JP4010731B2 - 冷菓製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はソフトアイスクリーム等の冷菓を製造する冷菓製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の装置としては、実公昭63−20304号公報に示されるように、コンプレッサ、凝縮器、絞り及び冷却シリンダとホッパー(ミックスタンク)に装備した冷却器からなる冷却装置を備え、この冷却装置の冷凍サイクルを四方弁により可逆させ、冷菓製造時には冷却器に液化冷媒を流して冷却シリンダ、ホッパーを冷却し、一方ミックス、装置の殺菌時にはコンプレッサからの高温冷媒ガス(ホットガス)を冷却器に導いて放熱させ、冷却器を放熱器として作用させて、冷却シリンダ、ホッパーの加熱を行うものがある。
【0003】
そして、冷却シリンダ内にはビータモータにて駆動されるビータが取り付けられ、冷却シリンダ内のミックスを冷却器により冷却しながら、ビータによって撹拌し、ソフトクリームなどの冷菓を製造するものであった。
【0004】
しかし、この場合、冷却シリンダにはミックスの温度を検出するシリンダセンサが設けられ、このシリンダセンサが検出するミックスの温度が所定の温度降下速度に達した時点で冷却シリンダの冷却を停止(シリンダ冷却弁の閉など)するものであったが、冷菓製造装置が設置された環境における外気温度が高い場合などには、冷却不良となり、所定の温度降下速度に達しているにもかかわらず、冷却シリンダ内のミックスの硬度が商品として満足できる程度まで上がらなくなるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、最近ではシリンダセンサ及び電流センサの出力に基づき、冷却シリンダ内のミックスの所定の温度降下速度に基づいて冷却シリンダの冷却を停止する冷菓製造装置が開発されてきている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、熟練した冷菓製造装置の使用者にとっては、上述の如くミックスの所定の温度降下速度に基づいて冷却シリンダの冷却を停止する冷菓製造装置では、出来上がり冷菓の硬さを調整する手段での調整では限界があり、希望する硬さの冷菓を製造することができないと云う問題があった。また、他方、熟練した使用者以外の使用者にとっては、ミックスの種類に応じて適度な硬さの冷菓を製造することは困難であった。
【0007】
そこで本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、使用者の必要に応じてミックスの硬さを選択することができる冷菓製造装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷菓製造装置は、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、このホッパーより適宜供給されるミックスを撹拌しながら冷却することにより冷菓を製造する冷却シリンダと、これらホッパーおよび冷却シリンダを冷却する冷却装置と、冷却シリンダ内のミックスの温度を検出するシリンダセンサと、制御手段とを備えており、この制御手段は、シリンダセンサの出力に基づき、冷却シリンダ内のミックスの所定の温度降下速度に基づいて冷却シリンダの冷却を停止する第1の運転モードと、任意に設定した冷却設定温度にて冷却シリンダの冷却を停止する第2の運転モードとを選択的に切り換えて実行可能とされていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、このホッパーより適宜供給されるミックスを撹拌しながら冷却することにより冷菓を製造する冷却シリンダと、これらホッパーおよび冷却シリンダを冷却する冷却装置と、冷却シリンダ内のミックスの温度を検出するシリンダセンサと、制御手段とを備えた冷菓製造装置において、制御手段は、シリンダセンサの出力に基づき、冷却シリンダ内のミックスの所定の温度降下速度に基づいて冷却シリンダの冷却を停止する第1の運転モードと、任意に設定した冷却設定温度にて冷却シリンダの冷却を停止する第2の運転モードとを選択的に切り換えて実行可能としたので、熟練者は第2の運転モードで、また、それ以外は第1の運転モードでというように、使用者の必要に応じて適宜運転モードを選択して実行できるようになり、利便性が向上される。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の冷菓製造装置の実施例としてのソフトクリーム製造装置SMの内部構成を示す斜視図を示している。実施例の冷菓製造装置SMは、バニラやチョコレートのソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造販売するための装置であり、図1において本体1の上部には、例えば前記ソフトクリームの原料となるミックス(冷菓ミックス)を貯蔵するホッパー2、2が設けられている。このホッパー2は上面に開口しており、この上面開口はそこに着脱自在に載置される蓋部材3にて開閉自在に閉塞され、ミックスの補充時等にはこの蓋部材3が取り外される。
【0011】
ここで、蓋部材3について図2乃至図9を参照して説明する。図2は蓋部材3の平面図、図3は蓋部材3の底面図、図4は蓋部材3の側面図、図5は蓋部材3の正面図、図6は蓋部材3の縦断側面図、図7は蓋部材3の縦断正面図、図8は治具Gに装填された蓋部材3の説明図、図9はホッパー2に載置された蓋部材3の構造説明図である。
【0012】
蓋部材3は袋状の例えばポリプロピレンなどの硬質合成樹脂を図8に示す如く成形治具Gに充填し、内部をブローするブロー成型によって本体3Aが形成されており、これにより本体3Aの内部には断熱空間Sが形成されている。本体3Aは図2乃至図5に示す如く本体3Aの前部から中央部にかけて所定曲率で隆起していると共に同様に後部から中央部にかけて所定曲率で隆起している。
【0013】
そして、本体3A上面には、図6に示す如く本体3Aの底面に所定の断熱空間Sの厚みを存するように前後に凹部3Bが形成されている。係る凹部3Bは、蓋部材3の取り扱いに供される把手部とされる。
【0014】
また、前記袋状の硬質合成樹脂を治具Gに充填する際には、蓋部材3の底面の周縁部に相当する位置において、図8に示す如く隣接する壁面が密着して形成されており、蓋部材3の底面周縁部には、断熱空間Sを形成しない密着部3Dが構成されている。
【0015】
また、本体3Aの底面には、密着部3Dよりも少許内側、即ち、前記ホッパー2の外周を形成するホッパー2縁部の厚み分よりも少許内側に環状の突部3Cが形成されている。係る突部3C内部に渡っても断熱空間Sが形成されている。
【0016】
以上の構成により、ホッパー2の上面開口は、蓋部材3の密着部3Dをホッパー2の縁部上面に載置することにより閉塞される。このとき、蓋部材3の内部には、ブロー成型によって断熱空間Sが形成されているため、特別に断熱材を設けることなく、内部の空気によって外部の熱を遮断することができる。
【0017】
また、蓋部材3の本体3Aには凹部3Bが形成されているため、格別な把手部材を設けることなく、把手部が一体に形成されていることから生産工程を削減することができ、生産性を向上させることができる。また、部品点数の削減を行なうことができるため、蓋部材3のコストの削減を図ることができると共に、外観の向上を図ることができる。
【0018】
更に、ホッパー2の上面開口周囲に載置される蓋部材3の周縁部を、袋状の硬質性樹脂の隣接する壁面を密着させて密着部3Dを形成するため、著しくホッパー2上縁との載置面積を小さくすることができ、図9に示す如く隣り合って形成されるホッパー2との距離を近くした場合にも蓋部材3が重複することなくホッパー2上面を被覆することができるようになる。
【0019】
これにより、冷菓製造装置SM本体自体のスリム化に伴って、隣り合うホッパー2間の距離を小さくすることができ、全体としての外観の向上を実現することができるようになる。尚、実施例の断熱空間Sは内部に空気が封入される構成であるが、真空とするか、或いは、断熱性の高いガス(例えば六フッ化硫黄など)を封入して断熱性能を上げても良い。
【0020】
一方、ホッパー2の周囲にはホッパー冷却器4が捲回されており、このホッパー冷却器4によりホッパー2内のミックスは保冷される。また、ホッパー2の内底部にはインペラと称されるホッパー撹拌器(撹拌装置)5が設けられており、下方に設けた誘導電動機から成る撹拌モータ6にて回転駆動される。
【0021】
更に、ホッパー2の側壁における所定高さの位置には、一対の導電極から成るミックスレベルセンサ7が取り付けられており、このミックスレベルセンサ7の電極が導通してホッパー2内の所定量(ミックスレベルセンサ7が設けられている高さ)以上のミックスを検出している状態、即ち、Highであるか、所定量以下の状態、即ち、Lowであるか否かが検知される。そして、このミックスレベルセンサ7は、後述する制御装置Cに接続されている。
【0022】
また、前記撹拌モータ6は、制御装置Cによって制御されており、この制御装置Cには、撹拌モータ6の回転調整を行うための撹拌モータ調整スイッチ56が接続されている。この撹拌モータ調整スイッチ56は、基板上に設けられたアップダウンキーによって、多段階、本実施例では7段階(「1」(弱)、「2」、・・・「6」、「7」(強))に調整可能とされており、前記ミックスレベルセンサ7が所定量以上(High)の場合の撹拌モータ6の回転数を選択可能とされている。
【0023】
以上の構成により、制御装置Cが前記ミックスレベルセンサ7が所定量以上(High)であることを検知した場合には、この撹拌モータ調整スイッチ56により、撹拌モータ6の運転が制御される。即ち、調整スイッチ56が設定「1」とされている場合には、例えば撹拌モータ6は0.3秒間ONとされ、その後1.4秒間OFFを繰り返すOFF時間が比較的長い間欠運転が行なわれる。これにより撹拌モータ6は低速で回転することになる。
【0024】
そして、調整スイッチ56が設定「2」の場合には、撹拌モータ6は0.5秒間ONとされ、その後1.2秒間OFFが繰り返される。設定値が上昇する毎に撹拌モータ6のON時間が増加すると共に、OFF時間が減少され、撹拌モータ6の回転数は上昇して行く。そして、調整スイッチ56が設定値「7」の場合には、撹拌モータ6は1.5秒間ONとされ、その後0.2秒間OFFを繰り返す。この状態が撹拌モータ6の最高速となる。
【0025】
このようにホッパー2内に所定量のミックスが存在する場合には、撹拌モータ6の回転数を適宜調整し、その撹拌力を多段階で調整できるように構成されているので、ミックスの種類や外気温度上昇などに合わせて最適な状態でミックスを撹拌することができるようになる。
【0026】
また、制御装置Cが前記ミックスレベルセンサ7が所定量以下(Low)であることを検知した場合には、撹拌モータ調整スイッチ56の設定に係わらずに、撹拌モータ6は0.2行間ONとされ、その後2.0秒間OFFを繰り返すON時間が比較的長い間欠運転が行なわれる。これによって、撹拌モータ6の回転は最低速となる。
【0027】
更に、ホッパー2内のミックスが所定量以下(Low)である場合には、後述する加熱殺菌行程を行なわないようホットガスの流通停止するように構成されている。
【0028】
尚、このホッパー攪拌器5はホッパー2内のミックスが凍結しないように攪拌するものであるが、ミックスがホッパー2に所定量以上入れられ、ホッパー冷却器4に冷却時と逆に流れる冷媒ガス、すなわちホットガスによりホッパー2が加熱殺菌されるときも回転駆動される。
【0029】
一方、図1において8はパイプ状のミックス供給器9によりホッパー2から適宜供給されるミックスをビーター10により回転撹拌して冷菓を製造する冷却シリンダであり、その周囲にはシリンダ冷却器11が取り付けられている。ビーター10はビーターモータ12、駆動伝達ベルト、減速機13及び回転軸を介して回転される。製造された冷菓は、前面のフリーザードア14に配設された取出レバー15を操作することにより、プランジャー16が上下動し、図示しない抽出路を開放されると共に、ビータ10が回転駆動されることにより、取り出される。ここで、実施例では上述した装置が二系統搭載されており、それぞれが例えばバニラ用、チョコレート用とされている。また、取出レバーは当該バニラ、チョコレート及びそれらのミックス用に3つが設けられている。
【0030】
次ぎに、図10及び図11を参照してソフトクリーム製造装置SMの冷凍装置Rを説明する。図10はソフトクリーム製造装置SMの冷媒回路図、図11は同ソフトクリーム製造装置SMの制御装置Cのブロック図を示している。図10においてRは可逆式の冷凍装置である。以下この冷凍装置Rにつき説明すると、18はコンプレッサ、19はコンプレッサ18からの吐出冷媒を、冷却サイクル(実線矢印)を構成する場合と、加熱サイクル(破線矢印)を構成する場合とで流通方向を逆に切り換える四方弁、20は水冷式の凝縮器である。前記四方弁19が冷却サイクルを構成している場合において、凝縮器20にはコンプレッサ18から吐出された高温高圧のガス冷媒が逆止弁21を介して流入し、そこで凝縮液化して液冷媒となる。
【0031】
この液冷媒はドライヤ23を経て逆止弁22より出ると二方向に分流し、一方はシリンダ冷却弁24、冷却シリンダ用キャピラリチューブ25を経て減圧され、シリンダ冷却器11に流入してそこで蒸発し、冷却シリンダ8を冷却する。他方はホッパー冷却弁26、前段のホッパー用キャピラリチューブ27を経て減圧され、ホッパー冷却器4に流入してそこで蒸発し、ホッパー2を冷却した後、後段のキャピラリチューブ28を経て流出する。
【0032】
そして、冷却シリンダ8及びホッパー2を冷却した後の冷媒は、アキュムレータ30にて合流した後、四方弁19を経てコンプレッサ18に戻る冷却運転(販売状態)が行われる(実線矢印の流れ)。尚、前記ホッパー2には当該ホッパー2の温度を検出するためのホッパーセンサ32が取り付けられると共に、冷却シリンダ8には当該冷却シリンダ8の温度を検出するシリンダセンサ31が取り付けられている。
【0033】
ところで、この冷却運転において、良質の冷菓を得るべく冷却シリンダ8及びホッパー2を所定温度に冷却維持する必要がある。また、ミックスの種類に応じて、それぞれのミックス特有の風味を生かすため、使用者によって冷却シリンダ8及びホッパー2を任意の温度に冷却維持する必要もある。そのため、冷却シリンダ8の温度を検出するシリンダセンサ31(図11)を設け、このシリンダセンサ31により、後に詳述する如き平衡温度制御によりシリンダ冷却弁24をON(開)、コンプレッサ18をONして冷却を行ない、シリンダ冷却弁24がOFF(閉)しているときにホッパー冷却弁26の開/閉とコンプレッサ18のON/OFFを行なわせる。即ち、冷却シリンダ8の冷却が優先する制御となっており、シリンダ冷却弁24がOFFの条件のもとで、ホッパー冷却弁26はONとなる。
【0034】
上述した冷却運転の下で販売が成された後、閉店時には加熱方式によるミックスの殺菌を行なうことになる。この場合には、冷却装置を冷却サイクルから加熱サイクルの運転に切り換える。すなわち、四方弁19を操作して冷媒を点線矢印のように流す。すると、コンプレッサ18からの高温、高圧の冷媒ガスすなわちホットガスは四方弁19、アキュムレーター30を経て二手に分かれ、一方はシリンダ冷却器11に直接に、他方は逆止弁33を介してホッパー冷却コイル4に流入して、それぞれにおいて放熱作用を生じ、規定の殺菌温度で所定時間、冷却シリンダ8、ホッパー2は加熱される。
【0035】
放熱後の液化冷媒はそれぞれシリンダホットガス弁34、ホッパーホットガス弁35を介して合流後、逆止弁40を経て凝縮器20に流入し、そこで気液分離される。その後、冷媒ガスは、図10及び図12に示す如く例えば直径約6.4mmの冷媒配管58を経た後、係る冷媒配管58に接続された細管57に流入する。この細管57は通常の冷媒配管よりも直径が小さい配管、本実施例では約3.16mmの配管であり、内径も通常の冷媒配管よりも小さく約2mm、長さは約120mmである。その後、冷媒ガスは細管57の他端に配設された通常の直径の冷媒配管59を介して並列にリバース電磁弁(開閉弁)36及びリバースキャピラリチューブ37に流入される。そして、リバース電磁弁36又はリバースキャピラリチューブ37を経た冷媒ガスは、分岐配管60を介して、四方弁19を経てコンプレッサ18に戻る加熱サイクルを形成する。
【0036】
38は冷却シリンダ8の加熱温度を検知する殺菌・保冷センサで、ミックスに対して規定の殺菌温度が維持されるように予め定めた所定範囲の上限、下限の設定温度値でシリンダホットガス弁34及びコンプレッサ18をON、OFF制御する。
【0037】
また、この殺菌・保冷センサ38は冷却シリンダ8の加熱温度を測定しているが、この測定温度はミックスの加熱温度とほぼ近いものと判断できるので、この殺菌・保冷センサ38をミックス温度検出センサとして兼用できる。この殺菌・保冷センサ38が検出するミックス温度情報を利用してリバース電磁弁36の開閉制御が行なわれる。
【0038】
また、ホッパー2の加熱制御はホッパー2の温度を検出するホッパーセンサ32が兼用され、冷却シリンダ8に設定した同一の設定温度値でホッパーホットガス弁35及びコンプレッサ18のON、OFF制御が行なわれる。
【0039】
また、前記殺菌・保冷センサ38は、加熱殺菌後冷却に移行し、翌日の販売時点まである程度の低温状態、すなわち保冷温度(+8℃〜+10℃程度)に維持するよう詳細は後述する如くコンプレッサ18のON、OFF制御及びシリンダ冷却弁24、ホッパー冷却弁26のON、OFF制御をする。
【0040】
また、コンプレッサ18の高負荷運転を抑制するために殺菌・保冷センサ38のミックス検出温度にてリバース電磁弁36は開閉制御される。
【0041】
また、44は電装箱、そして45は前ドレン受け(分解図で示す)である。更に、55は給水栓で、ミックス洗浄時にホッパー2や冷却シリンダ8に給水するために用いられる。更にまた、43はバイパス弁であり、同様にコンプレッサ18の過負荷防止の役割を奏する。
【0042】
図11において、制御装置Cは前記電装箱44内に収納された基板上に構成され、汎用のマイクロコンピュータ46を中心として設計されており、このマイクロコンピュータ46には前記シリンダセンサ31、ホッパーセンサ32、殺菌・保冷センサ38の出力が入力され、マイクロコンピュータ46の出力には、前記コンプレッサ18のコンプレッサモータ18M、ビータモータ12、撹拌機モータ6、シリンダ冷却弁24、シリンダホットガス弁34、ホッパー冷却弁26、ホッパーホットガス弁35、四方弁19、リバース電磁弁36、バイパス弁43が接続されている。
【0043】
また、この図において47はコンプレッサモータ18Mの通電電流を検出する電流センサ(CT)、48はビータモータ12の通電電流を検出する電流センサ(CT)であり、何れの出力もマイクロコンピュータ46に入力されている。また、51は抽出スイッチであり、取出レバー15の操作によって開閉されると共に、その接点出力はマイクロコンピュータ46に入力されている。
【0044】
また、49は冷菓の冷却設定を「1」(弱)、「2」(中)、「3」(強)の三段階で調節するための冷却設定ボリューム、53はビータモータ電流のしきい値(設定値)を例えば2.3A〜3.3Aの範囲で任意に設定するためのしきい値設定ボリュームであり、何れの出力もマイクロコンピュータ46に入力されている。更に、52はマイクロコンピュータ46に各種運転を指令するための各種スイッチを含むキー入力回路であり、これら冷却設定ボリューム49、キー入力回路52、しきい値設定ボリューム53は制御装置Cの基板上に取り付けられている。
【0045】
更にまた、マイクロコンピュータ46の出力には警報などの各種表示動作を行うためのLED表示器54も接続されている。
【0046】
また、61は冷菓の冷却設定を前記冷却設定ボリューム49で調節して冷却運転を制御する平衡温度制御モード(第1の運転モード)と、冷菓の冷却設定温度を任意に設定して冷却制御するためのマニュアルモード(第2の運転モード)を選択的に切り換えるための切換スイッチであり、基板上に取り付けられる。70は切換スイッチ61にてマニュアルモードを選択した場合の冷却温度の設定を行う温度設定スイッチ70で、71はデフロスト工程時における後述するデフロストランプDLの表示切換を行う表示切換スイッチであり、いずれも基板上に設けられる。
【0047】
次に、図21は冷菓製造装置SMの前面上部に設けられたコントロールパネル50を示している。このコントロールパネル50には、前記キー入力回路52を構成する冷却運転スイッチSW1、殺菌スイッチSW2、洗浄スイッチSW3、デフロストスイッチSW4、停止スイッチSW5や、LED表示器54を構成するCLL、冷却ランプFL、デフロストランプDLなどが配設されている。
【0048】
以上の構成で、図13乃至図16を参照してソフトクリーム製造装置SMの動作を説明する。ソフトクリーム製造装置SMが運転開始されると、図14、図15のタイミングチャートに示す如く冷却運転(冷却工程、デフロスト工程)、殺菌・保冷運転(殺菌昇温工程、殺菌保持工程、保冷プルダウン工程、保冷保持工程)の各運転を実行する。先ず始めに前記切換スイッチ61によって平衡温度制御モードに切り換えられた場合の冷却制御について説明する。ここで、前記冷却設定ボリューム49の設定は、現在は冷菓の冷却設定を「1」としているものとする。
【0049】
先ず、図13のフローチャートを参照しながら冷却運転について説明する。前記キー入力回路52に設けられた冷却運転スイッチSW1が操作されると、全てをリセットした後、マイクロコンピュータ46は図13のステップS1で冷却中フラグがセット「1」されているか、リセット「0」されているか判断する。
【0050】
運転開始(プルダウン)時点で冷却中フラグがリセットされているものとすると、ステップS2でシリンダセンサ31の出力に基づき、冷却シリンダ8内の現在のミックス温度が冷却終了温度+0.5度以上か否か判断する。そして、ミックスの温度は高いものとすると、ステップS3に進み、計測タイマ(マイクロコンピュータ46がその機能として有する)をクリアし、ステップS4で現在のミックス温度をt秒前温度にセットし、ステップS5で冷却中フラグをセットして冷却動作を実行する(ステップS6)。
【0051】
この冷却動作ではマイクロコンピュータ46は以下に説明する平衡温度制御を実行する。即ち、マイクロコンピュータ46はコンプレッサ18(コンプレッサモータ18M)を運転し、四方弁19は前記冷却サイクルとする(非通電)。そして、シリンダ冷却弁24をON(開)、ホッパー冷却弁26をOFF(閉)、シリンダホットガス弁34およびホッパーホットガス弁をOFFとする。また、ビータモータ12によりビータ10を回転させる。
【0052】
これにより、前述の如く冷却シリンダ8内のミックスはシリンダ冷却器11により冷却され、ビータ10により撹拌される。ここで、前述の如く冷却設定ボリューム49の冷却設定を「1」としてもマイクロコンピュータ46はこのプルダウン中は強制的に「3」とするものである。尚、冷却設定「3」ではt秒が40秒、T℃(後述)が0.1℃、冷却設定「2」ではt秒が20秒、T℃が0.1℃、冷却設定「1」ではt秒が20秒、T℃が0.2℃となるものとする。
【0053】
次に、マイクロコンピュータ46はステップS1からステップS7に進み、前記計測タイマが計測中か否か判断し、計測中でなければステップS8で計測を開始する。次に、ステップS9で計測タイマのカウントがt秒経過したか否か判断し、経過していなければ戻る。計測タイマのカウント開始からt秒(この場合、40秒)経過すると、マイクロコンピュータ46はステップS10でシリンダセンサ31の出力に基づき、現在のミックス温度とt秒前の温度との差がT℃(この場合、0.1℃)以下か否か判断し、以下でなければステップS3に戻り、計測タイマをクリアすると共に、前記ステップS4〜ステップS6を実行する。
【0054】
以後これを繰り返して冷却シリンダ8内のミックスを撹拌しながら冷却して行く。ここで、ミックスの温度は冷却の進行によって低下して行き、当該ミックス固有の凝固点に近づくとその温度降下は徐々に緩慢となる。そして、40秒(t秒)間における温度降下(現在ミックス温度とt秒前の温度との差)が0.1℃(T℃)以下となると、ステップS10からステップS11に進む。
【0055】
ステップS11では、マイクロコンピュータ46は電流センサ48の出力に基づき、ビータモータ12の通電電流が前記しきい値以上となっているか否か判断する。冷却シリンダ8内で撹拌されながら冷却されたミックスは、販売に供せる冷菓となると所定の硬度を有するようになる。そして、冷菓(ソフトクリーム)の硬度により、それを撹拌しているビータ10の負荷が増加するため、ビータモータ12の通電電流は上昇する。
【0056】
このしきい値はミックスの種類に応じて適宜設定する。即ち、比較的柔らかい商品となるミックスの場合にはしきい値を低くし、比較的硬めの商品となるミックスの場合にはしきい値を高く設定すると良い。そして、今ビータモータ12の通電電流はしきい値を越えているものとするとステップS15に進む。
【0057】
そして、ステップS15で現在のミックスの温度を冷却終了温度(OFF点温度)にセットし、ステップS16で冷却中フラグをリセットすると共に、ステップS17で冷却停止を行う。
【0058】
即ち、この冷却停止ではマイクロコンピュータ46はシリンダ冷却弁24をOFFし、代わりにホッパー冷却弁26をONする。これにより、冷却シリンダ8の冷却は停止され、ホッパー冷却弁26のONにより、今度はホッパー2の冷却が行われるようになる。尚、これでプルダウンは終了するので、マイクロコンピュータ46は冷却設定をボリューム49で設定された「1」に戻す。
【0059】
そして、マイクロコンピュータ46はステップS1に戻るが、ここでは冷却中フラグはリセットされているので、今度はステップS2に進み、シリンダセンサ31の出力に基づき、現在のミックス温度が前記冷却終了温度(OFF点温度)+0.5℃以上に上昇したか否か判断する。上昇していなければステップS16に進み、以後これを繰り返す。尚、マイクロコンピュータ46はホッパーセンサ32の出力に基づき、ホッパー2の温度も所定の温度以下に冷却されている場合には、ホッパー冷却弁26もOFFすると共に、この場合にはコンプレッサ18も停止する。尚、実施例ではホッパー冷却弁26は10℃でON、8℃でOFFされる。
【0060】
ミックス(冷菓)の温度が上昇して冷却終了温度(OFF点温度)+0.5℃以上となると、マイクロコンピュータ46はステップS2からステップS3に進み、以後同様に冷却シリンダ8の冷却を開始するものである。このようにして、冷菓は製造される。冷菓製造中冷却ランプFLは点滅されるが、製造が完了すると点滅は点灯状態に切り換えられる。
【0061】
ここで、ソフトクリーム製造装置SMが設置された外気温度が高いなどの理由により冷却不良が発生すると、シリンダセンサ31が検出する温度は低くても冷却シリンダ8内のミックスの硬度が商品として販売できる程度に上昇しなくなる。係る状況となると、ビータ10に加わる負荷もあまり上昇しないので、ビータモータ12の通電電流の上昇も緩慢となり(或いは上昇しない)、前記しきい値を越えなくなる。
【0062】
マイクロコンピュータ46はステップS10からステップS11に進んだとき、このステップS11でビータモータ12の通電電流が前記しきい値を越えていない場合、ステップS12に進んで現在の冷却設定が「3」か否か判断する。このときは冷却設定は「1」であるからマイクロコンピュータ46はステップS13に進み、冷却設定を1段階シフト(即ちこの場合には「2」にシフト)する。
【0063】
そして、ステップS13からステップS3に戻り、計測タイマをクリアすると共に、前記ステップS4〜ステップS6を実行する。以後これを繰り返して冷却シリンダ8内のミックスを更に撹拌しながら冷却して行く。そして、今度は冷却設定「2」で設定された20秒(t秒)間における温度降下(現在ミックス温度とt秒前の温度との差)が0.1℃(T℃)以下となると、ステップS10からステップS11に進む。
【0064】
ステップS11では、同様にマイクロコンピュータ46は電流センサ48の出力に基づき、ビータモータ12の通電電流が前記しきい値以上となっているか否か判断する。そして、依然ビータモータ12の通電電流はしきい値を越えていないものとすると、マイクロコンピュータ46はステップS12に進んで現在の冷却設定が「3」か否か判断する。このときは冷却設定は「2」であるからマイクロコンピュータ46はステップS13に進み、冷却設定を1段階シフト(即ちこの場合には「3」にシフト)する。
【0065】
そして、ステップS13からステップS3に戻り、計測タイマをクリアすると共に、前記ステップS4〜ステップS6を実行する。以後これを繰り返して冷却シリンダ8内のミックスを更に撹拌しながら冷却して行く。そして、今度は冷却設定「3」で設定された40秒(t秒)間における温度降下(現在ミックス温度とt秒前の温度との差)が0.1℃(T℃)以下となると、ステップS10からステップS11に進む。
【0066】
ステップS11では、同様にマイクロコンピュータ46は電流センサ48の出力に基づき、ビータモータ12の通電電流が前記しきい値以上となっているか否か判断する。そして、依然ビータモータ12の通電電流はしきい値を越えていない場合、マイクロコンピュータ46はステップS12に進んで現在の冷却設定が「3」か否か判断する。このときは冷却設定は「3」にシフトされているから、マイクロコンピュータ46はステップS18に進み、LED表示器54の点検ランプCLを点滅させる。そして、ステップS17に進んで前述の如く冷却シリンダ8の冷却停止を行う。
【0067】
尚、その後の冷却再開によって正常に戻れば、即ち、ビータモータ12の通電電流がしきい値に上昇すればマイクロコンピュータ46は点検ランプCLを消灯するものである。
【0068】
次に、図16のフローチャートを参照しながら前記切換スイッチ61によってマニュアルモードに切り換えられた場合の冷却制御について説明する。マニュアルモードに切り換えられた場合、温度設定スイッチ70によって冷却設定温度を任意に設定する。前記キー入力回路52の冷却運転スイッチSW1が操作されると、全てをリセットした後、マイクロコンピュータ46は図16のステップS20で冷却中フラグがセット「1」されているか、リセット「0」されているか判断する。
【0069】
運転開始(プルダウン)時点で冷却中フラグがリセットされているものとすると、ステップS21でシリンダセンサ31の出力に基づき、冷却シリンダ8内の現在のミックス温度が冷却設定温度より少許高い冷却ON点温度以上か否か判断する。そして、ミックスの温度は高いものとすると、ステップS22で冷却中フラグをセットして冷却動作を実行する(ステップS23)。
【0070】
即ち、マイクロコンピュータ46はコンプレッサ18(コンプレッサモータ18M)を運転し、四方弁19は前記冷却サイクルとする(非通電)。そして、シリンダ冷却弁24をON(開)、ホッパー冷却弁26をOFF(閉)、シリンダホットガス弁34およびホッパーホットガス弁をOFFとする。また、ビータモータ12によりビータ10を回転させる。これにより、前述の如く冷却シリンダ8内のミックスはシリンダ冷却器11により冷却され、ビータ10により撹拌される。
【0071】
次に、マイクロコンピュータ46はステップS20からステップS24に進み、現在のミックス温度が冷却設定温度より少許低い冷却OFF点温度以下か否か判断する。そして、ミックスの温度は高いものとすると、ステップS23に戻り冷却動作を実行する。
【0072】
以後これを繰り返して冷却シリンダ8内のミックスを撹拌しながら冷却して行く。ここで、ミックスの温度は冷却の進行によって低下して行き、ミックス温度が冷却OFF点温度以下となると、ステップS25で冷却中フラグをリセットすると共に、ステップS26で冷却停止を行う。
【0073】
即ち、この冷却停止ではマイクロコンピュータ46はシリンダ冷却弁24をOFFし、代わりにホッパー冷却弁26をONする。これにより、冷却シリンダ8の冷却は停止され、ホッパー冷却弁26のONにより、今度はホッパー2の冷却が行われるようになる。
【0074】
そして、マイクロコンピュータ46はステップS20に戻るが、ここでは冷却中フラグはリセットされているので、今度はステップS21に進み、シリンダセンサ31の出力に基づき、現在のミックス温度が前記冷却ON点温度以上に上昇したか否か判断する。上昇していなければステップS26に進み、以後これを繰り返す。尚、マイクロコンピュータ46はホッパーセンサ32の出力に基づき、ホッパー2の温度も所定の温度以下に冷却されている場合には、ホッパー冷却弁26もOFFすると共に、この場合にはコンプレッサ18も停止する。尚、実施例ではホッパー冷却弁26は10℃でON、8℃でOFFされる。
【0075】
ミックス(冷菓)の温度が上昇して冷却ON点温度以上となると、マイクロコンピュータ46はステップS21からステップS22に進み、以後同様に冷却シリンダ8の冷却を開始するものである。
【0076】
このように、切換スイッチ61を操作することにより、冷菓製造装置SMのマイクロコンピュータ46による冷却運転モードを、平衡温度制御モードとマニュアルモードとに切り換えて実行することができるので、熟練者はマニュアルモードで、また、それ以外は平衡温度制御モードでと云うように、使用者の必要に応じて適宜運転モードを選択して実行できるようになり、利便性が向上する。
【0077】
次に、図14中のデフロスト工程について説明する。このデフロスト工程は冷却シリンダ8内の冷菓の所謂「へたり」を解消するために実行されるものである。冷却シリンダ8内の冷菓は長時間販売されない状態で撹拌保冷されると、軟化が進行してソフトクリーム商品として供せる硬度を維持できなくなる。これは例えば実施例の冷菓製造装置SMの場合、二時間半以内に10個分の冷菓を抽出していない場合に生じることが経験的に確かめられている。この10個分とは冷却シリンダ8内の全ての冷菓が取り出される量である。
【0078】
マイクロコンピュータ46は自らの機能として有するタイマと抽出スイッチ51からの信号に基づいて冷却工程中これを監視しており、前記連続する二時間半の期間内における抽出個数が10個未満(「へたり」発生条件)となった場合には、デフロストランプDLを例えば0.2秒という短い間隔で点滅させ、使用者に「へたり」発生の警告を行う。使用者は係るデフロストランプDLの早い点滅によって冷菓の「へたり」が生じる危険性があることを判断できる。
【0079】
そして、係る場合には使用者はデフロストスイッチSW4を操作する。冷却運転中にキー入力回路52のデフロストスイッチSW4が操作されると、マイクロコンピュータ46はシリンダホットガス弁34のON、OFF制御を行い、ホットガスにて冷却シリンダ8を加温し、ミックスを所定温度(+4℃)に昇温させる。これによって、冷却シリンダ8内の冷菓を一旦融解させる。マイクロコンピュータ46は係るデフロスト工程中デフロストランプDLを例えば0.5秒間隔での点滅に切り換える。そして、デフロスト工程が終了したらデフロストランプDLを消灯し、その後マイクロコンピュータ46は引き続き冷却運転を行ない、再びミックスを冷却工程に復帰する。
【0080】
ここで、使用者によっては係る「へたり」の危険性を警告するデフロストランプDLの点滅を不要とする場合もある。何故ならば、コントロ−ルパネル50条で係るランプの点滅が行われることは顧客に与える印象も悪くなり、営業上好ましくなくなる場合もあるからである。そこで、係る警告を不要とする場合には、表示切換スイッチ71を操作し、警告不要に切り換える。マイクロコンピュータ46は表示切換スイッチ71が操作されて警告不要に設定された場合には、上述の如き「へたり」発生条件が成立してもデフロストランプDLの速い点滅を実行しない。これによって、使用者や顧客に与える不安感を解消することができるようになる。但し、実際には係る条件が成立した場合、マイクロコンピュータ46は基板上の図示しない表示器を用い、顧客に見えないところで「へたり」警告表示を実行するものである。
【0081】
次に、図15の殺菌・保冷運転(殺菌昇温工程、殺菌保持工程、保冷プルダウン工程、保冷保持工程)について説明する。前記キー入力回路52の殺菌スイッチSW2が操作されると、ミックス切れの無い条件の下でマイクロコンピュータ46は殺菌・保冷運転は開始する。
【0082】
マイクロコンピュータ46は、四方弁19により冷却サイクルから加熱サイクルに切り換える。これにより、ホットガスが冷却シリンダ8、ホッパー2に供給されて加熱されていく(殺菌昇温工程)。そして、凝縮器20から流出した冷媒ガスは、細管57を経てリバース電磁弁36とリバースキャピラリチューブ37の接続点に至る。ここで、マイクロコンピュータ46は常にはリバース電磁弁36を閉じており、従って、常には冷媒ガスはリバースキャピラリチューブ37にて減圧された後、コンプレッサ18に戻る。
【0083】
係るリバースキャピラリチューブ37を介して冷媒をコンプレッサ18に戻す理由は、コンプレッサ18への液バック(液冷媒の吸込)を防止するためであるが、係る状態で殺菌・保冷運転が実行されると、コンプレッサ18の吸込側と吐出側の圧力差が拡大してコンプレッサ18が過負荷となり、コンプレッサモータ18Mの通電電流が上昇する。マイクロコンピュータ46は電流センサ47にて係るコンプレッサモータ18Mの通電電流を監視しており、例えば5.2Aまで上昇するとリバース電磁弁36を開く。
【0084】
これによって、凝縮器20から流出した冷媒は流路抵抗差によりリバースキャピラリチューブ37では無くリバース電磁弁36を通過してコンプレッサ18に戻るようになるので、コンプレッサ18の負荷は軽減される。そして、例えばコンプレッサモータ18Mの通電電流が3.6Aまで降下すると、マイクロコンピュータ46は再びリバース電磁弁を閉じる動作を実行する。
【0085】
ここで、加熱サイクル(破線矢印)のみ冷媒が流れる凝縮器20とリバース電磁弁36及びリバースキャピラリチューブ37の接続点との間には前述の如く細管57が接続されており、リバースキャピラリチューブ37と細管57を合算した流路抵抗が従来のリバースキャピラリチューブ単体の流路抵抗に合致するようにリバースキャピラリチューブ37の抵抗値は選定されている。
【0086】
これにより、リバース電磁弁36が開いたときの加熱サイクルの冷媒流路抵抗は従来よりも増大せられ、リバース電磁弁36が閉じたときの開いたときとの流路抵抗の差を縮小させている。即ち、係る細管57の存在により、リバース電磁弁36の開に伴うコンプレッサモータ18Mの通電電流の変化は従来よりも緩慢となるため、結果としてリバース電磁弁36の頻繁な開/閉動作が防止されるようになり、リバース電磁弁36の寿命が延長される。
【0087】
そして、この殺菌昇温工程が終了すると、今度は殺菌・保冷センサ38およびホッパーセンサ32の出力に基づき、マイクロコンピュータ46はコンプレッサ18、シリンダホットガス弁34、ホッパーホットガス弁35をON、OFF制御して、冷却シリンダ8、ホッパー2とも+69℃〜+72℃の加熱温度範囲で約40分の合計加熱時間を満足するように殺菌保持工程を実行する。
【0088】
この殺菌昇温および殺菌保持の工程はLED表示器54の殺菌モニターランプPLにて表示され、殺菌保持工程が終了すると、マイクロコンピュータ46は四方弁19により冷媒回路を冷却サイクルに切り換え、保冷プルダウン工程に移行する。この保冷移行もLED表示器54にて表示される。
【0089】
殺菌保持工程から引き続く保冷プルダウン工程では、所定時間以内に所定温度以下となる条件のもと、冷却が開始される。このとき、マクロコンピュータ46は、コンプレッサモータ電流センサ47の出力に基づき、コンプレッサモータ電流値が5.8A以下で有る場合には、前記シリンダ冷却弁24及びホッパー冷却弁26が開とされる。冷却シリンダ8、ホッパー2共に温度が高いことからコンプレッサ18の負荷は高くなり、コンプレッサモータ電流値が上昇して5.8A(第1の上限値)以上に到達した場合には、前記ホッパー冷却弁26を閉とする。このとき、シリンダ冷却弁24は、依然として開とされる。そして、ホッパー冷却弁26が開とされていることから、徐々にコンプレッサモータ電流値が6.0A(第2の上限値)に到達した場合には、更にホッパー冷却弁26も閉とされる。両者の冷却弁24及び26が閉とされることから、コンプレッサモータ電流値が降下し、再び5.3A(下限値)に達した場合は、シリンダ冷却弁24及びホッパー冷却弁26が開とされる。以後これを繰り返すことによって、冷却シリンダ8、ホッパー2は徐々に冷却され、それによってコンプレッサ18の過負荷も生じなくなって行く。そして、最終的には冷却シリンダ8,ホッパー2の温度を+8℃〜+10℃の温度範囲まで冷却する。
【0090】
このように、保冷プルダウン工程の開始時は双方の冷却弁24、26を開いて冷却シリンダ8とホッパー2の双方の冷却を開始し、その状態からコンプレッサモータ電流値が5.8Aに達したら先ずシリンダ冷却弁24を閉じ、それでもコンプレッサモータ電流値が上昇して6.0Aに達した場合にはホッパー冷却弁26も閉じて冷却弁24、26を双方とも閉じるので、コンプレッサ18の過負荷は迅速に解消され、結果として保冷プルダウン工程に要する時間を短縮することができるようになる。
【0091】
そして、その後保冷工程に移行し、保冷工程ではこの温度を維持するように殺菌・保冷センサ38及びホッパーセンサ32の出力に基づき、マイクロコンピュータ46はコンプレッサモータ18M、シリンダ冷却弁24、ホッパー冷却弁26をON、OFF制御する。
【0092】
尚、実施例では冷却運転時、図14に示す如き平衡温度制御を実行したが、ビータモータ12の通電電流による異常検知に関しては、ミックスを設定温度まで冷却を行う通常の制御においても有効である。
【0093】
次に、図17乃至図20を参照してソフトクリーム製造装置SMの本体下方前部について説明する。前記ソフトクリーム製造装置SMのフリーザードア14の下方にはドレン受け62が設けられており、係るドレン受け62は、受け板63に取り付けられている。この受け板63は、下面左右に製造装置SM本体の下端まで延在して形成された側板64によって支持される。
【0094】
側板64は、上下に渡って図1に示す如く本体の外方から内方にかけて傾斜して形成されており、ソフトクリーム製造装置SMの前端を構成する本体フレーム65に例えばネジ止めによって固定されている。また、側板64の前端は、後述する化粧パネル68を取り付けた際に、化粧パネル68との重複部分を略面一とするために内方に向かって折曲される係合部64Aが形成されている。
【0095】
また、側板64の下端には、本体フレーム65の前端から側板64の前端にかけて下部フレーム66が取り付けられている。この下部フレーム66は、前方に向けて少許上向きに傾斜して形成されており、係る下部フレーム66の前端は、略垂直に折曲されてた垂直面66Aが形成されている。そして、係る垂直面66Aの前面には、マグネット部材67が取り付けられている。
【0096】
一方、前記受け板63の下方には、前記電装箱44が本体フレーム65に固定されている。最近の電装箱は省スペース化の開発が進み、従来の電装箱に比して小さく構成されているものである。
【0097】
そして、係る電装箱44の下方には、図17及び図18に示す如きカバー部材61が取り付けられている。ここで、図17はカバー部材61の正面図、図18はカバー部材61の右側面図を示している。このカバー部材61は、鋼板製材料にて構成されており、前面を構成する本体61Aの両端を後方に折曲し、断面略コ字状に形成している。この本体61Aの両端には側面部61B、61Bが形成されており、この側面部61Bの下端前部は本体フレーム65に取り付けた際に、前記下部フレーム66の傾斜に対応して、中央部から前端にかけて上向きに傾斜している。また、本体61Aの下端には、下部フレーム66に取り付けるための取付部61Cが形成されている。この取付部61Cは、本体61Aの下端を前方に折曲された後、更に、係る下端を下方に折曲することによって形成されている。また更に、本体61Aの前面には、全体に渡って複数の通気孔61Dが形成されている。
【0098】
以上の構成で、カバー部材61は前記下部フレーム66にカバー部材61の側面部61Bを沿わせると共に、カバー部材61の取付部61Cを下部フレーム66の垂直面66Aに嵌合させて本体フレーム65に取り付ける。このとき、カバー部材61の側面部61Bと側板パネル64との間には所定寸法の隙間が形成されている。
【0099】
更に、電装箱44及びカバー部材61の前面には鋼板製材料にて形成された化粧パネル68が取り付けられる。この化粧パネル68には両端を後方に折曲した折曲部68Aが設けられており、前記側板64の係合部64Aと係合される。また、化粧パネル68の上端は前記受け板63に予め形成された図示しない取付溝に挿入されると共に、前記下部フレーム66の垂直面66Aに取り付けられたマグネット部材67に接触させることにより固定される。これにより、化粧パネル68の脱着が容易となる。また、化粧パネル68とカバー部材61の本体61Aとの間には、前記マグネット部材67の幅寸法分だけ隙間が形成されている。
【0100】
以上の構成により、冷凍装置Rから排出された廃熱は、図19及び図20に示す如くカバー部材61の前面に形成された通気孔61Dを介して前記化粧パネル68下端とカバー部材61の本体61Aとの間の隙間から排出される。これによって、効率的に冷凍装置Rから排出される廃熱を解消することができるようになる。
【0101】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、このホッパーより適宜供給されるミックスを撹拌しながら冷却することにより冷菓を製造する冷却シリンダと、これらホッパーおよび冷却シリンダを冷却する冷却装置と、冷却シリンダ内のミックスの温度を検出するシリンダセンサと、制御手段とを備えた冷菓製造装置において、制御手段は、シリンダセンサの出力に基づき、冷却シリンダ内のミックスの所定の温度降下速度に基づいて冷却シリンダの冷却を停止する第1の運転モードと、任意に設定した冷却設定温度にて冷却シリンダの冷却を停止する第2の運転モードとを選択的に切り換えて実行可能としたので、熟練者は第2の運転モードで、また、それ以外は第1の運転モードでというように、使用者の必要に応じて適宜運転モードを選択して実行できるようになり、利便性が向上される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷菓製造装置の実施例としてのソフトクリーム製造装置の内部構成を示す斜視図である。
【図2】蓋部材の平面図である。
【図3】蓋部材の底面図である。
【図4】蓋部材の側面図である。
【図5】蓋部材の正面図である。
【図6】蓋部材の縦断側面図である。
【図7】蓋部材の縦断正面図である。
【図8】治具に装填された蓋部材の説明図である。
【図9】ホッパーに載置された蓋部材の構造説明図である。
【図10】図1のソフトクリーム製造装置の冷媒回路図である。
【図11】図1のソフトクリーム製造装置の制御装置のブロック図である。
【図12】リバース電磁弁及びリバースキャピラリーチューブ部分の冷媒配管の側面図である。
【図13】図3の制御装置のマイクロコンピュータのプログラムを示すフローチャートである。
【図14】図1のソフトクリーム製造装置の冷却運転を説明するタイミングチャートである。
【図15】図1のソフトクリーム製造装置の殺菌・保冷運転を説明するタイミングチャートである。
【図16】図3の制御装置のマイクロコンピュータのプログラムを示すフローチャートである。
【図17】カバー部材の正面図である。
【図18】図17のカバー部材の右側面図である。
【図19】図1のソフトクリーム製造装置の本体下部前面の側面図である。
【図20】同じく図1のソフトクリーム製造装置の本体下部前面の横断平面図である。
【図21】図1のソフトクリーム製造装置のコントロールパネルの正面図である。
【符号の説明】
SM ソフトクリーム製造装置(冷菓製造装置)
C 制御装置
SW1 冷却運転スイッチ
2 ホッパー
8 冷却シリンダ
10 ビータ
12 ビータモータ
18 コンプレッサ
18M コンプレッサモータ
19 四方弁
20 水冷式凝縮器
21、22、33、40 逆止弁
24 シリンダ冷却弁
26 ホッパー冷却弁
31 シリンダセンサ
32 ホッパーセンサ
34 シリンダホットガス弁
35 ホッパーホットガス弁
46 マイクロコンピュータ
47、48 電流センサ
49 冷却設定ボリューム(設定手段)
52 キー入力回路
53 しきい値設定ボリューム
61 切換スイッチ
70 温度設定スイッチ

Claims (1)

  1. ミックスを貯蔵保冷するホッパーと、このホッパーより適宜供給されるミックスを撹拌しながら冷却することにより冷菓を製造する冷却シリンダと、これらホッパーおよび冷却シリンダを冷却する冷却装置と、前記冷却シリンダ内のミックスの温度を検出するシリンダセンサと、制御手段とを備え、
    この制御手段は、前記シリンダセンサの出力に基づき、前記冷却シリンダ内の前記ミックスの所定の温度降下速度に基づいて前記冷却シリンダの冷却を停止する第1の運転モードと、任意に設定した冷却設定温度にて前記冷却シリンダの冷却を停止する第2の運転モードとを選択的に切り換えて実行可能とされていることを特徴とする冷菓製造装置。
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