JP4392649B2 - アモルファス合金部材及びその製造方法並びにそれを用いた部品 - Google Patents

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本発明は、各種チョークコイル、各種トランス、磁気あるいは電流センサ、電磁シールドなどのノイズ対策部品、インバータトランス、アンテナ等の各種磁性部品、アクチュエータなどの機能部品、光学部品、水素透過膜、各種構造部品などに用いられる膜状のアモルファス合金部材およびその製造方法ならびにそれを用いた部品に関する。
アモルファス合金は優れた軟磁気特性や優れた機械的特性を示すために注目されており、特に軟磁性材料として配電用トランス、電源用磁性部品、磁気ヘッドなどの用途に実用化されている。これらの合金は一般的に単ロール法、アトマイズ法やスパッタ法などの超急冷法を用いて製造される。このため、単ロール法で製造する場合、アモルファス合金は厚さ数μmから数十μmのリボン状となる。たとえばアモルファス合金リボンを磁心に使用する場合は、巻磁心として使用したり、積層して積層磁心として使うあるいは薄いリボン単体で使用する場合が多い。一方、アトマイズ法は粉末形状のアモルファス合金粉末しか製造できず、これを使用する場合はバインダーを混ぜてプレスし圧粉磁心として使用したり、樹脂と混ぜて使用する。また、場合によっては温度があまり上昇しない放電プラズマ焼結法などを用い固化させて使用する。典型的なアモルファス合金は、FeSiB系合金やCoFeSiB系合金等の金属−半金属系合金、CoNbZrなどの金属−金属系合金等が知られている。
磁性材料として高周波の部品に応用する場合は、渦電流損失を低減するために、板厚(膜厚)は薄い方が望ましい。しかしながら、部品として機能を発揮するためにはある程度断面積は大きくする必要がある。
単ロール法などにより作製したアモルファス合金リボンは15μmから30μm程度の板厚のリボンが製造しやすく、可飽和コアなどの電源用部品に巻磁心として使用されている。しかし、より高周波で使用する場合、部品の小型化、集積化や高性能化が必要となり、合金リボンを用いた巻磁心のような形態では部品化への対応が難しく、膜形態で使用した方が複雑形状の部品の場合にはパターン化が容易などの利点も有している。
アモルファス合金膜形成の一般的な方法としては蒸着法やスパッタ法が知られており、薄膜磁気ヘッドや薄膜インダクタに使用されている。しかし、これらの方法は膜形成速度が小さく、しかも2μm以上の厚膜になると膜が剥がれやすい問題があり、アモルファス合金厚膜の製造には適していない。
近年、エアロゾルデポジション法(AD法)が開発され、圧電材料等のセラミックスの高速コーティングによる厚膜の作製が検討されおり、特許文献1〜4や非特許文献1等に記載されている。セラミックス微粒子を、エアロゾル化チャンバー内でガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、基板に噴射し、セラミックス厚膜を基板上に製造する。この成膜方法は高速に比較的低温でセラミックスの厚膜を形成することができるが、結晶性の良いセラミックスの厚膜を製造のまま、あるいは基板との反応や基板ダメージが小さい比較的低い実用的な温度において熱処理を行い形成することが困難であり、結晶性の良い実用性のある厚膜形成の努力が続けられている。
特開平2−16379号公報 特開平6−57413号公報 特開2000―328223号公報 特開2001−156351号公報 まてりあ第41巻第7号(2002)p459〜p466
スパッタや蒸着などの方法による厚膜製造は一般に膜形成速度が低い上に、2μm以上の厚膜になると膜が剥がれやすくなる問題があり、厚膜の実用化には問題がある。スパッタや蒸着法によりアモルファス合金厚膜を製造する場合、アモルファス化するために膜の温度上昇を抑える必要があり、特に金属以外の熱伝導率が小さい基板上にスパッタや蒸着などの方法により膜形成速度を大きくして密着性及び特性が良好なアモルファス合金厚膜を形成することは困難である。
また、従来から知られている単ロール法などのアモルファス合金の製造方法により製造されたアモルファス合金リボンにおいて、通常量産できる板厚は12μmから35μm程度であり、板厚が10μmを切るような場合、形状的な制約、加工時のリボン破断など量産時の生産性の点で前述のように部品化する場合多くの課題がある。複雑形状の厚膜を使用する部品へ適用する場合には効率良く部品を製造することが困難である。特に、リボン板厚が15μm以下のアモルファス合金リボンの場合は、リボン製造が困難であり、板厚が薄いために合金リボンを巻いたり、切断するなどの加工が難しくなる問題点を有している。
高周波用磁性部品の部材としてアモルファス合金を使用する場合、渦電流損失の低減のため板厚を薄くした方が良いが、一方で膜厚が2μmを切るようなスパッタ法などで比較的製造が容易な薄膜形態では断面積が十分でなく、適応できる部品が大幅に制限される。特にパワーエレクトロニクス関係の部品に使用する場合、高周波用途においても2μm以上の膜厚の要求がある。すでに、高周波用として薄膜化による渦電流損失の低減や高抵抗グラニュラー薄膜などが検討されているが、高抵抗グラニュラー薄膜の場合は磁性材料の体積を増加するのに限界があり、高エネルギーを扱うパルスパワーや比較的容量の大きいインバータやスイッチング電源に使用されている可飽和コア、トランス、チョークコイルなどの磁心材料として使用するのは困難である。
また、磁性部品以外の用途においても、表面を硬化させるなどの表面処理、高精度・高強度が要求されるマイクロマシンなどの構造部品の用途があり、高硬度で高強度のアモルファス合金部材が求められているが、従来のリボン状のアモルファスリボンでは高精度に加工することが困難な上に他の部材との複合化が難しい問題がある。
このような課題を克服する方策として、本発明者らは、アモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を作製し、これを基板上に成膜可能な高速衝突させることにより、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ平均膜厚が2〜20μmである厚膜状のアモルファス合金部材を高速に製造でき、しかも製造したアモルファス合金厚膜は、圧電セラミックス厚膜のように結晶性を改善し特性を発現するために800゜C以上というような高温で熱処理する必要がなく、550゜C以下場合によっては400゜C以下という比較的低い温度で十分特性を発揮可能であり、選定する基板の自由度が高く各種基板を使用可能であることを見出した。
本発明は、アモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を基板上に成膜可能な高速衝突させ形成してなる膜状の合金部材であって、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ平均膜厚が2〜20μmであることを特徴とするアモルファス合金部材である。本発明において、アモルファス相が体積分率で50%以上存在する合金をアモルファス合金と呼ぶ。
本発明において、一部に酸化物、窒化物、フッ化物から選ばれた少なくとも一つの相が存在した場合、150μΩcmを超える高電気抵抗率のアモルファス合金部材の実現が可能となり、高周波用部品の部材に特に適したアモルファス合金部材が得られる。このような合金部材は粉末製造の際や、熱処理の際の雰囲気ガスを酸素、窒素、フッ素などを含むガスとしたり、アモルファス合金微粒子を基板上に衝突させる際の雰囲気ガスを酸素、窒素、フッ素などを含むガスとすることや、アモルファス合金微粒子表面に化学的、物理的に酸化物、窒化物、フッ化物相をコーティングした微粒子を使用することにより製造される。
特に、一般式:M100−x−yM′(原子%(at%))で表され、式中、MはFe,Co,Niから選ばれた少なくとも一種の元素、M′はAl、Zn,Cu,Mn,Cr,V,Ti,Sc,Ag,白金属元素,Mo,Nb,Zr,Y,希土類元素,Au,Re,Hf,Ta,In,Sn,O,S,N,As,Se,Te,Sb,BiおよびWから選ばれた少なくとも一種の元素、XはSi、C、P、Ge、Be、GaおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、xおよびyはそれぞれ0≦x≦20、0≦y≦35、5≦x + y≦35を満足する組成である場合、磁性材料として優れた特性を有するアモルファス合金部材が実現可能である。
ここで、MはFe,Co,Niから選ばれた少なくとも一種の元素であり、磁性材料として必要な元素である。M′はAl、Zn,Cu,Mn,Cr,V,Ti,Sc,Ag,白金属元素,Mo,Nb,Zr,Y,希土類元素,Au,Re,Hf,Ta,In,Sn,O,S,N,As,Se,Te,Sb,BiおよびWから選ばれた少なくとも一種の元素であり、耐食性の向上、磁歪の調整、耐熱性向上、保磁力の調整、アモルファス形成を容易とするなどに効果的な元素である。M′の含有量xは、0≦x≦20である必要がある。この理由はxが20を超えると飽和磁束密度の低下を招いたり、製造が困難になるためである。XはSi、C、P、Ge、Be、GaおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素であり、アモルファス相の形成を助ける効果、磁歪やキュリー温度を調整する効果がある。Xの含有量yは0≦y≦35である必要がある。またM′とXの総和x+yは、5≦x + y≦35である必要がある。x + yが5at%未満ではアモルファス相形成が困難となり、x+yが35at%を超えると飽和磁束密度が著しく低下するためである。
合金部材中のアモルファス相のガラス遷移温度Tgが結晶化温度Tx未満の温度である場合、特にアモルファス形成能が高く、アモルファス合金微粒子の製造およびアモルファス合金厚膜製造が容易なだけでなく、厚膜形成の際に過冷却液体状態を経由して成膜可能であり、膜の緻密化も図れる。また、Tg以上に加熱し過冷却液体状態とすることにより、厚膜表面を種々のパターン形状に精密加工が可能である。
もう一つの本発明は、アモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を搬送ガスにより基板上に衝突させ、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ厚さが2〜20μmである合金厚膜を基板上に形成することを特徴とするアモルファス合金部材の製造方法である。本製造方法により、上述したアモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を基板上に成膜可能な高速衝突させ形成してなる膜状の合金部材であって、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ平均膜厚が2〜20μmである品質の良好なアモルファス合金部材を生産性良く製造可能である。
平均粒径1μm以下である合金微粒子を用いて製造した場合、表面平滑性の良いアモルファス合金厚膜からなるアモルファス合金部材を製造できるため好ましい。
また、反応性ガス中で熱処理し合金微粒子表面に酸化物、窒化物、フッ化物から選ばれた少なくとも一つの相を形成した合金微粒子を用いた場合、高電気抵抗率のアモルファス合金部材を製造することが可能であり、高周波用磁性合金部材として優れた特性を発揮する。
本発明に係わるアモルファス合金微粒子は、水アトマイズ法やガスアトマイズ法により作製したアモルファス合金粉末あるいはこれらの粉末を粉砕や分級したアモルファス合金微粒子、液体急冷法により作製したアモルファスリボンを粉砕及び分級したアモルファス合金微粒子、アモルファス合金を水素化して微粉細したアモルファス合金微粒子、DCプラズマや高周波プラズマを用いて作製したアモルファス合金微粒子等である。
アモルファス合金微粒子は結晶相を含まない方が望ましいが体積分率で50%未満の結晶相を含んでも良い。
また合金微粒子製造の際、ガスなどを導入することにより合金微粒子表面に酸化物、窒化物、フッ化物などの層を形成することができる。
熱処理は必要に応じてアモルファス合金微粒子あるいは厚膜化した合金部材に適用する。熱処理は、通常はアルゴンガス、窒素ガス、ヘリウム等の不活性ガス中で行なうが、表面に酸化物、窒化物、フッ化物などの層を形成する場合は大気中、酸素含有ガス、アンモニアガス、フッ素ガス中等で行っても良い。また、磁性部品の製造の場合は磁界中で熱処理しても良い。溶液中で処理することにより微粒子表面に酸化物、窒化物、フッ化物を形成しても良い。
前記アモルファス合金微粒子を、エアロゾル化チャンバー内でガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、基板に噴射し、本発明アモルファス合金部材を製造する。この際、ノズル−基板間にマスクを配置して合金部材のパターン化も行うことができる。成膜中の基板は必要に応じて冷却あるいは加熱しても良い。基板としてはセラミックス、樹脂、ガラス、金属などが使用できる。使用するガスは微粒子を酸化させたり窒化させる場合や特に酸化や窒化を問題としない場合は空気や窒素ガスを使用しても良い。反応をできる限り避けたい場合はArガス、Heガスなどの不活性ガスあるいはその混合ガスを選択して用いる。
以上のようなプロセスにより、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ平均膜厚が2〜20μmである厚膜からなるアモルファス合金部材を生産性良く製造可能である。しかも、マスクなどを配置することにより、パターニングも可能であり、複雑なパターンが必要な低背型部品への対応も容易である。
もうひとつの本発明は、前記アモルファス合金部材から構成されている部品である。アモルファス厚膜であること、厚膜であっても基板から剥離しにくいこと、パターンニングができ複雑形状の部品も容易に作製可能であることなどから、磁性部品として高性能な各種チョークコイル、各種トランス、磁気あるいは電流センサ、電磁シールドなどのノイズ対策部品、インバータトランス、アンテナ等用途、アクチュエータなどの高性能機能部品、転写性の良い高性能光学部品や基板と共に使用する各種構造部品などを実現できる。また金型表面、刃物表面に前記アモルファス合金からなる厚膜を形成するとにより、耐摩耗性に優れた部品も実現できる。
本発明によれば、各種チョークコイル、各種トランス、磁気あるいは電流センサ、電磁シールドなどのノイズ対策部品、インバータトランス、アンテナ等の各種磁性部品、アクチュエータなどの機能部品、光学部品、水素透過膜、各種構造部品などに用いられるアモルファス合金厚膜からなるアモルファス合金部材および厚膜製造速度が速く密着性が良く高性能なアモルファス合金部材の製造方法ならびにアモルファス合金部材を用いた高性能部品を実現できるためその効果は著しいものがある。
以下本発明を実施例にしたがって説明するが本発明はこれらに限定されるものではない。
水素ガスとArガスの混合ガス中でCoNbZr合金をアーク溶解し、発生した微粒子を捕集した。合金微粒子の平均粒径は45nmであった。組成分析の結果合金微粒子の組成はCobal.Nb7Zr5(原子%)であった。X線回折を行った結果、図1に示すように合金微粒子はアモルファス特有のハローパターンを示しており、アモルファス合金微粒子であることが確認された。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、結晶格子はほとんど観察されず、微粒子内部はアモルファス相がほとんどを占めていることが確認された。次に、このアモルファス合金微粒子をエアロゾル化チャンバー内でArガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、マスクを介して基板に噴射し、リング状のホトセラム基板上に外径13mm、内径10mm、厚さ5μmの厚膜からなる合金部材を製造した。作製した磁心を窒素ガス雰囲気の熱処理炉に挿入し、図2に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。基板を取り除いた熱処理後のアモルファス合金部材のX線回折パターンを図3に示す。図3に示すように合金部材はアモルファス特有のハローパターンを示しておりアモルファス単相であることが確認された。また、透過電子顕微鏡観察の結果、図4に示すようにアモルファス単相であることが確認された。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、結晶格子はほとんど観察されず、ほとんどがアモルファス相であることが確認された。次に熱処理後の合金部材の磁気特性を測定した。飽和磁束密度1.2T、保磁力56.8A/m、1MHzにおける品質係数Q=16.2の優れた特性が得られた。
水アトマイズ法により平均粒径1μmのFebal.Ni37.3Mo3.2Si11.212.1合金粉末を作製した。次にこの粉末を400゜Cで1時間熱処理し脆化させた後、ミルにより粉砕・分級し1μmアンダーの合金微粒子を得た。X線回折の結果、アモルファス合金特有なハローパターンであり、結晶ピークは認められなかった。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、結晶格子はほとんど観察されず、ほぼアモルファス相単相であることが確認された。次に、このアモルファス合金微粒子をエアロゾル化チャンバー内でArガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、マスクを介して基板に噴射し、リング状のSi基板上に外径13mm、内径10mm、厚さ8μmの厚膜からなる合金部材を製造した。作製した磁心を窒素ガス雰囲気の熱処理炉に挿入し、図2に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。保持温度は400℃1時間とした。熱処理後の合金部材のX線回折を行った結果、アモルファス合金特有なハローパターンを示す。熱処理後の合金部材の磁気特性を測定した。飽和磁束密度0.80T、保磁力82.3 A/mの特性が得られた。また、基板からの剥離は認められなかった。
ガスアトマイズ法により平均粒径35μmの合金粉末を得た。次にこの粉末を350゜Cで1時間熱処理し脆化させた後、ミルにより粉砕・分級し1μmアンダーの合金微粒子を得た。次にArガスと水素ガスを混合したガスを導入した高周波熱プラズマ装置のプラズマ発生部にこの合金微粒子を通過させ、溶融させ球状の表1に示す組成の合金微粒子を得た。X線回折の結果、アモルファス合金特有なハローパターンが認められた。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、線分法で見積もった結晶相の体積分率が50%未満であることが確認された。このアモルファス合金微粒子をエアロゾル化チャンバー内でArガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、マスクを介して基板に噴射し、リング状のSi基板上に外径13mm、内径10mm、厚さ8μmの厚膜からなる合金部材を製造した。作製した磁心を窒素ガス雰囲気の熱処理炉に挿入し、図2に示す熱処理パタ−ンで熱処理を行った。保持温度は350℃とした。作製した厚膜の基板からの剥離は認められなかった。熱処理後の合金部材に5ターンの巻線を施しインダクタを作製した。次にこのインダクタの1MHzにおける特性を測定した。本発明インダクタ部品は高周波において高いQとインダクタンスが得られた。一方、表1の比較例に示すスパッタ法により作製した同一厚さの膜は、基板から一部が剥離した。
Figure 0004392649
ガスアトマイズ法により平均粒径35μmの合金粉末を得た。次にこの粉末を350゜Cで1時間熱処理し脆化させた後、ミルにより粉砕・分級し1μmアンダーの合金微粒子を得た。次にArガスと水素ガスを混合したガスを導入した高周波熱プラズマ装置のプラズマ発生部にこの合金微粒子を通過させ、溶融させ球状の表2に示す組成の合金微粒子を得た。X線回折の結果、アモルファス合金特有なハローパターンが認められた。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、線分法で見積もった結晶相の体積分率が50%未満であることが確認された。また、アモルファス合金微粒子表面に酸化物層、窒化物層、フッ化物層を形成するため、酸素ガス、窒素ガスやフッ素ガスを装置に導入し微粒子表面に酸化物層、窒化物層、フッ化物層を形成した。合金微粒子の断面を透過電子顕微鏡により観察および表面分析した結果、厚さ6nmから30nmの酸化物層、窒化物層、フッ化物層が形成していることが確認された。このアモルファス合金微粒子をエアロゾル化チャンバー内でHeガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、マスクを介して基板に噴射し、リング状のガラス基板上に、厚さ18μmの厚膜からなる合金部材を製造した。作製した厚膜の基板からの剥離は認められなかった。作製した厚膜のX線回折の結果、アモルファス合金特有なハローパターンが認められた。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、線分法で見積もった結晶相の体積分率が50%未満であることが確認された。次にこの厚膜の電気抵抗率を4探針法で測定した。得られた結果を表2に示す。また比較のために、酸素ガス、窒素ガスやフッ素ガスを装置に導入しない場合の電気抵抗率も示す。合金微粒子表面に酸化物層、窒化物層、フッ化物層を形成した方が高い電気抵抗率を示すことが確認された。また、溶液処理により合金微粒子表面に酸化物層、窒化物層、フッ化物層を形成しても作製したアモルファス合金部材の電気抵抗率が高くなることが確認された。
Figure 0004392649
ガスアトマイズ法により平均粒径35μmの表3に示す合金粉末を得た。次にこの粉末を350℃で1時間熱処理した後、ミルにより粉砕・分級し1μmアンダーの合金微粒子を得た。次にArガスと水素ガスを混合したガスを導入した高周波熱プラズマ装置のプラズマ発生部にこの合金微粒子を通過させ、溶融させ球状の表3に示す組成の合金微粒子を得た。X線回折を行った結果、図1に示すように合金微粒子はアモルファス特有のハローパターンを示しており、アモルファス合金微粒子であることが確認された。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、結晶格子はほとんど観察されず、微粒子内部はアモルファス相がほとんどを占めていることが確認された。次に、このアモルファス合金微粒子をエアロゾル化チャンバー内でArガスと攪拌・混合してエアロゾル化し、成膜チャンバーとの圧力差によるガスの流れにより成膜チャンバーに搬送し、スリット状のノズルを通して加速、マスクを介して基板に噴射し、ガラス基板に厚さ20μmの厚膜からなる合金部材を製造した。得られた厚膜についてX線回折を行った結果、アモルファス特有のハローパターンを示しており、アモルファス合金膜であることが確認された。また、透過電子顕微鏡による観察の結果、結晶格子はほとんど観察されず、厚膜内部はアモルファス相がほとんどを占めていることが確認された。次に、このアモルファス膜の熱分析を行い、ガラス遷移温度Tgと結晶化開始温度Txを測定し△Tx=Tx−Tgを求めた。得られた結果を表3に示す。ガラス遷移温度Tgが観測され、△Txも大きい金属ガラス厚膜が形成されていることが確認された。次に各試料をTg直上に昇温し、金属型を押しつけた。本発明アモルファス合金部材はきれいに型の転写可能であり、精密な形状の形成が可能であるためMEMSなどの小型部品に適していることが確認された。
Figure 0004392649
本発明に係わるアモルファス合金微粒子のX線回折パターンの一例を示した図である。 本発明に係わるアモルファス合金部材の熱処理パタ−ンの一例を示した図である。 本発明に係わるアモルファス合金部材のX線回折パターンの一例を示した図である。 本発明に係わるアモルファス合金部材の透過電子顕微鏡により観察したミクロ組織の一例を示した図である。

Claims (7)

  1. アモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を基板上に成膜可能な高速衝突させ形成してなる膜状の合金部材であって、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ平均膜厚が2〜20μmであることを特徴とするアモルファス合金部材。
  2. 一部に酸化物、窒化物、フッ化物から選ばれた少なくとも一つの相が存在し、150μΩcmを超える電気抵抗率であることを特徴とする請求項1に記載のアモルファス合金部材。
  3. 一般式:M100−x−yM′で表され、式中、MはFe,Co,Niから選ばれた少なくとも一種の元素、M′はAl、Zn,Cu,Mn,Cr,V,Ti,Sc,Ag,白金属元素,Mo,Nb,Zr,Y,希土類元素,Au,Re,Hf,Ta,In,Sn,O,S,N,As,Se,Te,Sb,BiおよびWから選ばれた少なくとも一種の元素、XはSi、C、P、Ge、Be、GaおよびBから選ばれた少なくとも1種の元素を示し、xおよびyはそれぞれ0≦x≦20、0≦y≦35、5≦x+y≦35を満足する組成であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアモルファス合金部材。
  4. 合金部材中のアモルファス相のガラス遷移温度Tgが結晶化温度Tx未満の温度であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアモルファス合金部材。
  5. アモルファス相が体積分率で50%以上存在する平均粒径1μm以下のアモルファス合金微粒子を搬送ガスにより基板上に衝突させ、アモルファス相が体積分率で50%以上存在し、かつ厚さが2〜20μmである合金厚膜を基板上に形成することを特徴とするアモルファス合金部材の製造方法。
  6. 前記アモルファス合金微粒子を反応性ガス中あるいは溶液中で処理し、合金微粒子表面に酸化物、窒化物、フッ化物から選ばれた少なくとも一つの相を形成した合金粉末を用いることを特徴とする請求項5に記載のアモルファス合金部材の製造方法。
  7. 請求項1〜4の何れか1項に記載のアモルファス合金部材から構成されていることを特徴とする部品。
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