JP4399953B2 - 藻場形成ブロック - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、藻場形成ブロックに係わり、詳しくは、短期間に海草類や珪藻類等の水生植物を着生させ、繁茂させて魚介類の生育に好適な環境にする藻場形成ブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
製鋼工程で発生するスラグは、塩基度(CaO/SiO2)が高く、且つ遊離CaOを多量に含有するため、水分を吸って膨脹し易く、高炉スラグのような土木・建設資材としての用途には向かず、従来よりその処理に難儀している。そこで、かかる状況を打破するため、近年、製鋼スラグを積極的に活用する技術の開発が試みられるようになった。
【0003】
例えば、特開平10−152364号公報は、製鋼スラグを含有する骨材と潜在水硬性を有するシリカ含有物質とポゾラン反応性を有するシリカ含有物質のうち1種または2種を50%以上含有し、水和反応によって硬化する結合材とを混合して製造した水和硬化体を開示している。また、特開平2−233539号公報は、結合材、細骨材、粗骨材の全てを粉砕および破砕した鉄鋼スラグとすると共に、前記結合材に高炉スラグと製鋼スラグとを混合した鉄鋼スラグを用いて製造したスラグ・ブロックを開示している。
【0004】
一方、天然の岩場に代わる藻場増殖用ブロックとしては、従来より、コンクリートからなるテトラ・ポット、プレート、魚礁ブロック等が使用されてきた。しかしながら、これらのコンクリート製品は、表面も単にコンクリートであり、藻場形成作用については何ら配慮されたものでない。従って、表面を改良してより藻類の付着量を増加可能なブロックの出現が期待されていた。
【0005】
そこで、本出願人は、このようなコンクリート製品が、前記スラグ硬化体と同様な手法で製造されていることに着眼した。つまり、改良に際して、該コンクリート製品に代え、製鋼スラグを主原料とした硬化体が利用できれば、製鋼スラグに新しい用途が開けると考えたのである。
【0006】
しかしながら、本出願人が上記した従来技術を用いて、製鋼スラグを原料とするスラグの硬化体を試作したところ、下記のような問題点が明らかとなった。
【0007】
まず、特開平10−152364号公報記載の方法によれば、製鋼スラグとして転炉スラグを用いると、20℃の水中で養生した際に硬化体が崩壊し、満足できるものにならない場合があった。そこで、この原因を詳細に調査した結果、近年は、転炉の内張り耐火物を保護するためにスラグ中に添加されるドロマイトやマグネシアクリンカ等に起因して転炉スラグ中のMgO濃度が高くなっているが、このようなMgO濃度が高い転炉スラグを用いると、硬化体にする際に該転炉スラグに含まれるfree−MgOが水中養生で水和膨張し、製造されるべき硬化体が崩壊することが判明した。
【0008】
また、前記特開平2−233593号公報記載の方法で転炉スラグを原料としたスラグの硬化体を製造するには、該転炉スラグを微粉砕する必要がある。しかしながら、転炉スラグ中には、上記したようにfree−MgO相が含まれているため、スラグ自体が固くて微粉になり難く、反応性の高い微粉にまで粉砕するには、粉砕コストが莫大になるという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑み、コンクリート製品に代え、製鋼スラグを原料とした硬化体を利用しても、短期間に海草類や珪藻類等の水生植物を着生させ、繁茂させて魚介類の生育に好適な環境とすることの可能な藻場形成ブロックを提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
発明者は、製鋼スラグを原料にした硬化体の製造についての前記問題点を検討し、該製鋼スラグに所謂「溶銑予備処理スラグ」を採用すること、及びそれと他の物質との配合量を適正にすることで解決した。ここで、溶銑予備処理とは、溶銑の転炉製鋼において、転炉における通常の脱炭精錬を行う前の溶銑に予め各種の精錬剤を添加して脱珪、脱燐、脱硫処理をすることを言い、そこで生じたスラグを溶銑予備処理スラグと称している。
【0011】
そして、発明者は、その改良された硬化体の表面に藻場形成作用を持つ物質からなる表面層を坦持させることについて鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化したのである。
【0012】
すなわち、本発明は、海水中に浸漬され、魚介類を引き寄せる藻場を形成するブロックであって、粉粒状の溶銑予備処理スラグ及び高炉スラグ微粉末の混合物を水で混練して硬化させた硬化体に、藻の生育を促進する物質からなる表面層を備え、かつ前記混合物が粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグを15〜55mass%、高炉スラグ微粉末を5〜40mass%含有してなることを特徴とする藻場形成ブロックである。また、本発明は、海中に浸漬され、魚介類を引き寄せる藻場を形成するブロックであって、粉粒状の溶銑予備処理スラグ及び高炉スラグ微粉末の混合物を水で混練して硬化させた硬化体に、藻の生育を促進する物質からなる表面層を備え、かつ前記混合物が粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグを15〜55mass%、高炉スラグ微粉末を3〜36mass%及びフライアッシュを1.5〜30mass%含有し、且つ高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.1〜0.75としてなることを特徴とする藻場形成ブロックである。この場合、前記高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対する溶銑予備処理スラグの含有量の比が質量比で0.2超としてなるのが好ましい。
【0013】
その際、前記藻の生育を促進する物質が、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、フライアッシュ、ベンガラ、ケイ藻土、パーライト、タルク、ゼオライト、貝殻の粉砕物、貝化石、泥炭、木炭、活性炭及び炭素繊維から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0016】
加えて、前記混合物に、さらに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、塩化物から選ばれた1種又は2種以上を、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対して0.2〜20mass%添加したり、あるいは、ナフタレンスルホン酸及び/又はポリカルボン酸を、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び粒径が0.1mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対して0.1〜2.0mass%添加してなることを特徴とする藻場形成ブロックである。
【0017】
本発明によれば、硬化体の表面に、藻場形成作用を有する物質を硬化体がコンクリート製品の場合よりも長期間保持可能になり、従来より安定した藻場の確保が達成できるようになる。その結果、魚介類の引き寄せ及びその生育が円滑に行なえるようになるばかりでなく、従来廃棄されていた溶銑予備処理スラグの新しい用途ができ、その処理にも貢献することが期待される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、発明をなすに至った経緯を交え、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
まず、本発明では、製鋼スラグとして特に溶銑予備処理スラグを使用することにした。その理由は、溶銑予備処理スラグが以下に述べる特性を備えているからである。
(1)溶銑予備処理では精錬剤にMgOを添加しないので、発生したスラグは、元来MgO濃度が低く、且つCaO/SiO2が低い。また、若干含まれるMgOもほとんどCa2MgSi2O7として存在し、free−MgO相がほとんど存在しない。従って、従来転炉スラグを原料として使用した場合に生じていたfree−MgOの水和膨張による硬化体の割れ、粉化、変形、強度低下等の問題を一掃できる可能性がある。
(2)溶銑予備処理スラグは、上記のようにCaO/SiO2が低く、且つP2O5濃度が高いので、free−CaO濃度が低い。そのため、free−CaOによる水和膨張性も低く、該free−CaOの水和膨張に起因する硬化体の割れ、粉化、変形、強度低下等の問題も一掃できる可能性がある。
(3)また、微粉が多く、反応性が高いので、それ自体が他の配合物質である高炉スラグ微粉末やフライアッシュの代替になり得る。
(4)上記したように、free−MgO相がほとんど存在しないので、スラグ自体が柔らかく、転炉スラグに比較してはるかに粉砕し易い。
(5)微粉の溶銑予備処理スラグの働きで、溶銑予備処理スラグと前記した高炉スラグ微粉末やフライアッシュとが反応し易くなり、硬化体のより高強度化が図れる。
【0020】
しかしながら、この溶銑予備処理スラグで硬化体を試作したところ、それだけでは硬化体の強度やひび割れに対する効果が不十分であった。そこで、発明者は、溶銑予備処理スラグを使用するにあたって、そのうちの粒径1.18mm以下の部分が15〜55mass%となるように配合するようにした。つまり、発明者は、溶銑予備処理スラグのうちで硬化反応に寄与の大きな部分がどのようなものであるかを詳細に調査し、その結果、粒径1.18mm以下のものが特に反応性が良好で、得られる硬化体の強度が高くなり、しかもひび割れの発生が著しく小さくなることを見い出した。そこで、本発明では、溶銑予備処理スラグに含まれる粒径1.18mm以下のものの含有量を、水を除く全配合物(混合物ともいう)のうちで特に限定するようにしたのである。なお、このことは、配合する溶銑予備処理スラグの中に、これよりも粒度の大きい溶銑予備処理スラグが含まれていることを妨げるものではない。粒度の大きい溶銑予備処理スラグは、粉砕の過程で粉砕され難くかったことを意味するだけで、それ自体がある程度の強度を有しているので、増量剤として、また、粗粒ながらも活性が高く結合剤としての寄与があり得るからである。
【0021】
また、本発明では、このような粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの量を限定する一方で、これと反応するSiO2含有物質をも適正量で配合するようにした。そのようなSiO2含有物質は、潜在水硬性あるいはポゾラン反応性を有するものが好ましく、具体的には高炉スラグ微粉末を単味で、あるいは高炉スラグ微粉末とフライアッシュとの混合物が好ましい。このフライアッシュは、高炉微粉末と同様に潜在水硬性あるいはポゾラン反応性を有する物質であり、石炭の燃焼によって生成する。また、フライアッシュは、それ自体が極めて微粉であり、これを高炉スラグ微粉末の代替として使用すると、溶銑予備処理スラグとの反応性が一層向上し、硬化体のひび割れ発生の抑制と長時間養生後の強度の向上が可能となる。なお、高炉スラグ微粉末を単味で使用する場合、その適正含有量は、5〜40mass%とする。なお、本発明において溶銑予備処理スラグ及び高炉スラグ微粉末の含有量を上記のように限定した理由は、下記の通りである。
【0022】
粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの含有率が15mass%未満であったり、あるいは高炉スラグ微粉末の含有量が40mass%超えでは、相対的にSiO2を硬化させるアルカリ金属(またはアルカリ土類金属)イオンの供給が不足気味となり、得られる硬化体の強度が低下するからである。また、粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの含有率が55mass%超え、あるいは高炉スラグ微粉末の含有量が5mass%未満では、溶銑予備処理スラグ中の水和膨張性を有するCaO等の成分を固定するSiO2が不足気味となるため、得られる硬化体を水中養生する過程で硬化体の膨張や粉化が発生し、著しく硬化体の強度が低下するからである。
【0023】
さらに、本発明では、潜在水硬性を有するSiO2含有物質として、高炉スラグ微粉末とフライアッシュとの混合物を使用する場合には、それら混合物の適正含有量は、粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの含有率を15〜55mass%、高炉スラグ微粉末の含有率を3〜36mass%、フライアッシュの含有率を1.5〜30mass%とする。そして、特に、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.1〜0.75とすることが必要である。このように限定する理由は、以下の通りである。
【0024】
まず、粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの含有率の限定理由は、既に述べた理由と同じなので省略する。高炉スラグ微粉末を3〜36mass%としたのは、3mass%未満では、高強度の硬化体が得られず、36mass%超えでは、強度のそれ以上の増加が望めず、不経済だからである。フライアッシュは、その含有量が1.5mass%以上で、且つ高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.1以上の場合に、その効果が顕著である。ただし、フライアッシュは、常温での硬化性が高炉スラグ微粉末よりも劣る傾向があり、フライアッシュの含有率が30mass%超えたり、あるいは高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.75を超えると、硬化体全体としての硬化を遅らせることとなり、好ましくない。したがって、フライアッシュの含有率は、1.5〜30mass%で、且つ高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.1〜0.75とする。
【0025】
加えて、本発明では、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対する溶銑予備処理スラグの含有量の比が質量比で0.2超とするのが一層好ましい。このようにすると、溶銑予備処理スラグから供給されるアルカリ金属(あるいはアルカリ土類金属)イオンの量と、潜在水硬性を有するSiO2含有物質中の反応性SiO2の量的バランスが一層適正となり、硬化体のひび割れ防止効果が高まるからである。
【0026】
本発明は、上記したような配合によって、製造した硬化体の強度の向上とひび割れ発生を著しく低減するものであるが、さらに加えて、混合物にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、塩化物から選ばれた1種または2種以上を、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対して0.2〜20mass%添加したり、あるいは、ナフタレンスルホン酸及び/又はポリカルボン酸を、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、粒径が0.1mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対して0.1〜2.0mass%添加しても良い。
【0027】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、塩化物から選ばれた1種または2種以上を0.2mass%以上添加することによって、硬化体の硬化を促進することが可能となり、養生に要する時間を短縮できるからである。しかし、2.0mass%を超えて添加しても、その効果が飽和するため、上限は20mass%とする。
【0028】
また、ナフタレンスルホン酸及び/又はポリカルボン酸を添加すると、混合物を水と共に混練する際の混練性が向上する。そのため、混練に必要な水の量を低減することができ、その結果、より高強度の硬化体が得られるようになる。その際に、その添加量を高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び粒径が0.1mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対して0.1mass%未満では効果に乏しく、2.0mass%を超えて添加しても、効果が飽和するので、0.1〜2.0mass%に限定する。
【0029】
以上がコンクリートに代えて採用する製鋼スラグを用いた硬化体の説明であるが、本発明では、その硬化体の表面に藻の生育を促進する物質を備えるようにした。ここでいう藻の生育を促進する物質としては、藻場に存在する物質の調査、研究から、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、フライアッシュ、ベンガラ、ケイ藻土、パーライト、タルク、ゼオライト、貝殻の粉砕物、貝化石、泥炭、木炭、活性炭、炭素繊維等を採用することにした。なお、これら物質は、少なくとも1種を用いると、用いなかった場合に比べ効果があるので、本発明では、同時に使用する種類を1種又は2種以上とする。
【0030】
表面層の厚みは、特に限定するものではない。表面層を形成する物質の大きさにより、ブロックを被覆するに要する厚みが異なるからである。なお、本表面層はブロックの全面を被覆する必要はなく、用途や沈設、積載のし方などに応じて部分的な被覆となっていても構わない。この表面層を形成させる方法については、本発明では、特に限定しない。種々の方法が利用できるからである。ただし、具体的には、以下のような2通りの方法が採用できる。その1つは、製造された硬化体の表面に前記物質を吹き付けたり、塗布したり、あるいは液状にして含浸させる方法である。他の1つは、硬化体の製造時に、予め予備処理スラグ、高炉スラグ微粉末、及び/又はフライアッシュ等の混合物に前記物質を適当量添加した表面層用の混合物を準備しておき、それを硬化体製造用の枠に予め所定厚みになるように流し込んでから、本来の硬化体製造用混合物を流し込み、本体と同時に硬化させるものである。また、そのような特殊な混合物を準備せずに、型枠にこれらの物質を単に敷いてから、硬化体原料の混合物を流しこんでも良い。
【0031】
ところで、本発明の重要なポイントは、溶銑予備処理スラグの硬化体を利用すると、この表層部の特性がコンクリートを用いた場合に比べて良くなったことである。つまり、藻場形成作用が一段と向上し、該作用の保持時間も延長できた。その理由については、現在のところ定かでないが、溶出物質の量や溶出速度等がコンクリートと異なることに起因すると予想している。
【0032】
【実施例】
(実施例1)まず、表1に示す溶銑予備処理スラグ(脱珪、脱硫、脱燐スラグの3種がある)を主原料に用いて、スラグ硬化体の試作を行なった。配合原料として、粉砕した表1の溶銑予備処理スラグ、粒径0.1mm以下に微粉砕した高炉スラグ微粉末、及び/又はフライアッシュ(粒径0.1mm以下)、さらにCa(OH)2とを水で混練して、その混合物を予め準備した型枠に流し込み、これを20℃の水中で養生をして硬化体を製造した。
【0033】
【表1】
【0034】
混合物中の各原料の含有量、比率、混練水の添加量、硬化体の28日養生後の強度、及び試験片(10cmφ×20cm)を人工海水24リットル中に500時間浸漬した時の海水のpH値を表2及び表3に示す。また、比較のため、従来のポルトランドセメントを主原料にしたコンクリート硬化体を製造し、上記と同じ測定値を表4に示す。この表4を基準にして判断すると、表3に示したスラグ硬化体は、いずれも、強度やひび割れについてコンクリート硬化体と遜色ないか、むしろ、これよりも優れており、海水での使用に耐えるものであることが明らかである。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
(実施例2)次に、本発明に係る藻場形成ブロックの海中浸漬試験を行なった。この試験用ブロックは、大きさが縦25cm、横40cm、高さ5cmとし、表面層の形成も含めて、以下の3つの方法で製作した。
【0039】
A)実施例1の方法で製作したスラグ硬化体を、藻生育促進物質の10mass%水溶液中に1時間浸漬した後、乾燥させた。
【0040】
B)予め、最大粒径5mm以下の予備処理スラグ微粉末、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び消石灰からなる混合粉に、藻生育促進物質を10mass%混合して水で混練した表面層用混合物を準備した。そして、実施例1の方法で製作したスラグ硬化体の表面にハケで所望厚みに塗布した後、硬化させた。
【0041】
C)実施例1の方法で硬化体を製造する直前に、型枠上に藻生育促進物資を一定厚みで敷き込み、その上に本来の混合物を流し込み、硬化させた。
【0042】
なお、前記したポートランドセメントを主原料としたコンクリート硬化体でも、同様のブロックを製作した。
【0043】
そして、これらのブロックを、実際に深さ5mの海中に約6ヶ月浸漬し、海草類の付着量(湿状態の重量)を調べた。その結果を表5に一括して示す。表5より、本発明に係る藻場形成ブロックは、いずれもコンクリート・ブロックに比べて、高い藻類付着性を示すことが明らかである。
【0044】
【表5】
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、コンクリート製品に代え、製鋼スラグを原料とした硬化体を利用しても、短期間に海草類や珪藻類等の水生植物を着生させ、繁茂させて魚介類の生育に好適な環境とすることが可能になった。従って、本発明は、資源の再利用、環境の向上等に寄与するところが大である。
Claims (6)
- 海中に浸漬され、魚介類を引き寄せる藻場を形成するブロックであって、
粉粒状の溶銑予備処理スラグ及び高炉スラグ微粉末の混合物を水で混練して硬化させた硬化体に、藻の生育を促進する物質からなる表面層を備え、かつ前記混合物が粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグを15〜55mass%、高炉スラグ微粉末を5〜40mass%含有してなることを特徴とする藻場形成ブロック。 - 海中に浸漬され、魚介類を引き寄せる藻場を形成するブロックであって、
粉粒状の溶銑予備処理スラグ及び高炉スラグ微粉末の混合物を水で混練して硬化させた硬化体に、藻の生育を促進する物質からなる表面層を備え、かつ前記混合物が粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグを15〜55mass%、高炉スラグ微粉末を3〜36mass%及びフライアッシュを1.5〜30mass%含有し、且つ高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対するフライアッシュ含有量の比が質量比で0.1〜0.75としてなることを特徴とする藻場形成ブロック。 - 前記高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び粒径1.18mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対する溶銑予備処理スラグの含有量の比が質量比で0.2超としてなることを特徴とする請求項2記載の藻場形成ブロック。
- 前記藻の生育を促進する物質が、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、フライアッシュ、ベンガラ、ケイ藻土、パーライト、タルク、ゼオライト、貝殻の粉砕物、貝化石、泥炭、木炭、活性炭及び炭素繊維から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の藻場形成ブロック。
- さらに、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、塩化物から選ばれた1種又は2種以上を、高炉スラグ微粉末及びフライアッシュの合計含有量に対して0.2〜20mass%添加してなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の藻場形成ブロック。
- さらに、ナフタレンスルホン酸及び/又はポリカルボン酸を、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ及び粒径が0.1mm以下の溶銑予備処理スラグの合計含有量に対して0.1〜2.0mass%添加してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の藻場形成ブロック。
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