JP4388793B2 - エアフィルタ - Google Patents
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このようなエアフィルタ一個の重量は5kg程度のため、作業者は、比較的簡単に前記エアフィルタを持ち上げて天井部に敷設することができた。
ところが、エアフィルタ毎にファンユニットを設けてファンフィルタユニットとした場合、ファンフィルタユニット一個の重量が40kg程度と重くなるため、図8に示すように、クリーンルームaの天井裏に少なくとも二人の作業者f,fが入って敷設作業を行う必要があった。詳細には、作業者f,fは、先ず、エアフィルタdのフィルタ枠を両側から支持してエアフィルタdを天井桁cに載置し、次いで、ファンユニットeを前記エアフィルタdに重ねて、ファンフィルタユニットmを天井部に敷設していた。
通常、作業者fは、フィルタパックを破損しないためにフィルタ枠を支持する必要があるが、フィルタパック面を遮らないようにフィルタ枠の幅が狭く形成されていると、作業者がフィルタ枠を支持しにくいため、フィルタパックの下流側に配設した網状物を手のひらで支えざるを得ない場合があった。
この場合、図11に示すように、作業者が網状物jを手のひらkで支持してファンフィルタユニットを押し上げると、網状物jが上流側方向に押されて凸状に湾曲し、フィルタパックを構成する濾材hが網状物jに押されて、フィルタ側板g1にシール剤iで固定されている濾材hの端部が引きちぎられるという問題があった。
そこで、本発明は、前記問題を解決すべく、エアフィルタ敷設時に、エアフィルタの濾材の下流側を支えたとしても、濾材が破断しないエアフィルタを提供することを目的とする。
また、請求項2記載のエアフィルタは、請求項1に記載のエアフィルタにおいて、前記支持部材を、フィルタ枠を構成する一対の対向するフィルタ側板のそれぞれから100〜150mm離れた各一ヶ所に配設したことを特徴とする。
エアフィルタ敷設時に、作業者が下流側から前記支持部材で前記エアフィルタを支持することができるため、従来のように濾材の破断防止のために、昇降装置等の特別な装置を用いることなく、敷設作業を容易に行うことができる。
前記エアフィルタは、圧力損失の上昇をもたらすことなく、濾材を所定形状に保持して、縦寸法305mm以上×横寸法305mm以上×奥行寸法30〜290mmの大きさのエアフィルタを構成するのに好適なものである。
前記エアフィルタを天井敷設時に、作業者は、前記支持部材を支持して、下流側から前記エアフィルタを押し上げることができる。
前記支持部材は、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属、PC等の押出成形樹脂等の樹脂、合板等を形成する木等の作業者が支持しても変形しない強度を有する材料を、後述する平板等の形状に形成したものを支持部材として用いている。尚、支持部材の材料として、フィルタ枠を構成するフィルタ側板の材料と同じ材料を用いてもよい。
すなわち、前記濾材の折山間に没入されるように、前記濾材のプリーツと平行に、10〜50mm間を離して二枚の平板を配設し、前記平板の没入方向の後端側に、前記二枚の平板の間を前記網状物の面と平行に設けた帯状平板で連結した断面コ字状のものを支持部材としてもよい。断面コ字形状の支持部材は、フィルタ枠に固定される面積が増え、強固に支持部材がフィルタ枠体に固定されるため、網状物の変形防止効果に優れる。また、平行に配置した二枚の平板の間に亘って、帯状平板が連結されているため、帯状平板の端部を手のひらで押した場合であっても帯状平板がぐらつかず、安定にエアフィルタを支持することができる。
また、前記濾材の折山間に没入されるように、前記濾材のプリーツと平行に設けた前記平板と、前記平板の没入方向の後端に前記網状物の面と平行に設けた帯状平板を連結した断面T字状のものを支持部材としてもよい。断面T字状の支持部材は、前記平板だけを配設した場合よりも、前記帯状平板を配設したために手のひらで支持可能となる面積が増えて敷設作業が容易になる。
また、前記濾材の折山間に没入されるように、前記濾材のプリーツと平行に平板を配設し、前記平板の没入方向の後端側に、前記網状物を挟んで、該網状物の下流側に前記帯状平板を配設して、互いに連結していない前記平板と前記帯状平板とを組み合わせてそれぞれを支持部材として用いてもよい。前記網状物の下流側に配設した帯状平板によって、作業者は網状物を押すことなく、直接前記帯状平板を支持することができる。また、前記帯状平板の中央部を作業者が押したために、エアフィルタの重量等によって、前記帯状平板が上流側方向に撓んだ場合であっても、前記網状物よりも上流側に配設した前記平板により、前記網状物の上流側方向の変形を確実に防止することができる。
例えば、前記網状物を、三枚の網状体で構成し、前記エアフィルタの中央部に配設する網状体の両端部をフィルタパック方向に折り曲げて折曲部を形成し、前記エアフィルタの両側部に配設する網状体の片端を同様にフィルタパック方向に折り曲げて一つの折曲部を形成し、前記中央部に配設する網状体の折曲部と、その両側部に配設する網状体の折曲部同士を当接させた折曲部を支持部材として用いてもよい。当接させた折曲部同士を接着又は溶着すると、支持部材として手のひらで支持する部分の強度を向上させることができる。前記折曲部は、前記濾材の折山間に没入するように、濾材のプリーツと平行にフィルタパック方向折り曲げて形成すると、折曲部を大きく形成でき、固定される折曲部が大きくなって強固にフィルタ枠に固定されるため、手のひらで支持可能となる部分の強度が向上し、網状物の変形防止効果が大きくなる。また、一枚の網状体で構成した網状物の一部に折山を形成するように折り曲げた折曲部を支持部材として用いてもよい。
その他、濾材のプリーツと直交するようにフィルタパック方向に折り曲げた折曲部を設けた網状物を支持部材として用いてもよい。
尚、前記折曲部の端部が、前記濾材の折山部と接触しないように、前記網状物を前記フィルタ枠に固定することが好ましい。尚、前記折曲部は、網状物の補強効果も有する。
前記エアフィルタ敷設時に、作業者が、前記エアフィルタの下流側から前記支持部材を手のひらで押し上げた際に、前記支持部材が前記フィルタ枠の切り込みに引っかかって、この切り込みを越えて濾材方向に移動することがないため、前記網状物に力がかからず、前記網状物の上流側方向への変形を防止できることとなる。また、前記支持部材の端部は、フィルタ枠の内側壁に設けた切り込みに嵌合して固定することがより好ましい。より強固に前記支持部材がフィルタ枠に固定されるからである。尚、前記支持部材は、作業者が前記支持部材を支持した際に、上流側に移動しないように、フィルタ枠に強固に固定されていればよく、切り込みに支持部材を埋め込んで固定する方法に限らず、シール剤、接着剤等を用いて支持部材をフィルタ枠に固定してもよい。
尚、支持部材の形状にかかわらず、フィルタ枠を構成する二対の対向するフィルタ枠の側板のそれぞれから100〜150mm離れた各一ヶ所に前記種々の形状の支持部材を適宜組み合わせて配設してもよい。
前記網状物は、フィルタ枠を構成するフィルタ側板の内側壁に設けた切り込みに前記網状物の周囲を埋め込んでフィルタ枠に固定することが好ましい。前記網状物の周囲をフィルタ枠に埋め込み固定した場合、前記網状物が補強され、風圧及び自重によるフィルタパックの変形防止に優れる。また、前記支持部材として用いる折曲部の部分も含めて、フィルタ側板の内側壁に設けた切り込みに前記網状物の周囲を埋め込んで固定すると、前記折曲部が切り込みを越えて移動することがないため、前記網状物の上流側方向への変形を防止効果が向上する。
また、前記フィルタパックの前記濾材のプリーツと平行となる端部は、例えば、接着剤を使用してフィルタ枠に固定される。前記接着剤は、クロロプレン樹脂、ウレタン樹脂、あるいは、シリコーン樹脂からなる接着剤を用いることができるが、前記接着剤に限定されるものではない。また、前記フィルタパックの前記濾材のプリーツと直交する端部は、例えば、シール剤を使用してフィルタ枠に気密に固定される。前記シール剤は、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、あるいは、シリコーン樹脂からなるシール剤を用いることができるが、前記シール剤に限定されるものではない。尚、接着剤は、ジグザグ状に折畳んだ濾材のプリーツと平行となる濾材の端部を線状に接着するものであるため、大きな流動性等は要求されないが、シール剤は、ジグザグ形状となっている濾材の端部をフィルタ側板に気密に固定するものであるため、広い面積に塗布可能となるように、シール剤塗布時に流動性を有するものを用いることが要求される。
図1に示すように、エアフィルタ1は、ガラス繊維製の濾材3をジグザグ状に折り畳み、折山部間をリボン状ホットメルト樹脂4で固定した折幅40mmのフィルタパック5と、厚さ1mm、開口率約35%のアルミニウム製のラス網6が、縦寸法750mm×横寸法1500mm×奥行寸法50mmの大きさの断面長方形のフィルタ枠2内に収容されている。前記フィルタ枠2は、厚さ50mmのアルミニウム製のフィルタ側板2a,2b,2c,2dから構成されている。
前記フィルタパック5の濾材3のプリーツと平行となる端部は、対向する一対のフィルタ側板2c,2dに接着剤で固定され、濾材3のプリーツと直交する端部は、一対のフィルタ側板2a,2bにシール剤で気密に固定されている。また、ラス網6は、エアフィルタ1の下流側に配設され、フィルタ側板2c,2dの内側壁に設けた切り込み2eに周囲を埋め込み固定されている。
支持部材8は、平板8a,8bを、濾材3の折山間に没入するように濾材3のプリーツと平行に配設し、平板8a,8bの没入方向の後端部に連結した帯状平板8cをラス網6の面と平行になるように配設している。また、支持部材8は、支持部材16と同様に、一対の対向するフィルタ側板2c,2dのそれぞれから100〜150mm程度離れた内側の各一ヶ所に配設されている。支持部材8は、その端部を前記フィルタパック5とともに、シール剤でフィルタ側板2a,2bの内側壁に固定されている。
本試験では作業者取扱試験は以下のように行った。
図6(a)のエアフィルタの平面図に示すように、エアフィルタ1の下流側に配設したラス網6上の、エアフィルタ枠2から150mm離れた仮想線上の交点となる4箇所の部位を支え部11とした。
エアフィルタ1にファンユニット13を載置し、図6(b)の説明図に示すように、30kgのファンフィルタユニット12として組み立て、エアフィルタ1の下流側面から、前記支え部11を二人の作業者10,10の手のひら10a,10aで押し上げ、その後、手のひら10a,10aで支え部11を支持した状態でファンフィルタユニット12を200mm下降させる。前記押し上げ及び下降を5回繰り返した。
一方、従来のエアフィルタは、支え部11を中心として、ラス網6が上流側に凸状に変形し、濾材3の端部が破断しており、また、濾材3の破断箇所の反対面、すなわち、上流側面の濾材3は潰れて変形していた。
作業者取扱試験と同様に、エアフィルタ1にファンユニット13を載置して、ファンフィルタユニット12を組み立て、図6(a)に示すラス網6の支え部11の上に、図7に示すように、縦寸法100mm×横寸法100mm×厚さ1mmのアルミ板14を載せて、4箇所の支え部11において、濾材3が破断するまでの荷重をプッシュプルゲージ15で測定した。
2 フィルタ枠
2a,2b,2c,2d フィルタ側板
2e 切り込み
3 濾材
4 リボン材
5 フィルタパック
6 ラス網
7 平板からなる支持部材
8 断面コ字形状の支持部材
8a,8b 平板
8c 帯状平板
9a 接着剤
9b シール剤
10 作業者
10a 手のひら
11 支え部
12 ファンフィルタユニット
13 ファンユニット
14 アルミ板
15 プッシュプルゲージ
16 ラス網
16a 折曲部
17 帯状平板からなる支持部材
a クリーンルーム
b 天井裏
c 天井桁
d エアフィルタ
e ファンユニット
f 作業者
g1,g2,g3,g4 フィルタ側板
h 濾材
i シール剤
j 網状物
k 手のひら
m ファンフィルタユニット
Claims (2)
- ジグザグ状に折り畳んだプリーツ付きの濾材で構成されるフィルタパックと、前記フィルタパックの少なくとも下流側に配設した網状物とを、フィルタ枠に収納し固定したエアフィルタであって、前記網状物の上流側方向への変形を防止する支持部材を、前記濾材の下流側において、前記フィルタ枠に固定したものにおいて、前記支持部材は、前記濾材のプリーツの折山間に没入されるように、該プリーツと平行に設けた平板と、前記平板の没入方向の後端に前記網状物の面と平行に設けた帯状平板とからなることを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ。
- 前記支持部材を、フィルタ枠を構成する一対の対向するフィルタ側板のそれぞれから100〜150mm離れた各一ヶ所に配設したことを特徴とする請求項1記載のエアフィルタ。
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