JP4397214B2 - スパウト付きパウチ容器 - Google Patents
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このような点に鑑みて、本件出願人は、発泡樹脂層が積層されたスパウト付きパウチ容器を提案している(特開2001−130586公報)。かかるパウチ容器によれば、発泡樹脂層により断熱性を付与できるので非常に好ましいものであるが、更に、異なる手段によって断熱性を有するスパウト付きパウチ容器が望まれている。
上記スパウト付きパウチ容器は、袋本体を構成する積層フィルムに不織布層が設けられているので、断熱効果に優れる。従って、充填物を冷やしたり或いは暖めたりしても、手に充填物の温度が伝わり難く、又、充填物の保冷・保温にも優れている。
図1〜図3に於いて、1は、中間層に不織布層55が設けられ、且つこの不織布層55に対面して空隙層2が設けられた表裏面片5,5と、側面ガゼット部を構成する両側面片6,6とからなる袋本体7に、スパウト8が取り付けられたスパウト付きパウチ容器を示す。かかるスパウト付きパウチ容器1は、充填後に於いて、表裏面片5,5の下方部を折り返して載置用の底面1aが構成される自立型パウチである。
スパウト8は、着脱可能なキャップが取り付けられた注出口と袋本体7への取付部分である被融着部82を備え、その材質は、各種の合成樹脂、アルミニウムなどの金属などで形成することができるが、袋本体7と簡易に取り付けることができることから、少なくとも被融着部82の周面が表裏面片5の内面と熱融着可能なものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂成型品によって形成することができ、良好に熱融着できることから、表裏面片5のシーラント層51と同種の材質のものが好ましい。
シーラント層51は、熱融着可能な素材であれば特に限定されず、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを用いることができる。これらのうち熱融着性に優れる直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。シーラント層51の厚みは、例えば、30〜150μm程度である。基材層52は、比較的強度に優れるものであれば特に限定されず、ナイロンなどのポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン系フィルムなどの合成樹脂製フィルム、合成紙、2種以上の積層体などを用いることができる。これらのうち耐屈曲性に優れる6ナイロン、6,6ナイロンなどのポリアミド系フィルムを用いることが好ましい。基材層52の厚みは、例えば、10〜70μm程度である。バリア層53は、ガスバリア性を有するものであれば特に限定されず、アルミニウムなどの金属箔、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性を有する合成樹脂製フィルム、2種以上の積層体などを用いることができる。これらのうち遮光性をも有することからアルミニウムなどの金属箔を用いることが好ましい。バリア層53の厚みは、例えばアルミ箔の場合に、6〜30μm程度である。尚、充填物によってはガスバリア性が不要な場合もあるので、場合によってバリア層53を省略してもよい。
剥離層54は、例えばバリア層53の外面にシリコーンやポリアミド硝化綿系樹脂コート剤などの剥離剤をグラビア印刷法などで塗工することによって設けられている。かかる剥離層54が設けられた範囲は、ラミネート加工してもバリア層53と不織布層55が非接着となり、この両層53,55の間に空隙層2が形成される。剥離層54を設ける範囲は、特に限定されないが、空隙層2を広面積として断熱効果をより高めるという観点から、出来るだけ広範囲に設けることが好ましい。もっとも、余りに剥離層54を広範囲に設けると不織布層55(外側フィルム層)が不用意に剥がれる虞があり、又、剥離層54をバリア層53の縁部に沿って設けると不織布層55の縁部が捲れるため、剥離層54は、例えば、袋本体7の熱融着部4を除いた範囲に設けられていることが好ましく、更に、充填後に構成される底面1aが空隙層2によって膨らむと自立安定性を低下させる虞があるため、剥離層54は、図示したように、表裏面片5の底面形成部分を除く範囲に設けられていることが好ましい。
さらに、剥離層54の一部は、バリア層53の縁部にまで延びて設けられており、この縁部に於いて空隙層2と外部を連通する通気口3が形成されている。この剥離層延設部54aは、ゴミ付着を確実に防止できるという点から、図示したように、表裏面片5の上端部5d側に延設されていることが好ましい。
尚、側面片6は、剥離層が設けられていない点を除いて、表裏面片5と同様の構成であり、例えば、図3(b)に示すように、内側から順に、シーラント層61(直鎖状低密度ポリエチレン)/基材層62(ナイロン)/バリア層63(酸化ケイ素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム)/不織布層65(熱融着性繊維からなる不織布)/外面層66(ポリエチレンテレフタレート)の各層がラミネート加工された積層フィルムからなる。
図5(a)に示すように、表面片5が上下方向に連続的に繋がった表面フィルム原反シート25と、裏面フィルム原反シート25との間に、側面フィルム原反シート26を折り畳んで挟み込みながら、図5(b)に示す熱融着部4(網掛けで表す)を形成すべく、熱シール装置を用いて表裏面フィルム原反シート25,25の上下から熱板を当てると、各原反シート25,26のシーラント層51,61の内面同士が熱シールされる。これにより図5(b)に示すような、袋本体7が連続的に繋がった袋連続体27が得られる。続いて、この袋連続体27を切断して各袋本体7を作製した後、スパウト8を取り付けてもよいが、袋連続体27をロール状に巻き取り、その後、この袋連続体ロール30を充填ラインに設置されたスパウト取付装置に装着し、袋連続体ロール30から袋連続体27を繰り出しながら、切断予定線X(同図(b)に示す二点鎖線)で切断し、上部開口型の袋本体7を得、表裏面片5,5をバキュームで吸引して上端部5dを開口させ、ここからスパウト8を挿入して、被融着部82を挟み込んだ状態で上端部5dを熱融着することにより、スパウト付きパウチ容器1を得た後、スパウト8の注出口を通じて、充填物を充填し、注出口にキャップを螺合することにより、充填済みスパウト付きパウチ容器を製造することができる。
また、不織布層55に面して、外部と連通する通気口3を有する空隙層2も設けられているので、不織布層55及び空隙層2に充分な空気が入り込み、更に断熱効果が高められる。また、例えば、従来のパウチ容器を用いて充填物を氷らせると、その固形化された充填物の外形が袋本体の外面に反映し、パウチ容器はゴツゴツしたような外観を呈するが、本発明のように表裏面片5の中間層に空隙層2を設けることによって、固形化充填物の形状が映り難く、よって、固形化充填物を入れても自然な滑らかな外観を呈するパウチ容器1を提供できる。
また、この通気口3は、上端部5dに開口しているので、製造時や流通時に於けるゴミ付着を防止できる。すなわち、袋に開口部分を設けるとその縁部に粉塵などが付着し易くなるところ、上記のように通気口3を上端部5dに設けることにより、製造時に於ける袋連続体ロール30の状態で通気口3は未開口であるため、袋連続体ロール30を保管・搬送などする際に粉塵などが付着する虞がない。また、スパウト付きパウチ容器1に充填物を充填した後には、スパウト8が取り付けられた上端部5dは、搬送コンベアや梱包箱などに接触しないので、通気口3に粉塵などが付着し難いという利点がある。尚、通気口3は、スパウト8を熱融着する位置を除き、スパウト8の両側に設けることが好ましい。
さらに、空隙層2を形成する手段が、積層フィルムの中間に剥離層54を設けるものであるため、剥離層54を塗工したフィルムを、公知のラミネート加工によって接着するだけで、所望する空隙層2を形成することができる。すなわち、パウチ容器1を構成する積層フィルムを製造する際、所望範囲に剥離層54を塗布する工程を付加するだけで空隙層2を確保でき、その他は従来と同様の手順でパウチ容器を製造することができるから、既設の製造ラインを利用して本発明のパウチ容器1を製造することができる。
上記各実施形態に於いて、表裏面片5及び両側面片6の何れにも不織布層55が設けられているが、例えば、表裏面片5にのみ不織布層55が設けられたものでもよい。袋本体7の広範囲を占める表裏面片5に、少なくとも不織布層55が積層されていれば、断熱効果を期待できるからである。
また、不織布層55の積層位置は、バリア層53と外面層56の間に限られず、例えば、基材層52とバリア層53の間、シーラント層51と基材層52の間などに設けられていてもよい。もっとも、通気口3が設けられている場合には、通気口3を通じて不織布層55に外気が流出入することから、バリア層53の外側に不織布層55が設けられていることが好ましい。また、不織布層55がシーラント層51と面して積層されていれば、熱融着時の熱により、熱融着部4に於いて不織布層55のフィラメント9がシーラント層51と接着するので、より確実にフィラメント9の毛羽立ちなどを防止できるので好ましい。この場合、不織布層55を構成する熱融着性のフィラメント9は、少なくともその表面がシーラント層51と同じ材質のものが好ましい。
また、スパウト8は、注出口と被融着部82を有するものであれば特に限定されず、例えば、導管81を有しないものや、導管81に代えて断面十字状などの棒状体が設けられたものなど各種公知のものを使用することができる。
Claims (2)
- 積層フィルムを重ね合わせ、その端部を熱融着した熱融着部を形成することによって袋状に形成された袋本体に、スパウトが取り付けられたスパウト付きパウチ容器であって、
前記積層フィルムが、シーラント層と、外面層と、前記シーラント層と外面層の間の不織布層と、を有し、これらがラミネート加工によって積層接着されており、
前記積層フィルムの不織布層が前記熱融着部において溶融していることを特徴とするスパウト付きパウチ容器。 - 前記積層フィルムが、さらに、バリア層を有する請求項1に記載のスパウト付きパウチ容器。
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