JP4401016B2 - リニヤスケールにおける原点信号の設定装置及び設定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二物体間の相対移動量を測定するリニヤスケールにおける原点信号の設定装置及び設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械等において、被加工物に対する工具の相対移動量を正確に測定することは、精密加工を行う上で極めて重要であり、このための測定装置が種々製品化されている。
そのひとつとして、光学格子を2枚重ね合わせることにより得られるモアレ縞を利用した光学式スケールが従来から知られている。この光学式スケールは、図4に示すように透明のガラススケール100の一面に透光部と非透光部が所定のピッチで配列するよう格子(刻線)を設けたメインスケール101と、透明のガラススケール102の一面に透光部と非透光部が所定のピッチで配列するよう格子(刻線)を設けたインデックススケール103とを有し、同図(a)に示すように、このメインスケール101にインデックススケール103を微小間隔を持って対向させるとともに、同図(b)に示すように、メインスケール101の格子に対し微小角度傾けられるようにインデックススケール103の格子を配置している。
なお、メインスケール101及びインデックススケール103に設けた格子は、ガラススケール100、102にクロムを真空蒸着し、エッチングすることにより形成された同一ピッチの格子により形成されている。
【0003】
このように配置すると、図4(c)に示すモアレ縞が発生する。このモアレ縞の間隔はWとなり、間隔W毎に暗い部分あるいは明るい部分が発生する。この暗い部分あるいは明るい部分は、メインスケール101に対し、インデックススケール103が相対的に左右に移動する方向に応じて上から下、あるいは下から上に移動していく。この場合、メインスケール101及びインデックススケール103の格子のピッチをP、相互の傾斜角度をθ[rad]とすると、モアレ縞の間隔Wは、
W=P/θ
と示され、モアレ縞の間隔Wは、光学的に格子間隔Pを1/θ倍に拡大した間隔とされていることになる。このため、格子が1ピッチP移動すると、モアレ縞はWだけ変位することになり、Wの上下方向の変化を読み取ることにより、ピッチP内の移動量を精密に測定することができるようになる。
【0004】
例えば、図5に示すようにモアレ縞の変化を光学的に検出する光電変換素子110をインデックススケールに設け、メインスケールの反対側に光源を設けるようにして、メインスケール101に対しインデックススケール103を相対的に移動させながら、この光電変換素子110に流れる電流の変化を読み取る。
すなわち、モアレ縞のパターンがAの状態となっていると、光電変換素子110に照射される光量は最も多くなり、光電変換素子110に流れる電流は最大値I1 となる。次に、相対的に移動してBの状態になると光電変換素子110に照射される光量はやや減少し、その電流はI2 となり、更に、移動してCの状態になると光電変化素子110には最も少ない光量が照射され、その電流も最も小さいI3 となる。そして、更に移動してDの状態になると光電変換素子110に照射される光量はやや増加し、その電流はI2 となり、Eの状態になるまで移動すると、再び最も光量の多い位置となり、その電流は最大値I1 となる。
このように、光電変換素子110に流れる電流は正弦波状に変化するとともに、その変化が1周期経過した時に、格子間隔Pだけメインスケール101とインデックススケール103とが相対的に移動したことになる。
【0005】
図5においては、光電変換素子110を一つだけ設けるようにしたが、図6に示すように、一周期(間隔W)と90゜ずらせて2つの光電変換素子111、112を設けるようにすると、A相の光電変換素子111に流れる電流に対してB相の光電変換素子112に流れる電流は、図7に示すように90゜偏移した電流となる。すなわち、A相の光電変換素子111に流れる電流をサイン波とすると、B相の光電変換素子112に流れる電流はコサイン波となる。
この場合、メインスケール101とインデックススケール103との相対的な移動方向により、A相の光電変換素子111に流れる電流に対するB相の光電変換素子112に流れる電流の位相は90゜進相あるいは90゜遅相となるため、90゜ずらせて配置した2つの光電変換素子を設けると、両者の間の位相を検出することにより相対的な移動方向を検出することができる。
なお、実際は光電変換素子を所定の位置に追加配置して、A相信号及びB相信号を180°反転した−A相信号及び−B相信号も同時に出力するように構成し、反転した信号を利用するのは、検出信号に含まれる直流成分を除去するとともに、信号の信頼性及び高速追従性の確保のためである。
【0006】
以上説明した原理を利用した光学式スケールの斜視図の概要を図8に示す。 この図において、細長いメインスケール101の一面には蒸着されたクロムにより形成された同一ピッチの格子が刻線されており、このメインスケール101を抱持するコの字形ホルダ104の一面にインデックススケール103が固着されている。このインデックススケール103のメインスケールに対向する面には、メインスケール101と同様に蒸着されたクロムにより形成された同一ピッチの格子が刻線されており、このインデックススケール103の裏側には光電変換素子113が設けられている。
【0007】
さらに、図9に示すようにコの字形ホルダ104のメインスケール101の反対側に位置する面には、光源105を配置してメインスケール101とインデックススケール103を透過する光を光電変換素子113によって検出するように構成している。
そして、メインスケール101とインデックススケール103とは互いに移動可能とされている。
なお、前記したようにメインスケール101の格子(刻線)に対してインデックススケール103の格子(刻線)は微小間隔を持って対向しているとともに、微小角度傾けられるようにされている。
【0008】
このように構成された光学式スケールの原理構造の横断面図9から、光源105から照射された光はガラス製のメインスケール101を透過し、さらにガラス製のインデックススケール103を透過した後、光電変換素子113によりモアレ縞として受光される。
この光電変換素子113からは前記図7に示す互いに90゜の位相差を有するA相の信号とB相の信号とが出力され、この2つの信号から前記のように移動方向及び移動距離を測定することができる。
なお、光電変換素子113には3個の光電変換素子が設けられているが、そのうちの2つは上記A相の信号とB相の信号とを出力し、残る一つは基準レベルの信号を出力している。そして、この基準レベルの光電変換素子により受光された光量を、正弦波状に変化しているA相、又はB相の平均信号レベル(ゼロレベル)となるように設定することにより、さらに精度の高い検出信号とすることができるようになる。
【0009】
図10(a)はA相信号、B相信号を形成する装置において、インデックススケールの所定の位置に4個の光電変換素子を設けることによって得られた上記A相信号と反転された−A相信号、及びB相信号と反転した−B相信号を示している。
また、図10(b)は、上記2つのA相信号波形から、合成されたA相信号を形成する回路を示したもので、AP、−APはスケールの刻線間を透過した光によって形成されたモアレ縞を検出して電気信号に変換する光電変換素子である。各光電変換素子から出力された逆位相の正弦波状の電流は一方の信号が反転増幅器A1を介して位相が反転され、演算増幅器OPを使用した加算回路ADDで合成される。
B相信号を合成する場合も同様な回路で構成される。
この回路構成は1つの演算増幅器OPで直流信号を除去した計測信号が合成できるため、コストダウンを図ることができるが、合成前のオフセットを調整が困難であり、A相(B相)信号と、−A相(−B相)信号のバランスが悪いという問題が生じる
【0010】
そこで、同図(c)に示されているように光電変換素子AP、及び光電変換素子−APから出力された信号をそれぞれ単独に所定の電圧レベルとなるように電流電圧変換器A1、A2を介して増幅し、その2つ出力を差動増幅器OP1によって数値的に加算しA相信号を得るようにする。
この場合は、A相信号と−A相信号のバランスがとれているのでスケールが高速で移動したときでも合成された計測用のA相信号の信号波形に歪みが発生しないという特徴が生じる。
【0011】
図11は、リニアスケールの計測用信号生成装置の主要部を示したもので、光電変換素子Pda1、Pda2、Pdb1、Pdb2から出力された検出信号としてのA相信号、−A相信号、B相信号、−B相信号を合成して計測用のA相信号、及びB相信号を形成する回路構成、及び光電変換素子Pdzから出力される後述する原点信号を発生する回路構成を示している。この図において、Ga1は検出信号としてのA相信号の増幅器、同じくGa2は検出信号としての−A相信号の増幅器、Gb1は検出信号としてのB相信号の増幅器、Gb2は検出信号としての−B相信号の増幅器、Gzは原点信号(以下、Z相信号という。)の増幅器である。
これらの増幅器は抵抗R1、コンデンサC1を帰還回路として付けており、良く知られているように、高利得の増幅器を構成する際に安定化を図っている。
なお、逆相信号で出力される検出信号としての−A相信号、及び検出信号としての−B相信号の増幅器に対しては抵抗Rの1部を可変抵抗ΔRとして、後段の加算回路Ga3又はGb3で合成される際の信号の振幅がほぼ一致するように調整される。
【0012】
また、これらのA相信号/B相信号用の増幅器にはそれぞれオフセット電圧が正相入力端子から供給され直流成分が同一のレベルとなるようにしている。
このようにして各増幅器の逆相成分が抵抗R2を介して加算器Ga3、及びGb3に供給され、その出力に直流成分が除去された正弦波状の計測用A相信号、及びB相信号が形成される。
各加算器Ga3、Gb3にも位相状態を安定化するためにインピーダンスZ1とされた帰還回路が設けられており、高域周波数の位相廻りに基づく不安定要素を低減するようにしている。
【0013】
ところで、このように構成された光学式スケールは、NC工作機械に取りつけられて被加工物と工具との相対的移動量を計測しているが、一般に数値制御する場合は原点からの移動量としてプログラムされるため、この相対的移動量は原点からの移動量として計測する必要がある。そこで、通常メインスケールに予め原点位置が設けられ、この原点位置をインデックススケールが通過した時に原点が検出され、この原点検出信号はNC装置に供給されてNC装置をリセットすることにより、原点位置をNC装置にセッティングするようにしていた。
【0014】
そこで、上記したような光電式リニヤスケールにおいて、図11及び図12(a)に示すようにメインスケール101の刻線位置とは異なる所定のトラック位置に、基準点となる原点Zを示す刻線(格子)109を設け、この原点となる格子109、及びインデックススケール103を通過する光をモアレ縞として検出する光電変換素子Pdzを配置しておくと、メインスケール101とインデックススケール103が特定の位置関係になっているときだけを原点の信号(Z相信号)として検出することができるようになる。
【0015】
すなわち、図12(b)に示すように、この原点Zの位置においてもメインスケール101の1ピッチPの間で図5の場合と同様に変化する信号Szが原点位置検出信号として検出されるから、この原点位置検出信号Szの波形のピーク点を、例えば同図(b)に示すように所定のレベルTHでクリップして原点パルス信号Pzを形成すると、この原点パルス信号Pzの立ち上がり点をメインスケールの原点Zとするか、原点パルス信号Pzのピーク位置を検出してメインスケールの原点Zとすることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
この原点の位置検出信号Sz(以下、「Z相信号」という。)は、一般的にメインスケール101とインデックススケール103の相対的な移動によって検出されるが、Z相信号は前記A相信号、又はB相信号に対して非同期で動作していたので、図12(c)に示すように、A相信号とB相信号の1ピッチの間の位相領域(▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼で表示される4つの位相エリア)のどこでZ相信号のピークP(以下、「Z相」ともいう)が検出されるかは、Z相信号を出力させてからでなければ分からなかった。図12(c)では、1ピッチ内の位相エリア▲1▼でZ相信号のピークPが検出されている。
【0017】
デジタル出力型スケールは、組立て時にいろいろな調整を行うが、Z相の同期化については原点信号は非同期で動作していたので、タイミングを合わせる必要はなかった。ところが、これをアナログ出力型スケールで使用しようとすると、同期化されたZ相は得られないので、そのままでは使用できなかった。
アナログ出力型スケールにおいては、Z相信号のピーク位置Pが、A相信号、B相信号に対して、図12(c)に示すある決まった位相エリア▲1▼〜▲4▼で出力しなければならない。つまり、図12(c)のA相信号/B相信号が共に正である位相エリア▲1▼(図中、網線で表示されている。)で出力させることがほぼ規格化されている。位相エリア▲1▼〜▲4▼のどのエリアで出力されるかは、組立て後、調整段階で初めて確認でき、事前に知ることはできない。
【0018】
このため、A相信号/B相信号の位相エリアと原点信号出力のタイミング(同期化)をとるために、図11に示すような、波形整形回路HSを設け、スケールを調整する際、通常はZ相信号の検出タイミングを調整するという手法をとり、タイミングを合わせている。Z相の検出タイミングの調整は、図12(b)に示すスレッショルド値THを変更してZ相信号の信号幅Lz内に位置するエリアに検出タイミングをずらす方法、遅延回路を設けて出力タイミングを遅らせる方法、移相回路を設けて位相をずらす方法、等があるが、いずれもオシロスコープを作業者が目視しながら作業するというものであるので、Z相の検出タイミングを調整することはかなり困難な作業であった。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は、Z相信号の出力されるタイミングを確保し、フォトセルからのA相信号/B相信号を入れ替えることで、Z相信号の出力タイミングが決められたA相信号/B相信号の位相エリアに入るようにして、原点信号の設定を行うものである。
【0020】
請求項1の発明は、移動方向に対して等間隔な目盛りを設けたリニアスケールと、前記リニアスケールの相対的な移動量を正弦波状のA相信号、該A相信号を反転した−A相信号、前記A相信号に対して90度移相されているB相信号、該B相信号を反転した−B相信号からなる4組の計測信号として検出するとともに、前記スケールの原点通過位置を示す原点信号を検出する検出手段と、前記4組の計測信号から相互に90度の位相差を有するA相計測信号、及びB相計測信号形成する信号合成手段と、前記信号合成手段に対して前記4組の計測信号を選択的に供給するスイッチング手段とを備え、前記スイッチング手段による前記4組の計測信号の選択的供給によって、前記信号合成手段から出力される前記A相計測信号、又はB相計測信号の所定の位相領域と前記原点信号の出力タイミングとを一致させることができることを特徴とするリニヤスケールにおける原点信号の設定装置である。
【0021】
請求項2の発明は、リニアスケールの相対的な移動量を正弦波状のA相信号、該A相信号を反転した−A相信号、前記A相信号に対して90度移相されているB相信号、該B相信号を反転した−B相信号からなる4組の検出信号として検出するステップと、前記リニアスケールの原点通過位置を示す原点信号を検出するステップと、前記4組の検出信号の位相領域と原点信号の出力タイミングを検知するステップと、前記検知された4組の検出信号の位相領域を所定の位相領域となるように前記4組の検出信号を入れ替えて4組の出力信号として出力するステップと、前記4組の出力信号から相互に90度の位相差を有するA相計測信号、及びB相計測信号を形成するステップとからなり、前記4組の検出信号を入れ替えて4組の出力信号として出力するステップによって、前記信号合成手段から出力される前記A相計測信号、又はB相計測信号の所定の位相領域と前記原点信号の出力タイミングとを一致させることができることを特徴とするリニヤスケールおける原点信号の設定方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の計測信号生成回路のブロック図を示し、図11と同様の構成は、同一の記号が付されおり、その詳細な説明は省略する。なお、光電変換素子から出力された各相の信号を検出信号といい、図中では単にA、−A、B、−Bと表記し、増幅器Ga1、Ga2、Gb1、Gb2から出力された信号を出力信号といい、図中では単にSA、−SA、SB、−SBと表記し、増幅器Ga3、Gb3によって合成された信号を計測信号といい、図中ではA相信号、B相信号と表記する。
【0023】
計測信号生成回路は、光電変換素子の入力部、検出信号としての各相信号の出力部、入替え後の検出信号としての各相信号の出力部、増幅された各相の出力信号、合成された計測信号としての各相信号部とによって構成され、出力信号としての各相信号の出力部と入替え後の検出信号としての各相信号の出力部との間には、検出信号としての各相信号を入れ替えるためのチップジャンパースイッチS1〜S4が設けられている。
【0024】
図2は、本発明の実施の態様のZ相信号(原点信号)の出力タイミングと検出された各相信号のエリアとの関係を示す波形図である。
この図のおいて、各検出信号としてのA相信号、−A相信号、B相信号、−B相信号波形は、先に示したようにスケールが移動することによって検出される正弦波状の信号を示しており、1Pはスケールの刻線間を通過する周期を示す。
A相信号(以下、A相という)、A相信号を反転させた−A相信号(以下、−A相という。)、B相信号(以下、B相という。)、B相信号を反転させた−B相信号(以下、−B相という。)は、時間t0〜t1間に1ピッチの信号として出力されたもので、1ピッチ(以下、1Pという。)間のA相、−A相、B相、−B相の信号を4つの位相エリア(0度〜90度、90度〜180度、180度〜270度、270度〜360度)に分け、0度〜90度の位相エリアを▲1▼、90度〜180度の位相エリアを▲2▼、以下同様に▲3▼、▲4▼の位相エリアを設定する。
【0025】
図3は、A相信号に対してB相信号が90度進んでいるときに、A相、−A相、B相、−B相の信号が、1P内の各位相エリアで正の信号の場合を1、負の信号の場合を0とし、各位相エリアに原点信号Z1〜Z4が出力された場合を2値信号1、0でパターン化したものである。
【0026】
前述のように、アナログ出力型スケールにおいては、Z相が、計測信号となるA相、B相に対して、A相、B相が共に正の位相エリアで出力させることがほぼ規格化されている。
本発明は、スケールを調整する際、検出されたA(−A)相、B(−B)相の信号をZ相信号のタイミングに合わせて所定の位相エリアに合うように選択することにより、原点信号を設定するものである。つまり、Z相信号(原点信号)の出るタイミングにあわせて、フォトセルから検出されたA相、−A相、B相、−B相の信号を入れ替えて出力信号としての各相信号を得ることで、Z相の原点信号を計測用のA相信号、及びB相信号の決められた位相領域に入れることができる。A相、−A相、B相、−B相の信号の位相(又は極性)は、オシロスコープ等の表示装置を使用して表示させて、確認することができる。
【0027】
各発生タイミングを示す原点信号をZ1〜Z4とすると、この信号の出力発生タイミングと図2、及び図3に示される各相信号の内正の極性の各相信号は、次の通りである。
【0028】
Z相の出力のタイミングで計測用のA相、B相が共に正の位相エリアとなるように調整するには、A(−A)相、B(−B)相の信号を入れ替えて供給することで位相を変化させるようにする。
つまり、図3から明らかなように、位相エリア▲1▼では原点信号のピークが出力されているタイミングで位相エリアが正となり、次の位相エリアも正である信号を計測用のA相信号とし、この信号を形成するために差動増幅器Ga3に入力されるSA信号としてA相信号を、−SA信号として−A相信号を選択する。
また、この位相エリアでは計測用のB相信号を形成する差動増幅器Gb3には、SB信号としてB相信号を、−SB信号として−B相信号を選択する。
【0029】
このように、原点信号Z1の発生タイミングが位相エリア▲1▼と同期している場合であり、位相エリア▲1▼で出力されたA相、B相は共に正であるので、各相の信号をそのまま出力信号SA、SBとして取り込み、その反転信号を−SA、−SBとして取り込めばよいことになる。検出信号と出力信号の関係は次の通りである。
A→SA −A→−SA、B→SB −B→−SB
【0030】
原点信号Z2の発生タイミングが位相エリア▲2▼と同期している場合は、各相の信号中で、原点信号のピークが出力されている位相エリアと次の位相エリアが共に正の信号は検出された−B相であるので、−B相信号を出力信号SA相信号として取り込み、原点信号のピークが出力されている位相エリアが正で、次の位相エリアが負の信号は、A相信号であるので出力信号SBとして取り込めばよいことになる。検出信号と出力信号の関係は次の通りである。
−B→SA B→−SA、A→SB −A→−SB
【0031】
原点信号Z3の発生タイミングが位相エリア▲3▼と同期している場合は、各相の信号中で、原点信号のピークが出力されている位相エリアと次の位相エリアが共に正の信号は、検出された−A相であるので、−A相信号を出力信号SA相信号として取り込み、原点信号のピークが出力されている位相エリアが正で、次の位相エリアが負の信号は、−B相信号であるので出力信号SBとして取り込めばよいことになる。検出信号と出力信号の関係は次の通りである。
−A→SA A→−SA、−B→SB B→−SB
【0032】
原点信号Z4の発生タイミングが位相エリア▲4▼と同期している場合は、各相の信号中で、原点信号のピークが出力されている位相エリアと次の位相エリアが共に正の信号は、検出されたB相の信号であるので、B相信号を出力信号SA相信号として取り込み、原点信号のピークが出力されている位相エリアが正で、次の位相エリアが負の信号は、−A相信号であるのでこの信号を出力信号SB相信号として取り込めばよいことになる。検出信号と出力信号の関係は次の通りである。
B→SA −B→−SA、−A→SB A→−SB
【0033】
図1に示されるチップジャンパースイッチS1〜S4は、上記したように検出されるB相の信号がA相の信号に対して位相が進んでいるときに適応される検出信号を入れ替えるためのスイッチである。リニアスケール設置作業者は、オシロスコープで原点信号のピーク位置の位相エリアを確認し、位相エリアがエリア▲1▼に位置していた場合は、各スイッチS1〜S4を接点P1と接続させ、図1に示す接続状態とする。
【0034】
同様に、作業者は、位相エリア▲2▼に原点信号のピーク位置が位置する場合は、各スイッチS1〜S4を接点P4と接続させ、位相エリア▲3▼に原点信号のピーク位置が位置する場合は、各スイッチS1〜S4を接点P3と接続させ、位相エリア▲4▼に原点信号のピーク位置が位置する場合は各スイッチS1〜S4を接点P2と接続させ、Z相の発生タイミングが、常にA相信号、B相信号が正である位相の位相エリアと同期させることができる。
なお、スイッチS1〜S4は、連動して接点P1〜P4を選択するように制御させることもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、以上に説明したように、原点信号の発生タイミングとA相信号、B相信号の位相領域とを90度刻みで選択できるので、所望の原点信号の設定ができ、設定作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の計測信号生成回路のブロック図を示す。
【図2】本発明のA相信号とB相信号の1ピッチを4つの領域(1周期を90度毎に分割した領域)で示した波形図である。
【図3】各相信号の1ピッチの位相エリア毎の極性と、Z相の発生タイミングの位置するタイミングの関係を極性パターンとして示すパターン図である。
【図4】光学式スケールの原理図、及びモアレ縞を示す図である。
【図5】モアレ縞の移動を示す図である。
【図6】光電変換素子を設置する位置を示す図である。
【図7】A相信号とB相信号との波形図である。
【図8】光学式スケールの斜視図である。
【図9】光学式スケールの断面図である。
【図10】計測用信号生成回路の原理図である。
【図11】計測信号生成回路のブロック図を示す。
【図12】原点位置を検出する格子と、その検出波形を示す説明図である。
【符号の説明】
Pda1、Pda2、Pdb1、Pdb2 光電変換素子、
Ga1、Ga2、Ga3、Gb1、Gb2、Gb3 増幅器、
S1〜S4 チップジャンパースイッチ、
Claims (2)
- 移動方向に対して等間隔な目盛りを設けたリニアスケールと、
前記リニアスケールの相対的な移動量を正弦波状のA相信号、該A相信号を反転した−A相信号、前記A相信号に対して90度移相されているB相信号、該B相信号を反転した−B相信号からなる4組の計測信号として検出するとともに、前記スケールの原点通過位置を示す原点信号を検出する検出手段と、
前記4組の計測信号から相互に90度の位相差を有するA相計測信号、及びB相計測信号形成する信号合成手段と、
前記信号合成手段に対して前記4組の計測信号を選択的に供給するスイッチング手段とを備え、
前記スイッチング手段による前記4組の計測信号の選択的供給によって、前記信号合成手段から出力される前記A相計測信号、又はB相計測信号の所定の位相領域と前記原点信号の出力タイミングとを一致させることができることを特徴とするリニヤスケールにおける原点信号の設定装置。 - リニアスケールの相対的な移動量を正弦波状のA相信号、該A相信号を反転した−A相信号、前記A相信号に対して90度移相されているB相信号、該B相信号を反転した−B相信号からなる4組の検出信号として検出するステップと、
前記リニアスケールの原点通過位置を示す原点信号を検出するステップと、
前記4組の検出信号の位相領域と原点信号の出力タイミングを検知するステップと、
前記検知された4組の検出信号の位相領域を所定の位相領域となるように前記4組の検出信号を入れ替えて4組の出力信号として出力するステップと、
前記4組の出力信号から相互に90度の位相差を有するA相計測信号、及びB相計測信号形成するステップとからなり、
前記4組の検出信号を入れ替えて4組の出力信号として出力するステップによって、前記信号合成手段から出力される前記A相計測信号、又はB相計測信号の所定の位相領域と前記原点信号の出力タイミングとを一致させることができることを特徴とするリニヤスケールにおける原点信号の設定方法。
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