JP4683511B2 - リニヤスケール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二物体間の絶対的な移動量を測定するリニヤスケールに関するものであり、特に光学式のスケールにおいて、デジタル的に生成した精度の高い移動距離情報をリアルタイムで出力する際に好適なリニヤスケールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
工作機械等において、被加工物に対する工具の相対的な移動量を高い精度で正確に測定することは、精密加工を行う上で極めて重要であり、また、この測定値を迅速にシリアルデータとして出力することが要請されている。
そのひとつの例として、光学格子を2枚重ね合わせることにより得られるモアレ縞を利用した光学式スケールの概要を以下に述べる。
この光学式スケールは、図6に示すように透明のガラススケール100の一面に透光部と非透光部が所定のピッチで配列するよう格子(刻線)を設けたメインスケール101と、透明のガラススケール102の一面に透光部と非透光部が所定のピッチで配列するよう格子(刻線)を設けたインデックススケール103とを有し、同図(a)に示すように、このメインスケール101にインデックススケール103を微小間隔を持って対向させると共に、同図(b)に示すように、メインスケール101の格子に対し微小角度傾けられるようにインデックススケール103の格子を配置している。
【0003】
このように配置すると、スケールの移動に応じて図7に示すモアレ縞が発生する。このモアレ縞の間隔はWとなり、間隔W/2毎に暗い部分あるいは明るい部分が発生する。この暗い部分あるいは明るい部分は、メインスケール101に対し、インデックススケール103が相対的に左右に移動すると上から下、あるいは下から上に移動していく。この場合、メインスケール101及びインデックススケール103の格子のピッチをP、相互の傾斜角度をθ[rad]とすると、モアレ縞の間隔Wは、
W=P/θ
と示され、ピッチPは光学的にモアレ縞の間隔Wをθ倍に拡大して検出することができる。すなわち、格子が1ピッチ移動すると、モアレ縞はWだけ変位するが、ピッチPはWのθ倍となるので、モアレ縞の位相変化を検出することによってピッチP内の移動量を高い精度で測定することができるようになる。
【0004】
図8に示すように光電変換素子110によってモアレ縞を検出すると、メインスケール101に対しインデックススケール103がAの状態となっていると、光電変換素子110に照射される光量は最も多くなり、光電変換素子110に流れる電流は最大値I1 となる。次に、相対的に移動してBの状態になると光電変換素子110に照射される光量はやや減少し、その電流はI2 となり、更に、移動してCの状態になると光電変換素子110には最も少ない光量が照射され、その電流も最も小さいI3 となる。そして、更に移動してDの状態になると光電変換素子110に照射される光量はやや増加し、その電流はI2 となり、Eの状態になるまで移動すると、再び最も光量の多い位置となり、元の電流値I1 に戻る。
このように、光電変換素子110に流れる電流は正弦波状に変化すると共に、その変化が1周期経過した時に、格子のピッチPだけメインスケール101とインデックススケール103とが相対的に移動したことになる。
【0005】
また、図9に示すように、90度、または一周期(間隔W)と90゜ずらせて2つの光電変換素子111,112を設けると、A相の光電変換素子111に流れる電流に対してB相の光電変換素子112に流れる電流は、図10に示すように90゜偏位した電流となる。すなわち、A相の光電変換素子111に流れる電流をSin波とすると、B相の光電変換素子112に流れる電流はCos波となる。
この場合、メインスケール101とインデックススケール103との相対的な移動方向により、A相の光電変換素子111に流れる電流に対するB相の光電変換素子112に流れる電流の位相は90゜進相あるいは90゜遅相となるため、90゜ずらせて配置した2つの光電変換素子を設けることで相対的な移動方向を検出することができる。
【0006】
ところで、このように構成された光学式スケールは、NC工作機械に取りつけられて被加工物と工具との相対的移動量を測定しているが、相対的な移動量を、例えば1μm単位で出力するために前記した光電変換素子から出力された信号をデジタル的に位相分割して、移動量をパルス信号の数で得られるようにしている。
以下、A相信号とB相信号から位相分割してスケールの移動量をデジタル信号として検出する方法を図11に基づいて説明する。
【0007】
この図11において、21は搬送信号CK(a,b,c)が入力されている平衡変調器(以下、単に変調器ともいう)、22はローパスフイルタ、23は波形整形回路、24は波形整形された2値信号から後で述べるように1ピッチ間を内挿するA相パルス信号、およびB相パルス信号を形成するデジタル信号処理部である。
前記変調器21は、本出願人が先に特開昭62−132104号公報として公開しているように、正弦波状の信号レベルを変調信号として搬送波周波数を平衡変調するものであって、正弦波状のレベルが搬送波の位相情報として出力されるようにしており、例えば図12に示すように、入力されたA相信号はバッファとして動作するオペアンプOP1を介して抵抗ネットワークRTに供給されると共に、オペアンプOP2により反転されて抵抗ネットワークRTに供給される。
また、B相信号はバッファとして動作するオペアンプOP3を介して抵抗ネットワークRTに供給されると共に、オペアンプOP4により反転されて抵抗ネットワークRTに供給される。
【0008】
すなわち、A相信号,反転A相信号,B相信号,反転B相信号を抵抗ネットワークRTにより混合加算し、位相が反対で同電圧の8分割された混合信号を作成し、マルチプレクサAMの8つの入力端子(0)〜(7)にそれぞれ供給している。このマルチプレクサAMの入力端子C1,C2,C3には図13(c)に示す選択信号A,B,Cが入力され、この選択信号A,B,CによりマルチプレクサAMの入力端子(0)〜(7)が順次選択されて、出力端子toから
図13(a)に示す階段状の出力信号Sが出力される。
このマルチプレクサAMから出力される信号Sの周波数は、図13に図示するように選択信号Cの周期と同一であり、結局のところ、選択信号Cを搬送波としてその位相をA相信号(B相信号)のレベルにより平衡変調した出力信号SがマルチプレクサAMから出力されるようになる。すなわち、スケールの移動量に応じて位相偏移された搬送波が出力されるのである。
【0009】
このように平衡変調された変調波は次にローパスフイルタ22に印加されて、図13(b)に示すように滑らかな正弦波状とされる。
【0010】
この正弦波状に変換された信号は搬送波の周波数の角速度をω、スケールの格子(刻線)間隔をp、スケールの移動量をxとしたときに
Vs=K・Cos(ωtー2π・x/p)
によって示される信号となり、スケールの移動量xとピッチpの比x/pで位相が変調された交流信号となる。
【0011】
そして、この位相変調された交流信号が次の波形整形回路23によって零レベルの点がエッジとされる2値信号に変換される。
この波形整形回路23より出力される2値信号の位相と、光学手段から出力されたA相信号及びB相信号のレベルとの関係を図14に示す。
この図の左側に示す正弦波状に変化している信号がスケールから出力されたA相信号及びB相信号であり、右側に示すパルス波形は位相偏移を受けた波形整形回路23よりの搬送波の2値信号であり、その破線位置が変調回路21に供給される搬送波CK(a,b,c)の零位相である。
【0012】
そして、この図のイに示すように、スケールの停止状態では、例えば、A相信号が正の最大レベルでB相信号が零レベルの場合は零位相から90゜位相偏移された2値信号とされ、A相信号が零レベルでB相信号が正の最大レベルの同図ロの場合は180゜位相偏移された2値信号とされ、以下、A相信号が負の最大レベルでB相信号が零レベルの同図ハの場合は270゜、A相信号が零レベルでB相信号が負の最大レベルの同図ニの場合は360゜位相偏移されて、位相偏移され、搬送波の零位相と同じになる。
【0013】
デジタル信号処理部24はそのキャプチャ機能を利用して、波形整形回路23から出力されているこの2値信号のパルス幅を所定のクロックによって計数することにより、スケールの1ピッチを内挿する内挿パルス信号を形成すると共に、この内挿パルス信号を計数して1ピッチ内を分割したスケールの絶対位置のデータを得るようにしている。
この実施例の場合、スケールの刻線の1ピッチは40μmを示しているが、デジタル信号処理部24内のカウンタ機能によって搬送波、例えば124KHzの40倍の周波数とされているクロック(5MHz)によって変調された搬送波の周期Tをカウントすると、1/40ピッチの精度で計数パルスが得られ、光学手段のモアレ縞出力信号から1μmの動きを検出することができる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スケールの相対的な移動量は、少なくともA/B相信号で変調された搬送波の1サイクルの周期をカウントした後に出力されるため、搬送波周波数が124KHzのときはt=1/124ms後のサンプリングでないと移動量を示す計数出力が得られないという問題がある。
すなわち、図15に示すようにスケールが停止している時のサンプル点をSs、−方向に移動したときのサンプル点をS(−)、+方向に移動したときのサンプル点をS(+)として示すと、停止時にはサンプル点Ssでクロックn=40が計測され、次のサンプル点S(−)でクロックn=30が計測されたときスケールが−10μm(30−40=−10)移動したことが分かる。また、次のサンプル点S(+)でクロックn=50が計測されたときに、スケールが+10μm(50−40=10)移動したことが分かる。
【0015】
従来のリニヤスケールの場合は、位相分割法によって出力されたA相、およびB相パルス信号は、図示されていない計測装置に供給され、工作機械の加工量をコントロールするフィードバック信号としても使用されるが、図15に示されているようにサンプリング周期のあとでスケールの移動量が出力されると、この信号はリアルタイムで出力されてる信号とかけ離れたものになっているので、特に高速で移動する場合は加工物の工作制御が円滑に行われないという問題が生じる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記したような問題点を解消するために、少なくとも長さ方向に等間隔で目盛られている刻線を有するメインスケールと、前記メインスケールに対して、移動可能に配置され前記刻線のピッチを検出する検出手段と、この検出手段がメインスケールに対して相対的に単位長移動する毎に周期的に変化する信号を発生する信号発生手段と、この信号発生手段で取り込んだ信号を所定の周波数の搬送波信号によって平衡位相変調する変調手段と、前記変調手段で位相変調された変調信号と前記搬送波信号の位相差を所定のサンプリング周期で検出し、1ピッチ内を内挿するデータを出力するデジタル信号処理回路を備えているリニヤスケールにおいて、前記サンプリング周期が、変調された搬送波信号を2値化したときのLレベルとHレベルの変化点でサンプルを行うことで前記搬送波信号の周期の1/2になっていることを特徴とするものである。
【0017】
また、上記変調手段をn個設け、各変調手段にそれぞれ異なる位相差をもった搬送波を供給して1ピッチ内を内挿するデータのサンプリング点が増加するようにしたものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明を光学式リニヤスケールに適用した場合において、位相分割されたA/B相出力を得るための一実施例の概要を図1に示す。
なお、この実施例では相対的な移動量はスケールの動きに比例して平均的に発生するように形成されている(特願平10−259606号)。
この図において1は光源ランプからスケールを透過したA相、及びB相信号成分のモアレ縞光を、受光する受光素子の出力から出力されたリサージュ電流波形を電圧に変換する電流電圧変換器である。
【0019】
この実施例の場合は、光学手段は例えば40μmのピッチを有するスケールによって構成され、位相分割によって内挿される出力パルスの解像度を1μmの単位で測長できる場合について説明する。
【0020】
A相、又はB相のリサージュ電圧は変調回路2に供給され、先に述べたように、基準搬送波信号CK(a,b,c)を、入力されたA/B相信号によって位相変調を行う。そしてローパスフイルタ3で高調波成分を除去して先の位相変調された搬送波信号Vsを形成し、次にコンパレータ4でそのゼロクロス点で反転する2値信号を形成し、この信号がデジタル処理回路10に供給される。
【0021】
しかし、本発明では次の位相計数部14においては、位相変調された搬送波の周期の1/2で計数してスケールの移動量をサンプリングするようにしている。つまり、図2のようにスケールの移動量を計数出力するサンプル時点は、変調された搬送波信号を2値化したときのLレベルとHレベルの変化点、S1,S2,S3,S4・・・・のように変調信号のdutyが50%となる点で計数出力を行う。
したがってスケールが停止しているとき1ピッチはn=20を2回計数することになるが、スケールが1ピッチ−方向に移動してn=25となるときは、前半のサンプル点S3で15、後半のサンプル点で10の計数出力を得ることができる。
したがって、従来のリニヤスケールよりデータ出力サンプル期間が半分になり、応答レスポンスがほぼ1/2に向上することになる。
【0022】
電流電圧変換回路1から出力されたA/B相信号は、そのリサージュ波形の周期を、例えば1/8に分割するための信号を演算する位相分割回路5に供給され、この位相分割回路5からの信号の例えばゼロクロス点を計測基準信号として出力する計測信号発生部11に入力する。
図3に示すように 位相分割回路5の一例としては、例えば、掛算器を利用した逓倍回路を使用した第1の演算回路30と、第2の演算回路40によって構成することがでる。双方の演算回路は同一の構成とされている掛算器31、(41)および32(42)から構成することができ、第1の演算回路では90度の位相差を有するA/B相信号(2sinθ,cosθ)を掛算器31によって相互に掛け合わすことによって2倍の周期の正弦波信号(sin2θ)を形成すると共に、掛算器32によって2sinθと反転された−sinθを掛け合わすことによってcos2θ−1の信号を取り出す。
cos2θ−1の信号の直流成分をカットするHPF33を通すことによってcos2θが得られる。
【0023】
第2の演算回路40では、このsin2θ、及びcos2θを再び同様な掛算器41、42とLPF43で演算することによって、sin4θ、cos4θとなる信号を作り出せるので、この周期が4倍となっているいずれかの信号の0クロスを検出した計測パルスPzによって元の信号の1/8の周期の信号を得ることができる。
【0024】
6はデジタル処理回路20の基準信号源であり、その出力(例えば、周波数を40MHzとする)は、A/B相パルス信号を生成するクロック周期を定める分周部13と、分周回路18a,18b、18cから構成されているタイミング発生部18に供給されている。
【0025】
12は前記計測パルス発生部11の計測パルス信号Pzに基づいて、一定のクロック信号(8MHz)をカウントし、リニヤスケールから出力されたリサージュ波形の周期、つまり、リニヤスケールの移動速度情報を速度検出パルスNsとして出力する。
そしてこの速度検出パルスNsによって基準信号源6のクロック信号が入力されている前記分周部13の分周比を制御し、出力パルス生成部16に供給するクロック信号を形成する。
【0026】
14は先に述べたように前記コンパレータ4の位相変調を受けている出力を図2に示したように一定のサンプリング周期S1,S2,S3・・・毎に計測して、位相変調された移相量に対応したパルス信号を発生する位相計数部であり、タイミング発生部18から出力されているクロック(例えば5MHz)を計数してスケールの半ピッチ内の移動量を20分の1の精度でパルス信号に変換して出力する。
【0027】
そして、この出力パルス数は次の偏差カウンタ15 に供給され、半ピッチ内での移動量を正及び負の計数値として出力する。
例えば、スケールの1ピッチを40μm(半ピッチ20μm)に設定しているときに、半ピッチ内の偏差が0、すなわちn=20の時は0、スケールが正の方向に移動したときの偏差が半ピッチ内で1μmとなったとき、すなわちn=21では1を、2μmとなったときは2を出力し、同様にスケールが逆方向に移動して、半ピッチ内で偏差が−1μm(n=19)、−2μm(n=18)となっているときは、−1又は−2の計数値を出力するようにしている。
【0028】
16は前記偏差カウンタ15の計数値をパルス数として出力する出力パルス生成部であって、前記分周部13のクロック周期に基づいて計数値分のパルス信号を形成する。
そして、このパルス信号が次のA/B相パルス信号発生部17に供給され、時間の推移と共にハイレベル、及びローレベルとなるパルス列に変換される。
変換されたA/B相パルス列はスケールの移動方向によって相互に90度の進み、又は遅れを有する2相のA相、及びB相パルス信号となるようにしている。
【0029】
次に、図4を参照しながら偏差カウンタ15、出力パルス生成部16、AB相パルス発生部17の動作を説明するが、この図には一例としてスケールの移動によってある位置から(+)または(−)方向に3/20ピッチ動いた場合を示し、あるサンプル期間後に偏差カウンタ15に「3」あるいは「−3」がプリセットされた場合を示している。
まず、図4(a)に示すように、スケールが移動して「3」が偏差カウンタ15にプリセットされると、このカウンタ33からは計数値が「0」でない時に「L」レベルとなるイコール信号EQと、移動方向を示す「H」レベルのディレクション信号DIRが同図(b),(c)に示すように出力される。そして、出力パルス生成部16は、この信号EQと信号DIRとをうけて、同図(d)に示すようにフィードバックパルスFBを1パルス(A1)発生して偏差カウンタ15に供給する。
【0030】
この時、信号DIRが「H」レベルのため、フィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はダウン計数され、その計数値は「2」となるが、信号EQの「L」レベル状態は維持されるため、さらにフィードバックパルスFBが1パルス(A2)発生され、このフィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はさらにダウン計数され、その計数値は「1」となる。しかしながら、信号EQの「L」レベル状態は維持されるため、さらにフィードバックパルスFBが1パルス(A3)発生され、このフィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はダウン計数されて、その計数値は「0」となり、イコール信号EQのレベルが「H」となる。したがって、出力パルス生成部16から出力されるフィードバックパルスFBは停止される。
【0031】
一方、AB相パルス発生器17において、前記出力パルス生成部16のパルスA1,A2,A3により図4(e),(f)に示すように、A1のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジにおいて、A相パルス信号が「H」レベルに反転され、A2のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジにおいて、B相パルス信号が「H」レベルに反転され、さらに、A3のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジにおいて、A相パルス信号が「L」レベルに反転される。
偏差カウンタ15の計数値が「0」の時は出力パルスが発生しないが、移動方向が逆転するとディレクション信号DIRが図4(c)に示すように「L」レベルに反転し、移動量として例えば「−3」が、図4(a)に示すように、偏差カウンタ15にプリセットされる。すると、このカウンタからは計数値が「0」でない時に「L」レベルとなるイコール信号EQと、移動方向を示す「L」レベルのディレクション信号DIRが同図(b),(c)に示すように出力される。そして、出力パルス生成部16は、この信号EQと信号DIRとをうけて、同図(d)に示すようにフィードバックパルスFBを1パルス(B1)発生して偏差カウンタ15に供給する。
【0032】
この時、信号DIRが「L」レベルのため、フィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はアップ計数して、その計数値は「−2」となるが、信号EQの「L」レベル状態は維持されるため、さらにフィードバックパルスFBが1パルス(B2)発生され、このフィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はさらにアップ計数され、その計数値は「−1」となる。しかしながら、信号EQの「L」レベル状態は維持されるためさらにフィードバックパルスFBが1パルス(B3)発生され、このフィードバックパルスFBにより偏差カウンタ15はアップ計数して、その計数値は「0」となり、イコール信号EQのレベルが「H」となる。したがって、出力パルス生成部16から出力されるフィードバックパルスFBは停止される。
【0033】
このようにして、出力パルス生成部16は偏差カウンタ15の計数値と同一のパルス数を発生し、各サンプル期間毎に方向性信号と共にA/B相パルス発生部17に供給するが、AB相パルス発生部17において、図4(e),(f)に示すように、B1のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジによりA相パルス信号が「H」レベルに反転し、B2のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジによりB相パルス信号が「L」レベルに反転し、さらに、B3のフィードバックパルスFBの立ち下がりエッジによりA相パルス信号が「L」レベルに反転する。
このようにして発生されたA相パルス信号とB相パルス信号はNC装置へ供給され、NC装置は供給されたA相信号とB相信号とのエッジを検出することにより、移動量を検出すると共に、A,B相パルス信号の位相関係より移動方向を検出する。
【0034】
ところで本発明の実施例では、上記フィードバックパルスを出力する出力パルス生成部16のクロック信号が分周部13から供給されており、このクロック信号はスケールの移動速度に対応してその周期が変化するようになされている。
すなわち、図5に示すようにスケールの移動によった発生するリサージュ波形A(B)相信号は移動速度がv1からv5と早くなるほど、その周期が短くなり、この移動速度を検出している周期毎の速度計測部12の計数値Nsは小さくなる。
したがって、スケールの移動速度がゆっくりしているときは分周部13の分周比が高くなることによって出力パルス生成回路16に供給されるクロック信号CLKの周波数は低い値となり、逆に移動速度が高くなるとクロック信号CLKの周波数も高くなる。
【0035】
その結果、出力パルス生成部16から出力される前記したフィードバックパルスFBP(A1,A2,A3....B1,B2,B3...)の間隔が図5のようにスケールの移動速度に応じて変化し、このフィードバックパルスFBTのパルス幅もクロック信号CLKに基づいたタイミング出力されているので、このパルスに基づいて形成される位相分割されたA/B相パルス信号AD、BDの周期もスケールの移動速度に沿ったものになる。
なお、A/B相パルス信号の位相はスケールの移動方向に対応して進み、遅れとなることはいうまでもない。
従って本発明の実施例によってスケールの移動情報を示す分割されたA/B相パルス信号はスケールの移動に従って各サンプル後に均一化されたものになり、この信号をフィードバック制御信号としたときに工作機械の応答性を改善することができる。
【0036】
以上の実施例ではスケールの移動速度を位相変調された搬送波のdutyの50%でサンプルして出力することにより、相対的な移動量の出力データのレスポンスを向上しているが、図1の変調回路2を2個としそれぞれ90度の位相差を持った搬送波信号を供給するようにして、それぞれの位相変調された搬送波信号のdutyの50%の位置でサンプリングして計数出力を行うようにすると、さらに移動量のデータを出力するタイミングのレスポンスを高くする、例えば1/4にすることができる。
【0037】
又、本発明のリニヤスケールは、光学的なモアレ縞に基づいて分解能を高くするようなスケールに限ることなく、例えば、マグネスケールと呼ばれる磁気ヘッドを使用して磁化されているスケールの目盛を検出するスケールや、レーザ光線による光の回析と干渉を利用してホログラム格子による回析光の位相が、格子の移動に伴って変化する現象を検出し、高い精度の測長を行うようなスケール等に付いても適用することができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上のように、従来のリニヤスケールの出力データのサンプリング周期が少なくとも2倍となるように改善されるので、特にスケールの移動が早くなったときでも、工作機械に対する制御系の応答速度を損なわないようにすることができる。
【0039】
また、A/Bパルス信号の相対的な移動情報がスケールの移動に対してほぼリアルタイムで変化するようになるため、A/Bパルス信号によって工作機械の切削制御を行っているときのフイードバック系の制御が正確になるという優れた効果を奏することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリニヤスケールからスケールの移動量を示すA/Bパルス信号を出力する際の回路例を示すブロック図である。
【図2】本発明のリニヤスケールで移動量がサンプリングされる点、である変調された搬送波信号のdutyの50%を示す波形図である。
【図3】入力されたA/B相信号の周期を計測するための計測演算回路の具体例を示すブロック図である。
【図4】A/B相信号を生成するための信号波形の説明図である。
【図5】本発明によって出力されるA/B相パルス信号の説明波形図である。
【図6】光学式スケールの説明図である。
【図7】光学的なモアレ縞の説明図である。
【図8】モアレ縞の移動を示す図である。
【図9】モアレ縞の変化と出力信号の波形図である。
【図10】A/B相信号の波形図である。
【図11】リニヤスケール測長装置の概要を示すブロック図である。
【図12】平衡変調器の一例を示す回路図である。
【図13】変調信号の説明波形図である。
【図14】位相変位を計数するタイミングを示す説明図である。
【図15】従来のスケールの移動量をサンプリングする周期の説明波形図である。
【符号の説明】
1 電流電圧変換回路、2 変調回路、3 ローパスフイルタ、4 コンパレータ、5 分割回路、6 基準信号源、11 計測信号発生部、12 速度計側部、13 分周部、14 位相計数部、15 偏差カウンタ、16 出力パルス生成部、17 A/B相パルス発生部、18 タイミング部、101 メインスケール、103 インデックススケール、104 コの字形ホルダ、105 光源、110,111,112,113 光電変換素子

Claims (3)

  1. 少なくとも長さ方向に等間隔で目盛られている刻線を有するメインスケールと、
    前記メインスケールに対して、移動可能に配置され前記刻線のピッチを検出する検出手段と、
    前記検出手段が前記メインスケールに対して相対的に単位長移動する毎に周期的に変化する信号を発生する信号発生手段と、
    前記信号発生手段で取り込んだ信号を所定の周波数の搬送波信号によって平衡位相変調する変調手段と、
    前記変調手段で位相変調された前記搬送波信号の周期を所定のサンプリング周期で検出し、前記刻線ピッチ内を内挿するデータを出力するデジタル信号処理回路を備え、
    前記サンプリング周期が、変調された搬送波信号を2値化したときのLレベルとHレベルの変化点でサンプルを行うことで前記搬送波信号の周期の1/2になっているリニヤスケール。
  2. 上記変調手段をn個設け、各変調手段にそれぞれ異なる位相差をもった搬送波を供給して1ピッチ内を内挿するデータのサンプリング点が増加するようにした請求項1のリニヤスケール。
  3. 周期的に変化する信号発生手段の出力信号から前記リニヤスケールの相対的移動速度を検出する速度検出手段と、
    速度検出手段から得られた計測値に基づいて形成されたクロック周期によって、前記刻線ピッチ内を内挿するパルスを形成する出力パルス生成手段とを備え、
    前記出力パルス生成手段の出力パルスから前記リニヤスケールの移動速度に対応した周期のA/B相パルス信号を出力する請求項1のリニヤスケール。
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