JP4390185B2 - イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体の製造方法 - Google Patents
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(1)ガーネット相への化学変化
AlNがY2O3、Al2O3の両者と反応し、液相を生成し、液相焼結に寄与する。次いで、AlNは酸素と反応してAl2O3とN2とを生成し、N2は雰囲気中に飛散する。生成したAl2O3は、ガーネットのマトリックス中の余剰Y2O3と反応してイットリウム・アルミニウム・ガーネットを生成する。
(2)化学変化し、化学的安定相として残留
AlON(γ相)を生成する。AlON(γ相)は、化学的に安定である。しかもAlON(γ相)は立方晶であり、光学的に等方的であるので、イットリウム・アルミニウム・ガーネットの透光性を損なうことなく、イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体の高い透光性を維持できる。
(1)イットリウム源化合物とアルミニウム源化合物とを混合し、仮焼してイットリウム・アルミニウム・ガーネットの仮焼体を生成させる。次いで仮焼体を粉砕して粉末とし、これに窒化アルミニウム粉末を添加し、混合し、焼成する。
(2)イットリウム源化合物、アルミニウム源化合物、窒化アルミニウム粉末を混合し、焼成する。
YOF+Al2O3→Y3Al5O12+AlF3(気相)
Y2O3粉末(「BB」(信越化学株式会社製))とAl2O3粉末(「UA−5100」(昭和電工株式会社製))とを混合し、混合粉末を1500℃で加熱し、イットリウム・アルミニウム・ガーネットからなる仮焼体を得る。この仮焼体を粉砕して粉末を得、AlN粉末(「Fグレード」トクヤマ製)を外配で0.5重量%添加し、非水系溶媒とバインダーとを添加し、48時間樹脂ポット中でボールミル混合する。Y2O3粉末、Al2O3粉末およびAlN粉末において、(Y/Al)(mol比)が0.600となるようにする。得られた混合物をゲルキャスト法で成形し、500〜600℃で脱脂し、非酸化性雰囲気中で1850℃で3時間焼成する。
参考例1と同様にして焼結体を製造する。ただし、焼結助剤はSiO2とし、添加量は外配で0.1重量%とする。Y2O3粉末とAl2O3粉末との混合比率は、ガーネット組成に対応する化学量論比とする。
Y2O3粉末とAl2O3粉末とを混合し、混合粉末を加熱し、イットリウム・アルミニウム・ガーネットからなる仮焼体を得る。Y2O3粉末とAl2O3粉末との混合比率は、ガーネット組成に対応する化学量論比とする。この仮焼体を粉砕して粉末を得、AlN粉末を添加し、非水系溶媒とバインダーとを添加し、ボールミル混合する。得られた混合物を成形し、500〜600℃で脱脂し、非酸化性雰囲気中で焼成する。得られた焼結体中には窒化アルミニウム相は確認されず、AlONが確認された。
Y2O3粉末(「BB」(信越化学株式会社製))とAl2O3粉末(「UA−5100」(昭和電工株式会社製))とを混合し、混合粉末を1500℃で加熱し、イットリウム・アルミニウム・ガーネットからなる仮焼体を得る。この仮焼体を粉砕して粉末を得、AlN粉末(「Fグレード」トクヤマ製)を外配で0.5重量%添加し、非水系溶媒とバインダーとを添加し、48時間樹脂ポット中でボールミル混合する。Y2O3粉末、Al2O3粉末およびAlN粉末において、(Y/Al)(mol比)が0.600となるようにする。得られた混合物をゲルキャスト法で成形し、1100℃で1時間脱脂した。
実施例1と同様にして焼結体を作製した。ただし、焼成工程においては最高温度1850℃で2時間焼成し、焼成時雰囲気は水素70%/窒素30%雰囲気とした。そして、焼成時雰囲気の露点を、表2に示すように変更した。各試料について、実施例1と同様にして直線透過率を測定し、測定結果を表2に示す。この結果、焼成時雰囲気の露点を−10℃以上、+10℃以下とすることによって、得られる焼結体の直線透過率が著しく向上した。
実施例1と同様にして焼結体を作製した。ただし、脱脂工程においては、脱脂温度を、表3に示すように変更した。各脱脂温度での保持時間は1時間とした。焼成工程においては最高温度1850℃で2時間焼成し、焼成時雰囲気は水素70%/窒素30%雰囲気とし、焼成時雰囲気の露点を−3℃とした。各試料について、実施例1と同様にして直線透過率を測定し、測定結果を表3に示す。
即ち、直径φ13mm×厚さ2mmの脱脂後ペレットを厚さ5mmのゴム板上に落下させ、破損した高さをL(cm)とする。そして以下の基準に従って判断する。
判断: 0≦L<2:×、 2≦L<5:△、 5≦L<7:○、 7≦L:◎
Claims (9)
- イットリウム源化合物およびアルミニウム源化合物からイットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体を製造するのに際して、窒化アルミニウムを焼結助剤として使用し、焼成時雰囲気が、窒素を10%以上、60%以下含有する還元性雰囲気であることを特徴とする、イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体の製造方法。
- 前記イットリウム源化合物がイットリアであり、前記アルミニウム源化合物がアルミナであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記イットリウム源化合物および前記アルミニウム源化合物におけるイットリウムとアルミニウムとのmol比率(Y/Al)が0.59〜0.62であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- 前記イットリウム源化合物、前記アルミニウム源化合物および窒化アルミニウムにおけるイットリウムとアルミニウムとのmol比率(Y/Al)が0.59〜0.62であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- 前記イットリウム源化合物および前記アルミニウム源化合物におけるイットリウムとアルミニウムとのmol比率(Y/Al)が0.61〜0.63であり、前記イットリウム源化合物、前記アルミニウム源化合物および窒化アルミニウムにおけるイットリウムとアルミニウムとのmol比率(Y/Al)が0.59〜0.62であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
- 前記イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体中に窒化アルミニウムが実質的に存在していないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記イットリウム・アルミニウム・ガーネット焼結体中にAlON相が存在することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 焼成時雰囲気の露点が−10℃以上、+10℃以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記イットリウム源化合物、前記アルミニウム源化合物および窒化アルミニウムを含有する成形体を800℃以上、1300℃以下で脱脂して脱脂体を得る脱脂工程、および
前記脱脂体を焼成する焼成工程を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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