JPH0987039A - セラミック材料粉末の製造方法 - Google Patents

セラミック材料粉末の製造方法

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JPH0987039A
JPH0987039A JP7275002A JP27500295A JPH0987039A JP H0987039 A JPH0987039 A JP H0987039A JP 7275002 A JP7275002 A JP 7275002A JP 27500295 A JP27500295 A JP 27500295A JP H0987039 A JPH0987039 A JP H0987039A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属酸化物粉末粒子に副成分として金属成分を
均一に被覆したセラミック材料粉末を提供すること。 【構成】有機溶媒中に分散させた金属酸化物粉末粒子に
金属の有機化合物の加水分解剤による加水分解物を選択
的に析出させ、当該粉末粒子を金属の無機化合物で被覆
するセラミック材料粉末の製造方法。 【効果】金属酸化物粉末粒子に副成分として金属成分を
均一に被覆でき、その材料を用いた焼成体の微細構造、
電磁気特性の制御が容易であり、最近の小型化、高性能
化を目指す電子部品を提供できる。しかも生産性が良
く、コストもかからない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に電子セラミッ
ク部品用のセラミック材料粉末の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、セラミックスは電子部品に幅広く
用いられている。例えば、セラミック基板、セラミック
コンデンサー、インダクターのコア、セラミックフィル
ター、セラミック発振子、各種センサー、高周波部品等
が挙げられる。これら部品に用いられるセラミック誘電
体材料、セラミック磁性体材料は、その組成のほとんど
が金属酸化物により占められている。例えばセラミック
誘電体材料は、例えば炭酸バリウム、酸化チタン、酸化
ジルコニウム等の誘電体原料粉末を所定の比率で混合粉
砕し、ついでこれを仮焼し、Ba(Ti、Zr)O3
組成の金属酸化物の材料粉末を得る。この材料粉末に有
機バインダーを加えて造粒し、この造粒物を例えば板状
に圧縮成形するいわゆる乾式成形を行ってその成形物を
焼成し、この焼成体に電極を形成してセラミックコンデ
ンサを作成したり、あるいはその材料粉末に有機バイン
ダ等を含有させて得たスラリーを用いてシート状体を作
成するいわゆる湿式成形を行って多数のグリーンシート
を形成し、それぞれのグリーンシートに内部電極材料ペ
ースト膜を形成して積層し、焼成することにより積層セ
ラミックコンデンサを作成している。 また、セラミッ
ク磁性体材料として、例えばNi─ZnフェライトやM
n−Zn等のフェライトの粉末を得るには、構成金属元
素の酸化物や炭酸塩の粉末を混合し、その混合物に熱処
理を行ない、この方法により得られたフェライト粉末を
電子部品用材、例えば磁性材としてのフェライト焼成体
の材料とすることが行われている。
【0003】このようなセラミック材料を用いて得られ
る焼成体の誘電体特性、磁気特性等の電磁気特性は、そ
の材料の金属成分の組成に大きく依存し、その金属成分
の組成は焼成体の微細構造にも大きく影響を及ぼすの
で、セラミック材料に副成分として微量の金属成分を添
加し、焼成体の電磁気特性、微細構造を制御することが
重要なこととして行われているが、その添加する個々の
金属成分の元素の種類によって、上記の電磁気特性に及
ぼす影響は異なる。例えば、セラミックの主成分に固溶
することによりその特徴を発揮する金属成分元素と、そ
の固溶をせず、焼成体の結晶粒界や三重点に存在し特徴
を発揮する金属成分元素がある。いずれにせよ、微量の
金属成分はセラミック焼成体中に均一に存在することが
電磁気特性の精度、安定のためのみならず、微細構造を
得るためにも必要である。セラミック材料に副成分とし
て金属成分を添加する方法としては、 セラミック材
料の金属酸化物粉末に副成分の金属粉末あるいはその金
属の炭酸塩や酸化物を加えてボールミル等で湿式混合
し、その乾燥粉末を仮焼後あるいはそのまま用いて作成
した成形体を焼成する方法、 セラミック材料の金属
酸化物粉末のスラリーに副成分の金属イオンを含む水溶
液を添加し、この金属イオンをソーダ塩やアンモニウム
塩のような沈澱剤により沈澱させ、金属酸化物粉末とそ
の沈澱物の混合物を仮焼する方法、 セラミック材料
の金属酸化物粉末に副成分の金属化合物とバインダを加
えて得たスラリーを噴霧乾燥し、造粒した後、仮焼する
方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年の
電子部品の小型化、高性能化の進展はめざましいものが
あり、部品の小型化に対しては、セラミック焼成体の微
細構造、電磁気特性の一層高度な制御が必要になってお
り、そのためには上記したように副成分の微量の金属成
分はセラミック焼成体中に均一に存在することが必要で
あり、これを行うには金属酸化物粉末と副成分の金属成
分の混合はミクロンレベルの混合が限界となっている状
況にあっては、上記の方法は、金属酸化物と副成分の
金属粉末等の微量成分を均一に混合することが難しく、
また、上記の方法は、例えばチタンイオンはソーダ塩
によっては沈澱させることができず、一方アンモニウム
塩を使用してもZn、Mn、Ni、Co等の金属はアミ
ン錯体を形成して可溶性となるため、沈澱物を生成する
ことができないという問題があるのみならず、いずれの
方法によって沈澱物を生成したとしてもその沈澱物は金
属酸化物と単に混合しているに過ぎず、金属酸化物と金
属の沈澱物の微量成分を均一に混合することが上記の
方法より優れてはいるとはいうもののまだ不十分であ
り、また、上記の方法は、スラリーに共存するイオン
の種類によってはバインダがゲル化し、金属酸化物と副
成分の金属化合物の微量成分を均一に混合することがで
きなく、いずれの方法にも問題があり、その改善が望ま
れていた。
【0005】本発明の第1の目的は、セラミック材料粉
末に副成分の金属成分を均一に被覆することができるセ
ラミックス材料粉末の製造方法を提供することにある。
本発明の第2の目的は、セラミック焼成体の微細構造、
電磁気特性を高度に制御することができるようなセラミ
ック材料粉末が得られるセラミック材料粉末の製造方法
を提供することにある。本発明の第3の目的は、最近の
小型化、高性能化の電子部品の製造を可能にするセラミ
ック焼成体を得ることができるセラミックス材料粉末の
製造方法を提供することにある。本発明の第4の目的
は、特別に新たな設備を必要とすることなく、生産性が
良く、コスト的に有利なセラミック材料粉末の製造方法
を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、(1)、セラミック原料粉末から得られ
る金属酸化物粉末粒子に金属の無機化合物を被覆したセ
ラミック材料粉末の製造方法において、有機溶媒に、
(a)上記金属酸化物粉末粒子を分散させる工程と、
(b)加水分解可能な上記金属の有機化合物を溶解させ
る工程と、(c)上記金属の有機化合物を加水分解可能
な加水分解剤を添加する工程を有し、(a)、(b)、
(c)の順、(a)、(c)、(b)の順、(b)、
(a)、(c)の順及び(c)、(a)、(b)の順の
少なくとも1つの順序によりこれら工程を行うことによ
り上記金属酸化物粉末粒子に上記金属の有機化合物の上
記加水分解剤による分解物である上記金属の無機化合物
を析出させる工程を有するセラミック材料粉末の製造方
法を提供するものである。また、本発明は、(2)、加
水分解剤は中性からアルカリ性の領域内の水性液である
請求項2記載のセラミック材料粉末の製造方法、
(3)、有機溶媒は加水分解剤を溶解する極性を持った
溶媒である上記(1)又は(2)のセラミック材料粉末
の製造方法、(4)、有機溶媒はアルコール系溶媒であ
る上記(3)のセラミック材料粉末の製造方法、
(5)、金属の有機化合物は加水分解可能な金属アルコ
キシド類及び金属キレート化合物類の少なくとも1つの
類に属する少なくとも1種である上記(1)ないし
(4)のいずれかのセラミック材料粉末の製造方法、
(6)、加水分解剤を添加する工程における加水分解剤
の添加は撹拌を併用する上記(1)ないし(5)のいず
れかのセラミック材料粉末の製造方法、(7)、加水分
解剤を添加する工程における加水分解剤の添加は加熱を
併用する上記(1)ないし(6)のいずれかのセラミッ
ク材料粉末の製造方法を提供するものである。
【0007】本発明において、「セラミック原料粉末か
ら得られる金属酸化物粉末粒子」とは、例えばセラミッ
ク誘電体材料を得る場合には、例えば炭酸バリウム、炭
酸ストロンチウム等の炭酸塩、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム等の酸化物等の誘電体原料粉末をそれぞれの材料
の組成に応じて選択し、所定の比率で混合粉砕し、つい
でこれを仮焼して得られる、Ba(Ti、Zr)O3
SrTiO3 等の組成の金属酸化物粉末粒子が挙げられ
る。また、セラミック磁性体材料を得る場合には、例え
ば例えばNi−Zn系、Mn−Zn系、Ni−Cu−Z
n系、Mg−Cu−Zn系、Co−Cu−Zn系、Mn
−Mg−Zn系、Ni−Cu−Co系等のフェライトの
金属酸化物粉末粒子は、構成金属元素の酸化物や炭酸塩
の磁性体原料粉末を混合し、その混合物に熱処理を行な
って得られるものが挙げられる。また、「金属酸化物粉
末粒子に金属の無機化合物を被覆した」の金属として
は、Co、Nb、Al、Si、Mn、希土類金属等が挙
げられ、これらは1種のみならず複数でも良い。また、
「(a)、(b)、(c)の順、(a)、(c)、
(b)の順、(b)、(a)、(c)の順及び(c)、
(a)、(b)の順の少なくとも1つの順序によりこれ
ら工程を行う」とは、(b)、(c)、又は(c)、
(b)を行った後(a)を行う場合には、金属の有機化
合物の加水分解物を金属酸化物粉末粒子に析出させる効
果がその他の場合に比べて小さいので、これを除くこと
にあるが、その加水分解物生成直後に金属酸化物粉末を
加えたり、後述の撹拌条件や、加熱条件次第ではその加
水分解物を金属酸化物粉末粒子に析出できなくはないの
で、これを含めることもでき、その場合には、
「(a)、(b)、(c)の順序を問わずこれら工程を
行う」とすることができる。上記「 」のように順序を
限定すると、金属酸化物粉末粒子表面は極性が強くその
表面には通常、水が吸着されていて親水的であるので、
加水分解剤あるいはこの加水分解剤により有機溶媒中に
溶存する微量の金属の有機化合物が加水分解されて生成
した水酸化物あるいは酸化物は、これらが親水性である
ことにより有機溶剤に留まるよりはその金属酸化物粉末
粒子の親水的表面に吸着され易くなり、金属の有機化合
物の加水分解物である水酸化物あるいは酸化物を金属酸
化物粉末粒子表面に選択的に析出させることができ、よ
り好ましい。
【0008】加水分解剤としては、金属の有機化合物の
加水分解反応を起こすものであり、中性からアルカリ性
の領域内の水性液が好ましく、例えばアンモニア水が好
ましく、これに限らないが、アルカリ金属等の後のセラ
ミック材料を得る際、あるいはその材料を用いた成形体
の焼成の際残留するようなものよりは、揮発又は分解し
残留しないものが好ましい。水性液とは溶媒が水のみの
場合のみならず、水とこれに混ざる有機溶媒の混合液で
も良い。上記加水分解剤として水のみでも良いことがあ
るが、アンモニア水を用いる場合には、上記有機溶媒中
におけるアンモニア水(NH4 OH)の濃度としては、
0.01〜10mol/lが好ましく、より好ましくは
0.1〜5mol/lである。0.01mol/lより
小さければアンモニア水の量が増加し、生産性が悪化し
易く、また、10mol/lより大きければアンミン錯
体が生成し易く、所望の組成の無機化合物の被覆が不可
能となり易い。また、加えるNH4 OHの量は、金属の
有機化合物に対して、1〜2当量であることが生産性、
被覆する無機化合物の組成制御の点から好ましく、この
範囲外では生産性の悪化を起こし易い。より好ましくは
1当量である。
【0009】有機溶媒としては、エタノール、プロパノ
ール等のアルコール系溶媒、エタノールアミン等の上記
加水分解剤を溶解できる溶媒、すなわち極性溶媒が好ま
しいが、この極性溶媒を他の有機溶媒、例えばベンゼ
ン、トルエン等の少なくとも1種を0〜40%を混合し
たある程度極性を持った有機溶媒でも、上記加水分解剤
を溶解できるものであれば良い。上記金属酸化物粉末を
有機溶媒に分散させる際には、界面活性剤を使用し、有
機溶剤に金属酸化物粉末が分散し易くしても良く、陰イ
オンの界面活性剤を使用すれば、金属酸化物粉末に吸着
されたその陰イオンに加水分解剤やこれによる金属の有
機化合物の加水分解物の陽イオンが吸着され易いように
することもでき、界面活性剤に有機物を使用すれば後の
セラミック材料を得る際、あるいはその材料を用いた成
形体の焼成の際、分解除去できるので好ましい。
【0010】また、上記金属の有機化合物としては、加
水分解可能なアルコキシド類及びキレート化合物類の少
なくとも1つの類に属する少なくとも1種、すなわちア
ルコキシド類の少なくとも1種、キレート化合物類の少
なくとも1種、両者のそれぞれの少なくとも1種が挙げ
られるが、具体的にはアルコキシドとしてはエトキシ
ド、プロボキシド等の低級アルコキシド、ジケトン系、
また、キレート化合物としてはアセチルアセトナート、
DPM等が好ましいものとして例示される。これらの金
属の有機化合物は、金属イオンが親水性の金属酸化物粉
末粒子の表面の吸着水に配位するため、その金属の有機
化合物の加水分解剤による加水分解はその表面で選択的
に行われ、その析出した水酸化物あるいは酸化物も親水
的であるので分解析出及び吸着によりその成長が行わ
れ、金属酸化物粉末粒子に対する被覆膜が形成される。
上記金属の有機化合物の上記有機溶媒中の濃度は、0.
05mol/l及びその近傍が好ましく、低すぎると生
産性が悪くなり易く、多すぎると溶解でき難くなる。
【0011】上記金属酸化物粉末粒子に対する被覆膜の
成長と結晶性の向上には、有機溶媒中に金属の有機化合
物を溶解し、金属酸化物粉末を分散させ、さらに加水分
解剤を加えて得たスラリーの熱処理を行うことが、金属
の有機化合物を良く溶解することによりその分子レベル
の吸着を可能にし、その状態で加水分解剤により加水分
解されるので、その加水分解物である水酸化物あるいは
酸化物の析出反応が促進され、効果的である。その加熱
温度は無機化合物の被覆を強固にする点から80℃が好
ましいが、その結晶化が促進されるためには60℃以上
に加熱することが好ましい。最も適当な熟成温度は60
〜80℃である。また、その被覆膜の均一性を向上させ
るには、加水分解剤による加水分解をスラリー中で均一
に行わせることが重要であり、そのためには上記スラリ
ーを撹拌することが有効である。その速度は100〜1
000rpm(毎分の回転数)が好ましく、100rp
mより遅いと得られる被覆膜の均一性は十分ではなく、
1000rpmより大きくすると生産設備のコスト増に
なり易い。
【0012】このようにして金属の水酸化物あるいは酸
化物を被覆したセラミック材料粉末が得られるが、これ
をその含有液から分離するには、フィルタープレス等の
濾過を行うことで十分であるが、この含有液を噴霧する
噴霧乾燥によっても陰イオンの残留はなく、生産設備等
を考慮して使用できる。噴霧乾燥の場合陰イオンの残留
をなくすため400℃以上の温度で加熱することが好ま
しいが、生産設備を考慮すると600℃以下が好まし
い。その最も適当な加熱温度は400〜600℃であ
る。
【0013】このようにして得られるセラミック材料
は、上記各種電子部品のセラミック焼成体の材料として
用いることができ、その電磁気特性を向上し、微細構造
を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】有機溶媒として極性溶媒の例えば
エタノールに、加水分解可能な金属の有機化合物として
例えばNbのエトキシド、Coのアセチルアセトナート
を窒素気雰囲気中で溶解し、さらに金属酸化物粉末粒子
として例えばBaTiO3 をエタノール1リットル当た
り100〜500g加え、分散させる。この際、撹拌
(100〜1000rpm)しても良い。この場合、N
bのエトキシド、CoのアセチルアセトナートはNb、
CoがそれぞれBaTiO3 に対して0.1〜1mol
%、0.1〜1mol%となるように溶解する。冷却
後、加水分解剤として例えばアルカリ水性液である0.
1〜3mol/lのアンモニア水をNb、Coに対して
1〜1.5当量滴下する。この際撹拌しても良く、加熱
しても良い。濾過して得た固形分を乾燥してセラミック
誘電体材料粉末を得るこができる。このように、金属酸
化物粉末粒子を有機溶媒に分散させ、その親水性表面に
金属の有機化合物のその金属イオンを配位させ、加水分
解剤としてアンモニア水を加えると、その金属の有機化
合物を加水分解させてその分解物である水酸化物あるい
は酸化物を金属酸化物粉末粒子に析出させることがで
き、その水酸化物あるいは酸化物も親水的であるからそ
の析出も選択的に行え、さらにその成長も容易であり、
金属酸化物粉末粒子に選択的に金属の無機化合物を被覆
することができる。有機溶媒は、上記金属イオンの金属
酸化物粉末粒子に対する配位、水酸化物あるいは酸化物
の金属酸化物粉末粒子に対する析出及びその成長を促す
ため、すなわち水に比べて親水性が劣る有機溶媒はそれ
より親水性のものを遠ざけ、水により近い親水性のもの
同士を近付けるので、これを行うために必要であり、有
機溶媒の代わりに水を用いてもこの効果は得られない。
【0015】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。 実施例1 エタノール500mlに、Nbのエトキシド、Coのア
セチルアセトナートを窒素気雰囲気中で溶解し、さらに
BaTiO3 を100g加え、撹拌(500rpm)
し、80℃に加熱した。この場合、Nbのエトキシド、
CoのアセチルアセトナートはNb、CoがそれぞれB
aTiO3 に対して1.5mol%、0.5mol%と
なるように溶解した。冷却後、1mol/lのアンモニ
ア水をNb、Coに対して1当量滴下し、さらに80℃
で3時間、上記と同様に撹拌した。濾過して得た固形分
を乾燥してセラミック誘電体材料粉末を得た。得られた
粉末について、EPMA(エレクトロンプローブマイク
ロアナライザー)でCo、Nbの存在状態を観察したと
ころ、偏析は見られなかった。さらにBaTiO3 粒子
にCo、Nbが被覆されているかをTEM(トランスミ
ッションエレクトロンマイクロスコピー)で確認したと
ころ、粒子表面に被覆層(粒子表面のぶつぶつ)がある
ことが確認された。このセラミックス誘電体材料粉末を
用いて成形体を作成し、これを焼成して焼成体を得、こ
れに電極を設けてセラミックコンデンサ(寸法3.2×
1.6×1.6mm)を作成し、その静電容量を測定し
たところ、10μFであった。以上のことから、偏析が
なく、被覆膜が確認されたことにより、Nb、Coの水
酸化物あるいは酸化物はBaTiO3 粉末粒子に均一に
被覆されていることがわかり、これを用いて得たセラミ
ックコンデンサは良い静電容量を示し、これにより焼成
体が微細構造であることも分かる。
【0016】実施例2 エタノール500mlにSrTiO3 粉末100gを撹
拌(500rpm)して分散させ、窒素雰囲気中でAl
エトキシド、Siエトキシドを1重量%溶解させた。こ
の混合液を80℃に加熱し、上記と同様に撹拌し、1m
ol/lのアンモニア水をAl、Siに対して1当量滴
下した。その後、80℃で10時間、上記と同様に撹拌
した。濾過して得た固形分を乾燥してセラミック誘電体
材料粉末を得た。得られた粉末について、EPMAでA
l、Siの存在状態を観察したところ、実施例1と同様
に偏析はなかった。さらにSrTiO3 粒子にAl、S
iが被覆されているかをTEMで確認したところ、粒子
表面に被覆層があることが確認された。このセラミック
誘電体材料粉末を用いて成形体を作成し、これを焼成し
て焼成体を得、これに電極を設けて誘電体素子(直径1
0mm×0.5mm)を作成し、誘電率を測定したとこ
ろ、350であった。
【0017】比較例1 BaTiO3 粉末100gに酸化コバルトと酸化ニオブ
の粉末をそれぞれ0.5mol%、1.5mol%加
え、これらを500mlエタノールとともにボールミル
で湿式混合した。固形分を濾過し、乾燥後得られた粉末
についてEPMAで観察したところ、Co、Nbの偏析
が見られた。
【0018】実施例3 エタノール500mlにMn−Znフェライト粉末10
0gを撹拌(500rpm)して分散させ、窒素雰囲気
下でCaブトキシド、Taエトキシドをそれぞれ0.5
mol%溶解させた。この混合液を80℃に加熱し、上
記と同様に撹拌し、1mol/lアンモニア水をCa、
Taに対して1当量滴下した。その後、80℃で3時
間、上記と同様に撹拌した。濾過して得た固形分を乾燥
し、セラミック磁性材料粉末を得た。得られた粉末につ
いてCa、Taの存在状況を観察したところ偏析は見ら
れなかった。TEM観察を行ったところ、粉末表面に被
覆層が観察された。この磁性粉末を用い成形体を作成
し、これを焼成し焼成体を得、磁気特性を測定したとこ
ろ、500KHz、50mTでパワーロスが100mW
/cm2 と良好な特性を示した。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、有機溶媒に分散させた
金属酸化物粉末粒子に金属の有機化合物の加水分解剤に
よる加水分解物を析出させることにより金属酸化物粉末
粒子に金属の無機化合物を被覆するようにしたので、セ
ラミック材料粉末に副成分の金属成分を均一に被覆した
セラミック材料粉末を提供することができ、セラミック
焼成体の微細構造、電磁気特性を高度に制御することが
でき、最近の小型化、高性能化を目指した電子部品の要
求に応えることができる。また、本発明の方法は、有機
溶媒中の湿式反応を用いるので、従来のよく用いられる
装置を用いることができ新規な設備は不要であり、ま
た、従来の粉末をボールミルで混合する場合のようなそ
の混合作業も必要がなく、それだけ生産性を高めること
ができ、コスト面でも有利であるとともに、その混合に
伴う異物の混入も避けることができ、組成の精度の高
い、安定したセラミック材料粉末を提供することができ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック原料粉末から得られる金属酸
    化物粉末粒子に金属の無機化合物を被覆したセラミック
    ス材料粉末の製造方法において、有機溶媒に、(a)上
    記金属酸化物粉末粒子を分散させる工程と、(b)加水
    分解可能な上記金属の有機化合物を溶解させる工程と、
    (c)上記金属の有機化合物を加水分解可能な加水分解
    剤を添加する工程を有し、(a)、(b)、(c)の
    順、(a)、(c)、(b)の順、(b)、(a)、
    (c)の順及び(c)、(a)、(b)の順の少なくと
    も1つの順序によりこれら工程を行うことにより上記金
    属酸化物粉末粒子に上記金属の有機化合物の上記加水分
    解剤による分解物である上記金属の無機化合物を析出さ
    せる工程を有するセラミック材料粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 加水分解剤は中性からアルカリ性の領域
    内の水性液である請求項2記載のセラミック材料粉末の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒は加水分解剤を溶解する極性を
    持った溶媒である請求項1又は2記載のセラミック材料
    粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機溶媒はアルコール系溶媒である請求
    項3記載のセラミック材料粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属の有機化合物は加水分解可能な金属
    アルコキシド類及び金属キレート化合物類の少なくとも
    1つの類に属する少なくとも1種である請求項1ないし
    4のいずれかに記載のセラミック材料粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 加水分解剤を添加する工程における加水
    分解剤の添加は撹拌を併用する請求項1ないし5のいず
    れかに記載のセラミック材料粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 加水分解剤を添加する工程における加水
    分解剤の添加は加熱を併用する請求項1ないし6のいず
    れかに記載のセラミック材料粉末の製造方法。
JP27500295A 1995-09-29 1995-09-29 セラミック材料粉末の製造方法 Expired - Fee Related JP3306614B2 (ja)

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