JP4400055B2 - 回転部シール装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、例えばロータリ式充填装置等の回転部を有する容器処理装置に設けられたもので、回転側と固定側との相対回転部によって仕切られた空間の雰囲気を遮断する回転部シール装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
充填装置は、一般に、充填液タンク内に貯留した充填液を、この充填液タンクの下部外周側に設けた充填バルブを介して容器内に充填するようになっており、この充填作業を終了した後、充填装置の内部の充填液通路等や装置の外部を洗浄しなければならない。
【0003】
前記充填装置の外部の洗浄には薬液を使用することが多く、この薬液を含む洗浄液が充填装置内部の駆動部へ侵入すると駆動部の部品が浸食されるおそれがある。そのため洗浄液が駆動部側に侵入することを防止する構造を設ける必要がある。
【0004】
ロータリ式の充填装置では、駆動機構等を含む固定部と、充填バルブやびん台等を備えた回転部とを有しており、これら固定部と回転部とが相対回転する部分には隙間が形成されるため、固定部側と回転部側との間を遮断しなければならない。従来の充填装置は、シール手段としてラビリンス構造やV字シールを採用している。しかしながら、ラビリンス構造はシール手段としては不完全であり、外部からの洗浄水の侵入を完全に防ぐことはできず、雰囲気(気体)に関しては無防備であった。また、V字シールは摩耗するため、交換する必要があり、作業が大がかりで面倒であった。
【0005】
そこで、回転部側と固定部側との間の隙間を液体シール装置によって密封する構造の回転部シール装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された回転部シール装置は、ロータリ式充填機やロータリ式洗びん機等の容器処理装置の処理部が配置された無菌処理空間と、この容器処理装置を駆動する駆動手段が配置された駆動室との間の雰囲気の遮断性を向上させるものであり、この装置に設けられた液体シール装置は、容器処理装置の固定部側に設けられたシール液貯留用の環状液槽と、この環状液槽内のシール液中に下端部が没入するように回転部側に垂下状態に設けられた液槽仕切部材から構成されている。さらに、液体シール装置よりも内部側の空間を、バキュームポンプ等の吸引手段に接続された排気管によって吸引する構造になっている。
【0006】
前記特許文献1に記載された容器処理装置は、アセプティック環境で充填等の処理を行うものであるため、液体シール装置の環状液槽内に貯留するシール液として殺菌液を使用している。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−311472号公報(第2−3頁、図2)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1に記載された従来の回転部シール装置の構成では、液体シール装置のシール液として殺菌液を使用しているため、殺菌液のレベル制御が必要であり、装置が高価であるという問題があった。
【0009】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、殺菌液によるシール等の高価な装置をを必要とせず、しかも、ラビリンス構造やV字シール等を用いたものよりも高度なシール性を有する回転部シール装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る回転部シール装置は、ロータリ式充填装置の固定側に設けられた第1環状壁面と、この第1環状壁面の内周側に配置された第2環状壁面と、装置の回転側に取り付けられた円板部の外周側に設けられ前記第1環状壁面の外周に沿って垂下された回転側環状壁面と、前記第1環状壁面の外周面に取り付けられた第1水返し部と、前記回転側環状壁面の内周面に、前記第1水返し部と半径方向にオーバーラップさせて取り付けられ、前記第1水返し部とともにロータリ式充填装置の外部を洗浄する際の洗浄液の侵入を阻止する第2水返し部と、前記第1環状壁面および第2環状壁面によって囲まれた環状空間内を吸引する吸引手段と、前記第2環状壁面の先端に前記円板部の下面に接近してシール部材を備えたものである。
【0011】
この発明に係る回転部シール装置では、例えば、充填装置や洗びん機等の容器処理装置の外部を洗浄する際に、洗浄液が回転側環状壁面と固定部の第1環状壁面との間の隙間から侵入しようとした場合に、各環状壁面にそれぞれ設けられて半径方向に互いにオーバーラップしている水返し部によって、侵入を阻止することができる。また、回転側環状壁面よりも内周側にある固定側の第1および第2環状壁面の間の環状空間を吸引手段によって吸引しているので、洗浄液だけでなく、外部の雰囲気の侵入も阻止することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明に係る回転部シール装置は、前記第1水返し部および第2水返し部が、それぞれ下方へ傾斜して配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
この発明に係る回転部シール装置では、水返し部が下向きなので、外周側に配置されている回転側環状壁面の下側から侵入しようとする洗浄液等を確実に阻止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る回転部シール装置(全体として符号1で示す)を備えたロータリ式充填装置の全体の構成を示す縦断面図、図2はその要部(回転部シール装置)を拡大して示す縦断面図である。このロータリ式充填装置は、中心の回転軸2の上端に円形の充填液タンク4が設置され、この充填液タンク4の下部外周側に円周方向等間隔で複数の充填バルブ6が取り付けられている。この充填液タンク4および充填バルブ6は、回転軸2の下端に設けた駆動ギア8が回転することにより回転軸2とともに回転する。
【0015】
回転軸2の中間部外周に回転テーブル10が取付けられ、前記充填液タンク4と一体的に回転する。この回転テーブル10上の、前記各充填バルブ6と対応する位置にそれぞれびん台12が設けられ、これら各びん台12上に容器14が供給される。外部から各びん台12上に供給された容器14は、回転テーブル10の下面にそれぞれ設けたロードセル16によりその重量を計測されつつ、前記充填バルブ6の開閉により充填液タンク4内の充填液が充填される。
【0016】
前記充填液タンク4および回転テーブル10等の回転部18を回転駆動する駆動機構20が、前記回転部18の下方に設けられている。前記駆動ギア8等を含む駆動機構20は、充填バルブ6や容器14を載せるびん台12等の充填を行うための機構が配置されている外部空間22と遮断された内部空間(駆動室)24内に配置されている。固定部26側は、このロータリ式充填装置の基部を構成する円形壁部28と、その上方の水平な環状固定テーブル30とを備えており、環状固定テーブル30上に、円筒形の第1環状壁面32が直立して設置され、さらに、この第1環状壁面32の内周側に、小径の直立した第2環状壁面34が配置されている。
【0017】
一方、回転部18側には、前記回転テーブル10の外周側に下方を向けて取り付けられた筒状カバー36およびこの筒状カバー36の下部に、外方を向けて取り付けられたフランジ状の円板部38が設けられている。そして、この円板部38の外周端に、前記固定部26の第1環状壁面32の外周側を囲んで、直立した回転側環状壁面40が設けられている。この回転側環状壁面40の先端(下端)は、固定部26側の環状固定テーブル30の上面に対し隙間を有している。また、前記固定部26側の第1環状壁面32と第2環状壁面34の先端(上端)は、回転部18側の円板部38の下面に対して隙間を有している。
【0018】
さらに第2環状壁面34の先端には、全周に亘りシリコン製の環状シール部材42が取り付けられている。このシリコン製シール部材42は、回転側の円板部38の下面に接近しているが、直接接触しないようになっている。つまり、回転部18側と固定部26側の隙間をできるだけ小さくすることを目的としており、接触してシールするものではない。
【0019】
前記固定部26側の円形壁部28、環状固定テーブル30および第1、第2の環状壁面32、34と、回転部18側の回転テーブル10、筒状カバー36、フランジ状円板部38および回転側環状壁面40とにより囲まれた内部空間24が、前記駆動室24を構成し、その外側の充填を行う空間22が、図示しないチャンバーに囲まれたアセプティック空間になっている。
【0020】
この実施の形態では、回転部シール装置1は、回転部18と固定部26とが相対回転する部分に形成されている隙間をシールするための構成を有している。この回転部シール装置1の構成について図2により説明する。固定部26側の第1環状壁面32とその内周側の第2環状壁面34との間に、環状の空間44が形成され、この環状空間44内に吸引配管46が開口している。この吸引配管46はブロア48に接続されており、前記環状空間44内を常時吸引している。
【0021】
固定部26の外側に設けた第1環状壁面32と、その外側に設けた回転部18側の環状壁面40は、前記第1環状壁面32と第2環状壁面34との間よりも接近して配置されている。第1環状壁面32の外周面には、下方を向いて傾斜した第1水返し部50が全周に亘って設けられている。また、回転側環状壁面40の内周面には、前記第1水返し部50よりも上方に、下方を向いて傾斜した第2水返し部52が設けられている。第1水返し部50は、第1環状壁面32と回転側環状壁面40との半径方向の距離の中間よりも回転側環状壁面40側に延びる半径方向幅を有している。また、第2水返し部52は、前記両壁面32、40の半径方向の距離の中間よりも第1環状壁面32側に延びる半径方向幅を有している。従って、第1水返し部50と第2水返し部52とは半径方向にオーバーラップしている。
【0022】
この実施の形態に係る回転部シール装置1は、ロータリ式充填装置の外部を洗浄する際に、固定側の環状テーブル30と、回転側環状壁面40の下端部との間から洗浄液が侵入しようとすると、固定部26側の第1環状壁面32に設けられた第1水返し部50および回転部18側の環状壁面40に設けられた第2水返し部52によって阻止される。また、洗浄液が噴霧状となって浮遊し、固定部26側の第1環状壁面32と第2環状壁面34との間の環状空間44内に侵入したとしても、環状空間44を常時ブロア48によって吸引しているので、駆動室24内に洗浄液が侵入することを防止することができ、駆動機構20の部品が洗浄液によって腐食することを防止できる。さらに、洗浄液だけでなく、外部の空間22の雰囲気が駆動室24側に侵入することも防止することができる。
【0023】
なお、前記実施の形態では、回転部18側の環状壁面40に取り付けられた第2水返し部52が、固定部26側の第1環状壁面32に取り付けられた第1水返し部50よりも上方に配置されているが、これら両水返し部50、52は下向きに傾斜して、洗浄液が侵入することを防止できれば良く、どちらが上方に配置されていても良い。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ロータリ式充填装置の固定側に設けられた第1環状壁面と、この第1環状壁面の内周側に配置された第2環状壁面と、装置の回転側に取り付けられた円板部の外周側に設けられ前記第1環状壁面の外周に沿って垂下された回転側環状壁面と、前記第1環状壁面の外周面に取り付けられた第1水返し部と、前記回転側環状壁面の内周面に、前記第1水返し部と半径方向にオーバーラップさせて取り付けられ、前記第1水返し部とともにロータリ式充填装置の外部を洗浄する際の洗浄液の侵入を阻止する第2水返し部と、前記第1環状壁面および第2環状壁面によって囲まれた環状空間内を吸引する吸引手段と、前記第2環状壁面の先端に前記円板部の下面に接近してシール部材を備えたことにより、殺菌液のレベル管理等の制御をする必要がなく、洗浄液および外部の雰囲気が内部に侵入することを確実に防止することができる。
【0025】
また、請求項2に記載した発明は、前記第1水返し部および第2水返し部が、それぞれ下方へ傾斜して配置されているので、外部からの洗浄液の侵入をより確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る回転部シール装置を備えたロータリ式充填装置の全体の構成を示す縦断面図である。
【図2】前記ロータリ式充填装置の要部(回転部シール装置)を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 回転部シール装置
32 第1環状壁面
34 第2環状壁面
40 回転側環状壁面
44 環状空間
48 ブロア
50 第1水返し部
52 第2水返し部
Claims (2)
- ロータリ式充填装置の固定側に設けられた第1環状壁面と、この第1環状壁面の内周側に配置された第2環状壁面と、装置の回転側に取り付けられた円板部の外周側に設けられ前記第1環状壁面の外周に沿って垂下された回転側環状壁面と、前記第1環状壁面の外周面に取り付けられた第1水返し部と、前記回転側環状壁面の内周面に、前記第1水返し部と半径方向にオーバーラップさせて取り付けられ、前記第1水返し部とともにロータリ式充填装置の外部を洗浄する際の洗浄液の侵入を阻止する第2水返し部と、前記第1環状壁面および第2環状壁面によって囲まれた環状空間内を吸引する吸引手段と、前記第2環状壁面の先端に前記円板部の下面に接近してシール部材を備えたことを特徴とするロータリ式充填装置の回転部シール装置。
- 前記第1水返し部および第2水返し部は、それぞれ下方へ傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の回転部シール装置。
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