JPH04371802A - 高輝度放電灯用発光管の製造方法 - Google Patents

高輝度放電灯用発光管の製造方法

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Publication number
JPH04371802A
JPH04371802A JP3174459A JP17445991A JPH04371802A JP H04371802 A JPH04371802 A JP H04371802A JP 3174459 A JP3174459 A JP 3174459A JP 17445991 A JP17445991 A JP 17445991A JP H04371802 A JPH04371802 A JP H04371802A
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JP
Japan
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arc tube
mold
slurry
manufacturing
discharge lamp
Prior art date
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Pending
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JP3174459A
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English (en)
Inventor
Koichi Hayashi
浩一 林
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Producing Shaped Articles From Materials (AREA)
  • Manufacture Of Electron Tubes, Discharge Lamp Vessels, Lead-In Wires, And The Like (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高輝度放電灯に用いる
発光管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の高輝度放電灯用発光管(以下、
単に発光管という)は、石英ガラス製の発光管と、アル
ミナ等の透光性セラミック製の発光管に大別される。石
英ガラス製の発光管は、石英ガラス自体が成形の自由度
が高いために、例えば床面等の被照射物に対する点灯方
向に対してコンパクトな形状(U字状等)として普及し
ている。しかし、石英ガラスは、放電用金属成分として
封入されているアルカリ金属などのハロゲン化物(例え
ばNaI)から遊離した金属イオンにより比較的容易に
腐食されるので、石英ガラスよりも耐食性に優れたアル
ミナ等の透光性セラミック製の発光管が、石英ガラス製
の発光管に替わって用いられつつある。
【0003】そして、プレス成形法や押出成形法によっ
て、透光性セラミックからなる発光管が製造されている
。簡単に説明すると、まず最初に、透光性セラミックと
なる原料粉末、例えばアルミナにMgO,La2O3,
Y2O3等を透光性を改善する目的で微量添加して混合
粉末とし、その混合粉末に有機バインダー等を加えてス
ラリーやコンパウンドを調製する。その後、プレス成形
や押出成形といった適宜な成形方法によって所望形状の
成形体を成形し、これを上記混合粉末に適合した所定の
条件で焼結して透光性セラミック(アルミナ)の発光管
が作製されている。
【0004】図20に示すように、作製された円筒状の
透光性アルミナの発光管50は、両端の電極保持穴51
,52と、主電極54,55をそれぞれ焼結固定したセ
ラミックの封止部材56,57との間隙に所定の封止材
を充填・固化させることで、封止部材を介して主電極を
保持している。その後、発光管50の両端を保持するサ
ポート58,59を介して、メタルハライドランプ等の
高圧放電灯60の外管61内に組み込まれている。なお
、発光管内には、所定の始動用希ガス及び所望の色で発
光する放電用金属物質(常温で固体)が数十Torrに
調整した内圧で封入されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】プレス成形や押出成形
を用いた従来の製造方法では、比較的単調な形状、例え
ば断面積が一定して変わらない単純な円筒状や柱状の発
光管を、均一に且つ簡便に作製できるが、次のような問
題点が指摘されている。
【0006】発光管においては、発光管に沿って両主電
極を結ぶアーク放電経路の中間位置、即ち図20に示す
発光管50であれば図中50aで示す中央位置が発光の
中心位置(最も光束の大きい箇所)となる。このため、
例えば一般家庭や店舗等で用いる50ワット程度の電灯
として、室内の天井ソケットに口金62を介して高圧放
電灯60を取り付けて床面を照らすような場合には、床
面に対する点灯方向Tに沿って高圧放電灯60が長くな
る。よって、当該室内で始終この高圧放電灯50を目に
する住人や顧客にとって目障りとなる。つまり、単純な
円筒状の発光管50を用いた高圧放電灯60は、点灯方
向Tに沿った電灯自体のコンパクト化を求められる民生
用電灯としては不向きである。
【0007】このため、ソケットに取り付けらる民生用
電灯として好適なコンパクトな形状、例えば図21に示
すように、発光位置50aが点灯方向T側にあるU字状
の透光性セラミックの発光管50Aとするには、予め押
出成形等により管状の成形体を作り、その後、U字状に
湾曲させなければならない。ところが、一旦管状に成形
した成形体を湾曲させるには、湾曲部の外側と内側とで
曲率が異なるために、予め肉厚が外側と内側で異なる成
形体とする必要があり煩雑であった。このように肉厚が
異なるようにしても、湾曲部の内側と外側とでアルミナ
粉末の充填状態に差があるため、成形後の乾燥時に割れ
を生じることがある。また、管状の成形体を精度よく湾
曲させることが難しいため、このようなU字状の発光管
を均一に作製することも困難であった。更に、点灯方向
に沿ってコンパクトなU字状等の形状に限らず、変曲点
が存在する管路軌跡を有する複雑な形状であれば、当然
にその成形体、延いては発光管を得ることは困難である
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、透光性セラミックを用いて、変曲点が存在する管
路軌跡を有する複雑な形状の発光管を容易に且つ均一に
作製することのできる製造方法を提供することを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の採用した手段は、透光性セラミックからな
る高輝度放電灯用発光管の製造方法であって、焼結を経
て透光性セラミックとなる原料粉末に有機バインダーを
溶媒成分とともに加えてスラリーを調製する工程と、多
孔質体からなる複数の型部材が接合して構成される成形
型であって、該複数の型部材が接合されると、変曲点が
存在する管路軌跡の管の外形に相当するキャビティを形
成する成形型の該キャビティに、前記スラリーを注入す
る工程と、スラリーを注入してから所定時間経過後に、
前記成形型を構成する各型を分離して成形体を離型する
工程と、所定の条件で該成形体を熱処理することにより
、成形体を焼結するとともに透光性を付与する工程とを
備えたことをその要旨とする。
【0010】ここで、焼結を経て透光性セラミックとな
る原料粉末としては、発光管としての実用的な直線透過
率(380〜760μmの波長の光に対する直線透過率
)を備えるものであればよい。例えば、アルミナ,マグ
ネシア,ジルコニア,イットリアといった酸化物や窒化
アルミ等の窒化物等を主成分としこれに異常粒成長を抑
制し焼結を促進する助剤を複合添加して焼結した周知の
透光性セラミックの他、高純度(99.99mol%)
のアルミナを焼結させた微小粒径の透光性アルミナ等を
例示することができる。
【0011】また、上記原料粉末に有機バインダーを溶
媒成分とともに加えて調製したスラリーを成形型のキャ
ビティに注入して得られた成形体を焼結するに当たって
は、使用する原料に適合した所定の条件で成形体を熱処
理すればよい。例えば、アルミナ等を主成分とし、これ
に異常粒成長を抑制して結晶粒子を均一に粗大化させ透
光性を改善する焼結助剤等を添加する周知の透光性セラ
ミックの原料粉末であれば、この原料粉末を用いて得ら
れた成形体を、水素雰囲気中で1800℃程度の焼結を
行なえばよい。つまり、上記周知な透光性セラミックに
あっては、原料に適合した条件で焼結することにより、
焼結時の粒成長等を経て透光性が発現する。
【0012】そして、上記周知な透光性セラミックに替
えて高純度(99.99mol%)のアルミナから高輝
度放電灯用発光管を製造するに際して本発明の採用した
手順は、透光性セラミックからなる高輝度放電灯用発光
管の製造方法であって、99.99mol%以上の高純
度アルミナ微粉末に有機バインダーを溶媒成分とともに
加えてスラリーを調製する工程と、多孔質体からなる複
数の型部材が接合して構成される成形型であって、該複
数の型部材が接合されると、変曲点が存在する管路軌跡
の管の外形に相当するキャビティを形成する成形型の該
キャビティに、前記スラリーを注入する工程と、スラリ
ーを注入してから所定時間経過後に、前記成形型を構成
する各型を分離して成形体を離型する工程と、該成形体
を、1200〜1300℃の温度で焼結する工程と、該
焼結体に、処理温度が1200〜1250℃で処理圧力
が1000〜2000atmの条件下で熱間静水圧プレ
スをかける工程とを備えたことをその要旨とする。
【0013】ここで、成形体の焼結を1200〜130
0℃の温度範囲で行なうようにしたのは、焼結後の密度
を理論密度に対して95%以上として後工程の熱間静水
圧プレスがかかるようにするとともに、焼結体における
粗大結晶の形成を回避するためである。つまり、上記焼
結を1200℃以下で行なうと、焼結後の密度が理論密
度に対して95%を下回り熱間静水圧プレスがかからず
、1300℃以上では焼結体における粗大結晶の形成頻
度が増し強度上不利となるからである。
【0014】更に、熱間静水圧プレスを上記温度範囲と
圧力範囲で行なうようにしたのは、所望する高い透光性
を得るとともに機械的強度を改善し、熱間静水圧プレス
をかけている最中の破損を回避するためである。つまり
、熱間静水圧プレスを1200℃未満或いは1000a
tm未満で行なうと透光性が発現するものの低い透光性
しか得られなかったり、逆に1250℃を超えると異常
粒成長を促進させて機械的強度や透光性の低下を招き、
2000atmを超えると焼結体中に存在するポアや傷
などが極めて微細であっても傷等が存在する箇所に応力
集中が起こりクラックが発生したりするからである。
【0015】また、熱間静水圧プレスをかけるに当たっ
ては、不活性雰囲気或いは20vol%以下の酸素を含
有する不活性ガス雰囲気中で行なう。
【0016】
【作用】上記構成を有する高輝度放電灯用発光管の製造
方法は、有機バインダーを溶媒成分とともに加えて調製
したスラリーが多孔質体の複数の型から構成された成形
型のキャビティに注入され、その後所定時間経過する間
に、スラリーにおける溶媒成分を、多孔質の各型の孔に
毛細管現象により吸引させ型内に吸収させる。このため
、複数の型の接合面に形成されたキャビティの壁面には
、有機バインダーによって結合された透光性セラミック
の原料粉末が壁面の表面に沿って均等に着肉され、キャ
ビティ壁面に成形体が形成される。このキャビティは、
変曲点が存在する管路軌跡の管の外形に相当するもので
あるので、成形された成形体は、キャビティ壁面の表面
に沿って均等な厚みを備えた管状体であって、キャビテ
ィの形状を反映して変曲点が存在する管路軌跡を備える
管状体となる。
【0017】その後、各型を分離して離型した成形体を
、原料粉末に適合した所定の条件で熱処理することによ
り、焼結するとともに透光性を付与し、高輝度放電灯用
発光管を得る。原料粉末が、アルミナにMgO,La2
O3,Y2O3等を透光性を改善する目的で微量添加し
た混合粉末であれば、水素雰囲気中で1800℃程度の
熱処理して焼結する。この結果、焼結時の異常粒成長が
抑制されて結晶が数十μmの粒径にまで均一に粗大化す
るとともに、上記添加物が粒界に偏析したスピネル相を
生成させ粒界相の屈折率が光学的に等方性となるので、
焼結体に透光性が発現し、周知の透光性アルミナからな
る高輝度放電灯用発光管が作製される。
【0018】一方、原料粉末が、99.99mol%以
上の高純度アルミナ微粉末であれば、得られた成形体を
1200〜1300℃の温度で焼結して微小な結晶粒径
の焼結体を得る。その後、処理温度が1200〜125
0℃で処理圧力が1000〜2000atmの条件下で
熱間静水圧プレスをかけることにより、等方的な圧力に
より焼結体が熱処理されて透光性が発現し、透光性アル
ミナからなる高輝度放電灯用発光管が作製される。
【0019】こうして高純度アルミナ微粉末から作製さ
れた高輝度放電灯用発光管は、アルミナをMgO等の焼
結助剤とともに焼結して結晶粒子を粗大化させた一般的
な透光性セラミックに比べて、微小な結晶粒径を備える
ことになる。
【0020】このようにして高純度アルミナから作製さ
れた高輝度放電灯用発光管が、上記一般的な透光性セラ
ミックとは異なる微小結晶粒径を備えながら透光性を有
する根拠は、次のように考えられる。
【0021】まず第1に、不純物として混入した酸化物
が、アルミナ粉末中にごく僅か(トータルで最大0.0
1mol%以下)しか含まれていないので、不純物はア
ルミナに総て固溶し、粒界相をほとんど形成しない。こ
のため、一般の透光性アルミナでは光の散乱因子として
作用していた粒界相による影響が排除されて、可視光に
対する直線透過率の向上をもたらすと考えられる。
【0022】更に、以下のように推察される。結晶粒子
及び結晶子の断面がいずれも円形であると仮定すると、
直径dの結晶子がn個集まって直径Dの結晶粒子を構成
する場合、次の関係式■が成り立つ。 ■      n=(D/d)^2(演算子^はべき乗
を表わす) この関係式から算出されるnの値は、1個の結晶粒子の
断面に含まれる結晶子界面に換算できる。
【0023】高純度のアルミナから得られた種々の透光
性アルミナ(平均粒径:0.72,0.85,0.99
,1.16,1.35,1.52μm)についての格子
定数をX線回折装置を用いて求め、結晶子の直径dと回
折線の幅とを関係づけるScherrerの式に従い(
012)の回折ピークから上記各平均粒径の透光性アル
ミナの結晶子の直径dを算出したところ、結晶子の直径
dは結晶粒子の大きさに左右されることなく一定であっ
た。なお、Scherrerの式は、「P.Galle
zot,”Catalysis,Scienceand
 Technology,vol.5 p221,Sp
ringer−Verlag (1984)” 」や「
P.Scherrer,”Gottinger Nac
hrichen, 2, 98(1918)”」に紹介
されている。従って、上記関係式■から、結晶粒子の直
径D(平均粒径)が小さくなるほど1個の結晶粒子中に
おける結晶子界面は少ないといえる。
【0024】一般に、光がセラミックのような多結晶体
に入射された場合、その散乱は屈折率の不連続な面、即
ち原子配列の不連続な部分で起こると考えられている。 結晶粒子中の結晶子界面は、この原子配列の不連続な部
分にほかならないので、光の散乱を引き起こす。このた
め、結晶粒子中における結晶子界面が少なければ少ない
ほど、即ち結晶粒子の直径Dが小さいほど、光の散乱因
子である結晶子界面による影響が小さくなり、可視光に
対する直線透過率の向上をもたらすと考えられる。
【0025】
【実施例】次に、本発明にかかる発光管の好適な実施例
について、図面に基づき説明する。
【0026】まず、発光管の原料となるアルミナの微粉
末の合成について説明する。このアルミナ微粉末を合成
するには、熱分解すると純度99.99mol%以上の
アルミナになるアルミニウム塩を、その出発原料として
用意する。このような高純度のアルミナ合成用のアルミ
ニウム塩としては、アンモニウムミョウバン、或いはア
ルミニウム・アンモニウム・カーボネート・ハイドロオ
キサイト(NH4AlCO3(OH)2 )等を例示す
ることができる。
【0027】こうして用意したアルミニウム塩を秤量し
、蒸留水及び分散剤を用いて一旦懸濁水溶液とし、これ
を噴霧乾燥法により乾燥させる。その後、熱分解してア
ルミナ単独の微粉末を得る。ここで、熱分解を行なうに
当たっては、大気中で、900〜1200℃、例えば1
050℃で2時間処理する。つまり、この噴霧乾燥及び
熱分解を経ることにより、平均粒径が0.2〜0.3μ
mで、純度が99.99mol%以上のアルミナ微粉末
が合成される。なお、合成されたアルミナ微粉末は、上
記粒径のアルミナ微粉末が凝集してこの粒径より大きな
2次凝集体として得られる。
【0028】次に、作製しようとする発光管1Hについ
て説明し、その後、その製造工程について説明する。図
1(a),(b)に示すように、発光管1Hは、直径約
1mmの電極保持穴1a,1bを開口部閉塞壁1eに備
えた管状体がその中央で湾曲してその側面が互いに接合
したU字状の発光管である。この開口部閉塞壁1eは、
図1(b)に示すように、各電極保持穴の穿孔部周辺を
外側に若干突出している。なお、図1(b)は、図1(
a)のY平面断面図である。次いで、この発光管1Hの
製造工程について、図2の工程図を用いて説明する。
【0029】まず、上記のようにして得たアルミナ微粉
末(2次凝集体)に、アクリル系エマルジョンといった
有機バインダーやポリアクリル酸ソーダ等の解膠剤並び
にオクタノール等の消泡剤を蒸留水とともに配合し、こ
れをプラスチック(ナイロン)ボールミルにて約24時
間に亘って湿式混合して過剰の凝集をほぐしつつ、アル
ミナが上記溶媒中に均一に存在するスラリーを調製する
(工程1)。
【0030】なお、アルミナ微粉末に対する有機バイン
ダー等の配合比(重量比)は、アルミナ微粉末100g
に対して、次の通りである。 有機バインダー      3g 解膠剤              1g消泡剤   
       0.1g 蒸留水            55g
【0031】次
に、調製したスラリーから気泡を除去する(工程2)。 具体的には、ボールミルから取り出したスラリーを真空
デシケータ内の樹脂容器に入れ、樹脂容器内のスラリー
をマグネットスターラ等を用いて攪拌しつつデシケータ
内の空気を真空ポンプにて数分間(例えば約5分間)吸
引する。
【0032】その後、以下の工程を経て図1(a),(
b)に示す所望の成形体を、図3に示す合わせ型10を
用いて成形する。この合わせ型10は、石膏等の多孔質
無機材料或いは石膏と同程度の機能を有する細孔を具備
する多孔質樹脂から形成された左右対象の型11a,1
1bと、やはり石膏等の多孔質無機材料などから形成さ
れた型11cとを備え、各型を図示するように互いに接
合して構成される。そして、型11a,11b,11c
の接合面にスラリー注入空間13を形成する。
【0033】型11a,11bは、図4に示すように、
その接合面15a,15bに、型下端側で湾曲した溝(
キャビティ)13a,13bを備える。この溝13a,
13bは、先端に球状切り歯を備えるエンドミルにて、
次のようにして接合面15a,15bに切削されている
【0034】即ち、図5(a)に示すように、半径rの
球状切り歯を先端に備えるエンドミルEMを、型11a
,11bの接合面15a,15bからの切り込み深さを
rにして、図中矢印Aに沿って移動させる。この場合、
切削開始位置Sから切削終了位置EまでのエンドミルE
Mの切削軌跡は、接合面15a,15bにおいて、図5
(b)に矢印Aで示す軌跡であり、この軌跡の往路と復
路との間隔Lは2rより小さく設定されている。
【0035】従って、接合面15a,15bには、図5
(b)におけるX−X線断面端面図の図5(C)に示す
ように、二つの円弧状の溝をその中央に接合面15a,
15bより僅かに低い凸条14a,14bを残して接合
させた形状の溝13a,13bが、エンドミルEMによ
り切削・形成される。なお、上記のように溝13a,1
3bの切削に替えて、溝13a,13bの中央に凸条1
4a,14bが形成されるよう造型することもできる。 この溝13a,13bが合わさってできた空間が、発光
管1Hのうち、図1(b)に記号K1 で示される範囲
を形成するためのキャビティに相当する。
【0036】一方、図3における型11a,11bの接
合面に沿って型11cを破断した図6に示すように、型
11cを貫通する2本のプラスチックパイプ16(外径
:約1.5mm,内径:約1mm)は、型11a,11
bの接合面に形成されるスラリー注入空間13と同心に
なるよう型11cに備え付けられている。また、型11
cの下面には、プラスチックパイプ16と同心に窪み1
6aが形成されている。つまり、窪み16aが、発光管
1Hのうち、図1(b)に記号K2 で示される範囲を
形成するためのキャビティに相当し、溝13a,13b
と窪み16aとで囲まれた空間がスラリー注入空間13
を形成する。なお、窪み16aは、切削等の機械加工を
経て、或いは造型時から備え付けられて形成される。
【0037】上記した型11a,11bをその側面で接
合するとともに、型11cを型11a及び11bの上面
で接合して各型を固定し、合わせ型10とする(図3参
照)。
【0038】次に、この合わせ型10のスラリー注入空
間13内に、工程2にて気泡除去後のスラリーを注入し
、所定時間放置する(工程3)。スラリーの注入に当た
っては、図7(a)に示すように、合わせ型10の上面
に設置された円筒体17の仕切板17aで二つに区画さ
れた注入エリアの片側に、スラリーを流し込む。つまり
、円筒体17が合わせ型10の上面に設置されると、図
7(b)に示すように、円筒体17を分割する仕切板1
7aは型11cの2本のプラスチックパイプ16の間に
立設するので、円筒体17における注入エリアの片側に
スラリーを流し込めば、反対側の注入エリアにおけるプ
ラスチックパイプ16からはキャビティ内のエアーが押
し出されるのである。なお、スラリーの注入は、この反
対側の注入エリアにスラリーがあふれでるまで継続され
る。即ち、スラリー注入空間13の容積以上のスラリー
が注入されるのである。また、円筒体17下面と合わせ
型10の上面とは、円筒体17下端に粘土19を管状に
配置することにより、シールされている。粘土に替えて
ゴムを用いてもよい。
【0039】こうしてスラリー注入空間13内に注入さ
れたスラリーにおける溶媒成分(ここでは、蒸留水)は
、上記したようにスラリー注入後に所定時間放置される
間に、多孔質の各型11a,11b及び11cの孔に毛
細管現象により吸引され型内に吸収される。このため、
スラリー注入空間13を形成する溝13a,13bの壁
面には、図8に示すように、有機バインダー等によって
結合されたアルミナ粉末が壁面の表面に沿って均等に着
肉され、隣合う管状体がその中央で接合したようなアル
ミナ層SAが形成される。一方、上記溝13a,13b
等とともにスラリー注入空間13を形成する窪み16a
の壁面には、図7(b)中に一点鎖線で示すように、こ
の窪み16aに習って外側に若干突出しその中央にプラ
スチックパイプ16の外径と略等しい内径の穴を有した
壁面となるよう、アルミナ粉末が均等に着肉される。
【0040】このスラリー注入後の放置時間は、上記ア
ルミナ層SAの厚さ、即ち後述する成形体の内径を決定
する。このため、形成されたアルミナ層SAの内径等が
所定の値になるよう、上記放置時間が予め実験等により
定められている。また、この放置時間及び型の大きさの
設定に当たっては、焼結時の体積収縮等も見込んで決定
される。本実施例における放置時間は、アルミナ層SA
の内径が約4.82mm、充填率が約58%となるよう
設定されており、この場合、3分以下とする。なお、ア
ルミナ層SAの外径はスラリー注入空間13によって定
まり、本実施例の場合、約5.54mmとする。
【0041】なお、放置する間に亘って各型外側を負圧
に維持し、スラリー中の溶媒成分を型外に強制的に吸引
するような構成にしてもよい。このようにすれば、放置
時間を短縮することや、スラリー内の気泡を型を通して
直接除去したり、吸引を強くすることにより成形体の充
填率をさらに上げることができる。
【0042】そして、所定時間放置後に、型11c及び
型11a,11bで成形体を挟んだまま逆さにして、円
筒体17内部は勿論、アルミナ層SAの内側に残存する
スラリーを排泥する(工程4)。このように逆さにすれ
ば、アルミナ層SA内側の残存するスラリーは、型11
cの窪み16aが反転して成形された成形体内部の窪み
に沿って容易に流出する。その後、各型を分離して図1
(a),(b)に示す形状の発光管1Hの成形体を離型
し、成形体から溶媒が完全に抜けるまで成形体を乾燥さ
せる(工程5)。
【0043】次に、この成形体に大気中で1200〜1
300℃の所定焼結温度、例えば約1235℃で4時間
程度の熱処理を施すことにより、成形体を焼結する(工
程6)。この際、100℃/時間で昇温した。こうして
焼結することにより、その体積収縮は焼結前の成形体の
約83%となり、所望の寸法を得る。この時、充填率は
ほぼ100%(嵩密度3.976)となる。
【0044】その後、この焼結体に、不活性ガス雰囲気
中、或いは20vol%以下の酸素を含有する不活性ガ
ス雰囲気中で次の条件に基づく熱間静水圧プレスを施す
(工程7)。この際、200℃/時間で昇温した。こう
して、工程6を経た焼結体に所望の透光性が発現し、透
光性アルミナの発光管1Hとなる。この熱間静水圧プレ
スを施すに当たっては、焼結体をサファイヤビーズ(粒
径2mm)及びチタンスポンジに埋設して行なった。ま
た、不活性ガスとしては、アルゴンガスを用いた。 処理温度          1200〜1250℃(
最適温度1230℃) 処理圧力          1000〜2000at
m(最適圧力1000atm) 処理時間                1〜   
   4時間(最適処理2時間)
【0045】上記工程7を経ると、直径約1mmの二つ
の電極保持穴1a,1bを両端に備えた管状体がその中
央で湾曲してその側面が互いに接合したU字状の発光管
1Hが作製される。この発光管1Hは、内径が約4.0
mm、肉厚が約0.3mmである。また、電極保持穴1
a,1bの穿孔された開口部閉塞壁1eの端面から屈曲
部までの高さは約20mmである。つまり、管路長は約
40mmである。そして、以下に記すような物性を備え
る。なお、透過型電子顕微鏡(TEM)による組織観察
の結果、粒界には、光の散乱源となる粒界相の生成や原
子レベルの空隙並びに格子欠陥等の存在は認められなか
った。 可視光(波長380〜760nm)に対する直線透過率
:70%以上 500nmの波長の光に対する直線透過率:79%(肉
厚:0.5mm) 結晶粒子の平均粒径:  約0.7μm(最大粒径約1
.4μm) 機械的強度(JIS  R1601) 曲げ強度  St (室温)=82kg/ cm2 (900℃)=59kg/cm2 ワイブル係数 (室温)=7.3 (900℃)=6.8
【0046】粒径や強度の測定には、上記本実施例の発
光管1Hの代替え品として別途作製した作製した試料(
形状,厚み等についてはJIS  R1601に準ずる
)を用いた。なお、試料の作製に当たっては、上記した
実施例の各工程における諸条件に従った。
【0047】粒径の算出は、形状,厚み等がJIS  
R1601に準ずるよう別途作製した上記試料の表面を
ダイヤモンド砥粒にてラップし、更に溶融した水酸化カ
リウムで粒界エッチングを施した後、走査型電子顕微鏡
により試料表面を観察し、結晶粒子の輪郭を画像解析す
ることにより行なった。なお、画像解析に当たっては、
結晶粒子を球体や多角形体として仮定して、その直径や
頂点間距離の最大値を粒径算出に用いた。結晶粒子を球
体と仮定して算出した粒径の分布図を図9に示す。
【0048】直線透過率の測定については、別途作製し
た上記試料を0.5mm厚とし両面をラップ仕上げした
後、ダブルビーム分光光度計により求めた。
【0049】こうして得られたアルミナ発光管1Hの内
外表面を、粒径0.5μmのダイヤモンド砥粒を付着さ
せたブラシにて、肉厚が0.2mm以下となるよう研削
研磨する(工程8)。この表面処理により、発光管表面
の凹凸等が除去されて表面における光の散乱が回避され
、直線透過率が改善される。なお、この表面処理ととも
に、発光管1Hの開口部閉塞壁1eの端面にもダイヤモ
ンド砥石によって研削研磨を施し、開口部端面に後述の
封止部材の着座面を形成する。また、0.05mm程度
までの肉厚に研削研磨しても、使用上差し支えない。
【0050】そして、この発光管1H内に所定の始動用
希ガス及び所望の色で発光する放電用物質(Sn系,N
a−Tl−In系,Sc−Na系,Dy−Tl系合金又
は各金属のハロゲン化物)のアマルガムを入れ、図1(
c)に示すように、主電極コイル2,3を焼結固定した
セラミックの封止部材4(図10(a)の拡大図参照)
を発光管1Hの両電極保持穴1a,1bに所定の封止材
にて固着する。この際、内圧はアルゴン等の希ガスによ
り数十Torrに調整される。なお、封止部材4及びこ
れを固着するための封止材の材質としては、例えば、上
記発光管の表面改質のためにCuO,NiO等の酸化物
を含有したアルミナ系サーメットや、CaO−Al2O
3−MgO系のソルダーガラス等を例示することができ
る。上記アルミナ系サーメットからなる封止部材は、管
壁温度が約1200℃に達するような発光管に適し、ソ
ルダーガラスからなる封止部材は、管壁温度が約900
℃に達するような発光管に適している。
【0051】封止部材4及び封止材の材質として上記ソ
ルダーガラスを用いた場合には、封止材は、真空チャン
バー内で所定温度(約1370℃)に局部加熱されて溶
融し、冷却後に固化して発光管1Hと封止部材4とを完
全に気密・封着する。このように主電極を取り付けた状
態の発光管1Hは、一般に、メタルハライドランプ等の
高圧放電灯の外管内に組み込まれて使用される。また、
図10(a)に示す鍔突きの封止部材4に替えて、図1
0(b)に示すように、発光管1Hの両電極保持穴1a
,1b内にのみ配置される鍔無しの封止部材4を用いる
ことや、この各電極保持穴に封止材を介して直接電極を
固定することもできる。
【0052】放電用物質としてHg−NaI(0.11
g)を封入した本実施例の発光管に100Vの電圧(4
6W)を印加し点灯させたところ、180,000 n
tの輝度で4,000 時間の長期に亘って点灯を継続
してもなんら発光管に異常は見られなかった。また、放
電用物質としてHg−TlI−InI3 (0.130
g)を封入した発光管にあっては、240,000 n
tの輝度で3,000 時間の長期に亘って点灯を継続
してもなんら発光管に異常は見られなかった。つまり、
腐食性の高い放電用金属成分であるこれらHg−NaI
やHg−TlI−InI3 を封入した場合であっても
、上記した長期間に亘って点灯を継続しても異常は見ら
れないのである。
【0053】以上説明したように、本実施例の製造方法
によれば、既述したように微小な結晶粒径からなる透光
性アルミナの発光管であって、その中央で湾曲してその
側面が互いに接合したU字状の発光管、即ち点灯方向に
対してコンパクトであることを要求される民生用電灯に
使用しうる複雑な形状の発光管を、高純度のアルミナか
ら容易に且つ均一に製造することができる。より具体的
に説明すると、湾曲部に当たる発光の中心位置から開口
部閉塞壁1eの端面までの距離(図1(c)中記号L)
が短くて点灯方向に対してコンパクトであるために、高
輝度放電灯の小型化を可能として民生用の照明器具とし
ての高輝度放電灯の用途を開く発光管を、高純度のアル
ミナから容易に且つ均一に製造することができるのであ
る。
【0054】しかも、約1mmという小径の電極保持穴
1a,1bを当初から備えた形状の発光管を容易に且つ
均一に製造することができる。従って、各電極保持穴と
封止部材との間隙に充填されて固化した後に、発光管内
における放電用金属蒸気成分(イオン)に晒される封止
材の充填領域が少なくなる。このように、発光管内にお
ける放電用金属蒸気成分(イオン)に晒される封止材の
領域が少なくなれば、放電用金属蒸気成分(イオン)に
よる腐食によって封止材に発生するクラック量が減少し
、発光管外への放電用金属蒸気成分の漏洩が減少する。 このため、発光管内における放電用金属蒸気成分の残存
量が初期の封入量のまま長期間維持されるので、発光管
、延いてはこれを用いた高圧放電灯の長寿命化を実現す
ることができる。つまり、本実施例の製造方法によれば
、長寿命な発光管を高純度のアルミナから容易に且つ均
一に製造することができる。
【0055】また、本実施例の製造方法によって作製さ
れた発光管1Hは、平均粒径が約0.7μmで最大粒径
が約1.4μmの極小な結晶粒子からなる透光性アルミ
ナであるとともに、粒界相を形成しない。このため、常
温から放電時温度に亘っての機械的強度(曲げ強度,ワ
イブル係数)が、MgO等の焼結助剤とともに焼結して
結晶粒子を粗大化させた一般的な透光性セラミックの発
光管よりも向上する。この結果、本実施例の製造方法に
よれば、長寿命に加え従来の1/3程度の肉厚(約0.
2mm)の発光管を高純度のアルミナから容易に且つ均
一に製造することができる。そして、薄肉の発光管では
、発光管自体の熱容量が減少するため発光管が速やかに
所定温度まで昇温するので、放電用金属成分が蒸発して
飽和蒸気圧となり発光が安定するまでの始動時間の短縮
化を図ることができる。つまり、本実施例の製造方法に
よれば、始動時間が短い発光管を高純度のアルミナから
容易に且つ均一に製造することができる。
【0056】更に、本実施例の製造方法によって作製さ
れた発光管1Hでは、粒界相が形成されないとともに、
光の散乱因子となる結晶粒子内部の結晶子界面が微小粒
径に基づいて少なくなる。このため、発光管1Hは、光
が発光管1Hの壁面を透過する間の光の散乱を抑制し、
380〜760nmの波長の光(可視光)に対する高い
直線透過率(70%)を備えるので、この発光管1Hを
用いた高圧放電灯における輝度が向上する。この結果、
本実施例の製造方法によれば、高圧放電灯の輝度向上を
招く発光管を、高純度のアルミナから容易に且つ均一に
製造することができる。
【0057】以上本発明の一実施例について説明したが
、本発明はこの様な実施例になんら限定されるものでは
なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる
態様で実施し得ることは勿論である。例えば、成形時に
は厚肉の成形体とし、この成形体に焼結処理・熱間静水
圧プレス等を施した後に研削して壁面を薄肉化してもよ
い。この場合、図11に示すように、屈曲部の点灯範囲
の壁面を外側に湾曲した壁面とすれば、発光管からの点
灯状態を、凸レンズを経て照射されたような状態とする
ことができる。
【0058】更に、上記した高純度アルミナからではな
く、アルミナ等の酸化物に異常粒成長を抑制するMgO
等の焼結助剤を添加した混合物(粉末)から、湾曲部等
を有する複雑なキャビティを有する多孔質の上記合わせ
型を用いて成形体を成形し、これを所定の処理条件で焼
結して周知の透光性セラミックからなる発光管を製造し
てもよいことは勿論である。例えば、純度が99.9m
ol%のアルミナ微粉末に、0.1mol%以下のMg
Oを添加後、水素雰囲気下で1800〜1900℃で焼
成する。
【0059】このようにして得られる透光性アルミナ発
光管にあっては、一般に、次のようにして380〜76
0μmの波長の光に対する直線透過率を実用的な数値(
約60%:肉厚0.5mm)としている。つまり、Mg
O等により焼結時の異常粒成長を抑制しながら結晶を数
十μmの粒径にまで均一に粗大化させるとともに、粒界
には上記添加物を偏析させて強制的にスピネル相を生成
させ粒界相の屈折率が光学的に等方性となるようにして
粒界における散乱を防止することによって、可視光に対
する60%程度の直線透過率を確保している。
【0060】また、図1に示すように小径の電極保持穴
を当初から備えた発光管ではなく、次のような形状の発
光管であっても、本実施例の製造方法によれば、高純度
のアルミナ或いは焼結助剤の添加されたアルミナから容
易に且つ均一に製造することができる。例えば、図12
,図13に示すように、その中央で湾曲してその側面が
互いに接合し、開口部から湾曲部までの距離Lが短いた
めに点灯方向に対してコンパクトな発光管1Aや発光管
1Bを、容易に且つ均一に製造することができる。発光
管1Aの製造に用いる合わせ型は、上記発光管1Hの製
造に使用した左右対象の型11a,11bから構成すれ
ばよく、発光管1Bの製造に当たっては、各型の溝の形
状を角型とすればよい。
【0061】また、図14に示すように、電極が発光管
内に存在する範囲の開口部側面だけが互いに接合し、そ
の他の範囲はループ状となるような形状として距離Lを
短くしてコンパクト化を図った発光管1Cや、両端の開
口部以外は図14に示すようなループ状となるような形
状でありながら、図15の斜視図に示すように、互いに
接合した開口部と上記ループ状部との連結部分で屈曲し
た形状として距離Lを一層短くしてコンパクト化を図っ
た発光管1Dであっても、容易に且つ均一に製造するこ
とができる。この発光管1Cの製造に用いる合わせ型は
、上記発光管1Hの製造に使用した左右対象の型11a
,11bにおける半円状の溝がその両端で中央に凸条を
残して接合し、その他の領域ではこの溝がループ状の軌
跡で形成されていればよい。発光管1Dの製造に用いる
合わせ型は、次のように構成すればよい。即ち、図16
に示すように、交差した二つの接合面21a及び22a
を有する型23aと、21b及び22bを有する型23
bとから合わせ型20を構成し、接合面21a,21b
には、互いに接合した開口部を形成するための溝を備え
、接合面22a,22bには、ループ状部を形成するた
めの溝を備え、各接合面の溝を接合面の交差部で連結す
ればよい。
【0062】また、図17に示すように、管路が2ヶ所
で変曲し開口部の接合部と対向する直線管路を備えた略
三角形とすることで距離Lを短くしてコンパクト化を図
った発光管1Eであっても、合わせ型の各型における溝
の軌跡を変えれば、容易に且つ均一に製造することがで
きる。
【0063】更に、上記したように管路を一つしか備え
るのではなく、複数の管路を備える発光管であってもよ
い。例えば、図18に示すように、その中央で湾曲した
管路を3つ備え、各管路を隣接して接合した多管状の発
光管1Rを、容易に且つ均一に製造することができる。 この発光管1Rも、上記した各発光管と同様、開口部か
ら湾曲部までの距離Lが短くなり点灯方向に対してコン
パクトな発光管である。そして、この発光管1Rの製造
に用いる合わせ型は、図18に示すように、上下に分割
される上型30と下型31と、これら各型が接合された
ときにその間にスライドして配置されるスライド型33
とから構成される。この各型には、発光管1Rの外形に
相当するキャビティを形成すべく、半円状の3本の溝が
中央に凸条を残して接合した軌跡で形成されている。ま
た、図19に示すように、各管路の断面が多角形(四角
形)の発光管1Sでも、上記各型の溝の形状を角型とす
れば容易に且つ均一に製造することができる。
【0064】さらに、上記発光管1R,1Sでは複数の
管路をその管壁を共有して隣接して配置しているので、
この共有した側壁を隣接する管路間の熱伝達の媒体とし
て管路どうしの熱の授受を行なうことに基づいて、以下
に説明するような利点がある。
【0065】まず第1に、上記発光管1R,1Sでは、
短時間の内に発光管1R,1Sを全体として安定した点
灯状態とすることができるのである。つまり、複数の管
路を隣接することなくただ単に備えただけの発光管では
、主電極間で起きるアーク放電の開始の様子は各単管路
ごとに一様ではなく、アーク放電に基づく熱の発生の様
子が一様ではない。このため、各管路の管壁温度が所定
温度(各管路内で放電用物質が蒸発して飽和蒸気圧とな
る温度)まで昇温する時間が各管路ごとに異なるので、
この発光管の有する複数の管路の個々が同時に安定した
点灯状態にならず、この発光管が全体としても安定した
点灯状態とはならない。
【0066】これに対して、上記発光管1R,1Sによ
れば、側壁を通した熱の授受に基づいて、各管路の管壁
温度をできるだけ一律に所定温度まで上昇させることが
できるので、各管路においてほぼ同時に発光が安定し、
短時間の内に発光管1R,1Sを全体として安定した点
灯状態とすることができる。
【0067】第2に、各管路の調光可能な範囲が拡大さ
れるという利点がある。発光管を組み込んだ高輝度放電
灯の調光可能な範囲は10%程度であり、白熱灯やハロ
ゲンランプなどに比べて調光可能範囲が著しく狭いが知
られている。これは、次のような理由による。高輝度放
電灯において光束を落とすために発光管への入力を低下
させると、発光管内の温度が低下し、これによって発光
管内のIn,Tl,Na等の発光物質の蒸気分圧が変化
する。そして、これらの蒸気分圧が所定の値以下になる
とランプが失灯してしまう。発光管が1本しかない従来
の高輝度放電灯では、失灯しないで調光できる範囲は定
格出力のせいぜい約90%程度であった。
【0068】これに対して、3つの管路を有する上記発
光管1R,1Sでは、図18,図19に示すように各管
路を隣接して配置しているので、各管路から放射される
熱が他の管路に管路側壁を通して供給される。従って、
一つの管路への入力を低下させた時には、他の二つの管
路から当該一つの管路に熱が与えられる。この結果、管
路が一つしか無い発光管を組み込んだ高輝度放電灯にお
いてその発光管への入力を低下させた場合に比べて、発
光管1R,1Sでは、入力を低下させた一つの管路はよ
り高温に保たれることになる。このため、入力の低下し
た当該一つの管路内部の発光物質の蒸気分圧は変化しな
いので失灯しにくく、調光可能な範囲が拡大される。
【0069】なお、一つの管路の出力を低下させるとき
に、他の二つの管路の出力を上昇させるようにすれば、
当該一つの管路の温度低下を防止ことができ、さらに低
い出力レベルまで調光できる。特に、発光管1R,1S
の各管路のうち、真ん中の管路内にはTlやNaに比べ
て調光範囲の狭い発光物質であるInを封入し、その右
隣の管路内にはTlを封入し、左隣の管路内にはNaを
封入して、真ん中の管路への入力を下げ他の管路への入
力を上げた場合、Inを封入した真ん中の管路がその両
側の管路から熱が与えられて高温に保たれるので、調光
範囲の狭いInを封入した真ん中の管路の調光可能な範
囲が拡大するという効果が顕著となる。
【0070】このように、複数の管路を備えた発光管を
全体として短時間の内に安定した点灯状態とすることが
できるとともに、発光管の調光可能な範囲が拡大されて
高輝度放電灯全体の発生光の色度もより広い範囲で変更
できる発光管を、容易に且つ均一に製造することができ
る。
【0071】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の高輝度放電
灯用発光管の製造方法によれば、有機バインダーを溶媒
成分とともに加えて調製したスラリーが、変曲点が存在
する管路軌跡の管の外形に相当するキャビティに注入さ
れた後、後所定時間経過する間に、スラリーにおける溶
媒成分を、多孔質の各型の孔に毛細管現象により吸引さ
せ型内に吸収させる。この結果、キャビティの壁面には
、有機バインダーによって結合された透光性セラミック
の原料粉末が壁面の表面に沿って均等に着肉され、成形
体が形成される。この成形体は、キャビティ壁面の表面
に沿って均等な厚みを備えた管状体であって、キャビテ
ィの形状を反映して変曲点が存在する管路軌跡を備える
管状体として得られるので、得られた成形体を所定の条
件で熱処理することにより、焼結するとともに透光性を
付与して、高輝度放電灯用発光管を作製することができ
る。つまり、本発明の高輝度放電灯用発光管の製造方法
によれば、変曲点が存在する管路軌跡を備え均等な厚み
の高輝度放電灯用発光管を容易に且つ均一に製造するこ
とができる。換言すれば、変曲点が存在する管路軌跡を
備えることによって点灯方向に対してコンパクトとなり
民生用電灯に使用しうる形状の高輝度放電灯用発光管を
、透光性セラミックから容易に且つ均一に製造すること
は、本発明の製造方法によって始めて可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の発光管1Hの形状を説明するための説
明図。
【図2】発光管1Hの製造工程を説明するための工程図
【図3】発光管1Hの製造に用いる合わせ型10の斜視
図。
【図4】合わせ型10における左右の型11a,11b
の斜視図。
【図5】合わせ型10における左右の型11a,11b
の製造過程を説明するための説明図。
【図6】合わせ型10における型11cにおける型11
a,11bの接合面に沿った断面図。
【図7】発光管1Hの製造工程を説明するための説明図
【図8】発光管1Hの製造工程を説明するための説明図
【図9】発光管1Hを構成する透光性アルミナの粒径分
布を表わすグラフ。
【図10】発光管1Hの電極保持穴に固着される封止部
材4の拡大斜視図。
【図11】実施例の発光管1Hの変形例を説明するため
の説明図。
【図12】他の実施例における発光管1Aを説明するた
めの説明図。
【図13】他の実施例における発光管1Bを説明するた
めの説明図。
【図14】他の実施例における発光管1Cを説明するた
めの説明図。
【図15】他の実施例における発光管1Dを説明するた
めの説明図。
【図16】発光管1Dの製造に用いる合わせ型を説明す
るための説明図。
【図17】他の実施例における発光管1Eを説明するた
めの説明図。
【図18】他の実施例における発光管1Rとその製造に
用いる合わせ型とを説明するための説明図。
【図19】他の実施例における発光管1Sを説明するた
めの説明図。
【図20】従来の透光性セラミックからなる発光管を説
明するための説明図。
【図21】問題点を説明するために用いた説明図。
【符号の説明】
1A  発光管 1B  発光管 1C  発光管 1D  発光管 1E  発光管 1H  発光管 1a,1b  電極保持穴 1e  開口部閉塞壁 2,3  主電極コイル 4  封止部材 10  合わせ型 11a,11b,11c  型 13  スラリー注入空間 SA  アルミナ層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  透光性セラミックからなる高輝度放電
    灯用発光管の製造方法であって、焼結を経て透光性セラ
    ミックとなる原料粉末に有機バインダーを溶媒成分とと
    もに加えてスラリーを調製する工程と、多孔質体からな
    る複数の型部材が接合して構成される成形型であって、
    該複数の型部材が接合されると、変曲点が存在する管路
    軌跡の管の外形に相当するキャビティを形成する成形型
    の該キャビティに、前記スラリーを注入する工程と、ス
    ラリーを注入してから所定時間経過後に、前記成形型を
    構成する各型を分離して成形体を離型する工程と、所定
    の条件で該成形体を熱処理することによって、成形体を
    焼結するとともに透光性を付与する工程とを備えたこと
    を特徴とする高輝度放電灯用発光管の製造方法。
  2. 【請求項2】  透光性セラミックからなる高輝度放電
    灯用発光管の製造方法であって、99.99mol%以
    上の高純度アルミナ微粉末に有機バインダーを溶媒成分
    とともに加えてスラリーを調製する工程と、多孔質体か
    らなる複数の型部材が接合して構成される成形型であっ
    て、該複数の型部材が接合されると、変曲点が存在する
    管路軌跡の管の外形に相当するキャビティを形成する成
    形型の該キャビティに、前記スラリーを注入する工程と
    、スラリーを注入してから所定時間経過後に、前記成形
    型を構成する各型を分離して成形体を離型する工程と、
    該成形体を、1200〜1300℃の温度で焼結する工
    程と、該焼結体に、処理温度が1200〜1250℃で
    処理圧力が1000〜2000atmの条件下で熱間静
    水圧プレスをかける工程とを備えたことを特徴とする高
    輝度放電灯用発光管の製造方法。
  3. 【請求項3】  請求項2記載の透光性セラミックから
    なる高輝度放電灯用発光管の製造方法であって、前記焼
    結体への熱間静水圧プレスは、不活性雰囲気或いは20
    vol%以下の酸素を含有する不活性ガス雰囲気中で行
    なうことを特徴とする高輝度放電灯用発光管の製造方法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2001322866A (ja) * 1999-05-19 2001-11-20 Ngk Spark Plug Co Ltd アルミナ焼結体及びその製造方法並びに焼結アルミナ部材及び発光管
US7056181B2 (en) * 2000-11-01 2006-06-06 Koninklijke Philips Electronics N.V. Method of manufacturing a lamp
JP2007258228A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Ngk Insulators Ltd 発光ダイオード素子用拡散板、発光ダイオード素子用拡散板構造および発光ダイオード装置

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