテナ10−1〜10−N
を用いる第1、第3の実施形態の場合、指向性アンテナ
10−1〜10−Nからの受信信号の遅延プロファイル
により、到来方向に対して大きな利得を持ついくつかの
アンテナを特定できるので、それらのうち受信電力がよ
り大きな2つのアンテナを用いて走査用ビームパターン
を形成する。図2の例では、所望波に対してはアンテナ
10−1,10−2を用いて走査用ビームパターンを作
ることになる。
【0082】そして、この走査用ビームパターンにより
角度掃引、すなわち最初に推定された到来角度範囲Φ内
において適当な角度間隔でビーム走査を行う。この走査
用ビームパターンによる走査の結果、走査用ビームパタ
ーンに対応する受信出力レベルが最大となる方向が所望
波の到来方向φと推定される。角度掃引をあまり細かく
行うと、処理時間および計算量が大きくなるため、走査
用ビームパターンのメインローブ幅に対して、ピークか
らの利得劣化が無視できる程度の角度間隔で離散的に角
度掃引を行うことが好ましい。
【0083】通常、このようなビームパターン走査を3
60°水平面内で行うと、サイドローブやグレーティン
グローブ等との識別が困難であるが、本発明では予め受
信波の到来方向推定Φが限定されているため、走査範囲
も狭めることができ、少ない試行で正しく所望波方向を
推定できる。
【0084】図6(a)(b)に、ビームパターン走査
による方向推定の様子を示す。図6(a)は2個のアン
テナを用いて形成した走査用ビームパターン、図6
(b)はこの走査用ビームパターンを到来角度範囲Φ内
で角度掃引したときの受信出力レベル(2個のアンテナ
の合成出力)の履歴を示している。図6(b)により、
受信出力レベルが最大値を示す角度として所望波の到来
方向φ0が求められる。
【0085】このように簡易な演算によって到来方向φ
の推定が可能となり、到来方向φと送信ビームの最大利
得方向(ピーク方向)を完全に一致させることができ、
端末局において最大SNRを実現することができる。
【0086】また、2個のアンテナを用いて図6(c)
に示すようなヌルを有する走査用ヌルパターンを形成
し、角度掃引を行う方法も適用できる。この場合、走査
用ヌルパターンに対応する受信出力レベル(2個のアン
テナの合成出力)の履歴は図6(d)に示すようにな
り、受信出力レベルが最小となる角度が所望波の到来方
向φ0として推定される。
【0087】このような走査用ヌルパターンによる走査
を行うことにより、ビームパターン走査では走査ビーム
幅のために受信出力レベルに差がみられず、到来方向を
特定できないような場合でも、ヌルは急峻に落ち込むこ
とから最小値を特定しやすく、所望波の到来方向φ0
容易に推定できるという利点がある。
【0088】さらに、図6(e)に示すように上述した
ビームパターン走査とヌルパターン走査を同時に行っ
て、図6(f)に示すように二つのパターンに対応する
受信出力レベルの差を求め、その差が最大となる角度を
所望波の到来方向φ0として推定することもできる。
【0089】このようにすると、雑音や遅延波、干渉波
の影響を抑えてさらに高精度な到来方向の推定が可能と
なる。また、この方法は先に説明した所望波の到来角度
範囲Φが極端に小さくなった場合と等価であるため、ビ
ームパターンのビーム中心をより高利得にした狭ビーム
を形成することができる。
【0090】なお、いつも指向性アンテナのエンドファ
イヤ方向から角度掃引を行うと、受信出力レベルの最小
値を得るのに時間がかかる場合があるが、2分割法に従
った試行を繰り返して最小値探索を行うようにすれば、
より迅速に、あるいはより少ない計算量で、所望波の到
来方向を推定することが可能である。
【0091】(第6実施形態)さらに、本発明の第6の
実施形態として、第5の実施形態とは異なるDOA推定
法に関する実施形態を図7を用いて説明する。下記方法
は、第1〜4の実施形態の無線通信装置のDOA推定器
17および27のすべてに対して適用できるが、ここで
は特に第3の実施形態、すなわち図4に示す無線通信装
置を想定する。
【0092】第5の実施形態で説明したDOA推定法で
は、レベルの強い遅延波が所望波方向近辺から到来する
ときに正しくDOAを推定できない場合がある。このよ
うな場合、推定された到来方向範囲をカバーする2個の
アンテナ素子の遅延プロファイル推定値から、所望対象
とする到来波による伝搬路応答(複素振幅位相歪み成
分)を畳み込んだ受信信号のレプリカを生成し、その受
信レプリカ信号に対して、第5の実施形態で説明した到
来方向推定方法であるヌルパターン走査等を行うことに
より、所望波および遅延波のDOA推定の推定誤りを軽
減することができる。
【0093】図7は、本実施の形態に係る無線通信装置
のDOA推定器の構成を説明するための図である。
【0094】図7に従って動作原理を説明する。図7で
は、ある遅延時間τi をもつ遅延波の受信電力の大きい
2素子を#1,#2,とする。2個の受信信号は、遅延
プロファイル推定器12−1〜12−2に入力されて遅
延プロファイルが推定され、この遅延プロファイルに基
づいて、レプリカ生成器50−1〜50−2において所
望対象とするある遅延波の受信レプリカ信号が生成され
る。
【0095】その後、この2素子の受信レプリカ信号に
対して、ヌルパターン走査器51で到来方向推定を行
う。このように特定の遅延波成分しか含まれていない受
信レプリカ信号を用いてヌルパターン走査を行うことに
より、正確な走査判定を行うことができる。また、図中
のヌルパターン走査の変わりにビームパターン走査器を
用いても良い。
【0096】受信レプリカ信号は所望波および各遅延波
に対して生成でき、以下の原理に従って求められる。ま
ず、j番目のアンテナ素子における受信信号xj (t)
は、
【0097】
【数1】
【0098】と書ける。
【0099】hj (t)はj番目のアンテナ素子における
アレー応答を含んだ伝搬路応答を表しτi はi番目の遅
延波の遅延時間(i=1〜L),s(t)は送信信号系列
(PN系列),n(t)は受信機雑音を表す。
【0100】ここで、遅延プロファイルを求めるため
に、受信信号に送信信号と同じ既知の系列の複素共役を
畳み込むと、
【0101】
【数2】
【0102】となる。ここで、h^(t)は推定された複
素遅延プロファイルである。
【0103】よって、j番目のアンテナ素子におけるi
番目の遅延波の受信レプリカ信号は以下の式で求めるこ
とができる。
【0104】
【数3】
【0105】上記の構成により、ヌルパターン走査によ
るDOA推定の推定誤りを軽減することができる。
【0106】また、推定された遅延波方向にヌルを向け
るような送信重みベクトルを適用して送信ビームを形成
した場合には、端末に到達する遅延成分を低減すること
ができる。これにより、端末側で周波数選択性フェージ
ングの発生を防ぐことができる。このようなヌルを向け
る重みベクトル決定アルゴリズムとして、既知の到来方
向に対して拘束条件を課して所望のビームパターンを得
るDCMP(Direction Constraint Minimum Power)ア
ルゴリズム等がある。
【0107】(第7の実施形態)さらに、本発明の第7
の実施形態として、第5の実施形態とは異なるDOA推
定法に関する他の実施形態を図8を用いて説明する。
【0108】第5および6の実施形態で説明したDOA
推定法では、SDMA(Space Division Multiple Acce
ss)やCDMA(Code Division Multiple Access)等
のアクセス方式を用いた通信システムで、レベルの強い
干渉波が時々刻々と変化して到来するような場合に正し
くDOAを推定できない場合がある。
【0109】そこでレベルの強い干渉波が存在する場合
のDOA推定方法について以下に説明する。
【0110】図8に従って動作原理を述べる。各アンテ
ナ素子のN個の受信信号は、遅延プロファイル推定器1
2−1〜12−Nに入力されて遅延プロファイルが推定
され、この遅延プロファイルに基づいて、レプリカ生成
器60−1〜60−Nにおいて所望波およびすべての遅
延波に対する受信レプリカ信号が生成される。所望波お
よび各遅延波の受信レプリカ信号は先に述べた方法と同
様の手法で生成される。
【0111】これら所望波及びすべての遅延波の受信レ
プリカ信号を合成し、加算器52−1〜52−Nで受信
信号から差し引くことによって、干渉波成分のみを含ん
だ受信信号が得られる。
【0112】その後、これらN個の受信信号の隣接2素
子のすべての組み合わせに対して、ヌルパターン走査器
61にて干渉波到来方向を推定する。なお、干渉波到来
方向の推定に際しては、所望波の到来角度範囲内におい
てのみ干渉波の到来を知れば足りる場合には、所望波の
到来角度範囲内におけるアンテナを使用して干渉波の到
来方向の推定を行なえばよい。
【0113】上記の方法により、干渉波方向を推定で
き、またその方向に対してヌルを向ける送信ビームパタ
ーンを形成することによって、SDMAやCDMA等、
レベルの高い干渉波が多数存在するような通信システム
において、端末の受信SIRを改善することができる。
また、基地局間非同期システムにおいては基地局間干渉
を低減することができる。
【0114】<第8の実施の形態>上述の第7の実施の
形態において説明した無線通信装置では、干渉波の到来
方向に対してヌルを向ける送信ビームパターンを形成す
ることができるが、所望波の到来方向に対して送信ビー
ムを向けることはできない。
【0115】本実施の形態の無線通信装置は、第6の実
施の形態において述べた無線通信装置の機能と、第7の
実施の形態において述べた無線通信装置の機能とを組み
合わせることにより、所望波に対して送信ビームを向け
ることができ、かつ干渉波に対してヌルを向けることが
できる。
【0116】図9は、本実施の形態に係る無線通信装置
のDOA推定器の構成を示す図である。なお、図7及び
図8と同一部分には同一符号を付している。
【0117】同図において、所望波用のレプリカ生成器
50−1〜50−N、所望波用ヌルパターン走査器51
によって、第6の実施の形態において述べたように、遅
延波(所望波)の到来方向が求められ、この求められた
遅延波(所望波)の到来方向が送信重みベクトル生成器
30に入力される。
【0118】また、レプリカ生成器60−1〜60−
N、加算器52−1〜52−N及び干渉波用ヌルパター
ン走査器61によって、第7の実施の形態において述べ
たように、干渉波の到来方向が求められ、この求められ
た干渉波の到来方向が送信重みベクトル生成器30に入
力される。
【0119】送信重みベクトル生成器30は、所望波用
ヌルパターン走査器51から出力される遅延波(所望
波)の到来方向および干渉波用ヌルパターン走査器61
から出力される干渉波の到来方向に基づいて、干渉波の
到来方向にヌルを向け、かつ遅延波(所望波)の到来方
向に送信時の指向性が最大利得を持つような送信重みベ
クトルを生成する。
【0120】したがって、本実施の形態の無線通信装置
によれば、第6及び第7の実施の形態の無線通信装置に
よって得られる双方の効果、すなわち、干渉波の到来方
向にヌルを向け、かつ遅延波(所望波)の到来方向に送
信時の指向性が最大利得を持つような送信ビームを形成
することができる。
【0121】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は次のように種々変形して実施することがで
きる。 (1)端末局において、例えばRAKE受信機や適応等
化器のように所望波及びその遅延波の受信信号を分離し
た後、例えば遅延、重み付けなどの処理を経て合成する
手段をもつ場合には、所望波のみならず遅延波について
も到来角度範囲や到来方向を推定し、所望波の到来方向
にも遅延波の到来方向にも利得をもつ送信ビーム、ある
いは所望波及び遅延波に対してマルチビームを形成して
もよい。これによって、送信ダイバーシチ効果が得られ
る。
【0122】(2)先の実施形態では、送受信で周波数
の異なるFDDシステムを仮定してきたが、前述したよ
うに本発明はTDDシステムにも適用できる。その場合
はデュプレクサ11−1〜11−Nに代えて、3つの端
子に対して2方向のアイソレーションをもつサーキュレ
ータ等を用いることによって同様の構成をとることが可
能であり、先と同等の効果が得られる。
【0123】(3)先の実施形態では、本発明の適用シ
ステムとして基地局への端末局からのフィードバック信
号をもたないシステムを前提としているが、端末局から
のフィードバック信号を利用できる場合には、基地局に
おいて各端末局での平均受信SIRを最大にするような
送信ビーム制御を行うことが可能となる。
【0124】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればア
ダプティブアンテナを用いた無線通信装置において、従
来の技術では膨大な計算量と緻密な処理を必要とした到
来方向推定や送信重みベクトル決定に関して必要な演算
量を大幅に低減しつつ、到来方向変動に対して耐性のあ
る送信ビームを形成することができ、これによって相手
局での平均受信SNR、平均受信SIRを改善すること
ができる。従って、同一周波数の繰り返し距離を近くす
ることができ、結果としてシステムの周波数利用効率を
改善することができる。
【0125】また、本発明は上りと下りの両回線(通信
路)で異なる周波数を用いるシステムにも適用すること
ができるので、FDD方式においても送信ビーム制御に
より相手局での平均受信SIRを改善することができ
る。
【0126】また、本発明の無線通信装置を現状のセル
ラシステム基地局に適用した場合、送信ビームの指向性
利得により端末局での受信レベルが向上し、高い通信品
質を達成できる。
【0127】さらに、送信ビームの指向性利得により、
セルのカバレッジが等価的に拡大すると考えられ、これ
により不感地帯の解消や、ハンドオーバ制御の回数を減
らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置の
構成を示すブロック図。
【図2】各到来波の状態と遅延プロファイルの例を示す
図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置の
構成を示すブロック図。
【図4】本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置の
構成を示すブロック図。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る無線通信装置の
構成を示すブロック図。
【図6】本発明の第5の実施形態におけるビームパター
ン走査およびヌルパターン走査による到来方向推定の様
子を示す図。
【図7】本発明の第6の実施形態に係るDOA推定器の
構成を示すブロック図。
【図8】本発明の第7の実施形態に係るDOA推定器の
構成を示すブロック図。
【図9】本発明の第8の実施形態に係るDOA推定器の
構成を示すブロック図。
【図10】従来の受信用アダプティブアレーアンテナの
構成を示す図。
【符号の説明】
1−1〜1−N…複素乗算器 2…受信重みベクトル計算部 3…加算器 10−1〜10−N…指向性アンテナ 11−1〜11−N…デュプレクサ 12−1〜12−N…遅延プロファイル推定器 13…受信アンテナ選択器 14…アダプティブ信号処理部 15…パスダイバーシチ合成器 16…制御部 17…DOA推定器(到来角度範囲推定器) 18…送信アンテナ選択器 19…スイッチ 20−1〜20−N…無指向性アンテナ 21…ビーム生成器 22…受信ビーム選択器 23…制御部 24…送信ビーム選択器 25…スイッチ 27…DOA推定器(到来角度範囲/到来方向推定器) 30…送信重みベクトル生成器 31−1〜31−N…重み付け器 40…送信重みベクトル生成器 41−1〜41−N…重み付け器 50−1,50−2,50−N…レプリカ生成器(所望
波用) 51…ヌルパターン走査器、 52−1,52−N…加算器、 60−1〜60−N…レプリカ生成器(干渉波用)、 61…ヌルパターン走査器(干渉波用)。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 7/08 H04B 7/08 D 7/26 7/26 D Fターム(参考) 5J021 AA05 AA06 DB01 DB05 EA04 FA09 FA13 FA14 FA16 FA29 FA31 FA32 GA05 GA06 HA01 HA02 HA05 JA00 5K059 CC02 CC03 CC04 DD31 5K067 AA02 CC24 EE10 EE46 GG11 HH21 KK02

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の指向性アンテナと、 前記各アンテナからの受信信号毎に、所望波とその遅延
    波の到来時刻及び受信電力を表す遅延プロファイルを推
    定する遅延プロファイル推定手段と、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルから前記所望波の到来角度範囲を推定する到
    来角度範囲推定手段と、 前記到来角度範囲推定手段により推定された到来角度範
    囲に基づき前記複数のアンテナの中から送信に用いる少
    なくとも一つのアンテナを選択する送信アンテナ選択手
    段と、 前記送信アンテナ選択手段により選択されたアンテナを
    用いて送信を行う送信手段とを具備することを特徴とす
    る無線通信装置。
  2. 【請求項2】前記到来角度範囲推定手段により推定され
    た到来角度範囲から前記所望波の到来方向を推定する到
    来方向推定手段と、 前記到来方向推定手段により推定された到来方向に送信
    時の指向性の最大利得方向を向ける送信重みベクトルを
    生成する送信重みベクトル生成手段をさらに具備し、 前記送信アンテナ選択手段は、前記到来角度範囲推定手
    段により推定された到来角度範囲に含まれる複数のアン
    テナを選択し、 前記送信手段は、前記送信アンテナ選択手段により選択
    された各アンテナに前記送信重みベクトル生成手段によ
    り生成された送信重みベクトルを乗じた送信信号を供給
    して送信を行うことを特徴とする請求項1記載の無線通
    信装置。
  3. 【請求項3】複数のアンテナと、 前記各アンテナに接続され、放射方向の異なる複数のビ
    ームを形成するビーム形成手段と、 前記ビーム形成手段により形成された各ビームによる受
    信信号毎に、所望波とその遅延波の到来時刻及び受信電
    力を表す遅延プロファイルを推定する複数の遅延プロフ
    ァイル推定手段と、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルから前記所望波の到来角度範囲を推定する到
    来角度範囲推定手段と、 前記到来角度範囲推定手段により推定された到来角度範
    囲に基づき前記複数のビームの中から送信に用いる少な
    くとも一つのビームを選択する送信ビーム選択手段と、 前記送信ビーム選択手段により選択されたビームを用い
    て送信を行う送信手段とを具備することを特徴とする無
    線通信装置。
  4. 【請求項4】前記到来角度範囲推定手段により推定され
    た到来角度範囲から前記所望波の到来方向を推定する到
    来方向推定手段と、 前記到来方向推定手段により推定された到来方向に指向
    性の最大利得方向を向ける送信重みベクトルを生成する
    送信重みベクトル生成手段をさらに具備し、 送信ビーム選択手段は、前記到来角度範囲推定手段によ
    り推定された到来角度範囲に含まれる複数のビームを選
    択し、 前記送信手段は、前記送信ビーム選択手段により選択さ
    れた各ビームに前記送信重みベクトル生成手段により生
    成された送信重みベクトルを乗じた送信信号を反映させ
    て送信を行うことを特徴とする請求項3記載の無線通信
    装置。
  5. 【請求項5】前記到来方向推定手段は、前記到来角度範
    囲推定手段により推定された到来角度範囲で所定の走査
    用ビームパターンによる走査を行い、該走査で得られた
    受信出力レベルの最大値を求めることによって到来方向
    を検出する手段とを備えることを特徴とする請求項2ま
    たは4記載の無線通信装置。
  6. 【請求項6】前記到来方向推定手段は、前記到来角度範
    囲推定手段により推定された到来角度範囲で所定の走査
    用ヌルパターンによる走査を行い、該走査で得られた受
    信出力レベルの最小値を求めることによって到来方向を
    検出することを特徴とする請求項2または4記載の無線
    通信装置。
  7. 【請求項7】前記到来方向推定手段は、前記到来角度範
    囲推定手段により推定された到来角度範囲で所定の走査
    用ビームパターンによる走査と所定の走査用ヌルパター
    ンによる走査を行い、これらの走査でそれぞれ得られた
    受信出力レベルの差の最大値を求めることによって到来
    方向を検出する手段とを備えることを特徴とする請求項
    2または4記載の無線通信装置。
  8. 【請求項8】前記送信手段は、前記所望波の到来方向に
    対して最大利得を持ち、それ以外の方向に対して抑圧さ
    れたサイドローブを有する送信ビームパターンを形成し
    て送信を行うことを特徴とする請求項2または4記載の
    無線通信装置。
  9. 【請求項9】前記到来角度範囲推定手段により推定され
    た到来角度範囲に基づき、前記複数のアンテナの中から
    受信に用いるアンテナを選択する受信アンテナ選択手段
    と、 前記受信アンテナ選択手段により選択されたアンテナか
    らの受信信号に対し所定の信号処理を施して受信出力を
    得る手段とをさらに具備することを特徴とする請求項1
    記載の無線通信装置。
  10. 【請求項10】前記到来角度範囲推定手段により推定さ
    れた到来角度範囲に基づき、前記複数のビームの中から
    受信に用いるビームを選択する受信ビーム選択手段と、 前記受信ビーム選択手段により選択されたビームによる
    受信信号に対し所定の信号処理を施して受信出力を得る
    手段とをさらに具備することを特徴とする請求項3記載
    の無線通信装置。
  11. 【請求項11】前記到来方向推定手段は、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルを基に受信レプリカ信号を生成する受信レプ
    リカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された受信
    レプリカ信号に対して、前記到来角度範囲推定手段によ
    り推定された到来角度範囲で所定の走査用ビームパター
    ンあるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走
    査で得られた受信出力レベルに基づいて所望波および遅
    延波の到来方向を検出する手段とを備えることを特徴と
    する請求項2又は請求項4に記載の無線通信装置。
  12. 【請求項12】前記遅延プロファイル推定手段により推
    定された遅延プロファイルを基に受信レプリカ信号を生
    成する受信レプリカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された各遅
    延波毎の受信レプリカ信号を合成する合成手段と、 各アンテナ素子毎に受信信号から前記合成手段で合成さ
    れた合成レプリカ信号を差し引く減算器と、 前記減算器出力に対して、所定の走査用ビームパターン
    あるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走査
    で得られた受信出力レベルに基づいて干渉波の到来方向
    を検出する干渉波到来方向推定手段と、 前記干渉波到来方向推定手段により推定された干渉波の
    到来方向に送信時の指向性にヌルを向ける送信重みベク
    トルを生成する干渉波用送信重みベクトル生成手段とを
    さらに具備し、 前記送信手段は、前記送信アンテナ選択手段により選択
    された各アンテナに前記干渉波用送信重みベクトル生成
    手段により生成された送信重みベクトルを乗じた送信信
    号を供給して送信を行なうことを特徴とする請求項1記
    載の無線通信装置。
  13. 【請求項13】前記遅延プロファイル推定手段により推
    定された遅延プロファイルを基に受信レプリカ信号を生
    成する受信レプリカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された各遅
    延波毎の受信レプリカ信号を合成する合成手段と、 各ビーム毎に受信信号から前記合成手段で合成された合
    成レプリカ信号を差し引く減算器と、 前記減算器出力に対して、所定の走査用ビームパターン
    あるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走査
    で得られた受信出力レベルに基づいて干渉波の到来方向
    を検出する干渉波到来方向推定手段と、 前記干渉波到来方向推定手段により推定された干渉波の
    到来方向に送信時の指向性にヌルを向ける送信重みベク
    トルを生成する干渉波用送信重みベクトル生成手段とを
    さらに具備し、 前記送信手段は、前記送信ビーム選択手段により選択さ
    れた各ビームに前記干渉波用送信重みベクトル生成手段
    により生成された送信重みベクトルを乗じた送信信号を
    反映させて送信を行なうことを特徴とする請求項3記載
    の無線通信装置。
  14. 【請求項14】前記到来方向推定手段は、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルを基に受信レプリカ信号を生成する受信レプ
    リカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された受信
    レプリカ信号に対して、前記到来角度範囲推定手段によ
    り推定された到来角度範囲で所定の走査用ビームパター
    ンあるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走
    査で得られた受信出力レベルに基づいて所望波および遅
    延波の到来方向を検出する手段とを具備し、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルを基に受信レプリカ信号を生成する受信レプ
    リカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された各遅
    延波毎の受信レプリカ信号を合成する合成手段と、 各アンテナ素子毎に受信信号から前記合成手段で合成さ
    れた合成レプリカ信号を差し引く減算器と、 前記減算器出力に対して、所定の走査用ビームパターン
    あるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走査
    で得られた受信出力レベルに基づいて干渉波の到来方向
    を検出する干渉波到来方向推定手段と、 前記干渉波到来方向推定手段により推定された干渉波の
    到来方向に送信時の指向性にヌルを向ける送信重みベク
    トルを生成する干渉波用送信重みベクトル生成手段とを
    さらに具備し、 前記送信手段は、前記送信アンテナ選択手段により選択
    された各アンテナに前記干渉波用送信重みベクトル生成
    手段により生成された送信重みベクトルを乗じた送信信
    号を供給して送信を行なうことを特徴とする請求項2記
    載の無線通信装置。
  15. 【請求項15】前記到来方向推定手段は、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルを基に受信レプリカ信号を生成する受信レプ
    リカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された受信
    レプリカ信号に対して、前記到来角度範囲推定手段によ
    り推定された到来角度範囲で所定の走査用ビームパター
    ンあるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走
    査で得られた受信出力レベルに基づいて所望波および遅
    延波の到来方向を検出する手段とを具備し、 前記遅延プロファイル推定手段により推定された遅延プ
    ロファイルを基に受信レプリカ信号を生成する受信レプ
    リカ信号生成手段と、 前記受信レプリカ信号生成手段によって生成された各遅
    延波毎の受信レプリカ信号を合成する合成手段と、 各ビーム毎に受信信号から前記合成手段で合成された合
    成レプリカ信号を差し引く減算器と、 前記減算器出力に対して、所定の走査用ビームパターン
    あるいは走査用ヌルパターンによる走査を行い、該走査
    で得られた受信出力レベルに基づいて干渉波の到来方向
    を検出する干渉波到来方向推定手段と、 前記干渉波到来方向推定手段により推定された干渉波の
    到来方向に送信時の指向性にヌルを向ける送信重みベク
    トルを生成する干渉波用送信重みベクトル生成手段とを
    さらに具備し、 前記送信手段は、前記送信ビーム選択手段により選択さ
    れた各ビームに前記干渉波用送信重みベクトル生成手段
    により生成された送信重みベクトルを乗じた送信信号を
    反映させて送信を行なうことを特徴とする請求項4記載
    の無線通信装置。
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