JP2021054696A - 薄膜状無機酸化物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性の高い薄膜状無機酸化物の製造方法を提供する。【解決手段】薄膜状無機酸化物の製造方法では、無機酸化物前駆体を含有する第1液L1を、前記第1液の前記無機酸化物前駆体と反応して前記無機酸化物前駆体から誘導される無機酸化物を形成させる物質を含有し且つ循環する第2液L2に供給して、前記第1液を供給した前記第2液において、前記無機酸化物を生成させる。前記第1液の前記第2液への供給終了時において、前記第2液における前記無機酸化物の含有量が0.01質量%以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、薄膜状無機酸化物の製造方法に関する。
酸化チタン、シリカ、アルミナ等の薄膜状無機酸化物は、例えば、塗料やインクやコーティング材などの材料、紫外線防御剤、パール顔料等として広く用いられている。そして、かかる薄膜状無機酸化物の製造方法として、特許文献1及び2には、チタンアルコキシドをヘキサンに溶解した第1液、及び水とイオン性液体とを混合した第2液を調製し、第1液を、循環する第2液に供給して、チタンアルコキシドを水と反応させることにより薄膜状酸化チタンを生成させることが開示されている。
国際公開第2018/030425号 国際公開第2018/030426号
本発明の課題は、生産性の高い薄膜状無機酸化物の製造方法を提供することである。
本発明は、無機酸化物前駆体を含有する第1液を、前記第1液の前記無機酸化物前駆体と反応して前記無機酸化物前駆体から誘導される無機酸化物を形成させる物質を含有し且つ循環する第2液に供給して、前記第1液を供給した前記第2液において、前記無機酸化物を生成させる薄膜状無機酸化物の製造方法であって、前記第1液の前記第2液への供給終了時において、前記第2液における前記無機酸化物の含有量が0.01質量%以上である。
本発明によれば、第2液が循環して繰り返し使用され、第1液の第2液への供給終了時において、第2液における無機酸化物の含有量が0.01質量%以上にまで上昇しており、1回の製造操作において、限られた量の第2液を用いて、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造することができる。
無機酸化物ゲル製造装置の概略構成を示す図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法は、無機酸化物前駆体を含有する第1液を、その第1液の無機酸化物前駆体と反応して無機酸化物前駆体から誘導される無機酸化物を形成させる物質(以下「無機酸化物形成物質」という。)を含有し且つ循環する第2液に供給して、第1液を供給した第2液において、無機酸化物を生成させる。そして、第1液の第2液への供給終了時において、第2液における無機酸化物の含有量が0.01質量%以上である。なお、第2液は、第1液が供給されて経時的に液量等が変化するが、本出願では、第1液が供給される前の初期の第2液も、それに第1液が供給された後の生成物の無機酸化物を含有する第2液も、いずれも含めて「第2液」という。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法によれば、第2液が循環して繰り返し使用され、第1液の第2液への供給終了時において、第2液における無機酸化物の含有量が0.01質量%以上にまで上昇しており、1回の製造操作において、限られた量の第2液を用いて、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造することができる。
ここで、第1液は無機酸化物前駆体を含有する。第1液は、無機酸化物前駆体が溶媒に溶解した溶液であっても、無機酸化物前駆体が分散媒に分散した分散液であっても、いずれでもよい。第1液は、例えば、ヘキサン、トルエン、ヘプタン、ベンゼンなどの炭化水素やクロロホルム等を含有することが好ましい。第1液は、これらのうちの1種又は2種以上を含有することが好ましく、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、ヘキサン、トルエン、及びヘプタンのうちの1種又は2種以上を含有することがより好ましい。
無機酸化物前駆体としては、加水分解反応及び重縮合反応を伴うゾル−ゲル転移によって酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、シリカ、アルミナ等の無機酸化物を誘導する加水分解性の官能基を持つ無機物質が挙げられる。無機酸化物前駆体としては、例えば、これらの無機酸化物のアルコキシド、ハロゲン化物、カルボキシル基やβ−ジケトンのような加水分解性の官能基を有する塩や配位化合物(錯体)、アミン類等が挙げられる。無機酸化物前駆体は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。無機酸化物前駆体は、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、アルコキシドを含むことがより好ましく、金属アルコキシドを含むことが更に好ましく、反応性の高いチタンアルコキシド及びジルコニウムアルコキシドを含むことがより更に好ましく、アルキル基の炭素数が2以上4以下であるチタンアルコキシド及びジルコニウムアルコキシドを含むことがより更に好ましい。
チタンアルコキシドとしては、例えば、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラ-iso-プロピル、オルトチタン酸テトラ-n-ブチル(以下「Ti(OBu)」という。)等が挙げられる。ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、オルトジルコニウム酸テトラエチル、オルトジルコニウム酸テトラ-iso-プロピル、オルトジルコニウム酸テトラ-n-ブチル等が挙げられる。
第1液における無機酸化物前駆体の含有量cは、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、また、同様の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、より更に好ましくは50質量%以下、より更に好ましくは40質量%以下である。
第2液は、無機酸化物形成物質を含有する。第2液は、無機酸化物形成物質が溶解した溶液であっても、無機酸化物形成物質が分散した分散液であっても、いずれでもよい。
無機酸化物形成物質としては、無機酸化物前駆体が金属アルコキシドのような無機酸化物を誘導する加水分解性の官能基を持つ無機物質の場合、典型的には水が挙げられる。無機酸化物形成物質は、1種だけを含んでいても、2種以上を含んでいても、いずれでもよい。
第2液における無機酸化物形成物質の初期の含有量cは、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、更に好ましくは1質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上であり、また、高選択率で薄膜を形成するとともに、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは70質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
第2液は、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、イオン性液体を含有することが好ましい。イオン性液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンとエチルサルフェートアニオン([COSO)との組み合わせのEmimESの他、特許文献1及び2に列挙されたものが挙げられる。イオン性液体は、これらのうちの1種又は2種以上を含むことが好ましい。
第1及び第2液は、高い生産性での薄膜無機酸化物の製造を損なわない範囲で、その他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、例えば、加水分解速度を制御する酸、塩基、キレート剤等が挙げられる。
第1及び第2液は、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、相分離することが好ましい。ここで、本出願における「相分離」とは、第1及び第2液を接触させた際に液−液の相分離が視認されることをいい、それらがある程度相溶する場合も含む。このように第1及び第2液が相分離すると、それらの接触界面において無機酸化物前駆体の無機酸化物形成物質との反応によるゲル化の二次元成長を有効に生じさせることができる。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法では、第1液を、循環する第2液に供給する。したがって、第1液の第2液への供給態様は、移動する第2液に第1液を供給する態様となる。移動する第2液に第1液を供給する態様には、外力が作用して流動する第2液に第1液を供給する態様、及び外力が作用せずに搬送される第2液に第1液を供給する態様がある。流動する第2液に第1液を供給する態様には、第1及び第2液の両方を流動させる態様、つまり、第1及び第2液の両方をそれぞれ流動させて合流させる態様、及び第2液だけを流動させる態様がある。また、第1液の第2液への供給態様は、反応器等を用いた場合のように、気相が存在せずに自由表面を有さない状態で行う態様であっても、塗工ダイ等を用いて液積層構造を形成する場合のように、気相が存在して自由表面を有する状態で行う態様であっても、いずれでもよい。なお、第1液の第2液への供給には、これらの態様に対応する特許文献1及び2に開示された具体的手段を適用することができる。
第2液の循環回数は、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは10回以上、より好ましくは50回以上、更に好ましくは100回以上、より更に好ましくは500回以上、より更に好ましくは1000回以上であり、適切な厚さの薄膜状無機酸化物を製造する観点から、好ましくは10000回以下、より好ましくは8000回以下、更に好ましくは6000回以下である。この第2液の循環回数は、第1液の第2液への供給開始から終了までの第2液ののべ総流量を、第2液の初期液量で除した数値である。
第1液を流動させる場合、第1液の第2液への供給時における第1液の線速uは、高い生産性で紫外線防御用途に適した厚さの薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは0.0001m/s以上、より好ましくは0.01m/s以上、更に好ましくは0.03m/s以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100m/s以下、より好ましくは60m/s以下、更に好ましくは10m/s以下である。第1液の線速uは、第1液の流量Qと装置形状によって制御することができる。
第2液を流動させる場合、第1液の第2液への供給時における第2液の線速uは、高い生産性で紫外線防御用途に適した厚さの薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは0.001m/s以上、より好ましくは0.01m/s以上、更に好ましくは0.03m/s以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100m/s以下、より好ましくは60m/s以下、更に好ましくは10m/s以下である。第2液の線速uは、第2液の流量Qと装置形状によって制御することができる。
第1及び第2液の両方を流動させる場合、第1液の第2液への供給時における第1液の線速uの第2液の線速uに対する比(u/u)は、高い生産性で紫外線防御用途に適した厚さの薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上であり、また、同様の観点から、好ましくは100以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは10以下、より更に好ましくは1以下である。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法では、循環する第2液が生成物の無機酸化物を含有する。このことから、その無機酸化物により、第1液の無機酸化物前駆体が第2液の無機酸化物形成物質に接触することが阻害されるのを抑制する観点から、第1液を供給する前の無機酸化物を含有する第2液を撹拌することが好ましい。撹拌手段としては、例えば、第2液を縮流部に通過させて撹拌する手段、第2液を撹拌翼で撹拌する手段等が挙げられる。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法では、第2液の循環途中において、無機酸化物を回収してもよいが、意外なことに、無機酸化物を回収せずに、第2液における無機酸化物の含有量が多くなっても、薄膜状の無機酸化物の平均厚さに影響がほとんどないことがわかった。従って、操作の簡易化を図る観点から、第2液の循環途中で無機酸化物を回収しないことが好ましい。尚、回収したとしても回収率は好ましくは10%以下、より好ましくは1%以下である。回収率は、(回収した無機酸化物量/生成した全無機酸化物量)×100で表される。回収方法はろ過等が挙げられる。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法では、第1液の第2液への供給終了時において、最終的に、第2液として、薄膜状の無機酸化物のゲルを含有するスラリーが得られる。そして、このスラリーである第2液における無機酸化物の含有量が0.01質量%以上である。第1液の第2液への供給終了時において、この第2液における無機酸化物の含有量は、高い生産性で薄膜無機酸化物を製造する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは5質量%以上であり、また、適切な厚さの薄膜状無機酸化物を製造する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下である。この第2液における無機酸化物の含有量は、得られた無機酸化物量(例えば薄膜状酸化チタン量)を第1液供給終了時の第2液L2の質量で除した値(百分率)で求められる。
実施形態に係る薄膜状無機酸化物の製造方法では、スラリーである第2液から濾過等により無機酸化物のゲルを分離し、それを洗浄後、乾燥及び焼成することにより最終的に固体の薄膜状無機酸化物を得る。
実施形態に係る製造方法によって得られる薄膜状無機酸化物の平均長径(最大径)は、好ましくは2μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上であり、また、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下である。この平均長径は、得られた薄膜状無機酸化物の顕微鏡観察により測定された500個の数平均値として求められる。
薄膜状無機酸化物の平均厚さは、好ましくは10nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは100nm以上であり、また、好ましくは1500nm以下、より好ましくは1000nm以下、更に好ましくは800nmμm以下、より更に好ましくは500nm以下、より更に好ましくは400nm以下、より更に好ましくは300nm以下である。この平均厚さは、得られた薄膜状無機酸化物を切断し、その断面の顕微鏡観察により測定された100個の数平均値として求められる。
薄膜状無機酸化物の平均長径の平均厚さに対する比は、好ましくは5以上、より好ましくは30以上、更に好ましくは50以上であり、また、好ましくは2000以下、より好ましくは800以下、更に好ましくは500以下である。
(無機酸化物ゲル製造装置)
図1は、無機酸化物ゲル製造装置10を示す。
無機酸化物ゲル製造装置10は、自由表面デバイス11と、その上方に近接して設けられたスリットノズル12とを備える。
自由表面デバイス11は、矩形の幅広プレート状部材であって、一端が上流部及び他端が下流部にそれぞれ構成されている。自由表面デバイス11の下流部の下方には、第2液槽13が設けられている。第2液槽13からは第2液循環ライン14が延びて自由表面デバイス11の上流部に接続されている。第2液循環ライン14には、循環ポンプ15が介設されている。スリットノズル12には、第1液槽16から延びる第1液供給管17が接続されている。第1液供給管17には、バルブ18及び液送ポンプ19が介設されている。
この無機酸化物ゲル製造装置10では、第2液槽13に、無機酸化物形成物質を含有する第2液L2を仕込み、循環ポンプ15を稼働させると、第2液L2は、第2液槽13から第2液循環ライン14を通過して自由表面デバイス11の上流部に供給され、自由表面デバイス11上を下流部に向かって気相に接触して自由表面を形成するように流動した後、第2液槽13に流れ落ちることにより循環する。また、第1液槽16に、無機酸化物前駆体を含有する第1液L1を仕込み、バルブ18を開いて液送ポンプ19を稼働させると、第1液L1は、スリットノズル12の開口から自由表面デバイス11上を流動する第2液L2上に流出して合流する。このとき、第1液L1の無機酸化物前駆体が第2液L2の無機酸化物形成物質に接触して反応すると、薄膜状の無機酸化物のゲルGが形成される。また、生成物の無機酸化物を含有する第2液L2は、第2液槽13から第2液循環ライン14の縮流部を通過することにより、第1液L1が供給される前に撹拌される。
(薄膜状酸化チタンの製造)
以下の実施例1〜7の薄膜状酸化チタンの製造実験を行った。なお、それぞれの詳細については表1にも示す。
<実施例1>
第1液L1として、無機酸化物前駆体であるTi(OBu)を20質量%含有するヘキサン溶液を調製した。また、第2液L2として、無機酸化物形成物質の水を10質量%含有するEmimESのイオン性液体溶液を調製した。なお、第1及び第2液L1,L2は相分離する。
第1液槽16に第1液L1を仕込んだ。また、20kgの第2液L2を第2液槽13に仕込んだ。
次いで、循環ポンプ15を稼働させ、第2液L2を、その流量Qを20L/minとして、第2液槽13から、第2液循環ライン14及び自由表面デバイス11を経由して、第2液槽13に戻るように循環させた。自由表面デバイス11上を流動する第2液L2の線速uは0.46m/secであった。
また、バルブ18を開いて液送ポンプ19を稼働させ、第1液L1を、その流量Qを6.9mL/minとして、スリットノズル12の開口から自由表面デバイス11上を流動する第2液L2上に流出させて供給した。このとき、第1液L1と第2液L2との界面において、Ti(OBu)が水と反応して薄膜状の酸化チタンのゲルGが生成された。第1液L1の第2液L2への供給時における第1液L1の線速uは0.115m/secであった。第1液L1の線速uの第2液L2の線速uに対する比(u/u)は0.25である。
第2液L2を87回循環(運転時間72分)させたとき、バルブ18を閉じて液送ポンプ19を停止することにより、第1液L1の第2液L2への供給を終了し、薄膜状の酸化チタンのゲルGを含有するスラリー状の第2液L2を得た。なお、第2液L2の循環途中で酸化チタンの回収は行わなかった。
なお、第2液L2の循環回数は、下記のようにして求めた(後述の実施例2〜7も同様)。
まず、前提として、第1液L1の溶媒のヘキサンは揮発するので、ヘキサンの量は、循環する第2液L2の体積の計算には考慮せず、また、第2液L2の水は、無機酸化物前駆体を全て加水分解する量が消費され、その加水分解により、酸化チタンとブタノールとが生成するものとした。
この前提のもと、第2液L2の1回目の循環終了時の体積は16.5Lであった。尚、1回目循環終了時では酸化チタンの生成量が非常に少ないので、L2の初期質量の体積を、L2の1回目の循環終了時の体積として用いた。最終の循環終了時の体積は、生成した酸化チタンの量が18.1gであったことから、消費した水(8.1g)及び生成したブタノール(67g)の量が求められ、それらから16.6Lと算出した。
第2液L2の循環速度は20L/minであるので、1回目の循環終了時及び最終の循環終了時の1パスあたりの所要時間を、それぞれ0.8258(分/パス)及び0.8297(分/パス)と算出し、それらの平均0.8277(分/パス)を求めた。
そして、その平均の1パスあたりの所要時間0.8277(分/パス)で、運転時間72分を除すことにより、第2液L2の循環回数を87回と求めた。計算には、イオン液体の比重1.24g/ml、酸化チタンの比重4.2g/ml、ブタノールの比重0.81g/mlを用いた。
得られた第2液L2を遠心分離により、薄膜状の酸化チタンのゲルGを液体から分離し、そのゲルGをエタノールで洗浄した後、乾燥及び焼成して固体の薄膜状酸化チタンを得た。第1液L1の第2液L2への供給終了時において、第2液L2における酸化チタンの含有量は0.1質量%と算出された。また、得られた固体の薄膜状酸化チタンの平均厚さは188nmであった。
<実施例2〜7>
10kgの第2液L2を第2液槽13に仕込み、第2液L2の循環回数を990回(実施例2、運転時間420分)、1862回(実施例3、運転時間832分)、3155回(実施例4、運転時間1503分)、3830回(実施例5、運転時間1941分)、4474回(実施例6、運転時間2371分)、及び5150回(実施例7、運転時間2851分)としたことを除いて、実施例1と同一の操作を行って固体の薄膜状酸化チタンを得た。そして、実施例1と同様、得られた固体の薄膜状酸化チタンの質量から、第1液L1の第2液L2への供給終了時の第2液L2における酸化チタンの含有量を算出した。また、得られた固体の薄膜状酸化チタンの平均厚さを求めた。
Figure 2021054696
(実験結果)
表1に、実施例1〜7について、第1液L1の第2液L2への供給終了時の第2液L2における酸化チタンの含有量及び得られた薄膜状酸化チタンの平均厚さを示す。
表1によれば、第2液L2の循環回数が多くなり、第2液L2における生成した酸化チタンの含有量が増加しても、その影響を受けずに、酸化チタンが生成されることが分かる。また、得られた薄膜状酸化チタンの平均厚さも、第2液L2の循環回数による大きな変動がないことが分かる。
本発明は、薄膜状無機酸化物の製造方法の技術分野について有用である。
10 無機酸化物ゲル製造装置
11 自由表面デバイス
12 スリットノズル
13 第2液槽
14 第2液循環ライン
15 循環ポンプ
16 第1液槽
17 第1液供給管
18 バルブ
19 液送ポンプ
G 無機酸化物(酸化チタン)のゲル
L1 第1液
L2 第2液

Claims (5)

  1. 無機酸化物前駆体を含有する第1液を、前記第1液の前記無機酸化物前駆体と反応して前記無機酸化物前駆体から誘導される無機酸化物を形成させる物質を含有し且つ循環する第2液に供給して、前記第1液を供給した前記第2液において、前記無機酸化物を生成させる薄膜状無機酸化物の製造方法であって、
    前記第1液の前記第2液への供給終了時において、前記第2液における前記無機酸化物の含有量が0.01質量%以上である薄膜状無機酸化物の製造方法。
  2. 前記無機酸化物を含有する前記第2液の循環途中で前記無機酸化物を回収しない請求項1に記載された薄膜状無機酸化物の製造方法。
  3. 前記第2液の循環回数が10回以上である請求項1又は2に記載された薄膜状無機酸化物の製造方法。
  4. 前記第1液を供給する前の前記無機酸化物を含有する前記第2液を撹拌する請求項1乃至3のいずれかに記載された薄膜状無機酸化物の製造方法。
  5. 前記無機酸化物を含有する前記第2液を縮流部に通過させることにより撹拌する請求項4に記載された薄膜状無機酸化物の製造方法。
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