JP4386596B2 - 冷菓製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はソフトクリーム等の冷菓を製造する冷菓製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置としては、実公昭63−20304号公報に示されるように、コンプレッサ、凝縮器、絞り及び冷却シリンダとホッパー(ミックスタンク)に装備した冷却器(シリンダ冷却器及びホッパー冷却器)からなる冷却装置を備え、この冷却装置の冷凍サイクルを四方弁により可逆させ、冷菓製造時には冷却器に液化冷媒を流して冷却シリンダ、ホッパーを冷却し、一方ミックス、装置の殺菌時にはコンプレッサからの高温冷媒ガス(ホットガス)を冷却器に導いて放熱させ、冷却器を放熱器として作用させて、冷却シリンダ、ホッパーの加熱を行なうものがある。
【0003】
そして、冷却シリンダ内にはビータモータにて駆動されるビータが取り付けられ、ホッパーから冷却シリンダに適宜供給されるミックスを冷却シリンダ内にてシリンダ冷却器により冷却しながらビータによって撹拌し、ソフトクリームなどの冷菓を製造するものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、冷菓製造を開始する初期のプルダウン(仕込み)時や、冷菓製造後に販売が行われ、ホッパーから冷却シリンダ内にミックスが供給された場合などには、冷却シリンダ内においてミックスを迅速に冷却する必要があると共に、所要のオーバーランを出すための撹拌が必要となるため、シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度は通常−15℃付近とされ、且つ、ビータも所定の回転数で回転させていた。
【0005】
一方、冷却シリンダ内において一旦冷菓製造が完了した後は、その状態を保持できれば良い。即ち、冷菓製造後は冷菓の温度を維持し、且つ、ビータによってその温度を均一化できれば良いものであるが、従来では冷菓製造時と同様の冷媒蒸発温度で冷却シリンダを冷却し、且つ、ビータによって内部を撹拌していたため、シリンダ冷却器によって必要以上に冷菓を冷却し、且つ、撹拌する状況となっていた。そのため、無用な電力が消費されると共に、過剰な撹拌により冷菓の軟化現象が発生したり、乳脂肪分が分離し、冷菓の品質が劣化してしまう問題が発生していた。
【0006】
本発明は、係る従来の技術課題を解決するために成されたものであり、冷菓製造時とその後の冷菓を保持する場合とで運転状態を切り替えることにより、冷却シリンダ内において製造された冷菓を良好に保持でき、且つ、省エネにも寄与することができる冷菓製造装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷菓製造装置は、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、該ホッパーより適宜供給されるミックスを冷却する冷却シリンダと、前記ホッパーを冷却するホッパー冷却器と、前記冷却シリンダを冷却するシリンダ冷却器と、前記冷却シリンダ内のミックスを撹拌するビータとを備え、前記冷却シリンダ内においてミックスを撹拌しながら前記シリンダ冷却器によって前記冷却シリンダを冷却することにより、冷菓を製造する冷菓製造運転と、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却と冷却停止とを繰り返すことにより、前記冷菓製造運転において製造された冷菓を所定の温度以下に保持する冷菓保持運転とを実行すると共に、該冷菓保持運転においては、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とし、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却することを特徴とする。
【0008】
本発明の冷菓製造装置によれば、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、該ホッパーより適宜供給されるミックスを冷却する冷却シリンダと、前記ホッパーを冷却するホッパー冷却器と、前記冷却シリンダを冷却するシリンダ冷却器と、前記冷却シリンダ内のミックスを撹拌するビータとを備えており、前記冷却シリンダ内においてミックスを撹拌しながら前記シリンダ冷却器によって前記冷却シリンダを冷却することにより、冷菓を製造する冷菓製造運転と、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却と冷却停止とを繰り返すことにより、前記冷菓製造運転において製造された冷菓を所定の温度以下に保持する冷菓保持運転とを実行すると共に、該冷菓保持運転においては、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とし、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却するので、冷菓製造運転において冷却シリンダ内で製造された冷菓を、その後の冷菓保持運転において過剰に冷却すること無く、温度を良好に維持することができるようになる。これにより、消費電力を著しく低下させて省エネ化を図ることが可能となる。
【0009】
特に、冷菓保持運転において前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とするので、冷菓保持運転において冷菓の温度をより一層良好に維持することができるようになるものである。
【0010】
更に、冷菓保持運転において前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却するので、冷却シリンダの冷却を優先的に行いながら、冷却シリンダ及びホッパーをそれぞれ所定温度に冷却維持することができるようになる。
【0011】
請求項2の発明の冷菓製造装置は、上記発明において前記冷菓保持運転においては、前記ビータの運転を停止することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて前記冷菓保持運転においては、前記ビータの運転を停止するので、冷却シリンダ内で製造された冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することができるようになるものである。
【0013】
請求項3の発明の冷菓製造装置は、請求項1において前記冷菓保持運転においては、前記ビータの回転数を、前記冷菓製造運転における回転数よりも低下させることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明によれば、請求項1に加えて前記冷菓保持運転においては、前記ビータの回転数を、前記冷菓製造運転における回転数よりも低下させるので、冷却シリンダ内で製造された冷菓の温度を均一に保ちながら、当該冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することが可能となるものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の冷菓製造装置の一実施形態としてのソフトクリーム製造装置SMの内部構成を示す斜視図である。実施例のソフトクリーム製造装置SMは、例えばバニラソフトクリームかチョコレートソフトクリームのうちの一種類のソフトクリームを製造販売する卓上の装置である。
【0016】
各図において、1は本体、2は冷菓(ソフトクリーム)の原料である所謂ミックスを貯蔵するホッパーであり、ミックス補給時に取り外されるホッパーカバー3を有すると共に、ホッパー2の周囲に巻回したホッパー冷却コイル(冷却装置を構成するホッパー冷却器)4にてミックスは保冷される。また、5はホッパー2内底部に設けられた撹拌機(インペラ)であり、ホッパー2内にミックスが所定量以上貯留されているときに撹拌機モータ6により回転駆動される。
【0017】
7はホッパー2にミックスが所定量以上あるか否かを検知するための一対のミックスレベルセンサであり、ホッパー2内底部に取り付けられている。このミックスレベルセンサ7、7は後述する如き導電性の電極から構成され、ミックスがミックスレベルセンサ7、7の位置以上存在する場合には、両ミックスレベルセンサ7、7の電極がミックスによって導通され、それによって、ミックスの存在が判断される。ミックスが不足して液位がミックスレベルセンサ7、7の位置よりも低下すると、ミックスを介した導通状態が遮断されるので、係る遮断が検知されて後述する加熱による殺菌行程を行なわないようホットガスの流通停止、又、撹拌機5の回転停止の制御が成される。
【0018】
8はミックス供給器9によりホッパー2から適宜供給されるミックスをビータ10により回転撹拌しながら冷却することにより冷菓(ソフトクリーム)を製造するための冷却シリンダであり、その周囲にはシリンダ冷却器(冷却装置を構成する)11が交熱的に取り付けられている。ビータ10はビータモータ12、駆動伝達ベルト、減速機13および後述する回転軸を介して回転される。製造された冷菓(ソフトクリーム)を取り出す際には、冷却シリンダ8の前面を閉塞するフリーザードア14に設けられた取出レバー15を操作する。これにより、プランジャ16が上下動して後述する如く抽出路が開かれ、冷却シリンダ8内の冷菓が抽出されるものである。
【0019】
図2は上記ホッパー2の縦断側面図を示し、図3はホッパー2の平面図を示している。ホッパー2は上面に開口した矩形状のステンレス製容器であり、その底面2Aには長溝状の凹陥部56が段落形成されている。この凹陥部56内の一端部は更に低く構成され、そこが最も低い円形の低位部56Aとされると共に、他端部側はそれより一段高い高位部56Bとされている。そして、この低位部56Aの中央に前記ミックス供給器9が立設されている。
【0020】
このミックス供給器9は上端が大気に開放した管体であり、低位部56Aの直上に位置する側面には導入路9Aが開口形成されている。そして、ミックス供給器9の下端が前記冷却シリンダ8内に連通しており、導入路9Aから流入したホッパー2内のミックスは、冷却シリンダ8内の冷菓量の低下により、ミックス供給器9の下端から冷却シリンダ8に適宜供給される。また、ミックス供給器9は二重管構成とされており、内側の管体を回動させることにより、導入路9Aを開閉できるように構成されている。
【0021】
また、凹陥部56内の高位部56Bに前記撹拌機5が配置される。そして、撹拌機5の周囲に位置する凹陥部56の側面は、図4の断面図に示す如く上側が外方に拡開する傾斜面56Cとされている。また、ホッパー2の底面2Aは全体として凹陥部56の低位部56A方向に徐々に低く傾斜されている。更に、係る凹陥部56以外の部分の底面2Aに前記一対のミックスレベルセンサ7、7が所定間隔で取り付けられている。
【0022】
次に、図5は前記撹拌機5の斜視図を示し、図6は断面図を示している。撹拌機5はホッパー2内に貯蔵保冷されているミックスを撹拌し、冷却や加熱を均一に行わせるためのものであり、硬質合成樹脂などを成型することにより、各図に示されるような所定高さ寸法及び半径の有底円筒形状とされ、実施例では側壁5Aの外面及び内面が略垂直となるように構成されている。そして、この撹拌機5の円形の底壁(底面)5Bの中心に回転中心5Cが埋め込まれ、この回転中心5Cに前記撹拌機モータ6によって回転駆動される回転軸(図示せず)が下側から挿入連結されるものである。
【0023】
次に、前記ミックスレベルセンサ7、7は、図7、図8に示すように導電性材料により構成された電極7Aと、ホルダ7Bとから構成されており、電極7Aはホルダ7B内に保持された状態で、ホッパー2の底面2Aに形成した取付孔57に上から挿通され、ホルダ7Bを介して底面2Aに取り付けられる。このホルダ7Bは例えばポリアセタール、ガラス、シリコン及びフッ素樹脂から構成された撥水性材料にて成形されている。そして、一対のミックスレベルセンサ7、7がホッパー2の底面2Aに取り付けられた状態で、それらの電極7A、7Aは底面2Aから少許高い位置で所定の間隔を存して並ぶかたちとなる。
【0024】
次に、図9は冷却シリンダ8とフリーザードア14の断面図を示している。冷却シリンダ8はこの図に示すように前後方向に延在するシリンダであり、その外面にはシリンダ冷却器11が巻回されている。そして、ビータ10はこの冷却シリンダ8内に前後に渡って配設される。このビータ10の回転軸10Aは後部にて前記減速機構13に連結されているが、ビータ10の回転軸10Aは冷却シリンダ8の中心軸と同一軸芯とされている。一方、フリーザードア14はこの冷却シリンダ8の前面開口を塞ぐかたちで本体1に着脱可能に取り付けられるものであり、当該フリーザードア14内には上下に渡る取出通路59が貫通形成され、この取出通路59内に前記プランジャ16が上下移動自在に略キッチリと挿入されている。尚、取出通路59の下端には図示しない星形アダプタ(ソフトクリームを成形するためのアダプタ)が取り付けられる。そして、この取出通路59の下部からは冷却シリンダ8側に向けて抽出路61がフリーザードア14内に形成されている。
【0025】
この抽出路61の前端の出口61Aは取出通路59の内壁面下部に開口しており、後端の入口61Bはフリーザードア14が本体1に取り付けられた状態で冷却シリンダ8内の前端下部に開口する。また、この抽出路61の入口61Bは図13に示す如く冷却シリンダ8側に拡開して形成されている。この場合、抽出路61の入口61Bは図12に示す如くビータ10の回転軸10A(冷却シリンダ8の中心軸)を中心とした円弧状に左右に拡開してザグリ形成されており、更にその左右端部は図13に示す如く所定曲率で湾曲した湾曲部61C、61Cとされている。
【0026】
他方、プランジャ16の前面上部には係合凹所16Aが形成され、下部後面には図10、図11に示す如く湾曲した円形の凹陥部16Bが形成されている。取出レバー15はフリーザードア14の前端上部に形成された回動軸62に前後に回動自在に枢支されており、上部の操作部15Aとは回転軸62を挟んで反対側の下端部には、斜め後方下側に突出して前記プランジャ16の係合凹所16Aに係合する係合部15Bが形成されている。
【0027】
そして、図10に示す如く取出レバー15が略垂直に起立した状態では、プランジャ16は取出通路59内にて降下した位置にあり、その状態で凹陥部16Bは抽出路61の出口61Aに合致して当該抽出路61の出口61Aを閉塞する。そして、その状態から取出レバー15の操作部15Aを手前に引き下ろすと、プランジャ16は逆に取出通路59内で上昇し、抽出路61の出口61Aより上方に移動して出口61Aを開放する。
【0028】
そして、取出レバー15の操作部15Aを再び上後方に押し戻せば、プランジャ16は降下して再び抽出路61の出口61Aは閉塞されるものである。
【0029】
次に、係るフリーザードア14の上側に位置する本体1の前面には図14に示される如きコントローラパネル50が配設されている。このコントロールパネル50の向かって右側(取出レバー15の後方右側となる位置)には、冷却スイッチ66、殺菌スイッチ64、洗浄スイッチ67、解凍(デフロスト)スイッチ68及び停止スイッチ69が配設され、各スイッチ66、64、67及び68の上側には当該スイッチの操作によって点灯する冷却LED72、殺菌LED71、洗浄LED73及び解凍LED74が配置されている。
【0030】
一方、コントロールパネル50の向かって左側(取出レバー15の後方左側となる位置)には、文字及び図形を表示可能な表示手段としての液晶表示器76が配置され、更にその左側には選択スイッチ77と上下カーソル移動キー78及び79が設けられている。前記液晶表示器76は図形や複数行の文字を表示可能な画面寸法を有しているものとする。
【0031】
次に、図15は本発明のソフトクリーム製造装置SMの冷却装置の冷媒回路図、図16は電気回路のブロック図である。図15において18はコンプレッサ、19はコンプレッサ18からの吐出冷媒を冷却サイクル時(図15中実線状態)、加熱サイクル時(図15中点線状態)とで流れる向きを逆に切り換える四方弁、20はコンデンシングファン17により空冷されるコンデンサであり、逆止弁21を介して流入する高温、高圧の冷媒ガスを凝縮、液化して液化冷媒とする。
【0032】
液化冷媒はドライヤ23および逆止弁22を経て二手に分かれ、一方はシリンダ冷却弁24、電子膨張弁25(減圧装置)を介してシリンダ冷却器11に流入し、そこで蒸発気化して冷却シリンダ8を冷却する。そして他方はホッパー冷却弁26、前段のホッパー用キャピラリチューブ27を介してホッパー冷却コイル4に流入し、同様にここで蒸発気化し、ホッパー2を冷却した後、後段のキャピラリチューブ28を経て出ていく。
【0033】
そして、冷却シリンダ8及びホッパー2を冷却した後の冷媒ガスは、アキュムレータ30にて合流した後、四方弁19、アキュムレータ39を経てコンプレッサ18に戻る冷却サイクルを形成して、冷媒が実線方向に流れる冷却運転が行なわれる。
【0034】
ところで、この冷却運転において、良質の冷菓(ソフトクリーム)を得るべく冷却シリンダ8及びホッパー2を所定温度に冷却維持する必要がある。そのため、冷却シリンダ8の温度を検出するシリンダセンサ31(図16)を設け、このシリンダセンサ31により、シリンダ冷却弁24をON(開)、コンプレッサ18をONして冷却を行ない、シリンダ冷却弁24がOFF(閉)しているときにホッパー冷却弁26の開/閉とコンプレッサ18のON/OFFを行なわせる。即ち、冷却シリンダ8の冷却が優先する制御とされており、シリンダ冷却弁24がOFFの条件のもとで、ホッパー冷却弁26はONとなる。
【0035】
上述した冷却運転の下で販売が成された後、閉店時には加熱方式によるミックスの殺菌を行なうことになる。この場合には、冷却装置を冷却サイクルから加熱サイクルの運転に切り換える。即ち、四方弁19を操作して冷媒を点線矢印のように流す。するとコンプレッサ18からの高温、高圧の冷媒ガス、即ち、ホットガスは四方弁19、アキュムレータ30を経て二手に分かれ、一方はシリンダ冷却器11に直接に、他方は逆止弁33を介してホッパー冷却コイル4に流入して、それぞれにおいて放熱作用を生じ、規定の殺菌温度で所定時間、冷却シリンダ8、ホッパー2は加熱される。
【0036】
放熱後の液化冷媒はそれぞれシリンダホットガス弁34、ホッパーホットガス弁35を介して合流後、逆止弁40を経てコンデンサ20にて気液分離し、冷媒ガスは並列に設けたリバース電磁弁36及びリバースキャピラリチューブ37を通り、四方弁19、アキュムレータ39を経てコンプレッサ18に戻る加熱サイクルを形成する。図16の38は冷却シリンダ8の加熱温度を検知する殺菌・保冷センサで、ミックスに対して規定の殺菌温度が維持されるように予め定めた所定範囲の上限、下限の設定温度値でシリンダホットガス弁34及びコンプレッサ18をON、OFF制御する。
【0037】
また、この殺菌・保冷センサ38は冷却シリンダ8の加熱温度を測定しているが、この測定温度はミックスの加熱温度と略近いものと判断できるので、この殺菌・保冷センサ38をミックス温度検出センサとして兼用できる。この殺菌・保冷センサ38が検出するミックス温度情報を利用してリバース電磁弁36の開閉制御を行なうことも可能である。
【0038】
また、ホッパー2の加熱制御はホッパー2の温度を検出するホッパーセンサ32(図16)が兼用され、冷却シリンダ8に設定した同一の設定温度値でホッパーホットガス弁35及びコンプレッサ18のON、OFF制御が行なわれるように構成されている。また、前記した殺菌・保冷センサ38は、加熱殺菌後冷却に移行し、翌日の販売時点まである程度の低温状態、すなわち保冷温度(+8℃〜+10℃程度)に維持するようコンプレッサ18のON、OFF制御及びシリンダ冷却弁24、ホッパー冷却弁26のON、OFF制御をする。
【0039】
この場合、コンデンサ20にはバイパス回路42が並列に接続されており、このバイパス回路42には逆止弁41が接続されている。
【0040】
尚、前述した如くコンプレッサ18の高負荷運転を抑制するために殺菌・保冷センサ38のミックス検出温度にてリバース電磁弁36は開閉制御される。また、図1において44は電装箱、そして45は前ドレン受け(分解図で示す)である。更に、55は給水栓で、ミックス洗浄時にホッパー2や冷却シリンダ8に給水するために用いられる。更にまた、図15において43はバイパス弁であり、同様にコンプレッサ18の過負荷防止の役割を奏する。
【0041】
図16において、制御装置Cは前記電装箱44内に収納された基板上に構成され、制御手段としての汎用の1チップマイクロコンピュータ46を中心として設計されており、このマイクロコンピュータ46には前記シリンダセンサ31、ホッパーセンサ32、殺菌・保冷センサ38、ミックスレベルセンサ7、7の出力が入力され、マイクロコンピュータ46の出力には、前記コンプレッサ18のコンプレッサモータ18M、ビータモータ12、撹拌機モータ6、シリンダ冷却弁24、シリンダホットガス弁34、ホッパー冷却弁26、ホッパーホットガス弁35、四方弁19、リバース電磁弁36、バイパス弁43、コンデンシングファン17、電子膨張弁25が接続されている。
【0042】
また、この図において47はコンプレッサモータ18Mの通電電流を検出する電流センサ(CT)、48はビータモータ12の通電電流を検出する電流センサ(CT)であり、何れの出力もマイクロコンピュータ46に入力されている。また、51は抽出スイッチであり、取出レバー15の操作によって開閉されると共に、その接点出力はマイクロコンピュータ46に入力されている。
【0043】
また、49は冷菓の冷却設定を「1」(弱)、「2」(中)、「3」(強)の三段階で調節するための冷却設定ボリューム、53はビータモータ電流のしきい値(設定値)を例えば2.3A〜3.3Aの範囲で任意に設定するためのしきい値設定ボリュームであり、何れの出力もマイクロコンピュータ46に入力されている。更に、52はマイクロコンピュータ46に各種運転を指令するための前記冷却スイッチ66、殺菌スイッチ64、洗浄スイッチ67、解凍(デフロスト)スイッチ68及び停止スイッチ69や、選択スイッチ77、上下カーソル移動キー78及び79を含むキー入力回路であり、マイクロコンピュータ46の入力に接続されている。また、54は前記コントロールパネル50の液晶表示器76、冷却LED72、殺菌LED71、洗浄LED73及び解凍LED74を制御するための表示ドライバ回路であり、マイクロコンピュータ46の出力に接続されている。
【0044】
以上の構成で、図17、図18を参照して本発明のソフトクリーム製造装置SMの動作を説明する。今、ソフトクリーム製造装置SMのホッパー2には所定量のミックスが投入され、ミックス供給器9の導入路9Aが開放されて冷却シリンダ8内にもミックスが供給されているものとする。その状態で実施例のソフトクリーム製造装置SMにAC200V電源が投入され、コントロールパネル50の冷却スイッチ72が操作されると、マイクロコンピュータ46は運転を開始し、図17や図18のタイミングチャートに示す如く冷却運転(冷却工程(冷菓製造運転、冷菓保持運転)、デフロスト工程)、殺菌・保冷運転(殺菌工程、保冷工程)の各運転を実行する。
【0045】
先ず、冷却運転について説明する。販売開始時のプルダウン(仕込み)において、マイクロコンピュータ46はシリンダセンサ31の出力に基づき、冷却シリンダ8内の現在のミックス温度が後述する冷却終了温度+例えば0.5deg以上か否か判断する。そして、プルダウン時のミックスの温度は高いのでマイクロコンピュータ46は冷却工程の冷菓製造運転を実行する。
【0046】
この冷菓製造運転ではマイクロコンピュータ46はコンプレッサ18(コンプレッサモータ18M)を運転し、四方弁19は前記冷却サイクルとする(非通電)。そして、シリンダ冷却弁24をON(開)、ホッパー冷却弁26をOFF(閉)、シリンダホットガス弁34およびホッパーホットガス弁35をOFFとする。
【0047】
また、ビータモータ12によりビータ10を所定の回転速度で回転させる。更に、電子膨張弁25を制御することにより、シリンダ冷却器11における冷媒蒸発温度を例えば−15℃乃至−16℃とする。これにより、前述の如く冷却シリンダ8内のミックスはシリンダ冷却器11により冷却されて温度は急速に低下していくと共に、冷却シリンダ8内のミックスはビータ10により撹拌される。
【0048】
係るプルダウン中マイクロコンピュータ46は表示ドライバ54により液晶表示器76に図17のプルダウン欄に示す如き表示を行う。即ち、この場合マイクロコンピュータ46は液晶表示器76に、丸1「冷却中」の文字表示、丸2ミックス供給器9の閉状態の図形(絵)表示と「供給器閉」の文字表示、丸3星形アダプタの図形と「星形アダプタ交換」の文字表示の3種類の案内表示を、丸1→丸2→丸3の順で繰り返し3秒間隔で切り替えて表示する。
【0049】
このうち、丸1の「冷却中」の文字表示は現在の運転状態を案内している。また、丸2のミックス供給器9の閉状態の図形(絵)表示と「供給器閉」の文字表示は、プルダウン中はミックス供給器9の導入路9Aを閉じる(プルダウン中はホッパー2からのミックスの供給を停止して冷却シリンダ8内のミックスの温度低下を促す)べき旨を使用者に案内している。そして、丸3の星形アダプタの図形と「星形アダプタ交換」の文字表示はフリーザードア14の取出通路59下端に取り付ける星形アダプタを交換すべき旨を使用者に案内している。
【0050】
係る液晶表示器76への案内表示によって使用者は、現在はプルダウン冷却中であり、ミックス供給器9の導入路9Aは閉じて星形アダプタも交換しなければならないことを容易に認識することができる。これにより、熟練していない不慣れな使用者の場合にも作業ミスが生じることが無くなる。特に、複数の内容を切り替えて繰り返し表示しているので、液晶表示器76の限られた表示領域でも、多数の情報内容を表示することが可能となる。
【0051】
このような冷却工程の進行によって冷却シリンダ8内のミックスの温度は低下して行き、当該ミックス固有の凝固点に近づくとその温度降下は徐々に緩慢となると共に、販売に供せる冷菓となると所定の硬度を有するようになる。そして、冷菓(ソフトクリーム)の硬度により、それを撹拌しているビータ10の負荷が増加するため、ビータモータ12の通電電流は上昇する。
【0052】
そして、ビータモータ12の通電電流がしきい値を越えると、マイクロコンピュータ46は現在のミックスの温度を冷却終了温度(OFF点温度。ミックスの種類や設定によって異なるが略−5℃程の温度となる。)にセットし、冷却停止を行う。即ち、この冷却停止ではマイクロコンピュータ46はシリンダ冷却弁24をOFFし、代わりにホッパー冷却弁26をONする。これにより、冷却シリンダ8の冷却は停止され、ホッパー冷却弁26のONにより、今度はホッパー2の冷却が行われるようになる。これでプルダウン時の冷菓製造運転は終了する。
【0053】
このようなプルダウン(仕込み)時の冷菓製造運転が終了すると、マイクロコンピュータ46は液晶表示器76の表示を図17の中央欄に示す如き表示に切り替える。即ち、この場合マイクロコンピュータ46は液晶表示器76に、丸4「販売可能」の文字表示、丸5ミックス供給器9の開状態の図形(絵)表示と「供給器開」の文字表示の2種類の案内表示を、丸4→丸5の順で繰り返し3秒間隔で切り替えて表示する。
【0054】
このうち、丸4の「販売可能」の文字表示は現在のミックスの状態を案内している。また、丸5のミックス供給器9の開状態の図形(絵)表示と「供給器開」の文字表示は、プルダウン終了後はミックス供給器9の導入路9Aを開くべき旨を使用者に案内している。係る液晶表示器76への案内表示によって使用者は、冷却シリンダ8内では冷菓(ソフトクリーム)が製造され、販売が可能となっており、ミックス供給器9の導入路9Aを開かなければならないことを容易に認識することができる。特にこの場合も複数の内容を切り替えて表示しているので、液晶表示器76の限られた表示領域でも、十分に情報内容を表示することが可能となる。
【0055】
係る丸4及び丸5の案内表示を所定時間(3分間)繰り返し実行した後、マイクロコンピュータ46は液晶表示器76の表示を「販売可能」の文字表示のみとし、これを継続して表示する。尚、ミックス供給器9を開くことは丸5で既に案内されているので、以後は表示しない。
【0056】
このような冷菓製造運転の終了後、マイクロコンピュータ46は冷却工程における冷菓保持運転に移行する。この冷菓保持運転でマイクロコンピュータ46は、電子膨張弁25を制御してシリンダ冷却器11における冷媒蒸発温度を、前記冷菓製造運転時の−15℃乃至−16℃から前記冷却終了温度(OFF点温度)である−5℃(製造完了時点の冷菓の温度)か、それよりも若干低い例えば−6℃〜−8℃に上昇させる。また、ビータモータ12の運転を停止してビータ10の回転を停止させる。
【0057】
更に、マイクロコンピュータ46はシリンダセンサ31の出力に基づき、現在のミックス温度が前記冷却終了温度(OFF点温度である−5℃)+0.5deg以上に上昇したか否か判断する。尚、マイクロコンピュータ46はホッパーセンサ32の出力に基づき、ホッパー2の温度も所定の温度以下に冷却されている場合には、ホッパー冷却弁26もOFFすると共に、この場合にはコンプレッサ18も停止する。実施例ではホッパー冷却弁26は10℃でON、8℃でOFFされる。
【0058】
そして、冷却シリンダ8内の冷菓の温度が上昇して冷却終了温度(OFF点温度である−5℃)+0.5deg以上となると、マイクロコンピュータ46は再び前述した冷却シリンダ8の冷却を開始し、以後、これを繰り返す冷菓保持運転を実行する。
【0059】
このように、冷却工程中の冷菓保持運転でマイクロコンピュータ46は、電子膨張弁25を制御してシリンダ冷却器11における冷媒蒸発温度を、冷菓製造運転時の冷媒蒸発温度である−15℃〜−16℃よりも高い−5℃程に上昇させるので、冷菓製造運転において冷却シリンダ8内で製造された冷菓を、その後の冷菓保持運転において過剰に冷却すること無く、温度を良好に維持することができるようになる。これにより、従来の如く冷菓製造運転時と同様の冷媒蒸発温度で冷菓保持運転を実行する場合に比べて、冷菓製造装置1の消費電力を著しく低下させて省エネ化を図ることが可能となる。
【0060】
特に、シリンダ冷却器11における冷菓保持運転時の冷媒蒸発温度を、製造された冷菓の温度と同等の−5℃若しくは当該温度よりも少許低い温度とするので、冷菓保持運転において冷菓の温度はより一層良好に維持されるようになる。
【0061】
また、係る冷菓保持運転においては、ビータ10の運転を停止するので、冷却シリンダ8内で製造された冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することができるようになる。
【0062】
尚、この場合ビータモータ12を停止させずに、上記冷菓製造運転時の回転数よりも低い所定の低回転でビータモータ12を運転し、ビータ10をゆっくりと回転させるようにしてもよい。係る構成によれば、冷却シリンダ8内で製造された冷菓の温度を均一に保ちながら、当該冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することが可能となる。
【0063】
このようにして冷却シリンダ8内に冷菓が製造される。冷菓を販売する際には、取出レバー15を手前に引くことによってプランジャ16を引き上げ、抽出路61の出口61Aを開放する。冷却シリンダ8内ではビータ10の回転によって冷菓を回転しながら前方に押し出す方向に圧力が加えられているので、冷却シリンダ8内の冷菓は抽出路61の出口61Aから出て取出通路59内に入り、下端の前述した星型アダプタを経て抽出されることになる。
【0064】
ここで、前述の如く抽出路61の入口61Bは前述の如く冷却シリンダ8側に拡開して形成されている。特に、抽出路61の入口61Bはビータ10の回転軸10A(冷却シリンダ8の中心軸)を中心とした円弧状に左右に拡開してザグリ形成されており、更にその左右端部は湾曲部61C、61Cとされているので、ビータ10の回転によって撹拌される冷却シリンダ8前端部の冷菓は、図13中矢印で示す如く抽出路61の入口61Bの一側から抽出路61内に入り、湾曲部61C、61Cに案内されて抽出路61内部を移動した後、他側から出ていく循環を行う。特に、抽出路61の出口61Aに対応する部分のプランジャ16にも円形の凹陥部16Bが形成されているので、冷菓は入口61Bから出口61Aまでの抽出路61内全体で常時循環されるようになる。
【0065】
ここで、抽出路61内に冷菓が滞留すると、外部からの熱伝導で抽出路61内の冷菓が溶解し、プランジャ16が引き上げられる際に圧力で取出通路59下端から吹き出す危険性があるが、前述の如く抽出路61内の冷菓は絶えず循環されるので、抽出路61内にける冷菓の溶解は効果的に防止され、取出時に溶解した冷菓が外部に飛び散る不都合も解消される。
【0066】
このように冷却シリンダ8内の冷菓が抽出され、その量が減少すると、ミックス供給器9の導入路9Aからはホッパー2内のミックスが冷却シリンダ8内に供給される。
【0067】
尚、この冷菓の抽出量を販売回数から算出し、或いは、ミックスの流入による冷却シリンダ8の温度上昇などからマイクロコンピュータ46は再度前記冷菓製造運転を実行するようにしてもよい。その場合には、マイクロコンピュータ46は再度冷却終了温度を決定し、冷菓製造運転の終了後の冷菓保持運転では、シリンダ冷却器11における冷媒蒸発温度が当該冷却終了温度になるように電子膨張弁25を制御することになる。
【0068】
一方、マイクロコンピュータ46は前述の如くホッパー2内に所定量のミックスが貯留されている状態で撹拌機モータ6を運転し、撹拌機5を回転させている。この場合、撹拌機5は前述の如く所定高さ寸法及び半径の有底円筒形状とされ、側壁5Aの外面及び内面が略垂直となるように構成されている。そして、撹拌機5の円形の底壁5B中心の回転中心5Cに撹拌機モータ6によって回転駆動される回転軸が連結されているので、撹拌機5が回転すると、先ず撹拌機5の表面に接しているミックスが撹拌機5の側壁5A及び底壁5Bの表面との間に生じる摩擦力或いは粘着力によって、撹拌機5が回転する方向に引っ張られ、回転を始める。そして、この回転が周囲に広がっていく。
【0069】
即ち、ホッパー2内に貯蔵保冷されるミックスは、ミックスと撹拌機5の表面との間の摩擦力或いは粘着力によって撹拌されることになるので、撹拌機5による撹拌力はミックスの粘性が高く、摩擦力或いは粘着力が強ければ増大し、粘性が低くなれば逆に減少する。これにより、ミックスの粘性が高く、大成る撹拌力を必要とする場合には撹拌機5の撹拌力は増大し、粘性が低く或いは量が少なく、撹拌力は小さくてよい場合には撹拌機5の撹拌力は減少することになるので、常にミックスに適した撹拌力でホッパー2内に貯蔵保冷するミックスを撹拌することができるようになり、撹拌不足によってホッパー2内のミックスの温度が不均一となったり、撹拌し過ぎによって渦が発生し、ミックスが泡立って劣化してしまう不都合が解消される。
【0070】
ここで、このような冷菓の製造・抽出によってホッパー2内のミックス量が減少し、液位が低下して図2に示す如くミックスレベルセンサ7、7が液面上に露出すると、電極7A、7A間にミックスが存在しなくなり、両電極7A、7A間の導通が遮断される。マイクロコンピュータ46はこれを検出して後述する殺菌行程を行なわないようホットガスの流通を停止し、撹拌機モータ6の運転を停止する。
【0071】
この場合、ミックスの液位がミックスレベルセンサ7、7よりも低下した状態で、ミックス液面に生じた泡などがミックスレベルセンサ7、7間に渡って付着し、電極7A、7A間を導通させてしまうと、液位がミックスレベルセンサ7、7より低下しているにも拘わらずマイクロコンピュータ46はミックス量の低下を検出できなくなる。しかしながら、前述の如くミックスレベルセンサ7のホルダ7Bは撥水性材料にて成形されているので、ミックスの水滴や泡がミックスレベルセンサ7に付着し難くなっており、係る誤動作の発生は効果的に解消できる。
【0072】
また、本実施例のホッパー2の底面2Aには長溝状の凹陥部56が段落形成されており、この凹陥部56内の一端部の更に低く構成された円形の低位部56Aにミックス供給器9が立設され、ミックスレベルセンサ7、7はこの凹陥部56以外の部分の底面2Aに取り付けられているので、ミックスレベルセンサ7がミックスの液面から出た時点で残存しているミックスは、殆ど凹陥部56内にあるもののみとなる。
【0073】
これにより、ミックスの廃棄量は従来よりも著しく減少し、極めて経済的な冷菓販売を実現できるようになった。また、ミックスが減少した場合にも液面から導入路9Aまでのヘッド差を確保できるようになるので、ホッパー2内のミックスの液位の変動に伴う所謂オーバーランの変動を抑制できる。更に、撹拌機5は凹陥部56内の高位部56Bに配設されているので、撹拌機5の回転によって回転するミックスは凹陥部56内を移動して優先的にミックス供給器9の導入路9Aに送給されるようになり、冷却シリンダ8へのミックスの供給も円滑に行われるようになる。また、撹拌機5の周囲に位置する凹陥部56の側面は、上側が外方に拡開する傾斜面56Cとされているので、撹拌機5の回転によって移動を始めたミックスは傾斜面56Cに沿って円滑に外側に向かうようになる。これにより、ミックス供給器9の方向以外にもミックスは円滑に移動できるようになり、ホッパー2全体が円滑に撹拌されるようになる。
【0074】
次に、係る冷却運転中にコントロールパネル50の解凍スイッチ68が操作されると、マイクロコンピュータ46はシリンダホットガス弁34のON、OFF制御を行い、ホットガスにて冷却シリンダ8を加温し、ミックスを所定温度(5℃)に昇温させる。その後マイクロコンピュータ46は引き続き冷却工程を行ない、再びミックスを冷却して販売可状態にする。
【0075】
次に、殺菌・保冷運転(殺菌工程、保冷工程)について説明する。コントロールパネル50の殺菌スイッチ64が操作されると、マイクロコンピュータ46はミックス切れの無い条件の下で殺菌工程を開始する。
【0076】
この場合、マイクロコンピュータ46は、四方弁19により冷却サイクルから加熱サイクルに切り換える。これにより、ホットガスが冷却シリンダ8、ホッパー2に供給されて加熱されていく(殺菌昇温)。係る殺菌昇温中マイクロコンピュータ46は表示ドライバ54により液晶表示器76に図18の左欄に示す如き表示を行う。即ち、この場合マイクロコンピュータ46は液晶表示器76に、丸6「殺菌工程中」の文字表示、丸7ミックス供給器9の閉状態の図形(絵)表示と「供給器閉」の文字表示、丸8殺菌用アダプタの図形と「殺菌用アダプタ交換」の文字表示の3種類の案内表示を、丸6→丸7→丸8の順で繰り返し3秒間隔で切り替えて表示する。
【0077】
このうち、丸6の「殺菌工程中」の文字表示は現在の運転状態を案内している。また、丸7のミックス供給器9の閉状態の図形(絵)表示と「供給器閉」の文字表示は、殺菌昇温中はミックス供給器9の導入路9Aを閉じるべき旨を使用者に案内している。そして、丸8の殺菌用アダプタの図形と「殺菌用アダプタ交換」の文字表示は殺菌用アダプタを交換すべき旨を使用者に案内している。
【0078】
係る液晶表示器76への案内表示によって使用者は、現在は殺菌昇温中であり、ミックス供給器9の導入路9Aは閉じて取出通路59の下端には星形アダプタに代えて殺菌用アダプタを取り付けなければならない(アダプタ交換)ことを容易に認識することができる。これにより、同様に熟練していない不慣れな使用者の場合にも作業ミスが生じることが無くなる。特に、この場合も複数の内容を切り替えて繰り返し表示しているので、液晶表示器76の限られた表示領域でも、多数の情報内容を表示することが可能となる。
【0079】
そして、係る殺菌昇温が終了すると、今度は殺菌・保冷センサ38およびホッパーセンサ32の出力に基づき、マイクロコンピュータ46はコンプレッサ18、シリンダホットガス弁34、ホッパーホットガス弁35をON、OFF制御して、冷却シリンダ8、ホッパー2とも+68℃以上の加熱温度で約30分の合計加熱時間を満足するように殺菌保持を実行する。
【0080】
殺菌昇温を終了してこのような殺菌保持に移行すると、マイクロコンピュータ46は液晶表示器76の表示を図18の中央欄に示す如き表示に切り替える。即ち、この場合マイクロコンピュータ46は液晶表示器76を、丸9「殺菌工程中」の文字表示のみ継続して表示するように切り替える。尚、ミックス供給器9の閉と殺菌用アダプタ交換は既に丸7と丸8で表示されているので、以後は表示しない。
【0081】
この殺菌昇温および殺菌保持が終了すると、マイクロコンピュータ46は保冷プルダウンに移行する。この保冷プルダウンでは、所定時間以内に所定温度以下となる条件のもと、冷却シリンダ8、ホッパー2の温度を+10℃以下の温度まで冷却する。そして、+10℃以下まで低下したらマイクロコンピュータ46は保冷工程に移行する。この保冷工程では当該温度を維持するように殺菌・保冷センサ38及びホッパーセンサ32の出力に基づき、マイクロコンピュータ46はコンプレッサモータ18M、シリンダ冷却弁24、ホッパー冷却弁26をON、OFF制御する。
【0082】
係る保冷工程に入るとマイクロコンピュータ46は液晶表示器76の表示を「保冷中、殺菌工程終了」の文字表示に切り替え、殺菌工程が終了して保冷工程に以降したことを使用者に案内する。
【0083】
尚、実施例では電子膨張弁を使用してシリンダ冷却器11における冷媒蒸発温度を制御したが、それに限らず、例えば冷却シリンダ8用のキャピラリチューブを二本用意してシリンダ冷却器11への冷媒供給回路を二系統とし、冷菓製造運転時と冷菓保持運転時とで経路を切り替えてキャピラリチューブを切替使用することで、冷媒蒸発温度を変更するようにしてもよく、また、コンプレッサ18をインバータなどで周波数制御(能力を制御)し、シリンダ冷却器11への冷媒循環量を調整して蒸発温度を変更するようにしてもよい。
【0084】
また、実施例で示した各温度などの数値はそれに限定されるものでは無く、装置の能力や機能に応じて適宜決定されるべきものである。また、実施例ではソフトクリーム製造装置を例にとって説明したが、それに限らず、原料ミックスを撹拌しながら冷却することで冷菓を製造する冷菓製造装置全般に本発明は有効である。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明の冷菓製造装置によれば、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、該ホッパーより適宜供給されるミックスを冷却する冷却シリンダと、前記ホッパーを冷却するホッパー冷却器と、前記冷却シリンダを冷却するシリンダ冷却器と、前記冷却シリンダ内のミックスを撹拌するビータとを備えており、前記冷却シリンダ内においてミックスを撹拌しながら前記シリンダ冷却器によって前記冷却シリンダを冷却することにより、冷菓を製造する冷菓製造運転と、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却と冷却停止とを繰り返すことにより、前記冷菓製造運転において製造された冷菓を所定の温度以下に保持する冷菓保持運転とを実行すると共に、該冷菓保持運転においては、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とし、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却するので、冷菓製造運転において冷却シリンダ内で製造された冷菓を、その後の冷菓保持運転において過剰に冷却すること無く、温度を良好に維持することができるようになる。これにより、消費電力を著しく低下させて省エネ化を図ることが可能となる。
【0086】
特に、冷菓保持運転において前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とするので、冷菓保持運転において冷菓の温度をより一層良好に維持することができるようになるものである。
【0087】
更に、冷菓保持運転において前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却するので、冷却シリンダの冷却を優先的に行いながら、冷却シリンダ及びホッパーをそれぞれ所定温度に冷却維持することができるようになる。
【0088】
請求項2の発明によれば、上記発明に加えて前記冷菓保持運転においては、前記ビータの運転を停止するので、冷却シリンダ内で製造された冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することができるようになるものである。
【0089】
請求項3の発明によれば、請求項1に加えて前記冷菓保持運転においては、前記ビータの回転数を、前記冷菓製造運転における回転数よりも低下させるので、冷却シリンダ内で製造された冷菓の温度を均一に保ちながら、当該冷菓の軟化現象の発生や乳脂肪分の分離による劣化を未然に防止することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷菓製造装置の実施例としてのソフトクリーム製造装置の内部構成を示す斜視図である。
【図2】 図1のソフトクリーム製造装置のホッパーの縦断側面図である。
【図3】 図1のソフトクリーム製造装置のホッパーの平面図である。
【図4】 図1のソフトクリーム製造装置の撹拌機部分のホッパーの拡大断面図である。
【図5】 図1のソフトクリーム製造装置の撹拌機の斜視図である。
【図6】 図1のソフトクリーム製造装置の撹拌機の縦断側面図である。
【図7】 図1のソフトクリーム製造装置のミックスレベルセンサの側面図である。
【図8】 図1のソフトクリーム製造装置のミックスレベルセンサの断面図である。
【図9】 図1のソフトクリーム製造装置の冷却シリンダ及びフリーザードアの縦断側面図である。
【図10】 図1のソフトクリーム製造装置のフリーザードアの縦断側面図である。
【図11】 図1のソフトクリーム製造装置のプランジャの側面図である。
【図12】 図1のソフトクリーム製造装置のフリーザードアの裏面図である。
【図13】 図1のソフトクリーム製造装置のフリーザードアの取出通路及び抽出路部分の拡大平断面図である。
【図14】 図1のソフトクリーム製造装置のコントロールパネルの正面図である。
【図15】 図1のソフトクリーム製造装置の冷媒回路図である。
【図16】 図1のソフトクリーム製造装置の制御装置のブロック図である。
【図17】 図1のソフトクリーム製造装置の冷却工程におけるミックス温度推移並びに液晶表示器の表示内容を説明する図である。
【図18】 図1のソフトクリーム製造装置の殺菌工程から保冷工程におけるミックス温度推移並びに液晶表示器の表示内容を説明する図である。
【符号の説明】
SM ソフトクリーム製造装置(冷菓製造装置)
2 ホッパー
5 撹拌機
6 撹拌機モータ
7 ミックスレベルセンサ
8 冷却シリンダ
9 ミックス供給器
10 ビータ
12 ビータモータ
14 フリーザードア
15 取出レバー
16 プランジャ
25 電子膨張弁
46 マイクロコンピュータ
50 コントロールパネル
Claims (3)
- ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、該ホッパーより適宜供給されるミックスを冷却する冷却シリンダと、前記ホッパーを冷却するホッパー冷却器と、前記冷却シリンダを冷却するシリンダ冷却器と、前記冷却シリンダ内のミックスを撹拌するビータとを備え、
前記冷却シリンダ内においてミックスを撹拌しながら前記シリンダ冷却器によって前記冷却シリンダを冷却することにより、冷菓を製造する冷菓製造運転と、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却と冷却停止とを繰り返すことにより、前記冷菓製造運転において製造された冷菓を所定の温度以下に保持する冷菓保持運転とを実行すると共に、
該冷菓保持運転においては、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却時に、当該シリンダ冷却器における冷媒蒸発温度を、冷菓の温度と同等若しくは当該温度よりも少許低い温度とし、前記シリンダ冷却器による前記冷却シリンダの冷却停止時には、前記ホッパー冷却器により前記ホッパーを冷却することを特徴とする冷菓製造装置。 - 前記冷菓保持運転においては、前記ビータの運転を停止することを特徴とする請求項1の冷菓製造装置。
- 前記冷菓保持運転においては、前記ビータの回転数を、前記冷菓製造運転における回転数よりも低下させることを特徴とする請求項1の冷菓製造装置。
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