JP4666640B2 - 透光性酸化マグネシウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

透光性酸化マグネシウム焼結体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、一般式MgOで表わされる透光性酸化マグネシウム焼結体、及びその製造方法に関する。本発明の焼結体は、例えば高温材料、赤外用窓材、透光性基板、発光管等の光学部品として好適に使用される。
MgOで表わされる酸化マグネシウム(以後マグネシアとする)は、その結晶構造が立方晶であり複屈折が無い。そのため、気孔や不純物の偏析を除去することにより、透光性に優れた焼結体を得ることが可能である。マグネシアは、融点が2800℃と非常に高く(化学便覧、日本化学会編)、耐熱性、耐アルカリ性及び高熱伝導性を有する優れた素材であることが知られている。しかしながら、マグネシアはその融点が極めて高いため、既存の単結晶合成技術では光学的に優れた大型結晶を合成することは困難である。
一方セラミックス(多結晶体)は、融点以下の比較的低い温度での合成が可能であるため、マグネシア同様高融点の酸化イットリウム(イットリア)やその他希土類酸化物に関して、従来より赤外用高温窓材、放電ランプ用エンベロープ、耐食部材等に適用すべく検討が盛んに行われている。
多結晶透光性マグネシア焼結体に関する報告例としては、
(1)LiF、NaF等のフッ化物を添加してホットプレスする方法(例えば非特許文献1:G.D.Miles et al, Trans.Brit.Ceram.Soc. 66 319(1967))、
(2)MgO粉末を有機溶媒に分散し、再仮焼して焼結性を改善する方法(例えば特許文献1:特開昭51-80313)等が挙げられる。また焼結助剤を添加する方法としては、
(3)溶液状のアルミニウム化合物を添加する方法(特許文献2:特開昭59-50068)、
(4)SiO2と微量のB2O3を添加する方法(特許文献3:特開2000-281428)、
(5)酸化スカンジウム、酸化イッテルビウム、酸化ゲルマニウムを0.01〜0.5wt%添加し、不活性雰囲気で焼成する方法(特許文献4:特開昭48-2883)等が開示されている。
(1)の手法では、比較的透光性の高い焼結体が得られるものの、大型又は複雑形状の焼結体を作製することが困難な上に、ホットプレス後のアニール処理が必要であり、かつ量産性に乏しい。またLiFやNaFは低融点化合物であり、焼成過程において蒸発し、試料の外周部と内部で粒成長速度に差が生じるため、肉厚試料の場合には均一な焼結体を作製することは困難である。
(2)の手法では、充分な透光性の焼結体を得ることは非常に困難であると共に、MgOの緻密化を促進する有機溶剤の役割が未解明であり、粉末の製造履歴によっては有機溶媒の添加効果が発現しない場合がある。
(3)の手法においては、透過率に関する記述が無いために詳細は不明であるが、Al2O3単独で透光性の高い焼結体を作製するためには、非常に焼結性に優れた原料粉末を使用する必要がある。
(4)の手法では、B2O3が微量であってもマグネシアの高温での機械的強度を低下させる上、低融点物である硼素化合物によって焼成炉が激しく汚染されるという欠点がある。
(5)の手法においては、1700℃以上という比較的高温で焼成しているにもかかわらず、透光性も全透過率で80%程度であり、理論透過率(≒88%)には遠く及ばないという欠点がある。またこれら焼結助剤を添加する方法では、比表面積は記載されていないため詳細は不明であるが、非常に微細なマグネシア粉末を用いている。粉体の粒子径が小さくなるほど焼結活性は高くなるが、粒子間の摩擦力が大きくなり、均一な組織の成形体を作製することは難しくなる。また収縮が大きくなり、亀裂が発生しやすくなる等の欠点がある。
G.D.Miles et al, Trans.Brit.Ceram.Soc. 66 319(1967) 特開昭51-80313 特開昭59-50068 特開2000-281428 特開昭48-2883
この発明の課題は、工業的に実用化が可能な手法により可視部から赤外領域に渡って透明な酸化マグネシウム焼結体とその製造方法を提供することにある。
本発明の透光性酸化マグネシウム焼結体は、Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下、Sc2O3とAl2O3とを除く純度が99.9%以上で、焼結体の平均粒子径は1μm以上20μm以下で、波長500nmから6.5μmの領域に渡っての直線透過率が1mm厚みで85%以上である、ことを特徴とする。
本発明の透光性酸化マグネシウム焼結体の製造方法は、Sc2O3とAl2O3とを除く純度が99.9%以上で、比表面積3〜15m2/gの酸化マグネシウム粉末とバインダーを用いて、成形密度が理論密度比58%以上、Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下の成形体を作製し、これを熱処理してバインダーを除去した後に、還元雰囲気中、真空中もしくは大気中で、1250℃以上1600℃以下で、理論密度比94%以上となるように一次焼成し、更にこの後、1200℃以上1600℃以下の温度及び49MPaから196MPaの圧力で、熱間静水加圧(HIP)処理を施すことにより、Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下、焼結体の平均粒子径は1μm以上20μm以下で、波長500nmから6.5μmの領域に渡っての直線透過率が1mm厚みで85%以上の焼結体とすることを特徴とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため種々検討を行った結果、波長500nmから6.5μmの領域に渡っての直線透過率が1mm厚みで85%以上の酸化マグネシウム焼結体を作製できることを見出した。そのためにはSc2O3とAl2O3とを除く純度が99.9%以上で比表面積3〜15m2/gの、酸化マグネシウム粉末又は高純度酸化マグネシウム粉末を用いる。そしてこの粉体とバインダーとで、Sc含有量を30wtppm以上2000wtppm以下に、Al含有量を5wtppm以上100wtppm以下に管理した、理論密度比が58%以上の高密度成形体を作製する。次に還元雰囲気中、真空中もしくは大気中で、焼結体の理論密度が94%以上となるように1250℃以上1600℃以下で一次焼成を行った後、1200℃以上1600℃以下の温度で49MPaから196MPaの圧力でHIP処理を施すことによって、サブミクロン以下の気孔を排出でき、可視から赤外領域に渡って良好な透過率を有する焼結体が得られる。
なお製造工程を管理すると、Sc含有量やAl含有量は成形体の段階から焼結体まで変わらないようにでき、他の不純物の含有量も成形体から焼結体までの過程で増さないようにできる。
本発明によるマグネシアの焼結においては、30wtppm以上2000wtppm以下のSc、及び5wtppm以上100wtppm以下のAlが、焼結助剤として大きな効果を発揮している。焼結における緻密化機構の詳細に関しては不明であるが、1250℃以上1600℃以下の範囲で一次焼成した場合のみ緻密化促進剤としての効果を発揮し、それ以上の温度では異常粒成長を促進すると共に異相を生成する。
使用原料の焼結性等にもよるが、一次焼成温度が1250℃未満の場合、Sc及びAlの有無及び含有量に関係なく、粒成長による緻密化が充分進行しないため、焼結体の理論密度は94%未満となる。このような状態では、HIP処理を施しても消滅させることが出来ない大きな空隙が存在するため、不透明若しくは半透明の焼結体しか得られない。
Sc含有量が30wtppm未満の試料を1250℃以上1600℃以下の範囲で一次焼成した場合、その焼結密度は94%以上となるが、HIP処理を施しても充分な緻密化が行えず、その結果得られる焼結体は半透明体若しくは不透明体である。一方、Sc含有量が2000wtppmを超える場合、それ以下の場合と比較して粒成長が著しく早く、一次焼成でもHIP処理でも充分気孔が排出される前に結晶粒子が大きくなるため、気孔を結晶内に含んだ平均粒子径の大きな焼結体となる。その結果、得られる焼結体はSc含有量が30wtppm未満の場合と同様、半透明体若しくは不透明体である。
本発明では、Scと極微量のAlを共に添加する。すなわちSc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下の範囲であっても、Al含有量が5wtppm以下の場合、HIP処理を施しても充分な緻密化促進効果が得られず、透光性の優れた焼結体を得ることは容易では無い。またAl含有量が100wtppmを超える場合、主として粒成長促進剤として作用し、気孔を焼結体内部に含んだまま急激な粒成長が起こり、透光性は著しく低下する。
また1600℃を越える温度で一次焼成を行った場合、気孔の排出が充分行われないまま焼結し、充分な透光性を有する焼結体を作製することは困難である。この場合、焼結体の平均粒子径は20μm以上である。また焼成条件によっては、助剤として添加したScが粒界に偏析し異相が生じる。従って一次焼成温度は1250℃以上1600℃以下にする必要がある。
成形体の一次焼成雰囲気については還元雰囲気中、真空中もしくは大気中のいずれでも良いが、好ましくは水素雰囲気中もしくは真空中である。焼成時間は最高温度での保持時間で表し、例えば10分以上10時間以下とし、好ましくは30分以上2時間以下とする。
更にこの一次焼成の後にHIP処理を施すことにより、優れた透光性を有する焼結体とすることが出来る。圧力媒体は特に限定されるものではないが、工業的に入手可能な不活性ガスを用いれば良く、処理温度は1200℃以上1600℃以下が好ましい。1200℃よりも低いと気孔を完全に除去することが出来ず、1600℃よりも高いと粒成長が進行し、残留ポアを生じる。また処理圧力は49MPa以上196MPa以下が好ましい。49MPa以下では充分な効果が得られず、196MPa以上ではいたずらに装置を大掛かりにするのみで、透光性の向上はない。処理時間は0.5時間以上であれば充分であり、例えば0.5時間以上2時間以下とし、処理品の厚み等により種々時間を変更して行えばよい。HIPの処理時間も最高温度への保持時間で定める。
透光性に優れた焼結体を作製するためには、内部に大きな気泡や空隙を含まない均質で高密度な成形体を作製し、焼結する必要がある。成形密度が理論密度比58%未満の成形体内部には、パッキングが不充分なため大きな空孔が多数存在している。そのため緻密化促進剤であるSc及びAlを適量添加した成形体であっても、1600℃以下の焼成で充分緻密化させることは容易ではない。一方、成形密度が58%以上の成形体は比較的その内部の空孔が少なく、低温でも充分緻密化させることが可能である。
使用する原料粉末の一次粒子径については特に限定されるものではなく、本特許請求範囲内の比表面積3〜15m2/gで、成形、焼成プロセスに適合したものを選択すれば良い。すなわち、超微粉は焼結活性が高く焼結性に優れている反面、ハンドリングが容易でないばかりか、凝集粒子が多く成形密度を高くすることが容易ではない。また粗粒の場合、パッキングは容易なものの焼結活性が低く、低温で緻密化させることは容易ではない。従って、焼結性、パッキング性及びハンドリング性の観点から、使用原料の比表面積は3〜15m2/gが好ましく、5〜12m2/gのものがより好ましい。更には、凝集が少なく粒度分布の均一なものを使用するのが最も好ましい。
以下に本発明を実施するための最適実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
以下、製造方法を具体的に説明する。焼結体の作製には、純度99.9%以上で比表面積が3〜15m2/gの、易焼結性高純度酸化マグネシウム原料粉末を使用する。なお純度はSc2O3とAl2O3と成分を不純物から除いて考える。高純度原料粉末に含まれる不純物としては、Ca、Si等が挙げられる。これらの不純物量が多いと、Sc及びAlによる緻密化促進効果を阻害するのみならず、場合によっては粒界に偏析し液相を生成する可能性があり好ましくない。またFe、Cr等の遷移元素は焼結体の着色源となるため好ましくない。従って使用原料は充分精製された高純度なものを選択する必要がある。ただし、カラーフィルターなどの様に意図的に添加する場合はこの限りではない。
一般に酸化マグネシウム粉末は、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等のマグネシウム塩を熱分解して得られるが、これら母塩の種類によって焼結性が大きく左右される。本発明で使用する出発母塩としては、焼結性の良い塩基性炭酸マグネシウムが最も好ましいが、特に限定されるものではない。
次に所望の形状の成形体を作製する。セラミックスの成形方法としては、押し出し成形、射出成形、プレス成形や鋳込み成形等が挙げられる。成形は何れかの手法に限定されるものではなく、成形密度が58%以上となり不純物等の混入が少ない手法により行えば良い。またこの際、必要に応じて焼結助剤のSc及びAlを各種成形法に応じ均一に分散するように添加する。添加方法は特に限定されるものではなく、例えばプレス成形の場合であれば、顆粒作製用スラリー中に適量のSc及びAl化合物を添加し、ボールミル等により充分混合した後にスプレードライヤ等により乾燥し、成形用顆粒とすれば良い。
Sc及びAlの添加時期に関しては、例えば原料合成段階や仮焼段階で添加しても問題ない。少量の含有量でその効果を充分発揮させるには、原料中に混合させておくのが最も好ましい。また添加形態については、例えば成形段階で添加するものであれば、酸化物の微粉末を適量添加して混合すれば良い。添加剤を均一に分散させるため、その大きさは原料粉末の一次粒子径と同程度、若しくはそれ以下のものを使用するのが好ましい。また原料合成段階に添加する場合には、塩化物、水酸化物、硝酸塩等で適宜添加すれば良い。添加剤の純度に関しては、原料粉末同様、高純度のものを使用するのが好ましい。
得られた成形体は、熱分解による脱バインダー処理を行う。この際の処理温度、時間、雰囲気は添加した成形助剤の種類等により異なるが、試料表面が閉空孔化しない温度以下で充分時間をかけて行う。この温度は、使用原料粉末の仮焼温度や焼結性、及び成形体のパッキングにもよるが、通常800℃から1200℃程度で行うのが好ましい。また雰囲気は酸素雰囲気が最も一般的であるが、必要に応じAr、若しくは減圧下で行っても問題ない。
脱バインダー処理終了後、試料を還元雰囲気または真空中、または大気中で1250℃以上1600℃以下の温度で0.5時間以上一次焼成する。焼成時間は全体を均一に焼結させるために0.5時間以上必要であり、それ以上であれば特に限定されるものではない。焼成雰囲気や試料の厚みにもよるが、通常1〜5mm程度の試料厚みであれば、1時間から10時間程度の焼成で充分である。
更にこの雰囲気焼成の後、1200℃以上1600℃以下の温度及び49MPaから196MPaの圧力でHIP処理を行う。この時間も、試料厚みによるが、1〜5mm程度の試料厚みであれば、一般的には0.1時間から10時間程度で良いが、好ましくは0.5時間から2時間程度である。なおHIP時間は最高温度への保持時間で表す。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
濃度0.4M(mol・dm-3)の高純度塩化マグネシウム溶液5Lを濃度0.4M(mol・dm-3)の炭酸ナトリウム溶液5Lに100ml/minの速さで滴下し、35℃で1日間養生を行った。養生後、濾過及び超純水を用いた水洗を数回繰り返した後、150℃の乾燥機に入れて1日間乾燥した。得られた塩基性炭酸マグネシウムをアルミナ製坩堝に入れ、1200℃で15時間仮焼することにより、比表面積10m2/gの高純度酸化マグネシウム原料粉末を作製した。
この原料粉末50gと、原料に対してSc換算で1000wtppm相当のSc2O3微粉末(信越化学製、99.99%)及び、Al換算で50wtppmのAl2O3微粉末(大明化学製 TM-DAR)を添加し、解こう剤として共栄社化学製フローレンG-700を1g添加し、さらにバインダーとして積水化学製PVB-BL1を0.25g添加してエタノール20gを加え、ナイロンポット及びナイロンボールを用いて24時間混合し、アルコールスラリーとした。このスラリーを石膏型に流し込み、直径20mm、厚さ2mmのディスク状成形体を作製した。この成形体を酸素気流中5℃/hrで昇温し、1000℃で5時間脱脂処理を行った。成形体中に含まれるSc及びAl量をICP発光分析法により求めた結果、MgOに対してScが970wtppm、Alは52wtppmであった。また成形密度は60.6%であった。次にこの成形体を真空炉にて100℃/hrで1500℃まで上昇し、1時間保持した後に500℃/hrで冷却した。焼成時の真空度は10-2Pa以下とした。一次焼結体の理論密度をアルキメデス法により求めた結果、97.9%であった。この一次焼結体をArガス中800℃/hrで1300℃まで昇温し、98MPaの圧力下で1時間保持してHIP処理を行った。得られた焼結体は、ダイヤモンドスラリーを用いて鏡面研磨を行い、分光光度計にて直線透過率(t=1.0mm)を測定した。その結果、波長500nm及び6.5μmにおける直線透過率は、それぞれ85.4%、86.7%であった。実施例1の焼結体の直線透過率を図1に示す。この図から、波長500nmから6.5μmの範囲においては、500nmで透過率が最も低くなるため、以降の実施例及び比較例においては500nmにおける直線透過率を測定した。
この試料を大気中1300℃にて2時間サーマルエッチングを行い、微構造を観察した結果、平均粒子径は12.9μmであった。ここで平均粒子径は、SEM等の高分解能画像上で任意に引いた線の長さをCとし、この線上の粒子数をN、倍率をMとして、平均粒子径=1.56C/(MN)として求めた。また焼結密度を求めた結果、99.96%であった。なおこの焼結体を、オートクレーブを用いて酸に溶解した後、ICP発光分析法によりSc含有量及びAl含有量を求めた結果、MgOに対してScが970wtppm、Alは52wtppmであった。
実施例2〜7及び比較例1〜6
Sc及びAl添加量の異なるマグネシア成形体(成形密度は59%以上)を種々作製し、実施例1と同様に焼成して得た焼結体の添加剤含有量、平均粒子径、500nmでの直線透過率を求めた結果を表1に示す。この結果より、Sc含有量が30wtppm以下、若しくは2000wtppm以上では透過率85%以上の焼結体は得られないことが判る。またSc含有量が上記範囲内であったとしても、Al含有量が5wtppm未満、若しくは100wtppmを超えると同様であることが判る。
表1
Sc含有量 Al含有量 平均粒子径 直線透過率
/wtppm /wtppm /μm /%
実施例2 32 8 7.0 85.0
実施例3 98 21 7.6 85.1
実施例4 490 52 10.2 85.4
実施例5 970 12 10.8 85.6
実施例6 970 98 13.1 86.2
実施例7 1950 21 16.0 85.3
比較例1 0 3 5.3 48.3
比較例2 16 94 8.1 65.4
比較例3 490 3 8.4 82.7
比較例4 970 110 13.5 78.7
比較例5 2080 52 16.8 77.9
比較例6 2080 110 18.3 64.5
実施例8〜12及び比較例7〜9
純度99.9%以上のマグネシア原料粉末5gをアルミナ製乳鉢に入れ、原料に対してSc換算で1500wtppm相当のSc2O3微粉末及び、Al換算で40wtppm相当のAl2O3微粉末を添加し、混合、粉砕を行った。この粉末をφ15mmの金型に入れ、10MPaの圧力で一次成形を行った後、CIP成形により成形密度58.8%の成形体を作製した。この成形体を種々異なる焼成温度により、水素雰囲気中で5時間焼成を行った後、実施例1と同じ条件でHIP処理を行った。一次焼成温度及び一次焼結密度、HIP処理後の焼結体の平均粒子径と直線透過率を表2に示す。この結果より、一次焼成温度が1250℃以上で焼結密度が94%以上となり、HIP処理後に平均粒子径1μm以上20μm以下で、透過率85%以上の焼結体が得られる。しかし一次焼成温度が1250℃未満の場合、焼結密度は94%以下となり、HIP処理による気孔の除去が困難となって、透光性の焼結体は得られない。一方、一次焼成温度が1600℃を超える場合、焼結密度は94%以上となるが、結晶内部に気孔を含んだまま粒成長し、透過率が低下することが判る。
表2
一次焼成温度 一次焼結密度 平均粒子径 直線透過率
/℃ /% /μm /%
実施例8 1250 94.6 1.9 85.1
実施例9 1350 96.9 5.6 85.6
実施例10 1450 98.5 10.2 86.2
実施例11 1550 99.3 15.9 85.7
実施例12 1600 99.5 18.8 85.4
比較例7 1225 93.2 1.5 ―
比較例8 1625 99.6 21.0 82.1
比較例9 1700 99.7 28.2 52.3
実施例13〜16及び比較例10〜12
実施例1と同様にして高純度酸化マグネシウム原料粉末を作製した。この原料粉末に、原料に対してSc換算で500wtppm相当のSc2O3微粉末及び、Al換算で70wtppm相当のAl2O3微粉末を添加し、混合、粉砕を行った後に異なる圧力でCIP成形を行うことにより、成形密度の異なる成形体を作製した(比較例10〜12、実施例13)。また実施例1と同様の手順により、混合時間の異なるアルコールスラリーを調整し、成形密度の異なる成形体を作製した(実施例14〜16)。この成形体を大気中1350℃で3時間焼成した後、Arガス中1400℃、196MPaの圧力下で2時間保持してHIP処理を行った。成形密度と、焼結体の直線透過率を表3に示す。比較例10では、緻密に焼結している部分と焼結がほとんど進んでおらず気泡が残留している部分とが任意に連なった構造となっており、平均的な組織及び透過率の測定は不可能であった。成形密度の向上に伴い組織は次第に均一になり、これに伴い透過率も向上している。表3の結果より、透過率85%以上の透光性に優れた焼結体を得るためには、その成形密度が58%以上必要であることが判る。
表3
成形密度/% 平均粒子径/μm 直線透過率/%
実施例13 58.5 9.3 85.4
実施例14 59.9 10.6 85.7
実施例15 61.3 11.2 86.2
実施例16 62.6 11.5 86.4
比較例10 49.0 ― ―
比較例11 52.6 5.6 40.8
比較例12 57.4 7.9 75.7
実施例17〜25及び比較例13〜17
実施例8と同様にして成形、一次焼成した焼結体を、種々の温度、圧力、時間でHIP処理を施した。それぞれの平均粒子径と直線透過率を表4に示す。これらの結果より、処理温度1200℃以上1600℃以下及び、処理圧力49MPa以上196MPa以下の範囲外でHIP処理を行っても、その効果が発揮されないことが判る。更にHIP温度が高すぎる場合には、雰囲気焼成の場合と同様、Scの析出や異常粒成長を生じるため、逆に透過率は低下してしまうことが判る。
表4
温度/℃×時間 圧力 平均粒子径 直線透過率
/hr /MPa /μm /%
実施例17 1200×1 196 1.7 85.0
実施例18 1250×1 196 2.1 85.1
実施例19 1250×2 49 2.5 85.3
実施例20 1300×0.5 196 4.1 85.5
実施例21 1450×0.5 196 10.8 85.6
実施例22 1450×2 98 11.9 86.0
実施例23 1600×0.5 196 18.6 86.4
実施例24 1600×0.5 98 18.1 86.2
実施例25 1600×2 49 19.2 86.4
比較例13 1150×1 196 1.4 69.2
比較例14 1300×1 40 3.7 81.8
比較例15 1600×1 40 18.7 82.5
比較例16 1650×1 196 23.8 75.1
比較例17 1700×0.5 196 30.5 64.6
実施例1の焼結体の直線透過率を示す特性図

Claims (2)

  1. Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下、Sc2O3とAl2O3とを除く純度が99.9%以上で、焼結体の平均粒子径は1μm以上20μm以下で、波長500nmから6.5μmの領域に渡っての直線透過率が1mm厚みで85%以上である、ことを特徴とする透光性酸化マグネシウム焼結体。
  2. Sc2O3とAl2O3とを除く純度が99.9%以上で、比表面積3〜15m2/gの酸化マグネシウム粉末とバインダーを用いて、成形密度が理論密度比58%以上、Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下の成形体を作製し、これを熱処理してバインダーを除去した後に、
    還元雰囲気中、真空中もしくは大気中で、1250℃以上1600℃以下で、理論密度比94%以上となるように一次焼成し、
    更にこの後、1200℃以上1600℃以下の温度及び49MPaから196MPaの圧力で、熱間静水加圧処理を施すことにより、
    Sc含有量が30wtppm以上2000wtppm以下、Al含有量が5wtppm以上100wtppm以下、焼結体の平均粒子径は1μm以上20μm以下で、波長500nmから6.5μmの領域に渡っての直線透過率が1mm厚みで85%以上の焼結体とすることを特徴とする、透光性酸化マグネシウム焼結体の製造方法。
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