JP4400361B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車輪の制動力を制御して車輪ロックを防止するアンチロックブレーキ制御(以下、「ABS制御」という。)を実行する車両用制動装置の技術分野に属する。
従来の車両用制動装置は、制動時、ABS目標車輪速に対して実車輪速が小さいときにホイールシリンダ液圧の減圧制御を行い、減圧制御により実車輪速がABS目標車輪速以上となったときであって、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値以下のときにホイールシリンダ液圧の保持制御を行い、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値より大きいときにホイールシリンダ液圧の増圧制御を行う(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−177566号公報
しかしながら、従来の車両用制動装置にあっては、マスタシリンダが発生するブレーキ液圧に基づいてホイールシリンダ液圧の増圧を行い、ホイールシリンダ液圧を保持するとき、もしくは、減圧するとき、マスタシリンダとホイールシリンダとを結ぶ管路に備えられた増圧弁を遮断状態にする構成となっていたため、ABS作動中、増圧弁の遮断状態が長時間にわたって継続すると、ブレーキペダルの移動が制限される時間が長時間となり、ペダル引っ掛かり感のような違和感をドライバに与える、という問題があった。また、全ての車輪の増圧弁が同時に遮断状態のときに違和感を与えやすい。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ABS性能の低下を抑えながら、ABS作動中において違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保することができる車両用制動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明では、車輪のスリップ状態に応じ、所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行い、車輪のロックを抑制するように車輪の制動力制御する車両用制動装置において、
実車輪速がABS目標車輪速よりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記基準車輪加速度しきい値よりも小さい値による第1車輪加速度しきい値を設定する第1車輪加速度しきい値設定手段と、
車体速と目標スリップ状態により決められるABS目標車輪速に対して実車輪速が小さいときにホイールシリンダ液圧を減圧する減圧モードとし、減圧により実車輪速がABS目標車輪速以上となったときであって、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値以下のときにホイールシリンダ液圧を保持する保持モードとし、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値より大きいときにホイールシリンダ液圧を増圧する増圧モードとする制御アルゴリズムを持ち、前記保持モードが選択されている際、車輪スリップが減少する方向にある場合は、保持モードに代えて増圧モードを選択実行し、保持モードに代えて実行される増圧モードを空増圧モードというとき、車輪加速度が第1車輪加速度しきい値よりも高いときに空増圧モードを開始し、車輪加速度が第1車輪加速度しきい値以下になったら空増圧モードを終了するABS制御手段と、
を設けた。
また第2の発明では、車輪のスリップ状態に応じ、所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行い、車輪のロックを抑制するように車輪の制動力制御する車両用制動装置において、
車両旋回時かどうかを判断する旋回判断手段と、
前記所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが減少する方向にある場合は、旋回判断時、旋回内輪側のみに対して保持モードに代えて空増圧モードを実行するABS制御手段と、
を設けた。

よって、本発明の車両用制動装置にあっては、ABS作動により、所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが減少する方向にある場合は、ABS制御手段において、保持モードに代えて増圧モードが選択実行される。すなわち、保持モードに代わる増圧モードの実行により、マスタシリンダとホイールシリンダの間で遮断されていた増圧弁が連通し、ブレーキペダルの移動が可能となる。さらに、この増圧モードの選択は、車輪スリップが減少する方向にある場合になされることで、ABS性能に対し車輪ロックを促す増圧の影響が出にくい車両状態である。この結果、ABS性能の低下を抑えながら、ABS作動中において違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保することができる。
以下、本発明の車両用制動装置を実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用制動装置が適用された制動系を示す全体システム図である。実施例1の車両用制動装置は、左右前輪への制動系をマスタシリンダ液圧をベースとするコンベンショナルな液圧回路で構成し、左右後輪への制動系をマスタシリンダとは切り離されたブレーキ・バイ・ワイヤで構成したものである。
実施例1の車両用制動装置の液圧制御系は、図1に示すように、マスタシリンダ1と、フロントユニット2(第1ブレーキ)と、左右の前輪ホイールシリンダ3L,3Rと、リアユニット4(第2ブレーキ)と、左右の後輪ホイールシリンダ5L,5Rと、を備えている。なお、実施例1では、左右前輪が1組の車輪であり、左右後輪が他の1組の車輪である。
前記マスタシリンダ1は、ブレーキペダル6に加えられるペダル踏力を倍力装置7にて増大し、リザーブタンク8に貯留されているブレーキ液を加圧してマスタシリンダ液圧Pmを発生し、前記フロントユニット2に供給する。
前記フロントユニット2は、前記マスタシリンダ1または第1ポンプ31を液圧源とし、左右の前輪ホイールシリンダ3L,3Rへの制御液圧を作り出すユニットである。このフロントユニット2は、左前輪増圧弁11と、左前輪減圧弁12と、右前輪増圧弁13と、右前輪減圧弁14と、第1ポンプモータ30と、第1ポンプ31と、左前輪側マスタシリンダ圧センサ41と、右前輪側マスタシリンダ圧センサ42と、左前輪側リザーバ51と、右前輪側リザーバ52と、を備えている。
前記左前輪増圧弁11は、左前輪側マスタシリンダ液圧路61と左前輪側ホイールシリンダ液圧路62とを繋ぐ位置に設けられた常開のソレノイド弁である。なお、前記左前輪側マスタシリンダ液圧路61に、左前輪側マスタシリンダ圧センサ41が設けられる。
前記左前輪減圧弁12は、一端が左前輪側マスタシリンダ液圧路61に連結され、他端が左前輪側ホイールシリンダ液圧路62に連結された左前輪増圧弁11のバイパス液圧路63のうち、左前輪ホイールシリンダ3L側の下流位置に設けられた常閉のソレノイド弁である。なお、左前輪減圧弁12よりマスタシリンダ側の上流位置に左前輪側リザーバ51が設けられ、該左前輪側リザーバ51よりさらに上流位置に第1ポンプ31が設けられる。
前記右前輪増圧弁13は、右前輪側マスタシリンダ液圧路64と右前輪側ホイールシリンダ液圧路65とを繋ぐ位置に設けられた常開のソレノイド弁である。なお、前記右前輪側マスタシリンダ液圧路64に、右前輪側マスタシリンダ圧センサ42が設けられる。
前記右前輪減圧弁14は、一端が右前輪側マスタシリンダ液圧路64に連結され、他端が右前輪側ホイールシリンダ液圧路65に連結された右前輪増圧弁13のバイパス液圧路66のうち、右前輪ホイールシリンダ3R側の下流位置に設けられた常閉のソレノイド弁である。なお、右前輪減圧弁14よりマスタシリンダ側の上流位置に右前輪側リザーバ52が設けられ、該右前輪側リザーバ52よりさらに上流位置に第1ポンプ31が設けられる。
前記リアユニット4は、第2ポンプ33を液圧源とし、左右の後輪ホイールシリンダ5L,5Rへの制御液圧を作り出すユニットである。このリアユニット4は、吸い込み弁21と、減圧弁22と、第2ポンプモータ32と、第2ポンプ33と、左後輪側ホイールシリンダ圧センサ43と、右前輪側ホイールシリンダ圧センサ44と、を備えている。
前記吸い込み弁21は、リザーブタンク8と第2ポンプ33とを繋ぐブレーキ液路の途中位置に設けられ、ABS作動時において増圧制御時にのみ開放される常閉のソレノイド弁である。
前記減圧弁22は、リザーブタンク8と左右の後輪ホイールシリンダ5L,5Rとを繋ぐブレーキ液路の途中位置に設けられ、ABS作動時において増圧制御時および保持制御時に閉鎖される常開のソレノイド弁である。
実施例1の車両用制動装置は、図外の4輪の車輪速センサからの車輪速情報と、前記両マスタシリンダ圧センサ41,42からのマスタシリンダ圧情報と、前記両ホイールシリンダ圧センサ43,44からのホイールシリンダ圧情報に基づき、図外のABSコントローラによりABS制御が実行される。
前記「ABS制御(ABS:Anti-lock Brake System)」とは、急制動時や低μ路制動時等に発生する車輪のロックを防止するためにブレーキ液圧をコントロール(減圧・保持・増圧)する制御である。基本的なABS制御は、各車輪速センサからの情報により車体速を推定し、推定車体速と各車輪速との比較によりブレーキ作動時の各車輪スリップ状態を常に監視しておき、ホイールシリンダ液圧の減圧制御と保持制御と増圧制御により、車輪のスリップ率を適正な状態に維持する。
ABS作動時のバルブ作動を説明する。
前記左前輪増圧弁11と右前輪増圧弁13は、
増圧制御時:開放、減圧制御時:閉鎖、保持制御時:閉鎖
前記左前輪減圧弁12と右前輪減圧弁14は、
増圧制御時:閉鎖、減圧制御時:開放、保持制御時:閉鎖
前記吸い込み弁21は、
増圧制御時:開放、減圧制御時:閉鎖、保持制御時:閉鎖
前記減圧弁22は、
増圧制御時:閉鎖、減圧制御時:開放、保持制御時:閉鎖
である。
次に、作用を説明する。
[ABS制御処理]
図2は実施例1の図外のABSコントローラにて実行されるABS制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(ABS制御手段)。
ステップS1では、各車輪速センサからの車輪速センサ信号に基づいて車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLを算出すると共に、車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLの時間微分処理により車輪加速度ΔVwFR,ΔVwFL,ΔVwRR,ΔVwRLを算出し、ステップS2へ移行する。なお、FRは右前輪、FLは左前輪、RRは右後輪、RLは左後輪を意味する。
ステップS2では、ステップS1で演算された車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLに基づき、車体速度Vcarを推定により演算し、ステップS3へ移行する。
ここで、「車体速度Vcar」の推定演算は、例えば、正弦波電圧信号による車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLから、山と谷とを交互に繰り返す正弦波の山頂部を結んだ減速特性を車体速度Vcarとして推定する。
ステップS3では、ステップS2での車体速度Vcarの推定演算に引き続き、車体速度Vcarを時間微分処理することで車体減速度Δvcarを演算し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、ステップS3での車体減速度Δvcarの演算に引き続き、車体減速度Δvcarと目標スリップ率に応じてABS目標車輪速Csを算出し、ステップS5へ移行する。
ステップS5では、ステップS4でのABS目標車輪速Csの算出に引き続き、実車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLがABS目標車輪速Csよりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記基準車輪加速度しきい値C0よりも小さい値による第1車輪加速度しきい値C1を設定し、ステップS6へ移行する(第1車輪加速度しきい値設定手段)。
ステップS6では、ステップS5での第1車輪加速度しきい値C1の設定に引き続き、実車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLがABS目標車輪速Csよりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記第1車輪加速度しきい値C1よりも小さい値による第2車輪加速度しきい値C2を設定し、ステップS7へ移行する(第2車輪加速度しきい値設定手段)。
ステップS7では、ステップS6での第2車輪加速度しきい値C2の設定に引き続き、実車輪速VwFR,VwFL,VwRR,VwRLがABS目標車輪速Csより小さいか否かを判断し、Yesの場合はステップS8へ移行し、Noの場合はステップS9へ移行する。
ステップS8では、ステップS7での実車輪速VwがABS目標車輪速Csより小さいのとの判断に基づき、ABSの減圧制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS9では、ステップS7での実車輪速VwがABS目標車輪速Cs以上であるとの判断に引き続き、車輪加速度ΔVwFR,ΔVwFL,ΔVwRR,ΔVwRLが基準車輪加速度しきい値C0より大きいか否かを判断し、Yesの場合はステップS10へ移行し、Noの場合はステップS11へ移行する。
ステップS10では、ステップS9での車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0より大きいとの判断に基づき、ABSの増圧制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS11では、ステップS9での車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0以下であるとの判断に引き続き、車輪加速度ΔVwFR,ΔVwFL,ΔVwRR,ΔVwRLが第1車輪加速度しきい値C1より大きいか否かを判断し、Yesの場合はステップS14へ移行し、Noの場合はステップS12へ移行する。
ステップS12では、ステップS11での車輪加速度ΔVwが第1車輪加速度しきい値C1以下であるとの判断に引き続き、車輪加速度ΔVwFR,ΔVwFL,ΔVwRR,ΔVwRLが第2車輪加速度しきい値C2より小さいか否かを判断し、Yesの場合はステップS17へ移行し、Noの場合はステップS13へ移行する。
ステップS13では、ステップS12での車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2以上であるとの判断に基づき、ABSの保持制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS14では、ステップS11での車輪加速度ΔVwが第1車輪加速度しきい値C1より大きいとの判断に引き続き、車両が旋回中であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS16へ移行し、Noの場合はステップS15へ移行する(旋回判断手段)。
ここで、「車両の旋回判断」は、例えば、横加速度センサからの横加速度情報やヨーレイトセンサからのヨーレイト情報や操舵角センサからの操舵角情報等に基づき、旋回制動か直進制動かの判断をすると共に、旋回方向の判断に基づき左右輪のうち何れが旋回内輪かを決める。
ステップS15では、ステップS14での直進制動との判断に基づき、ABSの空増圧制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS16では、ステップS14での旋回制動との判断に基づき、旋回内輪のみの空増圧制御(旋回外輪は保持制御)を実行し、リターンへ移行する。
ステップS17では、ステップS12での車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2より小さいとの判断に引き続き、車両が旋回中であるか否かを判断し、Yesの場合はステップS19へ移行し、Noの場合はステップS18へ移行する(旋回判断手段)。
ステップS18では、ステップS17での直進制動との判断に基づき、ABSの空減圧制御を実行し、リターンへ移行する。
ステップS19では、ステップS17での旋回制動との判断に基づき、旋回内輪のみの空減圧制御(旋回外輪は保持制御)を実行し、リターンへ移行する。
[課題]
・課題1
従来周知のABS制御システムにあっては、マスタシリンダが発生するブレーキ液圧に基づいてホイールシリンダ液圧の増圧を行い、ホイールシリンダ液圧を保持するとき、もしくは、減圧するとき、マスタシリンダとホイールシリンダとを結ぶ管路に備えられた増圧弁を遮断状態にする構成となっていた。
このため、ABS作動中、増圧弁の遮断状態が長時間にわたって継続すると、ブレーキペダルの移動が制限される時間が長時間となり、ペダル引っ掛かり感のような違和感をドライバに与えてしまい、ブレーキ操作フィーリングを悪化させるという問題があった。
・課題2
特開2000−177566号公報に記載のABS制御システムにあっては、前後Gセンサ出力が実際の車両減速度よりも小さな値を取ることが原因で、推定車体速度が実際よりも大きく算出され、スリップを誤って大きく算出してしまうという課題に対し、旋回判定を行うことで、推定車体速度の演算精度を向上させるという構成となっていた。
しかし、推定車体速度は正確に算出されていても、車輪スリップが実際に回復しない場合には、増圧弁の遮断状態(保持モード、減圧モード)が長時間にわたって継続することになり、ブレーキ操作フィーリングを悪化させるという問題があった。
・課題3
フロントホイールシリンダ液圧をマスタシリンダにより発生させ、リアホイールシリンダ液圧を別の油圧源(ポンプや高圧アキュムレータ等)により発生させる構成を持つ、いわゆる、セミブレーキバイワイヤシステムが特許第2653224号公報にて公知であるが、このセミブレーキバイワイヤシステムでは、マスタシリンダと連通するホイールシリンダがフロントの2輪だけという構成になっている。
このため、従来周知のABS制御システムのように4輪がマスタシリンダと連通しているコンベンショナルなブレーキシステムでは、ABSを作動させたとき、4輪の増圧弁が同時に閉じる(保持モードまたは減圧モード)頻度が極めて低い。
これに対し、実施例1や特許第2653224号公報に記載されているようなセミブレーキバイワイヤシステムでは、同時に左右前輪の増圧弁が閉じる頻度が確率論からいって相対的に高くなる。
実施例1は、ABS作動中の保持制御の際、新たに空増圧制御や空減圧制御を加えることで、ABS性能の低下を抑えながら、ABS作動中において違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保しようとするものである。特に、マスタシリンダとホイールシリンダとを遮断する増圧弁が同時に閉じる頻度が相対的に高いセミブレーキバイワイヤシステムにおいて、ブレーキ操作フィーリングの改善を図ろうとするものである。
[各車輪加速度しきい値と制御モードの関係]
各車輪加速度しきい値C0,C1,C2と制御モードの関係について、図3を用いて説明する。
まず、基準車輪加速度しきい値C0は、従来のABS制御において用いられている増圧制御と減圧制御との切り替えしきい値である。第1車輪加速度しきい値C1は、従来のABS制御では保持制御の領域にあるが、実施例1では空増圧に対するしきい値である。第2車輪加速度しきい値C2は、従来のABS制御では保持制御の領域にあるが、実施例1では空減圧に対するしきい値である。
つまり、本願の実施例1では、従来のABS制御における保持制御領域(ΔVw≦C0)を、図3に示すように、空増圧制御領域(C1<ΔVw≦C0)と保持制御領域(C2≦ΔVw≦C1)と空減圧制御領域(ΔVw<C2)との3つの領域に分けた。
車輪加速度ΔVwがC1<ΔVw≦C0のときに空増圧制御を行う理由は、次の通りである。車輪加速度ΔVwがC1<ΔVw≦C0のときは車輪加速が大きい、すなわち、車輪のグリップへの戻りが早い場面であり、から増圧を行って即座にスリップが増大し、ABS性能が劣化するようなことにはなりにくい。そこで、従来保持制御であったシーンで空増圧を行えるようにし、増圧弁11,13を開ける頻度を増やす。
車輪加速度ΔVwがΔVw<C2のときに空減圧制御を行う理由は、次の通りである。空増圧によって車輪スリップを拡大させてしまった場合に、スリップがABS性能を劣化させないため、車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2より小さいときに減圧を行い、車輪スリップの急な拡大を抑制する。
[各車輪加速度しきい値の定義]
図4は縦軸に車輪加速度ΔVwに対する各車輪加速度しきい値C0,C1,C2の大きさをとり、横軸にABS目標車輪速Csからの上方乖離量をとった特性図である。
前記上方乖離量は、
上方乖離量=実車輪速Vw−ABS目標車輪速Cs
により算出される。すなわち、目標とする車輪速に対して、どのくらい実車輪速が離れているかを意味する。
基準車輪加速度しきい値C0は、従来のABSシステムにて用いらている固定値によるしきい値である(例えば、100m/s2)。第1車輪加速度しきい値C1および第2車輪加速度しきい値C2は、ABS目標車輪速Csからの上方乖離量により変化する。
第1車輪加速度しきい値C1は、空増圧制御に対するしきい値である。実車輪速VwをABS目標車輪速Csに早く近づけるように、実車輪速Vwの上方乖離量が大きいほど、第1車輪加速度しきい値C1の値を小さくして増圧がでやすくする。ただし、実車輪速VwがABS目標車輪速Csに近づいている際に増圧を行うと車輪速変化が早くなり、ABS目標車輪速Csを飛び越してしまうため、第1車輪加速度しきい値C1は略零を最小とする。
第2車輪加速度しきい値C2は、空減圧制御に対するしきい値である。実車輪速VwのABS目標車輪速Csからの上方乖離量が大きいほど、高いホイールシリンダ圧を維持し、実車輪速VwをABS目標車輪速Csに早く近づけられるように、第2車輪加速度しきい値C2を小さくして減圧が出にくくする。ただし、車輪の落ち込み速度が早すぎて、制御しきれなくなることを防ぐために、ABSの1制御サイクル(例えば、10msec)にて目標スリップを追い抜いてしまうような車輪減速度では必ず減圧を行い、落ち込み速度を緩和するように第2車輪加速度しきい値C21が設定される。
例えば、目標スリップ=5km/hであるときは、5km/h=10msec=約140m/s2となる。
また、実車輪速VwがABS目標車輪速Csから遠ざかっている際に減圧を行うと、ますます実車輪速がABS目標車輪速Csから遠ざかってしまうため、車輪加速度ΔVwが車輪速目標スリップの勾配よりも大きい(図4の縦軸の上方向)際は減圧を行わないように、第2車輪加速度しきい値C20はABS目標車輪速Csの勾配と同じ値、若しくは、小さい値に設定される。
[直進制動時のABS制御作用]
図5に示すタイムチャートに基づき、従来のABS制御作用(図2のステップS1〜ステップS4とステップS7〜ステップS10とステップS13とで成立)と、実施例1のABS制御作用と、を対比しながら説明する。
図5の点線にて示す従来のABS制御作用について説明すると、時刻t1までは車輪速VwがABS目標車輪速Cs未満であることで、減圧制御が実行される。そして、時刻t1にて車輪速VwがABS目標車輪速Cs以上で、かつ、車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0より大きくなると、減圧制御から増圧制御に切り替えられる。そして、時刻t3にて車輪速VwはABS目標車輪速Cs以上であるが、車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0以下になると、増圧制御から保持制御に切り替えられる。そして、時刻t8にて車輪速VwがABS目標車輪速Cs未満になると、保持制御から減圧制御に切り替えられる。
この従来のABS制御でのペダルストロークをみると、増圧制御区間である時刻t1から時刻t3までのうち、時刻t1から時刻t2までは増圧弁の開放によりペダル移動が許容されるが、時刻t2以降は図5に記載の全域にてペダルストロークの移動が制限される。
図5の実線にて示す実施例1のABS制御作用について説明すると、時刻t1までは車輪速VwがABS目標車輪速Cs未満であることで、減圧制御が実行される(図2のステップS8へ進む流れ)。そして、時刻t1にて車輪速VwがABS目標車輪速Cs以上で、かつ、車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0より大きくなると、減圧制御から増圧制御に切り替えられる(図2のステップS10へ進む流れ)。そして、時刻t3にて車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0以下であるが第1車輪加速度しきい値C1を超えると、増圧制御から空増圧制御に引き継がれる(図2のステップS15へ進む流れ)。そして、時刻t5にて車輪加速度ΔVwが第1車輪加速度しきい値C1以下であるが第2車輪加速度しきい値C2以上になると、空増圧制御から保持制御に切り替えられる(図2のステップS13へ進む流れ)。時刻t6にて車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2未満になると、保持制御から空減圧制御に切り替えられる(図2のステップS18へ進む流れ)。時刻t7にて車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2以上になると、空減圧制御から保持制御に切り替えられる(図2のステップS13へ進む流れ)。時刻t9にて車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0以下であるが第1車輪加速度しきい値C1を超えると、保持制御から空増圧制御に切り替えられる(図2のステップS15へ進む流れ)。
この実施例1のABS制御でのペダルストロークをみると、増圧制御区間である時刻t1から時刻t3までのうち、時刻t1から時刻t2までは増圧弁11,13の開放によりペダル移動が許容される。また、空増圧区間である時刻t3から時刻t5までのうち、時刻t3から時刻t4までは増圧弁11,13の開放によりペダル移動が許容される。さらに、空増圧区間である時刻t9以降のうち、時刻t9から時刻t10までは増圧弁11,13の開放によりペダル移動が許容される。
すなわち、従来のABS制御の場合、時刻t2以降は図5に記載の全域にてペダルストロークの移動が制限されるのに対し、実施例1のABS制御では、時刻t2以降においてt3〜t4の領域とt9〜t10の領域とでペダルストロークの移動が許容されることになり、従来のABS制御に比べてペダル移動制限時間を短縮することができる。
したがって、ABSの保持制御中に、マスタシリンダ1と左右の前輪ホイールシリンダ3L,3Rとの間にある増圧弁11,13が遮断され、ブレーキペダル6の移動が制限されていたものが、空増圧制御を行うことにより前記両増圧弁11,13が連通されるため、ブレーキペダル6の移動が可能となり、ペダル引っ掛かり感を低減することができる。
さらに、この空増圧を行っても、ABSの保持制御中であり、実車輪速VwはABS目標車輪速Csよりもグリップ側にあり、また、実車輪速Vwが増加してゆく、すなわち、増圧の影響が出にくい車両状態であるため、ABS性能の低下が起こりにくい。
加えて、空増圧により左右前輪のホイールシリンダ圧が上昇し、その結果、左右前輪が再び車輪速が減少方向(ロック方向)に向かう可能性があるが、空減圧を行うことにより車輪速が減少方向に向かう際もABS目標車輪速Csを超えて急激に実車輪速Vwが落ち込んでしまうことを抑制できる。そのために、空増圧によるABS性能低下がさらに起こりにくくなる。
[旋回制動時のABS制御作用]
旋回制動時であって、空増圧制御条件が成立するときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9→ステップS11→ステップS14→ステップS16へと進む流れとなり、ステップS16では、旋回内輪のみの空増圧制御が行われ、旋回外輪は従来と同様に保持制御が行われる。
また、旋回制動時であって、空減圧制御条件が成立するときは、図2のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6→ステップS7→ステップS9→ステップS11→ステップS12→ステップS17→ステップS19へと進む流れとなり、ステップS19では、旋回内輪のみの空減圧制御が行われ、旋回外輪は従来と同様に保持制御が行われる。
すなわち、旋回時は旋回外輪側への荷重が大きいため、旋回制動時の車両安定性および減速性能は、旋回外輪側の制動力が支配的である。そのため、旋回制動時には、上記のように、旋回外輪ではなく旋回内輪のみに対して空増圧や空減圧を行うことで、ABS性能への影響を最小限に抑えることができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用制動装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) 車輪のスリップ状態に応じ、所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行い、車輪のロックを抑制するように車輪の制動力制御する車両用制動装置において、前記所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが減少する方向にある場合は、保持モードに代えて増圧モードを選択実行するABS制御手段を設けたため、ABS性能の低下を抑えながら、ABS作動中において違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保することができる。
(2) 前記ABS制御手段は、車体速度Vcarと目標スリップ率により決められるABS目標車輪速Csに対して実車輪速Vwが小さいときにホイールシリンダ液圧を減圧する減圧モードとし、減圧により実車輪速VwがABS目標車輪速Cs以上となったときであって、車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0以下のときにホイールシリンダ液圧を保持する保持モードとし、車輪加速度ΔVwが基準車輪加速度しきい値C0より大きいときにホイールシリンダ液圧を増圧する増圧モードとする制御アルゴリズムを持ち、前記保持モードが選択されている際、実車輪速Vwが増加方向(=車輪スリップが減少する方向)である場合は、保持モードに代えて増圧モードを選択実行するため、実車輪速Vwと車輪加速度ΔVwを監視することで、違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保する保持モードに代わる増圧モードを選択実行することができる。
(3) 実車輪速VwがABS目標車輪速Csよりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記基準車輪加速度しきい値C0よりも小さい値による第1車輪加速度しきい値C1を設定する第1車輪加速度しきい値設定手段を設け、前記ABS制御手段は、保持モードに代えて実行される増圧モードを空増圧モードというとき、車輪加速度ΔVwが第1車輪加速度しきい値C1よりも高いときに空増圧モードを開始し、車輪加速度ΔVwが第1車輪加速度しきい値C1以下になったら空増圧モードを終了するため、実車輪速VwのABS目標車輪速Csに対する上方乖離量が大きいほど第1車輪加速度しきい値C1を小さくして空増圧を出しやすくすることにより、実車輪速Vwをいち早くABS目標車輪速Csに近づけることができる。また、実車輪速VwのABS目標車輪速Csに対する上方乖離量が小さいときに空増圧を出しすぎてしまい、ABS目標車輪速Csを飛び越えて実車輪速Vwが落ち込んでしまい、ABS性能を劣化させてしまうことも抑制することができる。
(4) 車両旋回時かどうかを判断する旋回判断手段を設け、前記ABS制御手段は、旋回判断時、旋回内輪側のみに対して保持モードに代えて空増圧モードを実行するため、旋回制動時に輪荷重が大きく制動性能に対して支配的となる外輪側を避け、旋回内輪のみに対して空増圧を行うことで、ABS性能への影響を最小限に抑制することができる。
(5) 前記ABS制御手段は、前記所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが増加する方向にある場合は、保持モードに代えて減圧モードを選択実行するため、空増圧モードを加えた結果、車輪が再び減速方向に向かう可能性があるが、その際もABS目標車輪速Csを超えて急激に車輪速が落ち込んでしまうことを抑制することができる。その結果、空増圧モードによるABS性能の低下がさらに起こりにくくなる。
(6) 実車輪速VwがABS目標車輪速Csよりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記第1車輪加速度しきい値C1よりも小さい値による第2車輪加速度しきい値C2を設定する第2車輪加速度しきい値設定手段を設け、前記ABS制御手段は、保持モードに代えて実行される増圧モードを空増圧モードというとき、車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2未満であるときに空減圧モードを開始し、車輪加速度ΔVwが第2車輪加速度しきい値C2以上になったら空減圧モードを終了するため、実車輪速VwのABS目標車輪速Csに対する上方乖離量が非常に大きいときには第2車輪加速度しきい値C2を小さくして空減圧を出しにくくすることにより、実車輪速Vwをいち早くABS目標車輪速Csに近づけることができる。また、実車輪速VwのABS目標車輪速Csに対する上方乖離量が小さいときは実車輪速Vwの落ち込みがそれほど早くなくてもABS目標車輪速Csを越えやすいため、空減圧を出しやすくすることで実車輪速VwをABS目標車輪速Csに近いままの値に維持することができる。
(7) 車両旋回時かどうかを判断する旋回判断手段を設け、前記ABS制御手段は、旋回判断時、旋回内輪側のみに対して保持モードに代えて空減圧モードを実行するため、旋回制動時に輪荷重が大きく制動性能に対して支配的となる外輪側を避け、旋回内輪のみに対して空減圧を行うことで、ABS性能への影響を最小限に抑制することができる。
(8) 前記ABS制御手段が適用されたブレーキシステムは、車両に装着された複数の車輪を少なくとも左右前輪と左右後輪の2組に分け、左右前輪のホイールシリンダ3L,3Rにはマスタシリンダ1または第1ポンプ31を液圧源とする第1ブレーキ液圧回路2を介してブレーキ液圧を供給し、他の1組の左右後輪のホイールシリンダ5L,5Rには第2ポンプ33を液圧源とする第2ブレーキ液圧回路4を介してブレーキ液圧を供給するため、4輪が共にコンベンショナルなブレーキシステムに比べ、増圧弁11,12が閉じる保持モードや減圧モードになる頻度が相対的に高いセミブレーキバイワイヤシステムにおいて、より効果的にABS性能の低下を抑えながら、ABS作動中において違和感を低減した良好なブレーキ操作フィーリングを確保することができる。
以上、本発明の車両用制動装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、第1車輪加速度しきい値の設定に際し、実車輪速がABS目標車輪速よりも大きいほど小さい値とし、かつ、基準車輪加速度しきい値よりも小さい値により設定する好ましい例を示したが、例えば、第1車輪加速度しきい値を固定値に与えるようにしても良い。
実施例1では、第2車輪加速度しきい値の設定に際し、実車輪速がABS目標車輪速よりも大きいほど小さい値とし、かつ、第1車輪加速度しきい値よりも小さい値により設定する好ましい例を示したが、例えば、第2車輪加速度しきい値を固定値に与えるようにしても良い。
実施例1では、従来の保持モード領域中に、空増圧モードと保持モードと空減圧モードとを設定した例を示したが、従来の保持モード領域の一部領域にペダルストロークを許容する空増圧モードのみを設定するような例としても良い。
実施例1では、左右前輪と左右後輪に分け、左右前輪の制動系はマスタシリンダを液圧源とするコンベンショナルな液圧回路で構成し、左右後輪の制動系はマスタシリンダとは切り離されたブレーキ・バイ・ワイヤによる液圧回路で構成した例を示したが、4輪共にコンベンショナルな液圧回路で構成したものにも本発明の車両用制動装置を適用することができる。
また、セミブレーキバイワイヤシステムに適用する場合も、実施例1のシステムに限られるものではなく、左右前輪をブレーキ・バイ・ワイヤによる液圧回路で構成し、左右後輪をコンベンショナルな液圧回路で構成するようにしても良い。また、車輪を左右前輪と左右後輪で分けるのではなく、右前輪と左後輪の組と、左前輪と右後輪の組、というようにクロス方向の一対の車輪により分けるようにしても良い。すなわち、車両に装着された複数の車輪を少なくとも2組に分け、1組の車輪の制動系をコンベンショナルな液圧回路で構成し、他の1組の車輪の制動系をブレーキ・バイ・ワイヤにより構成する車両用制動装置であれば適用することができる。また、車両の装着された複数の車輪を3組以上に分け、そのうちの2組が本願のような構成になっているものでも構わない。例えば、1組がコンベンショナルな液圧回路で、他の1組がブレーキ・バイ・ワイヤによる液圧回路であったり、または、液圧を用いない回生ブレーキや電動モータキャリパブレーキや電動モータドラムブレーキ等のような構成であっても構わない。
実施例1の車両用制動装置を示す全体システム図である。 実施例1のABSコントローラにて実行されるABS制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の車両用制動装置において各車輪加速度しきい値とABS制御モードの関係を示す図である。 実施例1の車両用制動装置において各車輪加速度しきい値の定義を説明するため車輪加速度と上方乖離量と各車輪加速度しきい値との関係特性図である。 実施例1の車両用制動装置においてABS制御作用の一例を説明するタイムチャートである。
符号の説明
1 マスタシリンダ
2 フロントユニット(第1ブレーキ)
3L,3R 左右の前輪ホイールシリンダ
4 リアユニット(第2ブレーキ)
5L,5R 左右の後輪ホイールシリンダ
6 ブレーキペダル
7 倍力装置
8 リザーブタンク
11 左前輪増圧弁
12 左前輪減圧弁
13 右前輪増圧弁
14 右前輪減圧弁
21 吸い込み弁
22 減圧弁
30 第1ポンプモータ
31 第1ポンプ
32 第2ポンプモータ
33 第2ポンプ
41 左前輪側マスタシリンダ圧センサ
42 右前輪側マスタシリンダ圧センサ
43 左後輪側ホイールシリンダ圧センサ
44 右前輪側ホイールシリンダ圧センサ
51 左前輪側リザーバ
52 右前輪側リザーバ

Claims (7)

  1. 車輪のスリップ状態に応じ、所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行い、車輪のロックを抑制するように車輪の制動力制御する車両用制動装置において、
    実車輪速がABS目標車輪速よりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記基準車輪加速度しきい値よりも小さい値による第1車輪加速度しきい値を設定する第1車輪加速度しきい値設定手段と、
    車体速と目標スリップ状態により決められるABS目標車輪速に対して実車輪速が小さいときにホイールシリンダ液圧を減圧する減圧モードとし、減圧により実車輪速がABS目標車輪速以上となったときであって、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値以下のときにホイールシリンダ液圧を保持する保持モードとし、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値より大きいときにホイールシリンダ液圧を増圧する増圧モードとする制御アルゴリズムを持ち、前記保持モードが選択されている際、車輪スリップが減少する方向にある場合は、保持モードに代えて増圧モードを選択実行し、保持モードに代えて実行される増圧モードを空増圧モードというとき、車輪加速度が第1車輪加速度しきい値よりも高いときに空増圧モードを開始し、車輪加速度が第1車輪加速度しきい値以下になったら空増圧モードを終了するABS制御手段と、
    を設けたことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 車輪のスリップ状態に応じ、所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行い、車輪のロックを抑制するように車輪の制動力制御する車両用制動装置において、
    車両旋回時かどうかを判断する旋回判断手段と、
    前記所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが減少する方向にある場合は、旋回判断時、旋回内輪側のみに対して保持モードに代えて増圧モードを実行するABS制御手段と、
    を設けたことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項に記載された車両用制動装置において
    記ABS制御手段は、車体速と目標スリップ状態により決められるABS目標車輪速に対して実車輪速が小さいときにホイールシリンダ液圧を減圧する減圧モードとし、減圧により実車輪速がABS目標車輪速以上となったときであって、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値以下のときにホイールシリンダ液圧を保持する保持モードとし、車輪加速度が基準車輪加速度しきい値より大きいときにホイールシリンダ液圧を増圧する増圧モードとする制御アルゴリズムを持ち、前記保持モードが選択されている際、車輪スリップが減少する方向にある場合は、保持モードに代えて増圧モードを選択実行することを特徴とする車両用制動装置。
  4. 請求項1乃至の何れか1項に記載された車両用制動装置において、
    前記ABS制御手段は、前記所定の制御アルゴリズムに沿って保持モードを選択していても、車輪スリップが増加する方向にある場合は、保持モードに代えて減圧モードを選択実行することを特徴とする車両用制動装置。
  5. 請求項に記載された車両用制動装置において、
    実車輪速がABS目標車輪速よりも大きいほど小さい値とし、かつ、前記第1車輪加速度しきい値よりも小さい値による第2車輪加速度しきい値を設定する第2車輪加速度しきい値設定手段を設け、
    前記ABS制御手段は、保持モードに代えて実行される減圧モードを空減圧モードというとき、車輪加速度が第2車輪加速度しきい値未満であるときに空減圧モードを開始し、車輪加速度が第2車輪加速度しきい値以上になったら空減圧モードを終了することを特徴とする車両用制動装置。
  6. 請求項またはに記載された車両用制動装置において、
    車両旋回時かどうかを判断する旋回判断手段を設け、
    前記ABS制御手段は、旋回判断時、旋回内輪側のみに対して保持モードに代えて空減圧モードを実行することを特徴とする車両用制動装置。
  7. 請求項1乃至の何れか1項に記載された車両用制動装置において、
    前記ABS制御手段が適用されたブレーキシステムは、車両に装着された複数の車輪を少なくとも2組に分け、1組の車輪は所定の制御アルゴリズムに沿って増圧モード・保持モード・減圧モードの切り換えを行う機械的伝達により制動力を付与する第1ブレーキとし、他の1組の車輪は電気的伝達により制動力を付与する第2ブレーキとすることを特徴とする車両用制動装置。
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