JP2003034562A - 水硬性組成物及び水和硬化体 - Google Patents

水硬性組成物及び水和硬化体

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blast furnace
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binder
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Yasuto Miyata
康人 宮田
Tetsushi Numata
哲始 沼田
Kazuya Yabuta
和哉 藪田
Tatsuto Takahashi
達人 高橋
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Nkk Corp
日本鋼管株式会社
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    • Y02W30/50Reuse, recycling or recovery technologies
    • Y02W30/91Use of waste materials as fillers for mortars or concrete

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水和硬化体を製造する際の結合材として好適
で且つ安価に製造することができる水硬性組成物を得
る。 【解決手段】 水和硬化体の結合材として高度な機能を
備え且つ安価に得ることができる水硬性組成物の構成材
料について検討を加えた結果、鉄鋼製造プロセスで得ら
れる製鋼スラグが、潜在水硬性を有するシリカ含有物質
のアルカリ刺激剤として極めて好適なものであり、また
製鋼スラグの中でもアルカリ刺激剤としての機能や得ら
れる水和硬化体の強度などの点から特に脱硫スラグが好
ましいことを見出しなされたもので、潜在水硬性を有す
るシリカ含有物質及びポゾラン反応性を有するシリカ含
有物質の中から選ばれる1種以上を60mass%以上含有
し、アルカリ刺激剤として製鋼スラグ、好ましくは溶銑
脱硫スラグを2〜30mass%含有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば建築・土木
用などの水和硬化体を製造する際の結合材として好適な
水硬性組成物及びこの水硬性組成物を結合材として含む
水和硬化体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の普通ポルトランドセメントを結合
材として用いた一般のコンクリートは、海洋構造物、漁
礁ブロック、藻場造成用ブロック、海岸付近などのよう
な飛来塩分の多い地域の土木構造物等に使用した場合に
海水や塩分により侵食されやすいという欠点がある。ま
た、飛来塩分の多い地域の土木構造物や凍結防止剤を多
量に散布する場所に設置される土木構造物では、外来塩
素によるコンクリート中の鉄筋の腐食が大きな問題とな
っている。また、その他にも旧来のコンクリートには、
海洋構造物の没水部や漁礁ブロック、藻場造成用ブロッ
クなどの水中沈設材として用いた場合に周囲の海水のp
Hを上昇させる、セメントの原材料として天然資源であ
る石灰を調達する必要がある、セメント製造の際に大き
なエネルギーが必要となる、天然材の使用により環境破
壊が生じる、などの問題がある。
【0003】ところで、潜在水硬性を有するシリカ含有
物質にアルカリ刺激剤(さらに、必要に応じてカルシウ
ム源)を添加し、水を加えて混練すると硬化することが
よく知られている。これは、シリカ含有物質のガラスを
構成している網目構造体中のシリカの鎖状結合がアルカ
リ刺激剤により切断され、珪酸イオンがカルシウムイオ
ンと水和反応してCaO−SiO−HO系水和物を
形成するためである。このような水硬性組成物のアルカ
リ刺激剤としては主に石灰微粉末やセメントなどが用い
られており、これらはアルカリ刺激剤としてだけでな
く、カルシウム源としても機能する。このような水硬性
組成物を従来のセメントの代替として水和硬化体の結合
材として用いた場合、緻密なCaO−SiO−H
系水和物を生成するため、セメントを結合材とする場合
に較べて水密性が増し、このため海水や塩分により侵食
されにくいという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の水硬性組成物にアルカリ刺激剤として添加
される石灰微粉末やセメントはコストが高く、水和硬化
体の製造コストが高くなる問題がある。また、アルカリ
刺激材としてセメントを用いる場合には、それ自体も硬
化するため水和硬化体の強度上昇には寄与するものの、
アルカリ刺激剤として寄与するカルシウムの割合が少な
いためアルカリ刺激剤として十分に機能させるには多量
に添加する必要がある。
【0005】したがって本発明の目的は、上記のような
従来技術の課題を解決し、水和硬化体を製造する際の結
合材として好適で、しかも安価に製造することができる
水硬性組成物を提供することにある。また、本発明の他
の目的は、優れた耐海水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性を
有する水和硬化体を提供することにある。さらに、本発
明の他の目的は、漁礁ブロックや藻場造成用ブロックな
どの水中沈設材に適用した場合に、海水のpH上昇の抑
制や海水中での珪藻類の増殖、ブロックに着生する海藻
類の生育などに優れた機能を発揮できる水和硬化体を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水和硬化
体の結合材として高度な機能を備え、しかも安価に得る
ことができる水硬性組成物の構成材料について検討を加
え、その結果、鉄鋼製造プロセスで得られる製鋼スラグ
が、潜在水硬性を有するシリカ含有物質のアルカリ刺激
剤として極めて好適なものであること、また製鋼スラグ
の中でも、アルカリ刺激剤としての機能や得られる水和
硬化体の強度などの点から特に溶銑脱硫スラグが好まし
いこと、さらに製鋼スラグを予めエージング処理するこ
とにより水和硬化体の強度をより効果的に高められるこ
とを見出した。
【0007】さらに、このような水硬性組成物を結合材
として含む水和硬化体について、優れた耐海水性、耐塩
害性、耐鉄筋腐食性が得られる最適な条件、また漁礁ブ
ロックや藻場造成用ブロックなどの水中沈設材に適用し
た場合に、海水のpH上昇の抑制や海水中での珪藻類の
増殖、ブロックに着生する海藻類の生育などに優れた機
能を発揮できる最適な条件を見い出した。
【0008】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、その特徴は以下の通りである。 [1] 潜在水硬性を有するシリカ含有物質及びポゾラン反
応性を有するシリカ含有物質の中から選ばれる1種以上
を60mass%以上含有し、アルカリ刺激剤として製鋼ス
ラグを2〜30mass%含有することを特徴とする水硬性
組成物。 [2] 上記[1]の水硬性組成物において、製鋼スラグの一
部又は全部が溶銑脱硫スラグであることを特徴とする水
硬性組成物。
【0009】[3] 上記[1]又は[2]の水硬性組成物におい
て、製鋼スラグが、地金除去処理後の酸化カルシウムの
含有量が50mass%以上の製鋼スラグであることを特徴
とする水硬性組成物。 [4] 上記[1]〜[3]のいずれかの水硬性組成物において、
製鋼スラグがエージング処理を経た製鋼スラグであるこ
とを特徴とする水硬性組成物。 [5] 上記[4]の水硬性組成物において、エージング処理
が製鋼スラグを常温にて1日以上湿空中又は水中におく
処理であることを特徴とする水硬性組成物。
【0010】[6] 上記[1]〜[5]のいずれかの水硬性組成
物において、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質の
含有量が20mass%以下であることを特徴とする水硬性
組成物。 [7] 上記[1]〜[6]のいずれかの水硬性組成物において、
潜在水硬性を有するシリカ含有物質の一部又は全部とし
て高炉水砕スラグを含むことを特徴とする水硬性組成
物。 [8] 上記[7]の水硬性組成物において、高炉水砕スラグ
と製鋼スラグを合計で80mass%以上含有することを特
徴とする水硬性組成物。
【0011】[9] 骨材と、結合材として上記[1]〜[8]の
いずれかの水硬性組成物を含有することを特徴とする水
和硬化体。 [10] 上記[9]の水和硬化体において、骨材の一部又は全
部が製鋼スラグからなることを特徴とする水和硬化体。 [11] 上記[10]の水和硬化体において、製鋼スラグとし
て、骨材と結合材の両方を含む粒度分布を有するスラグ
を用いることを特徴とする水和硬化体。
【0012】[12] 上記[11]の水和硬化体において、製
鋼スラグとして、粒径5mm以下が85mass%以上、粒
径0.075mm未満が10mass%以上の粒度分布を有
するスラグを用いることを特徴とする水和硬化体。 [13] 上記[9]〜[12]のいずれかの水和硬化体において、
結合材の一部として高炉水砕スラグを含み、結合材中で
の高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計の割合が80mass
%以上であり、水結合材比が50%以下であることを特
徴とする水和硬化体。
【0013】[14] 上記[9]〜[13]のいずれかの水和硬化
体において、骨材の一部又は全部が高炉水砕スラグから
なることを特徴とする水和硬化体。 [15] 上記[14]の水和硬化体において、高炉水砕スラグ
として、骨材と結合材の両方を含む粒度分布を有するス
ラグを用いることを特徴とする水和硬化体。 [16] 上記[15]の水和硬化体において、高炉水砕スラグ
として、粒径5mm以下が85mass%以上、粒径0.7
5mm未満が10mass%以上の粒度分布を有するスラグ
を用いることを特徴とする水和硬化体。
【0014】[17] 上記[13]〜[16]のいずれかの水和硬
化体において、骨材の一部又は全部が塩素を含む骨材か
らなることを特徴とする水和硬化体。 [18] 上記[9]〜[17]のいずれかの水和硬化体において、
骨材である製鋼スラグの一部又は全部が溶銑脱硫スラグ
であることを特徴とする水和硬化体。 [19] 上記[9]〜[18]のいずれかの水和硬化体において、
骨材である製鋼スラグが、地金除去処理後の酸化カルシ
ウムの含有量が50mass%以上の製鋼スラグであること
を特徴とする水和硬化体。
【0015】[20] 上記[9]〜[19]のいずれかの水和硬化
体において、骨材である製鋼スラグがエージング処理を
経た製鋼スラグであることを特徴とする水和硬化体。 [21] 上記[20]の水和硬化体において、エージング処理
が製鋼スラグを常温にて1日以上湿空中又は水中におく
処理であることを特徴とする水和硬化体。
【0016】
【発明の実施の形態】まず、本発明の水硬性組成物につ
いて説明する。本発明の水硬性組成物は、潜在水硬性を
有するシリカ含有物質及びポゾラン反応性を有するシリ
カ含有物質の中から選ばれる1種以上を60mass%以上
含有し、アルカリ刺激剤として製鋼スラグを2〜30ma
ss%含有することを特徴とする。水硬性組成物中にアル
カリ刺激剤として配合される製鋼スラグは、鉄鋼製造プ
ロセスにおいて生じる副生成物であり、同プロセスにお
いて大量に生成し且つ非常に安価な材料である。この製
鋼スラグは、溶銑などを溶鋼に精錬するための種々の工
程で発生し、例えば、脱炭スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶
銑脱硫スラグ、溶銑脱珪スラグ、取鍋精錬スラグ、電気
炉製鋼スラグなどがある。
【0017】製鋼スラグの化学成分はスラグが生成する
精錬工程によりある程度の差はあるが、主な化学成分は
酸化カルシウム(CaO)、二酸化珪素、酸化アルミニ
ウム、鉄などである。ところで、この製鋼スラグは高比
重で硬質な物質であるため、従来から土木・建築用資材
への有効利用が期待されているが、以下のような問題が
あるため、その利用は制限されてきた。すなわち、製鋼
スラグ中には精錬時に使用されたCaOの一部が未反応
の状態で残存しており、この未反応CaOが水分と接触
することにより水和反応を起こして水酸化カルシウムを
形成するが、この反応に伴って著しい体積膨張が生じ
る。このため製鋼スラグを土木・建築用資材として利用
した場合、上記のような著しい体積膨張によりそれを利
用した構造物が破壊される恐れがある。
【0018】このような問題に対し、本発明者らは製鋼
スラグをシリカ含有物質(潜在水硬性を有するシリカ含
有物質及び/又はポゾラン反応性を有するシリカ含有物
質)に配合することにより、上記のような体積膨張が適
切に抑えられ、しかも製鋼スラグがアルカリ刺激剤とし
て極めて有効に機能すること、また製鋼スラグのなかで
もCaO含有量が多いスラグほどアルカリ刺激剤として
好適であり、そのなかでも特に溶銑脱硫スラグが最適で
あることを見い出した。ここで、潜在水硬性を有するシ
リカ含有物質やポゾラン反応性を有するシリカ含有物質
に対して製鋼スラグをアルカリ刺激剤として添加した場
合に体積膨張が抑えられるのは、製鋼スラグ中の未反応
CaOと上記シリカ含有物質が混在した場合、水の存在
下で不溶性のl・CaO−m・SiO−n・HOゲ
ルが生成することにより、上述のような水酸化カルシウ
ムの生成が抑えられるためであると考えられる。
【0019】さらに本発明者らは、製鋼スラグの中でも
溶銑脱硫スラグに着目してアルカリ刺激剤としての有効
性を検討した。溶銑脱硫スラグ(以下、単に“脱硫スラ
グ”という)は鉄鋼製造プロセスの脱硫工程で発生する
スラグであり、組成及び形態面で以下のような特徴を有
している。 (1) 磁気選別などによる地金除去後において、CaOの
含有量が50mass%以上と高く、未反応CaOも多く含
まれている。したがって、上述した製鋼スラグの一般的
な特徴である膨張・崩壊が他の製鋼スラグよりも激しく
起こる。 (2) 形態として、他の製鋼スラグに較べて細粒の割合が
多い。これは、上記のようにCaOの割合が高いため
に、放置しておくと水和反応が進行し、膨張・崩壊によ
る細粒化が進行するためである。 (3) 硫黄分を1〜4mass%程度含有している。
【0020】従来、脱硫スラグは上記(1)〜(3)の点から
土木・建築用資材としては扱いにくいものとされてい
た。これに対して本発明者らは、脱硫スラグを水硬性組
成物中にアルカリ刺激剤として配合した場合には、上記
(1)〜(3)のいずれもがむしろ有利な要素になり得ること
を見い出した。すなわち、上記(1)の点はアルカリ刺激
を強める効果を生じ、また上記(2)の点は、細粒である
ために破砕・磨砕コストを省略し又は大幅に軽減するこ
とができる効果を生じる。さらに、上記(3)の点につい
ては以下のような効果を生じる。すなわち、スラグ中に
硫黄分が多いと、その一部が水和反応過程において膨張
性の水和物であるエトリンガイト(3CaO・Al
・3CaSO・32H O)を生成し、このような
エトリンガイトの生成が水和硬化体の強度特性の向上に
寄与する。
【0021】すなわち、高炉セメントにエトリンガイト
源である石膏を添加すると強度特性を向上させることが
知られており(例えば、内川ら,セメント技術年報,2
8,68 (1974))、その理由としては、第一に、高炉
水砕スラグの乾燥収縮はセメントのそれよりも大きい
が、その収縮をエトリンガイトが緩和する働きがあるこ
と、第二に、初期の強度向上にエトリンガイトの生成が
寄与する(つまり、初期においてセメント粒子間の隙間
をエトリンガイトが埋めることにより強度が向上する)
ためであると考えられている。そして、脱硫スラグをア
ルカリ刺激剤として用いる本発明の水硬性組成物におい
ては、生成したエトリンガイトがシリカ含有物質(潜在
水硬性を有するシリカ含有物質及び/又はポゾラン反応
性を有するシリカ含有物質)の乾燥収縮の緩和に寄与
し、その結果、強度特性が向上するものと考えられる。
したがって、この点においても脱硫スラグは従来のアル
カリ刺激剤である石灰微粉末と比較して優れた特性を有
している。
【0022】一方、脱硫スラグをアルカリ刺激剤として
用いた場合、上記(1)の点が水和硬化体の強度低下若し
くは破壊の要因となる可能性がある。しかし、本発明者
らの検討の結果、脱硫スラグの添加量の上限を設けるこ
とで膨張の影響を十分小さくできることが判った。脱硫
スラグは、鉄鋼製造プロセスの脱硫を目的とした精錬工
程で発生するスラグであるが、その精錬方式(例えば、
精錬設備、精錬容器、精錬方法)は特に限定されない。
磁気選別などによる地金(鉄分)除去処理後の脱硫スラ
グの組成は、例えば、酸化カルシウム(CaO):58
mass%、酸化珪素:(SiO)16mass%、酸化アル
ミニウム:(Al)10mass%、全鉄:6mass
%、硫黄:3.5mass%である。
【0023】次に、本発明の水硬性組成物に用いられる
潜在水硬性を有するシリカ含有物質、ポゾラン反応性を
有するシリカ含有物質について説明する。潜在水硬性を
有するシリカ含有物質としては、高炉水砕スラグなどを
用いることができる。また、高炉水砕スラグを用いる場
合には、これに含まれるカルシウムが水硬性組成物のカ
ルシウム源としても機能する。なお、高炉水砕スラグ
は、その一部又は全部を高炉セメントを用いて(つま
り、高炉セメントを配合することにより)原料中に配合
しても構わない。ポゾラン反応性を有するシリカ含有物
質としては、シリカフュームなどを用いることができ
る。但し、シリカフューム中にはカルシウムは殆んど含
まれないので、シリカフュームを用いる場合にはカルシ
ウム源を別途配合する必要がある。
【0024】本発明の水硬性組成物において、潜在水硬
性を有するシリカ含有物質及びポゾラン反応性を有する
シリカ含有物質の中から選ばれる1種以上の配合量は6
0mass%以上とする。シリカ含有物質の配合量が60ma
ss%未満では本発明の効果が十分に得られない。なお、
ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質としてシリカフ
ュームを用いる場合には、上述したようにシリカフュー
ム中にはカルシウムはほとんど含まれないのでカルシウ
ム源を別途配合する必要があるため不経済であり、この
ためシリカフュームを用いる場合には、水硬性組成物中
の割合で20mass%を上限として配合することが好まし
い。
【0025】また、アルカリ刺激剤である製鋼スラグの
配合量が2mass%未満では、アルカリ刺激剤としての作
用が十分に得られない。一方、製鋼スラグの配合量が多
いほどアルカリ刺激は強くなるが、過剰に配合すると相
対的にシリカ含有物質の割合が減少し、また、水和反応
時の水酸化カルシウムの生成やエトリンガイトの生成
(特に、脱硫スラグの場合)による膨張の影響を受けや
すくなり、水和硬化体の強度が低下しやすい。製鋼スラ
グの配合量が30mass%を超えるとこのような傾向が顕
著になるため、その配合量は30mass%以下とする。
【0026】また、製鋼スラグの好ましい配合量として
は、後述するような事前のエージング処理を行わない場
合には5〜10mass%とすることが、また、事前のエー
ジング処理を行う場合には5〜15mass%とすることが
好ましく、これらの範囲において最も高い効果が得られ
る。また、製鋼スラグの配合量をこのような好適な範囲
とすることによる効果は、溶銑脱硫スラグの場合に最も
顕著である。
【0027】また、本発明の水硬性組成物を、海洋構造
物、漁礁ブロック、藻場造成用ブロックなどのような水
中構造物ないしは構造体、海岸付近などのような飛来塩
分の多い地域の土木構造物、凍結防止剤を多量に散布す
る場所に設置される土木構造物などの水和硬化体の結合
材として用いる場合には、潜在水硬性を有するシリカ含
有物質の一部又は全部として高炉水砕スラグを用い、且
つ高炉水砕スラグと製鋼スラグを合計で80mass%以上
含有することが好ましく、これにより優れた耐海水性、
耐塩害性、耐鉄筋腐食性を有し、且つ漁礁ブロックや藻
場造成用ブロックなどに適用した場合に、海水のpH上
昇の抑制や海水中での珪藻類の増殖、ブロックに着生す
る海藻類の生育などに特に優れた機能を発揮する水和硬
化体が得られる。
【0028】本発明の水硬性組成物を上記の組成とする
ことにより優れた耐海水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性が
得られるのは、以下のような理由によるものと考えられ
る。まず、耐海水性、耐塩害性については、組成物の相
当部分が高炉水砕スラグで占められているため水和硬化
体を構成する水和物が緻密化するとともに、アルカリ刺
激剤として配合された製鋼スラグがCaの供給源として
水和物の緻密化に寄与する結果、十分な水密性(耐海水
浸透性)が得られるものと考えられる。
【0029】また、耐鉄筋腐食性についても、組成物の
相当部分が高炉水砕スラグで占められているため水和硬
化体を構成する水和物が緻密化するとともに、アルカリ
刺激剤として配合された製鋼スラグがCa供給源として
水和物の緻密化に寄与し、この結果、水密性が向上する
とともに、酸素拡散係数も小さくなるため鉄筋腐食の原
因となる塩素イオン及び酸素の浸透・拡散が適切に抑え
られるものと考えられる。さらに、後述するように高炉
水砕スラグは塩素イオンの固定能力が高いため、鉄筋腐
食の原因となる外来塩素を硬化体表面近傍で水和物が吸
着する機能が高いことも理由の1つに挙げられる。
【0030】また、水密性をさらに高めることにより耐
海水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性をより向上させるに
は、本発明の水硬性組成物は下記(1)の組成、より好ま
しくは下記(2)の組成、特に好ましくは下記(3)の組成と
することが望ましい。 (1) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、高炉水砕スラグと製鋼スラグの合
計量:80mass%以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、高炉水砕スラグと製鋼スラグの合
計量:90mass%以上 (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、残部が高炉水砕スラグ
【0031】また、上述したような水硬性組成物は相当
部分が高炉水砕スラグで占められ、且つアルカリ刺激剤
として製鋼スラグを含んでいるため、この水硬性組成物
を海洋構造物や漁礁ブロック、藻場造成用ブロックなど
の水和硬化体の結合材に適用した場合、水和硬化体周囲
の海水の高pH化が防止できる特徴がある。すなわち、
普通セメント場合には、その生成鉱物である3CaO・
SiO、2CaO・SiOの水和反応によりCa
(OH)が多量に生成し、これが海水中に溶出するこ
とにより海水のpHが上昇する。このような海水のpH
上昇は海中に生息する生物や海藻類にとって好ましいも
のではない。これに対して、上述した本発明の水硬性組
成物では、高炉水砕スラグの水和反応によるCa(O
H)の生成はなく、むしろ水和反応により製鋼スラグ
中のCa(OH)が消費されるので、Ca(OH)
が少ない硬化体が得られる。このためCa(OH)
海水中への溶出量が少なく、海水のpH上昇が効果的に
抑制される。
【0032】以上述べたような理由から、高炉水砕スラ
グを含み、且つ高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計の割
合が80mass%以上である本発明の水硬性組成物は、海
洋構造物、漁礁ブロック、藻場造成用ブロックなどのよ
うな水中構造物ないしは構造体、海岸付近などのような
飛来塩分の多い地域の土木構造物、飛来塩分の多い地域
の土木構造物や凍結防止剤を多量に散布する場所に設置
される土木構造物などに用いられる水和硬化体の結合材
に特に好適なものであると言える。そして、水密性をよ
り高めることができる上述した(1)〜(3)の組成とした本
発明の水硬性組成物は、これらの用途においても特に好
適なものである。
【0033】また、上述したように高炉水砕スラグを含
み、且つ高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計の割合が8
0mass%以上であることは、この水硬性組成物が適用さ
れる水和硬化体の骨材の一部又は全部として塩素を含有
する骨材(例えば、洗浄処理が十分でない海砂)を用い
る場合においても特に有効である。
【0034】コンクリートなどの水和硬化体中の骨材に
塩化物が含まれていると、塩素イオンが鉄筋を腐食させ
る原因となることが知られている。従来一般に用いられ
ているセメントについても、フリーデル氏塩やケイ酸カ
ルシウム水和物などへの取り込み、水和物への吸着など
によって塩素イオンが固定され、塩素イオンによる鉄筋
腐食が抑制されることが知られているが、高炉水砕スラ
グはAlが多いためフリーデル氏塩の生成能力が大き
く、このため相当部分が高炉水砕スラグで占められた結
合材を用いることにより、セメント以上の塩素イオン固
定効果が期待でき、塩素イオンによる鉄筋腐食を効果的
に抑制することができる。また、このような特性をより
向上させるにも、上述した(1)〜(3)の組成の水硬性組成
物が特に好ましい。
【0035】また、本発明の水硬性組成物を海洋構造
物、漁礁ブロック、藻場造成用ブロックなどのような水
中構造物ないしは構造体の水和硬化体の結合材に適用す
る場合において、その水和硬化体に対して特に優れたケ
イ酸塩イオン溶出性を付与する場合にも、上述のように
製鋼スラグを除く組成物の一部又は全部を高炉水砕スラ
グとし、且つ組成物中での高炉水砕スラグと製鋼スラグ
の合計の割合を80mass%以上とすることが好ましく、
また、上述した(1)〜(3)の組成とすることが特に好まし
い。
【0036】また、組成物の一部として高炉水砕スラグ
を用いる場合、ケイ酸塩イオンの溶出性を高めるために
は、製鋼スラグを除く結合材中での高炉水砕スラグの割
合は70mass%以上とすることが特に好ましい。後述す
るように、高炉水砕スラグやこれを主原料とする硬化体
は海水へのケイ酸塩イオンの溶出性などの点で極めて優
れた性能を備えている。さらに、高炉水砕スラグから溶
出するケイ酸塩イオンは海底に着生する海藻類の育成に
も有効に作用し、高炉水砕スラグを相当量含有する水和
硬化体は海藻着生基盤としても優れた機能を発揮でき
る。その理由については、本発明の水和硬化体の説明に
おいて詳述する。
【0037】本発明の水硬性組成物は、潜在水硬性を有
するシリカ含有物質及びポゾラン反応性を有するシリカ
含有物質の中から選ばれる1種以上とアルカリ刺激剤で
ある製鋼スラグ以外の残部成分として他の無機微粒子を
含むことができる。この無機微粒子としては結合材とな
り得る材料が特に好ましいが、これに限定されるもので
はなく、製鋼スラグの作用などに悪影響を及ぼさない材
料であれば特に制限はない。例えば、石膏、セメント、
石灰微粉末、スラグ微粉末(高炉水砕スラグや製鋼スラ
グ以外のスラグの微粉末)などを配合することができ、
また鉄筋なしの水和硬化体に適用する場合には塩化カル
シウムや塩化ナトリウムなどを配合してもよく、これら
の1種以上を適宜配合することができる。
【0038】これらのうち石膏はエトリンガイトを生成
することによって先に述べたような機能を発揮し、水和
反応を促進させる。また、セメントはそれ自体が水和硬
化に寄与する。さらに、塩化カルシウムや塩化ナトリウ
ムは初期の水和反応を促進させる効果がある。そして、
これらの成分のいずれを配合した場合でも、水和硬化体
の初期強度特性を向上させることができる。
【0039】ここで、水和反応を促進させて初期強度特
性を特に高めるために適量の石膏を配合する場合、水硬
性組成物は下記(1)の組成、より好ましくは下記(2)の組
成、特に好ましくは下記(3)の組成とすることが望まし
い。 (1) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、高炉水砕
スラグと製鋼スラグの合計量:80mass%以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、高炉水砕
スラグと製鋼スラグの合計量:90mass%以上 (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、残部が高
炉水砕スラグ
【0040】また、同様の目的で適量の塩化カルシウム
又は/及び塩化ナトリウムを単独で、或いは石膏ととも
に配合する場合、水硬性組成物は下記(1)の組成、より
好ましくは下記(2)の組成、特に好ましくは下記(3)の組
成とすることが望ましい。なお、この場合は塩化カルシ
ウム又は/及び塩化ナトリウムを配合するため、塩素濃
度の増加があまり問題とならない用途、特に鉄筋を使用
しない用途に適用するのが好ましい。 (1) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、塩化カルシウム又は/及び塩化ナ
トリウム:2〜10mass%、高炉水砕スラグと製鋼スラ
グと塩化カルシウム又は/及び塩化ナトリウムの合計
量:90mass%以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、塩化カルシウム又は/及び塩化ナ
トリウム:2〜10mass%、残部が高炉水砕スラグ (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、塩化カル
シウム又は/及び塩化ナトリウム:2〜10mass%、残
部が高炉水砕スラグ
【0041】本発明の水硬性組成物に配合される製鋼ス
ラグや高炉水砕スラグは、微粉状にして用いられるが、
この微粉状のスラグを得る方法としては、スラグを篩い
分けする方法、スラグを破砕及び/又は磨砕する方法、
あるいはそれらを組み合わせる方法など、任意の方法を
採ることができる。なお、脱硫スラグは先に述べたよう
に元々細粒分が多いので、上記の微粉状にする工程を他
の製鋼スラグに較べて大幅に簡略化又は省略することが
可能である。また、上記各種スラグから篩分けなどに微
粉を取り出した後に残る細粒は、水和硬化体の細骨材の
一部として用いてもよい。
【0042】また、本発明の水硬性組成物では、アルカ
リ刺激剤として用いる製鋼スラグとして予めエージング
処理した製鋼スラグを用いることにより、さらに膨張の
影響を小さくし、得られる水和硬化体の強度を上昇させ
ることができる。これは、製鋼スラグに予めエージング
処理を実施しておくことにより、製鋼スラグ中の未反応
CaOが水和反応により水酸化カルシウムが生成する際
に約2倍もの体積膨張を伴うことに起因する水和硬化体
の膨張が抑えられるためであり、その結果、水和硬化体
の強度低下が防止される。また、脱硫スラグの場合には
未反応CaOを多く含有するため、このようなエージン
グ処理の効果は特に大きい。
【0043】ここで、エージング処理とは製鋼スラグを
湿空中又は水中におくことによって水分(水、温水、蒸
気など)と反応させ、スラグの体積膨張や崩壊を事前に
起こさせておく処理であり、その方法は特に問わない
が、常温でエージング処理する方法としては、スラグ
を湿空下におく方法、 容器などを用いてスラグを水
中におく(沈める)方法などが考えられる。ここで、上
記の方法では、スラグを水中以外で水分と反応しやす
い条件下におけばよく、例えば、野積みのスラグに散水
する方法(人為的な散水の他に降雨でもよい)などでも
よい。
【0044】また、製鋼スラグのなかでも脱硫スラグは
特に未反応CaOが多く反応性に富むため、他の製鋼ス
ラグに較べてエージング処理の期間がかなり短くて済
む。すなわち、脱硫スラグの湿空中又は水中でのエージ
ング処理の期間は1日以上、好ましくは7日以上とする
ことが望ましいが、最長でも2ヶ月程度あれば十分であ
る。また、製鋼スラグをさらに確実にエージング処理す
るため、蒸気エージングや温水エージングなどを実施し
てもよく、これらによれば湿空中又は水中でのエージン
グ処理よりも短期間で処理を完了することができる。
【0045】このようなエージング処理を行うことによ
り、上述したような基本的な効果に加えて、製鋼スラグ
が崩壊することによりスラグの細粒化が進み、水硬性組
成物の材料として必要な微粒分の回収率が向上するとい
う効果も得られる。特に、脱硫スラグの場合は先に述べ
たように元々細粒分が多い上、これにエージング処理に
よる崩壊作用が加わるため、微粒分の回収率が特に高く
なる利点がある。以上の点からして、製鋼スラグ(特
に、脱硫スラグ)のエージング処理は、スラグから水硬
性組成物の材料に適した微粒分を高い比率で回収する手
段としても有効である。
【0046】なお、本発明の水硬性組成物はセメント類
似の機能を持つため、骨材(細骨材、粗骨材)と組み合
せてモルタル又はコンクリートの構成材料(つまり、セ
メントの代替材)として用いることができる。モルタル
又はコンクリートの製造方法や設備などは、セメントの
場合に用いられるものがほぼそのまま適用できる。
【0047】本発明の水硬性組成物は、セメントと比較
して安価であり、しかもスラグをリサイクル材として有
効利用できる、セメントの代替品となることによりセメ
ント生産に伴う炭酸ガス排出分に相当する炭酸ガス発生
量を削減できる、などの利点がある。また機能的な特徴
としては、普通のポルトランドセメントに較べて、発
熱が少ないためマスコンクリートに適している、得ら
れる水和硬化体の組織が緻密であるため、海水抵抗性、
塩害抵抗性、アルカリ骨材に対する反応抑制性が優れて
いる、などの点が挙げられる。これらのうちについて
は、高炉水砕スラグやシリカフュームが普通セメントに
較べて水和反応がゆっくり進行することが、またにつ
いては、高炉水砕スラグやシリカフュームがセメントよ
りも微細であること、また生成する水和物も緻密になる
こと(セメントの場合、膨張性水和物が多いので水和物
が粗大になり易い)が主な理由であると考えられる。こ
れらの機能的な特徴は、特に水硬性組成物中に高炉水砕
スラグやシリカフュームが比較的多く含まれるほど顕著
である。
【0048】次に、本発明の水和硬化体について説明す
る。本発明の水和硬化体は、骨材と、結合材として以上
述べたような水硬性組成物を含有する水和硬化体であ
る。なお、本発明の水和硬化体において結合材と骨材に
同種のスラグ(例えば、転炉スラグ、溶銑脱硫スラグ、
高炉水砕スラグなど)を用いる場合には、或る粒度分布
を有するスラグ(例えば、或る条件で粉砕処理したスラ
グやその粉砕処理後に篩分したスラグ)には結合材とし
ての粒径と骨材としての粒径をそれぞれ満足するスラグ
粒子が含まれていることから、このスラグをそのまま水
和硬化体の原材料(結合材と骨材)として用いることが
できる。
【0049】水和硬化体に用いられる結合材はその機能
上微粉である必要があり、このため結合材は粒径が0.
075mm未満(通常、0.075mm篩い下)のもの
とする。一方、骨材(細骨材及び/又は粗骨材)はその
機能上ある程度の粒径を有する必要があり、このため骨
材は粒径が0.075mm以上(通常、0.075mm
篩い上)のものとする。但し、本発明の水和硬化体にお
いて、結合材と骨材をそれぞれ別々に準備し、これらを
混合して用いるような場合には、骨材中に不可避的に若
干量の微粉(粒径が0.075mm未満の微粉)が含ま
れることは妨げない。
【0050】本発明の水和硬化体に含まれる結合材の組
成は、潜在水硬性を有するシリカ含有物質及びポゾラン
反応性を有するシリカ含有物質の中から選ばれる1種以
上の割合が60mass%以上、アルカリ刺激剤となる製鋼
スラグの割合が2〜30mass%である。結合材中にアル
カリ刺激剤として配合される製鋼スラグは、鉄鋼製造プ
ロセスにおいて生じる副生成物であり、溶銑などを溶鋼
に精錬するための種々の工程で発生し、例えば、脱炭ス
ラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱硫スラグ、溶銑脱珪スラ
グ、取鍋精錬スラグ、電気炉製鋼スラグなどがある。
【0051】製鋼スラグの化学成分はスラグが生成する
精錬工程によりある程度の差はあるが、主な化学成分は
酸化カルシウム(CaO)、二酸化珪素、酸化アルミニ
ウム、鉄などである。先に述べたように、この製鋼スラ
グは高比重で硬質な物質であるため、従来から土木・建
築用資材への有効利用が期待されているが、製鋼スラグ
中に含まれる未反応CaO(精錬時に使用されたCaO
の一部が未反応の状態で残存したもの)が水分と接触す
ることにより水和反応を起こして水酸化カルシウムを形
成し、この反応に伴って著しい体積膨張が生じるため、
製鋼スラグを土木・建築用資材として利用した場合、そ
の著しい体積膨張によりそれを利用した構造物が破壊さ
れる恐れがあると考えられ、従来ではその利用が制限さ
れてきた。
【0052】これに対して本発明では、結合材として製
鋼スラグをシリカ含有物質(潜在水硬性を有するシリカ
含有物質及び/又はポゾラン反応性を有するシリカ含有
物質)に配合することにより、上記のような体積膨張が
適切に抑えられ、しかも製鋼スラグがアルカリ刺激剤と
して極めて有効に機能すること、また製鋼スラグのなか
でもCaO含有量が多いスラグほどアルカリ刺激剤とし
て好適であり、そのなかでも特に溶銑脱硫スラグが最適
であることを見い出した。
【0053】このように潜在水硬性を有するシリカ含有
物質やポゾラン反応性を有するシリカ含有物質に対して
製鋼スラグをアルカリ刺激剤として添加した場合に体積
膨張が抑えられるのは、製鋼スラグ中の未反応CaOと
上記シリカ含有物質が混在した場合、水の存在下で不溶
性のl・CaO−m・SiO−n・HOゲルが生成
することにより、上述のような水酸化カルシウムの生成
が抑えられるためであると考えられる。
【0054】また、本発明では製鋼スラグの中でも溶銑
脱硫スラグのアルカリ刺激剤としての有効性を確認し
た。溶銑脱硫スラグ(以下、単に“脱硫スラグ”とい
う)は鉄鋼製造プロセスの脱硫工程で発生するスラグで
あり、組成及び形態面で以下のような特徴を有してい
る。 (1) 磁気選別などによる地金除去後において、CaOの
含有量が50mass%以上と高く、未反応CaOも多く含
まれている。したがって、上述した製鋼スラグの一般的
な特徴である膨張・崩壊が他の製鋼スラグよりも激しく
起こる。 (2) 形態として、他の製鋼スラグに較べて細粒の割合が
多い。これは、上記のようにCaOの割合が高いため
に、放置しておくと水和反応が進行し、膨張・崩壊によ
る細粒化が進行するためである。 (3) 硫黄分を1〜4mass%程度含有している。
【0055】従来、脱硫スラグは上記(1)〜(3)の点から
土木・建築用資材としては扱いにくいものとされてい
た。これに対して本発明では、脱硫スラグを結合材中に
アルカリ刺激剤として配合した場合には、上記(1)〜(3)
のいずれもがむしろ有利な要素になり得ることを見い出
した。すなわち、上記(1)の点はアルカリ刺激を強める
効果を生じ、また上記(2)の点は、細粒であるために破
砕・磨砕コストを省略し又は大幅に軽減することができ
る効果を生じる。さらに、上記(3)の点については以下
のような効果を生じる。すなわち、スラグ中に硫黄分が
多いと、その一部が水和反応過程において膨張性の水和
物であるエトリンガイト(3CaO・Al・3C
aSO・32H O)を生成し、このようなエトリン
ガイトの生成が水和硬化体の強度特性の向上に寄与す
る。
【0056】すなわち、高炉セメントにエトリンガイト
源である石膏を添加すると強度特性を向上させることが
知られており(例えば、内川ら,セメント技術年報,2
8,68 (1974))、その理由としては、第一に、高炉
水砕スラグの乾燥収縮はセメントのそれよりも大きい
が、その収縮をエトリンガイトが緩和する働きがあるこ
と、第二に、初期の強度向上にエトリンガイトの生成が
寄与する(つまり、初期においてセメント粒子間の隙間
をエトリンガイトが埋めることにより強度が向上する)
ためであると考えられている。そして、脱硫スラグを結
合材中のアルカリ刺激剤として用いた場合には、生成し
たエトリンガイトがシリカ含有物質(潜在水硬性を有す
るシリカ含有物質及び/又はポゾラン反応性を有するシ
リカ含有物質)の乾燥収縮の緩和に寄与し、その結果、
強度特性が向上するものと考えられる。したがって、こ
の点においても脱硫スラグは従来のアルカリ刺激剤であ
る石灰微粉末と比較して優れた特性を有している。
【0057】一方、脱硫スラグを結合材中のアルカリ刺
激剤として用いた場合、上記(1)の点が水和硬化体の強
度低下若しくは破壊の要因となる可能性がある。しか
し、本発明者らの検討の結果、脱硫スラグの添加量の上
限を設けることで膨張の影響を十分小さくできることが
判った。脱硫スラグは、鉄鋼製造プロセスの脱硫を目的
とした精錬工程で発生するスラグであるが、その精錬方
式(例えば、精錬設備、精錬容器、精錬方法)は特に限
定されない。磁気選別などによる地金(鉄分)除去処理
後の脱硫スラグの組成は、例えば、酸化カルシウム(C
aO):58mass%、酸化珪素:(SiO)16mass
%、酸化アルミニウム:(Al)10mass%、全
鉄:6mass%、硫黄:3.5mass%である。
【0058】次に、結合材に用いられる潜在水硬性を有
するシリカ含有物質、ポゾラン反応性を有するシリカ含
有物質について説明する。潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としては、高炉水砕スラグなどを用いることがで
きる。また、高炉水砕スラグを用いる場合には、これに
含まれるカルシウムが結合材のカルシウム源としても機
能する。なお、高炉水砕スラグは、その一部又は全部を
高炉セメントを用いて(つまり、高炉セメントを配合す
ることにより)原料中に配合しても構わない。ポゾラン
反応性を有するシリカ含有物質としては、シリカフュー
ムなどを用いることができる。但し、シリカフューム中
にはカルシウムは殆んど含まれないので、シリカフュー
ムを用いる場合にはカルシウム源を別途配合する必要が
ある。
【0059】本発明の水和硬化体において、結合材中で
の潜在水硬性を有するシリカ含有物質及びポゾラン反応
性を有するシリカ含有物質の中から選ばれる1種以上の
配合量は60mass%以上とする。シリカ含有物質の配合
量が60mass%未満では本発明の効果が十分に得られな
い。なお、ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質とし
てシリカフュームを用いる場合には、上述したようにシ
リカフューム中にはカルシウムはほとんど含まれないの
でカルシウム源を別途配合する必要があるため不経済で
あり、このためシリカフュームを用いる場合には、結合
材中の割合で20mass%を上限として配合することが好
ましい。
【0060】また、結合材中でのアルカリ刺激剤である
製鋼スラグの配合量が2mass%未満では、アルカリ刺激
剤としての作用が十分に得られない。一方、製鋼スラグ
の配合量が多いほどアルカリ刺激は強くなるが、過剰に
配合すると相対的にシリカ含有物質の割合が減少し、ま
た、水和反応時の水酸化カルシウムの生成やエトリンガ
イトの生成(特に、脱硫スラグの場合)による膨張の影
響を受けやすくなり、水和硬化体の強度が低下しやす
い。結合材中での製鋼スラグの配合量が30mass%を超
えるとこのような傾向が顕著になるため、その配合量は
30mass%以下とする。また、製鋼スラグの好ましい配
合量としては、後述するような事前のエージング処理を
行わない場合には5〜10mass%とすることが、また、
事前のエージング処理を行う場合には5〜15mass%と
することが好ましく、これらの範囲において最も高い効
果が得られる。また、製鋼スラグの配合量をこのような
好適な範囲とすることによる効果は、溶銑脱硫スラグの
場合に最も顕著である。
【0061】本発明の水和硬化体に含まれる結合材は、
潜在水硬性を有するシリカ含有物質及びポゾラン反応性
を有するシリカ含有物質の中から選ばれる1種以上とア
ルカリ刺激剤である製鋼スラグ以外の残部成分として他
の無機微粒子を含むことができる。この無機微粒子とし
ては結合材となり得る材料が特に好ましいが、これに限
定されるものではなく、製鋼スラグの作用などに悪影響
を及ぼさない材料であれば特に制限はない。例えば、石
膏、セメント、石灰微粉末、スラグ微粉末(高炉水砕ス
ラグや製鋼スラグ以外のスラグの微粉末)などを配合す
ることができ、また鉄筋なしの水和硬化体用の場合には
塩化カルシウムや塩化ナトリウムなどを配合してもよ
く、これらの1種以上を適宜配合することができる。こ
れらのうち石膏はエトリンガイドを生成することによっ
て先に述べたような機能を発揮し、水和反応を促進させ
る。また、セメントはそれ自体が水和硬化に寄与する。
さらに、塩化カルシウムや塩化ナトリウムは初期の水和
反応を促進させる効果がある。そして、これらの成分の
いずれを配合した場合でも、水和硬化体の初期強度特性
を向上させることができる。
【0062】また、本発明では、結合材中にアルカリ刺
激剤として配合する製鋼スラグとして予めエージング処
理した製鋼スラグを用いることにより、さらに膨張の影
響を小さくし、得られる水和硬化体の強度を上昇させる
ことができる。これは、製鋼スラグに予めエージング処
理を実施しておくことにより、製鋼スラグ中の未反応C
aOが水和反応により水酸化カルシウムが生成する際に
約2倍もの体積膨張を伴うことに起因する水和硬化体の
膨張が抑えられるためであり、その結果、水和硬化体の
強度低下が防止される。また、脱硫スラグの場合には未
反応CaOを多く含有するため、このようなエージング
処理の効果は特に大きい。また、製鋼スラグとして結合
材と骨材の両方を含むような粒度分布のものを用いる場
合、これをエージング処理することにより、骨材となる
スラグ粒子についても上記の効果が得られる。
【0063】ここで、エージング処理とは製鋼スラグを
湿空中又は水中におくことによって水分(水、温水、蒸
気など)と反応させ、スラグの体積膨張や崩壊を事前に
起こさせておく処理であり、その方法は特に問わない
が、常温でエージング処理する方法としては、スラグ
を湿空下におく方法、 容器などを用いてスラグを水
中におく(沈める)方法などが考えられる。ここで、上
記の方法では、スラグを水中以外で水分と反応しやす
い条件下におけばよく、例えば、野積みのスラグに散水
する方法(人為的な散水の他に降雨でもよい)などでも
よい。
【0064】また、製鋼スラグのなかでも脱硫スラグは
特に未反応CaOが多く反応性に富むため、他の製鋼ス
ラグに較べてエージング処理の期間がかなり短くて済
む。すなわち、脱硫スラグの湿空中又は水中でのエージ
ング処理の期間は1日以上、好ましくは7日以上とする
ことが望ましいが、最長でも2ヶ月程度あれば十分であ
る。また、製鋼スラグをさらに確実にエージング処理す
るため、蒸気エージングや温水エージングなどを実施し
てもよく、これらによれば湿空中又は水中でのエージン
グ処理よりも短期間で処理を完了することができる。
【0065】このようなエージング処理を行うことによ
り、上述したような基本的な効果に加えて、製鋼スラグ
が崩壊することにより結合材として必要な微粒化が促進
されるという効果も得られる。特に、脱硫スラグの場合
は先に述べたように元々細粒分が多い上、これにエージ
ング処理による崩壊作用が加わるため、微粒分の比率が
特に高くなる利点がある。
【0066】本発明の水和硬化体に含まれる結合材は、
セメントと比較して安価であり、しかもスラグをリサイ
クル材として有効利用できる、セメントの代替品となる
ことによりセメント生産に伴う炭酸ガス排出分に相当す
る炭酸ガス発生量を削減できる、などの利点がある。ま
た機能的な特徴としては、普通のポルトランドセメント
に較べて、発熱が少ないためマスコンクリートに適し
ている、得られる水和硬化体の組織が緻密であるた
め、海水抵抗性、塩害抵抗性、アルカリ骨材に対する反
応抑制性が優れている、などの点が挙げられる。これら
のうちについては、高炉水砕スラグやシリカフューム
が普通セメントに較べて水和反応がゆっくり進行するこ
とが、またについては、高炉水砕スラグやシリカフュ
ームがセメントよりも微細であること、また生成する水
和物も緻密になること(セメントの場合、膨張性水和物
が多いので水和物が粗大になり易い)が主な理由である
と考えられる。これらの機能的な特徴は、特に結合材中
に高炉水砕スラグやシリカフュームが比較的多く含まれ
るほど顕著である。
【0067】本発明の水和硬化体に含まれる骨材(細骨
材及び/又は粗骨材)としては、天然砕石、海砂、川
砂、コンクリート廃材、高炉水砕スラグ、高炉徐冷スラ
グ、製鋼スラグなどを用いることができる。また、骨材
として製鋼スラグを用いる場合、スラグの種類に制約は
なく、例えば、脱炭スラグ、溶銑脱燐スラグ、溶銑脱硫
スラグ、溶銑脱珪スラグ、取鍋精錬スラグ、電気炉製鋼
スラグなどを用いることができる。
【0068】但し、骨材として製鋼スラグを用いる場
合、骨材の全量ではなく一部として用いることが好まし
い。これは製鋼スラグ(特に、溶銑脱硫スラグ)を骨材
として多量に使用すると膨張崩壊の危険性が増すからで
ある。具体的には、骨材として製鋼スラグを用いる場
合、骨材中での製鋼スラグの割合は50mass%以下とす
ることが好ましい。また、骨材として用いる製鋼スラグ
についても、先に結合材に関して述べたのと同じ条件で
エージング処理することが好ましい。
【0069】また、本発明の水和硬化体において製鋼ス
ラグや高炉水砕スラグを骨材及び結合材の両方に用いる
場合、骨材と結合材の両方を含む粒度分布を有するスラ
グ(例えば、或る条件で粉砕処理したスラグやその粉砕
処理後に篩分けしたスラグ)を用いてもよく、これによ
り製鋼スラグや高炉水砕スラグに関しては結合材と骨材
を別々に準備することなく、原材料を配合することがで
きる。またその場合、粒径5mm以下が85mass%以
上、粒径0.075mm未満が10mass%以上の粒度分
布を有するスラグを用いることが好ましい。このような
粒度分布を有するスラグには細骨材と結合材に好適な粒
径のスラグ粒子が混在しており、このようなスラグを用
いれば膨張崩壊の危険が少なく、また製鋼スラグの場合
にはアルカリ刺激剤としての機能を十分に発揮させるこ
とができる。
【0070】また、本発明の水和硬化体において、結合
材として高炉水砕スラグ(シリカ含有物質)と製鋼スラ
グ(アルカリ刺激剤)を用い、骨材として高炉水砕スラ
グ(主として細骨材)、高炉徐冷スラグ(主として粗骨
材)、製鋼スラグ(特に、好ましくは溶銑脱硫スラグ)
の中から選ばれる1種以上を用いることにより、また少
なくとも細骨材としてそれらスラグの1種以上を用いる
ことにより、水和硬化体の全部若しくは相当部分の原材
料を鉄鋼製造プロセスで副産物として生成したスラグで
賄うことができ、水和硬化体を安価に製造できるととも
に、資源保護や環境破壊の防止の面からも好ましい。ま
た、本発明の水和硬化体は結合材の一部として含まれる
製鋼スラグ中の未反応CaOがカルシウム源となるた
め、石灰資源の有効利用という面からも好ましい水和硬
化体であると言える。
【0071】以下、本発明の水和硬化体の特に好ましい
形態について説明する。本発明の水和硬化体に対して、
特に優れた耐海水性(海水抵抗性:海水により侵食され
にくい性質)、耐塩害性(塩害抵抗性:塩分により侵食
されにくい性質)、耐鉄筋腐食性(水和硬化体中の鉄筋
が腐食しにくい性質)を付与するには、結合材の一部と
して高炉水砕スラグが含まれ、且つ結合材中での高炉水
砕スラグと製鋼スラグの合計の割合が80mass%以上で
あることが好ましい。
【0072】このような結合材の組成により優れた耐海
水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性が得られるのは、以下の
ような理由によるものと考えられる。まず、耐海水性、
耐塩害性については、結合材の相当部分が高炉水砕スラ
グで占められているため水和硬化体を構成する水和物が
緻密化するとともに、アルカリ刺激剤として配合された
製鋼スラグがCa供給源として水和物の緻密化に寄与す
る結果、十分な水密性(耐海水浸透性)が得られるもの
と考えられる。
【0073】また、耐鉄筋腐食性についても、結合材の
相当部分が高炉水砕スラグで占められているため水和硬
化体を構成する水和物が緻密化するとともに、アルカリ
刺激剤として配合された製鋼スラグがCaの供給源とし
て水和物の緻密化に寄与し、この結果、水密性が向上す
るとともに、酸素拡散係数も小さくなるため鉄筋腐食の
原因となる塩素イオン及び酸素の浸透・拡散が適切に抑
えられるものと考えられる。さらに、後述するように高
炉水砕スラグは塩素イオンの固定能力が高いため、鉄筋
腐食の原因となる外来塩素を硬化体表面近傍で水和物が
吸着する機能が高いことも理由の1つに挙げられる。
【0074】また、水密性をさらに高めることによって
耐海水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性をより向上させるに
は、結合材は下記(1)の組成、より好ましくは下記(2)の
組成、特に好ましくは下記(3)の組成とすることが望ま
しい。 (1) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、高炉水砕スラグと製鋼スラグの合
計量:80mass%以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、高炉水砕スラグと製鋼スラグの合
計量:90mass%以上 (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、残部が高炉水砕スラグ
【0075】また、耐海水性、耐塩害性、耐鉄筋腐食性
をより向上させるには、水和硬化体製造時の水結合材比
を小さくすることも有効であり、具体的には水結合材比
を50%以下にすることによって水和硬化体がより緻密
化して水密性が高まり、これらの特性が向上する。
【0076】また、上述したような水和硬化体は、結合
材の相当部分が高炉水砕スラグで占められ、且つアルカ
リ刺激剤として製鋼スラグを含んでいるため、漁礁ブロ
ックや海洋構造物などに適用した場合、水和硬化体周囲
の海水の高pH化が防止できる特徴がある。すなわち、
普通セメント場合には、その生成鉱物である3CaO・
SiO、2CaO・SiOの水和反応によりCa
(OH)が多量に生成し、これが海水中に溶出するこ
とにより海水のpHが上昇する。このような海水のpH
上昇は海中に生息する生物や海藻類にとって好ましいも
のではない。これに対して、上述した本発明の水和硬化
体では、高炉水砕スラグの水和反応によるCa(OH)
の生成はなく、むしろ水和反応により製鋼スラグ中の
Ca(OH)が消費されるので、Ca(OH)が少
ない硬化体となる。このためCa(OH)の海水中へ
の溶出量が少なく、海水のpH上昇が効果的に抑制され
る。
【0077】以上述べたような理由から、結合材の一部
として高炉水砕スラグを含み、且つ結合材中での高炉水
砕スラグと製鋼スラグの合計の割合が80mass%以上で
ある本発明の水和硬化体は、海洋構造物、漁礁ブロッ
ク、藻場造成用ブロックなどのような水中構造物ないし
は構造体、海岸付近などのような飛来塩分の多い地域の
土木構造物、飛来塩分の多い地域の土木構造物や凍結防
止剤を多量に散布する場所に設置される土木構造物など
に特に好適なものであると言える。そして、水密性をよ
り高めることができる上述した(1)〜(3)の組成の結合材
を用いた水和硬化体は、これらの用途においても特に好
適なものである。
【0078】また、上述したように結合材の一部として
高炉水砕スラグを含み、且つ結合材中での高炉水砕スラ
グと製鋼スラグの合計の割合が80mass%以上であるこ
とは、骨材の一部又は全部として塩素を含有する骨材
(例えば、洗浄処理が十分でない海砂)を用いる場合に
おいても特に有効である。
【0079】コンクリートなどの水和硬化体中の骨材に
塩化物が含まれていると、塩素イオンが鉄筋を腐食させ
ることが知られている。従来一般に用いられているセメ
ントについても、フリーデル氏塩やケイ酸カルシウム水
和物などへの取り込み、水和物への吸着などによって塩
素イオンが固定され、塩素イオンによる鉄筋腐食が抑制
されることが知られているが、高炉水砕スラグはAlが
多いためフリーデル氏塩の生成能力が大きく、このため
相当部分が高炉水砕スラグで占められた結合材を用いる
ことにより、セメント以上の塩素イオン固定効果が期待
でき、塩素イオンによる鉄筋腐食を効果的に抑制するこ
とができる。また、このような特性をより向上させるに
も、上述した(1)〜(3)の組成の結合材を含用いた和硬化
体が特に好ましい。
【0080】また、本発明の水和硬化体を海洋構造物、
漁礁ブロック、藻場造成用ブロックなどのような水中構
造物ないしは構造体に適用する場合において、この水和
硬化体に対して特に優れたケイ酸塩イオン溶出性を付与
する場合にも、上述のように製鋼スラグを除く結合材の
一部又は全部を高炉水砕スラグとし、且つ結合材中での
高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計の割合を80mass%
以上とすることが好ましく、また、上述した(1)〜(3)の
組成の結合材を用いることが特に好ましい。
【0081】また、結合材の一部として高炉水砕スラグ
を用いる場合、ケイ酸塩イオンの溶出性を高めるために
は、製鋼スラグを除く結合材中での高炉水砕スラグの割
合は70mass%以上とすることが特に好ましい。また、
同様の理由により、骨材の一部又は全部(或いは細骨材
の全部)として高炉水砕スラグを用いることが好まし
い。また、骨材の一部として高炉水砕スラグを用いる場
合、ケイ酸塩イオン溶出性を高めるためには、骨材中で
の高炉水砕スラグの割合は80mass%以上とすることが
特に好ましい。
【0082】近年、岩礁や人工魚礁などの海藻着生基盤
の表面が石灰藻に覆われる所謂“磯焼け”や、内海、湾
など比較的閉鎖的な海域で生じる赤潮が漁業資源に与え
る被害が深刻化しているが、それらの防止対策の1つと
して、海水中のケイ酸塩イオン濃度を高めることが有効
であることが知られている。すなわち、海水中のケイ酸
塩イオン濃度を高めることにより珪藻類が増殖し、その
結果として石灰藻の増殖が抑制され、同様に珪藻類の繁
殖によって赤潮の原因となるシャットネラなどの鞭毛藻
類の増殖が抑制されるというものである。従来、この原
理を応用して可溶性のケイ素を含有した人工のガラス質
材料を海中に沈め、海中にケイ酸塩イオンを溶出させる
方法が知られている。しかし、この技術で用いられるガ
ラス質材料は人工物であるため高価であり、磯焼けや赤
潮が発生するような広い海域に大量に設置するとなると
膨大な費用がかかる。また、本発明者らが検討したとこ
ろによれば、従来技術で用いられる人工のガラス質材料
は海水などへのケイ酸塩イオンの溶出性が必ずしも十分
ではなく、このためケイ酸塩イオンの供給はその設置場
所近傍に限られてしまい、有効な磯焼け改善効果や赤潮
防止効果が得られないことが判った。
【0083】これに対して本発明者らは、高炉水砕スラ
グやこれを主原料とする硬化体が海水へのケイ酸塩イオ
ンの溶出性などの点で極めて優れた性能を備えているこ
とを確認した。また、高炉水砕スラグは安価で且つ大量
に入手することができるため、広い海域に大量に投入す
ることができるという条件も備えている。さらに、高炉
水砕スラグ及びその水和物から溶出するケイ酸塩イオン
は海底に着生する海藻類の育成にも有効に作用し、高炉
水砕スラグを相当量含有する水和硬化体が海藻着生基盤
としても優れた機能を発揮できることを確認した。ま
た、後述するように高炉水砕スラグの粒子は多孔質組織
で、しかも角張った形状(表面に多数の尖った部分を有
する形状)を有し、比表面積が大きいため、高炉水砕ス
ラグを骨材として含む水和硬化体の表面には海藻類が付
着し易く、しかも後述するように高炉水砕スラグはケイ
酸イオンの溶出性が高いため、コンクリート製漁礁に較
べて海藻類の生育を効果的に促進することができる。
【0084】高炉水砕スラグはSiO成分とCaO成
分とを多量に含むガラス質材料(一般に、SiO:3
0mass%以上、CaO:35mass%以上)であり、この
ため海水中に設置(沈設)された漁礁ブロックや藻場造
成用ブロック中の高炉水砕スラグは、これに含まれるC
aOの溶解により生じたCaイオンのケイ酸塩網目構造
へのアタックによりケイ酸塩網目構造が分断され、この
結果、海水中にケイ酸塩イオンを溶出させる。すなわ
ち、高炉水砕スラグの場合には、水分子によるケイ酸塩
網目構造の切断により徐々にケイ酸塩イオンが海水中に
溶解する作用に加えて、スラグから溶解したCaイオン
によるケイ酸塩網目構造の分断によりケイ酸塩イオンが
海水中に溶解する作用が得られ、したがって、このよう
な高炉水砕スラグのケイ酸塩イオンの溶出機構は、先に
従来技術として挙げた人工のガラス質材料と同様の水分
子によるケイ酸塩イオンの溶出作用と、Caイオンのア
タックによるケイ酸塩イオンの溶出作用とが組み合わさ
れたものとなり、人工のガラスよりもはるかにケイ酸塩
が溶出しやすい。
【0085】さらに、高炉水砕スラグは高温の溶融状態
にある高炉スラグ(溶融スラグ)を噴流水で急冷して得
られるものであるため、その形態や組織において人工の
ガラス質材料には無い以下のような特質がある。すなわ
ち、一般に人工のガラス質材料は組織が緻密であるのに
対し、高炉水砕スラグの場合には、溶融状態にあるスラ
グを噴流水で急冷する過程でスラグ中に溶け込んでいる
窒素や水分などによってスラグが発泡するため、得られ
るスラグ粒子は無数の内部気孔を有する多孔質組織のガ
ラス質材料となり、しかも相当に細かい粒子(通常、D
50が1.0〜2.0mm程度の粒度)となる。また、
同様の理由から高炉水砕スラグの粒子は角張った形状
(表面に多数の尖った部分を有する形状)を有してい
る。したがって、このような形態及び組織面での特質か
ら、高炉水砕スラグは人工のガラス質材料を破砕装置で
破砕して得られたような粒状物に較べて比表面積が格段
に大きく、その分ケイ酸塩イオンが溶出しやすいという
特徴がある。さらに、高炉水砕スラグ粒子表面に多数存
在する尖った部分は微細な形態であるため、微細な粉体
が成分の溶解性が高いのと同様に、ケイ酸塩の溶解に非
常に適している。
【0086】また、上記のような形態上の特徴から、高
炉水砕スラグの集合物は人工のガラス質材料を破砕装置
で破砕して得られたような粒状物の集合物に較べて充填
間隙が大きく、このため通水性に優れた漁礁ブロックや
藻場造成用ブロックを得ることができ、この漁礁ブロッ
クや藻場造成用ブロックはケイ酸塩イオンの溶出性に優
れ且つ溶出したケイ酸塩イオンがブロック外部に拡散し
易いという特徴がある。したがって、結合材中での高炉
水砕スラグの含有量を高め、さらに好ましくは骨材につ
いても高炉水砕スラグを用いることにより、ケイ酸塩イ
オンの溶出性が高い水和硬化体とすることができ、この
水和硬化体を海洋構造物や漁礁ブロック、藻場造成用ブ
ロックなどのような水中構造物なしは構造体に適用した
場合、珪藻類の増殖や海藻類の成育を効果的に促進させ
ることができる。
【0087】上記のように水中に沈設された漁礁ブロッ
クや藻場造成用ブロックは海藻類などの生物の着生基盤
として機能するが、特に、高炉水砕スラグを十分に含ん
だ漁礁ブロックや藻場造成用ブロックは長期間にわたっ
てCaイオンを溶出するため、ブロックの内部や近傍で
は硫酸還元が起こりにくく、硫化水素が少なく溶存酸素
の多い状態となる。この状態は着生する生物にとって棲
息しやすい環境であり、したがって、海中に設置された
高炉水砕スラグを含む漁礁ブロックや藻場造成用ブロッ
クはケイ酸塩イオンの供給源であるとともに、生物の着
生基盤として高い機能を有する。
【0088】また、本発明の水和硬化体をケイ酸塩イオ
ンの供給源や生物の着生基盤としてより有効に機能させ
るためには、硬化体の表面に凹凸を設けることや、硬化
体の表面に極力骨材を露出させるようにすることが好ま
しい。これにより水中植物の根や胞子などが硬化体表面
に付着しやすくなり、また硬化体の表面に小動物等の足
場となるような凹凸や粗さを与えることができ、生物の
着生基盤としての機能が高まるとともに、硬化体の表面
積が増大するためケイ酸塩イオンが溶出しやすくなる。
特に、骨材として高炉水砕スラグを用いた場合に、骨材
を硬化体表面に露出させることによるケイ酸塩イオンの
溶出性がより高まる。
【0089】硬化体表面に凹凸を設けるには、例えば、
内側に凹凸を有する型枠を用いて硬化体ブロックを製造
する方法、硬化体ブロックを複数に破砕し、凹凸を有す
る破砕面を得る方法などが適用でき、また、硬化体表面
に骨材を露出させるには、例えば硬化体ブロックを複数
に切断したり或いは破砕したりする方法、脱型後の硬化
体ブロック表面を例えば高圧水などで洗い出しすること
により硬化体表面の結合材を削り落とす方法などが適用
できる。
【0090】本発明の水和硬化体に用いる結合材の一部
として、石膏、塩化カルシウムや塩化ナトリウムを配合
する場合、以下のような結合材の組成とすることが好ま
しい。すなわち、水和反応を促進させて初期強度特性を
特に高めるために適量の石膏を配合する場合、結合材は
下記(1)の組成、より好ましくは下記(2)の組成、特に好
ましくは下記(3)の組成とすることが望ましい。
【0091】(1) 事前のエージング処理を施さない製鋼
スラグ:5〜10mass%又は事前のエージング処理を施
した製鋼スラグ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass
%、高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計量:80mass%
以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、高炉水砕
スラグと製鋼スラグの合計量:90mass%以上 (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、残部が高
炉水砕スラグ
【0092】また、同様の目的で適量の塩化カルシウム
又は/及び塩化ナトリウムを単独で、或いは石膏ととも
に配合する場合、結合材は下記(1)の組成、より好まし
くは下記(2)の組成、特に好ましくは下記(3)の組成とす
ることが望ましい。なお、この場合は塩化カルシウム又
は/及び塩化ナトリウムを配合するため、塩素濃度の増
加があまり問題とならない用途、特に鉄筋を使用しない
用途に適用するのが好ましい。
【0093】(1) 事前のエージング処理を施さない製鋼
スラグ:5〜10mass%又は事前のエージング処理を施
した製鋼スラグ:5〜15mass%、塩化カルシウム又は
/及び塩化ナトリウム:2〜10mass%、高炉水砕スラ
グと製鋼スラグと塩化カルシウム又は/及び塩化ナトリ
ウムの合計量:90mass%以上 (2) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、塩化カルシウム又は/及び塩化ナ
トリウム:2〜10mass%、残部が高炉水砕スラグ (3) 事前のエージング処理を施さない製鋼スラグ:5〜
10mass%又は事前のエージング処理を施した製鋼スラ
グ:5〜15mass%、石膏:2〜10mass%、塩化カル
シウム又は/及び塩化ナトリウム:2〜10mass%、残
部が高炉水砕スラグ
【0094】本発明の水和硬化体には、上述したような
結合材と骨材以外に、必要に応じて増量材、着色剤(顔
料)等の粉粒物や微粉末を適量配合することができる。
増量材としては、例えば、都市ゴミ焼却灰、土、下水汚
泥焼却灰、汚泥、フライアッシュ、ガラス、金属、樹脂
等が挙げられる。また、その他の配合成分としては、後
述する減水剤や増粘剤等のような混和剤等が挙げられ
る。本発明の水和硬化体は、上述したような結合材及び
骨材、さらに必要に応じて増量材や顔料等の粉粒物や微
粉末を配合したものに、水を加えて混練し、これを水和
硬化させることにより製造されるが、この混錬の際、所
望の性質ないしは性状の水和硬化体を得るために、必要
に応じて各種の混和剤を配合することができる。この混
和剤としては、例えば、減水剤、高性能減水剤、防錆
剤、流動化剤、凝結・硬化時間調節剤、増粘剤、水中不
分離剤、消泡剤、起泡剤、防水剤、防凍剤等が挙げられ
る。
【0095】例えば、水和硬化体を製造する際の混練物
の流動性を一般のコンクリート並に確保するには、混練
物中に減水剤や高性能減水剤(流動化剤)を添加するこ
とが好ましい。この減水剤を添加することにより、少な
い単位水量で混練物に流動性を与えることができる。ま
た、減水剤の添加量が多くなるにしたがってペースト
(結合材と水の混合体)と骨材の付着性が損なわれて材
料分離が生じやすくなり、このような材料分離が生じる
と良好な性状の水和硬化体が得られなくなる。このため
材料分離が生じるおそれがある場合には、適量の増粘剤
又は/及び水中不分離剤を加え、ペーストに適切な粘性
を与えることが好ましい。これにより高流動性で且つ材
料分離を生じない混練物を得ることができる。
【0096】ここで、使用できる減水剤のなかにはAE
減水剤なども含まれ、例えばリグニンスルホン酸塩若し
くはその誘導体を主成分とするもの、オキシ有機酸塩を
主成分とするものなどを用いることができる。また、高
性能減水剤としては、例えばナフタリンスルホン酸ホル
ムアルデヒド高縮合物Na塩(ナフタリン系)などを用
いることができる。また、増粘剤や水中不分離剤として
は、例えば、セルロースエーテル化合物を主成分とする
もの、アクリル化合物を主成分とするものなどを用いる
ことができる。
【0097】なお、本発明の水和硬化体は、従来一般を
用いられているコンクリートの製造・施工法や設備をそ
のまま利用して製造及び施工することができる。また、
水和硬化体中に鉄筋を用いることも何ら問題はない。
【0098】
【実施例】[実施例1]潜在水硬性を有するシリカ含有
物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高炉
水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤としてエージング
処理を行っていない脱硫スラグ粉(0.075mm篩い
下の脱硫スラグ粉)をそれぞれ用い、これらの配合比率
を変えて表1に示す試料1〜9の水硬性組成物を作製し
た。セメントの試験方法であるJIS R 5201に従
い、セメントの代わりに上記試料1〜9を結合材として
使用してモルタル試験体を作製し、その圧縮強度を測定
した。その結果を表1に併せて示す。
【0099】表1によれば、アルカリ刺激剤として脱硫
スラグを2〜30mass%の割合で配合した試料によるモ
ルタル試験体は、高炉水砕微粉末のみからなる試料(N
o.1)によるモルタル試験体に較べて圧縮強度が大幅
に増大している。また特に、脱硫スラグを5〜10mass
%の割合で配合した試料によるモルタル試験体は、圧縮
強度が増大が特に顕著である。しかし、脱硫スラグの配
合量が30mass%を超えた試料によるモルタル試験体
は、材令7日の時点で崩壊し、測定不能であった。
【0100】
【表1】
【0101】[実施例2]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、ポゾラン反応性を有するシリカ
含有物質としてシリカフュームを、アルカリ刺激剤とし
て脱硫スラグ粉(0.075mm篩い下の脱硫スラグ
粉)をそれぞれ用い、脱硫スラグ粉の配合量は10mass
%に固定したまま、高炉水砕スラグ微粉末とシリカフュ
ームの配合比率を変えて表2に示す試料1〜5の水硬性
組成物を作製した。
【0102】セメントの試験方法であるJIS R 52
01に従い、セメントの代わりに上記試料1〜5を結合
材として使用してモルタル試験体を作製し、その圧縮強
度を測定した。その結果を表2に併せて示す。表2によ
れば、シリカ含有物質であるシリカフュームの配合割合
が20mass%以下である試料からなるモルタル試験体
は、適切な強度が得られている。これに対してシリカフ
ュームの配合割合が40mass%を超える試料からなるモ
ルタル試験体は、他に較べて十分な強度が得られていな
い。
【0103】
【表2】
【0104】[実施例3]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤として脱硫スラ
グを表3に示す条件でエージング処理した後、0.07
5mm以下に篩い分けして得られた脱硫スラグ粉(0.
075mm篩い下のもの)をそれぞれ用い、高炉水砕ス
ラグ微粉末:90mass%、脱硫粉スラグ:10mass%の
割合で配合して表3に示す試料1〜13の水硬性組成物
を作製した。なお、比較のためにエージングしない脱硫
スラグも使用し、同様の配合割合で水硬性組成物を作製
した。
【0105】脱硫スラグのエージング処理としては、
脱硫スラグの積み山に散水し、養生シートをかぶせる方
法(湿空養生)、容器に脱硫スラグを入れ、水を満た
して水中養生する方法(水中養生)、脱硫スラグ1ト
ンあたりの蒸気流量50kgで蒸気エージングする方法
(蒸気エージング)、のいずれかを実施し、いずれもエ
ージング処理後に脱硫スラグを乾燥させて粉体を取り出
した。セメントの試験方法であるJIS R 5201に
従い、セメントの代わりに上記試料1〜13を結合材と
して使用してモルタル試験体を作製し、その圧縮強度を
測定した。その結果を表3に併せて示す。
【0106】表3によれば、アルカリ刺激剤として予め
エージング処理した脱硫スラグ粉を用いることにより、
モルタル試験体の強度が効果的に増大していることが判
る。また、常温でエージング処理を行った場合には、特
にエージング処理を7日以上行うことにより強度が顕著
に上昇しており、しかも、エージング処理後の0.07
5mm篩い下の微粉の回収率も高い。
【0107】
【表3】
【0108】[実施例4]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤として脱硫スラ
グを常温で7日間水中エージング処理した後、0.07
5mm以下に篩い分けして得られた脱硫スラグ粉(0.
075mm篩い下のもの)をそれぞれ用い、これらの配
合比率を変えて表4に示す試料1〜9の水硬性組成物を
作製した。セメントの試験方法であるJIS R 520
1に従い、セメントの代わりに上記試料1〜9を結合材
として使用してモルタル試験体を作製し、その圧縮強度
を測定した。その結果を表4に併せて示す。
【0109】表4によれば、アルカリ刺激剤として脱硫
スラグを2〜30mass%の割合で配合した試料(No.
2〜No.9)からなるモルタル試験体は、脱硫スラグ
を含まない試料(No.1)からなるモルタル試験体に
比べて圧縮強度が大幅に増大し、特に脱硫スラグの配合
割合が5〜15mass%である試料からなるモルタル試験
体は、圧縮強度の向上が特に顕著である。また、表1の
エージング処理を行っていない脱硫スラグを用いた場合
と比較すると、同じ原料割合では7日圧縮強度、28日
圧縮強度がいずれも上回っている。
【0110】
【表4】
【0111】[実施例5]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤として転炉スラ
グを蒸気流量50kg/スラグ1tで蒸気エージング処
理した後、0.075mm以下に篩い分けして得られた
脱硫スラグ粉(0.075mm篩い下のもの)をそれぞ
れ用い、これらの配合比率を変えて表5に示す試料1〜
9の水硬性組成物を作製した。
【0112】セメントの試験方法であるJIS R 52
01に従い、セメントの代わりに上記試料1〜9を結合
材として使用してモルタル試験体を作製し、その圧縮強
度を測定した。その結果を表5に併せて示す。表5によ
れば、アルカリ刺激剤として転炉スラグを2〜30mass
%の割合で配合した試料(No.2〜No.9)からな
るモルタル試験体は、転炉スラグを含まない試料(N
o.1)からなるモルタル試験体に比べて圧縮強度が大
幅に増大し、特に転炉スラグの配合割合が5〜15mass
%である試料からなるモルタル試験体は、圧縮強度の向
上が特に顕著である。
【0113】
【表5】
【0114】[実施例6]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤としてエージン
グ処理(水中養生7日間)を行った脱硫スラグ粉(0.
075mm篩い下の脱硫スラグ粉)をそれぞれ用いて結
合材とした。また、細骨材として海砂又は高炉水砕スラ
グを、粗骨材として天然砕石又は高炉徐冷スラグをそれ
ぞれ用いた。これら結合材及び骨材と水とをセメント換
算の結合材量330kg/m、水結合材比50%、細
骨材比50%、単位水量165kg/m、空気量40
L/mで混練し、水和硬化させて試験体(水和硬化
体)を作製した。また、比較例として普通ポルトランド
セメントと上記骨材を用いた試験体(水和硬化体)も作
製した。各試験体の作成の際には、スランプ(JIS
A 1101)が10〜15cmになるように減水剤で
調整した。
【0115】材令7日と材令28日の試験体について、
圧縮強度をJIS A 1108に従って測定した。その
結果を結合材及び骨材の組成とともに表6に示す。表6
によれば、結合材中にアルカリ刺激剤として脱硫スラグ
を2〜30mass%の割合で配合した試験体は、結合材が
高炉水砕スラグ微粉末のみからなる試験体に較べて圧縮
強度が大幅に増大している。また、結合材中に脱硫スラ
グを10〜15mass%の割合で配合した試験体は、圧縮
強度の増大が特に顕著である。一方、結合材中の脱硫ス
ラグの配合量が30mass%を超える試験体(脱硫スラグ
配合量:50mass%、60mass%)は材令28日の時点
で崩壊し、測定不能であった。また、本発明例の試験体
は普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートに比
べ圧縮強度は劣るが、施工性は同等であった。
【0116】
【表6】
【0117】[実施例7]エージング処理(水中養生7
日間)を行った脱硫スラグ粉(2mm篩い下の脱硫スラ
グ粉)をアルカリ刺激剤(結合材)と細骨材の一部とし
て用いた。この脱硫スラグ粉は結合材の粒度を有するス
ラグ粒子と細骨材の粒度を有するスラグ粒子をそれぞれ
約50mass%ずつ含んでいる。結合材である潜在水硬性
を有するシリカ含有物質としては、ブレーン比表面積4
000cm/gの高炉水砕スラグ微粉末を用いた。ま
た、細骨材の残部として海砂又は高炉水砕スラグを、粗
骨材として天然砕石又は高炉徐冷スラグをそれぞれ用い
た。これら結合材及び骨材と水とをセメント換算の結合
材量330kg/m、水結合材比50%、細骨材比5
0%、単位水量165kg/m、空気量40L/m
で混練し、水和硬化させて試験体(水和硬化体)を作製
した。各試験体の作成の際には、スランプ(JIS A
1101)が10〜15cmになるように減水剤で調整
した。
【0118】材令7日と材令28日の試験体について、
圧縮強度をJIS A 1108に従って測定した。その
結果を結合材及び骨材の組成とともに表7に示す。表7
によれば、結合材中にアルカリ刺激剤として脱硫スラグ
を本発明条件を満足するような割合で配合した試験体
は、表6に示す結合材が高炉水砕微粉末のみからなる試
験体に較べて圧縮強度が大幅に増大している。また、結
合材中に脱硫スラグを10〜15mass%の割合で配合し
た試験体は、圧縮強度の増大が特に顕著である。一方、
結合材中の脱硫スラグの配合量が30mass%を超える試
験体(脱硫スラグ配合量:50mass%)は材令28日の
時点で崩壊し、測定不能であった。
【0119】
【表7】
【0120】[実施例8]潜在水硬性を有するシリカ含
有物質としてブレーン比表面積4000cm/gの高
炉水砕スラグ微粉末を、アルカリ刺激剤としてエージン
グ処理(水中養生7日間)を行った脱硫スラグ粉(0.
075mm篩い下の脱硫スラグ粉)をそれぞれ用いて結
合材とした。また、細骨材として海砂又は高炉水砕スラ
グを、粗骨材として天然砕石又は高炉徐冷スラグをそれ
ぞれ用いた。これら結合材及び骨材と水とをセメント換
算の結合材量330kg/m、水結合材比50%、細
骨材比50%、単位水量165kg/m、空気量40
L/mで混練し、水和硬化させて40mm×40mm
×100mmのサイズの角柱形状の試験体(水和硬化
体)を作製した。また、比較例として普通ポルトランド
セメントと上記骨材を用いた試験体(水和硬化体)も作
製した。各試験体の作成の際には、スランプ(JIS
A 1101)が10〜15cmになるように減水剤で
調整した。
【0121】海水pHへの影響を調査するため、各試験
体をその重量の10倍の海水(pH8.16)に浸漬
し、10日後及び30日後における海水pHを測定し
た。その結果を結合材及び骨材の組成とともに表8に示
す。表8によれば、本発明例の試験体を浸漬させた海水
は10日後及び30日後においてもpHはほとんど上昇
していない。なお、一部の実施例においてpHが8.1
5よりも低下しているのは、空気中の二酸化炭素との反
応の影響と考えられる。これに対して、普通ポルトラン
ドセメントを用いた比較例の試験体を浸漬させた海水は
pHが大きく上昇している。
【0122】
【表8】
【0123】[実施例9]エージング処理(水中養生7
日間)を行った脱硫スラグ粉(2mm篩い下の脱硫スラ
グ粉)をアルカリ刺激剤(結合材)と細骨材の一部とし
て用いた。この脱硫スラグ粉は結合材の粒度を有するス
ラグ粒子と細骨材の粒度を有するスラグ粒子をそれぞれ
約50mass%ずつ含んでいる。結合材である潜在水硬性
を有するシリカ含有物質としては、ブレーン比表面積4
000cm/gの高炉水砕スラグ微粉末を用いた。ま
た、細骨材の残部として海砂又は高炉水砕スラグを、粗
骨材として天然砕石又は高炉徐冷スラグをそれぞれ用い
た。これら結合材及び骨材と水とをセメント換算の結合
材量330kg/m、水結合材比50%、細骨材比5
0%、単位水量165kg/m、空気量40L/m
で混練し、水和硬化させて鉄筋入りの試験体(水和硬化
体)を作製した。また、比較例として普通ポルトランド
セメント、高炉水砕スラグ(細骨材)及び高炉徐冷スラ
グ(粗骨材)を用いた鉄筋入りの試験体(水和硬化体)
も作製した。各試験体の作成の際には、スランプ(JI
S A 1101)が10〜15cmになるように減水剤
で調整した。また、鉄筋はかぶり厚を2cmとした。
【0124】硬化した試験体を28日間淡水中で養生し
た後、1年間海中に沈設した。その後、各試験体を解体
して鉄筋を取り出し、鉄筋の腐食の程度を評価した。具
体的には硬化体表面側の側面中央部(2cm×30c
m)の腐食面積を測定し、この側面中央部の面積に対す
る腐食面積率を求めた。その結果を結合材及び骨材の組
成とともに表9に示す。表9によれば、本発明例の試験
体は、結合材中の脱硫スラグの配合量が30mass%を超
える試験体や普通ポルトランドセメントを用いた試験体
に較べて鉄筋腐食面積率が大幅に改善されている。ま
た、結合材中に脱硫スラグを10〜15mass%の割合で
配合した試験体は、耐鉄筋腐性の向上が特に顕著であ
る。
【0125】
【表9】
【0126】[実施例10]以下に示すような本発明例
および比較例の水和硬化体を作製し、これらを藻場造成
用ブロックとして海底に沈設する試験を行った。 (1) 本発明例:エージング処理(水中養生7日間)を行
った脱硫スラグ粉(2mm篩い下の脱硫スラグ粉)をア
ルカリ刺激剤(結合材)と細骨材の一部として用いた。
この脱硫スラグ粉は結合材の粒度を有するスラグ粒子と
細骨材の粒度を有するスラグ粒子をそれぞれ約50mass
%含んでいる。結合材である潜在水硬性を有するシリカ
含有物質としては、ブレーン比表面積4000cm
gの高炉水砕スラグ微粉末を用いた。また、細骨材の残
部として高炉水砕スラグを、粗骨材として高炉徐冷スラ
グをそれぞれ用いた。これら結合材及び骨材と水とをセ
メント換算の結合材量330kg/m、水結合材比5
0%、細骨材比50%、単位水量165kg/m、空
気量40L/mで混練し、これを型枠内に流し込み、
水和硬化させて500mm×500mm×500mmの
サイズのブロックを作製した。
【0127】(2) 比較例:普通ポルトランドセメント、
海砂(細骨材)及び天然砕石(粗骨材)を混練して型枠
に流し込み、500mm×500mm×500mmのサ
イズのコンクリートブロックを作製した。このようにし
て得られた本発明例と比較例の試験体を、天然藻場の海
藻類から胞子が放出される時期を選んで、天然藻場の近
くの水深約3mの海底に沈設し、約1年後の海藻類の着
生、生育状態を調査した。坪刈調査により海藻類の生育
量(ブロック上面の育成量)を調べた結果を結合材及び
骨材の組成とともに表10に示す。これによれば、比較
例の試験体に較べて本発明例の試験体の方が海藻類の生
育性が良好であること判る。
【0128】
【表10】
【0129】[実施例11]エージング処理(水中養生
7日間)を行った脱硫スラグ粉(2mm篩い下の脱硫ス
ラグ粉)をアルカリ刺激剤(結合材)と細骨材の一部と
して用いた。この脱硫スラグ粉は結合材の粒度を有する
スラグ粒子と細骨材の粒度を有するスラグ粒子をそれぞ
れ約50mass%含んでいる。結合材である潜在水硬性を
有するシリカ含有物質としては、ブレーン比表面積40
00cm/gの高炉水砕スラグ微粉末を用いた。ま
た、細骨材の残部として高炉水砕スラグを、粗骨材とし
て高炉徐冷スラグをそれぞれ用いた。これら結合材及び
骨材と水とをセメント換算の結合材量330kg/
、水結合材比50%、細骨材比50%、単位水量1
65kg/m、空気量40L/mで混練し、水和硬
化させて鉄筋入りの試験体(水和硬化体)を作製した。
また、比較例として普通ポルトランドセメント、高炉水
砕スラグ(細骨材)及び高炉徐冷スラグ(粗骨材)を用
いた鉄筋入りの試験体(水和硬化体)も作製した。各試
験体の作成の際には、スランプ(JIS A 1101)
が10〜15cmになるように減水剤で調整した。ま
た、上記本発明例及び比較例の試験体を作製するに際し
ては、塩分を含んだ海砂を骨材として用いた場合を想定
して原材料中に結合材量の約0.2mass%、約1.0ma
ss%に相当する量の塩化ナトリウムを添加した。それ以
外の条件はJIS A 6205附属書2に従い、試験体
内の鉄筋の防錆率を調べる試験を行った。その結果を結
合材及び骨材の組成とともに表11に示す。表11によ
れば、本発明例の試験体は、普通ポルトランドセメント
を用いた試験体に較べて鉄筋の腐食が効果的に抑えられ
ていることが判る。
【0130】
【表11】
【0131】
【発明の効果】以上述べたように本発明の水硬性組成物
は、水和硬化体を得る際の結合材として高度な機能を備
え、しかも製鋼スラグをアルカリ刺激剤として用いるた
め安価に製造することができる。また、高炉スラグ、脱
硫スラグを有効利用できるため、省資源や環境保全に大
いに貢献できる利点もある。また、本発明の水和硬化体
は上記水硬性組成物と同じ組成の結合材を含むものであ
るため、上記と同様の効果が得られる。さらに請求項1
3〜18に係る本発明の水和硬化体は、海洋構造物や漁
礁ブロック、藻場造成用ブロックなどのような水中構造
物ないしは構造体、飛来塩分の多い地域の土木構造物な
どに適用した場合に優れた耐海水性、耐塩害性、耐鉄筋
腐食性を示し、また海水のpH上昇の抑制や海中での珪
藻類の増殖、ブロックに着生する海藻類の生育などの点
で優れた機能を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 18:14) C04B 111:24 111:24 (72)発明者 藪田 和哉 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 高橋 達人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4G012 PA29 PC11 PC13

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 潜在水硬性を有するシリカ含有物質及び
    ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質の中から選ばれ
    る1種以上を60mass%以上含有し、アルカリ刺激剤と
    して製鋼スラグを2〜30mass%含有することを特徴と
    する水硬性組成物。
  2. 【請求項2】 製鋼スラグの一部又は全部が溶銑脱硫ス
    ラグであることを特徴とする請求項1に記載の水硬性組
    成物。
  3. 【請求項3】 製鋼スラグが、地金除去処理後の酸化カ
    ルシウムの含有量が50mass%以上の製鋼スラグである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水硬性組成
    物。
  4. 【請求項4】 製鋼スラグがエージング処理を経た製鋼
    スラグであることを特徴とする請求項1、2又は3に記
    載の水硬性組成物。
  5. 【請求項5】 エージング処理が製鋼スラグを常温にて
    1日以上湿空中又は水中におく処理であることを特徴と
    する請求項4に記載の水硬性組成物。
  6. 【請求項6】 ポゾラン反応性を有するシリカ含有物質
    の含有量が20mass%以下であることを特徴とする請求
    項1、2、3、4又は5に記載の水硬性組成物。
  7. 【請求項7】 潜在水硬性を有するシリカ含有物質の一
    部又は全部として高炉水砕スラグを含むことを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5又は6に記載の水硬性組成
    物。
  8. 【請求項8】 高炉水砕スラグと製鋼スラグを合計で8
    0mass%以上含有することを特徴とする請求項7に記載
    の水硬性組成物。
  9. 【請求項9】 骨材と、結合材として請求項1、2、
    3、4、5、6、7又は8に記載の水硬性組成物を含有
    することを特徴とする水和硬化体。
  10. 【請求項10】 骨材の一部又は全部が製鋼スラグから
    なることを特徴とする請求項9に記載の水和硬化体。
  11. 【請求項11】 製鋼スラグとして、骨材と結合材の両
    方を含む粒度分布を有するスラグを用いることを特徴と
    する請求項10に記載の水和硬化体。
  12. 【請求項12】 製鋼スラグとして、粒径5mm以下が
    85mass%以上、粒径0.075mm未満が10mass%
    以上の粒度分布を有するスラグを用いることを特徴とす
    る請求項11に記載の水和硬化体。
  13. 【請求項13】 結合材の一部として高炉水砕スラグを
    含み、結合材中での高炉水砕スラグと製鋼スラグの合計
    の割合が80mass%以上であり、水結合材比が50%以
    下であることを特徴とする請求項9、10、11又は1
    2に記載の水和硬化体。
  14. 【請求項14】 骨材の一部又は全部が高炉水砕スラグ
    からなることを特徴とする請求項9、10、11、12
    又は13に記載の水和硬化体。
  15. 【請求項15】 高炉水砕スラグとして、骨材と結合材
    の両方を含む粒度分布を有するスラグを用いることを特
    徴とする請求項14に記載の水和硬化体。
  16. 【請求項16】 高炉水砕スラグとして、粒径5mm以
    下が85mass%以上、粒径0.75mm未満が10mass
    %以上の粒度分布を有するスラグを用いることを特徴と
    する請求項15に記載の水和硬化体。
  17. 【請求項17】 骨材の一部又は全部が塩素を含む骨材
    からなることを特徴とする請求項13、14、15又は
    16に記載の水和硬化体。
  18. 【請求項18】 骨材である製鋼スラグの一部又は全部
    が溶銑脱硫スラグであることを特徴とする請求項9、1
    0、11、12、13、14、15、16又は17に記
    載の水和硬化体。
  19. 【請求項19】 骨材である製鋼スラグが、地金除去処
    理後の酸化カルシウムの含有量が50mass%以上の製鋼
    スラグであることを特徴とする請求項9、10、11、
    12、13、14、15、16、17又は18に記載の
    水和硬化体。
  20. 【請求項20】 骨材である製鋼スラグがエージング処
    理を経た製鋼スラグであることを特徴とする請求項9、
    10、11、12、13、14、15、16、17、1
    8又は19に記載の水和硬化体。
  21. 【請求項21】 エージング処理が製鋼スラグを常温に
    て1日以上湿空中又は水中におく処理であることを特徴
    とする請求項20に記載の水和硬化体。
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