JP3740063B2 - 基地局装置およびダイバーシチ制御方法 - Google Patents

基地局装置およびダイバーシチ制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のアンテナ素子を用いて送信ダイバーシチを行う基地局装置およびダイバーシチ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動体通信においては、フェージングにより受信信号の減衰が大きくなる。このようなフェージングに対する有効な対策としてダイバーシチ技術がある。ダイバーシチ技術では、通常複数の受信信号を用いて通信品質の高い伝送を実現する。例えば、受信機の2つのアンテナにおけるフェージング変動が互いに独立とみなせるほど、2つのアンテナの距離が十分に離れていたとすると、2つのアンテナで受信した信号の電力が同時に減衰する確率は減少する。ダイバーシチ技術では、この原理を利用して受信機での受信信号の電力の落ち込みを防止する。
【0003】
ダイバーシチ技術において、複数の受信信号を得るための手段は、ダイバーシチブランチと呼ばれる。ここでは、ダイバーシチブランチを2つの受信アンテナにしている。
【0004】
ダイバーシチ技術において、特に受信機の負担を軽減する目的で、送信側の複数のアンテナそれぞれで複数の受信信号を生成する方式は、送信ダイバーシチと呼ばれる。複数のアンテナを用いた送信ダイバーシチは、IEEE Trans. Information Theory, vol. 44, No. 2, pp744-765, Mar. 1998” Space-time codes for high data rate wireless communication: Performance criterion and code construction”に記載されているようにダイバーシチ利得と符号化利得を組み合わせたSTTC技術や、IEEE Journal on Select Areas in Communications, vol. 16, No. 8, pp1451-1458, Oct. 1998 “ A simple transmit diversity technique for wireless communications”に記載されているように受信側の復号処理を簡略化することを特徴としたSTBC技術が知られている。
【0005】
一方、複数のパスを通過した信号が受信機で受信される際には、それぞれの信号が異なった角度、異なった遅延時間で受信される。このとき、高速伝送を行なうと、遅延時間が情報の1シンボル時間に対して長くなる遅延波が存在し、この遅延波により送信ダイバーシチの効果が低減してしまう。この現象は、符号間干渉と呼ばれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
送信ダイバーシチにおける符号間干渉の補償の手法としては、IEEE Vehicular Technology Conference (VTC2000), pp1688-1692, 2000, “MLSE and equalization of space-time codes signals”や、IEEE Pacific Rim Conference on Communications, ComputerS/And Signal Processing (PACRIM 1999), pp341-344, 1999, “ Multiple input/ Multiple output (MIMO) equalization for spade-time block coding”が知られている。これらの手法は受信機の設備を複雑化してしまう。受信機の設備が複雑化すると、受信機の大型化や価格の増大につながってしまい好ましくない。
【0007】
また、特開2001-111464号公報には、同一チャネル間干渉の抑圧とフェージングの抑圧とを同時に行なうための複数のアンテナ素子の位相と振幅を制御可能にしたスマートアンテナを用いた送信ダイバーシチが開示されている。ところが、この公報に開示された発明はアンテナ素子間の距離を大きくしており、アンテナ全体の構成が大きくなってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、複数のアンテナ素子を用いた送信ダイバーシチを行なうことで、フェージングを抑圧して受信信号の減衰を改善すると共に、符号間干渉を起こしうるパス方向にヌル点(電界のゼロ点)を向けることで受信機での符号間干渉を抑圧し、受信信号の劣化を低減させることができる基地局装置およびダイバーシチ制御方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様によれば、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、複数の多重到来波の到来時間および到来角情報を測定する到来波情報測定手段と、を備え、前記パス分離手段は、前記測定された到来時間および到来角情報に基づいて複数のパスに分離し、前記送信方向決定手段は、前記測定された到来時間および到来角情報と、前記測定された相互相関と、に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とする基地局装置が提供される。
また、本発明の一態様によれば、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、を備え、前記送信方向決定手段は、複数の多重到来波それぞれの到来時間に基づいて符号間干渉を生じさせるパスを決定し、決定されたパス以外で互いの相互相関が所定のしきい値以下のパスの組を前記ダイバーシチブランチとすることを特徴とする基地局装置が提供される。
また、本発明の一態様によれば、複数のアンテナ素子と、前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、を備え、前記送信方向決定手段は、一つの送信パターンの最大利得が生じる送信方向において残りの送信パターンの利得がしきい値以下になり、かつ符号間干渉を起こしうる送信方向の利得がしきい値以下になるように、前記複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とする基地局装置が提供される。
【0010】
本発明では、角度ごとに分離したパス同士の相互相関に基づいて送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定するため、アンテナ素子の距離を十分に離さなくても、空間(角度)ダイバーシチ効果により受信信号の減衰を抑圧できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る基地局装置およびダイバーシチ制御方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。以下では、本発明の一例として、基地局装置について主に説明する。
【0012】
本発明に係る基地局装置1は、図1に示すように、通信端末装置2との間で、スマートアンテナ(S/A)またはアダプティブアレイアンテナ3を用いて送信ダイバーシチを行うとともに、送信S/A制御を行う。
【0013】
送信ダイバーシチの方式として、クローズドループ送信ダイバーシチとオープンループモード送信ダイバーシチとの2つの方式がある。本実施形態は、どちらの方式にも適用可能であるが、本明細書では、オープンループモード型送信ダイバーシチ方式について説明する。
【0014】
また、本実施形態は、FDD(Frequency Division Duplex)方式とTDD (Time Division Duplex)方式のどちらにも適用可能であるが、本明細書では、TDD方式について説明する。
【0015】
図2は本発明に係る基地局装置1の一実施形態の概略構成を示すブロック図である。図2の基地局装置1は、複数のアンテナ素子3a〜3cを有するスマートアンテナ3と、受信機4と、送信機5とを備えている。なお、図2では、3つのアンテナ素子3a〜3cを有するスマートアンテナ3の例を示しているが、アンテナ素子の数には特に制限はない。
【0016】
受信機4は、各アンテナ素子3a〜3cごとに設けられる受信RF回路11と、受信信号の分離を行う受信S/A回路12と、到来角・到来時間推定回路13と、相互相関検出回路14と、送信方向・ヌル方向決定装置15とを有する。
【0017】
送信機5は、送信ダイバーシチ回路21と、送信ウェイト計算回路22と、送信ウェイト乗算部23と、合成回路24と、送信RF回路25とを有する。合成回路24と送信RF回路25は、各アンテナ素子3a〜3cごとに設けられる。
【0018】
通信端末装置2から送信された信号は、スマートアンテナ3の複数のアンテナ素子3a〜3cで受信されて受信RF回路11に送られる。受信RF回路11は、受信信号に対して所定の無線受信処理(例えば、ダウンコンバートやA/D変換処理など)を行う。
【0019】
受信RF回路11で無線受信処理された信号は、到来角・到来時間推定回路13と受信S/A回路12の両方に送られる。
【0020】
到来角・到来時間推定回路13は、後に詳述するように、多重到来波のパスごとの到来角と到来時間を測定する。到来角を推定する際に得られたスマートアンテナ3のモードベクトルは受信S/A回路12に送られる。また、推定された到時間に関する情報は、送信方向・ヌル方向決定装置15に送られる。
【0021】
受信S/A回路12は、後に詳述するように、到来角を推定する際に得られたスマートアンテナ3のモードベクトルに基づいて、多重到来波をパスごとに分離する。分離された信号は、後段の相互相関検出回路14に送信されるとともに、合成回路16にて選択合成または重み付け合成されて受信信号になり、復調回路17に送られる。
【0022】
相互相関検出回路14は、後に詳述するように、パスごとの相互相関を測定する。測定された相互相関は、送信方向・ヌル方向決定装置15に送られる。
【0023】
送信方向・ヌル方向決定装置15は、到来角・到来時間推定回路13からの到来時間と、相互相関検出回路14からの相互相関と、予め設定された到来時間のしきい値とに基づいて、ある送信パターンの最大利得が生じるパス方向で残りの送信パターンの利得が小さくなり、かつ符号間干渉を起こしうるパス方向での利得が小さくなるような送信方向のセット、すなわちダイバーシチブランチを決定する。送信方向のセットは、送信ダイバーシチに用いるブランチと同じ数だけ生成される。例えば、ブランチの数をMとすると、Mセットが生成される。送信方向のセットの生成手法については後述する。生成された送信方向のセットは、送信機5内の送信ウェイト計算回路22に送られる。
【0024】
一方、送信用のデジタル変調処理を施された信号は送信機5内の送信ダイバーシチ回路21に送られる。送信ダイバーシチ回路21は、送信ダイバーシチ制御回路26の制御の下で、ダイバーシチ処理を行う。以下では、オープンループの送信ダイバーシチとして、STBC技術について説明する。
【0025】
STBC技術では、連続する2シンボル(S1,S2)ごとに、もう一方のブランチから同時刻に送信する信号として(-S2*,S1*)を求める演算を行う。ここで、"*"は複素共役を表している。演算が施された信号はそれぞれのブランチに送られる。各ブランチは、送信ウェイトのセットと対応している。
【0026】
送信ウェイト乗算部23は、送信信号と個々のアンテナ素子に対応した送信ウェイトとの乗算を行う複数の乗算器27を有する。これら乗算器27の演算は、ブランチごとに並列に行われる。
【0027】
合成回路24は、スマートアンテナ3を構成するアンテナ素子ごとに、対応するブランチの乗算器の出力を合成する。
【0028】
送信RF回路25は、すべての合成回路24の出力に対して所定の無線通信処理(例えば、D/A変換やアップコンバートなど)を行う。無線通信処理された送信信号は、各アンテナ素子3a〜3cから通信端末装置2に向けて無線送信される。
【0029】
次に、図2の基地局装置1の動作を説明する。スマートアンテナ3の各素子で受信された信号は、アンテナ素子ごとに受信RF回路11で受信された後、到来角・到来時間推定回路13に送られる。
【0030】
到来角・到来時間推定回路13は、多重到来波のパス毎の角度とそのパスの到来時間とを推定する。この情報は送信方向・ヌル方向決定装置15に送られる。また到来角推定に用いたモードベクトルは受信S/A回路12に送られる。多重到来波から到来角や到来時間を測定する手法には種々のものが考えられる。例えば、MUSIC法と呼ばれ、IEEE Trans. , vol.AP-34, No.,3,pp276-280, Mar. 1986“ Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation”に記載されている手法が適用可能である。あるいは、IEEE Trans. ,vol.ASSP-37, pp984-995, July. 1989 “ ESPRIT − Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques”に記載されたESPRIT法と呼ばれる手法も適用可能である。ここでは、MUSIC法を用いる。
【0031】
到来時間推定に関しても、例えばMUSIC法やESPRIT法が適用可能である。いずれの手法も、菊間信良著 科学技術出版社「アレーアンテナによる適応信号処理」に記載されている。
【0032】
上記の手法で測定された到来角と到来時間は、送信方向・ヌル方向決定装置15に送られる。また、到来角の推定に用いたモードベクトルは受信S/A回路12に送られる。
【0033】
受信S/A回路12は、到来角・到来時間推定回路13で到来角を推定する際に得られたモードベクトルから、多重到来波を分離受信するための受信ウェイトを算出する。この手法は、菊間信良著の科学技術出版社「アレーアンテナによる適応信号処理」に記載されている。ここで得られた受信ウェイトそれぞれを受信信号に乗算することで、パス毎に信号を分離することができる。
【0034】
なお、ここでは、多重到来波の分離にMUSIC法のモードベクトルを用いる手法を説明したが、上述の科学技術出版社「アレーアンテナによる適応信号処理」等に記載されているアルゴリズムも適用可能である。
【0035】
ここで、lパスを受信するための受信ウェイトをwlとすると、この受信ウェイトで重み付けされた状態でのl番目のパスの出力yl(t)は以下の(1)式のようになる。
【0036】
【数1】
Figure 0003740063
(1)式において、x(t)は時刻tにおける受信ベクトル、n(t)は時刻tでのノイズベクトルである。
【0037】
(1)式の出力yl(t)は、各パス同士の相互相関を測定するために相互相関検出回路14に送られる。
【0038】
相互相関検出回路14は、受信S/A回路12で分離した受信信号の相互相関を計算する。i番目のパスとj番目のパスの相互相関値は(2)式のようになる。
【0039】
【数2】
Figure 0003740063
(2)式中のNtはサンプリング時間である。得られた相関値は送信方向・ヌル方向決定装置15に送られる。
【0040】
図3は送信方向・ヌル方向決定装置15の処理動作を示すフローチャートである。
【0041】
まず、パス毎の到来角、到来時間および相互相関値を到来角・到来時間推定回路13から取り込む(ステップS1)。
【0042】
続いて、パスの種類を表す変数aを「1」に初期化する(ステップS2)。以下では、L個のパスが存在するものとし、a番目のパスの遅延時間が先行波に対してτaの遅延時間を持っているとする。
【0043】
このような無線通信システムにおいて、遅延波が符号間干渉を生じる最小の遅延時間がτth(例えばビット誤り率が10-3を満たす最小の遅延時間)だとすれば、遅延時間がτth以上のパス方向に送信すると、受信端末においても符号間干渉が生じる確率が大きいと考えられる。そこで、τaがτth以上か否かを判定し(ステップS3)、遅延時間τaがτth以上のパスaを、ヌル点を向ける方向Nulln =θaとして登録する(ステップS4)。ここで、nはヌル点として登録したヌルの番号である。すなわち、ステップS4では、符号間干渉を起こしうるパスの方向をヌル方向として送信候補から除外する。
【0044】
続いて、変数aが(L-1)に等しいか否かを判定し(ステップS5)、等しくなければ変数aを「1」だけ加算して(ステップS6)、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0045】
変数aが(L-1)に等しくなると、ヌル方向を向ける方向Nullnに登録されていないM個のパスの組合せのそれぞれについて、相互相関値ρaveを計算する(ステップS7)。ここで、送信ダイバーシチに用いるブランチ数をM、登録したヌル点の総数をN、パスの総数を(L-1-N)とすると、選択されるペアの組合せは、L-1-NCM通り存在する。
【0046】
続いて、いずれかのパスの組合せを選択する(ステップS8)。ペアを選択する簡易的な手法として、以下の3通りが考えられる。
【0047】
▲1▼すべてのパスのペアの中から平均値の最も低くなるペアを選ぶ。
【0048】
▲2▼最低限のダイバーシチランクを確保するため、相互相関が最も低いパスの組を順にP個確保し、それ以外のペアは平均値が低いペアを算出する。
【0049】
▲3▼相互相関値が閾値ρth以下のペアの中から平均値の最も低いパスのペアを算出する。
【0050】
ここでは、▲1▼の手法を説明する。平均値を求める手法として相加平均と相乗平均があるが、ここでは相加平均を用いる場合について説明する。議論を簡単にするため、いまθ,θ,θ,θの到来角を持つ4つのパスが存在し、3つのブランチの送信ダイバーシチを行う場合を考える。
【0051】
θ4の到来角を持つパスがヌル点を向ける角度として除外されたとし、θ1 θ2およびθ3の到来角を持つ3つのパスの相互相関に着目する。ρの相加平均ρave は以下の(3)式のようになる。
【0052】
【数3】
Figure 0003740063
上述したステップS8では、相加平均が全ての組み合わせの中で最も小さい場合は、このときのパスの組み合わせを選択する。続いて、3つのブランチ毎にそれぞれDOD11、DOD22およびDOD33として送信角を登録する。このとき、一つの送信パターンの最大利得が生じる送信方向に残りの送信パターンのヌル点が向くように登録を行う(ステップS9)。
【0053】
図4はこのようにして登録したパターンから計算されるスマートアンテナ3の指向性の概念図である。図4は2つのブランチを考えているが、一方のパターンの送信角には他方のパターンのヌル角が向いており、符号間干渉を起こすパス方向にはどちらもヌル角が向いている。
【0054】
以上の処理により、送信ウェイト計算回路22には図5に示されるような送信角、ヌル角に対応する送信方向情報が送られる。
【0055】
送信ウェイト計算回路22は、この送信方向に基づき送信ウェイトを計算する。この手法では、符号間干渉を生じさせるパスの数が多い場合に、アンテナ素子の制限により他のウェイトセットの方向にヌルを向けることが出来ない場合がある。この場合は、符号間干渉を生じさせるパス方向のみにヌルを形成するか、ダイバーシチブランチの数を減らして対応する。
【0056】
本実施形態は、ダイバーシチブランチとなるパスの相互相関値を基地局で測定しているため、相互相関値が低いペアの数がダイバーシチブランチの数より少ない場合などは、ダイバーシチブランチ数およびパス選択時の閾値を適応的に変化させることで常に効果的な送信ダイバーシチを行なうことができる。
【0057】
送信ウェイト計算回路22が送信方向情報から送信ウェイトを計算する手法はいくつかあるが、ここではDCMPアルゴリズムを用いたウェイト計算法について述べる。DCMPアルゴリズムについては、IEEE Trans. Antennas & Propag. vol. AP-24, No., 5, pp662-669, Sept. 1996 “ An Adaptive Antenna Array under Directional Constraint” に述べられている。この内容の概略を以下に説明する。
【0058】
上述の文献によれば、DCMPアルゴリズムでは、送信角やヌル角等の複数の拘束条件を課すことができる。そこで、図5に示したような条件でDCMPアルゴリズムの拘束行列と拘束応答ベクトルを作成する。具体例として、拘束行列C、m番目のブランチの拘束応答ベクトルHmは以下の(4)〜(9)式のようになる。
【0059】
【数4】
Figure 0003740063
【数5】
Figure 0003740063
【数6】
Figure 0003740063
【数7】
Figure 0003740063
【数8】
Figure 0003740063
【数9】
Figure 0003740063
(4)〜(9)式において、Ψは各アンテナ素子間の位相差、Tはベクトルの転置、Kはアンテナ数である。送信ウェイト計算回路22は、拘束行列および拘束応答ベクトルを用いたDCMPアルゴリズムにより所望の送信ウェイトを計算する。
【0060】
送信ウェイト乗算部23は、送信ウェイトとブランチ毎のアンテナ素子に対応したウェイトとを乗算する。乗算後の信号は、合成回路24を介して送信RF回路25で無線送信処理が行われた後、各アンテナから送信される。
【0061】
このように、スマートアンテナ3を用いた送信ダイバーシチを行うことで、受信端末ではダイバーシチ効果によりフェージングを抑圧すると共に、符号間干渉の低減が行なわれ、通信品質の劣化を抑えることができる。
【0062】
なお、本実施の形態では3ブランチの例を説明したが、本発明は、4ブランチ以上のシステムにも同様に適用でき、ブランチ数を増やすことで、更なる性能の向上が図られる。
【0063】
以上に説明したように、本実施形態によれば、複数のアンテナ阻止を有するスマートアンテナ3を用いて受信時に測定した多重到来波の到来角や到来時間情報に基づいて、多重波を到来波毎に角度的に分離したパスをダイバーシチブランチとして用いるため、基地局装置1のアンテナ素子の間隔を特開2001-111464よりも狭くでき、アンテナ全体の規模を小型化できる。
【0064】
また、適切なヌル点を生成して、符号間干渉を生じさせるような遅延時間が長いパス方向には送信を行わないようにするため、受信機での符号間干渉を低減でき、受信機における通信品質の向上が図れる。また、従来のように受信機に等化器などの余剰設備を設ける必要がなく、受信機の小型化が図れる。
【0065】
また、送信ダイバーシチ時に、ある一つの送信パターンの高利得方向に他の送信パターンも高い利得を持つとこの角度方向に同じパスを形成してしまい、フェージングの変動が類似してしまう可能性が高い。ところが、本実施形態では、ある送信パターンの最大送信利得が向いているパス方向には他の送信パターンの利得が低くなるため、送信方向が互いに近接した場合でも、送信信号間の直交化の効果によりフェージング変動の類似を抑制でき、ダイバーシチ効果が期待できる。
【0066】
上述した実施形態では、複数のアンテナ素子の位相および振幅を制御可能なスマートアンテナを用いた送信ダイバーシチの手法について説明したが、本発明は、スマートアンテナの代わりに、位相および振幅を制御しないアンテナを用いる場合にも同様に適用可能である。この場合、スマートアンテナを用いて生成した一つの送信パターンが一つのアンテナ素子に対応する。
【0067】
また、上述した実施形態では、基地局装置から端末局装置への下り回線の送信ダイバーシチについて説明したが、本発明は端末局装置から基地局装置への上り回線の送信ダイバーシチにも適用可能である。さらに、屋内LAN(Local Area Network)システムにも適用可能である。
【0068】
なお、本実施形態では、送信ウェイトの生成にDCMPアルゴリズムを用いたが、受信信号を用いたMMSE規範で送信ウェイトを生成させることも可能である。このとき、符号間干渉の方向以外に、他のダイバーシチ・ブランチ方向にもヌルを生成する必要があるために、該角度に対する擬似干渉信号を受信信号に加算してアルゴリズムを動作させる。このようにすることで、送信信号間の直交性を保つことが可能になり、ダイバーシチ利得の増大が可能になる。
【0069】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、多重到来波を角度ごとに分離したパス同士の相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定し、更に送信方向が近接した場合でも、送信信号間の直交化を行うことで、受信端末でのフェージングを確実に抑圧できる。また、本発明によれば、適切なヌル点を生成できるため、長遅延波による符号間干渉を低減できる。さらに、本発明によれば、従来よりも狭い間隔でアンテナ素子を配置できるため、アンテナ全体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基地局装置周辺の構成を示す概略的なブロック図。
【図2】本発明に係る基地局装置の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図3】送信方向・ヌル方向決定装置の処理動作を示すフローチャート。
【図4】スマートアンテナの指向性の概念図。
【図5】送信角、ヌル角に対応する送信方向を示す図。
【符号の説明】
1 基地局装置
2 通信端末装置
3 スマートアンテナ(S/A)
4 受信機
5 送信機
11 受信RF回路
12 受信S/A回路
13 到来角・到来時間推定回路
14 相互相関検出回路
15 送信方向・ヌル方向決定装置
21 送信ダイバーシチ回路
22 送信ウェイト計算回路
23 送信ウェイト乗算回路
24 合成回路
25 送信RF回路

Claims (6)

  1. 複数のアンテナ素子と、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、複数の多重到来波の到来時間および到来角情報を測定する到来波情報測定手段と、を備え、
    前記パス分離手段は、前記測定された到来時間および到来角情報に基づいて複数のパスに分離し、
    前記送信方向決定手段は、前記測定された到来時間および到来角情報と、前記測定された相互相関と、に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とする基地局装置
  2. 複数のアンテナ素子と、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、を備え、
    前記送信方向決定手段は、複数の多重到来波それぞれの到来時間に基づいて符号間干渉を生じさせるパスを決定し、決定されたパス以外で互いの相互相関が所定のしきい値以下のパスの組を前記ダイバーシチブランチとすることを特徴とする基地局装置
  3. 複数のアンテナ素子と、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するパス分離手段と、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定する相互相関検出手段と、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定する送信方向決定手段と、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算する送信ウェイト計算手段と、を備え、
    前記送信方向決定手段は、一つの送信パターンの最大利得が生じる送信方向において残りの送信パターンの利得がしきい値以下になり、かつ符号間干渉を起こしうる送信方向の利得がしきい値以下になるように、前記複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とする基地局装置
  4. 複数のアンテナ素子にて無線信号の送受信を行うダイバーシチ制御方法において、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するステップと、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定するステップと、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定するステップと、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計 算するステップと、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、複数の多重到来波の到来時間および到来角情報を測定するステップと、を備え、
    前記複数のパスに分離するステップは、前記測定された到来時間および到来角情報に基づいて複数のパスに分離し、
    前記複数の送信方向を決定するステップは、前記測定された到来時間および到来角情報と、前記測定された相互相関と、に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とするダイバーシチ制御方法。
  5. 複数のアンテナ素子にて無線信号の送受信を行うダイバーシチ制御方法において、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するステップと、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定するステップと、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定するステップと、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算するステップと、を備え、
    前記複数の送信方向を決定するステップは、複数の多重到来波それぞれの到来時間に基づいて符号間干渉を生じさせるパスを決定し、決定されたパス以外で互いの相互相関が所定のしきい値以下のパスの組を前記ダイバーシチブランチとすることを特徴とするダイバーシチ制御方法。
  6. 複数のアンテナ素子にて無線信号の送受信を行うダイバーシチ制御方法において、
    前記複数のアンテナ素子での受信信号に基づいて、多重到来波を角度ごとに複数のパスに分離するステップと、
    前記分離されたパス同士の相互相関を測定するステップと、
    前記測定された相互相関に基づいて、送信ダイバーシチ用の複数の送信方向を決定するステップと、
    前記決定された送信方向に送信するための前記複数のアンテナ素子の送信ウェイトを計算するステップと、を備え、
    前記複数の送信方向を決定するステップは、一つの送信パターンの最大利得が生じる送信方向において残りの送信パターンの利得がしきい値以下になり、かつ符号間干渉を起こしうる送信方向の利得がしきい値以下になるように、前記複数のダイバーシチブランチおよび各ブランチの送信方向を決定することを特徴とするダイバーシチ制御方法。
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