JP4384419B2 - 酸化物セラミックスナノシートおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚さがサブミクロン、すなわちナノメターサイズである酸化物セラミックスナノシートおよびそれを大量に製造するのに適した酸化物セラミックスナノシートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、セラミックスの薄膜は、一般的にゾル−ゲル法、CVD法、スパッタリング法、レーザーアブレーション法などによって作成されている。しかし、そのほとんどが基材の上に作成された薄膜であり、いわゆる基材のない自立した薄膜は何らかの方法で薄膜を基材から剥離させる必要があり、著しく生産性にかけるものであった。
【0003】
一方、基材を必要としない薄膜の製造方法としては、特開2001−261434号に記載された部分的に加水分解した高濃度の金属アルコキシド溶液を気−液界面でゲル化させチタン酸バリウム自立膜を作製する方法、特許第2592307号や特開昭63−166748号に記載された金属アルコキシド溶液を液−液界面で重合させ酸化物セラミックス薄膜を得る方法、特開昭51−34219号に記載された金属アルコキシド溶液を水面に滴下しガラス薄膜を得る方法が知られている。
【0004】
また、いわゆるこのようなゾル−ゲル法によらない方法として、層状チタン酸化物微結晶を剥離して得られる薄片粒子からなるチタニアナノシートとその製造方法が特開2002−265223号、特開2001−270022号に記載されている.
【0005】
前者の方法ではサブミクロン以上の膜厚の薄膜の作製が目的とされており、また加水分解によるゲル化の速度の制御が困難で、従って膜厚制御が困難であり、何よりも大量製造できない。後者の方法では、チタニアナノシートが得られるが、層状結晶性の原料にのみ有効な方法であり、また工程が複雑である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、酸化物セラミックスシート内に、非晶質酸化物あるいは粒子の大きさがシート厚さの1/5以下のナノ結晶粒が閉じ込められている酸化物セラミックスナノシートと、さまざまな種類の酸化物に対して汎用性があり、酸化物セラミックスナノシートを大量に製造するのに適した製造方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、酸化物セラミックスナノシートを製造する方法として、金属アルコキシドを部分加水分解によりポリマー化する工程、このポリマーを水に対する溶解性を有する溶媒を用いて溶液にする工程、この溶液を水面上に滴下することにより、溶液を水面上に展開し、ゲルナノシートとする工程、このゲルナノシートを回収する工程、および回収したゲルナノシート乾燥し焼成する工程を採用することにより、酸化物セラミックスナノシートを大量に製造するのに適した製造方法となり得ることを見いだした。
【0008】
この場合において、溶液を滴下する水面を一定の方向に一定の速度で流動させながら、溶液を毎時定量ずつ連続的に滴下させることにより、ゲルナノシートを連続的に形成出来、これを水の流動の下流側で回収することが出来る。
また、キレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応の何れかにより化学修飾して加水分解速度を調整した金属アルコキシドから得られたポリマーを使用することにより、このポリマー溶液が水との界面で三次元網目構造のポリマーに転換しゲルナノシートを形成する。
【0009】
このようにして製造された酸化物セラミックスナノシートを、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、ゲル状のナノシートをセラミック化して得られるシート内に非晶質酸化物が閉じ込められている構造を有する。そして、このシート内に閉じ込められた酸化物粒子の大きさがシート厚さの1/5以下のナノ結晶粒であり、シート間が易焼結性である特性を有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について、具体的且つ詳細に説明する。
本発明の酸化物セラミックスナノシートの製造方法は、金属アルコキシドを部分加水分解によりポリマー化する工程(第一の工程)、このポリマーを水に対する適度な溶解性を有する溶媒を用いて所望の濃度の溶液にする工程(第二の工程)、この溶液を流動する水面上に精密に連続して滴下しゲルナノシートとする工程(第三の工程)、これを回収する工程(第四の工程)、乾燥し焼成する工程(第五の工程)を含む。
【0011】
本発明による第一の工程では、目的とする酸化物セラミックスを構成する金属元素のアルコキシドを有機溶媒中で混合し、部分加水分解によりポリマー化する。
この第一の工程で使用する金属アルコキシドは単一のアルコキシドであっても複合アルコキシドであってもよいが、目的とする酸化物セラミックスの組成を厳密に制御するために一般式M(OR)x(式中Rはアルキル基またはアリール基を表す)で表される単一アルコキシドを用いることが好ましい。Rは焼成により酸化物セラミックス中から除去されるため一般的には炭素数の少ないエチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル基などが好ましい。特に製造するセラミックスナノシートを多孔質構造にしたい場合には、炭素数の多いアルキル基やアリール基を有するアルコキシドを用いることもできる。
【0012】
第一の工程において、金属アルコキシドを部分加水分解するにあたり、適宜アルコキシ基を選択することにより加水分解速度を調整することもできるが、金属アルコキシドをキレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応などにより化学修飾して加水分解速度を調整することが好ましい。具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、オクタンジオール、ヘキサンジオールのようなグリコール類、アセチルアセトンのようなβ−ジケトン類、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸のようなヒドロキシカルボン酸類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルのようなケトエステル類、ジアセトンアルコールのようなケトアルコール類のO配位タイプの配位子、エチレンジアミン、アミノアルコール、オキシキノリン、シッフベースのようなN配位タイプの配位子、シクロペンタジエニル化合物のようなC配位タイプの配位子、P,B,S配位タイプの配位子によるキレート化、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルのような有機酸エステル類によるエステル交換反応、1−ブタノール、1−ペンタノールのようなアルキル鎖長の長いアルコール類によるアルコキシ交換反応、酢酸、プロピオン酸、フェニル酢酸のようなカルボン酸類とのアシドリシス、無水酢酸、無水ヘプタン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸のような酸無水物との反応、アジピン酸、マレイン酸、フタル酸のような二塩基酸との反応により金属アルコキシドの一部あるいは全部を加水分解速度の異なる置換機に置換することにより、さらには一部ポリマー化することにより化学修飾して加水分解速度を調整することが可能となる。置換されるアルコキシ基の割合は金属の種類、アルコキシ基の種類により異なるが、全アルコキシ基の25〜50%が置換されていることが好ましい。25%以下では効果が十分ではなく、50%を超えると以下の部分加水分解でポリマー化が不十分となり好ましくない。
【0013】
このような金属アルコキシドの化学修飾により、金属アルコキシド分子中には加水分解の速い置換基と遅い置換機が導入され、場合によっては加水分解によるポリマー化が部分的に達成されたのと同様の効果を期待できる。こうして化学修飾された金属アルコキシドはエタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メトキシエタノールのような水を溶解する溶媒で希釈され、これに同様の溶媒中に所望の量の水を溶解し、さらに必要に応じて塩酸などの酸触媒を加えたものを、溶液が白濁しない程度の速度で攪拌しながら加えることにより部分的に加水分解され、ポリマー化する。
化学修飾された金属アルコキシドは必ずしも希釈する必要はないが、十分な流動性を確保するために、適宜溶媒で希釈することができる。この希釈用の溶媒は脱水されていることが望ましい。
【0014】
混合する水の量は金属アルコキシドを部分的に加水分解する量であることが必要であり、一般的に、金属アルコキシドの1〜2倍モルの範囲で化学量論的に決定されなければならない。すなわち、本発明では、金属アルコキシドのポリマー化を、溶媒に可溶であることはもちろん、後述する流動する水面上に精密に連続して滴下しゲルナノシートとする工程において、ポリマー溶液と水との界面で三次元網目構造のポリマーに転換しゲルナノシートを生成するために鎖状ポリマーあるいは分岐構造を有する鎖状ポリマーとして得ることが必須である。水の量が金属アルコキシドの1倍モルより少ないと鎖状ポリマーを形成しないアルコキシドが残留し、2倍モルを超えるとゲル化するか一部無機微粒子を形成し組成が不均一になるので好ましくない。
【0015】
このように調製された金属アルコキシドポリマー溶液は、本発明の第二工程に用いることができるが、鎖状ポリマーあるいは分岐構造を有する鎖状ポリマーの十分な発達と溶液の組成および濃度を厳密に制御するために減圧下で熟成および濃縮することが望ましい。熟成時間は濃縮に要する時間で十分である。濃縮温度は室温から100℃で十分であり、100℃以上では精製したポリマーがゲル化する場合があり好ましくない。
【0016】
本発明による製造方法の第二の工程では、第一の工程で得られたポリマーを水に対する適度な溶解性を有する溶媒を用いて所望の濃度の溶液に調整する。
第二の工程で用いる水に対する適度な溶解性を有する溶媒とは、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メトキシエタノール、エチルメチルケトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ニトロメタン、ジメチルスルホキシドなどであり、ポリマーの性質にもよるが、2−プロパノールと1−ブタノール、エタノールと1−ブタノールなどの混合溶媒が一般によい結果を与える。シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなど水にほとんど不溶の溶媒も用いることができるが、このような溶媒中では基本的に本発明の第三の工程でポリマーの加水分解による三次元網目構造の生成が起こらず、したがって加水分解速度の制御が著しく困難になり、ナノシートの厚みの制御ができない点で好ましくない。
【0017】
ポリマーの濃度はナノシートの厚みを制御するために厳密に制御しなければならず、1〜50%の濃度が好適である。1%以下ではではゲルナノシートの厚みが実質的に制御できなくなり、50%以上ではポリマーに起因する溶液の粘度の上昇が支配的になり、溶液が第三の工程で流動する界面に滴下された際に水面上に広がりにくくなるためナノシートが得られない。
【0018】
本発明による製造方法の第三の工程では、水面上に連続して滴下しゲルナノシート、つまりゲル状のサブミクロンの厚さを有するシートとする。
図1は、本発明の第三の工程および第四の工程の一部を実施するための装置を概念的に示す説明図である。第三の工程は、図1において奥から手前にわずかな勾配を設けた水槽1に水槽2から循環ポンプ2により水を循環させ、水槽1から水槽2に向かって水を流し、水の流動表面を形成する。この水の流れは、層流であることが必要であり、乱流状態であってはならない。水の流れを形成するのは、溶液を連続滴下して次に述べるゲルナノシートを連続的に形成するのと、形成されたゲルナノシートを滴下位置より下流で連続的に回収出来るようにするためである。
【0019】
この水の表面に、第二の工程で得られたポリマー溶液を定量ポンプにより流量を制御してマイクロシリンジより毎時定量ずつ滴下する。マイクロシリンジは、ポリマー溶液を滴下する水の流れの方向に対して直交する方向に複数個配置し、それらから何れも毎時等量のポリマー溶液を滴下するようにしてよい。これは、幅広のゲルナノシートを作るのに適している。
【0020】
水面上に滴下されたポリマー溶液の液滴は水の表面に流動界面を形成しながら展開し、溶媒は主に水に対する溶解性に応じて水中に溶解する。溶液中のポリマー化した金属アルコキシドは溶液と水との界面で加水分解により鎖状ポリマーあるいは分岐構造を有する鎖状ポリマー間で縮合しゲル化してゲルナノシートを形成する。ゲルナノシートは水槽2に向かって移動するため、既にゲルナノシートになった部分の上にポリマー溶液が滴下しないように滴下速度を調整しながら連続滴下することにより、連続的にポリマー溶液を滴下しながら、連続してゲルナノシートの形成が可能である。水中の有機溶媒成分は適宜分離槽を介することにより分離することが可能である。
【0021】
本発明による製造方法の第四の工程では、第三の工程で得られたゲルナノシートを回収する。ゲルナノシートの回収は、例えば、前記溶液の滴下位置より水の流れに対して下流にある図1の水槽2においてガラスフィルター製などのセパレーターを設けることにより達成される。但しこれに限らず、連続的に大量のゲルナノシートの製造を行うため、適宜水槽2から回収すればよい。回収の方法は、フィルター様の網ですくい取るか、あるいは交換可能のセパレーターごと回収する方法がある。
【0022】
本発明による製造方法の第五の工程では、第四の工程で回収されたゲルナノシートを乾燥し焼成する。
得られたゲルナノシート中には水分とポリマー由来の有機物が含有されているので、まず回収されたゲルナノシートから酸化性雰囲気中で室温〜100℃の温度範囲で乾燥する。酸化性雰囲気とは大気あるいは酸素雰囲気である。窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気でもよいが特にそのような雰囲気にする必要はない。温度は水分が除去されれる条件であればよいので特に限定されないが、100℃以上では部分的に凝集した水が沸騰し、場合によっては生成したゲルナノシートの凝集による二次粒子を生成させるので好ましくない。
【0023】
乾燥したゲルナノシートは、さらに酸化物セラミックスの種類に応じて残留する有機物を除去し、所望の構造を得るために所望の温度まで焼成する。このときの昇温速度はゲルナノシートをナノシートの構造を維持させながら酸化物セラミックスに転換させるために重要であり、ゲル中に形成された金属と酸素の三次元的な結合をさらに発達させるために急激に昇温しないことが必要である。好ましくはゲル中の残留有機物が徐々に熱分解し酸化する1〜200℃/時間で昇温する。焼成温度はゲルナノシート中の炭素が酸化除去される温度以上であればよく、一般的には400℃以上であればよい。
【0024】
次に前記のような製造方法により得られる本発明による酸化物セラミックスナノシートについて説明する。
本発明の酸化物セラミックスナノシートは、上記本発明の酸化物セラミックスナノシートの製造方法、すなわち界面流動ゾル−ゲル法によって得られるゲルナノシートをセラミック化して得られるシート内に、非晶質酸化物あるいはシート厚さの1/5以下の大きさのナノ結晶粒が閉じ込められているものである。この酸化物セラミックスナノシートは、シート間が易焼結性であるという特徴を有する。
【0025】
いかなる理論にも拘束されるものではないが、本発明による製造方法では、第一の工程において原料である金属アルコキシドを化学修飾し、分子中に加水分解速度の異なる置換機を導入した後、部分加水分解を化学量論的に行うことにより、鎖状無機ポリマーを形成させるという、いわゆる分子設計の手法により無機高分子前駆体を合成する。さらに引き続く第三の工程において、水面上に滴下された鎖状無機高分子はさらに加水分解による分子間縮合で三次元網目構造の発達した巨大なゲル化した無機高分子へと、水面に展開するシート内で転換する。
【0026】
第二の工程および第三の工程における反応機構は、たとえばキレート化(LHを配位子とする)による化学修飾を例に挙げれば、次の化1のような反応が順次起こることにより、鎖状ポリマーが生成し、さらに分子間の縮合による分子間の架橋が発達し、ついには三次元巨大ポリマーがナノシート内に生成することになる。このような反応機構で反応が進行する理由は、金属アルコキシドに加水分解速度が遅いLを配位させることにより、部分加水分解による鎖状ポリマーの生成が効率よく起こり、さらに、水面上での急激な加水分解を緩和することにより、三次元網目構造の発達を促進するからであると推定される。
【0027】
【化1】
【0028】
これに対して、従来の部分加水分解しただけの金属アルコキシドを用いると、水面上での急激な加水分解により、水和した酸化物微粒子が生成してしまうため、ナノシートを得ることがきわめて困難であると考えられる。さらに、本発明の製造方法では、溶液を調整する溶媒として、水に対する適度な溶解性を有するように調整した溶媒を用いることにより、溶解性が高すぎる場合に溶液の液滴が水中に溶けたり、逆に溶解性が低すぎる場合にゲルシート中に水の拡散が阻害されるというようなことを防止することができる。これにより、展開した溶液中で適度な加水分解速度により三次元網目構造が発達し、ゲルナノシートが生成するものと推定される。
【0029】
以上のような反応機構の推定から、ゲルナノシートは巨大な無機高分子から形成されていると推定され、これを乾燥し、焼成することにより、低温ではいわゆるセラミック化した酸化物無機高分子、すなわち非晶質構造の酸化物セラミックスからなるナノシートが得られると考えられる。そしてこれをさらに高温で焼成すると、いわゆる結晶核が生成し結晶成長が起こる結果、焼成温度に依存した結晶子サイズを有する結晶粒をシート内に閉じ込めた酸化物セラミックスからなるナノシートが得られると考えられる。この結晶粒の大きさは焼成温度を高くすることにより増大させることができるが、シートの厚みの1/5を超えると、ナノシートの構造が不均一になり、場合によっては粒界の生成などによりクラックが生成し、破壊されるので好ましくない。
【0030】
こうして得られた本発明の酸化物セラミックスナノシートは、シート内に、非晶質酸化物あるいはシート厚さの1/5以下の大きさのナノ結晶粒が閉じ込められていることを特徴とする酸化物セラミックスナノシートであるが、このような構造は熱力学的に準安定であると考えられ、シート間は従来の酸化物微粒子と比較し低温で容易に焼結する。
【0031】
たとえば図2は、本発明で500℃で焼成して得られたアナターゼ型TiO2ナノシートであるが、2枚のシートが完全に焼結していることがわかる。アナターゼ型TiO2微粒子ではこのような焼結は起こらない。このようなシート間が低温で容易に焼結するいわゆる易焼結性酸化物セラミックスナノシートは、これを積層して緻密な薄膜を低温で容易に形成することができる点で、微粒子と比較して優れた特性を有しているといえる。
【0032】
【実施例】
次に、本発明の具体例を説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3のスキームにしたがって、本発明の酸化物セラミックスナノシートの製造方法の第一の工程および第二の工程により、ペンタエトキシタンタルを3−オキソブタン酸エチル(アセト酢酸エチル)で加水分解しにくくなるようキレート化し、発熱がおさまってから、攪拌しながら1時間かけて部分加水分解を行った。さらにロータリーエバポレーターにより減圧下で60℃まで加熱し濃縮して、粘稠な生成物を得た。これに2−プロパノールあるいは2−プロパノールと1−ブタノールの3:1の混合溶媒をそれぞれ加え、50%溶液をそれぞれ調整した。
【0033】
これらの溶液を流動する水面上に50μLずつ正確に滴下し、ゲルナノシートを連続的に作製した。しかしながら溶媒がイソプロパノールのみの場合には、溶液が水面上に展開しにくくゲルナノシートがほとんど得られなかったのに対して、混合溶媒の場合にはSEM写真の観察から厚みがおよそ500nmのゲルナノシートが得られた。得られたゲルナノシートを100℃で3時間大気中で乾燥し、その後200℃/時の昇温速度で大気中で400℃あるいは1000℃まで加熱し、1時間保持して焼成し、厚みがおよそ300〜400nmの酸化物セラミックスナノシートが得られた。
【0034】
この酸化物セラミックスナノシートのSEM写真を図4に示す。また図5は、酸化物セラミックスナノシートのX線回折測定の結果であるが、この結果から400℃および1000℃で焼成して得られたナノシートの構造は、前者では非晶質酸化物、後者では回折線の半値幅からTa2O5の結晶子サイズの大きさがおよそ23nmの結晶粒からなることが確認された。
【0035】
次に、2−プロパノールと1−ブタノールの3:1の混合溶媒を用いてゲルナノシートが得られた溶液を2倍、4倍、8倍、10倍に希釈して同様にゲルナノシートを得、1000℃で焼成してTa2O5ナノシートを得た。これらのシート厚みはそれぞれおよそ200、80、30、10nmとなり、またSEM観察の結果から、シート厚みの1/5を超える結晶粒は観測されなかった。
比較例として、図3のスキームにおいてキレート化しないことを除けば同様の方法でゲルナノシートを作製した。1000℃で焼成して得た生成物のSEM写真を図6に示す。ナノシートは得られず、Ta2O5の微粉末となった。
【0036】
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、テトライソプロポキシチタンをポリマー化し、20%溶液からゲルナノシートを作製した。これを順次回収して、80℃で6時間乾燥し、それぞれ100℃/時で400、500、600,700、800、900、1000℃まで加熱し、1時間保持して焼成した。
【0037】
得られたチタニアナノシートの厚みはほぼ100〜200nmで一定であった。このチタニアナノシートのX線回折測定の結果を図7に示す。この結果から結晶子サイズはそれぞれ7.8、10.3、10.8、11.9、22.1、28.3と推定された。1000℃で焼成されたナノシートでアナターゼ相からルチル相への転移が観測されるが、バルクでは600℃からこの転移が観測されることと比較すると、ナノシート中に閉じ込められた結晶子は高温まで転移が抑制されることが確かめられた。
また図2に示したように500℃で焼成されたナノシート中には2枚のナノシートがシート間で完全に焼結している現象が観測された。
【0038】
(実施例3)
実施例2と同様の方法で、テトライソプロポキシチタンを化学修飾する方法のみを変えてポリマー化した。すなわち、3−オキソブタン酸エチルの代わりに、1−ペンタノール、アセチルアセトン、プロピオン酸、無水マレイン酸、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンを用いた。得られたポリマーを実施例2と同様の溶媒で5%溶液としてゲルナノシートを作製した。さらに90℃で2時間乾燥後、50℃/時で500℃まで加熱し、1時間保持して焼成した。得られたチタニアナノシートはすべてアナターゼ相であり、シートの厚みはそれぞれ8〜50nm程度であった。
【0039】
(実施例4)
実施例1と同様の方法により、テトラn−プロポキシジルコニウムあるいはテトラn−プロポキシジルコニウムに3mol%テトライソプロポキシイットリウムを添加した混合アルコキシドに、テトラn−プロポキシジルコニウムに対して1.5倍molの3−オキソブタン酸エチルを使用して化学修飾し、部分加水分解を行い(エタノールの量は図2のスキームの4倍とした)ポリマー化し、2−プロパノールと1−ブタノールの1:1の混合溶媒を用いて20%溶液を調整し、ゲルナノシートを作製した。これらを50℃で10時間大気中で乾燥し、さらに大気中で20℃/時で800℃まで加熱し1時間保持してジルコニアナノシートを得た。昇温速度がこれより速いと粉化する傾向が見られた。
【0040】
テトライソプロポキシジルコニウムからはモノクリニック相(結晶子サイズはおよそ25nm)のナノシートが得られ、テトライソプロポキシジルコニウムに3mol%テトライソプロポキシイットリウムを添加した混合アルコキシドからはテトラゴナル相(結晶子サイズはおよそ20nm)のナノシートが得られた。シートの厚みはおよそ50〜150nmであった。
【0041】
(実施例5)
実施例1と同様の方法により、2−メトキシエタノールに溶解したジエトキシバリウムとテトライソプロポキシチタンをポリマー化した。さらに2−メトキシエタノールと1−ブタノールの1:2の混合溶媒を用いて25%溶液を調整し、ゲルナノシートを作製した。得られたゲルナノシートを50℃で10時間乾燥し、その後酸素雰囲気中で600℃まで100℃/時で加熱し、1時間保持して焼成した。得られたチタン酸バリウムナノシートの厚みは150〜200nmであった。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、化学修飾した金属アルコキシドを部分加水分解することによりポリマー化した前駆体を水に適度な溶解性を有する溶媒に溶解し、正確に定量しながら流動する水面上に滴下し展開する流動界面ゾル−ゲル法により厚みが制御された酸化物セラミックスナノシートが連続的に大量に製造できる。
【0043】
この方法は適用できる酸化物の種類が多く、従来技術では製造できなかったセラミックスナノシートを市場に供給できるばかりでなく、シート内に熱的に準安定な非晶質あるいはシート厚みの1/5以下のナノ結晶粒が閉じ込められた構造であり、シート間の焼結が従来の微粒子より低温で起こるため、新たな機能を有するセラミックス薄膜を形成する材料になりうる点で、セミックスナノ粒子などと相補的に材料ナノテクノロジーの発展に寄与できるという有利な効果が得られる。
たとえば積層セラミックスコンデンサーの誘電体層の更なる薄膜化や、可視光化光触媒薄膜や、プロトン導伝膜など電子セラミックスやエネルギー変換デバイス用薄膜への応用などへの展開が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第三の工程および第四の工程の一部を実施するための装置を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態による焼結したナノシートを示すSEM写真である。
【図3】本発明の一実施の形態による酸化物セラミックスナノシートの製造方法の第一の工程および第二の工程を示すスキーム図である。
【図4】本発明の実施例1として前記スキーム図に従い得られたゲルナノシートから製造されたTa2O5酸化物セラミックスナノシートのSEM写真である。
【図5】本発明の実施例1として前記スキーム図に従い得られたゲルナノシートを400℃および1000℃で焼成して得られたTa2O5酸化物セラミックスナノシートのX線回折図である。
【図6】キレート化しない原料から得られた実施例1に対する比較例であるTa2O5酸化物セラミックスのSEM写真である。
【図7】本発明の実施例1として前記スキーム図に従い得られたゲルナノシートを400℃から1000℃で焼成して得られたTiO2酸化物セラミックスナノシートのX線回折図である。
Claims (5)
- ゲル状のナノシートをセラミック化して得られる非晶質酸化物セラミックからなるシートから構成され、前記シートの厚さは400nm以下であり、前記シート内には酸化物粒子が閉じ込められており、前記酸化物粒子は結晶粒を含有し、前記結晶粒の大きさがシート厚さの1/5以下のナノ結晶粒であることを特徴とする酸化物セラミックスナノシート。
- 前記ナノシート間が易焼結性であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物セラミックスナノシート。
- 金属アルコキシドを部分加水分解によりポリマー化する工程と、このポリマーを水に対して溶解性を有する溶媒を用いて溶解させた溶液を得る工程と、水面を一定の方向に一定の速度で流動させながら、その水面上に前記溶液を毎時定量ずつ連続的に滴下することにより、前記溶液を水面上に展開すると共に、その溶液中のポリマー化した金属アルコキシドを当該溶液と水との界面で加水分解によりゲル化してゲルナノシートを形成する工程と、このゲルナノシートを回収する工程と、回収したゲルナノシートを乾燥し焼成することにより非晶質酸化物セラミックからなるシートを形成すると共に、同シート内に酸化物の結晶を成長させる工程とを有することを特徴とする酸化物セラミックスナノシートの製造方法。
- キレート化、エステル交換、アルコキシ交換、アシドリシス、酸無水物、二塩基酸との反応の何れかにより化学修飾して加水分解速度を調整した金属アルコキシドを用いる請求項3に記載の酸化物セラミックスナノシートの製造方法。
- 化学修飾した金属アルコキシドから得られたポリマーが、ポリマー溶液と水との界面で三次元網目構造のポリマーに転換し、ゲルナノシートを形成する請求項4に記載の酸化物セラミックスナノシートの製造方法。
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