JP4382255B2 - 小型音響素子のホルダ及び小型音響電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話、パーソナル・ハンディーホン・システム(PHS)、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)等とうに組み込まれている小型音響素子、特にレシーバ、スピーカ、ブザー等の素子、あるいはそれらとバイブレータを一つの素子にしたモジュール素子を、基板あるいは筐体に保持し、かつ電気的接続をするための小型音響素子のホルダに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、携帯電話機、携帯通信機等に使用されている小型音響素子は、ゴム状弾性体からなるホルダの内部に収納されたのち、該ホルダを基板あるいは筐体に固定し、小型音響素子の電極と基板電極をリード線を用いて半田付けで接続していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の接続方法は、手作業によって細いリード線を半田付けしているため生産性が悪く製造コストが高くなってしまう。また、リード線があるため取り付けスペースを広く必要とし、近年の携帯機器の小型化のニーズに対応しない。
【0004】
小型音響素子がマイクロホンの場合は、特開平9−504661号公報、特開平10−233828号公報、特開平11−41682号公報に、小型音響素子であるマイクロホンを保持するホルダ部と、マイクロホンと基板の両電極を電気的に接続する弾性導電コネクタ部とを一体化したマイクロホンホルダの記載がある。
【0005】
しかし、小型音響素子、特にレシーバ、スピーカ、ブザー等の素子、あるいはそれらとバイブレータを一つに統合したモジュール素子は、素子の内部の振動により発生する空気の振動を本体の外に速やかに逃がす必要があり、そのため本体ケースに音孔といわれる穴が設けられている。ところがこれら従来のマイクロホンホルダは、小型音響素子の裏面の音孔を塞いでしまうため利用することができなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するものであって、小型音響素子、特にレシーバ、スピーカ、ブザー等の素子、あるいはそれらとバイブレータを一つに統合したモジュール素子の裏面の音響特性上必要とされる音孔を塞ぐことなく、さらに取り付け工程の簡略化、生産コストの削減、小型音響素子の取り付け位置の小スペース化を図ることを目的とした小型音響素子のホルダを提供するものである。
【0007】
すなわち、小型音響素子を保持する保持部と、該小型音響素子の電極と基板電極を接続する弾性導電コネクタ部が一体化されたホルダにおいて、保持部の内壁に小型音響素子を係合する横溝を形成し、小型音響素子の音孔を塞がない空間を作り出し、なおかつ、保持部の底面および/または側面に、小型音響素子の音響特性上必要な通気孔を、小型音響素子の音孔を塞がない空間に通じるように設けたことを特徴とする小型音響素子のホルダである。
【0008】
さらに、保持部が、ゴム状弾性体であり、弾性導電コネクタ部が、ゴム状弾性体と導電媒体から構成されている小型音響素子のホルダである。
さらに、弾性導電コネクタ部の導電媒体が、磁性導電体である小型音響素子のホルダである。
【0009】
本発明の音響特性上必要な通気孔は、小型音響素子の裏面の音孔を塞がない空間となるものであって、ホルダの底面および/または側面に形成する。通気孔の数や大きさは設計上適宜な構成を選ぶ。
【0010】
本発明の弾性導電コネクタ部を構成する磁性導電体は、磁性を示す導電体であれば全て含まれ、磁性金属粒子でも磁性金属複合体でもかまわない。導電媒体に磁性導電体を用いた場合、液状未硬化のゴム状弾性体内に配合した磁性導電体をホルダ成形用金型内に注入し、所望の箇所に磁力を与えて磁性導電体を磁場配向させて弾性導電コネクタ部の導通経路を特定させた後、ゴム状弾性体を硬化することにより、弾性導電コネクタ部とゴム状弾性体からなる保持部を一回の成形工程で一体成形することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を図に従い詳細に説明する。
図1(1)、(2)は本発明による小型音響素子のホルダの一例の上面図および縦断面図である。
ホルダ1は、図1(3)に示す小型音響素子5を保持するゴム状弾性体からなる器状の保持部3の底面に、該小型音響素子の電極6と基板電極8を接続する弾性導電コネクタ部2を縦方向に一体化してあり、小型音響素子の音孔7を塞がないように保持部に通気孔4が設けられている。
【0012】
小型音響素子5は、ホルダ1内に押し込まれ、保持部3の内壁に形成された横溝内に係合され、小型音響素子5の下面の電極6と弾性導電コネクタ部2が圧縮され、基板電極8と導通が図れる。
【0013】
小型音響素子をホルダに組み込んだ際、ホルダの通気孔によって、小型音響素子の音孔が塞がれないので、素子の音響特性に影響を与えることがない。図1では通気孔を保持部の側面側に設けたが、底面側に設けても、両者に設けてもよい。
【0014】
本発明のホルダの保持部と弾性導電コネクタ部の材料としては、ゴム状弾性体であるシリコーンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2-ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ふっ化系熱可塑性エラストマー、イオン架橋系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なかでも電気的絶縁性、耐候性からシリコーンゴムが好ましい。
【0015】
本発明の弾性導電コネクタ部は、ゴム状弾性体中に導電媒体によって導通経路を形成したものを用いる。導電媒体には、小型音響素子の特性を考慮して低電気抵抗のものを用いる。好ましくは接触抵抗で10Ω以下が良く、例えば、カーボンや金属等による粒子、繊維、細線状の導電媒体等が用いられる。
【0016】
具体的には、抵抗値の低い金、銀、白金、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、パラジウム、コバルト、クロム等の金属類やステンレス等の合金類からなる粉末または細線、あるいは樹脂やセラミック等の表面に金属を被覆した金属複合形の粉末または細線等を用いることができる。
【0017】
本発明の弾性導電コネクタ部の導電媒体として磁性導電体を用いた場合、液状未硬化のゴム状弾性体内に配合した磁性導電体をホルダ成形用金型内に注入し、所望の箇所に磁力を与えて磁性導電体を磁場配向させて弾性導電コネクタ部の形状を特定させた後、ゴム状弾性体を硬化することにより、弾性導電コネクタ部とゴム状弾性体からなる保持部を一回の成形工程で一体成形することができる。
【0018】
磁性導電体として好ましくはニッケル、コバルト、鉄またはそれらを多く含む合金などが良く、他にも良導電性の金属を磁性導電体でメッキしたもの、あるいは逆に磁性導電体に良導電体の金属をメッキしたものを用いることができる。
【0019】
【実施例1】
図1に本実施例の小型音響素子のホルダの上面図、断面図および小型音響素子の実装例を示す。
小型音響素子5の下面の電極6と基板電極8との電気的接続は、弾性導電コネクタ部2を用い、そして小型音響素子の取り付けを簡易に行なえるようにホルダ1の保持部3を弾性導電コネクタ部2に一体化させた。保持部3の内壁に小型音響素子5を係合する横溝を形成し、さらに小型音響素子5の音孔7を塞がない空間を作り出し、なおかつ、小型音響素子の音孔7を塞がない空間に通じるようにホルダの側面側に通気孔4を設けた。
実施例1は、通気孔4を側面側に設ける代わりに底面側に設けた。
【0020】
弾性導電コネクタ部2の導電媒体には磁性導電体であるニッケル粒子を用い、保持部3にゴム状弾性体であるシリコーンゴムを用いた。液状未硬化のシリコーンゴムにニッケル粒子を配合して、ホルダ成形用金型内に注入し、弾性導電コネクタ部2となる箇所のみに磁力を加えてニッケル粒子を磁場配向させ、弾性導電コネクタ部2に導通経路を形成しつつシリコーンゴムを加硫させることで、一体成形されたホルダ1を作成した。
【0021】
実装方法は、所望の位置に穴を設けた筐体9のチャンバー内に、既に小型音響素子5を組み付けたホルダ1を取り付ける。筐体9が基板とネジ等(図示せず)で組み付けられると、弾性導電コネクタ部2が圧縮され、小型音響素子5の電極6と基板電極8が電気的に接続される。
得られたホルダを用いることで、リード線等を半田付けにより接続するという工程が必要無く、それぞれを組み付けるだけで簡単に小型音響素子の取り付けが可能である。
【0022】
【実施例2】
図1に本実施例の小型音響素子のホルダの上面図、断面図及び小型音響素子の実装例を示す。
本実施例はホルダの側面側に通気孔4を設けた以外は実施例1と同じ構成である。
実施例1と同様に、リード線等を半田付けにより接続するという工程が必要無く、それぞれを組み付けるだけで簡単に小型音響素子の取り付けが可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明の小型音響素子のホルダは、携帯電話機等に使用されているレシーバ等の小型音響素子の裏面の音響特性上必要とされる音孔を塞ぐことなく、基板と取り付ける際に使用される保持部と弾性導電コネクタ部が一体化しているので、音響特性を悪化させることなく、またリード線等を半田付けにより接続するという工程が無く、さらに部品点数、組み付け工数を削減することができるため、製造コストの低減を図ることができる。
【0024】
そして導電媒体に磁性導電体を用いることで、一回の成形工程で一体成形が可能となり、保持部と弾性導電コネクタ部を別体で成形した後に組み合せて一体化するよりも、ホルダの製造工程を少なくできるので、製造コストの削減につながる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(1)本発明の実施例1の上面図、(2)AA断面図、(3)実装例
【符号の説明】
1 ホルダ
2 弾性導電コネクタ部
3 保持部
4 通気孔
5 小型音響素子
6 電極
7 音孔
8 基板電極
9 筐体
Claims (4)
- 小型音響素子を保持する保持部と、該小型音響素子の電極と基板電極を接続する弾性導電コネクタ部が一体化されたホルダにおいて、
保持部の内壁に小型音響素子を係合する横溝を形成し、小型音響素子の音孔を塞がない空間を作り出し、なおかつ、保持部の底面および/または側面に、小型音響素子の音響特性上必要な通気孔を、小型音響素子の音孔を塞がない空間に通じるように設けたことを特徴とする小型音響素子のホルダ。 - 保持部が、ゴム状弾性体であり、弾性導電コネクタ部が、ゴム状弾性体と導電媒体から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の小型音響素子のホルダ。
- 弾性導電コネクタ部の導電媒体が、磁性導電体であることを特徴とする請求項1または2に記載の小型音響素子のホルダ。
- 請求項1から請求項3の何れか1項に記載のホルダに、小型音響素子を組み込んでなる小型音響電子部品。
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