JP3700176B2 - 透光性セラミックス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は多結晶アルミナ等から成る透光性セラミックス及びその製造方法に関し、特にメタルハライドランプ等の高輝度放電灯の発光管となり得る透光性セラミックス及びその製造方法に関する。
背景技術
建物内の照明装置の光源や、OHP及びカラー液晶プロジェクターの光源としてメタルハライドランプ等の高輝度放電灯(HID)が注目されている。この高輝度放電灯は、透光性の発光管内にScI3等の金属ハロゲン化物を封入し、発光管内に臨む電極間に高電圧を印加することでアーク放電を発生させ、このアーク放電による熱で封入した金属ハロゲン化物を蒸発させ、金属とハロゲンとに解離し、金属特有の色を呈する発光を行なわせるようにしたものである。
従来より上記の発光管には一般に石英(SiO2)が用いられていたが、石英は耐食性に劣り且つ耐熱衝撃の点でも不十分であるので、透光性アルミナ(多結晶アルミナ)を発光管材料として用いた高輝度放電灯が提案されている。多結晶アルミナ等を発光管材料として用いるには、機械的な強度及び直線透過性(インライン透過率)にも優れていることが必要になる。
そこで、従来にあっては高純度アルミナに少量のMgOを粒成長抑制剤として添加して焼結することで、均一な組織の多結晶アルミナを得るようにした方法(米国特許第3,026,210号公報)、或いはMgOの他にLa23及びY23を添加して粒界相をつくり、更にアルミナ結晶粒子の粒径を揃え、インライン透過率を高めるようにした方法(特公昭57−37554号公報)が提案されている。
また、直線透光性と発光管の形状の自由度を高めるため、鋳込み成形にて得られた成形体を、H2雰囲気、1700℃以上で焼結させる方法が特開昭59−138047号公報、特開昭59−184450号公報及び特公昭3−69859号公報に開示されている。これらの方法にあっては、泥漿鋳込み成形によって例えば両端が小径で、胴部が大径の発光管を得ると共に、H2雰囲気で焼結を行い、内部に気泡が存在しない透光性に優れた発光管を得るようにしている。
しかしながら、高純度アルミナにMgOを添加する方法にあっては、MgOがAl23と固溶し、Al23の結晶構造と異なる組織がAl23結晶粒界に生成(侵入型固溶)し、化学量論的なずれ、即ち不定比幅を持つため、酸素欠陥が生じてこれが黒体吸収の原因となる。特にこの傾向は真空高温下(高輝度放電灯の使用状態)で顕著となる。
一方、MgOの他にLa23及びY23を添加する方法にあっては、高温(1700℃以上)で異常粒成長が促進され易く、所望の透光性は得られたとしても耐熱衝撃性及び機械的強度の点で極めて劣った製品となる。
更に添加されたMgOはAl23に比べて標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が小さく、熱力学的な安定性が低い。このためこれを発光管として用いた場合、発光管内部に封入した発光物質、特にSc(スカンジウム)等とAl23粒界に存在するMgOとの間に反応が生じ、腐食する懸念がある。
また、粒径を大きくして内部散乱を減少させる手段では透光性を向上させるに限界があり、一方、表面を研磨して表面粗さ(Ra)を小さくすれば透光性が向上するのであるが、加工に耐える強度の透光性セラミックスは得られていない。
また逆に、発光管を高純度アルミナにて形成しても、Mg、Ca、Si、Fe、Cr、Ni等の不純物をある程度含んでしまう。
そして、Mg(MgO)の場合には次のような反応が起こり発光物質(ScI3)が消失してしまう。
3MgAl24(スピネル)+2ScI3→2AlScO3+2Al23+3MgI2
Al23+ScI3→AlScO3+AlI3
Mg等の不純物を極力少なくした発光管とすれば、高輝度放電灯の寿命を延すことができる。しかし微細なMg等の不純物を物理的に除去するのは困難である。そこでこれらを化学的に除去する方法としてキレート剤を用いる方法が特開昭63−230550号公報に開示されている。
特開昭63−230550号公報に開示される方法は、粘土鉱物中に含まれる硫化鉱物をキレート剤と反応させて分離するようにしたものである。
しかしながら、上述したキレート剤を用いる方法を利用して、粉末セラミックス原料中の不純物を除去して発光管を製造しても、結果的には短時間のうちに発光物質が消失する不利を十分に解消するに至っていない。
発明の開示
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は直線透過率、機械的強度、耐熱衝撃性並びに耐食性に優れた透光性セラミックス及びその製造方法を提供することある。
特に本発明は、透光性セラミックスの透光性等を高める為の要素として、(a)内部に気泡がないこと、(b)表面粗さ(Ra)が小さいこと、(c)異常粒成長がないこと、(d)耐食性等を高める要素として標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が負に大きな材料を用いること、に着目して達成されたものである。
よって、本発明に従う透光性セラミックスは、それぞれが標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が負で且つその絶対値が1581.9KJ/molよりも大である複数種の酸化物から構成され、高温、高ガス圧下で熱間水圧処理することによって得るようにする。更に、上記透光性セラミックスは、上記酸化物の一種であるAl23の粒子間に該Al23と異なる少なくとも1種以上の上記酸化物の粒子が介在する複合体であり、上記Al23の最大粒子の長軸は30μm以下、短軸は20μm以下で、上記介在する酸化物の最大粒子の長軸は10μm以下、短軸は5μm以下であることが好ましい。また、上記透光性セラミックスは、主成分としてAl23を含むと共に、副成分として、La23、Ta23、Ho23、Y23、Yb23、Dy23、Sc23、Ce23、Er23、Lu23、Sm23、Tm23から成る部類中から選択された酸化物を含むことから成ることが好ましい。一方、上記透光性セラミックスの製造方法としては、高純度アルミナ粉末に対し、酸化物粒子を塩及び酸化物の内の少なくとも一方の形態で0.01〜18wt%添加してセラミックス成形体を形成し、該セラミックス成形体に対して真空、空気、N2、Ar、H2及び水蒸気の内の少なくとも1つの雰囲気中で1350〜1800℃の範囲の一次焼結温度で0.5時間以上保持して一次焼結処理を施し、次いでこの一次焼結体に対して高温、高ガス圧下で熱間静水圧処理を施すことから成る。
また本発明は、調整前の透光性セラミックス原料中の不純物をいくら除去しても、完成された該透光性セラミックスを高輝度放電灯の発光管として利用した場合、発光管内の発光物質が消失する主たる原因が、成形中に新たに混入する不純物によると云う知見に基づいて達成されたものでもある。
よって、本発明に従う透光性セラミックスは、それぞれが標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が負で且つのその絶対値が1581.9KJ/molよりも大である複数種の酸化物から構成され、焼結処理に先立ってのキレート剤処理と、高温且つ高ガス圧下での熱間水圧処理とが少なくとも施されることによって得るようにする。更に、上記透光性セラミックスは、Al23を主体とする共に、該Al23のAlの一部をScにて置換した(Al,Sc)23粒子間にLa23の粒子が介在する複合体から構成されことが好ましい。一方、上記透光性セラミックスの製造方法は、粉末セラミックス原料をバインダー、解膠剤等とともに混合して所定形状の成形体を形成する成形工程と、次いで該成形体を仮焼した後、該仮焼体にキレート剤を含浸せしめて上記仮焼体中の不純物金属イオンを上記キレート剤に結合せしめ、次いで上記仮焼体中に含浸している上記キレート剤を洗浄によって除去するキレート剤処理工程と、該仮焼体を焼結して焼結体となす焼結工程とを少なくとも含むことから成る。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の第1実施例に係る、熱間静水圧処理(HIP処理)が一部に組み込まれたLa23/Al23系の透光性セラミックスの製造方法を示すブロック図であり、
図2は上記熱間静水圧処理に用いる装置の概略断面図であり、
図3は上記熱間静水圧処理の処理パターンの一例を示すグラフであり、
図4は上記熱間静水圧処理の条件(温度及び圧力)と不具合発生との関係を示すグラフであり、
図5(A1)、(A2)及び(A3)は図1に示された上記第1実施例に係る製造方法によって得られた透光性セラミックス(本発明品)の組織構造を示す顕微鏡写真であり、
図6(B1)、(B2)及び(B3)は従来製造方法によって得られた透光性セラミックス(従来品)の組織構造を示す顕微鏡写真であり、
図7は図5及び図6にそれぞれ示された透光性セラミックスの粒径分布を示すグラフであり、
図8は図5及び図6にそれぞれ示された透光性セラミックスにおけるAl23の結晶粒子径と、直線透過率、曲げ強度及び耐熱衝撃性との関係を示すグラフであり、
図9は上記第1実施例に係る製造方法によって得られた透光性セラミックスの組織構造の模式図であり、
図10は上記第1実施例に係る製造方法によって得られた透光性セラミックスの表面粗さと透光性との関係を示すグラフであり、
図11は本発明品と従来品とを全透過率(拡散透過率)において比較したグラフであり、
図12は本発明品と従来品との直線透過率を大気中1500℃の熱処理前後で比較したグラフである。
図13は本発明の第2実施例に係る透光性セラミックスの製造方法を示すブロック図であり、
図14は本発明の第3実施例に係る透光性セラミックスの製造方法を示すブロック図であり、
図15は上記第2実施例に係る製造方法によって得られた透光性セラミックス(本発明品)と従来品(組成:MgO−Al23)との直線透過率を比較したグラフである。
発明を実施するための最良の形態
以下に本発明の好適実施例に係る透光性セラミックス及びその製造方法を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明の第1実施例に係る透光性セラミックス及びその製造方法は、セラミックスの透光性を高める為の要素として、(a)内部に気泡がないこと、(b)表面粗さ(Ra)が小さいこと、(c)異常粒成長がないこと、(d)耐食性を高める要素として標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が負に大きな材料を用いること、に着目して達成されたものである。
即ち、以下に詳述する本実施例に係る透光性セラミックスは、Al23と、それぞれが標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)で−1581.9KJ/mol以上の負の値をもつ少なくとも一種以上の酸化物とで構成され、高温、高ガス圧下で熱間静水圧処理(HIP)することで得られており、Al23粒子間に例えばLa23、Sc23、Ta23、Ho23等の酸化物粒子が少なくとも一種以上介在した複合体とし、Al23の最大粒子の長軸は30μm以下、短軸は20μm以下で、介在する酸化物に最大粒子の長軸は10μm以下、短軸は5μm以下であるようにした。
ここで、Al23の最大粒子の長軸が30μmを越えるか、短軸が20μmを越えるか、介在する酸化物の最大粒子の長軸が10μmを越えるか、短軸が5μmを越えるかすると、強度的に不十分となり研磨加工等に耐えることが出来なくなる。
また、本実施例での透光性セラミックスの製造方法は、基本的には高純度アルミナ粉末に対し、0.01〜18wt%のLa23等を塩若しくは酸化物の形態で添加して未焼結のセラミックス成形体を形成し、真空、大気、N2、Ar、H2又は水蒸気の何れかの雰囲気中でこのセラミックス成形体を1350〜1800℃で0.5時間以上保持して一次焼結処理し、次いでこの一次焼結体に対し高温、高ガス圧下で熱間静水圧処理(HIP)を施すようにしたことから成る。
ここで、La23等の添加割合を0.01wt%未満とすると、異常粒成長が認められ、18wt%を越えると透光性が著しく低下する。
また、真空、大気、N2、Ar、H2又は水蒸気の雰囲気で行うのは緻密化を完了させるためである。
また、一次焼結の温度を1350〜1800℃としたのは、1350℃未満では焼結が不十分であり、1800℃を越えるとLa23等がAl23に固溶し黒体吸収の不利が生じるからである。
更に0.5時間以上としたのは0.5時間未満であると均一な焼結組織を得難いからである。
上記の熱間静水圧処理の条件としては、温度が1300〜1800℃、雰囲気がAr、N2、H2又はO2、圧力が500〜1200atmの範囲を選定するのが好ましい。
ここで、熱間静水圧処理の温度を1300〜1800℃としたのは、1300℃未満では充分な透光性が発現せず、1800℃を越えるとLa23等がAl23に固溶し黒体吸収の不利が生じるからである。
また、圧力を500〜1200atmとしたのは、500atm未満では充分な透光性が発現せず、1200atmを越えるとクラックが発生するからである。
HIP処理することで、セラミックス内部の気泡をなくすことが出来、また、La23等の添加した酸化物を固溶させずにLa23等の粒子がAl23粒子間に介在する複合体とすることで、異常粒成長を抑制して粒子の大きさが揃ったセラミックス焼結体が得られ、更にセラミックス焼結体を構成する粒子が比較的小さいので、耐熱衝撃性と機械的強度を高めることが出来、従ってラップ加工等によって表面粗さ(Ra)を高めることで透光性を向上出来る。
また標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)が−1581.9KJ/mol以上の負の値をもつ酸化物(MgOは△Gf°=−569.4KJ/mol)により構成されているため、熱力学的に安定であり、発光物質特にSc等との反応性が低いため耐食性を高めることが出来る。
これまで、MgOを添加した透光性アルミナセラミックスにあっては、Al23粒界に存在するMgOと発光物質、特にSc等との反応により、粒界部が侵食され透光性のみならず機械的強度の劣化を招いている。
本実施例では、透光性セラミックスが標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)で−1581.9KJ/mol以上の負の値をもつ酸化物、即ちAl23以上の熱力学的安定性をもつ酸化物で構成されているため、MgO(△Gf°=−569.4KJ/mol)の場合と異なり、発光物質、特にScとの反応によるAl23粒界の侵食は殆ど生じない。
標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)で−1581.9KJ/mol以上、即ちAl23以上の負の値をもつ酸化物としては、La23(−1706KJ/mol)、Ta23(−1911KJ/mol)、Ho23(−1791KJ/mol)Y23(−1727KJ/mol)、Yb23(−1727KJ/mol)、Dy23(−1772KJ/mol)、Sc23(−1819KJ/mol)、Ce23(−1706KJ/mol)、Er23(−1809KJ/mol)、Lu23(−1789KJ/mol)、Sm23(−1735KJ/mol)、Tm23(−1795KJ/mol)等を用いることが出来る。
以下に本実施例としての、La23をAl23粒子間に介在させて複合化したLa23/Al23系の透光性セラミックスを添付図面に基づいて説明する。
ここで、図1は本実施例に係る熱間静水圧処理を一部に組込んだLa23/Al23系の透光性セラミックスの製造工程を示すブロック図であり、本実施例にあっては、先ずAl23原料、La23原料、純水、バインダー及び分散剤を湿式混合分散し、次いで真空脱泡した後、鋳込み成形し、この後乾燥及び一次焼結をなし、それからHIP処理を行うようにしている。
尚、鋳込み成形の代りに図1に示すように押出し成形或いは射出ブロー成形を行うようにしてもよい。また、射出ブロー成形の場合には混合工程において純水を添加せずに行い、成形後に脱脂処理してから一次焼結を行う。
上記Al23の出発原料としては、AACH(アンモニウム・アルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド)を母塩とする4N(4ナイン)以上の純度で、0.05〜1.0μmの粒径分布の原料を用い、La23の出発原料としては、3N以上の純度で、0.1〜2.0μmの粒径分布の原料を用いる。
また、バインダーとしてはメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリルエマルジョン、糖アルコール等が挙げられ、分散剤としてはポリカルボン酸やポリアクリル酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
そして、上記のLa23原料を0.01〜18wt%(Al2399.8〜82wt%)の範囲で添加し、この混合体(粉体)に対して上記バインダー及び分散剤を0.2〜1%、純水を20〜100%の範囲で加え、ボールミル中で10時間以上湿式混合してスラリーを得る。
以上のようにして調製したスラリーに必要に応じて消泡剤を加えて真空下で脱泡した後、石膏型、多孔質樹脂型或いは多孔質セラミックス型等を用いて鋳込み成形を行い、未焼結のセラミックス成形体を得る。
ここで本実施例における未焼結のセラミックス成形体としては、高輝度放電灯の発光管の形態を呈している。鋳込み成形によれば必要に応じて種々の形状、例えば端部封止部の径が中央部の径の1/2以下でしかも境界部がスムーズに連続した形状の発光管を成形できる。このような形状とすると、金属蒸気のリークを防止でき且つクラックの発生もない発光効率の高い発光管を得ることが出来る。
尚、成形体中にCa成分の混入が考えられるので、鋳込み成形に引き続いて仮焼工程及び温水(酸)での洗浄工程を入れ、Ca成分の除去を行うようにしてもよい。
そして、未焼結のセラミックス成形体としての発光管を乾燥せしめた後に一次焼結する。一次焼結の条件としては、真空、空気、N2、Ar、H2又は水蒸気の雰囲気中で、1350〜1800℃、0.5時間以上とし、98%以上の嵩密度を有するようにする。
この後、一次焼結体をHIP処理する。図2が当該HIP処理に用いるHIP装置であり、このHIP装置は圧力容器1の外側に水冷用のジャケット2を設け、圧力容器1の上下を上蓋3、下蓋4で閉塞し、下蓋4上に被処理物である一次焼結体5をセットする坩堝6を配置し、坩堝6を囲むように断熱層7を容器1内に設け、断熱層7の内側にヒータ8を配置し、更に下蓋4を貫通するパイプ9,10にて圧力容器1内を真空ポンプ11及びコンプレッサ12につなげている。
そして、一次焼結体としての発光管5を坩堝6内に入れ、この上から発光管と同じ材料からなるビーズ13を充填し、ビーズ13で発光管5を覆った状態で坩堝6を圧力容器1の内部空間にセットし、HIP処理する。このように発光管と同じ材料からなるビーズ13を充填した状態で焼結することで、焼結を充分に完結させることが出来る。
また、上記ビーズ13、坩堝6は発光管5と同じ材料、若しくは、該発光管の主成分と同じ材料(例えば、Al23)、若しくは粒成長抑制剤、例えばMgO等からなるものを用いることができる。この場合、発光管の材料と違う粒成長抑制剤を利用した場合、発光管表面に粒成長抑制剤が不純物として存在する可能性があるが、この不純物は、表面のみであるので、後加工により簡単に除去できる。通常の条件であれば、坩堝を粒成長抑制剤によって構成しても粒成長の抑制には全く関与しないが、1350℃以上の高温でしかも500atm以上の高圧下においては、坩堝6を粒成長抑制剤によって構成することによって雰囲気内に坩堝6を構成する元素が存在するためアルミナ焼結体での表面境面部分での粒成長が抑制されると考えられる。
次にHIP処理の条件の一例を図3で示すと、室温から1580℃までは200℃/hの昇温速度で行い、1580℃で6時間保持し、一方昇温と並行して内部圧を高め1000気圧で6時間程度保持する。尚、雰囲気ガスとしてはN2、Ar、H2、O2のうちの一種以上を用いる。
ここで、図4は上記のHIP処理の条件の好適な範囲を示すグラフであり、このグラフからも明らかなように、温度については1300℃未満では充分な透光性が発現せず、1800℃を越えるとLa23がAl23に固溶し、黒体吸収の不利が生じる。一方圧力については、500atm未満では充分な透光性が発現せず、1200atmを越えるとクラックが発生する。従って、HIP処理の温度は1300℃以上1800℃以下、圧力は500atm以上1200atm以下であることが好ましい。
図5(A1)、(A2)、(A3)は上述した諸条件で得られた本発明に係る透光性セラミックスの組織構造を示す顕微鏡写真、図6(B1)、(B2)、(B3)は従来の透光性セラミックスの組織構造を示す顕微鏡写真であり、以下にこれらの生成条件の詳細を示す。
(A1)……La23 0.5wt%添加 1580℃、1000atm(本発明品)
(A2)……La23 0.5wt%添加 1800℃、1000atm(本発明品)
(A3)……La23 0.06wt%添加 1580℃、1000atm(本発明品)
(B1)……La23 無添加 1350℃、1000atm(従来品)
(B2)……MgO 0.05wt%添加 1800℃、 水蒸気流下 (従来品)
(B3)……La23 無添加 1800℃、1000atm(従来品)
上記の(A1)〜(A3)及び(B1)〜(B3)は図7に示すように、Al23の平均結晶粒子径の小さなものから順に並べたものであり、図8はそれぞれの直線透過率、曲げ強度、耐熱衝撃性を示すグラフである。
これらのグラフから、従来品(B1)はAl23の平均結晶粒子径が小さくしかも分布曲線がシャープである。このことは図8から分かるように曲げ強度と耐熱衝撃性には満足できるが、直線透過率の点で充分とは言えない。
また、従来品(B2)及び(B3)はAl23の平均結晶粒子径が大きいため直線透過率は優れているが、分布曲線の裾野が広く異常粒成長の割合が多い。そして、その結果として曲げ強度と耐熱衝撃性の点において劣っている。
一方、本発明(A1)、(A2)及び(A3)の組織構造は図9に示すように、Al23とLa23とが固溶したものではなく、Al23粒子間にLa23粒子が介在した複合体となっており、La23粒子がAl23粒子の成長を抑制すると共に、種々の応力に伴うクラックの進展に対してこれを吸収抑制できる構造となっている。
そして、この複合体においてLa23粒子の大きさはAl23粒子の大きさの1/3〜1/30で、Al23の最大粒子の長軸は30μm以下、短軸は20μm以下で、La23の最大粒子の長軸は10μm以下、短軸は5μm以下となっており、更にAl23粒子及びLa23粒子とも結晶の平均粒径に対して3倍以上の異常粒成長粒子が実質的に含まれておらず、分布曲線がシャープである。
その結果、図8に示すように本発明品(A1)、(A2)及び(A3)については何れも600nm波長での直線透過率が4%以上で、しかも曲げ強度と耐熱衝撃性に優れたものとなっている。
図10は鋳込み成形によって形成された本発明品の優れた平均表面粗さ(Ra)(0.09μm)を持つ内面に対して、外表面を研磨(ラップ研磨)した時の平均表面粗さと透明性との関係を示すグラフであり、本発明品にあっては上述したように強度的に研磨に充分耐えることができるので、発光管の外表面の平均表面粗さを0.1μm以下とすることができる。
一方、従来の製法にて得られた製品は、平均表面粗さ(Ra)は2.7μm程度であり、強度的に充分とは言えないのでこの表面を研磨しても研磨時にクラックが発生してしまうので、透光性の点で劣ることが明らかである。
特に押出し成形ではAl23粒子が結晶学的に等方でないため、クラックの発生方向に一定の規則性がある。
図11は本発明品と従来品とを全透過率(拡散透過率)において比較したグラフであり、全透過率においても本発明は従来品に比べて優れていることが分かる。
また、図12は本発明品と従来品との直線透過率を大気中1500℃の熱処理前後で比較したグラフであり、本発明品は耐熱性においても従来品に比べ優れていることが分かる。
以上の説明や図4乃至図11のサンプルに対する試験結果から分かるように、本発明に係る透光性セラミックスの製造方法によれば、高純度アルミナ粉末に対し0.01〜18wt%のLa23等を塩若しくは酸化物の形態で添加することで、La23等を粒成長抑制剤として有効に作用させることができる。
また本発明に係る製造方法によれば、上記の高純度アルミナ混合粉末に対して所定の条件で一次焼結処理し、次いでこの一次焼結体に対し所定の高温、高ガス圧下で熱間静水圧処理を施すようにしたので、Al23の粒径を抑制でき(図5の(A1)と(A2)とはLa23の添加量は同じでHIP条件が異なる)、広い範囲で透光性や強度等の特性が期待できる。
更に本発明によれば、透光性セラミックスを構成するAl23粒子間にLa23等の粒子が介在した複合体とし、且つAl23の最大粒子の長軸は30μm以下、短軸は20μm以下で、La23等の最大粒子の長軸は10μm以下、短軸は5μm以下となっているので、例えば厚み0.75mmのチューブ状とした場合には、600nmの可視光に対して4%以上のインライン透過率(直線透過率)、75%以上の全透過率が得られ(測定機器は日立製作所製:ダブルビーム分光光度計U−2000、U−4000)、更に対熱衝撃性及び機械的強度も従来のものに比べ大幅に向上していた。
更に、本発明に係る透光性セラミックスは強度的に優れているので、ラップ研磨に充分に耐えることができ、従って平均表面粗さを極めて小さくし、表面散乱を減少させることで透光性を大幅に向上させることができる。
また、透光性セラミックスが標準生成ギブスエネルギー(△Gf°)で−1581.9KJ/mol以上の負の値をもつ酸化物、即ちAl23以上の熱力学的安定性をもつ酸化物で構成されているため、MgO(△Gf°=−569.4KJ/mol)の場合と異なり、発光物質、特にScとの反応によるAl23粒界の侵食は殆ど生じないため、耐食性を高めることができる。
尚、上述の第1実施例での未焼結のセラミックス成形体を一次焼結するに際しては、例えば1350℃の焼結温度まで温度を上げてそのまま焼結が完了するまで保持するようなヒートカーブで焼結することになる。しかしながら、焼結がゆっくり進むので、成形体が反ってしまったり、ヒータ素材等からベーパーしていたSiO2が成形体表面から内部に混入して焼結体内に取り込まれ、発光管の劣化を引き起こす可能性が考えられる。
よってこの問題を回避するためには、一次焼結に際しての未焼結のセラミックス成形体を上記焼結温度としての保持温度より高い温度まで一旦昇温し(例えば、1350℃→1400℃)、成形体の表面の焼結が済んだら(例えば5分程度)、逆に保持温度(1350℃)まで下げてそこで焼結を進めるようにする。この場合、成形体表面の焼結が済んでいるので、成形体の形態を保ったまま(内部的な)焼結を進めることができ、反りが起きず、また上記のベーパーしているSiO2がそうした表面に付着したとしても成形体内部に混入することができず、その付着物は後工程で簡単に除去できる。
次に本発明の第2実施例に係る透光性セラミックス及びその製造方法を添付図面に基づいて説明する。この第2実施例に係る透光性セラミックス及びその製造方法が、上述の第1実施例に係る透光性セラミックス及びその製造方法と大きく異なる点は、その製造工程において、セラミックス成形体中に混入されたCa,Mg等の不純物金属イオンを除去する目的でのキレート剤処理を追加したことと、該キレート剤処理の後或いはHIP処理の後に成形体からSiを除去する目的でのフッ酸処理を追加したことである。
本発明者等はキレート剤を用いて原料中の不純物を除去しても、完成された透光性セラミックスを高輝度放電灯の発光管として利用した場合に、発光管内の発光物質が消失する主たる原因が、成形中に新たに混入する不純物によると云う知見を得た。即ち、いくら原料を高純度のものとしても、その後に行なう成形等の工程において不純物が混入することを完全になくすことはできないと云うことを発見した。そこで、本実施例では、所定形状に成形したセラミックス成形体を仮焼した後、該仮焼体にキレート剤を含浸せしめて仮焼体中の不純物金属イオンをキレート剤に結合せしめ、次いで、仮焼体中に含浸しているキレート剤を洗浄によって除去した後、仮焼体を焼結するようにした。特にこの洗浄を超音波洗浄とすることで、仮焼体内部にまで含浸したキレート剤を不純物金属と共に有効に除去でき、また、キレート剤による処理の後に、或いは焼結後にフッ酸処理を行なうことでSiが有効に除去でき、また、キレート剤はEDTAとし、pHは8〜10とすることでCa及びMgの除去を主として行なうと共に耐食性向上等に有効なLa等を残すことができる。
また、本実施例に係る発光管は、Al23の一部をScにて置換したAl,Sc)23を主体とすると共に、実質的にCa、Mg並びにSiが含まれず、厚さ1mm当りに換算した波長600nmの光線の直線透過率が40%以上、強度が235(MPa)以上、耐熱衝撃が150(△T℃)以上、熱伝導率が0.08(cal/cm・℃)以上、軟化点が1200(℃)以上である。
以上のように、本焼結工程後では気孔が閉塞されるので内部までキレート剤を含浸させたり、含浸させたキレート剤を不純物と共に除去することができないが、仮焼体であれば気孔が連続しているので内部までキレート剤を含浸させ、更に不純物であるMgやSi等の金属イオンと結合したキレート剤を内部から除去することができる。しかも仮焼体は粉末原料の段階よりも最終段階に近いため、この仮焼体段階から該仮焼体へ不純物が混入する機会は極めて少ない。
図13は本第2実施例に係る透光性セラミックスの製造方法を示すブロック図であり、本実施例にあっては、先ず粉末セラミックス原料としてのAl23原料、Sc23原料並びにLa23原料を、純水、バインダー、解膠剤及び分散剤等と湿式混合分散し、真空脱泡した後、鋳込み成形して乾燥させて未焼結のセラミックス成形体を得て、次いでこれの仮焼を行う。
尚、鋳込み成形の代りに図に示すように押出し成形或いは射出ブロー成形を行うようにしてもよい。また、射出ブロー成形を行う場合には純水を添加せずに行うので乾燥は不要でその代わり脱脂を行う。
そして仮焼を行った後、成形体にキレート剤処理を行って成形体中の不純物金属イオン、例えばCaやMgをキレート剤に結合せしめ、次いで仮焼体中に含浸しているキレート剤即ち不純物金属イオンを取り込んだキレート剤を純水を用いた超音波洗浄等によって仮焼体外に除去した後、仮焼体を一次焼成し更にHIP処理して透光性セラミックスからなる発光管を得る。
ここで、上記Al23の出発原料としては、AACH(アンモニウム・アルミニウム・カーボネイト・ハイドロオキサイド)を母塩とする4N(4ナイン)以上の純度で、0.05〜1.0μmの粒径分布の原料を用い、Sc23の出発原料としては、3N以上の純度で、0.5〜10μmの粒径分布の原料を用い、また、La23の出発原料としては、3N以上の純度で、0.1〜2.0μmの粒径分布の原料を用いる。
また、バインダーとしてはメチルセルロース、ポリビニルアルコール、アクリルエマルジョン、糖アルコール等が挙げられ、分散剤としてはポリカルボン酸やポリアクリル酸のアンモニウム塩等が挙げられる。
そして、石膏型、多孔質樹脂型或いは多孔質セラミックス型等を用いて鋳込み成形を行う場合には、上記のSc23原料を0.005〜15wt%、La23原料を0.01〜18wt%の範囲で添加し、この混合体(粉体)に対して上記バインダー及び分散剤を0.2〜1%、純水を20〜100%の範囲で加え、ボールミル中で10時間以上湿式混合してスラリーを得る。
仮焼の条件は600〜1200℃とし、気孔率が20〜50%程度になるようにする。本実施例にあっては気孔率が重要な要素となり、気孔率が大きすぎると仮焼体の強度不足となりハンドリングが困難となり、気孔率が小さすぎると後工程でキレート剤が仮焼体内に含浸せず、キレート剤による処理ができなくなる。
キレート剤を仮焼体に含浸せしめるには、仮焼体をキレート剤の水溶液中に浸漬させ、仮焼体内の気泡を真空ポンプにより1時間以上除去することで行う。
また、キレート剤としてはEDTA、DPTA、EDDA、EDDPを用い、キレート剤の濃度は除去しようとする不純物の全モル数の2倍以上のモル数を含む溶液とすることが好ましい。
更に、キレート剤(EDTA)水溶液のpHについては8〜10とすることが好ましい。このようなpH値で処理することで、金属イオンとの結合に選択性が生じ、CaやMg等がキレート剤と結合して除去され、出発原料として添加したLa及びScは残る。
その結果、発光管の構造が、La23の粒子がAl23のAlの一部をScにて置換した(Al,Sc)23粒子間に介在する複合体となり、La23が異常粒成長を抑制して粒子の大きさが揃ったセラミックス焼結体が得られ、更にセラミックス焼結体を構成する粒子が比較的小さいので、耐熱衝撃性と機械的強度を高めることがでる。またSc23を導入することにより、Sc等の発光物質とAl23との反応は進行せず、更にLa23の標準生成ギブスエネルギ(ΔGf°)は−1706.0KJ/molでAl23の標準生成ギブスエネルギ(−1581.9KJ/mol)よりも大きな負の値をもつので、熱力学的に安定であり、Sc等の発光物質との反応性が低いため耐食性を高めることができる。
以上の如くして不純物金属イオンを取り込んだキレート剤を純水に用いた超音波洗浄等によって仮焼体の外に濃度差を利用して除去した後に乾燥させ、この後に一次焼結する。一次焼結の条件としては、真空、空気、N2、Ar、H2または水蒸気の雰囲気中で、1350〜1800℃、0.5時間以上とし、98%以上の嵩密度を有するようにする。
この後、一次焼結体をHIP処理する。HIP処理の条件としては、温度は1300℃以上1800℃以下、圧力は500atm以上1200atm以下であることが好ましい。具体的には室温から1580℃までは200℃/hの昇温速度で行い、1580℃で6時間保持し、一方昇温と並行して内部圧を高め1,000気圧で6時間程度保持する。尚、雰囲気ガスとしてはAr、N2、H2、O2のうちの一種以上を用いる。
図14は上述の第2実施例に係る透光性セラミックスの製造方法に一部変更を加えた本発明の第3実施例に係る透光性セラミックスの製造方法を示すブロック図であり、この実施例にあってはキレート剤処理の洗浄工程の後、或いはHIP処理の後にフッ酸(HF)処理を行うようにしている。
即ち、上記したキレート剤処理により、CaやMgは当初の1/10以下まで減少させることができるが、Siについてはキレート処理はそれほど有効ではない。そして、Si(SiO2)の場合には次のような反応が起こり発光物質(S
cI3)が消失してしまう。
3SiO2+4ScI3→2Sc23+3SiI4
したがって、洗浄工程の後、またはHIP処理の後にフッ酸(HF)処理を行ってSiの除去を行うようにしている。尚、フッ酸(HF)処理をキレート剤処理の前に行うことも考えられるが、この場合にはフッ酸とカルシウムやマグネシウムとが反応してキレート剤処理の際に、除去しにくい反応物を生成することが考えられるので、キレート剤処理の後にフッ酸(HF)処理を行うのが好ましい。
以下の表1は上記の方法(但し、フッ酸処理は行わない)で作成した本発明品と、従来品との特性を比較したものであり、また図15は上記の本発明品と従来品(組成:MgO−Al23)の直線透過率を比較したグラフである。
Figure 0003700176
これらの表1及び図15のグラフから、本発明品は厚さ1mm当りに換算した波長600nmの光線の直線透過率が40%以上、強度が235(MPa)以上、耐熱衝撃が150(ΔT℃)以上、熱伝導率が0.08(cal/cm・sec・℃)以上、軟化点が1200(℃)以上の特性を有し、SiO2組成からなる従来品に対し、直線透過率において劣るもののたの全ての特性において大幅に優れており、またMgO−Al23組成からなる従来品に対しては、直線透過率を含め全ての特性において優れていることが分る。
以上に説明した如く本発明によれば、仮焼体にキレート剤を含浸せしめて仮焼体中の不純金属イオンをキレート剤に結合せしめ、このキレート剤を洗浄によって除去するようにしたので、製品に近づいた工程で不純物を除去でき、この後不純物が発光管に混入する可能性が小さく、高輝度放電灯の寿命を延すことができる。
ここで、上記の洗浄を超音波洗浄とすることで、仮焼体内部にまで含浸したキレート剤を不純物金属とともに有効に除去でき、また、キレート剤による処理の後に、或いは焼結後にフッ酸処理を行うことでSiが有効に除去でき、また、キレート剤は例えばEDTAとし、pHは8〜10とすることでCa及びMgの除去を主として行うとともに粒成長抑制に優れ強度向上に有効なLaを残すことができる。
そして、上記のような方法によって発光管を製造することによって発光管としての優れた特性、即ち波長600nmの光線の厚さ1mm当りに換算した直線透過率が40%以上、強度が235(MPa)以上、耐熱衝撃が150(ΔT℃)以上、熱伝導率が0.08(cal/cm・sec・℃)以上、軟化点が1200(℃)以上のものが得られる。
産業上の利用可能性
本発明に従う透光性セラミックスは機械的強度、直線透過性、耐食性、並びに耐熱衝撃性に優れるために、その特性を活かして高輝度放電灯における発光管等の様々な用途に利用可能である。

Claims (6)

  1. Al23を主体とする透光性セラミックスであって、該Al23のAlの一部をScにて置換した(Al、Sc)23粒子間にLa23の粒子が介在する複合体から構成され、且つ前記複合体を構成する酸化物の標準生成エネルギー(ΔGf°)が負でその絶対値が1581.9KJ/mol以上であることを特徴とする透光性セラミックス。
  2. 粉末セラミックス原料をバインダー、解膠剤等ととも混合して所定形状の成形体を形成する成形工程と、次いで該成形体を仮焼した後、該仮焼体にキレート剤を含浸せしめて前記仮焼体中の不純物金属イオンを前記キレート剤に結合せしめ、次いで前記仮焼体中に含浸している前記キレート剤を洗浄によって除去するキレート剤処理工程と、該仮焼体を焼結して焼結体となす焼結工程とを少なくとも含むことから成る透光性セラミックスの製造方法。
  3. 前記仮焼体中に含浸している前記キレート剤の除去は超音波洗浄にて行うようにしたことから成る請求項2に記載の透光性セラミックスの製造方法。
  4. 前記キレート剤はEDTAとし、PHは8〜10とすることでCa及びMgの除去を主として行うようにしたことから成る請求項2に記載の透光性セラミックスの製造方法。
  5. 前記キレート剤処理工程の後に、前記仮焼体をフッ酸処理するフッ酸処理工程を含むことから成る請求項2に記載の透光性セラミックスの製造方法。
  6. 前記焼成工程の後に、前記焼結体をフッ酸処理するフッ酸処理工程を含むことから成る請求項2に記載の透光性セラミックスの製造方法。
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